JP4145017B2 - 感放射線性レジスト組成物 - Google Patents
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- Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感放射線性レジスト組成物に関し、特に平版印刷板やIC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、更にその他のフォトファブリケーション工程に使用される感光性組成物に関する。より具体的には、KrF、電子線、X線等の活性光線の照射によるパターン形成において、優れた性能を有する感放射線性レジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、磁気バブルメモリ、集積回路等の電子部品を製造するためのパターン形成用のレジストとして、KrFレジストに加えて、電子線、X線レジスト組成物が注目されている。
感光性組成物の一つとして、米国特許第4,491,628号、欧州特許第249, 139号等に記載されている化学増幅系ポジレジスト組成物がある。化学増幅系ポジ型レジスト組成物は、遠紫外光などの放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させパターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
【0003】
特開平6−242606号公報には、光酸発生剤として塩基性スルホニウム化合物が記載され、特開平7−333844号公報には光酸発生剤として塩基性ヨードニウム化合物が記載れている。また、特開平11−125907号には、光酸発生剤として、カルボン酸を発生する化合物と、カルボン酸以外の酸を発生する化合物とを用いることが記載されている。
【0004】
これら従来の化学増幅系レジスト組成物は、上述したように、超微細加工が可能な光源の短波長化に有効な系となり得るものであるが、さらに、感度、解像力、露光マージン等のプロセス許容性の改善が求められてきた。露光マージンとは、露光量の変動に伴いパターン幅が変動する現象である。
【0005】
また、電子線レジストにおいては、入射する電子が電荷を持ち、レジストを構成する物質の原子核や電子と相互作用を及ぼしあうため、電子線がレジスト膜に入射すれば必ず散乱が起こる。そのため照射部では、レジスト膜表面よりも底部のほうが照射面積が大きくなってしまい、ポジ型レジストの場合、逆テーパー形状と呼ばれるパターンプロファイルになるという問題があった。一方、ネガ型レジストの場合、テーパー形状と呼ばれるパターンプロファイルになるという問題があった。また、微細パターンを解像するためにビーム径を絞って照射しても、この散乱によって照射面積が広がり、解像力が劣化するという問題もあった。
また、従来のレジストでは感度が低く、集積回路の製造においてはスループトが問題となっていた。この観点から従来の電子線、X線よりもさらに高い感度のレジストが求められてきた。
従来のKrFエキシマレーザーレジストをそのまま電子線でパターン照射しても、感度、解像力、パターンプロファイルなどの性能において、満足できる結果はほとんど得られていない。
さらに次世代のX線レジストでは従来のKrFエキシマレーザーレジストを用いた場合、感度、解像力に大きな問題があった。
【0006】
特開平3−289659にアルカリ可溶性樹脂、酸分解性溶解阻止剤およびα−スルホニルオキシアセトフェノンを含有するポジ型感光性組成物が記載されている。また、特開平4−60551にはα−スルホニルオキシアセトフェノン誘導体を含有する組成物を基板に塗布した後水蒸気あるいはアルコールにさらす処理を行うことにより感度が向上することが記載されている。しかしながら、これらの組成物では酸発生剤の光分解のためには樹脂等の酸発生剤以外の素材からの水素ラジカル引き抜き(分子間水素移動)が必要であるため光分解効率は低くなり感度が低くなってしまうという問題があった。
このようにパターン形成のための感放射線性レジスト組成物に関して、感度の向上、加えて解像力、露光マージンの向上が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、活性光線の照射によるパターン形成において、高感度を有する感放射線性レジスト組成物を提供することであり、また、更に解像度及び露光マージンにも優れた感放射線性レジスト組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記の感放射線性レジスト組成物が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
【0009】
(1)(a)カルボニル基を少なくとも1つ有し、活性光線の照射により分子内水素ラジカル移動を伴って分解し、酸を発生する化合物を少なくとも一種含有する感放射線性レジスト組成物。
(2)(a)成分が一般式(I)又は(II)で表される化合物であることを特徴とする上記(1)に記載の感放射線性レジスト組成物。
【0010】
【化2】
【0011】
R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1価の有機基を表す。または、R1とR2とが結合して、ヘテロ原子、多重結合、−CO−、−COO−を含有してもよい単環または多環の環構造を形成してもよい。
R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1価の有機基を表す。
Xは、X’−Hで表される、水素ラジカル供与性基を有する1価の有機基であり、一般式(I)又は(II)において、X’−H基とカルボニル基とが連結基(−C ( R 1 ) =C ( R 2 ) −)を介して形成する環骨格(−X ' −H−O=C−C ( R 2 ) =C ( R 1 ) −)は6又は7員環である。
また、Xは、R1或いはR2と結合して単環または多環の環構造を形成してもよい。
一般式(I)におけるY1は、R’SO3−、R’COO−、又はハロゲン原子を表す。
R’は、置換していてもよい直鎖、分岐、環状アルキル基、置換していてもよいアリール基、置換していてもよいアラルキル基、又は置換していてもよいカンファー基を表す。
一般式(II)におけるY2 -は、非求核アニオンを表す。
Ra及びRbは、置換してもよい直鎖、分岐、環状アルキル基、置換していてもよいアリール基、又は置換してもよいアラルキル基を表す。また、Ra及びRbが結合して環を形成してもよい。
R1〜R4、Ra、Rb、X、Y1、Y2 -のいずれかの位置で連結基を介して結合し、一
般式(I)または(II)の構造を2つ有することもできる。
【0012】
(3)(A)カルボニル基を少なくとも1つ有し、活性光線の照射により分子内水素ラジカル移動を伴って分解し、酸を発生する化合物少なくとも1種
(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂
を含有することを特徴とするポジ型感放射線性レジスト組成物。
【0013】
(4)(C)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液中での溶解速度が酸の作用により増大する、分子量3000以下の低分子溶解阻止化合物を更に含有することを特徴とする上記(2)に記載のポジ型感放射線性レジスト組成物。
【0014】
(5)(A)カルボニル基を少なくとも1つ有し、活性光線の照射により分子内水素ラジカル移動を伴って分解し、酸を発生する化合物少なくとも1種
(B)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液中での溶解速度が酸の作用により増大する、分子量3000以下の低分子溶解阻止化合物
(E)水に不溶でアルカリ現像液に可溶な樹脂
を含有することを特徴とするポジ型感放射線性レジスト組成物。
【0015】
(6)(A)カルボニル基を少なくとも1つ有し、活性光線の照射により分子内水素ラジカル移動を伴って分解し、酸を発生する化合物少なくとも1種、
(E)水に不溶でアルカリ現像液に可溶な樹脂、
(F)酸架橋剤、
を含有することを特徴とするネガ型感放射線性レジスト組成物。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
(A)カルボニル基を少なくとも1つ有し、活性光線の照射により分子内水素ラジカル移動を伴って分解し、酸を発生する化合物
(A)成分としては、上記式(I)及び(II)で表される化合物が好ましい。
上記の式(I)及び(II)において、R1、R2、R3及びR4の一価の有機基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5のもの、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5、例えばメトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜6、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜9、フェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜12、フェノキシ基等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜12、ベンゾイルオキシ基等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜12、例えばアラルキルオキシ基、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、シアナミル基、バレリル基等)、アシロキシ基(好ましくは炭素数1〜12、例えばブチリルオキシ基等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜4、例えばニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基)、アルケニルオキシ基(炭素数2〜5、例えばビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、アリルオキシ基、ブテニルオキシ基等)、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基を挙げることができる。
【0018】
R1とR2とが結合して形成してもよい、ヘテロ原子、多重結合、−CO−、−COO−を含有してもよい単環または多環の環構造としては、好ましくは炭素数2〜15、例えばベンゼン、ナフタレン、シクロペンテン、シクロプロペン、シクロヘキセン、シクロへプテン、シクロオクテン、アダマンテン、ノルボルネン、イソボロネン、カンファネン、ジシクロペンテン、トリシクロデカネン等を挙げることができる。これらは置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。
これらの中でも、R1及びR2として、好ましくは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、R1及びR2が結合して、置換基を有していてもよいベンゼン環、ナフタレン環、ペンテン環を形成したものが挙げられる。
R3及びR4としては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
【0019】
YにおけるR’、及びRa及びRbとしての、置換してもよい直鎖、分岐、環状アルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換してもよいアラルキル基について説明する。
アルキル基としては、例えば炭素数1〜15個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基を好ましく挙げることができる。このアルキル基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、水酸基、フッ素原子等のハロゲン原子、フッ素置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜6)等を挙げることができる。
アリール基としては、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、9,10−ジメトキシアントリル基等を好ましく挙げることができる。このアリール基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、フッ素原子等のハロゲン原子、フッ素置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)、フッ素置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、フッ素置換されていてもよいアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜6)等を挙げることができる。
アラルキル基としては、例えば炭素数7〜12個のアラルキル基であって、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を好ましく挙げることができる。このアラルキル基は更に置換基を有していてもよく、フッ素原子等のハロゲン原子、フッ素置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)、フッ素置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、フッ素置換されていてもよいアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜6)等を挙げることができる。
【0020】
R’としてのカンファー基が有してもよい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、フッ素置換されていてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜5)、フッ素置換されていてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、フッ素置換されていてもよいアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜6)等を挙げることができる。
【0021】
一般式(I)におけるY1は、R’SO3−叉はR’COO−、又はハロゲン原子を表す。
一般式(II)におけるY2 -の非求核アニオンの具体例としては、R’SO3 -、R’COO-、ハロゲンアニオン、BF4 -、PF6 -、AsF6 -、ClO4 -等を挙げることができる。
【0022】
また、Ra及びRbが結合して形成してもよい環としては、特に好ましくは、5及び6員環であり、アルキレン基または−O−、−S−、−CO−等を連結基として含有するアルキレン基を介して環構造を形成するものが好ましい。最も好ましいアルキレン基として、ブチレン基、ペンチレン基を挙げることができる。R1〜R4、Ra、Rb、X、Y1、Y2 -のいずれかの位置で連結基を介して結合し、一般式(I)または(II)の構造を2つ有することもできる。
【0023】
Xとしての水素ラジカル供与性基を有する1価の有機基とは、−X’−Hで表される水素原子を有する基であり、さらにX’−H結合の結合解離エネルギーの小さな基である。
X’−H結合の結合解離エネルギーとしては150kcal以下であり、100kcal/mol以下が好ましく、さらに好ましくは90kcal/mol以下である。結合解離エネルギーの小さい基を用いることによって水素ラジカル供与性が増し、酸発生効率が向上し、感度が向上する。
結合解離エネルギーは、遊離基の生成熱からの熱力学的計算、トルエン担体法などの速度論的方法、電子衝撃法などにより求めることができる。これらは、Free Radicals in Solution, p.40, Chem.Revs., 59, 239 (1959), Chem.Revs., 61, 247(1961), Chem. Revs., 66, 465 (1966)に開示されている。尚、Handbook of Chemistry and Physics 66th ed. F185には、各種官能基の結合解離エネルギーが記載されている。
尚、X’−H基とカルボニル基とは連結基を介して6または7員環を形成する位置に結合していることが好ましい。一般式(I)の場合、下図のようにカルボニル基と6員環を形成できる構造を有していることが最も好ましい。これにより分子内水素移動速度が向上し、光分解効率が向上する。一般式(II)に関しても同様である。
【0024】
【化3】
【0025】
X’−H結合の結合解離エネルギーの小さな基としてはベンジル位のC−H結合、エーテルのα位のC−H結合、アルコールα位のC−H結合、アミンまたはアミドのN−H結合、アリル位のC−H結合、フェノール性水酸基のO−H結合、イソプロピル基の2位のC−H結合などがあげられるがこれに限定されるものではない。
【0026】
以下に、(A)成分としての化合物の反応機構を、公知の酸発生剤の反応機構とともに示す。
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
以下に一般式(I)叉は(II)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定するものではない。
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】
【化8】
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
【0035】
【化11】
【0036】
【化12】
【0037】
【化13】
【0038】
(A)成分の化合物の組成物中での添加量は、組成物の全固形分に対し、一般的に0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは1〜7重量%である。下限未満であると感度が低下する傾向があり、上限を超えると膜減りが悪化したり、形状がテーパーになる傾向がある。
【0039】
本発明では、他の酸発生剤を併用することもできる。他の酸発生剤としては、(a1)N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステルを少なくとも1種、および(a2)スルホニウムスルホン酸塩、ヨードニウムスルホン酸塩の群から選択されるオニウムスルホン酸塩を挙げることができる。
【0040】
(a1)N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル
N−ヒドロキシイミドのスルホン酸エステルとしては、下記一般式(PAG6)で表される化合物が挙げられる。
【0041】
【化14】
【0042】
R206は置換基を有していてもよい直鎖、分岐、環状アルキル基、置換されていてもよいアラルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、樟脳基を示す。
Aは置換基を有していてもよい直鎖、分岐アルキレン基、置換基を有していていてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい単環又は多環環状アルキレン基、置換されていてもよい直鎖、分岐アルケニレン基、置換されていてもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい単環又は多環環状アルケニレン基、置換されていてもよいアリーレン基、置換されていてもよいアラルキレン基を示す。
【0043】
R206の直鎖、分岐、環状アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基のような炭素数1〜20個の直鎖又は分岐アルキル基及びシクロプロピル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。アルキル基の好ましい置換基としてはアルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0044】
また、R206のアラルキル基としてはベンジル基もしくはフェネチル基のような炭素数7〜12個のアラルキル基が挙げられる。アラルキル基の好ましい置換基としては、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基、ニトロ基、アセチルアミノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
R206のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基、アントラニル基が挙げられる。
【0045】
Aのアルキレン基としては、直鎖又は分岐の炭素数1〜10個のアルキレン基あるいはヘテロ原子を含んでいてもよい単環又は多環の環状アルキレン基が挙げられる。直鎖又は分岐のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基又はオクチレン基などがあげられる。
アルキレン基の好ましい置換基としてはアルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0046】
アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基のような炭素数1〜20個のアルコキシ基又はエトキシエトキシ基などの置換基を有するアルコキシ基が挙げられる。
アシル基としてはアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
アシルアミノ基としてはアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。
スルホニルアミノ基としてはメタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基など炭素数1〜4個のスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基のような置換または無置換のベンゼンスルホニルアミノ基があげられる。
アリール基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、エトキシエトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基などの炭素数2〜20個のアルコキシカルボニル基があげられる。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0047】
環状アルキレン基としてはシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、などの炭素数4〜8個の単環シクロアルキレン基、7−オキサビシクロ〔2,2,1〕ヘプチレン基などの炭素数5〜15個の多環シクロアルキレン基が挙げられる。シクロアルキレン基の好ましい置換基としては、炭素数1〜4個のアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。
ここで挙げたアルコキシ基、アシル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アリール基、アルコキシカルボニル基は上記で挙げたものと同義である。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0048】
アリーレン基としてはフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。アリーレン基の好ましい置換基としてはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。
ここで挙げたアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アリール基、アルコキシカルボニル基は上記で挙げたものと同義である。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0049】
アルケニレン基としては炭素数2〜4個のアルケニレン基があげられ、例えばエテニレン基、ブテニレン基等が挙げられ、アルケニレン基の好ましい置換基としてはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。
ここで挙げたアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、ホルミル基、ニトロ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アリール基、アルコキシカルボニル基は上記で挙げたものと同義である。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0050】
環状アルケニレン基としてはシクロぺンテニレン基、シクロヘキセニレン基、などの炭素数4〜8個の単環シクロアルケニレン基、7−オキサビシクロ〔2,2,1〕ヘプテニレン基、ノルボルネニレン基などの炭素数5〜15個の多環シクロアルケニレン基が挙げられる。
アラルキレン基としては、トリレン基、キシリレン基などが挙げられ、その置換基としてはアリーレン基で挙げた置換基をあげることができる。
【0051】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
成分(a2)としての式(PAG3)又は(PAG4)を以下に示す。
【0056】
【化18】
【0057】
ここで式Ar1、Ar2は、各々独立に、置換もしくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒロドキシ基、メルカプト基及びハロゲン原子が挙げられる。
R203、R204、R205は、各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基及びそれらの置換誘導体である。好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒロドキシ基及びハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコシキカルボニル基である。
【0058】
Z-は対アニオンを示し、例えば置換してもよいアルカンスルホン酸、パーフロロアルカンスルホン酸、置換されていてもよいベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、樟脳スルホン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましくは、アルカンスルホン酸、パーフロロアルカンスルホン酸、アルキル置換ベンゼンスルホン酸、ペンタフロロベンゼンスルホン酸である。
【0059】
またR203 、R204 、R205 のうちの2つ及びAr1、Ar2はそれぞれの単結合又は置換基を介して結合してもよい。
【0060】
式(PAG3)又は(PAG4)の具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
【化19】
【0062】
【化20】
【0063】
【化21】
【0064】
【化22】
【0065】
【化23】
【0066】
【化24】
【0067】
【化25】
【0068】
【化26】
【0069】
【化27】
【0070】
【化28】
【0071】
【化29】
【0072】
【化30】
【0073】
【化31】
【0074】
以下に、併用してもよい酸発生剤の中で、特に好ましいものを例示する。
【0075】
【化32】
【0076】
【化33】
【0077】
【化34】
【0078】
さらに併用可能な光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている電子線またはX線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0079】
たとえば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物を挙げることができる。
【0080】
また、これらの電子線またはX線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63-26653号、特開昭55-164824号、特開昭62-69263号、特開昭63-146038 号、特開昭63-163452 号、特開昭62-153853号、特開昭63-146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0081】
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0082】
上記併用可能な電子線またはX線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
(1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG1)で表されるオキサゾール誘導体又は一般式(PAG2)で表されるS−トリアジン誘導体。
【0083】
【化35】
【0084】
式中、R201は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、R202は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、アルキル基、−C(Y)3をしめす。Yは塩素原子又は臭素原子を示す。
具体的には以下の化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0085】
【化36】
【0086】
【化37】
【0087】
【化38】
【0088】
(2)下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体。
【0089】
【化39】
【0090】
式中、Ar3、Ar4は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
【化40】
【0092】
(3)下記一般式(PAG7)で表されるジアゾジスルホン誘導体。
【0093】
【化41】
【0094】
ここでRは、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基、あるいは置換されていてもよいアリール基を表す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
【化42】
【0096】
(A)成分と他の酸発生剤との添加量の比は、モル比で、通常100/0〜20/80、好ましくは100/0〜40/60、更に好ましくは100/0〜50/50である。
【0097】
(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂(以下、「成分(B)」ともいう)
本発明のポジ型レジスト組成物において用いられる酸により分解し、アルカリ現像液中での溶解性を増大させる基を有する樹脂(成分(B))としては、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸で分解し得る基を有する樹脂である。この内、酸で分解し得る基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
【0098】
酸で分解し得る基として好ましい基は、−COOA0、−O−B0基であり、更にこれらを含む基としては、−R0−COOA0、又は−Ar−O−B0で示される基が挙げられる。
ここでA0は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)もしくは−C(R04)(R05)−O−R06基を示す。B0は、A0又は−CO−O−A0基を示す(R0、R01〜R06、及びArは後述のものと同義)。
酸分解性基としては好ましくは、シリルエーテル基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基、エノールエーテル基、エノールエステル基、第3級のアルキルエーテル基、第3級のアルキルエステル基、第3級のアルキルカーボネート基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第3級アルキルカーボネート基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基である。
【0099】
次に、これら酸で分解し得る基が側鎖として結合する場合の母体樹脂としては、側鎖に−OHもしくは−COOH、好ましくは−R0−COOHもしくは−Ar−OH基を有するアルカリ可溶性樹脂である。例えば、後述するアルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
【0100】
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して170A/秒以上のものが好ましい。特に好ましくは330A/秒以上のものである(Aはオングストローム)。
このような観点から、特に好ましいアルカリ可溶性樹脂は、o−,m−,p−ポリ(ヒドロキシスチレン)及びこれらの共重合体、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリ(ヒドロキシスチレン)、ポリ(ヒドロキシスチレン)の一部、O−アルキル化もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体及び水素化ノボラック樹脂である。
【0101】
本発明に用いられる成分(B)は、欧州特許254853号、特開平2−25850号、同3−223860号、同4−251259号等に開示されているように、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解し得る基の前駆体を反応させる、もしくは、酸で分解し得る基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合して得ることができる。
【0102】
本発明に使用される成分(B)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0103】
p−t−ブトキシスチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
4−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)−3−メチルスチレン/4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン(10%水素添加物)共重合体、
m−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/m−ヒドロキシスチレン共重合体、
o−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/o−ヒドロキシスチレン共重合体、
p−(クミルオキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン共重合体、
クミルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、
4−t−ブトキシカルボニルスチレン/マレイン酸ジメチル共重合体、
ベンジルメタクリレート/テトラヒドロピラニルメタクリレート、
【0104】
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体、
p−t−ブトキシスチレン/p−ヒドロキシスチレン/フマロニトリル共重合体、
t−ブトキシスチレン/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、スチレン/N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド/N−(4−t−ブトキシカルボニルオキシフェニル)マレイミド共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルメタクリレート共重合体、
スチレン/p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート共重合体、
スチレン/p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート共重合体、
p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン/p−ヒドロキシスチレン/N−メチルマレイミド共重合体、
t−ブチルメタクリレート/1−アダマンチルメチルメタクリレート共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−アセトキシスチレン共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−(t−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体、
p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルアクリレート/p−(t−ブトキシカルボニルメチルオキシ)スチレン共重合体、
【0105】
【化43】
【0106】
【化44】
【0107】
【化45】
【0108】
【化46】
【0109】
【化47】
【0110】
【化48】
【0111】
【化49】
【0112】
【化50】
【0113】
【化51】
【0114】
【化52】
【0115】
【化53】
【0116】
上記具体例において、Meはメチル基、Etはエチル基、nBuはn−ブチル基、iso−Buはイソブチル基、tBuはt−ブチル基を表す。
【0117】
酸分解性基としてアセタール基を用いる場合、アルカリ溶解速度調整及び耐熱性向上のために合成段階においてポリヒドロキシ化合物を添加してポリマー主鎖を多官能アセタール基で連結する架橋部位を導入してもよい。ポリヒドロキシ化合物の添加量は樹脂の水酸基の量に対して、0.01〜5mol%、更に好ましくは0.05〜4mol%である。ポリヒドロキシ化合物としては、フェノール性水酸基あるいはアルコール性水酸基を2〜6個持つものがあげられ、好ましくは水酸基の数が2〜4個であり、更に好ましくは水酸基の数が2又は3個である。以下にポリヒドロキシ化合物の具体例を示すが、これに限定されるものではない。
【0118】
【化54】
【0119】
酸で分解し得る基の含有率は、樹脂中の酸で分解し得る基の数(B)と酸で分解し得る基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)をもって、B/(B+S)で表される。含有率は好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.05〜0.50、更に好ましくは0.05〜0.40である。B/(B+S)>0.7ではPEB後の膜収縮、基板への密着不良やスカムの原因となり好ましくない。一方、B/(B+S)<0.01では、パターン側壁に顕著に定在波が残ることがあるので好ましくない。
【0120】
成分(B)の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜200,000の範囲であることが好ましい。2,000未満では未照射部の現像により膜減りが大きく、200,000を越えると樹脂自体のアルカリに対する溶解速度が遅くなり感度が低下してしまう。より好ましくは、5,000〜100,000の範囲であり、更に好ましくは8,000〜50,000の範囲である。また、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜4.0、より好ましくは1.0〜2.0、特に好ましくは1.0〜1.6であり、分散度が小さいほど、耐熱性、画像形成性(パターンプロファイル、デフォーカスラチチュード等)が良好となる。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
【0121】
また、成分(B)は、2種類以上組み合わせて使用してもよい。本発明におけるこれら成分の使用量は全組成物の固形分に対し、40〜99重量%、好ましくは60〜95重量%である。更に、アルカリ溶解性を調節するために、酸で分解し得る基を有さないアルカリ可溶性樹脂を混合してもよい。
【0122】
(C)酸の作用により分解し、アルカリ現像液への溶解性が増大する分子量3000以下の化合物((C)成分))
【0123】
本発明は、
1.(A)成分の化合物
(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂
を必須成分として含有するポジ型レジスト組成物(以下「第1組成物」ともいう)と、
2.(A)成分の化合物
(C)酸の作用により分解し、アルカリ現像液への溶解性が増大する分子量3000以下の化合物、及び
(D)アルカリ可溶性樹脂
を必須成分として含有するポジ型レジスト組成物(以下「第2組成物」ともいう)を包含する。
以下、単にポジ型レジスト組成物と称する場合は、第1組成物及び第2組成物の両者を含む。
【0124】
(C)成分は、第2組成物に必須成分として含有される成分であり、第1組成物には必要に応じて配合される成分である。(C)成分は、酸により分解し得る基を有し、アルカリ現像液中での溶解度が酸の作用により増大する、分子量3000以下、好ましくは200〜2,000、更に好ましくは300〜1,500の低分子量化合物である。この(C)成分は、非照射部のアルカリ現像液に対する溶解阻止剤として機能している。
なお、以下の記載において、「酸分解性溶解阻止化合物」は(C)成分と同義である。
【0125】
好ましい(C)成分、即ち好ましい酸分解性溶解阻止化合物は、その構造中に酸で分解し得る基を少なくとも2個有し、且つ該酸分解性基間の距離が、最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも8個経由する化合物である。
より好ましい酸分解性溶解阻止化合物は、
(イ)その構造中に酸で分解し得る基を少なくとも2個有し、且つ該酸分解性基間の距離が、最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも10個、好ましくは少なくとも11個、更に好ましくは少なくとも12個経由する化合物、及び
(ロ)酸分解性基を少なくとも3個有し、該酸分解性基間の距離が、最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも9個、好ましくは少なくとも10個、更に好ましくは少なくとも11個経由する化合物
である。
また、上記結合原子の上限は、好ましくは50個、より好ましくは30個である。
【0126】
酸分解性溶解阻止化合物が、酸分解性基を3個以上、好ましくは4個以上有する場合、また酸分解性基を2個有する場合においても、該酸分解性基が互いにある一定の距離以上離れていれば、アルカリ可溶性樹脂に対する溶解阻止性が著しく向上する。
なお、酸分解性基間の距離は、酸分解性基を除く、経由結合原子数で示される。例えば、下記の化合物(1)、(2)の場合、酸分解性基間の距離は、各々結合原子4個であり、化合物(3)では結合原子12個である。
【0127】
【化55】
【0128】
また、酸分解性溶解阻止化合物は、1つのベンゼン環上に複数個の酸分解性基を有していてもよいが、好ましくは、1つのベンゼン環上に1個の酸分解性基を有する骨格から構成される化合物である。
【0129】
酸により分解し得る基、即ち−COO−A0、−O−B0基を含む基としては、−R0−COO−A0、又は−Ar−O−B0で示される基が挙げられる。
ここでA0は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)もしくは−C(R04)(R05)−O−R06基を示す。B0は、A0又は−CO−O−A0基を示す。
R01、R02、R03、R04及びR05は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基もしくはアリール基を示し、R06はアルキル基もしくはアリール基を示す。但し、R01〜R03の内少なくとも2つは水素原子以外の基であり、又、R01〜R03及びR04〜R06の内の2つの基が結合して環を形成してもよい。R0は置換基を有していてもよい2価以上の脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、−Ar−は単環もしくは多環の置換基を有していてもよい2価以上の芳香族基を示す。
【0130】
ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフエニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。
また、置換基としては水酸基、ハロゲン原子(フツ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、シアナミル基、バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、上記のアルケニル基、ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、アリルオキシ基、ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、上記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0131】
酸分解性基として好ましくは、シリルエーテル基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基、エノールエーテル基、エノールエステル基、第3級のアルキルエーテル基、第3級のアルキルエステル基、第3級のアルキルカーボネート基等を挙げることができる。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第3級アルキルカーボネート基、クミルエステル基、テトラヒドロピラニルエーテル基である。
【0132】
(C)成分は、好ましくは、特開平1−289946号、特開平1−289947号、特開平2−2560号、特開平3−128959号、特開平3−158855号、特開平3−179353号、特開平3−191351号、特開平3−200251号、特開平3−200252号、特開平3−200253号、特開平3−200254号、特開平3−200255号、特開平3−259149号、特開平3−279958号、特開平3−279959号、特開平4−1650号、特開平4−1651号、特開平4−11260号、特開平4−12356号、特開平4−12357号、特願平3−33229号、特願平3−230790号、特願平3−320438号、特願平4−25157号、特願平4−52732号、特願平4−103215号、特願平4−104542号、特願平4−107885号、特願平4−107889号、同4−152195号等の明細書に記載されたポリヒドロキシ化合物のフエノール性OH基の一部もしくは全部を上に示した基、−R0−COO−A0もしくはB0基で結合し、保護した化合物を包含する。
【0133】
更に好ましくは、特開平1−289946号、特開平3−128959号、特開平3−158855号、特開平3−179353号、特開平3−200251号、特開平3−200252号、特開平3−200255号、特開平3−259149号、特開平3−279958号、特開平4−1650号、特開平4−11260号、特開平4−12356号、特開平4−12357号、特願平4−25157号、特願平4−103215号、特願平4−104542号、特願平4−107885号、特願平4−107889号、同4−152195号の明細書に記載されたポリヒドロキシ化合物を用いたものが挙げられる。
【0134】
本発明において、(C)成分の好ましい化合物骨格の具体例を以下に示す。
【化56】
【0135】
【化57】
【0136】
【化58】
【0137】
【化59】
【0138】
【化60】
【0139】
【化61】
【0140】
【化62】
【0141】
【化63】
【0142】
【化64】
【0143】
【化65】
【0144】
【化66】
【0145】
【化67】
【0146】
【化68】
【0147】
化合物(1)〜(44)中のRは、水素原子、
【0148】
【化69】
【0149】
を表す。但し、少なくとも2個、もしくは構造により3個は水素原子以外の基であり、各置換基Rは同一の基でなくてもよい。
【0150】
第1組成物の場合、(C)成分の含量は、第1組成物の固形分を基準として、好ましくは3〜45重量%、より好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは10〜25重量%である。
第2組成物の場合の(C)成分の含量は、上記第1組成物と同様である。
【0151】
(D)水に不要で、アルカリ現像液に可溶な樹脂(以下、「(D)成分」あるいは「(D)アルカリ可溶性樹脂」ともいう)
本発明のレジスト組成物において、(D)成分として、水に不溶でアルカリ水溶液に可溶な樹脂を用いることができる。
【0152】
アルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して20Å/秒以上のものが好ましい。特に好ましくは200Å/秒以上のものである(Åはオングストローム)。
【0153】
本発明に用いられる(D)アルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂、水素化ノボラツク樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、o−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、o/p−及びm/p−ヒドロキシスチレン共重合体、ポリヒドロキシスチレンの水酸基に対する一部O−アルキル化物(例えば、5〜30モル%のO−メチル化物、O−(1−メトキシ)エチル化物、O−(1−エトキシ)エチル化物、O−2−テトラヒドロピラニル化物、O−(t−ブトキシカルボニル)メチル化物等)もしくはO−アシル化物(例えば、5〜30モル%のo−アセチル化物、O−(t−ブトキシ)カルボニル化物等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、カルボキシル基含有メタクリル系樹脂及びその誘導体、ポリビニルアルコール誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0154】
特に好ましい(D)アルカリ可溶性樹脂はノボラック樹脂及びo−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン及びこれらの共重合体、アルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの一部O−アルキル化、もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体である。
該ノボラック樹脂は所定のモノマーを主成分として、酸性触媒の存在下、アルデヒド類と付加縮合させることにより得られる。
【0155】
また、アルカリ溶解性樹脂の重量平均分子量は、2000以上、好ましくは5000〜200000、より好ましくは5000〜100000である。
【0156】
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
本発明におけるこれらの(D)アルカリ可溶性樹脂は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
(D)アルカリ可溶性樹脂の使用量は、レジスト組成物の全組成物の固形分に対し、40〜97重量%、好ましくは60〜90重量%である。
【0157】
(E)酸の作用により上記樹脂と架橋する架橋剤(以下「(E)成分」あるいは「(E)架橋剤」ともいう)
本発明のネガ型レジスト組成物では、(A)成分としての化合物、(D)アルカリ可溶性樹脂とともに、酸により架橋する架橋剤を使用する。
【0158】
(E)架橋剤は、フェノール誘導体を使用することができる。好ましくは、分子量が1200以下、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、さらにヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、そのヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基を少なくともいずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるフェノール誘導体を挙げることができる。
このようなフェノール誘導体を用いることにより、本発明の効果をより顕著にすることができる。
ベンゼン環に結合するアルコキシメチル基としては、炭素数6個以下のものが好ましい。具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基が好ましい。さらに、2−メトキシエトキシ基及び、2−メトキシ−1−プロピル基の様に、アルコキシ置換されたアルコキシ基も好ましい。
これらのフェノール誘導体の内、特に好ましいものを以下に挙げる。
【0159】
【化70】
【0160】
【化71】
【0161】
【化72】
【0162】
【化73】
【0163】
【化74】
【0164】
(式中、L1〜L8は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基を示す。)
【0165】
ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物(上記式においてL1〜L8が水素原子である化合物)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を60℃以下で行うことが好ましい。具体的には、特開平6−282067号、特開平7−64285号等に記載されている方法にて合成することができる。
【0166】
アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい。具体的には、欧州特許EP632003A1等に記載されている方法にて合成することができる。
このようにして合成されたヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、保存時の安定性の点で好ましいが、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は保存時の安定性の観点から特に好ましい。
ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、いずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるこのようなフェノール誘導体は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0167】
上記フェノール誘導体以外にも、下記の(i)、(ii)の化合物が(e)架橋剤として使用できる。
(i) N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物
(ii) エポキシ化合物
【0168】
本発明において、上記の架橋剤としては、フェノール誘導体が好ましい。また上記の架橋剤を、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記の架橋剤を併用する場合のフェノール誘導体と(i)または(ii)の架橋剤の比率は、モル比で100/0〜0/100、好ましくは90/10〜20/80、更に好ましくは90/10〜50/50である。
【0169】
(i) N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物としては、欧州特許公開(以下、「EP−A」と記載する)第0,133,216号、***特許第3,634,671号、同第3,711,264号に開示された単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP−A第0,212,482号に開示されたアルコキシ置換化合物等に開示されたベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。
【0170】
更に好ましい例としては、例えば、少なくとも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有するメラミン−ホルムアルデヒド誘導体が挙げられ、中でもN−アルコキシメチル誘導体が特に好ましい。
【0171】
(ii) エポキシ化合物としては、一つ以上のエポキシ基を含む、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物を挙げることができる。例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。その他、米国特許第4,026,705号公報、英国特許第1,539,192号公報に記載され、使用されているエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0172】
(E)架橋剤は、全レジスト組成物固形分中、3〜70重量%、好ましくは5〜50重量%の添加量で用いられる。
架橋剤の添加量が3重量%未満であると残膜率が低下し、また、70重量%を越えると解像力が低下し、更にレジスト液の保存時の安定性の点で余り好ましくない。
【0173】
(F)有機塩基性化合物(以下「(F)成分」ともいう。)
本発明で用いることのできる好ましい(F)有機塩基性化合物とは、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。中でも含窒素塩基性化合物が好ましい。
好ましい化学的環境として、下記式(A)〜(E)構造を挙げることができる。
【0174】
【化75】
【0175】
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0176】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダーゾル、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。
【0177】
好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0178】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、2,4,5−トリフェニルイミダール、N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルチオ尿素等が挙げられ、中でも好ましくは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、2,4,5−トリフェニルイミダール、N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルチオ尿素等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0179】
これらの有機塩基性化合物は、単独であるいは2種以上組み合わせてに用いることができる。有機塩基性化合物の使用量は、本発明の組成物中の全組成物の固形分に対し、通常、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。0.001重量%未満では本発明の効果が得られない。一方、10重量%を超えると感度の低下や非照射部の現像性が悪化する傾向がある。
【0180】
(G)フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤(以下「(G)成分」ともいう。次に本発明のレジスト組成物に含有される(G)成分であるフッ素系界面活性剤とシリコン系界面活性剤について説明する。
本発明の組成物には、フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤のいずれか、あるいは両方を含有することができる。
【0181】
これらの(G)成分として、例えば特開昭62-36663号、特開昭61-226746号、特開昭61-226745号、特開昭62-170950号、特開昭63-34540号、特開平7-230165号、特開平8-62834号、特開平9-54432号、特開平9-5988号、米国特許5405720号、 同5360692号、同5529881号、同5296330号、同5436098号、同5576143号、同5294511号、同5824451号記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0182】
(G)成分の配合量は、本発明の組成物中の全組成物の固形分に対し、通常0.00001〜2重量%、好ましくは0.0001〜1重量%である。
これらの界面活性剤は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0183】
(H)本発明に使用されるその他の成分
本発明のレジスト組成物には必要に応じて、更に染料、顔料、可塑剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させるフエノール性OH基を2個以上有する化合物等を含有させることができる。
【0184】
本発明で使用できるフェノール性OH基を2個以上有する化合物は、好ましくは分子量1000以下のフェノール化合物である。また、分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有することが必要であるが、これが10を越えると、現像ラチチュードの改良効果が失われる。
また、フェノ−ル性水酸基と芳香環との比が0.5未満では膜厚依存性が大きく、また、現像ラチチュードが狭くなる傾向がある。この比が1.4を越えると該組成物の安定性が劣化し、高解像力及び良好な膜厚依存性を得るのが困難となって好ましくない。
【0185】
このフェノール化合物の好ましい添加量は(D)アルカリ可溶性樹脂に対して2〜50重量%であり、更に好ましくは5〜30重量%である。50重量%を越えた添加量では、現像残渣が悪化し、また現像時にパターンが変形するという新たな欠点が発生して好ましくない。
【0186】
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938、特開平2−28531、米国特許第4916210、欧州特許第219294等に記載の方法を参考にして、当業者に於て容易に合成することができる。
フェノール化合物の具体例を以下に示すが、本発明で使用できる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0187】
レゾルシン、フロログルシン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3′,4′,5′−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、アセトン−ピロガロール縮合樹脂、フロログルコシド、2,4,2′,4′−ビフェニルテトロール、4,4′−
チオビス(1,3−ジヒドロキシ)ベンゼン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルエーテル、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルスルフォキシド、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、α,α′,α″−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、1,2,2−トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,2−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)ブタン、パラ〔α,α,α′,α′−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)〕−キシレン等を挙げることができる。
【0188】
本発明の感光性組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用することができる。
【0189】
上記溶媒に上記(G)成分であるフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の界面活性剤を併用することもできる。具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、アクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の全組成物の固形分に対し、通常、2重量%以下、好ましくは1重量%以下である。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上を組み合わせて添加することもできる。
【0190】
本発明のレジスト組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布後、直描または所定のマスクを通して照射し、ベークを行い現像することにより良好なレジストパターンを得ることができる。
【0191】
本発明の感光性組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0192】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0193】
(本発明のポジ型KrF、電子線、及びX線レジスト組成物の合成例)
化合物(I−1)の合成
2’メチルアセトフェノン12.8g(95.6mmol)をアセトニトリル200mlに溶解させ、これに[ヒドロキシ(p−トシルオキシ)ヨード]ベンゼン25g(63.7mmol)を加えて1時間還留した。反応液を濃縮し、これを酢酸エチル300mlに溶解させ、これを蒸留水100mlで2回洗浄した。有機相を濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製すると化合物(I−1)が17g得られた。
300MHz1H−NMR(CDCl3)
δ2.2(s.3H)、δ2.21(s.3H)、δ5.5(2.2H)、
δ7.2〜7.5(m.6H)、δ7.8(d.2H)
m.p.56−57℃
【0194】
化合物(I−5)の合成
ヨードベンゼンジアセテート26.8g(0.0833mol)にアセトニトリル200mlを加え、これにトリフロロメタンスルホン酸25g(0.166mol)をアセトニトリル200ml、水3gに溶解させたものを加え、[ヒドロキシ(トリフロロメタンスルホニルオキシ)ヨード]ベンゼン溶液を調整した。この溶液に2’メチルアセトフェノン13.4g(0.1mol)を加え、100℃で2時間反応した。反応液を濃縮しこれを酢酸エチル700mlに溶解させた。これを蒸留水300mlで5回洗浄し、乾燥、濃縮すると粗生成物が得られた。これをカラムクロマトグラフィーで精製すると化合物(I−5)が10g得られた。
300MHz1H−NMR(CDCl3)
δ2.2(s.3H)、δ5.5(2.2H)、δ7.2〜7.5(m.4H)
【0195】
他の一般式(I)の化合物についても同様に対応するヶトン化合物と[ヒドロキシ(スルホニルオキシ)ヨード]ベンゼンを反応させることにより得た。[ヒドロキシ(スルホニルオキシ)ヨード]ベンゼンは、J.Am.Chem.Soc.1987,109,228-235あるいはTetrahedron.1992, 48,7149-7156記載の方法により、ヨードベンゼンジアセテートまたはヨードシルベンゼンとスルホン酸を反応させることにより得た。
【0196】
化合物(II−1)の合成
塩化アルミニウム41.2gとp−キシレン80mlを混合し、これに氷冷下ブロモ酢酸クロリド44.1gをゆっくり滴下して加えた。滴下後室温まで昇温し、さらに2時間反応させた。反応液を氷にゆっくり注ぎ、これをジイソプロピルエーテル400mlで2回抽出した。有機相を蒸留水200mlで5回洗浄し、乾燥、濃縮した。減圧蒸留により精製すると(b.p.127℃(5mmHg))2,5−ジメチルフェナシルブロミドが39g得られた。
テトラヒドロチオフェン10gをアセトニトリル15mlに溶解させ、これに2,5−ジメチルフェナシルブロミド13.6gを室温で滴下して加えた。析出した結晶をろ取し、蒸留水300mlでリスラリーすると2,5−ジメチルフェナシルテトラヒドロチオフェニウムブロミド9.8gが得られた。
2,5−ジメチルフェナシルテトラヒドロチオフェニウムブロミド5g、ノナフロロブタンスルホン酸カリウム塩5.63gをメタノール100mlに溶解させ、これを蒸留水1000mlに注ぐと粉体が析出した。これをろ取、水洗すると化合物(II−1)が7.0g得られた。
【0197】
他の一般式(II)の化合物についても同様の方法を用いることで合成した。
【0198】
〔合成例1:ポリ(p−ヒドロキシスチレン/スチレン)共重合体の合成〕
常法に基づいて脱水、蒸留精製したp−tert−ブトキシスチレンモノマー35.25g(0.2モル)及びスチレンモノマー5.21g(0.05モル)をテトラヒドロフラン100mlに溶解した。窒素気流及び攪拌下、80℃にてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.033gを2.5時間置きに3回添加し、最後に更に5時間攪拌を続けることにより、重合反応を行った。反応液をヘキサン1200mlに投入し、白色の樹脂を析出させた。得られた樹脂を乾燥後、テトラヒドロフラン150mlに溶解した。
これに4N塩酸を添加し、6時間加熱還流することにより加水分解させた後、5Lの超純水に再沈し、この樹脂を濾別し、水洗・乾燥させた。更にテトラヒドロフラン200mlに溶解し、5Lの超純水中に激しく攪拌しながら滴下、再沈を行った。この再沈操作を3回繰り返した。得られた樹脂を真空乾燥器中で120℃、12時間乾燥し、ポリ(p−ヒドロキシスチレン/スチレン)共重合体を得た。
【0199】
〔合成例2:樹脂例(b−21)の合成〕
p−アセトキシスチレン32.4g(0.2モル)及びメタクリル酸t−ブチル7.01g(0.07モル)を酢酸ブチル120mlに溶解し、窒素気流及び攪拌下、80℃にてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.033gを2.5時間置きに3回添加し、最後に更に5時間攪拌を続けることにより、重合反応を行った。反応液をヘキサン1200mlに投入し、白色の樹脂を析出させた。得られた樹脂を乾燥後、メタノール200mlに溶解した。
これに水酸化ナトリウム7.7g(0.19モル)/水50mlの水溶液を添加し、1時間加熱還流することにより加水分解させた。その後、水200mlを加えて希釈し、塩酸にて中和し白色の樹脂を析出させた。この樹脂を濾別し、水洗・乾燥させた。更にテトラヒドロフラン200mlに溶解し、5Lの超純水中に激しく攪拌しながら滴下、再沈を行った。この再沈操作を3回繰り返した。得られた樹脂を真空乾燥器中で120℃、12時間乾燥し、ポリ(p−ヒドロキシスチレン/メタクリル酸t−ブチル)共重合体を得た。
【0200】
〔合成3:樹脂例(b−3)の合成〕
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(日本曹達社製VP−8000)10gをピリジン50mlに溶解させ、これに室温で撹伴下、二炭酸ジ−t−ブチル3.63gを滴下した。
室温で3時間撹伴した後、イオン交換水1L/濃塩酸20gの溶液に滴下した。析出した粉体をろ過、水洗、乾燥すると、樹脂例(b−3)が得られた。
【0201】
〔合成4:樹脂例(b−33)の合成〕
p−シクロヘキシルフェノール83.1g(0.5モル)を300m1のトルエンに溶解し、次いで2−クロロエチルビニルエーテル150g、水酸化ナトリウム25g、テトラブチルアンモニウムブロミド5g、トリエチルアミン60gを加えて120℃で5時間反応させた。反応液を水洗し、過剰のクロエチルビニルエーテルとトルエンを留去し、得られたオイルを減圧蒸留にて精製すると4−シクロヘキシルフェノキシエチルビニルエーテルが得られた。
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(日本曹達社製VP−8000)20g,4−シクロヘキシルフェノキシエチルビニルエ−テル6.5gをTHF80mlに溶解し、これにp−トルエンスルホン酸0.01gを添加して室温で18時間反応させた。反応液を蒸留水5Lに激しく撹拌しながら滴下し、析出する粉体をろ過、乾燥すると樹脂例(b−33)が得られた。
【0202】
樹脂例(b−4)、(b−28)、(b−30)も対応する幹ポリマーとビニルエーテルを用いて、同様の方法により合成した。
【0203】
(溶解阻止剤化合物の合成例−1:化合物例16の合成)
1−[α−メチル−α−(4' −ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α' ,α' −ビス(4" −ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン42.4g(0.10モル)をN,N−ジメチルアセトアミド300mlに溶解し、これに炭酸カリウム49.5g(0.35モル)、及びブロモ酢酸クミルエステル84.8g(0.33モル)を添加した。その後、120℃にて7時間撹拌した。反応混合物をイオン交換水2lに投入し、酢酸にて中和した後、酢酸エチルにて抽出した。酢酸エチル抽出液を濃縮、精製し、化合物例16(Rは全て−CH2COOC(CH3)2C6H5基)70gを得た。
【0204】
(溶解阻止剤化合物の合成例−2:化合物例41の合成)
1,3,3,5−テトラキス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン44gをN,N−ジメチルアセトアミド250mlに溶解させ、これに炭酸カリウム70.7g、次いでブロモ酢酸t−ブチル90.3gを加え120℃にて7時間撹拌した。反応混合物をイオン交換水2lに投入し、得られた粘稠物を水洗した。これをカラムクロマトグラフィーにて精製すると化合物例41(Rはすべて−CH2COOC4H9(t))が87g得られた。
【0205】
(溶解阻止剤化合物の合成例−3:化合物例43の合成)
α,α,α’,α’,α”,α”,−ヘキサキス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリエチルベンゼン20gをジエチルエーテル400mlに溶解させた。この溶液に窒素雰囲気下で3,4−ジヒドロ−2H−ピラン42.4g、触媒量の塩酸を加え、24時間還流した。反応終了後少量の水酸化ナトリウムを加えた後ろ過した。ろ液を濃縮し、これをカラムクロマトグラフィーにて精製すると化合物例43(RはすべてTHP基)が55.3g得られた。
【0206】
実施例1−1〜1−26、比較例1−1〜1−3
下記表1に示した成分を表1に示す溶剤8.2gに溶解させ、これを0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して各レジスト溶液を調製した。
このように調製された樹脂組成物につき、下記方法によりレジストの画像性能を評価した。
【0207】
表1中の(C)溶解阻止剤における(C−1)、(C−2)は、下記の通りである。
【0208】
【化76】
【0209】
【化77】
【0210】
表1中のその他の成分は、下記の通りである。
【0211】
【化78】
【0212】
(F)塩基性化合物は、以下の通りである。
(1):1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン
(2):2,4,5−トリフェニルイミダゾール
(3):トリ−n−ブチルアミン
(4):N−ヒドロキシエチルピペリジン
【0213】
(G)界面活性剤は、以下の通りである。
W−1:メガファックF176(大日本インキ(株)製)
W−2:メガファックR08(大日本インキ(株)製)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
W−4:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
【0214】
溶剤は、以下の通りである。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)
EL:乳酸エチル
EEP:エトキシプロピオン酸エチル
BL:γ−ブチロラクトン
CH:シクロヘキサノン
【0215】
使用したバインダー樹脂の組成、物性等は以下の通りである。
(b−3):p−ヒトロキシスチレン/p−t−ブトキシカルボキシスチレン共重合体(モル比:80/20)、重量平均分子量13000、分子量分布(Mw/Mn)1.4
(b−4):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−エトキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:70/30)、重量平均分子量12000、分子量分布(Mw/Mn)1.3
(b−21):p−ヒドロキシスチレン/t−ブチルメタクリレート共重合体(モル比:70/30)、重量平均分子量16000、分子量分布(Mw/Mn)2.0
(b−22):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−t−ブトキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:85/15)、重量平均分子量12000、分子量分布(Mw/Mn)1.1
(b−28):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−フェネチルオキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:85/15)、重量平均分子量12000、分子量分布(Mw/Mn)1.2
(b−30):p−ヒドロキシスチレン/p−(1−フェノキシエトキシエトキシ)スチレン共重合体(モル比:85/15)、重量平均分子量13000、分子量分布(Mw/Mn)1.2
(PHS):ポリ−p−ヒドロキシスチレン(日本曹達(株)製、商品名VP−15000)
(PHS/St:合成例1で合成したもの):p−ヒドロキシスチレン/スチレン(モル比:80/20)、重量平均分子量26000、分子量分布(Mw/Mn)1.9
【0216】
比較例で使用した酸発生剤を以下に示す。
【0217】
【化79】
【0218】
【表1】
【0219】
【表2】
【0220】
A.KrFエキシマレーザー露光評価
上記で調整した各レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルシシラザン処理を施したシリコンウエハー上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.6μmのレジスト膜を形成させた。このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザーステッパー(NA=0.63)を用いラインアンドスペース用マスクを使用してパターン露光し、露光後すぐに110℃で90秒間ホットプレート上て加熱した。更に2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃下60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥した。このようにして得られたシリコンウェハー上のパターンから下記の方法でレジストの性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0221】
(感度)
感度は0.18μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する露光量を表す。
(解像力)
0.18μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する露光量における限界解像力を表す。
(露光マージン)
0.16μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、0.16μm±10%の線幅を再現する露光量幅を最適露光量で割った値を100分率(%)で表した。数字が大きいほど露光量変化に対して線幅変化が少ない。
【0222】
【表3】
【0223】
表2の結果より、本発明のレジスト組成物はKrF露光評価においても高感度、高解像力で、露光マージンも良好であることがわかる。
【0224】
B.電子線照射評価
上記で調製した各レジスト液をスピンコーターによりヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で60秒間ホットプレート上で加熱、乾燥を行い、0.3μmのレジスト膜を形成した。
このレジスト膜を、ニコン社製電子線プロジェクションリソグラフィー装置(加速電圧100keV)で照射し、照射後直ぐに110℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38重量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥した。
このようにして得られたラインアンドスペースパターンの形成されたサンプルを、走査型電子顕微鏡で観察し、感度、解像力を評価した。
【0225】
(感度)
感度は0.15μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する照射量を表す。
(解像力)
解像力は0.15μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する照射量における限界解像力を表す。
【0226】
【表4】
【0227】
表3に示された結果から、本発明のポジ型電子線レジスト組成物は、高感度、高解像力であることがわかる。
【0228】
C.X線照射評価
上記で調製した各レジスト液をスピンコーターにより、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱、乾燥を行い、0.35μmのレジスト膜を形成した。
【0229】
このレジスト膜をX線等倍照射装置(XRS−200、ギャップ値20μm)で照射し、照射後すぐに110℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38重量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水でリンスした後乾燥した。
このようにして形成されたコンタクトホールパターンについて走査型電子顕微鏡で観察し、感度、解像力を評価した。
【0230】
(感度評価法)
感度は0.18μmのコンタクトホールパターンを再現する照射量を表す。
(解像力評価法)
解像力は0.18μmのコンタクトホールパターンを再現する照射量における限界解像力を表す。
【0231】
【表5】
【0232】
表4の結果より、本発明のレジスト組成物はX線照射評価においても高感度、高解像力であることがわかる。
【0233】
次に、本発明のネガ型レジスト組成物の実施例について記載する。
(本発明のネガ型KrF、電子線、X線レジスト組成物の合成例)
1.構成素材の合成例
(1)アルカリ可溶性樹脂
1) 5−ビニル−1,3−ベンゾジオキソール14.8g、4−ヒドロキシスチレン108.1gを乾燥THF270mlに加えた後、窒素気流下70℃に加熱した。反応温度が安定したところで、和光純薬(株)製V−601を前記モノマー総モル数の2.5%加え、反応を開始させた。6時間反応させた後、反応混合物をTHFで希釈し、大量のへキサン中に投入し、析出させた。粉体をろ過して集め、更にTHF−ヘキサン系で再沈殿を2度繰返し、減圧乾燥し樹脂(P−1)を得た。得られた樹脂の分子量は、GPC測定の結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)で17,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)=2.15であった。
2) 上記と同様の方法により樹脂(P−2)から樹脂(P−5)、(P−9)、(P−11)、(P−7)前駆体を得た。
【0234】
3) 5−ビニル−1,3−ベンゾジオキソール148.2gを乾燥THF270mlに加えた後、窒素気流下70℃に加熱した。反応温度が安定したところで、和光純薬(株)製V−601を前記モノマー総モル数の2.5%加え、反応を開始させた。6時間反応させた後、反応混合物をTHFで希釈し、大量のへキサン中に投入し、析出させた。粉体をろ過して集め、更にTHF−ヘキサン系で再沈殿を2度繰返し、減圧乾燥し樹脂を得た。得られた樹脂のうち30gを1,2−ジクロロエタン300mlに溶解した。窒素気流下、3臭化ホウ素−メチルスルフィド錯体の塩化メチレン溶液を適量加え、4時間加熱還流した後、冷却した。反応中一定時間毎に少量サンプリングして、メタノールを加えてポリマーを取り出し、13C−NMRで分解率をモニターする予備実験により反応時間を決めた。反応液にメタノールを加え、反応液を濃縮した。残さにアセトン/メタノールを加えて再溶解し、脱気した水に注いで析出した粉体をろ過して集め、減圧乾燥して樹脂(P−3)を得た。得られた樹脂の分子量は、GPC測定の結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)で14,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)=2.21であった。
4)上記と同様の方法で、樹脂(P−4)を得た。
【0235】
5) 4−ビニルカテコールを常法により、イミダゾール、t−ブチルジメチルシリルクロリドを用いて保護したモノマー218.8g、5−ビニル−1,3−ベンゾジオキソール29.6g、4−t−ブトキシカルボニルオキシスチレン44.1g、を乾燥THF270mlに加えた後、窒素気流下70℃に加熱した。反応温度が安定したところで、和光純薬(株)製V−601を前記モノマー総モル数の2.5%加え、反応を開始させた。6時間反応させた後、反応混合物をTHFで希釈し、大量のへキサン中に投入し、析出させた。粉体をろ過して集め、更にTHF−ヘキサン系で再沈殿を2度繰返し、減圧乾燥し樹脂を得た。得られた樹脂を常法によりフッ素イオンで処理し、脱保護して樹脂(P−6)を得た。得られた樹脂の分子量は、GPC測定の結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)で16,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)=2.30であった。
6)上記と同様の方法で、樹脂(P−8)及び樹脂(P−10)を得た。
【0236】
7) 上記1)と同様な方法で得られた前駆体ポリマー20gを乾燥THF80mlに溶解した。β−シクロヘキシルエチルビニルエーテル1.4g、p−トルエンスルホン酸10mgを加え、室温にて1時間攪拌し、トリエチルアミンを加えた。反応液を水に注いで析出した粉体をろ過して集め、減圧乾燥し樹脂(P−7)を得た。得られた樹脂の分子量は、GPC測定の結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)で19,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)=2.20であった。
【0237】
8) 4−ヒドロキシスチレンを常法により、イミダゾール、t−ブチルジメチルシリルクロリドを用いて保護したモノマー211.0g(0.9mol)、5−ビニル−1,3−ベンゾジオキソール14.8g(0.1mol)、脱気乾燥THF270mlを用い、封管中−78℃で12mmolのs−ブチルリチウムを用い、ガラスシールを破って反応を開始させた。3時間反応させた後、脱気したメタノールで反応を終了させた。大量のへキサン中に投入し、析出した粉体をろ過して集め、更にTHF−ヘキサン系で再沈殿を2度繰返し、減圧乾燥し樹脂を得た。得られた樹脂を常法によりフッ素イオンで処理し、脱保護して樹脂(P−14)を得た。得られた樹脂の分子量は、GPC測定の結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)で10,000であり、分子量分散度(Mw/Mn)=1.10であった。
9)上記と同様の方法で、樹脂(P−15)を得た。
【0238】
(2) 架橋剤
架橋剤〔HM−1〕の合成
1−〔α−メチル−α-(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン20g(本州化学工業(株)製Trisp−PA)を10%水酸化カリウム水溶液に加え、撹拌、溶解した。次にこの溶液を撹伴しながら、37%ホルマリン水溶液60mlを室温下で1時間かけて徐々に加えた。さらに室温下で6時間撹伴した後、希硫酸水溶液に投人した。析出物をろ過し、十分水洗した後、メタノール30mlより再結晶することにより、下記構造のヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体〔HM−1]の白色粉末20gを得た。純度は92%であった(液体クロマトグラフィー法)。
【0239】
【化80】
【0240】
架橋剤〔MM−1〕の合成
上記合成例で得られたヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体〔HM−1〕20gを1リットルのメタノールに加え、加熱撹拌し、溶解した。次に、この溶液に濃硫酸1mlを加え、12時間加熱還流した。反応終了後、反応液を冷却し、炭酸カリウム2gをを加えた。この混合物を十分濃縮した後、酢酸エチル300mlを加えた。この溶液を水洗した後、濃縮乾固させることにより、下記構造のメトキシメチル基を有するフェノール誘導体〔MM−1〕の白色固体22gを得た。純度は90%であった(液体クロマトグラフィー法)。
【0241】
【化81】
【0242】
さらに、同様にして以下に示すフェノール誘導体を合成した。
【0243】
【化82】
【0244】
【化83】
【0245】
【化84】
【0246】
2.実施例〔実施例、比較例〕
(1)レジストの塗設
表5に示す組成を有する各組成物を0.1μmのテフロンフィルターによりろ過して固形分濃度12重量%のレジスト溶液を調整した。
【0247】
【表6】
【0248】
表5において使用した略号は下記の内容を示す。尚、溶剤の複数使用における比は重量比である。
<樹脂>
【0249】
【化85】
【0250】
【化86】
【0251】
【化87】
【0252】
P−12: ポリ−(p−ヒドロキシスチレン)(日本曹達(株)製、商品名 VP−8000)
Mw10,000 Mw/Mn=1.2
P−13: ノボラック樹脂・
m−クレゾール/p−クレゾール=45/55(モル比)
Mw6,500
【0253】
【化88】
【0254】
【化89】
【0255】
A.KrFエキシマレーザー露光評価
上記で調製した各レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルシシラザン処理を施したシリコンウエハー上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、0.6μmのレジスト膜を形成させた。このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザーステッパー(NA=0.63)を用いラインアンドスペース用マスクを使用してパターン露光し、露光後すぐに110℃で90秒間ホットプレート上て加熱した。更に2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液で23℃下60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥した。このようにして得られたシリコンウェハー上のパターンから下記の方法でレジストの性能を評価した。その結果を表6に示す。
【0256】
(感度)
感度は0.18μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する露光量を表す。
(解像力)
0.18μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する露光量における限界解像力を表す。
(露光マージン)
0.16μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、0.16μm±10%の線幅を再現する露光量幅を最適露光量で割った値を100分率(%)で表した。数字が大きいほど露光量変化に対して線幅変化が少ない。
【0257】
【表7】
【0258】
表6の結果より、本発明のレジスト組成物はKrF露光評価においても高感度、高解像力で、露光マージンも良好であることがわかる。
B.電子線照射評価
(評価方法)
上記で調製した各レジスト溶液を、スピンコーターによりヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で60秒間ホットプレート上で加熱、乾燥を行い、0.3μmのレジスト膜を形成した。
このレジスト膜を、ニコン社製電子線プロジェクションリソグラフィー装置(加速電圧100keV)で照射し、照射後直ぐに110℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。更に2.38重量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥した。
このようにして得られたラインアンドスペースパターンの形成されたサンプルを、走査型電子顕微鏡で観察し、感度、解像力を評価した。性能評価結果を表7に示した。
【0259】
(感度)
感度は0.15μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する照射量を表す。
(解像力)
解像力は0.15μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する照射量における限界解像力を表す。
【0260】
【表8】
【0261】
表7の結果に示すように、本発明のレジスト組成物は、高感度、高解像力を有することが判る。
【0262】
また、上記樹脂(P−14)及び(P−15)を用いて、その他は上記実施例2−10と同様の方法で評価した。その結果、樹脂(P−14)及び(P−15)を用いた場合も、実施例2−10と同様の著しい効果が得られた。
【0263】
C.X線照射評価
上記で調製した各レジスト液をスピンコーターにより、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱、乾燥を行い、0.35μmのレジスト膜を形成した。
【0264】
このレジスト膜をX線等倍照射装置(XRS−200、ギャップ値20μm)で照射し、照射後すぐに110℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38重量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で23℃で60秒間現像し、30秒間純水でリンスした後乾燥した。
このようにして形成されたラインアンドスペースパターンについて走査型電子顕微鏡で観察し、感度、解像力を評価した。
【0265】
(感度)
感度は0.18μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する照射量を表す。
(解像力)
解像力は0.18μmのラインアンドスペース(1/1)のマスクパターンを再現する照射量における限界解像力を表す。
【0266】
【表9】
【0267】
表8の結果より、本発明のレジスト組成物はX線照射評価においても高感度、高解像力を有することがわかる。
【0268】
【発明の効果】
水素供与性置換基を酸発生剤の分子内に配置し、分子内で水素ラジカル引き抜き(分子内水素移動)を行うことにより光分解効率を向上。水素供与性化合物の有無に関わらず光分解性に優れ、これを用いたレジスト組成物は高感度を有し、また、更には高解像力を有し、露光マージンに優れる。
Claims (9)
- 一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする感放射線性レジスト組成物。
R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1価の有機基を表す。
Xは、X’−Hで表される、水素ラジカル供与性基を有する1価の有機基であり、X’−H基とカルボニル基とが連結基(−C ( R 1 ) =C ( R 2 ) −)を介して形成する環骨格(−X ' −H−O=C−C ( R 2 ) =C ( R 1 ) −)は6又は7員環である。
また、Xは、R1或いはR2と結合して単環または多環の環構造を形成してもよい。
一般式(I)におけるY1は、R’SO3−、R’COO−、又はハロゲン原子を表す。
R’は、置換していてもよい直鎖、分岐、環状アルキル基、置換していてもよいアリール基、置換していてもよいアラルキル基、又は置換していてもよいカンファー基を表す。
R1〜R4、X、Y1のいずれかの位置で連結基を介して結合し、一般式(I)の構造を2つ有することもできる。 - 一般式(II)で表される化合物を含有することを特徴とする感放射線性レジスト組成物。
R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1価の有機基を表す。
Xは、X’−Hで表される、水素ラジカル供与性基を有する1価の有機基であり、X’−H基とカルボニル基とが連結基(−C ( R 1 ) =C ( R 2 ) −)を介して形成する環骨格(−X ' −H−O=C−C ( R 2 ) =C ( R 1 ) −)は6又は7員環である。
また、Xは、R1或いはR2と結合して単環または多環の環構造を形成してもよい。
一般式(II)におけるY2 -は、非求核アニオンを表す。
Ra及びRbは、置換してもよい直鎖、分岐、環状アルキル基、置換していてもよいアリール基、又は置換してもよいアラルキル基を表す。また、Ra及びRbが結合して環を形成してもよい。
R1〜R4、Ra、Rb、X、Y2 -のいずれかの位置で連結基を介して結合し、一般式(II)の構造を2つ有することもできる。 - X’−H結合の結合解離エネルギーが150kcal/mol以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の感放射線性レジスト組成物。
- 更に、(B)酸の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度を増大させる基を有する樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感放射線性レジスト組成物。
- (C)酸により分解しうる基を有し、アルカリ現像液中での溶解速度が酸の作用により増大する、分子量3000以下の低分子溶解阻止化合物を更に含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型感放射線性レジスト組成物。
- さらに、(D)水に不溶でアルカリ現像液に可溶な樹脂を含有することを特徴とする請求項4に記載のポジ型感放射線性レジスト組成物。
- (A)一般式(I)または(II)で表される化合物、(D)アルカリ現像液に可溶な樹脂、及び、(E)酸架橋剤を含有することを特徴とするネガ型感放射線性レジスト組成物。
R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1価の有機基を表す。
Xは、X’−Hで表される、水素ラジカル供与性基を有する1価の有機基であり、一般式(I)又は(II)において、X’−H基とカルボニル基とが連結基(−C ( R 1 ) =C ( R 2 ) −)を介して形成する環骨格(−X ' −H−O=C−C ( R 2 ) =C ( R 1 ) −)は6又は7員環である。
また、Xは、R1或いはR2と結合して単環または多環の環構造を形成してもよい。
一般式(I)におけるY1は、R’SO3−、R’COO−、又はハロゲン原子を表す。
R’は、置換していてもよい直鎖、分岐、環状アルキル基、置換していてもよいアリール基、置換していてもよいアラルキル基、又は置換していてもよいカンファー基を表す。
一般式(II)におけるY2 -は、非求核アニオンを表す。
Ra及びRbは、置換してもよい直鎖、分岐、環状アルキル基、置換していてもよいアリール基、又は置換してもよいアラルキル基を表す。また、Ra及びRbが結合して環を形成してもよい。
R1〜R4、Ra、Rb、X、Y1、Y2 -のいずれかの位置で連結基を介して結合し、一
般式(I)または(II)の構造を2つ有することもできる。 - 更に有機塩基性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のレジスト組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のレジスト組成物によりレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光、現像することを特徴とするパターン形成方法。
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