JP4151084B2 - アルコキシシランの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルコキシシランの製造方法に関するもので、特に合成反応における反応溶媒の発泡を抑制する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
テトラエトキシシランやトリエトキシシラン等のアルコキシシランは合成石英やセラミックスの原料として、また、半導体や液晶用の絶縁膜や保護膜の原料として、あるいはSi−H官能基を利用したヒドロシリル化反応によるシランカップリング剤の原料として、近年ますます多く使用されている。
アルコキシシランの従来の製造方法としては、金属珪素に塩素や塩酸を反応させてトリクロルシランやテトラクロルシラン等のクロルシラン類を作り、それをさらに低級アルコールとエステル化反応させる方法が多く行われてきた。しかし、この方法は本質的に2段階の反応であって複雑であり経済的に有利な方法でなく、エステル化では大量の塩酸が副生するため装置の腐食の問題があり、また、目的物であるアルコキシシランとその塩素置換不純物との沸点が近いため目的物の分離精製が困難である等の問題があった。
【0003】
これに対して、不活性反応溶媒(以下、単に「反応溶媒」と称する。)中で銅触媒を用いて金属珪素と低級アルコールとを直接反応させる方法が提案された(特開昭63-41919号)。この反応は1段階であり塩酸も副生しないために、工業的には良好に実施できる方法である。
しかし、実際には合成反応を実施する際に、熱い反応混合物中へ低級アルコールを導入すると望ましくない気泡が形成され、反応混合物が発泡を起こして著しくその体積を膨張させて、反応器から噴出する危険性がある。これを避けるためには、例えば低級アルコールの供給量を著しく抑制する必要があり、この合成反応は工業的に実施する際には問題があった。
【0004】
この発泡の問題に対して、特開平8-208663号では、置換または非置換のトリトルオール、テトラトリオールまたはこれらの混合物からなる熱媒油を反応溶媒に用いたアルコキシシランの製造方法において、消泡剤としてオルガノポリシロキサンを添加する方法が開示されている。しかし、当該熱媒油は高価であって経済的に適していなかった。更に、オルガノポリシロキサンは、この限られた反応溶媒との組み合わせ以外では発泡を抑制する効果がないばかりか、逆に発泡が起き易くなる場合もあることを本発明者等は見出した。
【0005】
銅触媒を用いて金属珪素と低級アルコールを直接反応させるアルコキシシランの製造方法に用いる反応溶媒としては、例えばドデシルベンゼンが挙げられる。該化合物は、合成洗剤の原料として大規模に生産されているため、極めて安価にかつ大量に得ることができ、毒性もない等の長所が多いが、元々発泡が起き易いという欠点があり、消泡剤として前述のオルガノポリシロキサンを添加した場合には、更に発泡が起き易くなるという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかゝる現状に鑑み、当該アルコキシシランの製造方法において、特定の反応溶媒でなく、工業的に得られる汎用の反応溶媒を使用する場合でも、反応混合物の発泡を抑制し、なおかつ珪素の転化率および反応速度が高くなる方法を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の問題に対して鋭意検討した結果、フルオロシリコーンを消泡剤として反応系に添加する事により、前記課題が解決される事を見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において原料の一つとして使用される金属珪素は純度80%以上のものが適しており、形状は粒状が好適であり、粒径は平均粒径2mm以下が珪素の転化率および反応速度が高くなるので好ましく、更に好ましくは平均粒径25〜500μm、特に好ましくは平均粒径50〜300μmである。一般的に粉末の金属珪素はそれほど吸湿性が高くはなく、工業的に製造されたものでも吸着水分は3000ppm程度であり、本発明に使用するには差し支えないが、適当な方法で乾燥してから使用することもできる。
【0009】
もう一つの原料である炭素数1〜4のアルキルアルコール(以下単に「アルコール」と称する。)におけるアルキル基は、直鎖状あるいは分技状のいずれでも良い。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、iso−ブタノールおよびt−ブタノールが挙げられるが、このうち安価で反応性が高く、生成するアルコキシシランの有用性が高いという理由で炭素数1〜3のアルキルアルコールが好ましく、反応性が高いメタノールおよびエタノールが更に好ましい。
【0010】
これらの原料アルコールは、それぞれ単独でも異種のアルコールを混合して用いても良く、混合した場合には、異種のアルコキシ基を持つアルコキシシランが生成する。いずれの場合でも原料アルコールの不純物濃度は5重量%以下である事が好ましく、特に水分は1重量%以下、更に好ましくは0.2重量%以下に抑えたものが良い。アルコール中の水分は蒸留やゼオライト等を浸漬する事によって容易に減少させることができ、こうして水分を減少させたアルコールは当該発明に好ましく用いる事ができる。
【0011】
本発明では触媒として、銅触媒、亜鉛触媒およびニッケル触媒等、通常用いられる触媒が使用できるが、反応性が優れているとの理由から銅系触媒が好ましい。
具体的には、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化銅、ヨウ化銅、フッ化銅、炭酸銅、硫酸銅、酢酸銅、蓚酸銅、チオシアン酸銅等の銅塩;酸化第一銅、酸化第二銅、水酸化第一銅、水酸化第二銅、シアン化銅、硫化銅等の銅含有無機化合物;メチル銅、エチル銅などの有機銅化合物、或いは金属銅が挙げられる。その純度は一般的に市販されている工業用薬品程度以上であれば使用できる。
【0012】
これらの触媒のうち、本発明に適するのは粒径が0.1〜50μmの粒度の粉末であり、更に好ましくは0.5〜10μmである。触媒は金属珪素の表面に付着して触媒活性を発現するという機構のため、粒径が大きすぎると比表面積が小さくなり触媒としての効率が悪くなるが、一方であまり小さな粒径のものは固結したり流動性が悪くなり粉体として取扱い難くなる上、アルコキシシランの合成反応が進行するにつれて珪素表面から遊離し易く、遊離した触媒はアルコールの分解等の副反応を起こすので好ましくない。
望みの粒度を持つ珪素や酸化第二銅の粉末を得る方法としては、通常の粉砕法や分級法を利用する事ができる。より具体的には、ボールミル、ジェットミル、振動ミル等の粉砕方法や、ふるい、サイクロン等の分級方法が挙げられる。
【0013】
触媒の使用量は、金属珪素100重量部に対して0.5〜50重量部が好ましく、更に好ましくは5〜30重量部である。この範囲外では金属珪素の転化率および反応速度が著しく低くなってしまう恐れがある。
触媒の供給方法としては、金属珪素とは別個に反応系へ供給するのが一般的であるが、予め金属珪素と混合しても、あるいは金属珪素を担持させた触媒を供給してもよい。
【0014】
触媒は、金属珪素と共に活性化して反応系に供給するのが好ましい。活性化方法としては、100〜600℃で加熱処理するのが好ましい。100℃未満では活性化するのに時間を要するので効率的とは言えず、600℃を超えると触媒作用の失活につながる恐れがある。より好ましくは130〜230℃である。
【0015】
活性化時間は触媒の種類や活性化温度によって大きく異なるので、好ましい範囲を限定することは難しいが、一般的に低温で活性化反応を行う場合に十分な活性化度を得るためには長時間が必要になる。しかし、あまり長時間かけることは経済的でないため、実用的には24時間以下、更に好ましくは12時間以下である。活性化反応は副反応を避けるため不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましい。
【0016】
金属珪素および触媒を反応器に供給する方法は、最初に一度に全量を供給するバッチ式でも、アルコキシシランの合成反応の進行に伴う反応器内の金属珪素の減少または反応の衰えを補うように供給量を調節して合成反応を連続的に行う連続添加でも良い。
【0017】
反応におけるアルコールの反応系への供給速度は、あまり高くすると生成物中の未反応アルコール濃度が高くなりすぎるし、一方あまり低すぎると反応器容量当たりおよび時間当たりのアルコキシシランの生成速度が小さくなるため反応に長時間かかる事になり経済的に好ましくない。
また、適量の未反応アルコールが生成物に含まれる事は、反応液中で気泡となって反応液中の高沸点の目的生成物を遅滞なく系外に送り出す働きもある。このため、アルコールの供給速度を低くし過ぎると、生成物が反応液中に滞留して副反応を起こし易くなり、生成するアルコキシシランのうち、より有用なトリ体(トリアルコキシシラン)の選択率を下げたり、珪素転化率を下げる等の悪影響がある。
アルコールの反応系への好ましい供給速度は、金属珪素1モルに対してアルコール10〜1000ミリモル/時間であり、更に好ましくは50〜500ミリモル/時間である。未反応アルコールは蒸留等の一般的な方法で回収し再利用する事ができる。
【0018】
反応温度は、高いほど反応速度が上がるが、高過ぎるとアルコールの分解反応に伴う副反応により、触媒が失活する恐れがあり、また、低いと生成するアルコキシシランのうち、より有用なトリアルコキシシランの選択率が高くなるが、低過ぎると反応速度が低くなりすぎて効率が悪くなる。好ましい反応温度は100〜250℃で、更に好ましくは160〜220℃である。
【0019】
反応器は金属珪素が良好な分散状態に保たれれば形状は問わない。反応器の外部に冷却または加熱用外部ジャケットを備えていても良く、また伝熱を良くするために反応器内部にフィン、コイル等を備えた物でも良い。通常、反応器は反応原料である金属珪素およびアルコールを供給する管、生成したアルコキシシランを主成分としその他の副生した珪素化合物や未反応アルコールを含有する反応液を排出する管、並びに反応後の残査の排出口を備えている。また、反応器の材質は特に限定されず、石英、ガラスまたは金属等を使用する事ができる。
【0020】
反応溶媒としては、金属珪素、触媒および生成するアルコキシシランと反応しない不活性な溶媒なら特に限定されないが、沸点が高温で安定な溶媒が好ましく、中でも炭化水素系の溶媒はフルオロシリコーンを添加した際の消泡効果が大きいので特に好ましい。
具体的には、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン若くはエイコサン等のパラフィン系炭化水素;ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、シメン、ブチルベンゼン、ブチルトルエン、オクチルベンゼン若くはデシルベンゼン等のアルキルベンゼン系炭化水素;ジフェニル、ジフェニルエーテル、モノエチルジフェニル、ジエチルジフェニル若くはトリエチルジフェニル等のジフェニル系炭化水素またはその水素化物;アルキルナフタレン系炭化水素またはその水素化物;トリフェニル系炭化水素またはその水素化物等が挙げられる。
【0021】
これらの内でも、アルキルベンゼン系炭化水素は、洗剤等の原料として工業的に大量に作られているため安価であり、アルコキシシランの合成反応の反応速度や珪素転化率も高いために好ましい。中でもドデシルベンゼンは沸点が高くて合成反応の温度を高くしても安定な上、特に安価に得られるために好ましく用いられる。
反応溶媒の使用量は、金属硅素や触媒粉末を分散させて流動化させるだけの量があればよく、多くすれば反応熱の除去が容易になる効果はあるもののあまり多く使用する事は経済的でないため、好ましくは金属硅素100重量部に対して80〜400重量部である。
【0022】
反応溶媒中で金属珪素とアルコールとを直接反応させる方法では、反応混合物が発泡を起こし易く、フルオロシリコーンを反応系に添加することにより反応混合物の発泡を抑制する事が本発明の特徴である。
フルオロシリコーンとは、一般的に側鎖の一部にC−F結合を含有するポリシロキサンの総称である。
また、当該フルオロシリコーンの好ましい重合度(1分子中に存在するシロキサン単位の数)としては、あまり低すぎると反応温度で蒸発して反応系から失われる恐れがあり、あまり高すぎると消泡剤としての効果が小さくなる恐れがある。従って重合度は2〜1000が好ましく、更に好ましくは30〜300である。
【0023】
該フルオロシリコーンの中では、トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位を主要なシロキサン単位とする化合物は、安価に製造でき、化学的に安定である点で最も好ましい。
なお、トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位は、全シロキサン単位の50%以上を占めることが好ましく、75%以上がより好ましい。
【0024】
フルオロシリコーンの添加量は、あまり少なすぎては消泡剤としての効果がなく、またあまり多すぎると経済的でないことから、当該反応に用いる反応溶媒の100重量部に対して0.003〜0.5重量部、更に好ましくは0.01〜0.2重量部である。
また、反応溶媒中で金属珪素とアルコールとを直接反応させる方法では、金属珪素と触媒を追加して連続的に合成反応を行ったり、バッチ式に反応し反応終了後に反応溶媒を再利用する方法等も公知であるが、いずれの場合でも、最初に十分な量の消泡剤が反応溶媒中に添加してあれば、特に追加は不要である。また、最初は最小限に添加して、後から追加する方法をとってもよい。
【0025】
【作用】
反応溶媒中で金属珪素とアルコールとを直接反応させる方法で、反応混合物が発泡を起こし易いことは公知であるが、その作用機構は未だに完全に明らかにはなっていない。しかし、最も一般的な方法として銅系触媒を用いて反応温度100〜250℃でアルコールと金属珪素とを反応させる系を考えると、遊離した銅触媒によりアルコールが分解して、水、アルデヒドおよびエーテル等を副生する副反応が起きていることから、この水によってアルコキシシランが縮合反応を起こし、アルコキシシラン縮合物を生成し、これが反応溶媒との間に分子量の異なる油/油系を作ることが推測される。
該分子量の異なる油/油系は発泡し易い事が知られているが、本反応のようにアルコールの気泡を吹き込みながら激しく攪拌するような系では、特に発泡が顕著に起こることが推測される。しかしながら、一方でこのような油/油系では有効な消泡剤が見つかり難い事も事実であり、本発明は、このような状況において発泡を抑制できる極めて限られた消泡剤を見出したものである。
【0026】
消泡の作用機構については諸説があって今だに定まっていないが、一般的に知られている消泡剤の傾向として、例えば水/油系では油には溶けるが水には難溶性で表面張力の小さい物質がよく、具体的には、特開平8−208663号に開示されているジメチルポリシロキサンは、水/油系では発泡を抑制する物質としてよく知られている。しかし、アルキルベンゼンにジメチルポリシロキサンを添加すると逆に発泡し易くなるということは公知である(油化学誌42巻10号98頁(1993年))ように、水/油系では消泡効果が大きくても油/油系では消泡性がないばかりか逆に発泡を引き起こす事もよくあるのである。
【0027】
実際に反応溶媒としてアルキルベンゼンを用いたアルコキシシランの合成反応においてジメチルポリシロキサンを消泡剤として用いた場合には、逆に発泡が起き易くなる。更に、ジメチルポリシロキサンは反応溶媒と反応生成物であるアルコキシシランとの両方によく溶けるため、界面活性剤として反応生成物を反応液に滞留させてしまう効果があり、滞留した反応生成物が副反応を起こし易くなるため、アルコキシシラン縮合物が生成して発泡を起こし易くしたり、生成するアルコキシシランのうち、より有用なトリ体の選択率を下げたり、珪素転化率を下げるなどの悪影響が現れるのである。
【0028】
一方、本発明で使用するフルオロシリコーンは、アルコキシシランには良く溶けるものの、通常の炭化水素系の反応溶媒には溶けないため、生成したアルコキシシランを反応溶媒に溶け込み難くする効果があり、有害な副反応を抑制する。このため、発泡は起き難く、有用なトリアルコキシシランの選択率は高く、珪素転化率も高くなる効果を有すると推測される。またこの作用機構により、当発明は通常の炭化水素系の広い範囲の反応溶媒に関して有効なのである。
【0029】
【実施例】
次に、本発明を実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。なお、本発明におけるトリアルコキシシランの選択率および金属珪素の転化率は下記の式で算出される値である。
・トリアルコキシシラン選択率(モル%)=[(トリアルコキシシランのモル数)/(トリアルコキシシランのモル数+テトラアルコキシシランのモル数)]×100
・金属珪素転化率(重量%)=100−[(反応残査中の金属珪素の重量)/(仕込んだ金属珪素の重量)×100]
【0030】
(実施例1)
窒素およびアルコール用の導入管、反応液温度計、攪拌器、反応生成物の排出管並びに反応生成物の冷却器と受器を備えたガラス製の1リットルフラスコに、反応溶媒としてドデシルベンゼン600ml、金属珪素(純度98%、平均粒径100μm)300gおよび塩化第一銅(平均粒径0.7μm)25gを仕込んだ。次いで反応液に窒素を供給しながら(300ml/分)攪拌混合下、200℃で10時間触媒の活性化処理を行った。次いで、消泡剤として、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン(重合度140)0.1gを反応液に添加した。そして反応液の温度を200℃に保って窒素を供給しながら(300ml/分)攪拌混合下、エタノール(純度99%)を反応液中に120g/時で供給して金属珪素と反応させた。
【0031】
エタノールの供給を開始してから5分後に反応生成物排出管の先の冷却器から受器に生成液が流下し始めた。この生成液の組成をガスクロマトグラフ法により分析してその組成の経時変化を観察し、生成液のエタノール組成が100%になった時点で反応終了とみなした。そして受器に溜まった生成液をガスクロマトグラフ法により分析し、生成物の生成量を求めた結果からトリアルコキシシランの選択率および珪素転化率を算出した。これらの結果を表1に示す。
【0032】
(実施例2)
アルコールとしてメタノールを使用する以外はすべて実施例1と同じ実験を行った。その結果を表1に示す。エタノールを使用した実施例1の結果に比べて若干金属珪素転化率が向上し、逆にトリ体の選択率が低下したが、これは金属珪素からトリ体ができる主反応と、トリ体がテトラ体に変わる副反応の両方でエタノールよりもメタノールの方が反応性が高いためであると思われる。
【0033】
(実施例3)
反応溶媒として、新日鉄化学(株)製サームエス800(主成分トリエチルジフェニル)を使用し、消泡剤としてポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン(重合度100)0.1gを添加した以外はすべて実施例1と同じ実験を行った。その結果を表1に示す。サームエス800は熱媒用のオイルであり、市場価格はドデシルベンゼンの10倍以上になるため、工業的に反応溶媒として利用するには問題があるが、合成反応の結果は実施例1とほぼ同じになった。
【0034】
(比較例1)
消泡剤の添加を行わなかった他は実施例1と全く同じ条件で実験を行った。その結果を表1に示す。
この例では反応途中で反応液の発泡が起きたため、噴出防止のためにエタノール供給速度を減らした。このため反応終了までの時間が長くかかり、エタノールの供給速度を減らした時点からトリ体の選択率が下がり、結果的に金属珪素の転化率の両方が低下してしまった。
【0035】
(比較例2)
消泡剤としてジメチルポリシロキサン(分子量1250)を0.1g添加した他は実施例1と全く同じ条件で実験を行った。その結果を表1に示す。
この例では反応途中で反応液の発泡が起きたため、噴出防止のためにエタノール供給速度を減らした。このため、反応終了までの時間が長くかかり、実施例1に比べるとトリ体の選択率、金属珪素の転化率の両方が低下した。また、反応途中から反応液の液量が増加してきたが、反応生成物の滞留が起きたためと思われる。
【0036】
(比較例3)
消泡剤の添加を行わなかった他は実施例3と全く同じ条件で実験を行った。その結果を表1に示す。この例では反応途中で反応液の発泡が起きたため、噴出防止のためにエタノール供給速度を減らした。このため、反応終了までの時間が長くかかり、また、エタノールの供給速度を減らした時点からトリ体の選択率が下がり、結果的に金属珪素の転化率の両方が低下してしまった。
【0037】
【表1】
Figure 0004151084
【0038】
【発明の効果】
反応溶媒を用いてアルコキシシランを合成する反応において、工業的に得られる汎用の反応溶媒を使用する場合でも、本発明の方法により、反応溶媒の発泡を抑制し、なおかつ高い珪素転化率および反応速度でアルコキシシランを製造することができる。

Claims (2)

  1. アルキルベンゼンまたはトリエチルジフェニル反応溶媒中で、金属珪素と炭素数1〜4のアルキルアルコールとを反応させてアルコキシシランを製造する方法において、反応系にフルオロシリコーンを添加し、160〜220℃で反応させることにより、反応途中の反応生成物の滞留を防ぐことを特徴とするアルコキシシランの製造方法。
  2. フルオロシリコーンが、主としてトリフルオロプロピルメチルシロキサン単位からなるシロキサン単位を1分子中に30〜300有する化合物であり、反応溶媒100重量部に対して0.003〜0.5重量部添加することにより、金属珪素転化率97.3%以上およびトリ体の選択率91.5%以上まで反応させることを特徴とする請求項1のアルコキシシランの製造方法。
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