JP4146484B2 - インクジェット記録装置用弾性部材、インクタンク及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
前者のインクタンクにおいては、記録ヘッドに対して水頭差を設けることでインクを供給する形態をとっており、一方、後者においては、インクタンク側に負圧発生源を備えることで、記録ヘッドにインクを供給する形態をとっている。
近年、装置の小型化やメインテナンスの容易性などの面から、後者の形態のインクタンクを採用する装置が多く提案されている。
このようなインクタンクには、記録時に記録ヘッドから吐出されるインク量に見合ったインクを良好に供給できるとともに、非記録時においては吐出口からのインクの洩れなどがないことが要求される。
このような問題を解決するために、例えばインクタンクの下部に通孔を備えた壁により、インク溜めと空洞とに分離し、この通孔にアンブレラチェックバルブを移動可能に設けて、記録ヘッドのインク圧が低下した時点で、バルブを開弁してタンク溜めのインクを空洞に排出させて記録ヘッドに供給するように構成したインクジェット記録ヘッド用のインクカートリッジが提案されている(特許文献1参照)。
これによれば、カートリッジ内に吸収体を収容する必要がなくなるため、タンク内の実質的インク収容量を大きくすることが可能となるが、一般的にアンブレラチェックバルブは、記録ヘッドのインクの供給を精密に調整するには、そのオフセット量が大きすぎ、インク供給量に変動を来して印字品質の低下を招くという大きな問題がある。
さらに、このアンブレラチェックバルブは、記録ヘッドへの安定なインク供給を行うために維持すべき数十mm水柱程度の圧力差では閉弁力が弱いため、キャリッジの移動によるインクの揺動に応動して開弁するおそがあり、印字の安定性に劣るという問題がある。
そこで、このようなアンブレラチェックバルブを装着したインクタンクがもつ問題を解決するために、例えばインク室とインク供給部とを分割する位置に設けられ、かつ該インク室とインク供給部との圧力差により移動し、インク室に充填されたインクを記録ヘッド部に供給するインクタンク弁の使用が試みられている(特許文献2参照)。
このインクタンク弁においては、通常、弾性材料が用いられており、また、例えばプラスチック基材に弾性材料を接着したものなどが用いられている。そして、従来、この弾性材料としては、一般に熱硬化性ゴムが使用されていた。しかしながら、この熱硬化性ゴムでは、プラスチックとの二色成形法による射出成形が困難であり、上記弁を作製するのに製造コストが高くつく上、低硬度化した材料で所望形状の部材を成形,加硫するのが困難であるという問題があった。
一方、取替え用インクタンクには、従来インク供給口に、ポリウレタンフォームなどのフォーム状の弾性部材を取り付けることにより、インクが洩れるのを防止しているが、長期間使用しているとインクが保持できない場合があり、耐久性に優れた弾性部材が求められていた。
また、インクジェット記録装置において、記録装置が未動作の場合、記録ヘッドはインクジェット記録装置本体部の端で待機させるが、このような待機の際に記録ヘッドからインクが洩れることを防止するため、上記記録装置本体部に設けた凹部に沿って配置されたシール部材上に記録ヘッドを収容している。通常この部材としては熱硬化性ゴムが使用されているが、この熱硬化性ゴムは上記と同様の問題があった。
すなわち、本発明は、インクを供給して記録媒体に印字を記録するインクジェット記録装置に使用される弾性部材であって、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも一つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも一つからなる共重合体を含む材料から構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置用弾性部材を提供するものである。
また、本発明は、インクが充填されるインク室と、記録ヘッド部にインクを供給するインク供給部とを有するインクタンクにおいて、前記弾性部材を用いたことを特徴とするインクタンクを提供するものである。
さらに、本発明は、前記弾性部材を用いたことを特徴とするインクジェット記録装置をも提供するものである。
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば
(1)ポリブタジエンとブタジエン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得られる結晶性ポリエチレンとエチレン/ブチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体、
(2)ポリブタジエンとポリスチレンとのブロック共重合体、及びポリイソプレンとポリスチレンとのブロック共重合体、あるいは、ポリブタジエン又はエチレン−ブタジエンランダム共重合体とポリスチレンとのブロック共重合体を水添して得られる、例えば、結晶性ポリエチレンとポリスチレンとのジブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのトリブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンのトリブロック共重合(SEPS)など、中でも、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体又はスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体、
などを挙げることができる。
すなわち、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも一つ(1セグメント)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも一つからなるブロック共重合体を水添して得られるものが好ましいが、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも二つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも一つとを有するブロック共重合体(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等)を水添して得られる水添ブロック共重合体が更に好ましい。
上記ブロック共重合体の非晶質スチレンブロックの含有量は、10〜70重量%、好ましくは15〜60重量%の範囲のものが望ましい。また、非晶質スチレンブロック部のガラス転移温度(Tg)は、60℃以上、好ましくは80℃以上であるものが望ましい。また、両末端の非晶質スチレンブロックを連結する部分の重合体としては、やはり非晶質のものが好ましく、例えば、エチレン−ブチレン共重合体、ブタジエン重合体、イソプレン重合体等を挙げることができ、これらのブロックあるいはランダム共重合体であってもよい。
なお、これらの各種熱可塑性エラストマーは主に単独で用いられるが、二種以上をブレンドして用いてもよい。
このような性状を有する軟化剤としては、例えば鉱物油系,植物油系,合成系などの各種ゴム用又は樹脂用軟化剤の中から適宜選択することができる。ここで、鉱物油系としては、ナフテン系,パラフィン系などのプロセス油が挙げられ、植物油系としては、ひまし油,綿実油,あまに油,なたね油,大豆油,パーム油,梛子油,落花生油,木ろう,パインオイル,オリーブ油などが挙げられる。
なかでも、非芳香族系オイル、特に鉱物油系のパラフィン系オイル,ナフテン系オイル又は合成系のポリイソブチレン系オイルから選択される一種又は二種以上であって、その数平均分子量が450〜5000であるものが好ましい。
これらの軟化剤の配合量は特に制限はないが、前記熱可塑性エラストマー100重量部に対し、通常1〜1000重量部、好ましくは1〜500重量部の範囲で選ばれる。この量が1重量部未満では充分な低硬度化が達成できず熱可塑性材料の柔軟性が不充分となるおそれがあり、また1000重量部を超えると軟化剤がブリードしやすくなり、かつ熱可塑性材料の機械的強度が低下する原因となる。なお、この軟化剤の配合量は、熱可塑性エラストマーの分子量及び該エラストマーに添加される他の成分の種類に応じて、上記範囲で適宜選定することが好ましい。
本発明の弾性部材に用いられる熱可塑性材料においては、それを構成する高分子有機材料は、三次元連続の網状骨格構造を有することが好ましく、形成される三次元連続の網状骨格構造は、その骨格の平均径が50μm以下、好ましくは30μm以下、セル(網目)の平均径は、500μm以下、好ましくは300μm以下であり、高分子有機材料の体積分率を〔高分子有機材料の体積/(高分子有機材料の体積+軟化剤の体積)〕×100(%)と定義したとき、高分子有機材料の体積分率が50%以下、特に33%以下であるのが好ましい。
また、本発明に係る熱可塑性材料には、材料の圧縮永久歪みを改善するなどの目的で、所望によりポリフェニレンエーテル樹脂を配合することができる。ここで用いられるポリフェニレンエーテル樹脂は、下記一般式で表される繰り返し単位からなる単独重合体又は該繰り返し単位を含む共重合体である。
このポリフェニレンエーテル樹脂は公知のものを用いることができ、具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル),ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル),ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル),ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル),ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)などが挙げられ、また、2,6−ジメチルフェノールと1価のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体の如きポリフェニレンエーテル共重合体も用いることができる。なかでも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)や2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらに、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
また、本発明に係る熱可塑性材料は、クレー,珪藻土,シリカ,タルク,硫酸バリウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,金属酸化物,マイカ,グラファイト,水酸化アルミニウムなどのりん片状無機系添加剤、各種の金属粉,木片,ガラス粉,セラミックス粉,粒状あるいは粉末ポリマー等の粒状あるいは粉末状固体充填剤,その他の各種の天然または人工の短繊維,長繊維(例えば、ワラ,毛,ガラスファイバー,金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバー等)などを配合することができる。
本発明に係る熱可塑性材料には、前記成分のほか、諸特性の改良のため、公知の樹脂成分などの添加剤を併用することができる。
樹脂成分としては、例えば、ポリオレフィン樹脂やポリスチレン樹脂などを単独使用あるいは併用することができる。これらを添加することにより本発明に係る熱可塑性材料の加工性、耐熱性の向上を図ることができる。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン,アイソタクティックポリプロピレン,プロピレンと他の少量のα−オレフィンとの共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重合体,プロピレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリブテン−1などを挙げることができる。ポリオレフィン樹脂としてアイソタクティックポリプロピレン又はその共重合体を用いる場合、そのMFR(JIS K7210)が0.1〜50g/10分、特に0.5〜30g/10分の範囲のものが好適に使用できる。
このポリスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン単位含有量60重量%以上のスチレン−ブタジエンブロック共重合体、ゴム補強ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリp−t−ブチルスチレンなどが挙げられ、これらは一種または二種以上を併用してもよい。さらに、これらポリマーを構成するモノマーの混合物を重合して得られる共重合体も用いることができる。
また、前記ポリオレフィン樹脂とポリスチレン樹脂とを併用することもできる。本発明に係る熱可塑性材料にこれらの樹脂を添加する場合、ポリオレフィン樹脂単独を添加する場合に比較してポリスチレン樹脂を併用すると、得られる材料の硬度が高くなる傾向にある。したがって、これらの配合比率を選択することにより、得られる熱可塑性材料の硬度を調整することもできる。この場合、ポリオレフィン樹脂/ポリスチレン樹脂の比率は95/5〜5/95(重量比)の範囲から選択することが好ましい。
また、他の添加剤として、必要に応じて、難燃剤,抗菌剤,ヒンダードアミン系光安定剤,紫外線吸収剤,酸化防止剤,着色剤,シリコーンオイル,シリコーンポリマー,クマロン樹脂,クマロン−インデン樹脂,フェノールテルペン樹脂,石油系炭化水素,ロジン誘導体などの各種粘着付与剤(タッキファイヤー)、レオストマーB(商品名:理研ビニル社製)などの各種接着剤性エラストマー、ハイブラー(商品名:クラレ社製、ビニル−ポリイソプレンブロックの両末端にポリスチレンブロックが連結したブロック共重合体)、ノーレックス(商品名:日本ゼオン社製、ノルボルネンを開環重合して得られるポリノルボルネン)などの他の熱可塑性エラストマー又は樹脂などを併用することができる。
このような材料は、例えば東レダウコーニングシリコーン(株)より市販されている、シリコーンコンセントレートBY27シリーズ汎用タイプとして容易に入手できるものを使用してもよい。
シリコーンポリマーを配合することにより、成形体の表面状況を改善することができるのであるが、シリコーンポリマーと、ビニル芳香族化合物ブロックと共役ジエン系化合物ブロックからなる共重合体との混和性は、必ずしも良好ではない。これは、各々のポリマーの化学的な組成が、著しく異なっていることからも容易に想像できる。従って、配合物の内容、成形体の成形条件によっては、シリコーンポリマーの分離が生じる可能性がある。その際、ビニル芳香族化合物ブロックと共役ジエン系化合物ブロックからなる共重合体に対して比較的混和性の良好なポリマー、例えばポリオレフィン樹脂に、シリコーンポリマーを化学的に結合させたグラフトポリマーを使用することにより、その状態を改善することができる。このような材料としては、例えば、東レダウコーニングシリコーン(株)よりBY27シリーズグラフトタイプとして市販されているもの等を使用してもよい。
また、高分子有機材料と軟化剤とを混練りした熱可塑性材料を予め用意し、この材料を、ここに用いたものと同種か若しくは種類の異なる一種以上の高分子有機材料に更に混ぜ合わせて製造することもできる。
さらに、本発明に係る熱可塑性材料においては、有機パーオキサイドなどの架橋剤,架橋助剤などを添加して架橋することも可能である。
この弾性部材は、前記インクタンクにおいて、弾性部材を必要とするパーツであれば、特に制限はなく、いかなるパーツにも使用することができるが、例えば、インク室とインク供給部とを分割する位置に設けられ、かつ該インク室とインク供給部との圧力差により移動し、インク室に充填されたインクを記録ヘッド部に供給するインクタンク弁として、あるいはインクタンクのインク供給口に設けられ、かつ該インク供給口からインクが洩れるのを防止するインクタンクのシール部材として使用するのが、特に好ましい。
これらの弾性部材に、前記したSEBS,SEPSなどの熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性材料を使用することにより、以下に示す効果を奏する。
前記インクタンク弁は、通常プラスチック基材の表面に弾性材料が一体的に形成された構造を有しており、このような構造の成形物を作製する場合には、工程が簡単で、製造コストの低い二色成形法による射出成形が有利である。該弾性材料として従来用いられている熱硬化性ゴムでは、プラスチックとの二色成形が困難であったが、本発明のように、SEBS,SEPSなどの熱可塑性エラストマーを含む材料を用いることにより、二色成形が可能となり、低いコストでインクタンク弁を作製することができる。
さらに、本発明で用いる熱可塑性材料においては、SEBS,SEPSなどの熱可塑性エラストマーを低硬度化する際に使用するオイル成分として、パラフィン系オイルなど、インクに対して極性の大きく異なる液体を使用することができ、しかも、それらのオイルは、SEBS,SEPSなどの熱可塑性エラストマーの凝集ドメインであるスチレンブロックに対して相溶しにくく、エラストマーの強度などの物性に対して、影響が少ない。また、SEBS,SEPSなどの熱可塑性エラストマーを使用すると、インクなどの溶媒による膨潤などの変化が小さく、耐久性に優れるインクタンク弁やインクタンクのシール部材、記録ヘッドからインクが洩れるのを防止するシール部材などを与えることができる。
なお、本発明のシール部材は、インク供給口に設置するほか、インク供給部と記録ヘッドを連結する結合部等にも使用することができる。
本発明はまた、前記のSEBS,SEPSなどの熱可塑性エラストマーを含む材料から構成された弾性部材、特に好ましくはインクタンク弁及び/又はインクタンクのシール部材を用いたインクタンクをも提供する。
本発明のインクタンクは、該弾性部材を用いたものであればよく、特に制限されず、インクをポリウレタンなどの発泡体で保持したものであってもよく、このような発泡体を充填していないものであってもよい。
なお、以下の実施例,比較例及び参考例における物性評価は、下記の方法により行った。
(1)材料の硬度
JIS K6301(A型)に準拠した。
(2)軟化剤のブリード量
直径25mm,厚さ2mmのサンプルを鉄板に挟み、サンプルの厚みが1mmになるまで圧縮し、70℃で48時間放置した後、サンプルの重量を測定して圧縮前のサンプルの重量から減じた値を軟化剤のブリード量とし、それを重量百分率(%)で表示した。
なお、共重合体の溶解度パラメーター(SP値)の測定は常法にて行い、数平均分子量の測定は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ〔GPC:東ソー製,GMH−XL(2本直列)〕により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
(1)熱可塑性材料(インクタンク用弾性部材原料)の調製
第1表に示した配合からなる各成分を充分に混練して熱可塑性材料のサンプルを調製し、物性の評価を行った。
その結果、第1表から明らかなように、実施例1〜3の材料ではブリードは殆ど観測できなかったが、比較例の材料ではブリード量が多く、参考例1,2の材料でも多少のブリードが観測された。
次に、上記(1)で得られた熱可塑性材料を用い、金型温度80℃,樹脂温度190℃の製造条件にて、インクタンク弁を作成した。
このようにして得られた弁を、インクタンクのインク室とインク供給部とを分割する位置に装着して、インク供給試験及び長時間(120℃,1000時間)の耐久試験を行った。その結果を第1表に示した。ここで○印はブリードによるインクへの汚染が全くなく、また弁として充分に機能していることを示す。一方×印はブリードによるインクへの汚染があることを示し、−は測定不能であることを示す。
その結果、実施例1〜3ではどちらの特性(インク供給性能及び耐久性)も満足できたが、比較例の材料は、ポリプロピレン樹脂への接着性が悪く、弁として使用することができず、参考例1,2の材料でも耐久試験の際にブリードによるインクへの汚染が観測されることがあった。
次に、上記(1)で得られた熱可塑性材料を用い、金型温度80℃,樹脂温度170℃の製造条件にて、インクタンクのシール部材を作成した。
このようにして得られたシール部材を、インク供給部端部に装着して、長時間(120℃,1000時間)の耐久試験を行った。その結果を第1表に示した。
ここで○印はブリードによるインクへの汚染が全くないと同時に、インク漏れが全くないことを示す。一方×印はブリードによるインクへの汚染があることを示し、−は測定不能であることを示す。
その結果、実施例1〜3ではインク漏れ等は観測されず、良好な耐久性が得られたが、比較例の材料はポリプロピレン樹脂への接着性が悪く、シール部材として使用することができず、参考例1,2の材料でも耐久試験の際にブリードによるインクへの汚染が観測されることがあった。
ポリマーA:数平均分子量10万のSEPSポリマー,SP値8.5
ポリマーB:数平均分子量7万のSEPSポリマー,SP値8.5
ポリマーC:数平均分子量5万のSEBSポリマー,SP値8.5
軟化剤A:パラフィン系オイル〔出光興産(株)製,商品名:PW380〕(数平均分子量750,SP値7.8)
添加剤A:ポリプロピレン樹脂
添加剤B:シリコーンポリマーとポリプロピレン樹脂が等量混合されたもの
添加剤C:ポリプロピレン樹脂にグラフトされたシリコーンポリマー
添加剤D:カーボンブラック
添加剤E:硫黄
添加剤F:ポリフェニレンエーテル樹脂
Claims (8)
- インクを供給して記録媒体に印字を記録するインクジェット記録装置に使用される弾性部材であって、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも一つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも一つからなる共重合体100重量部、ポリオレフィン樹脂0.1〜50重量部及び軟化剤1〜500重量部からなる材料から構成され、インクタンク弁又はインクタンクのシール部材として用いられることを特徴とするインクジェット記録装置用弾性部材。
- 前記共重合体の数平均分子量が30000以上であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置用弾性部材。
- 前記ポリオレフィン樹脂が、シリコーンポリマーを化学的に結合させたグラフトポリマーであることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録装置用弾性部材。
- JIS K6301(A型)に準拠して測定した硬度が30以下である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録装置用弾性部材。
- インクが充填されるインク室と記録ヘッド部にインクを供給するインク供給部とを分割する位置に設けられ、かつ該インク室とインク供給部との圧力差により移動し、インク室に充填されたインクを記録ヘッド部に供給するインクタンク弁として用いられる請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置用弾性部材。
- インクタンクのインク供給口に設けられ、かつ該インク供給口からインクが洩れるのを防止するインクタンクのシール部材として用いられる請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置用弾性部材。
- インクが充填されるインク室と、記録ヘッド部にインクを供給するインク供給部とを有するインクタンクにおいて、請求項1〜6のいずれかに記載の弾性部材を用いたことを特徴とするインクタンク。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の弾性部材をインクタンクに用いたことを特徴とするインクジェット記録装置。
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