JP4156276B2 - 排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気浄化装置に係り、特にエンジンの排気に含まれる煤、燃料やエンジンオイルの燃えかすである可溶有機成分(SOF:Soluble Organic Fraction)等の粒子状物質(以下「PM(Particulate Matter)」という。)を浄化するのに用いて好適な排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
内燃機関の開発及び使用においては、内燃機関からの有害な排気物質を浄化することが重要ある。特にディーゼル機関の場合、排気中に有害なPMが含まれており、PMをどのように浄化するかが問題となっている。
【0003】
特開平9−329015号公報では、排気中に含まれるPMを除去するために、一対の電極間に誘電体で構成された多孔質フィルタ及び誘電体を少なくとも1つ挟み込んだコロナ放電素子及びそれを用いたガス処理装置(以下「従来技術1」という。)が提案されている。
【0004】
しかし、従来技術1では、集塵効率を上げようとすると多孔質フィルタの目を細かくする必要がある。これにより、処理前の排気と処理後の排気の差圧が大きくなってしまって、効率的にPMを除去することができず、圧力損失が大きくなってしまう問題がある。また、一対の電極間に高電圧を印加して放電を起こすことによってPMを燃焼して除去するので、消費電力が大きくなってしまう問題もある。
【0005】
特許3056626号公報(特開平6−241019号公報)では、ペレットを電極間に入れて、その部分を放電することでPMを燃焼除去するガス浄化装置及び方法(以下「従来技術2」という。)が提案されている。
【0006】
しかし、従来技術2では、小さいPMを十分に浄化することができない問題がある。また、従来技術2は、放電のみでPMを燃焼しているので、消費電力が大きくなってしまう問題もある。
【0007】
特開平9−144528号公報では、すすの燃焼において触媒活性である無機化合物を用いて、ディーゼル燃料エンジンからの排ガスに含まれる粒状物質を除去する方法(以下「従来技術3」という。)が提案されている。
【0008】
しかし、従来技術3では、例えば300℃以下の低温時の場合、PMを燃焼することができない問題がある。また、従来技術3は、PMの捕集効果が低く、PMを完全に浄化できない。
【0009】
特開平6−17639号公報では、電極棒の周辺に位置する碍子の表面に洗浄空気を供給することにより、碍子に付着したPMを除去する車両用ディーゼル機関の排気ガス浄化装置(以下「従来技術3」という。)が提案されている。しかし、従来技術3は、碍子表面に洗浄空気を吹き付けるだけでは付着力の小さいPMを除去することができるが、強固に付着したPMを完全に除去することができない。
【0010】
また、特開平6−176353号公報では、ニクロム線を碍子表面に近接して設け、その加熱作用によりPMを燃焼除去する車両用ディーゼル機関の排気ガス浄化装置(以下「従来技術4」という。)が提案されている。しかし、従来技術4は、ニクロム線を介して碍子全体を加熱する必要があり、非常に大きな電力を必要とする問題がある。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、少ない消費電力で、かつ効率的にPMを含む排気を浄化することができる排気浄化装置及び高電圧供給装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、内燃機関の排気に含まれる粒子状物質を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された粒子状物質を集塵すると共に、粒子状物質を酸化させる能力を少なくとも有する触媒を担持した1つ以上の集塵フィルタと、前記集塵フィルタの近傍に配置され、前記集塵フィルタに集塵された粒子状物質を燃焼するための放電を行う1つ以上の放電手段と、前記内燃機関の排気温度を検出する排気温度検出手段と、前記排気温度検出手段で検出された排気の温度が所定値未満のときに前記放電手段に放電させる制御を行う放電制御手段と、を備えている。
【0013】
請求項1記載の発明では、帯電手段は、高電圧を印加することによって、エンジンの排気に含まれる粒子状物質を帯電させる。ここでは、直流の負電圧を印加することで、粒子状物質を負極に帯電させるのが好ましい。なお、帯電手段は、粒子状物質を帯電することができれば特に限定されるものではなく、高周波やイオンシャワーを照射したり、摩擦を用いたりして、粒子状物質を帯電させてもよい。
【0014】
集塵フィルタは、粒子状物質を集塵するものであれば特に限定されないが、メッシュ状の集塵極で構成され、かつ接地されているのが好ましい。また、集塵フィルタは、粒子状物質を酸化させる能力を少なくとも有する触媒を担持している。この触媒は、例えば溶融塩型触媒が好ましい。なお、この触媒は、粒子状物質を酸化させる能力だけでなく、さらに窒素酸化物を浄化する能力を備えていてもよい。
【0015】
集塵フィルタは、排気の中に含まれる粒子状物質が帯電しているので、粒子状物質を塊にして、容易且つ効率的に静電的に集塵することができる。そして、排気がどんどん流れると、集塵フィルタには粒子状物質が次第に堆積される。
【0016】
放電手段は、集塵フィルタに対して放電を行う。なお、集塵フィルタが1つの場合、放電手段は1つだけでよい。集塵フィルタが複数の場合は、各集塵フィルタに対応して放電手段を複数設けるのが好ましい。放電手段は、常時放電を行ってもよいが、少なくとも触媒が酸化反応を起こしていないときに放電するのが好ましい。これにより、触媒が低温であっても、集塵フィルタに集塵された粒子状物質を燃焼させて浄化することができる。一方、集塵フィルタに担持された触媒は、排気によって高温になると、酸化反応を起こし、集塵フィルタに堆積された粒子状物質を酸化させて、燃焼させることができる。
【0017】
したがって、帯電手段によって粒子状物質を塊にして効率的に集塵すると共に、放電手段による放電と触媒による酸化反応を用いることで、全温度帯域で、集塵フィルタに堆積された粒子状物質を酸化させて燃焼させることができる。この結果、エンジンの排気から粒子状物質を浄化させることができる。排気温度検出手段は、内燃機関の排気温度を検出することで、集塵フィルタに担持された触媒の温度を求めることができる。なお、排気温度検出手段は、浄化前の排気の温度に限らず、浄化後の排気の温度を検出してもよい。また、放電制御手段は、排気温度検出手段で検出された排気の温度が所定値未満のときに放電手段に放電させる。ここにいう所定値とは、触媒が酸化反応を起こすときの触媒の温度や、触媒による粒子状物質の燃焼量と放電による粒子状物質の燃焼量がほぼ等しくなるときの触媒の温度を用いることができる。したがって、排気温度が所定値未満のときは触媒の温度が低く、集塵フィルタに堆積された粒子状物質を触媒で浄化することができないので、放電を行うことによって粒子状物質を酸化させて燃焼させることができる。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、排気の浄化前後の差圧を検出する差圧検出手段を更に備え、前記放電制御手段は、前記差圧検出手段により検出された差圧が所定値以上になり、かつ前記排気温検出手段により検出された排気温度が所定値未満のときに、前記放電手段に放電させることを特徴とする。
【0019】
請求項2記載の発明では、差圧検出手段は、圧損を検出するために、排気の浄化前後の差圧を検出する。ここで、集塵フィルタに堆積される粒子状物質が多くなるに従って、差圧検出手段で検出される差圧の値も大きくなる。
【0020】
集塵フィルタに担持された触媒は、排気温度が所定値以上の場合では堆積された粒子状物質を酸化燃焼することができるが、排気温度が所定値未満の場合、粒子状物質を燃焼することができない。
【0021】
そこで、放電制御手段は、差圧が所定値以上になり、かつ排気温度が所定値未満のときに、放電手段に放電させることにより、集塵フィルタに堆積された粒子状物質を燃焼して浄化することができる。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記帯電手段は、放電を発生させる放電極と、前記放電極に高電圧を供給する高電圧供給手段と、前記放電極を流れる電流を検出する電流検出手段と、電流検出手段により検出された電流が所定値以上のときに、前記高電圧供給手段の出力電圧を更に高く制御する電圧制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項3記載の発明では、帯電手段は、放電を発生させる放電極と放電極に高電圧を供給する高電圧供給手段と放電極を流れる電流を検出する電流検出手段と電流検出手段により検出された電流が所定値以上のときに高電圧供給手段の出力電圧を更に高く制御する電圧制御手段とを備えた高電圧供給装置で構成されている。したがって、放電極に粒子状物質が付着して、粒子状物質の静電捕集能力が低下した場合であっても、放電によって粒子状物質を燃焼除去することで、静電捕集能力を回復することができる。
【0024】
なお、次のような高電圧供給装置を用いてもよい。すなわち、内燃機関の排気浄化装置に高電圧を供給する高電圧供給装置であって、前記排気浄化装置の内部の放電極に高電圧を供給する高電圧供給手段と、前記排気浄化装置と前記放電極とを絶縁する絶縁部と、前記放電極に前記高電圧を供給したときの電流を検出する電流検出手段と、電流検出手段により検出された電流が所定値以上のときに、前記高電圧供給手段の出力電圧を更に高く制御して前記絶縁部に放電させる電圧制御手段と、を備えた高電圧供給装置でもよい。ここで、前記絶縁部は、碍子で構成されているのが好ましい。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
[第1の実施の形態]
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る排気浄化装置は、エンジン100内の図示されていないクランク軸の回転角を検出するクランク角センサ11と、エンジン100から排気管101を介して供給される排気の温度を検出する排気温センサ12と、浄化前後の排気の差圧を検出する差圧計13と、直流電圧を印加する直流電源装置14と、交流電圧を印加する交流電源装置15と、排気を浄化するために一時貯蔵する反応ケース20と、交流電源装置15から出力される交流電圧の制御やその他の全体的な制御を行うコントローラ40と、を備えている。
【0054】
また、排気浄化装置は、図2に示すように、反応ケース20の内部においては排気の上流から下流に向かって、排気に含まれる粒子状物質(以下「PM」という。)を帯電させる帯電用電極21と、PMを集塵する第1の集塵極22と、放電を行うための第1のバリア放電用電極23と、細かいPMを集塵する第2の集塵極24と、バリア放電を行うための第2のバリア放電用電極25と、更に細かいPMを集塵する第3の集塵極26と、バリア放電を行うための第3のバリア放電用電極27と、を備えている。
【0055】
帯電用電極21は、コロナ放電によりPMを帯電させるものである。帯電用電極21は、具体的には図3に示すように、棒状に形成されており、所定間隔毎に排気の下流側に複数の突起部21aを設けている。帯電用電極21は、突起部21aを介してPMを帯電させる。
【0056】
また、帯電用電極21は、図2に示すように、その両端がそれぞれ碍子28によって反応ケース20に固定されており、排気の流れに対して軸方向が直交するようになっている。また、帯電用電極21は、直流電源装置14の負電極側に接続されている。なお、帯電用電極21は、碍子28によって固定されているので、反応ケース20に絶縁された状態になっている。
【0057】
第1の集塵極22は、図4に示すように、帯電されたPMを集塵して捕集するフィルタである。第1の集塵極22は、具体的には金属からなる網目状のフォーム、すなわち網目状のメタルフォーム(金網)で構成されている。なお、第2及び第3の集塵極24,26も同様に、帯電されたPMを集塵して捕集するフィルタである。
【0058】
また、第1の集塵極22、第2の集塵極24、第3の集塵極26の順にフィルタの目が細かくなっている。目の粗い第1の集塵極22としては、例えば図5(A)に示すようにステンレスの金網が好ましい。目が少し細かい第2の集塵極24としては、例えば図5(B)に示すように多孔質体にメッキをしたものが好ましい。目が一番細かい第3の集塵極26としては、例えば図5(C)に示すように多孔質金属が好ましい。さらに、第1乃至第3の集塵極22,24,26は、それぞれ反応ケース20を介して接地されている。
【0059】
第1乃至第3の集塵極22,24,26のフィルタの目には、PM酸化能力及びNOx浄化能力を有する触媒が担持されている。この触媒は、低温時では煤(C)や可溶有機成分(SOF)等のPMを捕集し、高温時ではこれらを酸化して浄化する。さらに、この触媒は、低温時ではNOxを吸蔵し、高温時ではNOxを浄化することもできる。
【0060】
PMを酸化する触媒としては、溶融塩型触媒が好ましい。また、NOx浄化触媒としては、NOx吸蔵還元型触媒が使用できる。なお、触媒は、前記の例に限定されるものではなく、PM酸化、NOx浄化をすることができれば、使用できる。
【0061】
第1のバリア放電用電極23は、第1の集塵極22と第2の集塵極24の近傍であって、これらに挟まれるように設置されている。第1のバリア放電用電極23は、バリア放電によって第1の集塵極22と第2の集塵極24に堆積されたPMを燃焼する。
【0062】
図6は、第1のバリア放電用電極23の構成を示す正面図である。図7は、第1のバリア放電用電極23の側面図である。第1のバリア放電用電極23は、交流電源装置15に接続されている印刷導体電極23aと、印刷導体電極23aに接続されている印刷導体基盤23bと、印刷導体基盤23bの周囲を覆っているアルミナ23cと、で構成されている。
【0063】
印刷導体基盤23bは、アルミナ23cによって絶縁されている。また、印刷導体基盤23bには直径約1cm程度の複数の貫通穴23dが形成されており、排気はこの貫通穴23dを通って下流側に流れるようになっている。なお、第2及び第3のバリア放電用電極25,27も、第1のバリア放電用電極23と同様に構成されている。
【0064】
第2のバリア放電用電極25は、第2の集塵極24と第3の集塵極26の近傍であって、これらに挟まれるように設置されている。そして、第2のバリア放電用電極25は、バリア放電によって第2の集塵極24と第3の集塵極26に堆積されたPMを燃焼する。
【0065】
第3のバリア放電用電極27は、第3の集塵極26の近傍であって、排気の下流側に設置されている。そして、第3のバリア放電用電極27は、バリア放電によって第3の集塵極26に堆積されたPMを燃焼する。
【0066】
一方、コントローラ40は、エンジン回転数に基づいて通電時間を決定するための通電時間テーブルと、エンジン回転数に基づいて交流電圧を決定するための交流電圧テーブルを記憶している。
【0067】
通電時間テーブルは、図8に示すように、エンジン回転数に対応する通電時間を示している。なお、エンジン回転数と通電時間の関係は、線形性である場合に限らず、非線形性であってもよい。また、交流電圧テーブルは、図9に示すように、エンジン回転数に対応する交流電圧(実効値)を示している。なお、エンジン回転数と交流電圧の関係は、線形性である場合に限らず、非線形性であってもよい。
【0068】
以上のように構成された排気浄化装置において、コントローラ40は、排気に含まれるPMを効率的に浄化するために、図10に示すステップST1以下の処理を実行する。
【0069】
ステップST1では、コントローラ40は、帯電用電極21に負の高電圧(−10kV程度)を印加して、ステップST2に移行する。このとき、帯電用電極21に印加される電圧の波形は図11に示すようになる。これにより、帯電用電極21と第1の集塵極22の間には電圧勾配(電界)が生じ、帯電用電極21の周囲にプラズマが発生する。そして、図3に示すように、排気に含まれるPMはプラズマによって負に帯電される。
【0070】
負に帯電されたPMは、図4に示すように、接地されている第1の集塵極22に静電的に集塵される。つまり、第1の集塵極22は、PMを静電捕集することによって、フィルタの目よりも細かいPMであっても捕集することができる。なお、第2及び第3の集塵極24,26も接地されており、第1の集塵極22、第2の集塵極24、第3の集塵極26の順にフィルタの目が細かくなっている。これにより次のような効果が生じる。
【0071】
図12に示すように、第1の集塵極22は、排気の上流側にあるので多量のPMを集塵する。このとき、PMは塊になって目の粗い第1の集塵極22に堆積していくが、堆積量が増えていくとPMの一部が崩れて下流に流される。
【0072】
第2の集塵極24は、第1の集塵極22に比べてフィルタの目が細かいので、第1の集塵極22から崩れて流されたPMを捕集する。また、同様に、PMは第2の集塵極24に堆積していくが、堆積量が増えていくとPMの一部が崩れて下流に流される。
【0073】
第3の集塵極26は、第2の集塵極24に比べて更にフィルタの目が細かいので、第2の集塵極24から崩れて流されたPMを捕集する。この結果、排気に含まれるPMを3段階で捕集することができる。
【0074】
ステップST2では、コントローラ40は、差圧計13で検出された浄化前後の排気の差圧を読み込んで、このときの差圧を記憶し、ステップST3に移行する。
【0075】
ステップST3では、コントローラ40は、差圧計13で検出された差圧が所定値以上であるかを判定する。ここで、第1乃至第3の集塵極22,24,26がそれぞれ多量のPMを捕集している場合、排気の流れが悪くなり、浄化前後の排気の差圧が所定値以上になる。一方、第1乃至第3の集塵極22,24,26がPMをあまり捕集してない場合、排気の流れは良好であり、浄化前後の排気の差圧は所定値未満になる。
【0076】
そこで、コントローラ40は、差圧が所定値以上であるときは多量のPMが捕集されているのでステップST4に移行し、差圧が所定値未満であるときはPMがあまり捕集されていないのでステップST8に移行する。
【0077】
ステップST4では、コントローラ40は、エンジン100の回転数を読み込む。ここでは、クランク角センサ11で検出されたクランク角の変化から回転速度を演算して、ステップST5に移行する。そして、ステップST5では、コントローラ40は、排気温センサ12で検出された排気温を読み込んで記憶して、ステップST6に移行する。
【0078】
ステップST6では、コントローラ40は、各集塵極に担持された触媒でPMを燃焼できるかを判定する。ここで、触媒は所定温度(例えばT0度)以上にならないと酸化反応を開始しない。しかし、触媒による燃焼量は、T0度以上であっても、ある温度(例えばT1度)未満のときはバリア放電による燃焼量よりも低く、PMを十分に燃焼させることができない。
【0079】
そこで、コントローラ40は、排気温センサ12で検出された温度がT1度以上であるかを判定し、T1度以上であるときは触媒でPMを十分燃焼できると判定して、ステップST8に移行する。一方、排気温センサ12で検出された温度がT1度未満であるときは触媒でPMを十分に燃焼できないと判定して、ステップST7に移行する。
【0080】
ステップST7では、コントローラ40は、上述した交流電圧テーブル及び通電時間テーブルを参照して、ステップST4で読み込んだエンジン回転数に基づいて、第1乃至第3のバリア放電用電極23,25,27に印加すべき交流電圧及び通電時間を設定する。そして、設定された交流電圧を設定された通電時間だけ第1乃至第3のバリア放電用電極23,25,27に印加する。このとき、交流電圧の波形は、図13に示すようになる。なお、交流電圧を印加するときは、アーク放電にならないようにする。
【0081】
この結果、第1の集塵極22と第1のバリア放電用電極23の間では、バリア放電が発生する。なお、他の集塵極と他のバリア放電用電極の間でもバリア放電は発生するが、ここでは第1の集塵極22と第1のバリア放電用電極23の間のバリア放電について説明する。
【0082】
図14に示すように、第1の集塵極22と第1のバリア放電用電極23の間にバリア放電が発生すると、第1の集塵極22に堆積されたPMは燃焼する。このときの反応式は次のようになる。
【0083】
最初に、バリア放電によって放出された電子は、酸素分子に衝突し、酸素ラジカルを生成する。
【0084】
【化1】
Figure 0004156276
【0085】
酸素ラジカルは、酸素分子に衝突してオゾンを生成したり、一酸化窒素に衝突して二酸化窒素を生成する。
【0086】
【化2】
Figure 0004156276
【0087】
オゾンや二酸化窒素は、煤(C)に衝突して煤を酸化させる。
【0088】
【化3】
Figure 0004156276
【0089】
また、オゾンや二酸化窒素は、SOF(主成分はハイドロカーボン)に衝突して可溶有機成分(Cxy)を酸化させる。
【0090】
【化4】
Figure 0004156276
【0091】
このように、第1の集塵極22に堆積されたPMは、バリア放電によって酸化されて燃焼される。第2及び第3の集塵極24,26に堆積されたPMも同様にして燃焼される。
【0092】
なお、第2の集塵極24は、排気の上流側と下流側にそれぞれ配置された第1及び第2のバリア放電用電極23,25に挟まれているので、両側からのバリア放電によって多量のPMを燃焼して浄化することができる。第3の集塵極26も同様の理由で、多量のPMを燃焼して浄化することができる。
【0093】
一方、ステップST3で差圧が所定値未満であったとき、さらにステップST6で触媒でPMを燃焼できると判定したときに移行したステップST8では、コントローラ40は、所定時間を経過したかを判定する。そして、所定時間経過するまで待機して、所定時間を経過するとステップST2に戻る。つまり、所定のインターバルをおいてから再びステップST2以下の処理を実行する。
【0094】
図15は、PMの燃焼量を示す図である。実線は、バリア放電によるPMの燃焼量を示している。排気温度が低くても、第1乃至第3の集塵極22,24,26にそれぞれ交流電圧を印加することができるので、バリア放電によって所定の燃焼量を得ることができる。但し、排気温度が高くなっても、バリア放電によるPMの燃焼量はあまり変化せず、微増するだけである。
【0095】
同図の鎖線は、触媒によるPMの燃焼量を示している。第1乃至第3の集塵極22,24,26にそれぞれ担持された触媒は、排気によって所定温度(T0度)以上にならないと酸化反応を開始しないため、T0度になるまでPMを燃焼することができないが、T0度以上になると酸化反応を開始してPMを燃焼する。そして、触媒によるPMの燃焼量は、T1度を超えると、バリア放電によるPMの燃焼量を超える。
【0096】
同図の点線は、バリア放電及び触媒によるPMの燃焼量を示しており、実線で示した燃焼量と鎖線で示した燃焼量との和に対応している。
【0097】
以上のように、第1の実施の形態に係る排気浄化装置は、触媒の酸化反応が生じないような低温であっても、第1乃至第3のバリア放電用電極23,25,27に交流の高電圧を印加することによって、第1乃至第3の集塵極22,24,26に堆積されたPMを燃焼することができる。さらに、触媒が高温になると触媒によってPMを酸化させて燃焼すると共に、NOxを浄化させることができる。すなわち、排気浄化装置は、低温時においてはバリア放電を行うことによって、各集塵極に担持された触媒の温度にかかわらず全温度域においてPMを燃焼することができる。
【0098】
また、排気浄化装置は、排気の上流側にある帯電用電極21に負の直流高電圧を印加してPMを帯電させることによって、多量のPMを塊にして第1乃至第3の集塵極22,24,26に堆積することができるので、効率的にPMを集塵して浄化することができる。
【0099】
なお、本実施の形態では、コントローラ40は、エンジン回転数に対応する通電時間を示す通電時間テーブルと、エンジン回転数に対応する交流電圧を示す交流電圧テーブルを記憶していたが、これらに代えて他のテーブルを記憶していてもよい。
【0100】
例えば、コントローラ40は、エンジン負荷に対応する通電時間を示す第2の通電時間テーブルや、エンジン負荷に対応する交流電圧を示す第2の交流電圧テーブルを記憶することもできる。この場合、コントローラ40は、エンジン回転数やその他の入力情報に基づいて負荷を演算し、第2の通電時間テーブルや第2の交流電圧テーブルを参照して、演算された負荷に対応する通電時間及び交流電圧を求めればよい。また、コントローラ40は、エンジン回転数と負荷の両方を考慮して、通電時間及び交流電圧を求めることもできる。
【0101】
[第2の実施の形態]
つぎに、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部位については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施の形態に係る排気浄化装置は、第1の実施の形態と比べて、集塵極とバリア放電用電極の配置が異なっている。
【0102】
具体的には図16に示すように、排気浄化装置は、反応ケース20内の排気の上流側から下流側に向かって、帯電用電極21、第1のバリア放電用電極23、第1の集塵極22、第2のバリア放電用電極25、第2の集塵極24、第3のバリア放電用電極27、第3の集塵極26を設けている。つまり、各集塵極に対して排気上流側にそれぞれバリア放電用電極が配置されている。
【0103】
特に、第1の集塵極22は、排気の上流側にある第1のバリア放電用電極23と、排気の下流側にある第2のバリア放電用電極25に挟まれており、両側からバリア放電が与えられ、燃焼能力が大きくなっている。第1の集塵極22は、第2及び第3の集塵極24,26に比べて排気の上流側にあり、多量のPMを集塵するので、第1の実施の形態に比べて、多量のPMを燃焼して浄化することができる。
【0104】
以上のように、第2の実施の形態に係る排気浄化装置は、PMの堆積量が多い第1の集塵極22に対して、排気の上流側に第1のバリア放電用電極23を配置し、排気の下流側に第2のバリア放電用電極25を配置することによって、多量のPMを酸化燃焼して、PMによる目詰まりを防止して、排気に含まれるPMを効率よく浄化することができる。
【0105】
なお、本発明は上述した第1及び第2の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の設計上の変更を行うことができる。例えば、第1及び第2の実施の形態では、帯電用電極21は1本であるものとして説明したが、2本以上あってもよいのは勿論である。
【0106】
また、第1及び第2の実施の形態では、集塵極の数が3つの場合を例に挙げて説明したが、集塵極の数は1つ以上であれば特に限定されるものではない。また、集塵極の数よりもバリア放電用電極の数を1つ多くし、全部の集塵極の上流側と下流側にバリア放電用電極を設置してもよい。さらに、集塵極に担持された触媒は、PM酸化能力とNOx浄化能力の2つを備えていたが、PM酸化能力だけを備えていてもよい。
【0107】
なお、触媒でPMを十分燃焼できる場合には、第1乃至第3のバリア放電用電極23,25,27のない構成であってもよい。
【0108】
[第3の実施の形態]
つぎに、第3の実施の形態について説明する。なお、上述した実施の形態と同一の部位については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0109】
第3の実施の形態に係る排気浄化装置は、図1とほぼ同様に構成されているが、交流電源装置15に代えて、図17に示すように発熱用電源装置16を備えている。
【0110】
反応ケース20は、図18に示すように、排気に含まれるPMをコロナ放電により帯電させる帯電用電極21と、帯電されたPMを集塵する第4の集塵極29と、を備えている。
【0111】
帯電用電極21は、第1の実施の形態と同様に、その両端がそれぞれ碍子28によって反応ケース20に固定されており、反応ケース20に絶縁された状態になっている。
【0112】
第4の集塵極29は、図19に示すように、発熱用電源装置16からの電圧が印加される電極部29aと、メッシュ状の電熱線で構成された集塵部29bと、を備えている。したがって、集塵部29bは、電極部29aに電圧が印加されたときに発熱するようになっている。
【0113】
集塵部29bには、PM酸化触媒とNOx浄化触媒が担持されている。PM酸化触媒は、低温時ではすすや可溶有機成分等のPMを捕集し、高温時ではこれらを酸化して浄化する。NOx浄化触媒は、低温時ではNOxを吸蔵し、高温時ではNOxを浄化する。上記触媒としては、例えばPt系触媒等が好ましい。
【0114】
以上のように構成された排気浄化装置において、コントローラ40は、排気に含まれるPMを効率的に浄化するために、図20に示すステップST1以下の処理を実行する。なお、図20に示すフローチャートは、図10に示したフローチャートとほぼ同様であるが、ステップST7の処理に代えてステップST10の処理を行う点が異なっている。
【0115】
ステップST10では、排気の浄化前後の差圧が所定値以上であり、第4の集塵極29に堆積されたPMを触媒で燃焼できない状態であるので、コントローラ40は、第4の集塵極29に所定時間通電するように発熱用電源装置16を制御する。この結果、第4の集塵極29は、発熱用電源装置16から電圧が供給されて発熱し、堆積されたPMを燃焼して除去する。そして、コントローラ40は、再びステップST2に戻り、ステップST2以下の処理を実行する。
【0116】
以上のように、第3の実施の形態に係る排気浄化装置は、圧損が生じ、かつ排気温度が低くて触媒でPMを燃焼できない場合には、第4の集塵極29に通電する。この結果、第4の集塵極29の発熱によってPMを燃焼除去するので、圧損を低減すると共にPMの捕集効率の低下を抑制することができる。
【0117】
また、上記排気浄化装置は、排気が所定温度以上の場合には、第1の実施の形態と同様に、第4の集塵極29に担持されたPM酸化触媒によってPMを燃焼することができるので、消費電力を抑制することもできる。また、第4の集塵極29にはNOx浄化触媒が担持されているので、排気に含まれたNOxを浄化することもできる。
【0118】
[第4の実施の形態]
つぎに、第4の実施の形態について説明する。なお、上述した実施の形態と同一の部位については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0119】
第4の実施の形態に係る排気浄化装置は、図21に示すように、直流電圧を印加する直流電源装置14と、電流を検出する電流検出器17と、排気を浄化するために一時貯蔵する反応ケース20と、直流電源装置14の出力電圧の制御やその他の全体的な制御を行うコントローラ40と、を備えている。
【0120】
反応ケース20は、排気に含まれるPMをコロナ放電により帯電させる帯電用電極21と、帯電されたPMを集塵する第5の集塵極30と、を備えている。
【0121】
第5の集塵極30は、特に限定されるものではなく、例えば図5(A)乃至(C)に示すように、ステンレスの金網、メッキ等の導電性のコーティングが施された多孔体、金属多孔体のいずれで構成されてもよい。また、第5の集塵極30は、セラミックフォームで構成されてもよい。
【0122】
帯電用電極21は、その両端がそれぞれ碍子28によって反応ケース20に固定されており、反応ケース20に絶縁された状態になっている。なお、反応ケース20は接地されている。
【0123】
電流検出器17は、帯電用電極21を流れる電流を検出し、検出結果をコントローラ40に供給する。コントローラ40は、電流検出器17で検出された電流値に基づいて、直流電源装置14の出力電圧を制御する。
【0124】
ここで、PMが碍子28に付着すると、反応ケース20と帯電用電極21との絶縁状態を維持することができなくなる。そして、コロナ放電が弱くなり、PMの静電捕集の効率が低下する。そこで、コントローラ40は、反応ケース20と帯電用電極21との絶縁状態を維持すべく、図22に示すステップST11以下の処理を実行する。
【0125】
ステップST11では、コントローラ40は、帯電用電極21に負の高電圧(−10kV程度)を印加して、ステップST2に移行する。この結果、帯電用電極21と第5の集塵極30の間には電圧勾配(電界)が生じ、帯電用電極21の周囲にプラズマが発生する。そして、排気に含まれるPMはプラズマによって負に帯電される。
【0126】
ステップST12及びステップST13では、コントローラ40は、電流検出器17を介して電流値を検出し、検出された電流値が所定値以上であるかを判定する。
【0127】
ここにいう所定値は、コロナ放電によってPMを十分に帯電させることができるか否かを判定するための閾値である。碍子28にPMが付着して、帯電用電極21から反応ケース20を介して外部に電流が流れると、コロナ放電が十分に発生しなくなり、静電捕集の効率が低下する。つまり、上記所定値は、静電捕集の効率が低下したか否かを判定するための閾値でもある。
【0128】
そして、電流値が所定値以上であるときは、静電捕集の効率が低下しているのでステップST15に移行する。また、電流値が所定値以上でないときは、静電捕集の効率は低下していないので、ステップST14に移行する。
【0129】
ステップST14では、コントローラ40は、直流電源装置14の出力電圧を初期値にした状態のままで所定時間運転し、再びステップST12に戻る。したがって、コントローラ40は、通常の静電捕集を行っているときは、ステップST12、ステップST13及びステップST17の処理を繰り返し実行する。
【0130】
一方、ステップST15では、コントローラ40は、帯電用電極21に対して過電圧を印加するように直流電源装置14を制御して、ステップST16に移行する。したがって、直流電源装置14は、図23に示すように、通常(コロナ放電時)では−10kVの電圧を出力し、ステップST15では過電圧を出力する。そして、帯電用電極21は、過電圧が印加されると、図24に示すように、碍子28の周辺で放電を起こして碍子28の周囲に付着されたPMを燃焼する。
【0131】
ステップST16では、コントローラ40は、帯電用電極21に過電圧が印加された状態のままで所定時間運転し、所定時間経過後ステップST17に移行する。所定時間は、碍子28の周囲に付着されたPMをほぼ完全に燃焼できる時間が好ましい。この結果、反応ケース20と帯電用電極21は、再び絶縁状態になる。
【0132】
ステップST17では、コントローラ40は、直流電源装置14の出力電圧を初期値(−10kV)に戻して、再びステップST12に戻る。つまり、コントローラ40は、碍子28の周囲に付着されたPMを除去した後は、再びPMを帯電させるために、直流電源装置14の出力電圧を初期値に設定する。
【0133】
以上のように、第4の実施の形態に係る排気浄化装置は、碍子28にPMが付着して静電捕集の効率が低下した場合には、帯電用電極21に過電圧を印加して放電を発生させて、PMを燃焼除去することができる。これにより、帯電用電極21の絶縁性を回復させて、効率的にコロナ放電を発生するので、静電捕集能力の低下を抑制して、安定してPMを浄化することができる。
【0134】
なお、本実施の形態に係る排気浄化装置は、第1から第3の実施の形態に適用することができる。すなわち、第1から第3の実施の形態に係る排気浄化装置は、帯電用電極21を流れる電流を検出する電流検出器17を更に備えもよい。このとき、コントローラ40は、電流検出器17で検出された電流値が所定値以上になったときに、帯電用電極21に過電圧を印加すればよい。
【0135】
[第5の実施の形態]
つぎに、第5の実施の形態について説明する。図25は、第5の実施の形態に係る排気浄化装置の要部構成図である。
【0136】
第5の実施の形態に係る排気浄化装置は、高電圧を発生する高電圧発生装置1と、高電圧発生時に導線2を流れる電流を検出する電流計3と、ディーゼルエンジンからの排気が供給される排気管4と、排気管4内の排気に含まれるPMを静電捕集する静電捕集装置5と、電流計3の計測結果に基づいて高電圧発生装置1の出力電圧制御を行うコントローラ6と、を備えている。
【0137】
導線2の一端側は、高電圧発生装置1に接続されている。導線2の他端側は、排気管4内に設置された静電捕集装置5の高電圧導入部に接続されている。また、導線2は、碍子7によって排気管4との絶縁状態が保たれている。静電捕集装置5は、PMを帯電して捕集することができれば特に限定されないが、例えば第1乃至第4の実施の形態で用いられたものを用いることができる。
【0138】
高電圧発生装置1が高電圧V0を発生すると、図26に示すように、碍子7の表面には排気中のPMが付着する。このため、導線2に供給された高電圧は、碍子7の表面に付着されたPM層、排気管4を介して漏電する。この結果、電流計3によって計測される電流値は、図27に示すように、PMの付着に起因する漏電によって徐々に増加する。一方、導線2に印加される電圧値は、図28に示すように、漏電によって徐々に低下する。
【0139】
コントローラ6は、図22に示したステップST11からステップST17までの処理を実行する。コントローラ6が過電圧を印加するように高電圧発生装置1を制御すると(ステップST15)、図29に示すように、碍子7に沿面放電が発生し、碍子7に付着したPMは浄化される。
【0140】
PMが浄化されると、図30に示すように、電流計3によって計測される電流値は元の電流レベルI0に戻る。コントローラ6は、電流値が元の電流レベルI0に戻ると、碍子7の絶縁性が回復したものとみなして、電圧を初期値に戻すように高電圧発生装置1を制御する(ステップST17)。
【0141】
図31は、排気管4に導入している電圧の経時変化を示す図である。同図によると、排気管4に導入している電圧(導線2の電圧)は、碍子7にPMが付着すると共に漏電して低下する(A期間)。電圧の低下と共に電流が所定値まで低下すると、再生処理が働き、電圧は一時的に大きくなる(B期間)。B期間の再生処理後、電圧は元の電圧レベルV0に回復する。なお、従来の方法は回復処理をすることができないため、電圧は下降の一途をたどり、静電捕集装置5が機能しなくなった。
【0142】
以上のように、第5の実施の形態に係る排気浄化装置は、碍子7にPMが付着して静電捕集の効率が低下した場合には、過電圧を印加して放電を発生させて、7に付着したPMを燃焼除去することができる。
【0143】
なお、本実施の形態では、高電圧の導入先として静電捕集装置5を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プラズマ放電でPMを除去する排気浄化装置や、プラズマでNOx等のガス成分を浄化するプラズマ浄化装置であってもよい。すなわち、高電圧が供給される装置は特に限定されるものではない。
【0144】
また、本実施の形態では、ディーゼルエンジンの排気管を想定して説明したが、内燃機関は特に限定されるものではなく、希薄燃焼可能なガソリンエンジンでもよく、ガスタービンであってもよい。さらに、加熱用ボイラーの排気ダクトでPMやNOxを浄化する装置に対しても本発明を適用することができる。
【0145】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、排気の温度が所定値未満のときに放電手段に放電させることによって、触媒が酸化反応を起こさない低温においても、集塵フィルタに集塵された粒子状物質を燃焼させて浄化することができる。
【0146】
請求項2記載の発明は、排気の浄化前後の差圧が所定値以上になり、かつ排気温度が所定値未満のときに、放電手段に放電させることにより、集塵フィルタに堆積された粒子状物質を燃焼して浄化することができる。
【0147】
請求項3記載の発明は、高電圧供給装置によって放電極に放電用の高電圧を供給し、放電極からの放電によって帯電された粒子状物質を集塵することにより、放電によって粒子状物質を燃焼除去することで、静電捕集能力を回復することができる。
【0154】
請求項10および11記載の発明は、高電圧供給装置によって放電極に放電用の高電圧を供給し、放電極からの放電によって帯電された粒子状物質を集塵することにより、放電によって粒子状物質を燃焼除去することで、静電捕集能力を回復することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る排気浄化装置の構成図である。
【図2】排気浄化装置の反応ケース内の構成を示す図である。
【図3】帯電用電極を説明するための図である。
【図4】第1の集塵極を説明するための図である。
【図5】第1乃至第3の集塵極の材質を説明するための図である。
【図6】第1のバリア放電用電極の構成を示す正面図である。
【図7】第1のバリア放電用電極の側面図である。
【図8】通電時間テーブルを示す図である。
【図9】交流電圧テーブルを示す図である。
【図10】コントローラの動作手順を説明するフローチャートである。
【図11】帯電用電極に印加される直流電圧の波形図である。
【図12】第1乃至第3の集塵極で捕集されるPMの状態を説明するための図である。
【図13】第1乃至第3のバリア放電用電極に印加される交流電圧の波形図である。
【図14】バリア放電を行っているときの状態を説明するための図である。
【図15】PMの燃焼量を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る排気浄化装置の反応ケース内の構成を示す図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係る排気浄化装置の構成を示す図である。
【図18】排気浄化装置の反応ケースの構成を示す図である。
【図19】第4の集塵極の構成を示す図である。
【図20】コントローラの動作手順を説明するフローチャートである。
【図21】本発明の第4の実施の形態に係る排気浄化装置の構成を示す図である。
【図22】コントローラの動作手順を説明するフローチャートである。
【図23】直流電源装置の出力電圧の波形図である。
【図24】帯電用電極及び碍子の周囲に付着したPMを燃焼除去する状況を説明する図である。
【図25】本発明の第5の実施の形態に係る排気浄化装置の要部構成図である。
【図26】碍子の表面に付着したPMの状態を説明する図である。
【図27】電流の経時変化を示す図である。
【図28】電圧の経時変化を示す図である。
【図29】碍子に沿面放電が発生した状態を説明する図である。
【図30】電流の経時変化を示す図である。
【図31】電圧の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
11 クランク角センサ
12 排気温センサ
13 差圧計
14 直流電源装置
15 交流電源装置
16 発熱用電源装置
17 電流検出器
20 反応ケース
21 帯電用電極
22 第1の集塵極
23 第1のバリア放電用電極
24 第2の集塵極
25 第2のバリア放電用電極
26 第3の集塵極
27 第3のバリア放電用電極
28 碍子
29 第4の集塵極
30 第5の集塵極
40 コントローラ
100 エンジン
101 排気管

Claims (3)

  1. 内燃機関の排気に含まれる粒子状物質を帯電させる帯電手段と、
    前記帯電手段により帯電された粒子状物質を集塵すると共に、粒子状物質を酸化させる能力を少なくとも有する触媒を担持した1つ以上の集塵フィルタと、
    前記集塵フィルタの近傍に配置され、前記集塵フィルタに集塵された粒子状物質を燃焼するための放電を行う1つ以上の放電手段と、
    前記内燃機関の排気温度を検出する排気温度検出手段と、
    前記排気温度検出手段で検出された排気の温度が所定値未満のときに前記放電手段に放電させる制御を行う放電制御手段と、
    を備えた排気浄化装置。
  2. 排気の浄化前後の差圧を検出する差圧検出手段を更に備え、
    前記放電制御手段は、前記差圧検出手段により検出された差圧が所定値以上になり、かつ前記排気温検出手段により検出された排気温度が所定値未満のときに、前記放電手段に放電させること
    を特徴とする請求項1記載の排気浄化装置。
  3. 前記帯電手段は、
    放電を発生させる放電極と、
    前記放電極に高電圧を供給する高電圧供給手段と、
    前記放電極を流れる電流を検出する電流検出手段と、
    電流検出手段により検出された電流が所定値以上のときに、前記高電圧供給手段の出力電圧を更に高く制御する電圧制御手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の排気浄化装置。
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