JP4153272B2 - 電子写真用非磁性一成分トナーおよび現像方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電式複写機やレーザービームプリンタ等、いわゆる電子写真法を用いた画像形成装置に使用される電子写真用現像剤および現像方法に関する。詳しくは感光体と現像ローラを接触させながらトナー像を形成させる非磁性一成分現像方式に使用される現像剤および現像方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を用いた画像形成処理は、光導電性物質を含む感光体表面を一様に帯電させる帯電過程、その感光体上を露光して静電潜像を形成する露光過程、感光体表面の静電潜像をトナー像に顕像化する現像過程、感光体表面に担持されたトナー像を用紙等の表面に転写する転写過程、加熱、加圧等の手段によってトナー像を用紙上に定着する定着過程からなる。
【0003】
これらのうち、現像過程では、一般にトナー及びキャリアを用いる二成分現像方式とキャリアを用いない一成分現像方式が知られている。近年、保守性、小型化、軽量化、低コスト化と行った利点から、一成分現像方式が広く使用されるようになった。
【0004】
一成分現像方式には磁性および非磁性一成分現像方式があるが、磁性一成分方式ではトナー中に黒色粉末である磁性体を添加するため、フルカラー用には非磁性一成分現像方式が好ましい。非磁性一成分現像方式では、現像ローラに対して、現像ローラ上に形成されるトナーの薄層を均一に規制する規制ブレードが当接するように配置されており、トナーが規制ブレードで規制される際に大きなストレスを受ける為、トナーの外添剤の埋り込み、脱離等によって、トナーの流動性低下、凝集力の増加あるいは脱離した外添剤の要因で、トナーが規制ブレードへ融着したり、現像ローラ上にフィルミングしたり、あるいは感光体上にフィルミングが発生する場合がある。また、非磁性一成分現像において、感光体が現像ローラに接触あるいは非接触に配置される。このうち感光体が現像ローラに接触する現像方式において、感光体上の非潜像部にもトナーが接触するため、現像ローラにトナーが回収されずに感光体上に残り、感光体カブリ、下地カブリの要因になる場合がある。
【0005】
このような問題に対して、特許文献1には、平均30nm以上、100nm未満の無機微粒子を付着させてなる非磁性一成分トナーによって、適正な画像濃度の下地カブリの無い画像を安定に提供できる構成が開示されている。また、特許文献2では、非磁性一成分トナーに、体積平均粒径0.05μm以下の無機微粒子及び体積平均粒径0.1〜2.0μmの樹脂微粒子とを外添することによって、長期にわたって高濃度、高品質の画像を与えることができる構成が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−202374公報
【特許文献2】
特開平9−211892公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、上記したスペーサ効果が十分に発揮できないために特に使用が進むにつれ、下地カブリが発生する。また、特許文献2に開示された構成は、現像ローラの表面上に、選択的に電荷を保持させることにより、現像ローラ表面近傍に多数の微小閉電界を形成し、この現像ローラ上に、非磁性一成分系現像剤を供給し、前記微小閉電界により前記現像剤を現像ローラ表面に担持させ、該担持現像剤によって静電潜像を可視像化する画像形成方法に用いるトナーであって、本発明の、現像ローラにトナーを供給する供給ローラを備え、金属製の規制ブレードにより該現像ローラの周面において薄層化されたトナーを当接された感光体表面に供給して静電潜像をトナー像に顕像化する非磁性一成分現像方法とは現像システムが全く異なる。
【0008】
この発明の目的は、現像ローラの周面に均一なトナーの薄層を長期間にわたって安定して形成することができるとともに、規制ブレードに対するトナーの融着や固着の発生を確実に防止することができ、且つ、トナーに十分な電荷を帯電させることができ、特に画像下地カブリがなく、画像形成状態を良好に維持することができる非磁性一成分現像方法に好適なトナーおよび該トナーを用いる非磁性一成分現像方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
第1に、本発明は、現像ローラにトナーを供給する供給ローラを備え、金属製の規制ブレードにより該現像ローラの周面において薄層化されたトナーを当接された感光体表面に供給して静電潜像をトナー像に顕像化する非磁性一成分現像方法に用いる負帯電性トナーであって、少なくとも結着樹脂と着色顔料からなる母体トナーに、無機微粒子からなる外添剤と、母体トナー粒子に対する体積平均粒径比が1/85以上1/15以下で、且つ、トナー粒子の表面における被覆率が0.5%以上10%以下の樹脂微粒子からなる外添剤を含むことを特徴とする非磁性一成分トナーである。
【0010】
上記のような接触非磁性一成分現像方式において、プリントあるいはコピースピードの高速化が進むにつれ解決しなければならない重要な課題のひとつとして規制ブレードへのトナーの融着が挙げられる。高速化になるにつれ、現像ローラの周速度も速くなり、トナーが規制ブレードで受けるストレスは増大し、その為融着し易くなる。
【0011】
本発明において、トナー粒子に対する体積平均粒径比が1/85以上1/15以下の樹脂微粒子を外添剤として使用することによって、樹脂微粒子がトナー同士あるいはトナー・規制ブレード間のストレスを緩和する役割を果たすと考えられる。
【0012】
もうひとつの課題として、下地カブリがあり、その発生メカニズムは以下のように考えることができる。まず、トナーの帯電性で考えると、トナー粒子に対する体積平均粒径比が1/85以上1/15以下の樹脂微粒子を外添することによって、トナー粒子表面の摩擦抵抗が高くなり、規制ブレードでのトナーへの電荷注入がスムーズとなり、トナーの帯電量分布がよりシャープになると考えられる。したがって、下地カブリの要因となる帯電性の低いトナーは少なくなる。
【0013】
ここで、樹脂微粒子でなく、無機微粒子であれば、例えば、アルミナ、酸化チタンであると、規制ブレードでトナー粒子に電荷注入しても導電効果が大きいためリークし易く、トナーの帯電性が低下する。ただし、無機微粒子がシリカであれば、導電効果は低く上記効果はやや得られるが、樹脂微粒子に比べ、トナーへの負電荷付与性は低い。
【0014】
次に物理力で考えると、トナーが規制ブレードで規制された後、現像ローラと感光体が接触する領域で、物理的な力によって一度感光体上に押し付けられるが、非潜像領域にあるトナーは現像されずに現像ローラ上に回収されなければならない。しかしトナーの物性によって感光体への付着のし易さ及び現像ローラへの回収能力に差が生じる。トナーの凝集力(トナーの締まり易さ、ほぐれ難さ)が高いと感光体と現像ローラ間で働く物理的な力によってトナーが押し固められ易くなり、感光体上に押し付けられる力が強く作用する。さらにトナーの付着力が高いと感光体上に付着しようとする力が強くなり、現像ローラ上に回収しきれないトナーが存在する。したがって、トナー粒子に対する体積平均粒径比が1/85以上1/15以下の樹脂微粒子を外添することによって、トナー間、トナー・現像ローラ間、トナー・感光体間でスペーサ効果を発揮し、各間の凝集力、付着力を低減し、トナーの回収がスムーズに行われ、下地カブリのない画像を提供することが可能である。
【0015】
トナー粒子に対する体積平均粒径比が1/85未満の樹脂微粒子では上記スペーサ的役割が得られず、一方、トナー粒子に対する体積平均粒径比が1/15を越える樹脂微粒子を外添剤として使用すると、トナー中に浮遊した樹脂微粒子が多く発生するため、逆に上記スペーサ効果は低いなると考えられ、課題を解決できない。且つ浮遊物が要因となって感光体上に傷をつけ、トナーがフィルミングし画像欠陥の要因となる。
【0016】
本発明において、外添剤の被覆率は下記の計算式より求めることができる。
《被覆率計算式》
f=√3/2π*D・ρt/d・ρi*C
ここで、D:トナー粒径、d:外添剤粒子粒径、ρt:トナー真比重、ρi外添剤粒子真比重、C:トナーと外添剤粒子の重量比である。
【0017】
非磁性一成分トナーにおけるトナー粒子に対する樹脂微粒子の被覆率が0.5%未満では、上記スペーサ的役割が得られず、一方、トナー粒子に対する樹脂微粒子の被覆率が10%を越えると、トナー粒子表面の摩擦抵抗が高くなり過ぎるため、規制ブレードで規制されるトナー量が少なくなり、且つ、規制ブレードでのトナーへの電荷注入が必要以上に多くなり、トナーの帯電量が高くなり過ぎるため適正な画像濃度が得られない。
【0018】
無機微粒子を外添剤として使用する目的は、トナーの流動性、帯電性、抵抗を調整する為である。したがって、トナー粒子の外添剤に体積平均粒径比が1/85以上1/15以下の樹脂微粒子を、トナー粒子の表面における被覆率が0.5%以上10%以下となるようにトナー粒子に外添することにより、長期に渡って、現像ローラに対するトナー粒子表面の摩擦抵抗が適正になり、規制ブレードに対向した後の現像ローラの周面に規定量のトナーの薄層が形成されることになって、画像の下地カブリによる画質の劣化、及び、装置内へのトナーの飛散等の問題が解消される。
【0019】
トナー母体に外添される前記無機微粒子は、体積平均粒径が20nm以下であることが好ましく、トナー母体粒子の表面における無機微粒子の被覆率は、60%以上250%以下であることが好ましい。
【0020】
外添剤として体積平均粒径が20nmを越える無機微粒子を使用すると、トナーの流動性が低くなり、且つ現像ローラに対するトナー粒子表面の摩擦抵抗が高くなり過ぎ、規制ブレードに対向する前の現像ローラの周面に必要量以上のトナーが供給され、規制ブレードに対向した後の現像ローラの周面におけるトナー薄層の厚さが規定量より厚くなったりトナー薄層が不均一となり、画像ムラや下地カブリ、ひどい場合には装置内へのトナーの飛散を生じる。
【0021】
前記無機微粒子と前記樹脂微粒子の外添においては、前記無機微粒子を外添した後、前記樹脂微粒子を添加して外添することが好ましい。樹脂微粒子を先に外添すると、樹脂微粒子の分散が悪くなり、且つ浮遊物が多くなり、本発明の効果が十分に得られない。
【0022】
前記無機微粒子としては、負帯電性シリカが好ましく例示される。特に、表面が疎水化処理されているシリカが好ましい。非磁性一成分負帯電性トナーに外添する無機微粒子としてアルミナや酸化チタン等を使用すると、トナーの流動性が低下し現像ローラの周面に形成される薄層が厚くなり過ぎるとともに、トナーの帯電量が必要量より低い為、画像の下地カブリや装置内へのトナーの飛散の問題を生じる。したがって、無機微粒子として負帯電性シリカを使用することにより、トナーの流動性が維持され、現像ローラの周面に規定量のトナーの薄層が形成されるとともに、トナーの帯電量が適正化され、画質の劣化や装置内の汚損を生じることがない。また、表面の疎水化処理は、耐湿性を確保する為である。
【0023】
本発明の非磁性一成分負帯電性トナーに使用する結着樹脂として、ポリエステル樹脂が好ましく例示される。結着樹脂としてポリエステル樹脂は、帯電特性、耐久性、熱特性の点で好適である。
【0024】
第2に、本発明は、現像ローラにトナーを供給する供給ローラを備え、金属製の規制ブレードにより該現像ローラの周面において薄層化されたトナーを当接された感光体表面に供給して静電潜像をトナー像に顕像化する非磁性一成分現像方法において、上記の非磁性一成分トナーを用いることを特徴とする非磁性一成分現像方法である。
【0025】
このような接触非磁性一成分現像方式において、プリントあるいはコピースピードの高速化が進むにつれ解決しなければならない重要な課題のひとつとして規制ブレードへのトナーの融着が挙げられる。高速化になるにつれ、現像ローラの周速度も速くなり、トナーが規制ブレードで受けるストレスは増大し、その為融着し易くなる。上記の第1の本発明のように、トナー粒子に対する体積平均粒径比が1/85以上1/15以下の樹脂微粒子を外添剤として使用することによって、樹脂微粒子がトナー同士あるいはトナー・規制ブレード間のストレスを緩和する役割を果たす。
【0026】
もうひとつの課題として、下地カブリがあり、その発生メカニズムは以下のように考えることができる。まず、トナーの帯電性で考えると、トナー粒子に対する体積平均粒径比が1/85以上1/15以下の樹脂微粒子を外添することによって、トナー粒子表面の摩擦抵抗が高くなり、規制ブレードでのトナーへの電荷注入がスムーズとなり、トナーの帯電量分布がよりシャープになると考えられる。したがって、下地カブリの要因となる帯電性の低いトナーは少なくなる。
【0027】
トナーが規制ブレードで規制された後、現像ローラと感光体が接触する領域で、物理的な力によって一度感光体上に押し付けられるが、非潜像領域にあるトナーは現像されずに現像ローラ上に回収されなければならない。しかしトナーの物性によって感光体への付着のし易さ及び現像ローラへの回収能力に差が生じる。トナーの凝集力(トナーの締まり易さ、ほぐれ難さ)が高いと感光体と現像ローラ間で働く物理的な力によってトナーが押し固められ易くなり、感光体上に押し付けられる力が強く作用する。さらにトナーの付着力が高いと感光体上に付着しようとする力が強くなり、現像ローラ上に回収しきれないトナーが存在する。したがって、特定のトナー粒子に対する体積平均粒径比を有する樹脂微粒子を外添することによって、トナー間、トナー・現像ローラ間、トナー・感光体間でスペーサ効果を発揮し、各間の凝集力、付着力を低減し、トナーの回収がスムーズに行われ、下地カブリのない画像を提供することが可能である。
【0028】
無機微粒子を外添剤として使用する目的は、トナーの流動性、帯電性、抵抗を調整する為である。
したがって、トナー粒子の外添剤に体積平均粒径比が1/85以上1/15以下の樹脂微粒子を、トナー粒子の表面における被覆率が0.5%以上10%以下となるようにトナー粒子に外添することにより、長期に渡って、現像ローラに対するトナー粒子表面の摩擦抵抗が適正になり、規制ブレードに対向した後の現像ローラの周面に規定量のトナーの薄層が形成されることになって、画像の下地カブリによる画質の劣化、及び、装置内へのトナーの飛散等の問題が解消される。
【0029】
本発明の非磁性一成分現像方法において、前記規制ブレードが、現像ローラの周面に20gf/cm以上70gf/cm以下の線圧で圧接することが好ましい。現像ローラの周面に対する規制ブレードの圧接力が20gf/cmより弱いとトナーの薄層の厚さが均一にならず、逆に70gf/cmより圧接力が強いと長期間の使用により規制ブレードに対するトナーの融着・固着を生じる。したがって、現像ローラの周面に対する規制ブレードの圧接力を20gf/cm以上70gf/cm以下の線圧に規定することにより、現像ローラの周面に規定量のトナーの薄層が安定して形成されるとともに、長期間の使用によっても規制ブレードにトナーの融着・固着を生じない。
【0030】
前記供給ローラの材質は、ウレタン系、EPDM、EPMのいずれかが好ましい。規制ブレードでのトナーの電荷注入の他に、供給ローラで現像ローラ上にトナーを供給する際にもトナーに電荷注入される。また、前記樹脂微粒子を非磁性一成分トナー用に外添することによって、規制ブレードでのトナーへの電荷注入が効率よくなる。そのため、供給ローラの材質によってもトナーの帯電性に影響がある。本発明では、前記ウレタン系、EPDM、EPMのいずれかの材質からなることが好ましい。
【0031】
該感光体に対する該現像ローラの周速比は、0.7以上0.95以下であることが好ましい。接触非磁性一成分現像方式において、上記した下地カブリの要因で、物理力に関して、感光体に対する現像ローラの周速比が1.0以下になると、一度感光体上に押し付けられたトナーは現像ローラでの掻き取り効果が全く無くなるため、一層感光体上に残り易く、下地カブリの要因となる。また、この周速比が1.0に近いと感光体上に押し付ける物理力は高く、且つ、適正な画像濃度を得る為には、この周速度を低くしすぎると達成できない。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態に係る非磁性一成分現像方法を適用する現像装置、本発明の実施形態に係る非磁性一成分トナー、及び、該現像方法の実施例と比較例との比較結果の順に説明する。
【0033】
A.現像装置
この発明の実施形態に係る非磁性一成分現像方法が適用される画像形成装置の要部の構成を図1に示す。画像形成装置の内部には、矢印方向に回転自在に支持した感光体ドラム5の周面に対向する現像装置が設けられている。現像装置は、現像ローラ1、規制ブレード2、供給ローラ3及び攪拌ローラ4を備えており、内部に非磁性一成分負帯電トナー(以下、単にトナーという。)を収納している。なお、感光体ドラム5の周面は、現像装置に対向する前に、帯電器6及び図外の光学系装置に対向している。感光体ドラム5の周面は、帯電器6によって単一極性の電荷を均一に付与された後、光学系装置から画像光の照射を受け、静電潜像が形成されている。
【0034】
現像ローラ1は、ウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、EPDM又は天然ゴム等を素材として円柱形状に形成されており、矢印方向に回転自在に支持されている。現像ローラ1は、周面に薄層化したトナーを担持しており、感光体ドラム5の周面において静電潜像が形成された部分に当接して接触現像方式により静電潜像をトナー像に顕像化する。
【0035】
規制ブレード2は、SUS、アルミニウム又はリン青銅等の金属材料によって先端部に折曲部を有しない平板状に形成されており、先端部が支持部よりも現像ローラ1の回転方向の上流側で現像ローラ1の周面に圧接し、現像ローラ1の周面に規定量の厚さのトナーの薄層を形成する。
【0036】
供給ローラ3は、ウレタン、EPDM、EPM等を素材として円柱形状に形成されたスポンジローラであり、矢印方向に回転してトナーを現像ローラ1の周面に供給する。攪拌ローラ4は、回転自在に支持されており、現像装置内に収納されたトナーを攪拌し、トナーに所定の電荷を帯電させる。
【0037】
B.トナー
a.結着樹脂
本発明の実施形態に係る非磁性一成分現像方法に使用するトナーの結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリ−p−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロロアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン若しくはスチレン置換体を含む単独重合体又は共重合体)、ポリ塩化ビニル、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリピニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂又はポリアミド樹脂等を単独で、又は、2種以上混合したものを用いることができる。なお、本発明用負帯電一成分トナーの結着樹脂としては、帯電特性、耐久性、熱特性の制御等の観点からポリエステル樹脂が好ましい。
【0038】
b.着色剤
トナーの着色剤としては、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色について、種々のものを用いることができる。
イエロートナーの着色剤としては、例えば、カラーインデックスにより分類ささるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15若しくはC.I.ピグメントイエロー17等のアゾ系顔料、又は、黄色酸化鉄若しくは黄土等の無機系顔料を用いることができる。また、染料としては、例えば、C.I.アジットイエロー1等のニトロ系染料、又は、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19若しくはC.I.ソルベントイエロー21等の油溶性染料を用いることができる。特に、C.I.ピグメントイエロー17等のベンジジン系顔料が色味の点から好ましい。
【0039】
マゼンタトナーの着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10又はC.I.ディスパーズレッド15等を用いることができ、特に、C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料が色味の点から好ましい。
【0040】
シアントナーの着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25又はC.I.ダイレクトブルー86等を用いることができ、特に、C.I.ピグメントブルー15等の銅フタロシアニン顔料が色味の点から好ましい。
【0041】
ブラックトナーの着色剤としては、カーボンブラックが好適である。
着色剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部である。
【0042】
c.電荷制御剤
本発明の実施形態に係る非磁性一成分現像方法に用いるトナーには、トナーの摩擦帯電性を制御する目的で、電荷制御剤が配合される。この電荷制御剤は、トナーの帯電特性に応じて、正電荷制御用及び負電荷制御用がある。正電荷制御用の電荷制御剤としては、塩基性窒素原子を有する有機化合物、例えば、塩基性染料、第4級アンモニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン類又はニグロシンベース等を用いることができる。負帯電用の電荷制御剤としては、オイルブラック若しくはスピロンブラック等の油溶性染料、含金属アゾ染料、ナフテン酸金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、脂肪酸石鹸又は樹脂酸石鹸等を用いることができる。
【0043】
電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部である。なお、カラー用トナーとしては、無色の第4級アンモニウム塩又はアルキルサリチル酸の金属塩が好ましいが、必須ではない。
【0044】
d.無機微粒子及び樹脂微粒子
本発明の実施例形態に係る非磁性一成分現像方法に用いるトナーには、無機微粒子及び樹脂微粒子が外添される。無機微粒子としては、例えば、脂肪酸金属塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、酸化亜鉛粉末、酸化アルミ粉末、酸化チタン粉末又は微粉末シリカ等を用いることができる。また、樹脂微粒子としては、メラミン系樹脂、架橋アクリル系樹脂、PMMA等を用いる。
【0045】
e.製造方法
本発明の実施例形態に係る非磁性一成分現像方法に用いるトナーのトナー粒子は、平均粒径3μm〜15μmのものを用いる。特に高画質画像を得るためには、平均粒径が10μm以下のトナーを用い、画質の向上を図るためには平均粒径が6μm〜9μmの小粒径トナーが好適である。
【0046】
トナーは、上述した結着樹脂及び着色剤等の添加剤を乾式ブレンダ、スーパーミキサ、ヘンシェルミキサー又はボールミル等によって均一に予備混合して得られた混合物を、例えば、ハンドミキサ、ロール、又は、一軸若しくは二軸の押出混練機等の混練装置を用いて均一に溶融混練した後、得られた混練物を冷却して粉砕し、さらに、必要に応じて分級したものである。得られたトナーは、上述した無機微粒子及び樹脂微粒子を外添剤として添加した後、篩等によって凝集物や異物を除去して製品化される。
【0047】
【実施例及び比較例】
a.トナーの製造
ポリエステル樹脂100重量部、着色剤(カーボンブラック)5.0重量部、電荷制御剤1.0重量部、及び、WAX2.0重量部をスーパーミキサで均一混合した後、二軸押出機によって加熱、溶融及び混練して冷却した。得られた混練物をカッティングミルで粗粉砕した後に超音波ジェットミルで微粉砕し、分級機で体積換算粒径5μm以下の微粉を除去することによってトナーを得た。トナーの粒径は体積換算粒径5μm〜16μmの範囲に分布しており、トナーの体積平均粒径は8.5μmであった。
b.画像形成装置
図1に示す感光体プロセス、並びに現像装置を有す。
c.実写テスト
シャープ社製AR‐C150の現像装置を非磁性一成分用に改造し、常温常湿環境下で単色のみ20000枚の連続実写テストを行った。
d.画像濃度測定
X−rite社製のX−rite938濃度測定器を用いて、用紙上の画像濃度を測定した。
e.画像下地カブリ測定
日本電色製白度計Σ90にて、予め紙(A4)の所定の位置を測定し、出力前後の差をみた。
f.PCカブリ測定
透明テープ(住友3M社製メンディングテープ)を感光対ドラム5の周面における非画像部に貼付した後に白紙上に再度貼付し、X−rite社製のX−rite938濃度測定器を用いて濃度を測定し、この濃度と透明テープを直接貼付した際の白紙における測定濃度との差をPCカブリ値とした。
g.規制ブレード上の融着物の確認
現像ローラ1を取り外し、ブロアーによって規制ブレード2上のトナーを吹き飛ばした後、光学顕微鏡により規制ブレード2の表面の状態を確認した。また、透明テープ(住友3M社製メンディングテープ)を現像ローラ1の周面に貼付した後に白紙上に再度貼付し、白筋の有無等を視認した。
h.外添処方及び現像条件
無機微粒子に樹脂微粒子を含む外添剤を添加したトナーについて、表1に示す組合せにより、上記の実写テストを実施した。なお、表1中の樹脂微粒子と無機微粒子を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
i.実写テスト結果
初期時及び実写テスト後における現像ローラ1の周面におけるトナー付着量及び比電荷、画像濃度、並びに、PCカブリを測定するとともに、規制ブレード2におけるトナーの融着の有無を確認した。この結果を、表1の組合せについて表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
まず、表1の組合せについて表3に示す実施テスト結果において明らかなように、比較例1ではトナー粒子に対する樹脂微粒子の粒径比が1/15より大きいため、トナーへの外添強度が弱く、且つトナー中に浮遊した樹脂微粒子が多く存在していることが考えられる。従って、初期は性能を満足しているが、5000枚で画像濃度の上昇、下地カブリの悪化、さらに感光体へのフィルミングが発生した。
【0053】
比較例2ではトナー粒子に対する樹脂微粒子の粒径比が1/85より小さいため、比較例3では樹脂微粒子の被覆率が0.5%より低いため、樹脂微粒子のスペーサ効果が弱く、その為、ある程度の実写には耐えうるが、ライフ目標を達成できなかった。
【0054】
比較例4では樹脂微粒子の被覆率が10%より高いため、トナー粒子表面の摩擦抵抗が高くなりすぎるため、規制ブレードで規制されるトナー量が少なく、且つ、帯電量が高くなりすぎたため、初期から画像濃度が低く、且つ実写3000枚で規制ブレードにトナーが融着した。
【0055】
これらの比較例に対して実施例1から8では負帯電性トナーに、無機微粒子の外添剤と、トナー粒子に対する体積平均粒径比が1/85以上1/15以下で、且つ、トナー粒子の表面における被覆率が0.5%以上10%以下の樹脂微粒子の外添剤を含むことによって現像ローラ1の周面に規定量のトナーの薄層を形成することができ、規制ブレード2上にトナー等の融着を生じることがなく、長期間にわたって安定して良好な画質の画像が得られた。
【0056】
比較例5では無機微粒子の粒径が20nmより大きいため、比較例6では無機微粒子の被覆率が60%より低いためにトナーの流動性が低い。そのため現像ローラ上のトナー量を規定値にするために規制ブレードの線圧を上限(70gf/cm)に上げて実写を行ったが、比較例5では3000枚で規制ブレードにトナーの融着が発生し、比較例6では2000枚で規制ブレードにトナーの融着及び感光体へのトナーのフィルミングが発生した。
【0057】
比較例7では無機微粒子の被覆率が250%より高いために、トナーの流動性が高い。そのため現像ローラ上のトナー量を規定値にするために規制ブレードの線圧を下限(20gf/cm)に下げて実写を行ったが、10000枚で下地カブリが悪化した。
【0058】
これらの比較例に対して実施例1から8では無機微粒子が、体積平均粒径が20nm以下であり、トナー粒子の表面における無機微粒子の被覆率が60%以上250%以下であるトナーを用いることによって現像ローラ1の周面に規定量のトナーの薄層を形成することができ、規制ブレード2上にトナー等の融着を生じることがなく、長期間にわたって安定して良好な画質の画像が得られた。
【0059】
比較例8では規制ブレードの線圧が20gf/cmより低いため、現像ローラ上のトナーの規制及び電荷注入が不十分なため、実写に伴ないトナー層の上昇及びトナーの帯電量低下が著しく、5000枚で画像濃度上昇、下地カブリの悪化した。
【0060】
比較例9では規制ブレードの線圧が70gf/cmより高いため、現像ローラ上のトナー層量が少なく、且つ帯電量が高いため、初期から画像濃度が低く実写テストできなかった。
【0061】
これらの比較例に対して実施例1から8では規制ブレードが、現像ローラの周面に20gf/cm以上70gf/cm以下の線圧で圧接することによって現像ローラ1の周面に規定量のトナーの薄層を形成することができ、規制ブレード2上にトナー等の融着を生じることがなく、長期間にわたって安定して良好な画質の画像が得られた。
【0062】
比較例10では無機微粒子にチタニアを使用したが、トナーの流動性が低いため、現像ローラ上のトナー量を規定値にするために規制ブレードの線圧を上限(70gf/cm)に上げたが、シリカに比べ負帯電性が弱いため、初期からトナーの帯電量が低く、下地カブリが悪かったため、実写テストができなかった。
【0063】
この比較例に対して実施例1から8では無機微粒子に負帯電シリカを使用することによって現像ローラ1の周面に規定量のトナーの薄層を形成することができ、規制ブレード2上にトナー等の融着を生じることがなく、長期間にわたって安定して良好な画質の画像が得られた。
【0064】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、接触非磁性一成分現像方式において、現像ローラの周面に均一なトナーの薄層を長期間にわたって安定して形成することができるとともに、規制ブレードに対するトナーの融着や固着の発生を確実に防止することができ、且つ、トナーに十分な電荷を帯電させることができ、特に画像下地カブリがなく、画像形成状態を良好に維持することができる非磁性一成分現像方法に好適なトナーを提供することができる。
【0065】
請求項2により、トナーの流動性、現像ローラに対するトナー粒子表面の摩擦抵抗を最適とし、規制ブレードに対向する前後の現像ローラの周面に必要量のトナーが供給される。これにより、トナー薄層が均一となり、画像ムラや下地カブリ、装置内へのトナーの飛散を防止する。
【0066】
請求項3では、無機微粒子を先に外添することにより、外添剤の分散を良好にする。
【0067】
請求項4では、無機微粒子として負帯電性シリカを使用することにより、トナーの流動性が維持され、現像ローラの周面に規定量のトナーの薄層が形成されるとともに、トナーの帯電量が適正化され、画質の劣化や装置内の汚損を生じることがない。また、表面を疎水化処理することによって、特に高温高湿下での耐湿性を確保できる。
【0068】
請求項5では、非磁性一成分負帯電性トナーに使用する結着樹脂として帯電特性、耐久性、熱特性からポリエステル樹脂が好適である。
【0069】
請求項6では、接触非磁性一成分現像方式において、現像ローラの周面に均一なトナーの薄層を長期間にわたって安定して形成することができるとともに、規制ブレードに対するトナーの融着や固着の発生を確実に防止することができ、且つ、トナーに十分な電荷を帯電させることができ、特に画像下地カブリがなく、画像形成状態を良好に維持することができる非磁性一成分現像方法を提供することができる。
【0070】
請求項7では、現像ローラの周面に対する規制ブレードの圧接力を20gf/cm以上70gf/cm以下の線圧に規定するとことにより、現像ローラの周面に規定量のトナーの薄層が安定して形成されるとともに、長期間の使用によっても規制ブレードにトナーの融着・固着を生じない。
【0071】
請求項8では、トナーの帯電性を考慮して、供給ローラはウレタン系、EPDM、EPMのいずれかの材質からなる。
【0072】
請求項9では、感光体に対する前記現像ローラの周速比を0.7以上0.95以下とすることにより、下地カブリを防止するとともに、適正な画像濃度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の定着性評価行う非磁性一成分現像装置の断面図。
【符号の説明】
1:現像ローラ、2:規制ブレード、3:現像剤供給ローラ、4:攪拌羽根、5:感光体、6:帯電器
Claims (6)
- 現像ローラにトナーを供給する供給ローラを備え、金属製の規制ブレードにより該現像ローラの周面において薄層化されたトナーを当接された感光体表面に供給して静電潜像をトナー像に顕像化する非磁性一成分現像方法に用いる負帯電性トナーであって、
少なくとも結着樹脂と着色顔料からなる母体トナーが、無機微粒子からなる外添剤と、母体トナー粒子に対する体積平均粒径比が1/85以上1/15以下で、且つ、トナー粒子の表面における被覆率が0.5%以上10%以下の樹脂微粒子からなる外添剤を含み、
前記母体トナーにおいては、前記無機微粒子を添加して予備外添した後に前記樹脂微粒子を添加して再外添されており、
前記無機微粒子は負帯電性シリカであり、表面が疎水化処理され、前記無機微粒子の体積平均粒径が20nm以下であり、トナー粒子の表面における無機微粒子の被覆率が60%以上250%以下であり、
前記樹脂微粒子が、架橋アクリル樹脂であることを特徴とする非磁性一成分トナー。 - 前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の非磁性一成分トナー。
- 現像ローラにトナーを供給する供給ローラを備え、金属製の規制ブレードにより該現像ローラの周面において薄層化されたトナーを当接された感光体表面に供給して静電潜像をトナー像に顕像化する非磁性一成分現像方法において、
請求項1に記載の非磁性一成分トナーを用いることを特徴とする非磁性一成分現像方法。 - 前記規制ブレードが、現像ローラの周面に20gf/cm以上70gf/cm以下の線圧で圧接することを特徴とする請求項3に記載の非磁性一成分現像方法。
- 前記供給ローラが、ウレタン系、EPDM、EPMのいずれかの材質からなることを特徴とする請求項3または4に記載の非磁性一成分現像方法。
- 前記感光体に対する前記現像ローラの周速比が0.7以上0.95以下であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の非磁性一成分現像方法。
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