JP4438181B2 - 潜在捲縮性複合繊維及びそれを用いた不織布 - Google Patents

潜在捲縮性複合繊維及びそれを用いた不織布 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱処理により捲縮が発現する潜在捲縮性を有するポリオレフィン系複合繊維及びそれを用いた不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、嵩高な不織布を得る手法の一つに、クリンパー等の捲縮付与手段を用いて機械的にジグザグ型の捲縮を付与した繊維や、繊維の複合形態を並列型・偏心鞘芯型とし、延伸等の手段で繊維内部に歪みを生じさせることにより立体螺旋捲縮を付与した繊維を用いる方法があった。
【0003】
例えば、特開平2−191720号公報には、鞘成分として主にエチレン−プロピレンランダム共重合体を配し、芯成分に結晶性ポリプロピレンを配した鞘芯型複合繊維が提案されている。これは、この繊維からなるウェブに熱処理を施すことにより、鞘成分として用いているエチレン−プロピレンランダム共重合体の熱収縮特性を利用し、不織布加工時に潜在捲縮を発現させ、嵩高な不織布を製造するものである。しかしながら、鞘成分に配したエチレン−プロピレンランダム共重合体の金属摩擦抵抗は、一般に繊維に用いるような他の樹脂(例えば高密度ポリエチレン)に比べて非常に高いため、カード機から排出されにくく、均一なウェブを得ることが難しいという問題があり、得られた不織布においても、鞘成分の樹脂の特性に起因する特有のぬめり感、べたつき感があった。またカード機に原綿を投入する際には、一般に開繊機により繊維塊を開繊し、送風管によりカード機まで原綿を輸送する手段が採られるが、金属摩擦抵抗の高い繊維は送風管の壁面に綿が付着する輸送性不良の問題があった。さらに、カード工程を必要としないスパンボンド法によって、これらの樹脂を組み合わせて複合長繊維を紡糸した場合においても、繊維表面を覆ったエチレン−プロピレンランダム共重合体の高い繊維間摩擦により繊維の開繊性が悪く、コンベア上に集積されたウェブの地合が乱れる問題があった。以上のように現在まで、潜在捲縮性を有する繊維を用いた嵩高で良好な地合の不織布は得られていないのが実状であるが、近年、紙オムツや生理用品市場競争の激化に伴って、さらに風合いがよく、嵩高な不織布を要望する声が高まっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決し、嵩高で、風合いが良好な不織布およびその原料となる潜在捲縮性複合繊維を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、以下の手段を見いだし、本発明の完成に至った。本発明は以下の構成からなる。すなわち、
(1)融点が160℃以上のポリプロピレンを第1成分とし、融点Tm(℃)が120≦Tm(℃)≦147の範囲にあるプロピレン共重合体を第2成分とする複合繊維であって、第1成分が複合繊維表面の80%以上を占めており、繊維横断面における第1成分と第2成分の面積比は65/35〜35/65であり、かつ複合繊維の重心と第2成分部分の重心の位置が異なるところにあることを特徴とする潜在捲縮性複合繊維。
(2)複合繊維の第2成分が、プロピレン含量90〜98重量%、エチレン含量1〜7重量%、ブテン−1含量1〜5重量%のエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体である前記(1)項記載の潜在捲縮性複合繊維。
(3)潜在捲縮性複合繊維が偏心鞘芯型複合繊維である前記(1)項若しくは前記(2)項記載の潜在捲縮性複合繊維。
(4)潜在捲縮性複合繊維が長繊維である前記(1)〜(3)項のいずれか1項記載の潜在捲縮性複合繊維。
(5)潜在捲縮性複合繊維が該潜在捲縮性複合繊維を含むウェブにおいて、繊維機械方向の熱収縮率が60%以上、これに直交する方向の熱収縮率が40%以上となる特徴を有する前記(1)〜(4)項のいずれか1項記載の潜在捲縮性複合繊維。
(6)前記(1)〜(5)項のいずれか1項記載の潜在捲縮性複合繊維からなる不織布。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の具体的態様を示す。
本発明の潜在捲縮性複合繊維を構成する第1成分として用いられる融点160℃以上のポリプロピレンとは、表面平滑性に優れる結晶性ポリプロピレンであり、プロピレン単独重合体、若しくはプロピレンと、少量の、通常は2重量%以下のα−オレフィンとの共重合体である。
このようなポリプロピレンとしては、汎用のチーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒から得られる結晶性ポリプロピレンを例示できる。その中でも曳糸性、潜在捲縮性の点から、後述する方法によって測定するQ値(重量平均分子量/数平均分子量)が小さい、すなわち好ましくは4以下、より好ましくは3以下である分子量分布が狭い結晶性ポリプロピレンが本発明においては好適に使用できる。本発明の効果を著しく損なわなければ、第1成分として、これらの結晶性ポリプロピレン同士を混合したものや、異なる分子量分布、メルトフローレート(MFR)等を有する結晶性ポリプロピレンや他の熱可塑性樹脂を添加したものを用いたり、また必要に応じて、二酸化チタン、炭酸カルシウムおよび水酸化マグネシウム等の無機物や、難燃剤、顔料及びその他のポリマーを添加したポリプロピレンを用いてもよい。
【0007】
本発明の潜在捲縮性複合繊維を構成する第2成分としては、加工性の点から比較的低温で熱収縮を起こし、なおかつ繊維形成性を有する融点Tm(℃)が120≦Tm(℃)≦147の範囲にあるプロピレン共重合体が用いられる。このようなプロピレン共重合体はプロピレンを主として、これと他のα−オレフィン(エチレンを含む)とを共重合することにより得ることができる。このようなα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチル−ペンテン−1等を例示でき、またこれらのα−オレフィンのうち2種以上を併用することもできる。プロピレン共重合体の具体例としてはエチレン−プロピレン二元共重合体、プロピレン−ブテン−1二元共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体、プロピレン−ヘキセン−1二元共重合体、プロピレン−オクテン−1二元共重合体等、およびこれらの混合物を例示することができる。これらの共重合体は通常、ランダム共重合体であるが場合によりブロック共重合体であってもよい。
【0008】
本発明の潜在捲縮性繊維の第2成分として使用できる、融点Tm(℃)が前述した範囲内に含まれるプロピレン共重合体の中でも、プロピレン含量90〜98重量%、エチレン含量1〜7重量%、ブテン−1含量1〜5重量%のエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体や、プロピレン含量93〜99重量%、エチレン含量1〜7重量%のエチレン−プロピレン二元共重合体が収縮力、低温加工性、コスト面から特に好ましい。
【0009】
なお、融点Tm(℃)が120℃未満のプロピレン共重合体は、ゴム弾性を示すために、得られた繊維のカード加工性に悪影響を与えることがある。また、融点Tm(℃)が147℃を越えるプロピレン共重合体を第2成分として使用した場合には、得られた繊維の熱収縮性が通常のポリプロピレン単一成分からなる繊維の熱収縮性程度まで低下する。したがって、プロピレン共重合体の融点を前述した範囲とすることで、カード加工性、熱収縮性を両立した潜在捲縮性繊維を得ることができる。
なお、本発明の潜在捲縮性複合繊維の熱収縮性を極端に低下させない程度、または熱収縮性を軽度に抑制する程度であれば、必要に応じて第2成分に、二酸化チタン,炭酸カルシウムおよび水酸化マグネシウム等の無機物や、難燃剤、顔料及びその他の熱可塑性樹脂などを添加しても差し支えない。
【0010】
本発明の潜在捲縮性繊維の断面図を、図1〜3に示す。本発明の潜在捲縮性複合繊維において第1成分と第2成分の複合形態は、第1成分が複合繊維表面を占め、かつ第2成分が第1成分に包まれるように構成されるとともに、繊維横断面の重心と第2成分の重心の位置が異なるように配した、偏心鞘芯型の構造が最も好ましい。これは複合繊維が同心円構造をとった場合には、熱処理を施しても嵩高性を十分に発現できるだけの捲縮が発現しないためである。偏心鞘芯型の配置は、図1のような断面形状が一般的であるが、図2のように偏心の程度を大きくし、第1成分が繊維の表面に一部露出した形状でも、潜在捲縮性を高めることができるため、本発明の効果が繊維表面に一部露出した第1成分の摩擦により妨げられない程度であるならば採用することができる。なお、この場合には第1成分が繊維表面の80%以上を占めるようにすることが必要である。さらにまた、図3に示すように、芯成分の断面形状が異形(非円形)である場合も熱収縮の差による潜在捲縮性を高めることができる。
【0011】
さらに、複合繊維に潜在捲縮性を付与するためには、複合繊維の第1成分と第2成分の面積比(鞘芯型複合繊維の場合、繊維を軸方向と直交する方向に切った切断面における鞘成分と芯成分の面積比)が、65/35〜35/65の範囲であることが必要であり、55/45〜45/55の範囲であることがより好ましい。第2成分の面積の割合が35%を大きく下回ると、熱処理時(収縮加工時)に潜在捲縮性によって生じる収縮力が低下するとともに繊維に十分な捲縮が発現しないため、嵩高い不織布を得ることができない。逆に65%を大きく超えると、繊維は過剰な収縮を起こすため不織布を均一に収縮させることが困難であり、極端な場合には繊維塊を発生し、不織布を得られない場合がある。
【0012】
本発明の潜在捲縮性複合繊維はウェブに加工した状態で少なくとも繊維機械方向(以下MDと略称する)において50%以上の熱収縮率を示すことが好ましく、他の繊維を混綿して用いる場合を考慮すると、MDにおいて60%以上、これに直交する方向(以下CDと略称する)において40%以上の熱収縮率を示すことがより好ましい。MDにおける熱収縮率が50%を大幅に下回る場合、得られる不織布の嵩は低くなってしまう。
【0013】
本発明の潜在捲縮性複合繊維を製造する方法としては、溶融紡糸法、スパンボンド法、メルトブロー法等の各種公知の紡糸法が例示でき、これらの加工法を適宜使い分けることにより、マルチフィラメント、モノフィラメント、ステープルファイバー、トウ、不織布を得ることができる。
【0014】
カード工程を必要とするステープルファイバーとして本発明の潜在捲縮性繊維を使用する場合には、繊維に良好なカード通過性を付与するために、適切な数の捲縮を付与しなければならない。この捲縮数は繊維の繊度によって適当な範囲があるが、通常は、10〜25山/2.54cm(1インチ)であることが好ましい。捲縮数がこの範囲を大きく下回る場合には、カード加工時に繊維がシリンダーやドッファに巻き付いたり、ウェブが切れてしまったりといった問題が生じやすくなり、またこの範囲を大きく超える場合には、カード加工時にネップが発生したり、均一なウェブを得ることが難しくなるといった問題が生じる。嵩高で地合のよい不織布を得るためには前述した範囲内に捲縮数を調節する必要がある。
【0015】
繊維の繊度は特に限定されるものではなく、使用するプロピレン共重合体の物性や、繊維の用途に応じて適宜選択されるものである。例えば、使い捨てオムツ、生理用ナプキンの表面材等の吸収性物品等に代表される衛材に用いる場合には、0.1〜10dtexの範囲、ニードルパンチカーペットやタフテッドカーペット等に用いられる場合には、8〜80dtexの範囲、モノフィラメント等の土木材料に用いる場合には、50〜7000dtexの範囲がそれぞれ好ましい。
【0016】
溶融紡糸法において、本発明の潜在捲縮性複合繊維を短繊維とした場合、繊維のカット長は特に限定されるものではなく、使用する繊維の加工法、用途に応じて適宜選択すればよい。ローラーカード機またはランダムウエバー等により、ランダムウェブ、パラレルウェブあるいはクロスラップウェブ等のウェブを作製する場合、カット長は20〜125mmとすることが好ましく、またカード通過性、不織布の地合いのためには、25〜75mmのカット長がより好ましい。また、エアーレイド法や、抄紙法によりウェブを作製する場合には、カット長は20mm未満とすることが好ましい。
【0017】
本発明の潜在捲縮性複合繊維を用いて嵩高な不織布を製造するためには、主として繊維からなるウェブに熱処理を施こすことで、繊維の潜在捲縮を発現させると同時に、ウェブを熱収縮させて一体化する必要がある。加熱処理には、汎用の熱風循環装置や、フローティングドライヤー等の加熱処理装置が使用できるが、ウェブをより均一に収縮させることができるフローティングドライヤーの使用がより好ましい。この装置の特徴はウェブの搬送空間の上面及び下面に設置されたノズルから熱風を噴出し、この熱風によりウェブを浮遊させ、空気搬送と同時に熱収縮を生じさせるために、より均一な不織布が得られることである。しかしながら、いずれの装置を使用する場合においてもウェブが切れたり、繊維が飛散することを防ぐために、ニードルパンチ法、エンボスロール法、超音波融着法および/または高圧水流交絡法等の公知の不織布加工法を用いることで、ウェブを仮止めしておくことが重要である。
【0018】
本発明の潜在捲縮性複合繊維からなる不織布の目付は、使用目的によって適宜選ばれる。例えば、吸収性物品の表面材等に使用される場合には、5〜100g/m2の範囲、ドレーン材等の土木資材に用いられる場合には、50〜2000g/m2の範囲がそれぞれ好ましい。また、不織布は目的に応じて積層することができ、スパンボンド不織布/潜在捲縮性複合繊維からなる不織布/スパンボンド不織布の組み合わせ、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/潜在捲縮性複合繊維からなる不織布の組み合わせ等を例示できる。
【0019】
また本発明の潜在捲縮性複合繊維は、単独で使用されるだけでなく、本願発明の効果を妨げない範囲であれば、他の繊維と、混綿、混紡、混繊、交編、交繊することなどにより、編織物、繊維成形品等の一次繊維製品とすることができる。また、本発明の潜在捲縮性複合繊維は、捲縮が顕在化した後には適度な伸縮性と良好な風合いとを有するので、さらに二次加工を行うことにより、肌着、シャツ、ブラウス、靴下、足袋などの衣料分野、中入綿、布団側地、シーツ、ベッドカバー、枕カバー、座布団等の寝装寝具分野、手術用マスク、手術着、キャップ、診察着、ガーゼ、包帯等の医療分野、パップ材等の医薬外分野、生理用品、使い捨て紙おむつ、失禁用パッド等の衛生材料分野、カーペット、カーテン、壁紙等の寝具インテリア分野、靴の内張り材、中敷、履き物素材等の分野、果実保護材、食害防止材等の農園芸用資材、菓子包装材、食品包装材、風呂敷、タオル、おしぼり、たわし、テーブルクロス、エプロン、キッチン布巾、化粧用パフ、ティーパック、ワイピングクロス等のフィルター材分野等の広範囲な分野に使用できる。
【0020】
混綿、混紡、混繊、交編、交繊等に用いる他繊維は特に限定されず、例えばナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維等のポリオレフィン系繊維等が目的に応じて利用できる。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例、比較例において用いられている用語の定義及び測定方法は以下の通りである。
【0022】
(1)融点:(単位 ℃)
DuPont社製示差走査熱量計DSC−10により、原料樹脂を10℃/分で昇温した時に得られた融解吸収曲線上のピークに対応する温度をその原料樹脂の融点とした。
【0023】
(2)MFR:(単位 g/10分)
JIS K 7210 条件14(230℃、21.18N)に準じて測定した。MFR(紡糸前)は紡糸前の樹脂を試料とし測定した値であり、MFR(紡糸後)は、紡糸機により溶融押出した後に採取した樹脂について同様に測定した値である。なお、ポリエステルについては、MFRの測定を省略した。
【0024】
(3)Q値:(重量平均分子量/数平均分子量)
Q値は、ゲルパーミエイションクロマトグラフ法により求めた樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)である。なお、ここでは紡糸前の樹脂の値を示した。
【0025】
(4)繊度:(単位 dtex)
繊維を走査型電子顕微鏡によって観察し、得られた画像から100本の繊維の直径を測定し、その平均値から繊度を算出した。
【0026】
(5)捲縮数:(単位 山数/2.54cm)
短繊維試料については、10本の繊維について2.54cm当たりの捲縮数を数え、平均した値をここでは捲縮数とした。
【0027】
(6)熱収縮率:(単位 %)
25×25cm、目付約200g/m2のウェブを、クラフト紙にのせて145℃に維持した対流型熱風乾燥機に入れ、5分間加熱処理した。熱処理前後のウェブのMD、CDのそれぞれの長さから、熱収縮率を次式により算出した。
熱収縮率(%)=(1−a/25)×100
なお、式中のaは熱処理後のウェブのMDまたはCDの長さである。
【0028】
(7)曳糸性
溶融紡糸法により紡糸したとき、10時間当りの糸切れの発生回数を測定し、以下の3段階で曳糸性を評価した。
良好:糸切れが発生せず、生産に最も好ましいもの。
良:糸切れ回数が1回以上3回未満のもの。
不良:糸切れ回数が4回以上発生し、生産効率上問題があるもの。
【0029】
(8)カード適性
短繊維試料50gをミニチュアカード機に投入し、ミニチュアカード機から排出されるウェブと、ミニチュアカード機内の繊維の状態を以下の基準で目視判定した。
適:ウェブが均一であり地合が良く、排出性も良好なもの。
不適:原綿がカード機内部のシリンダーやドッファに巻き付き、加工に問題があるもの。
【0030】
(9)地合い
目付約20g/m2のウェブに、145℃に加熱した熱風循環装置中で1分間熱処理を施し、得られた不織布の地合いについて以下のような3段階の基準で目視判定した。
良好:均一に熱収縮を起こし、地合いが良好な不織布が得られたもの。
良:ほぼ均一に熱収縮を起こし、地合いの乱れが僅かに見られるものの、実用上問題ないと考えられるもの。
不良:熱収縮が均一に起こらず地合いの乱れがあるもの、または収縮率が小さいもの
【0031】
(10)風合い
目付約20g/m2のウェブに145℃に加熱した熱風循環装置中で1分間、熱処理を施した。得られた不織布の触感を10人のパネラーによる官能試験によって、以下の基準で風合いを4段階で採点し、その平均値を四捨五入して評価した。
4:不織布が嵩高く、伸縮性を示すとともに柔らかいもの
3:不織布は嵩高く、柔らかいが伸縮性にわずかに欠けるもの
2:不織布に嵩がなく、硬く感じられるとともに伸縮性に欠けるもの
1:ほとんど収縮せず、軽く引っ張っただけで破断してしまうため実用上問題となるもの
【0032】
(11)開繊性
スパンボンド紡糸装置により紡糸した繊維を無端ネット状コンベア上に捕集し、捕集された長繊維ウェブの開繊状態を目視によって、以下の3段階に評価した。
良好:均一に開繊しているもの
良:ほぼ均一に開繊し、疎密が僅かであるもの
不良:開繊状態に乱れがあり、製品として使用できないと考えられるもの
【0033】
実施例1〜5、比較例1〜4
ポリプロピレン、ポリエステル(I.V.値0.67)、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体のいずれかを第1成分とし、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体、エチレン−プロピレン二元共重合体、ポリプロピレンのいずれかを第2成分として用い、押出機、孔径0.8mmの偏心鞘芯型紡糸口金、並列型紡糸口金もしくは同心鞘芯型紡糸口金のいずれか一種と、巻取り装置等を備えた紡糸装置と、多段加熱ロールとスタッファーボックス型クリンパーを備えた延伸装置を用い、複合繊維を製造し、得られた繊維の熱収縮率を測定した。
【0034】
それぞれの複合繊維及び不織布のデータについては、実施例1〜5を表1に、比較例1〜4を表2に示した。
【0035】
【表1】
Figure 0004438181
【0036】
【表2】
Figure 0004438181
【0037】
比較例1では、第2成分に用いたプロピレン共重合体が、熱収縮性に乏しいため、製造した複合繊維に熱処理を施しても十分な捲縮が発現せず熱収縮率が極端に低くなっていた。また、比較例2については、第2成分が実施例2と同じものを用いたが、鞘成分として用いたポリエステルの剛性が高いために、熱収縮が起こらず、嵩高な不織布は得られなかった。比較例3では繊維の重心と第2成分の重心の位置が同一であるため熱収縮率が小さく、比較例4では、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体を第1成分に用いたところ、熱収縮には効果があるものの、カード適性などの加工性に問題があるものであった。
【0038】
実施例6〜9、比較例5〜6
表3、表4に示したように、結晶性ポリプロピレン、エチレン−プロピレン二元共重合体を第1成分とし、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体または、その他の重合体を第2成分として用いて、スパンボンド紡糸装置により複合紡糸を行い、得られたスパンボンド長繊維不織布の物性測定、評価を行った。繊維断面に応じた口金を用い、紡糸口金から吐出した複合繊維群をエアーサッカーに導入して牽引延伸し、複合長繊維を得、続いてエアーサッカーより排出された前記長繊維群を、帯電装置により同電荷を付与せしめ帯電させた後、反射板に衝突させて開繊し、開繊した長繊維群を裏面に吸引装置を設けた無端ネット状コンベア上に、長繊維ウェブとして捕集する。
【0039】
それぞれの長繊維不織布についてのデータは、実施例6〜9を表3に、比較例5〜6を表4に示した。
【0040】
【表3】
Figure 0004438181
【0041】
【表4】
Figure 0004438181
【0042】
比較例5では、複合形態が同心鞘芯であったため、製造した不織布に熱処理を施しても捲縮は生じず、比較例6については第1成分にプロピレン共重合体を用いたため開繊性等の加工性に問題があった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の潜在捲縮性複合繊維は、繊維表面に対金属摩擦抵抗が低いポリプロピレン、繊維内部に対金属摩擦抵抗が高いプロピレン共重合体を配したため、繊維の対金属摩擦抵抗が低くなり、カード通過性などの加工性が良好であると共に、以下の優れた効果がある。
(1)熱処理によりウェブ中の繊維に捲縮が発現するため嵩高な不織布が得られる。特に機械捲縮付与手段を使用できないスパンボンド法、メルトブロー法によって紡糸された長繊維に捲縮を容易に付与でき、嵩高な不織布が得られる。
(2)短繊維の場合、繊維表面の摩擦を低減させたことによりカード加工時に均一なウェブを得ることができる。またウェブに熱処理を施し捲縮を発現させることで嵩高で良好な地合の不織布が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏心鞘芯型複合繊維の断面図である。
【図2】偏心鞘芯型複合繊維の断面図である(偏心の度合いを高めたもの)。
【図3】異形の芯を有する鞘芯型複合繊維の断面図である。
【符号の説明】
1 偏心鞘芯型複合繊維を構成する第1成分
2 偏心鞘芯型複合繊維を構成する第2成分
3 並列型複合繊維を構成する第1成分
4 並列型複合繊維を構成する第2成分
5 複合繊維を構成する第1成分
6 複合繊維を構成する第2成分

Claims (7)

  1. 融点が160℃以上のポリプロピレンを第1成分とし、融点Tm(℃)が120≦Tm(℃)≦147の範囲にあるプロピレン共重合体を第2成分とする複合繊維であって、第1成分が複合繊維表面の80%以上を占めており、繊維横断面における第1成分と第2成分の面積比は65/35〜35/65であり、かつ複合繊維の重心と第2成分部分の重心の位置が異なる潜在捲縮性複合繊維を用いて得られるウェブに熱処理を施こすことで、繊維の捲縮を顕在化させると同時に、ウェブを熱収縮させることによって、ウェブ中の繊維を一体化させて得られる不織布
  2. 複合繊維の第2成分が、プロピレン含量90〜98重量%、エチレン含量1〜7重量%、ブテン−1含量1〜5重量%のエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体である請求項1記載の不織布
  3. 潜在捲縮性複合繊維が偏心鞘芯型複合繊維である請求項1若しくは請求項2記載の不織布
  4. 潜在捲縮性複合繊維が長繊維である請求項1〜3のいずれか1項記載の不織布
  5. 潜在捲縮性複合繊維が該潜在捲縮性複合繊維を含むウェブにおいて、繊維機械方向の熱収縮率が60%以上、これに直交する方向の熱収縮率が40%以上となる特徴を有する請求項1〜4のいずれか1項記載の不織布
  6. 融点が160℃以上のポリプロピレンを第1成分とし、融点Tm(℃)が120≦Tm(℃)≦147の範囲にあるプロピレン共重合体を第2成分とする複合繊維であり、第1成分が複合繊維表面の80%以上を占めており、繊維横断面における第1成分と第2成分の面積比は65/35〜35/65であり、かつ複合繊維の重心と第2成分部分の重心の位置が異なる潜在捲縮性複合繊維を用いて得られるウェブに熱処理を施こすことで、繊維の捲縮を顕在化させると同時に、ウェブを熱収縮させることによって、ウェブ中の繊維を一体化させて不織布化させることを特徴とする不織布の製造方法。
  7. 熱処理が、ウェブの搬送空間の上面及び下面に設置されたノズルから熱風を噴出し、この熱風によりウェブを浮遊させ、空気搬送と同時に熱収縮を生じさせる方法である、請求項6記載の不織布の製造方法。
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