JP4149610B2 - 複合弾性シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性ネットと短繊維不織ウエブとからなり、少なくとも一方向において高い伸縮性を有する複合弾性シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エストラマー素材からなる弾性ネットと不織布とを一体化させた複合弾性シートが、例えば、特開平10−195746号公報に提案されている。特開平10−195746号公報では、弾性ネットと繊維ウエブとが結合する結合部が、弾性ネットが伸縮性を有する方向に対して直行する方向に互いに平行な筋状に設けられ、一方行に高い伸縮性のある複合弾性シートを得ることが提案されている。しかし、弾性ネットと繊維ウエブとが、互いに平行な筋状の結合部によって一体化されているため、一方向においてのみ高い伸縮性が得られるものの、対して直行する方向や斜め方向には伸縮性が低く、また、得られた複合弾性シートに筋状の結合部による筋模様が存在するため見栄えにおいて問題がある。また、筋状の結合部以外の部分においては不織繊維ウエブと弾性ネットとの交絡度合が弱いために、耐摩耗性に劣り毛羽や繊維の脱落が発生しやすい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記問題を解決するものであって、弾性ネットと繊維ウエブからなる弾性シートを得るにあたり、一方向のみでなく、その斜め方向にも優れた伸縮性を有し、かつ、毛羽や繊維の脱落のない実用性の高い複合弾性シートを提供することにある。
【0004】
【発明を解決するための手段】
本発明は、前記課題を達成するもので、以下の構成を要旨とするものである。すなわち、本発明は、少なくとも一方向に伸縮性を有する弾性ネットの少なくとも片面に、潜在捲縮能を有しその潜在捲縮が顕在化した立体捲縮を有する短繊維からなる不織ウエブが積層された複合弾性シートであり、弾性ネットに短繊維が交絡しているとともに、不織ウエブを構成する短繊維相互が交絡してなり、かつ弾性ネットを構成する線状体の交点部は、不織ウエブが低密度化し、短繊維が弾性ネットに僅かにしか絡まない部分あるいは短繊維が絡み付かない部分であり、非交点部は、不織ウエブが高密度化し高密度に存在する短繊維同士が高度に交絡して形態保持していることを特徴とする複合弾性シートを要旨とするものである。
【0005】
また、本発明は、少なくとも一方向に伸縮性を有する弾性ネットの少なくとも片面に潜在捲縮能を有する短繊維からなる不織ウエブを積層して積層体を得、得られた積層体に高圧液体流を施して、弾性ネットに短繊維を交絡させるとともに、不織ウエブを構成する短繊維相互を交絡させることによって、弾性ネットと不織ウエブとを交絡一体化させ、かつ弾性ネットを構成する線状体の交点部においては不織ウエブを低密度化させて短繊維が弾性ネットに僅かだけ絡ませる、あるいは絡み付かせないとともに、非交点部においては不織ウエブを高密度化させて高密度に存在する短繊維同士を高度に交絡させて形態保持させた後に、短繊維を構成する低融点重合体成分の融点よりも低い温度で熱処理して短繊維の潜在捲縮能を顕在化させることを特徴とする複合弾性シートの製造方法を要旨とするものである。
【0006】
なお、本発明は、本件出願人が先に提案した特願平11−112128号を利用するものであり、複合弾性シートの伸縮特性をより向上させたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる弾性ネットは、少なくとも一方向に伸縮性を有すものである。弾性ネットが伸縮性を有する方向に伸長させた時の応力は小さいことが好ましく、具体的には、100%伸長時の応力が500g以下であることが好ましく、さらに好ましくは300g以下である。応力が大きい程、弾性ネットを伸長させるため大きな力が必要であることを意味している。100%伸長時の応力が500gを超える弾性ネットは、伸長させるために大きな力を要するため、本発明の複合弾性シートの材料としては適していない。
【0008】
本発明に用いる優れた伸縮性を有する弾性ネットの構成素材としては、エラストマー材料が挙げられる。エラストマー材料としては、SEBS(ポリスチレン/ポリエチレンブチレン/ポリスチレン)共重合体、S1S(ポリスチレン/ポリイソプレン/ポリスチレン)ブロック共重合体、SEPS(スチレン/エチレン/ポリプロピレン/スチレン)共重合体等のポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン等が挙げられる。
【0009】
弾性ネットの形態は、図1に示すごとく線状体2,3が経、緯に格子状に配列され交点が融着または接着等により固定してなる格子状ネット、線状体を粗く編んだ目の粗い編物、線状体を粗く織った目の粗い織物、エラストマーからなるフィルムをフィブリル化させて拡開したネット等が挙げられる。弾性ネットにおいて、線状体の交点部に節がなく全体が均一に平らであるものより、線状体の交点部に節を有しているものが好ましい。節を有する弾性ネットは、高圧液体流による交絡一体化処理の際に、交点部の不織ウエブを容易に低密度化することができる。すなわち、節はある程度の高さを有しているので、弾性ネットに積層した不織ウエブに高圧液体流を作用させた際、液体流は節上に存在する短繊維をずらし、交点部(節)に存在する不織ウエブの密度を減少させる。また、不織ウエブの目付や節の高さによっては、交点部には短繊維がほぼ存在せず、開孔となることもあり、弾性ネットの伸縮にネットに絡んだ短繊維が追随するには、開孔状態であることが好ましい。
【0010】
弾性ネットは、少なくとも一方向に高い伸縮性を有するものであればよく、上述の格子状ネットや織物を用いるのであれば、経糸および/または緯糸にエラストマー材料からなる線状体を配すればよい。また、短繊維との交絡性、弾性ネットの形態保持性等を考慮して、弾性ネットを構成する線状体の繊度は5〜2500デニールが好ましく、弾性ネットとして織物、格子状ネットを用いる場合、線状体の配設密度は、経および緯方向に1〜10本/cmが好ましい。
【0011】
本発明に用いる不織ウエブは、潜在捲縮能を有し、その潜在捲縮が顕在化した立体捲縮を有する短繊維からなる。ここで立体捲縮とは、押し込みクリンパー等により付与される機械捲縮のような二次元的な捲縮ではなく、三次元的なスパイラルクリンプのことである。潜在捲縮能を有する短繊維は、弛緩状態(張力がかからない状態)で熱処理することにより、潜在捲縮能が顕在化して立体捲縮を発現する。このような短繊維としては、繊維の長さ方向に沿って熱収縮性の異なる2種の重合体を偏心的に配した複合繊維が挙げられる。複合形態としては、繊維の長さ方向に沿って熱収縮性の異なる重合体成分が並列して配された並列型や、芯部が偏芯して配された偏心芯鞘型が挙げられる。
【0012】
捲縮の顕在化の度合いを考慮すると並列型のものが好ましい。複合形態が並列型の場合には、熱収縮性の異なる2種の重合体成分は互いに相溶性である必要がある。2種の重合体成分が互いに非相溶性であると、紡糸工程あるいは延伸工程において、該2成分間に層間剥離が生じ、操業性を著しく損なうばかりか、本発明が目的とする立体捲縮してなる短繊維が得られない。2種の重合体成分の組み合わせとしては、同一重合体で異粘度の組み合わせ、あるいはホモポリマーと共重合ポリマーの組み合わせが代表的に適用できる。同一重合体で異粘度の組み合わせの例としては、ポリオレフィン系であれば、(メルトフローレート10g/10分程度のポリプロピレン)/(メルフローレート30g/10分程度のポリプロピレン)、ポリエステル系であれば、(相対粘度1.5程度のポリエチレンテレフタレート)/(相対粘度1.3程度のポリエチレンテレフタレート)が代表的である。ホモポリマーと共重合ポリマーとの組み合わせの例としては、ポリオレフィン系であれば、ポリプロピレン/プロピレンとエチレンの共重合物、ポリエステル系であれば、ポリエチレンテレフタレート/エチレンテレフタレートとイソフタル酸との共重合物が代表的である。また、上記のものは一例であって、本発明の目的が達成しうる潜在捲縮機能を発現できるものであれば、いかなる組み合わせでもよい。
【0013】
一方、複合形態が偏心芯鞘型の場合には、熱収縮性の異なる2種の重合体は互いに相溶性であっても、非相溶性であってもよい。すなわち、該重合体同士が非相溶性であっても、偏心はしているものの芯鞘形状であるので、紡糸工程あるいは延伸工程において、層間剥離が生じる等のトラブルを生じることはない。
例えば、熱収縮性の異なる2種の重合体が相溶性である場合は、前述の並列型の場合と同じ組み合わせのものを用いるとよい。2種の重合体が非相溶性である組み合わせとしては、ポリエステル系重合体/ポリアミド系重合体、ポリエステル系重合体/ポリオレフィン系重合体、ポリアミド系重合体/ポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
【0014】
また、繊維の断面形状は、丸形、楕円形、菱形、三角形、T形、井形等の任意の形状を適宜選択すればよい。
【0015】
短繊維の単糸繊度は、1〜15デニールであることが好ましい。単糸繊度が1デニール未満であると、紡糸工程において製糸性の低下を招きやすい。逆に、単糸繊度が15デニール以上であると、短繊維同士の交絡性および短繊維とネットとの交絡性に劣る傾向となり、使用の際に交絡が解除され毛羽立つものとなるため好ましくない。
【0016】
本発明の不織ウエブの目付は、特に限定されるものではなく、使用する弾性ネットの種類や複合弾性シートの使用用途等によって適宜決定すればよいが、10〜150g/m2の範囲であることが好ましい。目付が10g/m2以下であると、不織ウエブの量が少ないために、複合弾性シートの風合いが劣り、例えば、人体に触れる用途に複合弾性シートを用いる場合には不向きとなる。一方、目付が150g/m2を超えると、短繊維同士を交絡させるための高圧液体流処理を施す際の加工のエネルギーが大きくなるためコスト高となり、また、内層部に存在する短繊維相互間の交絡および短繊維と弾性ネットとの交絡が十分になされないばかりか、得られる複合弾性シートの伸縮性が乏しくなるため好ましくない。また、不織ウエブを弾性ネットの両面に積層する場合は、両面に積層する短繊維不織ウエブの合計目付が上記範囲内とすることが好ましい。
【0017】
本発明で用いる潜在捲縮能を有する短繊維は、一般に以下のごとき方法で製造される。
すなわち、熱収縮性の異なる2種の重合体成分を従来公知の溶融複合紡糸法で紡糸し、横吹付や環状吹付等の従来公知の冷却装置を用いて吹付風により冷却した後、油剤を付与し、引取ローラーを介して未延伸糸として巻取機に巻き取る。引取ローラー速度は、500m/分〜2000m/分である。巻き取った未延伸糸を複数本引き揃え、公知の延伸機にて周速の異なるローラー群間で延伸する。次いで、前記延伸トウを押込式捲縮付与装置にて捲縮を付与した後、所定の繊維長に切断して短繊維を得ることができる。なお、要求される用途により、延伸トウに用いる重合体成分の融点以下の温度で熱セットを行ってもよい。
【0018】
上記の方法で得られた短繊維は、弛緩熱処理することにより、その繊維が有する潜在捲縮機能を顕在化し、スパイラルクリンプを発現する。スパイラルクリンプを有する短繊維は、それ自身もまた優れた伸縮性を有していることから、弾性ネットの伸縮を阻害することなく、より弾性ネットの伸縮に追随でき、優れた伸縮性能を有する複合弾性シートとなる。
【0019】
短繊維の有する潜在捲縮機能を顕在化するための熱処理は、弾性ネットと交絡一体化する前の不織ウエブの段階であっても、弾性ネットと交絡一体化した後でもどちらでもよいが、短繊維の交絡性および優れた伸縮性を有する複合弾性シートを得るために、弾性ネットと交絡一体化した後に熱処理することが好ましい。ただし、本発明における複合弾性シートは、潜在捲縮機能を有するものであって、未だ十分な捲縮の顕在化が行われていない短繊維を構成繊維とする複合弾性シートも包含することはいうまでもない。
【0020】
本発明の複合弾性シートは、前記弾性ネットの少なくとも片面に前記不織ウエブが積層された状態で、短繊維が弾性ネットに交絡することにより弾性ネットと不織ウエブが一体化し、また、短繊維相互が交絡することにより不織ウエブが形態保持している。また、弾性ネットを構成する線状体の交点部においては不織ウエブが低密度化しており、非交点部においては不織ウエブが高密度化している。不織ウエブが低密度化している状態は、短繊維がほぼ存在せず、孔が開いた状態であることが好ましい。
【0021】
弾性ネットに短繊維が絡み付くことで、弾性ネットと不織ウエブとが一体化しているが、弾性ネット全面に短繊維が均一に絡み付いたものでは、複合弾性シートを伸長させた時に、弾性ネットに絡み付いている短繊維は弾性ネットの伸びに追随することができず、短繊維の絡合が解けて毛羽となり、ひどいときは短繊維が脱落する。もしくは、短繊維の絡合度合が高い場合は、弾性ネットが本来有する伸びが、絡み付いた短繊維に阻害されて失われることになる。
【0022】
本発明においては、弾性ネット全面に短繊維を絡み付けるのではなく、短繊維が僅かにしか絡まない部分(不織ウエブの低密度化部分)、好ましくは絡み付かない部分(開孔部分)を意図的に設けることにより、弾性ネットの伸長性を阻害することなく、絡み付いている短繊維が弾性ネットの伸縮に際して同調追従することができる。また、本発明の複合弾性シートは、弾性ネットの伸縮方向のみでなく、その斜め方向においても優れた伸縮性を有する。
【0023】
次に、図面によって本発明の複合弾性シートを具体的に説明する。図1は、本発明で用いる弾性ネットの一例である格子状のネットの平面図である。弾性ネット1は、線状体2,3が経、緯に格子状に配列している。経糸および緯糸のいずれか一方、もしくは両方が高い伸縮性を有するエラストマーからなり、経糸と緯糸との交点部は融着または接着によって固定されている。
【0024】
図2は、本発明の複合弾性シートの一例を示す概略平面図である。弾性ネット1の片面もしくは両面に不織ウエブ4が積層されており、弾性ネットと不織ウエブは交絡一体化し、弾性ネットの交点部5において不織ウエブ4が低密度化している。図3は、本発明の複合弾性シートの一例を示す概略断面図である。弾性ネットの交点部5において不織ウエブが低密度化し、短繊維ウエブが弾性ネットの伸長時の動きに同調追従し易い構造となっており、非交点部6において不織ウエブは高密度化している。
【0025】
次に、本発明の複合弾性シートの好ましい製造方法を説明する。
まず、前述した潜在捲縮能を有する短繊維を用い、カード機によるカーディング法等によって不織ウエブを作成する。カーディング法では、不織ウエブの繊維並列を制御でき、例えば、カード機の進行方向に繊維の並びを配列したパラレルウエブ、パラレルウエブがクロスレイドされたウエブ、繊維がランダムに配列してなるランダムウエブ、あるいは両者の中間程度に繊維の並びを配列させたセミランダムウエブ等が挙げられ使用用途によって適宜選択すれば良い。
【0026】
次に、得られた不織ウエブを弾性ネットの片面もしくは両面に積層して積層体を得る。弾性ネットは、上述した理由により節を有するものを用いて、高圧液体流処理により弾性ネットを構成する線状体の交点部の不織ウエブを低密度化することが好ましい。得られた積層体に高圧液体流処理を施し弾性ネットと短繊維ウエブとを交絡一体化させるとともに、短繊維ウエブの構成繊維同士を交絡させ、弾性ネットを構成する線状体の交点部における不織ウエブを低密度化し、非交点部における不織ウエブを高密度化する。
【0027】
ここでいう高圧液体流処理とは、例えば孔径が0.05〜1.5mm、特に0.1〜4mmの噴射孔を噴射間隔0.05〜1.5mmで一列ないし複数列に複数個配設された装置を用いる。噴射孔から高圧力で噴射させて得られる水流すなわち高圧液体流を噴射し、多孔性支持部材上に載せた積層体に衝突させる。
【0028】
噴射孔の配列は、積層体の進行方向と直交する方向に列状に配列する。高圧液体流としては、常温あるいは温水を用いることができる。噴射孔と前記積層体との距離は、10〜150mmとするのが良い。この距離が10mm未満であると、この処理によって得られる複合弾性シートの地合が乱れ好ましくない。またこの距離が150mmを超えると高圧液体流が前記積層体に衝突した際の衝撃力が低下し短繊維相互間の交絡や短繊維と弾性ネットとの絡合が不十分となる傾向があり好ましくない。
【0029】
この高圧液体流の水圧は、製造法および弾性ネットの要求性能によって適宜選択されるが、一般的には20〜200kg/cm2の範囲とする。なお、処理する短繊維ウエブと弾性ネットよりなる積層体の目付等にも左右されるが、前記処理範囲内において、処理圧力が低いと嵩高で柔軟性に優れた複合弾性シートを得ることができる。逆に前記処理範囲内において、処理圧力が高いと短繊維相互間の交絡および、短繊維ウエブと弾性ネットとの絡合が強固なものとなり、目のつまった緻密な複合弾性シートが得られる。
【0030】
高圧液体流の処理圧力が20kg/cm2未満であると、短繊維相互間の交絡および、短繊維ウエブと弾性ネットとの絡合が十分に施されず、また、弾性ネットを構成する線状体の交点部の短繊維を移動させ十分に低密度化することができず、本発明の目的とする複合弾性シートを得ることができない。一方、高圧液体流の処理圧力が200kg/cm2を超えると水圧による衝撃によって、極端な例としては短繊維もしくは弾性ネットを構成する線状体を切断することとなるので好ましくない。
【0031】
高圧液体流を施す際に用いられる多孔性支持部材としては、例えば15〜150メッシュの金網製あるいは合成樹脂製のメッシュスクリーンや有孔板など、高圧液体流が複合弾性シートと支持部材を貫通するものであるなら特に限定されない。
【0032】
なお、短繊維ウエブと弾性ネットよりなる積層体の片面より高圧液体流を施した後、引き続き交絡の施された前記積層体を反転して高圧液体流を施すことによって、表裏共に緻密に交絡した複合弾性シートを得ることができるので、得られた複合弾性シートの用途等に応じて適宜この方法を適用すると良い。
【0033】
高圧液体流処理を施した後、処理後の複合弾性シートから過剰な水分を除去する。この過剰水分の除去には、公知の方法を採用することができ、例えば、マングルロール等の絞り装置を用いて過剰水分をある程度機械的に除去する。その後、引き続きサクションバンド方式の熱風循環乾燥機等の装置を用いて残余水分の除去を行う。
【0034】
乾燥処理後、引き続き、潜在捲縮能を顕在化するための弛緩熱処理、すなわち処理する複合シートに張力を掛けない状態で熱処理を行う。弛緩熱処理の方法としては、乾熱による熱風循環方式、加熱スチームを用いた湿熱方式等を効果的に用いることができる。熱風循環方式としては、処理する複合シートに対し両面より熱風が吹き出すシュリンク・ドライヤーが一般的に用いることができる。また、サクションバンド方式の熱処理機を用いてもよい。サクションバンド方式では、吹き出す風量および吸引される風量を規制し、処理する複合シートに余分な風量を付与しないで熱を付加することができる。すなわち、潜在捲縮能を有する短繊維に十分な熱量を付与し、しかも温度低下や上昇等が生じない範囲の吹き付け風量とし、かつこの吹き付け風量に対し僅かに低めの吸引量とすればいい。弛緩熱処理の際に重要な点は、短繊維の潜在捲縮能を十分に顕在化させ、スパイラルクリンプを発現させることにある。
【0035】
弛緩熱処理における熱処理温度は、短繊維を構成する低融点重合体の融点よりも5〜30℃の低い温度を適用する。処理温度と低融点重合体の融点との差が5℃未満であると、低融点重合体が溶融して繊維同士が融着してしまい、本発明が目的とする優れた伸縮性を有する複合シートが得られない。一方、低融点重合体の融点よりも30℃を超える低い温度で弛緩熱処理を行うと、スパイラルクリンプが十分に発現されない。
【0036】
なお、前記の交絡処理後の余分な水分を除去するための乾燥処理と潜在捲縮能を顕在化するための弛緩熱処理とを同時に行い、工程を簡略にしてもよい。
【0037】
【実施例】
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお実施例における各種特性値の測定は以下の方法によって実施した。
【0038】
(1)融点(℃):示差走査型熱量計(パーキンエルマ社製;DSC−2型)を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点(℃)とした。
【0039】
(2)ポリエステルの相対粘度:フェノールと四塩化エタンの等重量混合溶液を溶媒とし、この溶媒100ミリリットルに試料0.5gを溶解し、温度20℃の条件で常法により測定した。
【0040】
(3)ポリプロピレンのメルトフローレート(g/10分):ASTM−D−1238(L)に記載の方法に準じて測定した。以下、メルトフローレートをMFRと記す。
【0041】
(4)目付(g/m2):標準状態の試料から試料長15cm、試料幅5cmの試料片を10点を作成し、平衡水分にした後、各試料片の重量(g)を秤量し、得られた値を単位面積あたりに換算し、目付(g/m2)とした。
【0042】
(5)伸長弾性率(%):試料長30cm、試料幅5cmの試料片を5個作成し、各試料片毎に複合弾性シート横方向およびその方向から45度傾いた方向について、定速伸長型引張試験機(オリエンテック社製 テンシロンUTM−4−1−100)を用い、引張速度10cm/分、つかみ間隔10cmで伸長し、つかみ間隔の30%、すなわち6cmまで引き延ばし、1分間放置後同じ速度で除重し、3分間放置後再び同じ速度で一定伸びまで引き延ばす。記録した荷重―伸長曲線(図4)から残留伸びをはかり、次の式によって伸長弾性率(%)を算出した。試験回数は5回としその平均値で表す。
伸長弾性率(%)=100×(L−L1)/L
上式において、Lは30%伸長時の伸び(mm)、L1は残留伸び(mm)とする。
【0043】
(6)伸長回復率(%);伸長弾性率の測定で得た荷重―伸長曲線(図4)からAおよびBの部分の面積をそれぞれa、bとしたとき、次の式によって伸長回復率(%)を算出した。試験回数は5回としその平均値で表す。
伸長回復率(%);100×(b/a)
【0044】
実施例1
MFR28g/10分、融点160℃のポリプロピレンと、プロピレン重合体にエチレン重合体を4重量%共重合したMFR11g/10分、融点138℃の共重合ポリプロピレンとを、両重合体成分の複合比率(重量比)を1:1として、230℃の温度で溶融し、図5に示すごとき繊維横断面状を形成すべく複合紡糸口金を用いて、単孔吐出量0.79g/分として紡糸した。紡糸口金より紡出された重合体流を冷却し、1100m/分の速度で引取り未延伸糸を得た。この未延伸糸を複数本合糸し、延伸機を用いて延伸倍率3.5倍として延伸処理を施した。そして、延伸処理の施された糸条を押し込みクリンパーへ導き機械捲縮を付与した後、紡績油剤を付与し、乾燥処理を施し裁断した。ポリプロピレンと共重合ポリプロピレンとがともに繊維の糸条方向に露出するように並列に貼り合わせた形態で、単糸繊度2デニール、繊維長51mmの潜在捲縮能を有する短繊維を得た。得られた潜在捲縮能を有する短繊維をパラレルカード機にて目付50g/m2の不織ウエブを作成した。
【0045】
弾性ネットとしては、ネットの糸密度が経糸2.3本/1cm、緯糸5本/1cmであり、線状体のデニールが経糸30デニール、緯糸50デニール、緯方向の30%伸長時の伸長回復率80%、30%伸長時の伸長弾性率98%、経方向の30%伸長時の伸長回復率58%、30%伸長時の伸長弾性率91%で緯方向の伸縮性に優れた、目付50g/m2の弾性ネット(シェル・ケミカル株式会社製 商品名 KratonG)を用意した。
【0046】
次いで、前記弾性ネットと不織ウエブを、弾性ネットの片面に積層し、2層構造とし、100メッシュの金網上に積載し、高圧液体流処理を施した。高圧液体流処理は、孔径0.1mmの噴射孔が孔間隔0.6mmで配置された高圧液体流処理機を用いて70kg/cm2の条件下で前記積層体の両面に高圧液体流処理を施した。得られた積層不織布より過剰な水分を既知の水分除去装置であるマングルロールにより除去した。次いで、弛緩熱処理加工機(京都機械株式会社製 商品名 ルシオール)を用いて115℃で熱処理を行い、乾燥処理と潜在捲縮能を顕在化するための弛緩熱処理とを同時に行った。得られた複合弾性シートの物性を表1に示す。
【0047】
実施例2
実施例1において、目付25g/m2の不織ウエブを作成し、該不織ウエブを弾性ネットの両面に積層し、3層構造の積層体とした以外は、実施例1と同様にして本発明の複合弾性シートを得た。
【0048】
【表1】
Figure 0004149610
【0049】
表1に示したように、実施例1および2の複合弾性シートの伸長弾性率、伸長回復率は共に高い値を示しており、優れた伸縮性を有するものであった。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、少なくとも一方向に伸縮性を有する弾性ネットの少なくとも片面に立体捲縮を有する短繊維からなる不織ウエブが積層され、弾性ネットに短繊維が交絡しているとともに、不織ウエブを構成する短繊維相互が交絡して一体化してなる複合弾性シートであり、弾性ネットを構成する線状体の交点部においては不織ウエブが低密度化していることによって、伸縮性を有する弾性ネットの伸縮性を十分に活かした伸縮性に優れた複合弾性シートを得ることができたものである。
【0051】
すなわち、本発明においては、弾性ネット全面に短繊維を絡み付けるのではなく、短繊維が僅かにしか絡まない部分を意図的に設けることにより、弾性ネットの伸長性を阻害することなく、絡み付いている短繊維が弾性ネットの伸縮に際して同調追従することができ、また、弾性ネットの伸縮方向のみでなく、その斜め方向においても優れた伸縮性を得ることができる。
【0052】
また、弾性ネットの交点部以外の部分(非交点部)は、高密度に存在する短繊維同士が高度に交絡して形態保持してなる部分であるため、肌触りがよく柔軟性に優れ、使用時の摩耗により毛羽や繊維脱落がなく実用性が高い。
【0053】
また、本発明においては、短繊維として高度な立体捲縮を有する繊維を用いている。したがって、短繊維自身もまた、高い伸縮性を有しており、弾性ネットの伸縮により追随することができるため、弾性ネットの伸縮性を十分に活かすことができる。さらには、短繊維が立体捲縮を有するため、柔軟で肌触りがよく、嵩高性に優れた複合弾性シートとなる。
【0054】
本発明の複合弾性シートは、上記効果を有するものであるので、おむつ、生理用品、リストバンド、サポーター、パップ剤基布、その他の医療・衛生材料や生活関連資材等の様々の分野において好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる弾性ネットの一例である格子状のネットの平面図である。
【図2】本発明の複合弾性シートの一例を示す概略平面図である。
【図3】本発明の複合弾性シートの一例を示す概略断面図である。
【図4】荷重―伸長曲線図である。
【図5】本発明に用いる短繊維の横断面の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 弾性ネット
2、3 線状体
4 短繊維不織ウエブ
5 弾性ネットを構成する線状体の交点部
6 非交点部
7 複合弾性シート

Claims (4)

  1. 少なくとも一方向に伸縮性を有する弾性ネットの少なくとも片面に、潜在捲縮能を有しその潜在捲縮が顕在化した立体捲縮を有する短繊維からなる不織ウエブが積層された複合弾性シートであり、弾性ネットに短繊維が交絡しているとともに、不織ウエブを構成する短繊維相互が交絡してなり、かつ弾性ネットを構成する線状体の交点部は、不織ウエブが低密度化し、短繊維が弾性ネットに僅かにしか絡まない部分あるいは短繊維が絡み付かない部分であり、非交点部は、不織ウエブが高密度化し高密度に存在する短繊維同士が高度に交絡して形態保持していることを特徴とする複合弾性シート。
  2. 弾性ネットを構成する線状体の交点部においては、短繊維がほぼ存在せず開孔状態となっていることを特徴とする請求項1記載の複合弾性シート。
  3. 短繊維が、相互に熱収縮性の異なる2種の重合体成分が繊維の長さ方向に沿って並設した繊維と、相互に熱収縮性の異なる2種の重合体成分が偏心芯鞘構造に配設された繊維のうちの一つであることを特徴とする請求項1記載の複合弾性シート。
  4. 少なくとも一方向に伸縮性を有する弾性ネットの少なくとも片面に潜在捲縮能を有する短繊維からなる不織ウエブを積層して積層体を得、得られた積層体に高圧液体流を施して、弾性ネットに短繊維を交絡させるとともに、不織ウエブを構成する短繊維相互を交絡させることによって、弾性ネットと不織ウエブとを交絡一体化させ、かつ弾性ネットを構成する線状体の交点部においては不織ウエブを低密度化させて短繊維が弾性ネットに僅かだけ絡ませる、あるいは絡み付かせないとともに、非交点部においては不織ウエブを高密度化させて高密度に存在する短繊維同士を高度に交絡させて形態保持させた後に、短繊維を構成する低融点重合体成分の融点よりも低い温度で熱処理して短繊維の潜在捲縮能を顕在化させることを特徴とする複合弾性シートの製造方法。
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