JP4147216B2 - 遊動環型メカニカルシール - Google Patents

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Description

本発明は、例えば火力発電所のボイラ循環ポンプやボイラ給水ポンプの軸封のように、高温、高圧の条件下で好適に使用されるメカニカルシールに係り、詳しくは、回転軸側の回転環とシールケーシング側の静止環との間に遊動環を挟圧保持させる遊動環型メカニカルシールに関するものである。
この種の遊動環型メカニカルシールは、回転側の部材である回転環と、固定側の部材である静止環との間に、回転軸心方向において対称又はほぼ対称形状の遊動環を挟圧保持させることにより、その遊動環を介して回転環と静止環との間を良好にシールする構造のものであって、特許文献1や特許文献2において開示されたものが知られている。
そのシール構造を詳しく説明すると、図1や図2に示すように、回転軸1と一体回転する回転環6と、ケーシング2に軸心P方向へ摺動自在に保持され、かつ、軸心P方向の回転環6側に弾発付勢された静止環4との間に、断面形状が軸心P方向でほぼ対称で円環状の遊動環5を挟圧保持させる構成であり、回転環6と遊動環5との接触面であるシール面6a,5cの相対回転摺接作用により、被シール領域Eと被シール領域Fとを遮蔽シールすることができる。遊動環5は、円環状の本体部5Aとその軸心P方向の両端面から軸心P方向に突設されたほぼ同一形状で円環状の押圧部5B及びシール部5Cとからなる断面形状が凸形のものであって、押圧部5Bの端面である押圧面5bが静止環4の端面である押圧面4aに接触自在であるとともに、シール部5Cの端面であるシール面5cが回転環6の端面であるシール面6aと相対回転摺接自在に構成されている。
ところで、遊動環を有さず、回転環と静止環との相対回転摺接作用により被密封流体をシールするように構成された一般的なメカニカルシールにおいては、これを高圧条件下で使用した場合には、回転環と静止環との接触面であるシール面の平行性が損なわれ、良好なシール機能を発揮できなくなる。すなわち、静止環は回転環に追従できるようにシールケーシングに軸心方向へ摺動自在に保持されたものであるから、ケーシングで保持されている基端側部分では被密封流体領域の流体圧力による影響を殆ど受けないのに対して、回転環に追従することでフリーな状態にある先端側部分つまりシール面側部分ではその影響(圧力歪)が大きい。従って、静止環における軸心方向の圧力歪分布が不均一となり、換言すれば圧力歪が基端側部分と先端側部分とで大きく異なり、静止環が軸線に対して大きく歪むことになる。その結果、静止環のシール面が傾いて、回転環のシール面との平行性が著しく損なわれる不都合に発展する。
これに対して、上述の遊動環型メカニカルシールにおいては、回転環6との相対回転摺接作用によりシール機能を発揮するための遊動環5が、回転環6と静止環4との間に挟圧保持された対称又はほぼ対称形状を呈するものであるから、被シール領域Eの流体圧力による影響を軸心方向においてバランスよく受け得ることとなる。すなわち、遊動環5に生じる圧力歪は両端側部分でほぼ同一となり、軸心に対して大きく歪むことがない。従って、高温や高圧条件下においても、遊動環5のシール面5cが回転環6のシール面6aに対して傾くようなことがなく、各シール面5c,6aの平行性が維持されて良好なシール機能を発揮することができる。
このような遊動環型メカニカルシールでは、図1、図2に示すように、遊動環5の芯出し(センターリング)機能を有する筒状のアダプタDが装備されているのが一般的である。アダプタDは、その根元側端部がリテーナ7とフランジ(ケーシング)2とで挟まれることで位置決め状態で支持されるとともに、その先端部が遊動環5を内嵌支持する構成とされており、前述した芯出し機能のほか、周方向に多数形成された径方向の行き来孔16によるフラッシングの分散機能、シール部の異物からの保護機能を発揮するとともに、静止環4等の静止側シール部分を一体化(モジュール化)する機能を有することもある機能部品である。従来、このアダプタは、前述の特許文献1や2において開示されるように、単一の筒状部品に構成されて組み込まれていた。
特開平9−229205号公報 特開2004−293766号公報
例えば、遊動環型メカニカルシールが用いられるポンプが横型の場合等においては、ケーシング上下の温度差が大きくなったとき、或いは流体の圧が著しく高圧になってポンプケーシングが歪む程になったとき等では、シールケーシングやアダプタもその変形に追従して変形することがある。そうなると、その変形したアダプタが遊動環に無理な力を与えてしまい、遊動環が正規の機能を発揮し難くなってシール機能が低下することがあった。
本発明の目的は、アダプタの構造見直しにより、温度差や高圧に起因した上述の不都合が生じないようにして、本来の優れたシール機能が維持できて信頼性の向上する遊動環型メカニカルシールを提供する点にある。
請求項1に係る発明は、回転軸1と一体回転する回転環6と、ケーシング2に相対固定される静止環4との間に遊動環5を挟圧保持させるとともに、一端部が前記ケーシング2に支持され、かつ、他端部には前記遊動環5を内嵌支持する筒状のアダプタDが装備されている遊動環型メカニカルシールにおいて、
前記アダプタDが、前記ケーシング2に支持される筒状の基端側アダプタ部12と、前記遊動環5を内嵌支持する筒状の先端側アダプタ部13と、これら両アダプタ部12,13どうしを前後、左右、及び上下のいずれの方向にも所定範囲内で相対移動可能に連結する連結手段14と有し
上記遊動環型メカニカルシールにおいて、前記連結手段14は、前記基端側アダプタ部12の第1端部12Aと、この第1端部12Aに径方向の間隙を伴って外嵌又は内嵌自在な第2端部13Aを有する前記先端側アダプタ部13の前記第2端部13Aと、これら第1及び第2端部12,13の何れか一方に螺着され、かつ、何れか他方に形成された装着孔18に挿通自在なピン部材19とを有するとともに、前記ピン部材19における前記装着孔18に挿通される部分の径を前記装着孔18の径よりも小とすることによって構成されていることを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項2に記載の遊動環型メカニカルシールにおいて、前記ピン部材19が、前記第1端部12Aと前記第2端部13Aのうちの内径側に位置する端部に螺着されていることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の遊動環型メカニカルシールにおいて、前記先端側アダプタ部13は、シールリング17を介して前記ケーシング2に相対移動可能に内嵌されていることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の遊動環型メカニカルシールにおいて、前記ケーシング2及びこれに属する前記静止環4、前記アダプタDを含む構成部材群から成る静止側シール部K1と、前記回転軸1に外嵌固定自在なスリーブ3A及びこれに属する前記回転環6を含む構成部材群から成る回転側シール部K2とが、これら両シール部K1,K2に跨って着脱自在に設けられるセット部材32によって、前記静止環4と前記回転環6との間に前記遊動環5が挟圧保持される状態で一体的に連結されるカートリッジ式のものに構成されていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、アダプタは、連結手段により、基端側アダプタ部と先端側アダプタ部とがガタ(間隙)を持って一体連結された構成となっており、基端側アダプタ部と先端側アダプタ部とは、互いの相対姿勢が前後左右及び上下の三次元方向のいずれにも若干動き得るようになっている。
って、ケーシングの上下の温度差が大きくなったときや、流体の圧が著しく高圧になってケーシング自体が歪む程の状況が生じても、本発明による分割型のアダプタでは、連結手段において三次元のいずれの方向にも存在する間隙により、基端側アダプタ部と先端側アダプタ部との相対姿勢が変化することで前記歪みの吸収が可能となり、基端側アダプタ部及び先端側アダプタ部自身は歪まないようになる。
その結果、ケーシングに支持される基端側アダプタ部と、遊動環を内嵌支持する先端側アダプタ部とを連結手段で繋ぐ分割構造による複数の部品によってアダプタを構成する工夫により、高温や高圧等に起因してケーシングや回転軸に歪みが生じた場合でも、先端側アダプタ部による遊動環の芯出し(センターリング)機能が確保され、良好なシール機能を維持できて信頼性が改善される遊動環型メカニカルシールを提供することができる。この遊動環型メカニカルシールは、例えば、火力発電所におけるボイラの循環或いは給水ポンプ等に好適に用いることができて、実用上の利点が大である。
また請求項の発明によれば、基端側アダプタ部と先端側アダプタ部とを若干の相対姿勢変化を許容しながら連結する手段が、いずれか一方のアダプタ部に螺着され、かつ、いずれか他方のアダプタ部の孔に挿通されるピン部材を設けるだけの簡単で廉価な構成で実現できている。従って前記作用、効果を経済的に得ることができる利点がある。
請求項の発明によれば、連結手段におけるピン部材が、第1端部と第2端部とのうちの内径側に位置する端部に螺着させ、外径側に位置する端部の孔に挿通させる構成としてあるので、詳しくは実施例において述べるが、ピン部材を筒状のアダプタの外径側(外側)から螺合操作しての組付作業が行えるようになり、アダプタの組立や分解が行い易くその組付け性や整備性に優れる遊動環型メカニカルシールとすることができる。
請求項の発明によれば、先端側アダプタ部が、シールリングを介してケーシングに相対移動可能に内嵌されているので、基端側アダプタ部との間に三次元方向の相対移動が可能な構成、換言すればガタつきのある構成としながらも、先端側アダプタ部が必要以上に振れ動かないようにケーシングで規制可能となる。その結果、遊動環による優れたシール機能がより安定して発揮されるようになり、請求項1又は請求項2による前記いずれかの作用、効果が強化されるようになる。
請求項の発明によれば、詳しくは実施例において述べるが、カートリッジ式の構造とすることにより、部品数が多く、かつ、難しい組立けが要求される遊動環型メカニカルシールの組立や分解作業、並びに実機への取り付け作業が簡単化され、初心者や未熟者等の作業の熟練者でなくても組付け、分解、メンテナンスが簡便に行える利点がある。
以下に、本発明による遊動環型メカニカルシールの実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は遊動環型メカニカルシールの構造を示す全体断面図、図2はアダプタ部分の拡大断面図、図3はアダプタの部品図である。
〔実施例1〕
実施例1による遊動環型メカニカルシールAは、図1、図2に示すように、回転軸心Pを有する回転軸1に一体回転状態に外嵌される回転基部3、この回転基部3を回転自在に外囲して支承するケーシング(シールケーシング)2、回転基部3とケーシング2との間の環状空間部に設けられるシール機構Sから構成されている。シール機構Sは、ケーシング2に相対回転不能に支持されるリテーナ7に対して回転軸心P方向に突出付勢される静止環4、回転基部3と一体回転する回転環6と静止環4との間に介装される遊動環5と、ケーシング2に内嵌支持される状態で遊動環5を内嵌支持するアダプタD等から構成されるている。尚、22はケーシング2に形成されたフラッシング液の流入口、23はフラッシング液の流出口であり、また、25はポンプケーシングである。
回転基部3は、回転軸1に相対固定状態に外嵌される回転軸心P方向に長い筒状のスリーブ3Aと、このスリーブ3Aにボルト連結されるポンピングリング(ラビリンスシール環)3Bとから成る。スリーブ3Aの外端部は、スクリュー26を用いてストップリング27が外嵌固定されるとともに、ストップリング27はスクリュー28を用いて回転軸1に外嵌固定されており、従って、スリーブ3A、即ち回転基部3は回転軸1と一体回転する。2個のOリング29によって回転軸1の外周面との間がシールされているスリーブ3Aには、補強リング30を介して回転環(シールリング)6が抱きかかえられるように嵌装されている。回転環6は、これに外嵌される補強リング30の孔(符記省略)を通るセットビス31により、スリーブ3Aに相対固定されて一体回転するよう構成されている。
静止環4は、環状のリテーナ7に回転軸心P方向にスライド自在で、かつ、ピンp1により相対回転不能に嵌合されるとともに、周方向に複数配されたコイルバネ8によってリテーナ7に対して回転軸心P方向に突出付勢されている。また、静止環4とリテーナ7との間にはシール用のOリング9、及びバックアップリング20が嵌装されている。つまり、実施例1による遊動環型メカニカルシールAは、静止環4を回転軸心P方向に押すことで遊動環5を回転環6との間で挟圧保持する「静止形」のものに構成されている。因みに、図示は省略するが、回転環6を回転基部3に対して突出付勢させることで遊動環5を静止環4との間で挟圧保持する構造は「回転形」と呼ばれる。
リテーナ7は、スリーブ3Aには遊外嵌される状態でケーシング2に内嵌されており、回転軸心P方向に沿うボルト21によって相対回動不能にケーシング2に連結されている。リテーナ7とケーシング2との嵌合部には、ケーシング2に内嵌される状態で筒状のアダプタDが支持されており、その先端部分に内嵌合され、かつ、回転環6と静止環4との回転軸心P方向の間に介装される状態で遊動環5が装備されている。尚、24は、リテーナ7と、ケーシング2とアダプタDとに跨るOリングである。
スリーブ3Aに遊外嵌される遊動環5は、円環状の本体部5Aとその両端面から回転軸心P方向に突設されたほぼ同一形状で円環状の押圧部5Bとシール部5Cとを有して断面形状が凸形を呈するものであり、本体部5Aと静止環4とに亘って装備される複数のピンp2により、静止環4に対しては相対回転不能に配備されている。また、遊動環5の本体部5Aには、回転軸心P方向に貫通するフラッシング孔11が周方向の多数箇所に形成されており、フラッシング液を回転軸心P方向に流通自在に構成されている。
遊動環5は、コイルバネ8の弾性力によって回転環6と静止環4との間に挟圧保持されており、静止環4の押圧部4Aの端面である押圧面4aと遊動環5の押圧部5Bの押圧面5bとが圧接され、かつ、回転環6のシール面6aと遊動環5のシール部5Cのシール面5cとが圧接される構成とされている。つまり、回転環6と遊動環5とが相対回転するので、シール面6aとシール面5cとが圧接状態で摺接する構造である。また、互いに相対回転しない静止環4と遊動環5との間にはOリング10を嵌装してシール性を高めてある。
アダプタDは、図1〜図3に示すように、ケーシング2に嵌装支持される筒状の基端側アダプタ部12と、遊動環5を内嵌支持する筒状の先端側アダプタ部13と、これら両アダプタ部12,13どうしを前後、左右、及び上下(縦、横、高さ)の三次元のいずれの方向にも所定範囲内で相対移動可能に連結する連結手段14と、を有して構成されている。基端側アダプタ部12は、これに内嵌されるリテーナ7にネジ15によって相対固定され、かつ、ケーシング2に内嵌支持されるとともに、回転軸心Pに対する径方向に貫通される複数の行き来孔16が形成されている。先端側アダプタ部13は、2個のOリング17を介してケーシング2に内嵌(遊内嵌)されるとともに、その内周面13aには、遊動環5の球面状の外周部5dが内嵌合されて支持される構造となっている。また、内周面13aの回転軸心P方向の外端には、遊動環5の通過を不能とする内向きフランジ13bが形成されている。
連結手段14は、基端側アダプタ部12の先端側アダプタ部13側端部である第1端部と12A、この第1端部12Aに径方向の間隙rを伴って外嵌自在な第2端部13Aを有する先端側アダプタ部13の第2端部13Aと、第1端部12Aに螺着され、かつ、第2端部13Aに形成された装着孔18に挿通(遊内嵌)自在なピン部材19とを有するとともに、ピン部材19における装着孔18に挿通される部分の径wを装着孔18の径vよりも小とすることによって構成されている。ピン部材19は、回転軸心Pに対する径方向に沿う姿勢で、かつ、アダプタDの周方向に複数箇所(例:四箇所)に設けられている。
上述の連結手段14により、アダプタDは、基端側アダプタ部12と先端側アダプタ部13とが前後左右及び上下にガタ(間隙)を持って一体連結される構成とされており、基端側アダプタ部12と先端側アダプタ部13とは、互いの相対姿勢が前後左右及び上下の三次元のいずれの方向にも若干動き得るようになっている。その動き得る範囲、即ち所定範囲は、図2に示すように、一例として、径方向間隙rが0.5mm、ピン部材19の径w+2×hmm=装着孔18の径vとして回転軸心Pのいずれの方向にもh=0.5mm、及び周方向のいずれにもh=0.5mmの間隙が存在する状態に寸法設定されている。また、内周面13aの径は、遊動環5の外径よりも0.05mm程度大きい値としておくと良い。
加えて、先端側アダプタ部13の外径を、ケーシング2における先端側アダプタ部13を内嵌する部分の内径よりやや小さい値として、通常時は2個のOリング17,17がケーシング2に内接する構成とすることにより、先端側アダプタ部13がケーシング2に対して回転軸心P方向においても若干の姿勢変化が可能な構成とされている。つまり、2個のOリング17,17はクッションの機能も有しており、先端側アダプタ部13がケーシング2に対して、極僅かではあるが拗れるような動きが可能とされている。
ケーシング2の上下の温度差が大きくなったときや、流体の圧が著しく高圧になってケーシング2自体が歪む程になり、従来の一体型アダプタがそのケーシング等の歪みに追従して同様に歪むような場合においても、本発明による分割型のアダプタDでは、前述した三次元方向に存在する間隙により、基端側アダプタ部12と先端側アダプタ部13との相対姿勢が変化することで、前記歪みを吸収することが可能となり、基端側アダプタ部12及び先端側アダプタ部13自身は歪まないようになる。
その結果、ケーシング2に内嵌支持される基端側アダプタ部12と、遊動環5を内嵌支持する先端側アダプタ部13とを連結手段14で繋ぐ分割構造によってアダプタDを構成する工夫により、高温や高圧等に起因してケーシング2や回転軸1に歪みが生じた場合でも、先端側アダプタ部13による遊動環5の芯出し(センターリング)機能が確保され、良好なシール機能が維持できて信頼性に優れる遊動環型メカニカルシールAを提供することができている。
そして、アダプタDとリテーナ7とがネジ止め一体化されているので、これら両者D,7と、アダプタDに内装される静止環4及び遊動環5等とは、内向きフランジ13bの抜け止め機能によってモジュール化された一塊のシール機構S(所謂ASSY部品)として存在するものとなっている。つまり、静止環4、遊動環5、コイルバネ8等を、アダプタD及びリテーナ7に予備組付けしてシール機構Sを構成し、このシール機構Sをケーシング2に挿入し、ケーシング2の外からボルト21をリテーナ7に螺着することにより、シール機構Sとケーシング2とを一体的に組付けることができる。前記予備組付け時には、連結手段14におけるピン部材19を、シール機構Sの外側(外径側)から先端側アダプタ部13の装着孔18を通して、便利で容易に基端側アダプタ部12に螺着操作することができる利点がある
シール機構Sとケーシング2とが一体化されたもの(即ち、遊動環5を含む静止側シール部K1)を、回転環6が装備された回転基部3におけるスリーブ3Aに差し込み、遊動環5と回転環6と当接によるコイルバネ8の付勢力に抗して押し込んだ状態で、回転軸1に係合するセットプレート(セット部材の一例)32をケーシング2の側面にボルト33で固定する。これにより、回転環6と静止環4との間に遊動環5が挟圧保持される状態で、シール機構S付のケーシング2と回転基部3とが一体化され、遊動環型メカニカルシールAに形成される。そして、その遊動型メカニカルシールAを回転軸1に挿入し、スリーブ3Aをストップリング27を用いて回転軸12に固定し、かつ、ケーシング2を複数の取付けボルト34及びナット35を用いてポンプケーシング25に取付固定することにより、遊動型メカニカルシールAの実機への組付けが完了する。この組付け完了後には、セットプレート32を取り外しても良い。
要するに、実施例1による遊動環型メカニカルシールAは、ケーシング2及びこれに属する静止環4を含む構成部材群(リテーナ7、コイルバネ8、アダプタD、及びOリング9,10,17,24やネジ15類、ピン部材p1、p2類等)から成る静止側シール部K1と、回転軸1に外嵌固定自在なスリーブ3A及びこれに属する回転環6を含む構成部材群(ポンピングリング3B、Oリング29、補強リング30、セットネジ31等)か成る回転側シール部K2とが、これら両シール部K1,K2に跨って着脱自在に設けられるセット部材32によって、静止環4と回転環6との間に遊動環5が挟圧保持される状態で一体的に連結されるカートリッジ式のものに構成されている。
一般に、遊動環型メカニカルシール(固定形)のポンプケーシング等のシール対象となるケーシング及び回転軸に対する取付けは、静止側シール部及び回転側シール部を構成するための遊動環を含む多数の構成部材を個別に一定の手順で組み込むことによって行われる。それら多数の構成部材相互の位置関係は、遊動環型メカニカルシールとしての機能を決定する重要な要素であり、各構成部材の組付けは、関係部材の相互の位置関係を適正なものにしながら行う必要がある。従って、多くの構成部材を適正な位置関係を維持しながら回転機器に組み込む作業は、慎重さと器用さとが求められる難しい作業であり、組み込み不良やそれによって所期のシール機能が得られない等の不都合が生じ易く、いきおい組付けには熟練者が要求される傾向にあった。同様に、回転機器からの取り外しや再組付けといったメンテナンスを行うにも熟練者が要求される。
しかしながら、遊動環型メカニカルシールを上述のカートリッジ式に構成することにより、セット部材を用いて予め静止側シール部K1と回転側シール部K2とを組付けた状態として、遊動環型メカニカルシールの使用形態と同一の状態に予備組付けすることができるので、作業の未熟者や初心者であっても回転機器への組付け作業を容易に、しかも適正に行うことが可能となり、同様に分解、再組付け等のメンテナンス作業も簡単化される。これは、部品数が多く、かつ、難しい組立けが要求される遊動環型メカニカルシールを採用する上で、非常に大きな利点である。
ここで、実施例1による上記遊動環型メカニカルシールAの主要構成部品の材質について記すと、ケーシング2、回転基部3、静止環4、アダプタD、リテーナ7の各部品はステンレス鋼製であり、遊動環5はカーボン製である。回転環6はチタンやSiC製である。また、バックアップリング20はフッ素樹脂製である。
連結手段14における前述のrやhは、小さ過ぎると歪みに追従できず、大き過ぎるとガタついて磨耗や異音が生じ易いことから、0.3mm≦r≦1.0mm、0.3mm≦h≦1.0mmに規定すれば良い。また、連結手段としては、基端側と先端側の双方のアダプタ部にゴム等の弾性部材を介して挿通される棒状部材を設ける等、種々の構成を採ることが可能であり、図2の構造には限定されない。
本発明によるアダプタは、回転環6を回転基部3に対して回転軸心P方向に弾性機構によって突出付勢することで、そのシールリングと静止環との間に遊動環を挟圧保持する構造、即ち前述した「回転形」の遊動環型メカニカルシールに適用しても良い。
遊動環型メカニカルシールの全体構成を示す断面図 遊動環型メカニカルシールの要部を示す拡大断面図 アダプタの分解図
符号の説明
1 回転軸
2 シールケーシング
3A スリーブ
4 静止環
5 遊動環
6 回転環
12 基端側アダプタ部
12A 第1端部
13 先端側アダプタ部
13A 第2端部
14 連結手段
17 シールリング
18 装着孔
19 ピン部材
32 セット部材
A 遊動環型メカニカルシール
D アダプタ
K1 静止側シール部
K2 回転側シール部

Claims (4)

  1. 回転軸と一体回転する回転環と、ケーシングに相対固定される静止環との間に遊動環を挟圧保持させるとともに、一端部が前記ケーシングに支持され、かつ、他端部には前記遊動環を内嵌支持する筒状のアダプタが装備されている遊動環型メカニカルシールであって、
    前記アダプタが、前記ケーシングに支持される筒状の基端側アダプタ部と、前記遊動環を内嵌支持する筒状の先端側アダプタ部と、これら両アダプタ部どうしを前後、左右、及び上下のいずれの方向にも所定範囲内で相対移動可能に連結する連結手段と有し 前記連結手段は、前記基端側アダプタ部の第1端部と、この第1端部に径方向の間隙を伴って外嵌又は内嵌自在な第2端部を有する前記先端側アダプタ部の前記第2端部と、これら第1及び第2端部の何れか一方に螺着され、かつ、何れか他方に形成された装着孔に挿通自在なピン部材とを有するとともに、前記ピン部材における前記装着孔に挿通される部分の径を前記装着孔の径よりも小とすることによって構成されている遊動環型メカニカルシール。
  2. 前記ピン部材が、前記第1端部と前記第2端部のうちの内径側に位置する端部に螺着されている請求項に記載の遊動環型メカニカルシール。
  3. 前記先端側アダプタ部は、シールリングを介して前記ケーシングに相対移動可能に内嵌されている請求項1又は請求項2の何れか一項に記載の遊動環型メカニカルシール。
  4. 前記ケーシング及びこれに属する前記静止環と前記アダプタとを含む構成部材群から成る静止側シール部と、前記回転軸に外嵌固定自在なスリーブ及びこれに属する前記回転環を含む構成部材群から成る回転側シール部とが、これら両シール部に跨って着脱自在に設けられるセット部材によって、前記静止環と前記回転環との間に前記遊動環が挟圧保持される状態で一体的に連結されるカートリッジ式のものに構成されている請求項1〜の何れか一項に記載の遊動環型メカニカルシール。
JP2004352255A 2004-12-06 2004-12-06 遊動環型メカニカルシール Active JP4147216B2 (ja)

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