JP4155848B2 - 高伸度樹脂成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高伸度を有する樹脂成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、樹脂成形体は、その特性を改良するために、ポリマーのブレンドが古くから行われているが、伸縮性が要求される樹脂分野までは用途が拡大されていない。その理由としては、伸度不足および回復性がないということが挙げられる。しかし、たとえ伸縮性がなくとも、使用条件によっては大きく伸びる性質を付与出来れば、伸縮性用途または成形性用途にも使用が可能である。
【0003】
従来から熱可塑性樹脂のポリマーブレンドについて数々の研究が行われているが、単に非相溶系のポリマー同士を混合しただけでは安定して樹脂成形体を得ることは難しく、また、その特徴を発揮させることは、一部の例外的な場合を除き難しいとされてきた。
【0004】
例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6等には、混合する樹脂に対して、その他の成分として必ず相溶化剤を添加することによりポリマー同士の相溶性を改良し、ほぼ同一の島部を形成させることにより、特徴のある樹脂成形体や繊維状成形体を作製することが記載されている。また、特許文献7や特許文献8等には、2成分のポリマーを用い、2基の押出機を用いて各ポリマーを別々に一旦溶解後、紡口付近で混合又は張り合わせを行い、海島型繊維や芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維などの繊維を作る方法が記載されている。
【0005】
これらの方法で繊維化する場合には、相溶化剤などのポリマー以外の成分を用いなければならないこと、設備的に大きくなることなど、コスト面や製造面からも複雑な方法となってしまうという問題がある。また、単にポリマーをブレンドして樹脂成形体化する場合は、特殊な条件を必要とするため、非相溶性のポリマーを単に混合し樹脂成形体化することは、これ迄難しいとされてきた。
【0006】
繊維を高伸度化する方法として、特許文献9には、未延伸状態の繊維のままで捲縮をかける方法、特許文献10には、半延伸または未延伸状態の繊維を溶剤処理または熱処理する方法、特許文献11には、延伸された繊維を炭素数1〜3のn−アルコールで処理する方法、特許文献12には、断面積が繊維軸方向に沿って変動する太細加工糸とする方法、特許文献13には、粘度差を有する2種類のポリマーをサイドバイサイド型に配置して潜在捲縮糸とする方法等が記載されている。しかし、こられの方法では、未延伸糸を用いるために、寸法安定性が低下したり、後加工や特殊な製法を必要とする等の問題がある。
【0007】
また、耐薬品性に優れたポリオレフィン系繊維を高伸度化するための方法として、特許文献14には、低紡速で紡糸して、再延伸、クリンプ処理により高伸度化繊維を製造する方法が記載されている。しかしこの方法では、繊維はほとんど未延伸糸に近いため、紡糸条件や巻き取り条件が複雑となったり、再延伸やクリンプ処理を行うため、設備的に高コストとなるなど、生産性の面からは良い方法とはいえない。
【0008】
【特許文献1】
特開昭62−299511号公報
【特許文献2】
特開平4−272219号公報
【特許文献3】
特開平5−262930号公報
【特許文献4】
特開平6−158431号公報
【特許文献5】
特開平6−257016号公報
【特許文献6】
特開平7−3532号公報
【特許文献7】
特開平2−127520号公報
【特許文献8】
特開平6−2267号公報
【特許文献9】
特許第3394187号公報
【特許文献10】
特開昭52−74018号公報
【特許文献11】
特開昭57−66181号公報
【特許文献12】
特開平8−209472号公報
【特許文献13】
特開2000−27031号公報
【特許文献14】
特許第3349187号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来技術の問題を解決しようとするものであり、非相溶性のポリマーを混合するに際し、相溶化剤を用いないこと、大きな設備を必要とせず、しかも後加工を必要とせずに高伸度の樹脂成形体を提供することを目的とするものである。さらに、本発明は、充分な伸度を有し、3次元追従性及び成型性に優れる高伸度樹脂成形体を提供することを目的とするものである。本発明においては、後加工の必要がないためコスト面で有利であり、かつ安定な生産が可能である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の通りである。
【0011】
1.熱可塑性樹脂(A)を主体として構成され、少なくとも1種類以上の熱可塑性樹脂(B)を1〜20wt%含有した樹脂成形体であって、成形体の断面において、熱可塑性樹脂(A)が海部、熱可塑性樹脂(B)が島部を形成しており、かつ、下記の要件を満足することを特徴とする高伸度樹脂成形体。
【0012】
(1)成形体の断面に占める島部の面積比率が0.01〜1%である。
【0013】
(2)長さ7cm当たりの海部に対して、島部の長さが30%以上の連続性を有する。
【0014】
2.熱可塑性樹脂(A)がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする上記1記載の高伸度樹脂成形体。
【0015】
3.熱可塑性樹脂(B)と熱可塑性樹脂(A)の溶融流量比が、0.05〜1.5の範囲であることを特徴とする上記1又は2記載の高伸度樹脂成形体。
【0016】
4.複屈折率Δnが0.02以下であり、かつ、沸水収縮率が4%以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の高伸度樹脂成形体。
【0017】
5.前記樹脂成形体が繊維状成形体であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の高伸度樹脂成形体。
【0018】
6.前記樹脂成形体がフィルム、フォームまたは押出し成形体であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の高伸度樹脂成形体。
【0019】
7.上記5に記載の高伸度樹脂成形体からなる高伸度不織布。
【0020】
以下、本発明につき詳述する。
【0021】
本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)は、特に限定されず、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアクリル系などを用いることができる。好ましくは、安価、軽量性の点からポリオレフィン系が好ましく、以下のようなものを使用することが出来る。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリメチルペンテンなど単一重合樹脂やその共重合体物である。
【0022】
混合する熱可塑性樹脂(B)は、上記のポリオレフィン系樹脂でもよく、それ以外としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン612などのポリアミド系樹脂物やその共重合体樹脂物、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂物やその共重合体樹脂物等が挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0023】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との溶融流量比は、0.05〜1.5の範囲であることが好ましい。つまり、0.05≦[(B樹脂の溶融流量)/(A樹脂の溶融流量)]≦1.5である。溶融流量比は、より好ましくは0.1〜1.4の範囲であり、さらに好ましくは0.1〜1.0の範囲である。溶融流量比が上記の範囲であると、高伸度化された樹脂成形体が容易に得られ、また、溶融流量特性、粘性特性が近似しているために、成形性が安定しており、生産性が高い。溶融流量比は、樹脂成形過程で、延伸、固定化する場合の延伸、配向、結晶化に大きく影響を及ぼし、本発明の高伸度樹脂成形体を得るうえで重要な要件と言える。
【0024】
熱可塑性樹脂(A)に対して、熱可塑性樹脂(B)の混合比率は1〜20wt%の範囲であり、好ましくは5〜15wt%である。熱可塑性樹脂(B)の混合比が1wt%未満であると、目的とする高伸度化された樹脂成形体は得られず、20wt%より大きくなると高伸度化された樹脂成形体は得られるものの、成形が不安定であり、安定して連続した成形品が得らにくくなり生産性が低下する。
【0025】
本発明の高伸度樹脂成形体の形状は、繊維形状、フィルム形状、フォーム形状など特に制限は無く、また、断面の形状としても特に制限はなく、円形や楕円形、三角や四角等の多角形、扁平や中空等の異型断面形状でもよく、必要とする特性に応じて任意に設定することが出来る。また、繊維の形態についても、モノフィラメント、マルチフィラメント、ステープル等のいずれの形態でも良い。
【0026】
本発明の高伸度樹脂成形体は、熱可塑性樹脂(A)が海部を形成し、混合された熱可塑性樹脂(B)樹脂が島部を形成している。高伸度樹脂成形体を得るためには、熱可塑性樹脂(A)により形成されている海部よりも、熱可塑性樹脂(B)により形成されている島部の大きさや長さ、長さ方向の連続性に大きな影響を受ける。
【0027】
本発明で規定する範囲内で熱可塑性樹脂(B)の島部が存在すると、海部である熱可塑性樹脂(A)の配向、結晶化が遅延される傾向にあり、そのため、形成された樹脂成形体が高伸度化される。しかしながら、島部が本発明の範囲を逸脱する条件では、高伸度といえるレベルにはならない。
【0028】
本発明の高伸度樹脂成形体において、成形体の断面に占める島部の面積比率は0.01〜1%であり、好ましくは0.05〜1%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
【0029】
樹脂成形体が繊維状成形体である場合は、熱可塑性樹脂(A)の海部の直径D1と熱可塑性樹脂(B)の島部の直径D2の比は、0.01≦D2/D1≦0.3の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.02≦D2/D1≦0.2であり、さらに好ましくは0.02≦D2/D1≦0.1である。
【0030】
島部は、その1本が連続した成形形状となっていることが好ましく、たとえ1本が連続した成形形状となっていなくとも、他の島部との重なりで成形形状となっていれば、より高伸度化されるのである。
【0031】
その理由は次の通りである。樹脂の成形過程において、樹脂の延伸時に、島部を形成する熱可塑性樹脂の変形が先に終了し、海部を形成する熱可塑性樹脂の延伸、結晶配向化が阻害されるものと推定される。それゆえ、海部の結晶配向は抑制され、低結晶性のまま延伸が終了し、高伸度樹脂成形体が得られるのである。
【0032】
本発明における島部は、長さ方向にある程度の連続性を有することが好ましく、その長さは、溶解法により測定される。その測定方法は、例えば、樹脂成形体が繊維形状の場合は、20本のフィラメントを1つの繊維束とし、長さ7cmの繊維束を、デカリン又はo−ジクロロベンゼン中に浸漬して、海部の熱可塑性樹脂(A)を溶解した後、島部の長さを測定する。
【0033】
本発明の高伸度樹脂成形体において、島部の長さの好ましい範囲は、長さ7cm当りの海部に対して、溶解後の島部の長さが2cm以上で存在することであり、より好ましくは3cm以上、さらに好ましくは5cm以上である。したがって、島部の長さは、海部の長さ方向の長さに対して30%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは70%以上であり、かつ、島部が切れずに連続していることが好ましい。島部の長さが30%未満であると、島部が短かすぎるか又は不連続であるため海部の配向が十分に抑制されず、高伸度化された樹脂成形体は得られ難い。
【0034】
本発明の高伸度樹脂成形体の好ましい態様である繊維状成形体において、複屈折率(Δn)は0.02以下が好ましく、より好ましくは0.001〜0.02の範囲であり、さらに好ましくは0.007〜0.016の範囲である。複屈折率が上記の範囲であると、島部により、海部の配向が十分に抑制されるため、高伸度樹脂成形体が得られる。
【0035】
本発明の高伸度樹脂成形体の沸水収縮率は、4%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下である。沸水収縮率が上記の範囲であると、島部のつながりが良好で、収縮しにくく寸法安定性の優れた樹脂成形体が得られる。
【0036】
本発明の高伸度樹脂成形体は、本発明の目的を損なわない範囲で、他の常用の各種添加成分、例えば、衝撃性改良剤、着色防止剤、ヒンダードフェノールやヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、ハロゲン化銅に代表される銅化合物などの耐熱剤、エポキシ化合物、滑剤、耐候剤、難燃剤、着色剤などの添加剤を添加、付着させることが出来る。
【0037】
本発明の高伸度樹脂成形体は、公知の方法を用いて製造することができ、製造方法には特に制限はなく、例えば、以下の様な方法で得られる。
【0038】
樹脂成形体が繊維形状の場合は、通常使用される紡糸口金を用いて溶融紡糸を行う。例えば、ポリオレフィン系樹脂と少なくとも1種類以上の熱可塑性繊維を混合させるには、ポリオレフィン系樹脂にマスターバッチ化する方法、ドライブレンドにより混合する方法等が考えられるが、コスト面からドライブレンド法を採用することが好ましい。紡糸された糸条は、冷却した後に延伸や熱処理を施し、巻き取る。このとき、紡糸された糸条を一旦巻き取った後に延伸、熱処理を行う二工程法でも、一旦巻き取ることなく延伸、熱処理を行う一工程法のどちらを採用してもよい。
【0039】
本発明の高伸度樹脂成形体には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の常用の後加工、例えば、難燃剤、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤などの付与をしてもよいし、染色、撥水加工、透湿防水加工などを施してもよい。
【0040】
本発明の高伸度樹脂成形体は、単独あるいは他の成形体と混用,複合化してもよい。例えば、他の繊維と混用する方法としては、混繊、合糸、合撚、交織、交編、混紡などの種々の方法を用いることができる。
【0041】
本発明の高伸度樹脂成形体の一例である高伸度ポリオレフィン繊維は、破断伸度が約350%にも達し、通常のポリオレフィン繊維の2倍以上に相当するので、従来は伸度不足で破断が起こりやすいために、使用不可能であった各種用途にも広く供することが可能である。
【0042】
また、本発明で得られる高伸度樹脂成形体は、低モジュラスであり、20%伸長時のモジュラス値は従来のものに対して2分の1以下であり、従って、小さな変形応力での加工が可能である。
【0043】
繊維状成形体として、スパンボンド法で得られる不織布は、短繊維を経ることなく直接長繊維をウェブ化することにより作られるので、布強度が強く且つボンディング部の破損による短繊維の脱落がないなどの物性上の特徴を有しており、かつ、低コストで生産性が高く、短繊維を使用する乾式及び湿式不織布に比較して長所が多いため、衛生、土木、建築、農業・園芸を中心に広範な用途に好適である。
【0044】
本発明の高伸度樹脂成形体は、広い用途に使用可能である。繊維成形体としての不織布や、フィルム又はフォーム材としては、例えば、衣料部材、ディスポ衣料、靴部材などの衣料用途、保護衣、防護用品などの防護用途、手術着、マスク、ハップ剤基布などの医療用途、ルーフィング、タフト・カーペット基布、結露防止シートなどの建築用途、補強材、保護材、地中埋設管の補修材などの土木用途、自動車内装、自動車部品などの車両用途、救急用品、洗浄用品、おしぼりなどの衛生用途、カーペット、家具部材、壁紙などの家具・インテリア用途、ウェットワイパー、クリーニング材などのワイパー用途、空気フィルター、バグフィルター、エレクトレットフィルターなどのフィルター用途、布団、布団袋、枕カバーなどの寝装用途、べた掛けシート、防草シート、園芸プランターなどの農業・園芸用途、収納用品、包装資材、台所用品などの生活資材用途、電気材料、製品材料、機器部材などの工業資材用途などである。
【0045】
特に、本発明の高伸度樹脂成形体は、低モジュラスで破断伸度が高いので、大きな伸長や複雑な形状変形を伴う高度な成型部材として適している。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0047】
なお、測定方法、評価方法等は下記の通りである。
【0048】
1)溶融流量比
メルトインデクサー(東洋精機社製:MELT INDEXER S−101)溶融流量装置を用い、オリフィス径1.0475mm、オリフィス長0.8mm、荷重2160gの条件で、10分間当たりの溶融ポリマーの吐出量(g)を求め、下記式より算出した。なお、測定温度は成形温度とした。
【0049】
溶融流量比=[(熱可塑性樹脂B)/(熱可塑性樹脂A)]
2)島部の面積比率
成形体の断面を走査型電子顕微鏡にて4000倍で撮影し、海部と島部の面積を求め、島部の面積比率を算出した。値は平均値とした。
【0050】
3)強度および伸度
繊維状成形体を、東洋ボールドウィン社製のテンシロンSTM101型を用いて、つかみ間隔100mmで、2回/50mmの撚りを加え、引張速度200mm/minで伸長し、得られた切断時荷重を単位繊度当たりに換算して強度とし、測定回数5回の平均値を求めた。また、同様にして得られた切断時伸張率の平均値を伸度とした。
【0051】
4)複屈折率(Δn)
OLYMPUS社製のBH2型偏光顕微鏡コンペンセーターを用いて、通常の干渉縞法によって、レターデーションと繊維径より複屈折率を求めた。
【0052】
5)沸水収縮率
繊維状成形体100本を1束とし、その長さL1を測定した後、沸騰した熱水の中に入れ5分間処理を行った。取り出した後、長さL2を測定し、下記の式により収縮率を求めた。
【0053】
収縮率(%)={(L1−L2)/L1}×100
6)不織布の強伸度
島津製作所社製のオートグラフAGS-5G型を用いて、3cm幅の試料を、つかみ間隔100mm、引張速度200mm/minで伸長し、得られた切断時荷重を強度とし、不織布のタテ(MD)方向について10回づつ測定を行い、その総平均値を求めた。また、同様にして得られた切断時伸張率の総平均値を伸度とした。
【0054】
〔実施例1〕
溶融流量比=0.89であるポリプロピレン95wt%とナイロン6樹脂5wt%をドライブレンドにて混合し、常用の溶融紡糸装置に供給した。次に、250℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度3300m/minにて引き取り、2.8dtexの繊維状成形体を得た。得られた繊維状成形体の物性を表1に示す。伸度は373%と高伸度であった。
【0055】
〔実施例2〕
溶融流量比=0.51であるポリプロピレン95wt%とナイロン610樹脂5wt%をドライブレンドにて混合し、常用の溶融紡糸装置に供給した。次に、250℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度3000m/分にて引き取り、3.1dtexの繊維状成形体を得た。得られた繊維状成形体の物性を表1に示す。伸度は465%と高伸度であった。
【0056】
〔実施例3〕
実施例2において、溶融流量比=0.53、及びナイロン610樹脂の含有量が15wt%となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして繊維状成形体を得た。得られた繊維状成形体の物性を表1に示す。伸度は468%と高伸度であった。
【0057】
〔比較例1〕
実施例1において、ナイロン6樹脂を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして繊維状成形体を得た。得られた繊維状成形体の物性を表1に示す。伸度は181%であった。
【0058】
〔比較例2〕
溶融流量比=0.53であるポリプロピレン99.5wt%とナイロン610樹脂0.5wt%をドライブレンドにて混合したこと以外は、実施例1と同様にして繊維状成形体を得た。得られた繊維状成形体の物性を表1に示す。伸度は189%であり、ポリオレフィン100%繊維の伸度(181%)とほとんど変わらなかった。混合量が少ないために高伸度化が出来なかったことがわかる。
【0059】
〔比較例3〕
溶融流量比=0.53であるポリプロピレン70wt%とナイロン610樹脂30wt%をドライブレンドにて混合したこと以外は、実施例1と同様にして繊維状成形体を得ようとしたが、糸切れ多発と紡口付近における糸曲がりが発生し、連続した繊維状成形体を得ることは出来なかった。
【0060】
【表1】
Figure 0004155848
【0061】
【発明の効果】
本発明の樹脂成形体は、引張り伸度が極めて優れ、外観も良好であり、成形性に優れ、後加工の必要がなく、コスト面で有利であり、かつ、従来の樹脂成形体に比べ高い伸度を有しているため、伸度を要求する用途や良好な成型性を要求される用途に好適に利用できる。したがって、本発明の高伸度樹脂成形体は、自動車分野、家電分野、高伸度の繊維状素材分野に有用であり、例えば、ドアトリム等の自動車用部品、電気機器部品、機械部品、雑貨部品、成型素材等の産業資材用途、ハップ剤基布等の医薬用途、生理用品用途等の伸長追従性及び成型性が必要な用途に好適である。

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂(A)を主体として構成され、少なくとも1種類以上の熱可塑性樹脂(B)を1〜20wt%含有した樹脂成形体であって、該樹脂成形体が繊維状成形体であり、該熱可塑性樹脂(A)がポリオレフィン系樹脂であり、該熱可塑性樹脂(B)と熱可塑性樹脂(A)の溶融流量比が、0.1〜1.0の範囲であり、成形体の断面において、熱可塑性樹脂(A)が海部、熱可塑性樹脂(B)が島部を形成しており、かつ、下記の要件を満足することを特徴とする高伸度樹脂成形体。
    (1)成形体の断面に占める島部の面積比率が0.01〜1%である。
    (2)長さ7cm当たりの海部に対して、島部の長さが30%以上の連続性を有する。
  2. 複屈折率Δnが0.02以下であり、かつ、沸水収縮率が4%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高伸度樹脂成形体。
  3. 請求項1に記載の高伸度樹脂成形体からなる高伸度不織布。
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