JP4144321B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池スタックを備えた燃料電池システムに関するものであり、特に、フラッディングと称される燃料電池セル内での水詰まりを防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の環境問題、特に自動車の排出ガスによる大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化の問題等に対する対策として、クリーンな排気及び高エネルギ効率を可能とする燃料電池技術が注目を浴びている。燃料電池は、燃料となる水素あるいは水素リッチな改質ガス及び空気を電解質・電極触媒複合体に供給し、電気化学反応を起こし、化学エネルギを電気エネルギに変換するエネルギ変換システムである。なかでも、固体高分子膜を電解質として用いた固体高分子電解質型燃料電池は、低コストでコンパクト化が容易であり、しかも高い出力密度を有することから、自動車等の移動体用電源としての用途が期待されている。
【0003】
前記固体高分子電解質型燃料電池においては、固体高分子膜は、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能するとともに、水素と酸素とを分離する機能も有する。固体高分子膜の含水量が不足すると、イオン抵抗が高くなり、水素と酸素とが混合して燃料電池としての発電ができなくなってしまう。したがって、外部から水分を供給して積極的に固体高分子膜を加湿する必要があり、例えば供給される空気を加湿する等、何らかの加湿手段が設けられている。
【0004】
ただし、運転条件等によっては、加湿された空気に含まれる水分の一部が凝縮して水滴となったり、さらには空気極において生ずる生成水が残留して液滴となり、これらが電極表面に付着して、燃料電池スタックを構成する燃料電池セル内での水詰まり(いわゆるフラッディング)を引き起こす。フラッディングは、電極表面に付着した水滴によって電極へのガスの拡散が阻害される現象であり、電圧低下や出力低下の原因となる。
【0005】
このようなフラッディングが起こる原因の一つとして、発電量低下の際における燃料電池スタックを冷却する冷却水温度の急激な低下を挙げることができる。冷却水温度が急激に低下し、燃料電池スタック温度が急激に低下すると、燃料電池セル内で凝縮水が生成され、燃料電池セルが水詰まりを起こす。
【0006】
そこで、燃料電池冷却水の急激な温度低下を防止することを狙いとして、燃料電池運転温度を適正運転温度に保持するための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載される技術では、燃料電池運転温度を適正運転温度に保持するために、燃料電池スタック入口における冷却水温度と燃料電池スタック出口における冷却水温度の差がゼロとなった場合に、冷却水をラジエータをバイパスするとともに、燃料電池スタックの発電の一部を冷却水加熱用ヒータに給電して冷却水を加温している。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−83621号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の従来技術では、燃料電池冷却水を加熱する冷却水加熱用ヒータへの給電条件として、燃料電池スタック入口における冷却水温度と燃料電池スタック出口における冷却水温度の差がゼロとなった場合を判断基準としている。
【0009】
しかしながら、冷却水温度の差に基づいて判断する方式では、冷却水の流量の変動について何ら考慮しておらず、フラッディング対策としては十分なものとは言えない。例えば、冷却水の流量の変動速度は燃料電池スタックの発電量の変動速度に比べて圧倒的に遅く、燃料電池スタックにおいて高出力運転から急激に出力を低下させた場合に、冷却水流量が目標とする流量に到達するまでにある程度の時間を要してしまう。その間に冷却水はラジエータで急激に冷やされ、燃料電池スタックを過剰に冷却してしまう。燃料電池スタックを冷却する冷却水温度が加湿器出口における空気温度、あるいは加湿器入口における純水温度を下回った場合には、燃料電池セル内で凝縮水が生成され、燃料電池セルが水詰まりを起こして高出力を安定して取り出すことができない状態に陥ってしまう可能性がある。
【0010】
また、特許文献1に記載の従来技術では、冷却水を加熱するための冷却水加熱用ヒータが必要であるが、かかる冷却水加熱用ヒータの追加は、燃料電池システムの構造を複雑化する要因となるばかりか、コスト上昇の原因ともなる。
【0011】
本発明は、従来技術の有するこれらの問題を解消することを目的とするものである。すなわち、本発明は、燃料電池スタックにおける発熱量の変化に対して的確に冷却水による冷却を制御することを可能とし、燃料電池スタックの急激な温度低下を防ぎ、凝縮水の生成を抑えることで燃料電池セルの水詰まりを防止することを目的とする。また、それによりシステムの効率向上を図り、燃料電池スタックからの出力を安定化させ、高出力まで安定的に取り出すことのできる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池システムは、燃料電池スタックを冷却して加熱された冷却水を冷却装置における放熱によって冷却して燃料電池スタックへと循環させることを前提とする。このような燃料電池システムにおいて、燃料電池スタックの発電量に基づいて当該燃料電池スタックの発熱量を推定する発熱量推定手段と、冷却装置での放熱量を推定する放熱量推定手段とを設け、燃料電池スタックに要求される発電量から推定される燃料電池スタックの発熱量と冷却装置での放熱量とを比較する。ここで、燃料電池スタックの発熱量を冷却装置での放熱量が所定量上回っている場合には、例えば、これら発熱量と放熱量との差から補正値を算出し、燃料電池スタックに要求される発電量に前記補正量を加算した発電量を燃料電池スタックで発電させるようにする。
【0013】
また、燃料電池スタックを加湿する加湿器を備える燃料電池システムにおいては、燃料電池スタックに流入する加湿器出口の空気温度を検出する加湿器出口空気温度検出手段と、燃料電池スタック入口の冷却水温度を検出する燃料電池入口冷却水温度検出手段とを設け、加湿器出口空気温度を基準とした所定範囲を燃料電池スタック入口の冷却水温度が下回っているか否かを補正の要否の判断基準に加えてもよい。この場合には、補正値は、加湿器出口の空気温度から燃料電池スタック入口の冷却水温度と所定量とを差し引いたものに基づいて算出する。
【0014】
燃料電池スタックに要求される発電量に前記補正量を加えた発電量を燃料電池スタックで発電させるようにすれば、燃料電池スタックにおける発熱量が増え、冷却水流量が目標とする流量に到達するまでにある程度の時間を要したとしても、この発熱量の増加によってその間の冷却水温度の低下が抑えられる。したがって、燃料電池スタックの急激な温度低下が防止され、凝縮水の生成が抑制されて燃料電池セルの水詰まりが解消される。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池スタックの急激な温度低下を防止することにより凝縮水の生成を防止することができ、燃料電池セルの水詰まりを解消することができる。したがって、燃料電池スタックからの出力を安定化させることができ、高出力まで安定的に取り出すことが可能である。また、ヒータのような機構部品を追加する必要がなく、制御系の改良のみで対応することが可能であるので、燃料電池システムの構造を複雑化することがなく、コスト上昇を招くこともない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の燃料電池システムの基本構成を示すものである。本実施形態の燃料電池システムは、燃料電池スタックを含む燃料電池発電手段1と、この燃料電池発電手段1に要求される発電量(以下、目標発電量という。)を設定する燃料電池目標発電量演算手段2と、燃料電池発電手段1における燃料電池スタックの発熱量を推定する燃料電池発熱量推定手段3、冷却水を冷却する冷却装置の放熱量を推定する冷却装置放熱量推定手段4と、これらによって推定される発熱量と放熱量とを比較する発熱量・放熱量比較手段5と、この発熱量・放熱量比較手段5の比較結果に基づいて補正量を演算する燃料電池発電補正量演算手段6とから構成されている。また、冷却装置放熱量推定手段4においては、放熱量を推定するための情報源として、車速検出手段7、外気温検出手段8及び冷却装置入口での冷却水温度を検出する冷却装置入口温度検出手段9が設けられている。
【0018】
以上のような構成を有する燃料電池システムにおいては、燃料電池目標発電量演算手段2により運転者からの駆動要求分の発電量及び補機消費分の発電量を加えた目標発電量を演算する。このとき、燃料電池発熱量推定手段3では、この目標発電量に基づいて燃料電池発電手段1における発熱量を推定する。同時に、放熱量推定手段4において、車速検出手段7から出力される車速情報、外気温検出手段8から出力される外気温データ、冷却装置入口温度検出手段9から出力される冷却水温度データに基づいて冷却装置で放熱される放熱量を推定する。
【0019】
そして、燃料電池発熱量推定手段3で推定される発熱量と冷却装置放熱量推定手段4で推定される放熱量とを発熱量・放熱量比較手段5で比較する。その結果、放熱量が発熱量を上回っており、しかもその差が所定量を越えていると判断された場合には、燃料電池発電補正量演算手段6にその情報を送る。燃料電池発電補正量演算手段6では、この情報に基づいて、推定される発熱量と放熱量の差から必要な発電補正量を演算する。演算された発電補正量は燃料電池発電手段1に入力され、燃料電池目標発電量演算手段2で演算される目標発電量に前記発電補正量を加えた発電量を燃料電池スタックで発電させる。
【0020】
以上が本実施形態の燃料電池システムの基本構成であるが、次に、燃料電池発電手段1の具体的構成について説明する。図2及び図3は、本実施形態の燃料電池発電手段1の具体的構成を示すものであり、図2はコントローラ14による出力制御の様子を示し、図3はコントローラ14による冷却制御の様子を示す。なお、このコントローラ14は、燃料電池発電手段1を構成する各部を制御する機能を有すると共に、上述した燃料電池目標発電量演算手段2、燃料電池発熱量推定手段3、冷却装置放熱量推定手段4、発熱量・放熱量比較手段5、燃料電池発電補正量演算手段6としての機能も有している。すなわち、上述した燃料電池目標発電量演算手段2、燃料電池発熱量推定手段3、冷却装置放熱量推定手段4、発熱量・放熱量比較手段5、燃料電池発電補正量演算手段6は、具体的にはコントローラ14として実現されている。
【0021】
先ず、図2に示すように、燃料電池発電手段1は、燃料電池スタック11と、この燃料電池スタック11に燃料である水素(あるいは水素リッチガス)を供給する燃料供給系、酸化剤(空気)を供給する空気供給系からなり、燃料電池スタック11からの出力により駆動ユニット12が駆動されるようになっている。燃料電池スタック11には、燃料電池セル、あるいは燃料電池セル群の電圧を検出するセル電圧検出装置13が設けられており、更には、このセル電圧検出装置13からの出力等を取り込み、内蔵された制御ソフトウエアに基づいて各種アクチュエータの駆動を制御するコントローラ14が設けられている。
【0022】
燃料電池スタック11は、水素が供給される燃料極と酸素(空気)が供給される空気極とが電解質・電極触媒複合体を挟んで重ね合わされた発電セルが多段積層された構造を有し、電気化学反応により化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。燃料極では、水素が供給されることで水素イオンと電子に解離し、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、空気極にそれぞれ移動する。空気極では、供給された空気中の酸素と上記水素イオン及び電子が反応して水が生成し、外部に排出される。
【0023】
燃料電池スタック11の電解質としては、高エネルギー密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質が用いられる。固体高分子電解質は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能することから、この燃料電池スタック11においては水を供給して加湿することが必要になる。
【0024】
燃料供給系は、高圧水素タンク21、可変バルブ22、エゼクタ23、水素供給配管24、水素循環配管25からなる。そして、水素供給源である高圧水素タンク21から供給される水素ガスは、可変バルブ22及びエゼクタ23を通って水素供給配管24へと送り込まれ、加湿器15において加湿された後、燃料電池スタック11の燃料極に供給される。加湿器15には、加湿用純水経路16及び純水ポンプ17が設けられており、純水の流量や温度等によって水素ガスの加湿量が制御される。
【0025】
燃料電池スタック11では供給された水素ガスは全て消費されるわけではなく、残った水素ガス(燃料電池スタック11から排出される水素ガス)が、水素循環配管25を通ってエゼクタ23により循環され、新たに供給される水素ガスと混合されて、再び燃料電池スタック11の燃料極に供給される。なお、燃料電池スタック11の出口側には、パージ弁26及びパージ配管27が設けられている。水素循環配管25内には水素を循環させることで不純物や窒素等が蓄積され、これにより水素分圧が降下して燃料電池11の効率が低下する場合もある。そこで、燃料電池スタック11の出口側にパージ弁26やパージ配管27を設けることで、水素循環配管25内から不純物や窒素等を除去できるようにしている。
【0026】
また、燃料供給系においては、水素供給配管24の中途部に水素圧力センサ28及び水素流量センサ29が設けられており、燃料電池スタック11の燃料極に供給される水素の圧力がこれらによってモニターされている。
【0027】
空気供給系は、空気を送り込むコンプレッサ31、空気供給配管32、及びスロットル33によって構成されている。コンプレッサ31によって供給される酸化剤としての空気は、水素ガスと同様、加湿器15を通って空気供給配管32より燃料電池スタック11の空気極に供給される。燃料電池スタック11で消費されなかった酸素及び空気中の他の成分は、燃料電池スタック11からスロットル33を介して排出される。
【0028】
この空気供給系においても、空気供給配管32の中途部に空気圧力センサ34及び空気流量センサ35が設けられており、燃料電池スタック11に供給される空気の圧力や流量がこれらによってモニターされている。
【0029】
図2に示す燃料電池発電手段1においては、コンプレッサ31で空気が圧縮されて加湿器15へ送られる。加湿器15では、純水ポンプ17によって供給された純水により空気が加湿され、加湿された空気は燃料電池スタック11へ送り込まれる。燃料供給系では、可変バルブ22で流量を制御して、燃料電池スタック11の燃料極(水素極)圧力を所望の値とする。また、エゼクタ23で還流水素と合流し、次に加湿器15へ送られる。加湿器15では、空気と同様に純水ポンプ17によって供給された純水により水素が加湿され、加湿された水素は燃料電池スタック11へ送り込まれる。
【0030】
燃料電池スタック11では、送り込まれた空気と水素とを反応させて発電を行い、電流(電力)を車両の駆動ユニット12へ供給する。燃料電池スタック11で反応に使用した残りの空気は、燃料電池スタック11外へ排出される。このとき、スロットル33で圧力制御が行われる。また、反応に使用した残りの水素はやはり燃料電池スタック11外へ排出されるが、エゼクタ23によって加湿器15の上流へ還流され、発電に再利用される。
【0031】
燃料電池スタック11の運転に際しては、燃料電池スタック11の入口の空気圧力を検出する空気圧力センサ34、空気流量を検出する空気流量センサ35、水素圧力を検出する水素圧力センサ28、水素流量を検出する水素流量センサ29、及びセル電圧検出装置13からの出力がコントローラ14によってモニターされ、各検出値がコントローラ14で読み込まれる。コントローラ14では、読み込んだ各検出値が、そのときの目標発電量から決まる所定の目標値になるようにコンプレッサ31、スロットル33、可変バルブ22を制御する。同時に、目標値に対して実際に実現されている圧力、流量に応じて燃料電池スタック11から駆動ユニット12へ取り出す出力(電流値)を指令する。
【0032】
上述の燃料電池発電手段1においては、以上の構成に加えて、図3に示すように燃料電池スタック11を冷却するための冷却手段が設けられており、コントローラ14が、この冷却手段の制御も行うようになっている。
【0033】
固体高分子電解質型の燃料電池スタック11は、適正な作動温度が60℃〜100℃程度と比較的低く、過熱時には冷却することが必要である。したがって、燃料電池発電手段1においては、燃料電池スタック11を冷却する冷却機構が設けられている。この冷却機構は、冷媒を燃料電池スタック11に循環する冷却水循環配管41を有し、冷却水により燃料電池スタック11を冷却し、これを最適な温度に維持する。
【0034】
冷却機構の冷却水循環配管41内には、ラジエータファン43を有するラジエータ(冷却装置)42が設けられており、燃料電池スタック11の冷却により加熱された冷却水は、ここで冷却される。また、冷却水循環配管41は、三方弁44及び三方弁45によって分岐され、ラジエータ42と並列にバイパス配管46が設けられている。このバイパス配管46を流れる冷却水の流量は、三方弁44及び三方弁45を調整することにより制御される。
【0035】
以上のような冷却機構において、燃料電池スタック11で発生した熱は、冷却水循環配管41を流れる冷却水によって持ち去られ、ラジエータ42で外部に放出される。冷却水循環配管41のラジエータ42設置位置よりも下流には、熱交換器47が設置されており、加湿器15に循環される加湿用の純水と冷却水循環配管41を流れる冷却水との間で必要に応じて熱交換が行われる。
【0036】
この冷却機構においては、燃料電池スタック11入口の冷却水温度を検出する温度センサ51、燃料電池スタック11出口の冷却水温度を検出する温度センサ52、ラジエータ42入口の冷却水温度を検出する温度センサ53、ラジエータ42出口の冷却水温度を検出する温度センサ54が設置されている。また、空気供給系には燃料電池スタック11入口の空気温度を検出する温度センサ55が、加湿系には加湿器15入口の純水温度を検出する温度センサ56がそれぞれ設置されている。
【0037】
コントローラ14は、これら温度センサ51〜56で検出される検出温度に基づいて冷却機構の制御を行い、更には燃料電池発電手段1における発電量の補正を行う。すなわち、燃料電池スタック11の発熱量とラジエータ42での放熱量とを比較し、燃料電池発熱量に対しラジエータ放熱量が所定量以上上回っている場合には、その差から発熱補正量を演算し、目標発電量に加算して燃料電池スタック11を発電させる。以下、本実施形態における燃料電池システムの運転フローについて説明する。
【0038】
図4は、燃料電池システムの運転フローにおけるメインフローを示すものである。このメインフローに示す処理内容は、燃料電池スタック11の運転開始時より所定時間毎(例えば10ms毎)に実行される。
【0039】
燃料電池システムの運転に際しては、先ず、燃料電池スタック11の発電量を基にその発熱量を推定する(ステップS1)。それとともに、ラジエータ42での放熱量を推定する(ステップS2)。そして、ステップS1とステップS2で推定したそれぞれの結果に基づいて、ラジエータ42での放熱量が燃料電池スタック11の発熱量を所定量以上上回っているか否かを判定する(ステップS3)。ここで、ラジエータ42での放熱量が燃料電池スタック11の発熱量を所定量以上上回っている場合には、ラジエータ42での放熱量から燃料電池スタック11の発熱量と所定量とを差し引いたものを発熱補正量として演算する(ステップS4)。また、ラジエータ42での放熱量が燃料電池スタック11の発熱量を所定量以上上回っていない場合には、発熱補正量をゼロとする(ステップS5)。
【0040】
次いで、ステップS4あるいはステップS5での演算結果に基づいて、発熱補正量を実現するのに必要な発電量を演算する(ステップS6)。そして、ステップS6での演算結果に基づいて、発熱補正量に相当する発電量を目標発電量に加算し(ステップS7)、この加算した発電量を燃料電池スタック11に発電させる(ステップS8)。
【0041】
なお、以上のフローにおいて、目標とする発電量における発熱量をラジエータ(冷却装置)42での放熱量が所定量上回っている場合には、ラジエータ42の冷却能力を上げる装置であるラジエータファン43の能力を低下させることが好ましい。
【0042】
ここで、以上のメインフローのステップS1における燃料電池スタック11の発熱量を推定する処理について、図5に示すフロチャートを用いて説明する。
【0043】
燃料電池スタック11の発熱量を推定するには、運転者からの駆動要求分に補機消費分を加えた燃料電池スタック11の目標発電量を演算し(ステップS11)、予め実験等により燃料電池スタック11の目標発電量と発熱量との関係を求めておいて、その関係をもとに燃料電池スタック11の発熱量を推定する(ステップS12)。
【0044】
あるいは、例えば、図3に示す燃料電池発電手段1において、温度センサ51,52から検出した燃料電池スタック11入口の冷却水温度と燃料電池スタック11出口の冷却水温度、冷却水の比熱、冷却水流量、冷却水比重量から燃料電池スタック11の発熱量を推定することも可能である。その他、燃料電池スタック11の内容積、水素圧力・温度から燃料電池スタック11内に流入している水素のモル数を算出し、それらが全て発電量に置き換わったとして演算される理想発電量と目標発電量との差を求め、この値から発熱量を算出することにより、燃料電池スタック11の発熱量を推定することも可能である。
【0045】
次に、上述したメインフローのステップS2におけるラジエータ42での放熱量を推定する処理について、図6のフロチャートを用いて説明する。
【0046】
ラジエータ42での放熱量の推定に際しては、外気温検出手段8、車速検出手段7から外気温と車速とを検出し(ステップS21)、更に温度センサ53からラジエータ42入口での冷却水温度を検出する(ステップ22)。一方、予め実験等によりラジエータ42の放熱特性を求めておき、その放熱特性に基づいて、ステップS21及びステップS22で検出した外気温、車速、ラジエータ42入口での冷却水温度及びラジエータファン43の回転数からラジエータ42での放熱量を推定する(ステップS23)。
【0047】
ここで、放熱量の推定に、温度センサ53により検出されたラジエータ入口の冷却水温度の代わりに、温度センサ52で検出された燃料電池スタック11出口の冷却水温度を用いることも可能である。ただし、この場合には、冷却水循環配管41の燃料電池スタック11出口からラジエータ42入口までの配管で行われる外気温との熱交換分と冷却水流量とから求まる燃料電池スタック11出口からラジエータ42入口までの冷却水到達時間を考慮する必要がある。
【0048】
ラジエータ42での放熱量の推定方法としては、それ以外に、例えば、外気温、車速、ラジエータ42入口での冷却水温度、燃料電池スタック11の冷却水流量、温度センサ54から検出されるラジエータ42出口での冷却水温度、冷却水比重量から演算することも可能である。
【0049】
最後に、上述したメインフローのステップS4における発熱補正量の演算方法について説明する。
【0050】
この発熱補正量の演算に際しては、予め実験等により、ある燃料電池スタック11の発熱量Aに対しラジエータ42での放熱量を様々に変更した場合に、燃料電池セルが水詰まりを起こすことなく安定して出力を取り出すことができるラジエータ42での放熱量Bを求めておく。ここで、ラジエータ放熱量B−燃料電池スタック発熱量A=所定量Cとし、上述したメインフローのステップS1及びステップS2により推定された燃料電池スタック11の発熱量A′とラジエータ42での放熱量B′とを比較したときに、燃料電池スタック11の発熱量A′に対しラジエータ42での放熱量B′が所定量C′以上上回った場合には、(ラジエータ放熱量B′−(燃料電池スタック発熱量A′+所定量C′))×(所定割合X/100)=発熱補正量とすることで、発熱補正量を算出する。
【0051】
図7は、ラジエータ42での放熱量−所定量を燃料電池スタック11の発熱量が下回った場合の補正の様子を示すものである。減速により燃料電池スタック11の発電量が低化すると、燃料電池スタック11の発熱量が急激に低下する。このとき、ラジエータ42での放熱量は、通過風速低下分の低下はあるものの、燃料電池スタック11の発熱量の低下に比べると緩やかである。したがって、燃料電池スタック11の発熱量は、ラジエータ42での放熱量−所定量のラインを下回る。そこで、上述したフローに従って燃料電池スタック11での発電量に補正を加える。その結果、発熱補正量を加えた燃料電池スタック11の発熱量はラジエータ42での放熱量−所定量のラインを越えるレベルに維持されることになる。
【0052】
図8は、ラジエータ42での放熱量−所定量を燃料電池スタック11の発熱量が上回った場合の様子を示すものである。この場合には、燃料電池スタック11の発電量が低化した後、燃料電池スタック11の発熱量は補正を加えなくともラジエータ42での放熱量−所定量のラインを上回っている。したがって、この場合には、発熱補正量をゼロとして、補正は行わない。
【0053】
以上のように、本実施形態では、燃料電池スタック11の発熱量とラジエータ42での放熱量とを推定し、ラジエータ42での放熱量が燃料電池スタック11の発熱量を所定量以上上回っている場合には、目標発電量に放熱量と発熱量の差から演算する補正量を加えた発電量を燃料電池スタック11で発電させるようにしているので、冷却水の急激な温度低下を防止することができ、これにより燃料電池スタック11の急激な温度低下を抑制できる。したがって、燃料電池セルでの水詰まりを有効に抑制して、燃料電池スタック11からの出力を安定化させることができ、高出力まで安定的に取り出すことが可能となる。
【0054】
(第2の実施形態)
本実施形態は、燃料電池スタック11の発熱量と、ラジエータ42での放熱量とを比較し、燃料電池スタック11の発熱量に対しラジエータ42での放熱量が所定量以上上回っている場合で、且つ、加湿器15出口空気温度を基準として燃料電池スタック11入口冷却水温度が所定範囲を越えて下回っている場合は、その差から発熱補正量を演算し、この発熱補正量に相当する発電量を目標発電量に加算して燃料電池スタック11に発電させるものである。燃料電池発電手段1の構成は、図2及び図3に示す第1の実施形態のものと同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0055】
図9は、本実施形態の燃料電池システムにおける運転フローを示すものである。本実施形態では、先ず、燃料電池スタック11の発熱量を推定し(ステップS31)、更にラジエータ42での放熱量を推定する(ステップS32)。そして、ステップS31及びステップS32で推定したそれぞれの結果に基づいて、ラジエータ42での放熱量が燃料電池スタック11の発熱量を所定量以上上回っているか否かを判定する(ステップS33)。ここで、ラジエータ42での放熱量が燃料電池スタック11の発熱量を所定量以上上回っている場合には、更に加湿器15出口の空気温度が燃料電池スタック11入口の冷却水温度を所定量以上上回っているか否かを判定する(ステップS34)。
【0056】
加湿器15出口の空気温度が燃料電池スタック11入口の冷却水温度を所定量以上上回っている場合には、加湿器15出口の空気温度から燃料電池スタック11入口の冷却水温度と所定量を差し引いたものを発熱補正量として演算する(ステップS35)。また、ステップS33でラジエータ42での放熱量が燃料電池スタック11の発熱量を所定量以上上回っていないと判定された場合、あるいはステップS34で加湿器15出口の空気温度が燃料電池スタック11入口の冷却水温度を所定量以上上回っていないと判定された場合には、発熱補正量をゼロとする(ステップS36)。
【0057】
次いで、ステップS35あるいはステップS36での演算結果に基づいて、発熱補正量を実現するのに必要な発電量を演算する(ステップS37)。そして、ステップS37での演算結果に基づいて、発熱補正量に相当する発電量を目標発電量に加算し(ステップS38)、この加算した発電量を燃料電池スタック11に発電させる(ステップS39)。
【0058】
ここで、以上のフローのステップS37における発熱補正量の演算方法について説明する。先の第1の実施形態におけるステップS4と同様に、予め実験等により、ラジエータ42での放熱量が燃料電池スタック11の発熱量に所定量を加えたものを上回った場合について、ある加湿器15出口の空気温度Dに対し燃料電池スタック11入口冷却水温度を様々に変更した場合に、燃料電池セルが水詰まりを起こすことなく安定して出力を取り出すことができる燃料電池スタック11入口冷却水温度Eを求めておく。ここで、加湿器出口空気温度D−燃料電池スタック入口冷却水温度E=所定量Fとし、温度センサ55と温度センサ51から検出した加湿器15出口の空気温度D′と燃料電池スタック11入口の冷却水温度E′から、(加湿器出口空気温度D′−(燃料電池入口冷却水温度E′+所定量F′))×所定割合=発熱補正量とすることで、発熱補正量を算出する。
【0059】
なお、温度センサ55により検出された加湿器15出口空気温度は、温度センサ56により検出された加湿器15入口純水温度とほぼ等価であることを利用し、加湿器15出口空気温度を加湿器15入口純水温度に置き換えて、上記演算を実現することも可能である。このように加湿器15出口空気温度に相当する加湿器15入口純水温度を温度検出媒体として使用した場合には、その分、システムコストを抑えることができる。
【0060】
図10は、ラジエータ42での放熱量−所定量が燃料電池スタック11の発熱量を上回り、加湿器15出口空気温度を基準として燃料電池スタック11入口冷却水温度が所定範囲を越えて下回っている場合の補正の様子を示すものである。減速により燃料電池スタック11の発電量が低化すると、燃料電池スタック11の発熱量が急激に低下する。このとき、ラジエータ42での放熱量は、通過風速低下分の低下はあるものの、燃料電池スタック11の発熱量の低下に比べると緩やかである。したがって、燃料電池スタック11の発熱量は、ラジエータ42での放熱量−所定量のラインを下回る。このとき、燃料電池スタック11入口冷却水温度も急激に低下しており、加湿器15出口空気温度−所定量のラインを下回っている。そこで、上述したフローに従って燃料電池スタック11での発電量に補正を加える。その結果、発熱補正量を加えた燃料電池スタック11の発熱量はラジエータ42での放熱量−所定量のラインを越えるレベルに維持されることになる。
【0061】
図11は、ラジエータ42での放熱量−所定量を燃料電池スタック11の発熱量が下回っているが、加湿器15出口空気温度を基準として燃料電池スタック11入口冷却水温度が所定範囲を越えて下回っていない場合の様子を示すものである。この場合には、燃料電池スタック11入口冷却水温度が加湿器15出口空気温度−所定量のラインを下回っていないので、発熱補正量をゼロとして、補正は行わない。
【0062】
本実施形態によれば、加湿器15出口空気温度を基準とした所定範囲を燃料電池スタック11入口冷却水温度が下回っている場合で、燃料電池スタック11の発熱量をラジエータ42での放熱量が所定量上回っている場合に、補正量を加えた発電量を燃料電池スタック11で発電させるようにしているので、燃料電池スタック11の入口付近における凝縮水の生成を有効に防止することができる。したがって、燃料電池セルでの水詰まりを有効に抑制して、燃料電池スタック11からの出力を安定化させることができ、高出力まで安定的に取り出すことが可能となる。
【0063】
(第3の実施形態)
本実施形態は、発電補正量分をバッテリ充電や他の電気負荷によって消費させるものである。燃料電池システムの構成や燃料電池システムの運転フローは、先の第1の実施形態と同じであるが、本実施形態ではコントローラ14がバッテリの充電状態を検出する機能(バッテリ充電状態検出手段)を有している。
【0064】
本実施形態の処理内容を図12に示すフローチャートに基づき説明する。本実施形態では、先ず、先の図4に示すメインフローのステップS6において必要な発熱補正量から演算される発電補正量を参照し、発電補正量の有無を判定する(ステップS41)。そして、発電補正量がゼロ以上である場合には、バッテリ充電状態が上限値にあるか否かの判定をし(ステップS42)、バッテリ充電状態が上限値を下回っている場合には、発電補正量分をバッテリに充電して対応する(ステップS43)。また、ステップS42でバッテリ充電状態が上限値にあると判定された場合には、発電補正量を電気負荷、例えば空気を供給するためのコンプレッサ31で消費することにより対応する(ステップS44)。なお、ステップS41において発電補正量がゼロであると判定された場合には、そのまま処理を終了する。
【0065】
本実施形態によれば、バッテリ充電状態を検出し、バッテリ充電状態が上限値に達していない場合で、燃料電池スタック11の発熱量をラジエータ42での放熱量が所定量上回っている場合には、これら放熱量と発熱量との差から演算する補正量相当分の燃料電池スタック11の発電量をバッテリに充電することにより、燃料の有効利用を図ることができる。また、バッテリ充電状態が上限値に達している場合で、燃料電池スタック11の発熱量をラジエータ42での放熱量が所定量上回っている場合には、これら放熱量と発熱量との差から演算する補正量相当分の燃料電池スタック11の発電量をコンプレッサ31等の電気負荷で消費することにより、冷却水の急激な低下を効果的に防止することができる。
【0066】
(第4の実施形態)
本実施形態は、ラジエータ42を通過する冷却水とバイパス配管42を通過する冷却水の流量を制御するとともに、ラジエータ42を通過した冷却水を燃料電池スタック11を加湿するための加湿水と熱交換器47で熱交換させた後、バイパス配管42を通過した冷却水に混入することにより、加湿器15出口空気温度を基準とした所定範囲を燃料電池スタック11入口の冷却水温度が上回るようにそれぞれの流量を制御するものである。燃料電池システムの構成や燃料電池システムの運転フローは、先の第2の実施形態と基本的に同じである。
【0067】
本実施形態の処理内容を図13に示すフローチャートに基づき説明する。本実施形態では、先ず、先の第2の実施形態のフローチャート(図9)におけるステップS34と同様の判定を行い(ステップS51)、その結果、加湿器15出口空気温度に対し燃料電池スタック11入口冷却水温度が所定量Fを下回っている場合には、三方弁(流量制御手段)44,45を所定量Gだけ開けることにより、ラジエータ42を通過し加湿用純水と熱交換するため熱交換器47に入る流量と、ラジエータ42をバイパスする流量とを制御する(ステップS52)。逆に、加湿器15出口空気温度に対し燃料電池スタック11入口冷却水温度が上回っている場合には、三方弁44,45を所定量Hだけ閉じることにより、ラジエータ42を通過し加湿用純水と熱交換するため熱交換器47に入る流量と、ラジエータ42をバイパスする流量を制御する(ステップS53)。
【0068】
ここで、以上のフローのステップS52における三方弁44,45の開度を演算する方法の一例について説明する。例えば、所定開度Gを任意定数として、(加湿器出口空気温度−(燃料電池入口冷却水温度+所定量F))×所定開度G=三方弁開度とすることにより、三方弁44,45の開度を演算することができる。また、その他、冷却水温度・流量と加湿用純水温度・流量とから熱交換器47での熱交換分を考慮して、三方弁44,45の開度を演算する方法等もある。
【0069】
更に、上述したフローのステップS53における三方弁44,45の開度を演算する方法の一例について説明すると、この場合にも、例えば、ステップS52の場合と同様に、所定開度Hを任意定数として、(加湿器出口空気温度−(燃料電池入口冷却水温度+所定量F))×所定開度H=三方弁開度とすることにより、三方弁44,45の開度を演算することができる。また、その他の演算方法についても、ステップS52の場合と同様である。
【0070】
本実施形態においては、三方弁44,45の開度を制御することによって、ラジエータ42とこのラジエータ42をバイパスするためのバイパス配管46のそれぞれを通過する冷却水流量を制御し、ラジエータ42を通過することで低温となった冷却水と、燃料電池スタック11に流入する空気を加湿するための加湿用純水とを熱交換器47において熱交換させた後に、ラジエータ42及び熱交換器47を通過した冷却水をバイパス配管46を通過した冷却水に混入させている。ここで、燃料電池スタック11入口冷却水温度と加湿器15出口空気温度との関係が、加湿器15出口空気温度を基準とした所定範囲を冷却水温度が上回るような関係となるようにバイパス配管46を通過する冷却水流量を制御することで、加湿用純水温度と燃料電池スタック11入口冷却水温度との関係を、加湿用純水温度<燃料電池スタック11入口冷却水温度に保つことができる。したがって、燃料電池スタック11の入口付近における凝縮水の生成を有効に防止でき、燃料電池セルでの水詰まりを有効に抑制して、燃料電池スタック11からの出力を安定化させることができ、高出力まで安定的に取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池システムの基本構成を示すブロック図である。
【図2】前記燃料電池システムが備える燃料電池発電手段の構成例を示す図である。
【図3】前記燃料電池発電手段に冷却機構を組み込んだ状態を示す図である。
【図4】第1の実施形態における燃料電池システムの運転フローを示すフローチャートである。
【図5】燃料電池スタックの発熱量を推定する処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】ラジエータでの放熱量を推定する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】ラジエータでの放熱量−所定量を燃料電池スタックの発熱量が下回った場合の補正の様子を示す図である。
【図8】ラジエータでの放熱量−所定量を燃料電池スタックの発熱量が下回らなかった場合を示す図である。
【図9】第2の実施形態における燃料電池システムの運転フローを示すフローチャートである。
【図10】ラジエータでの放熱量−所定量が燃料電池スタックの発熱量を上回り、加湿器出口空気温度を基準として燃料電池スタック入口冷却水温度が所定範囲を越えて下回っている場合の補正の様子を示す図である。
【図11】ラジエータでの放熱量−所定量を燃料電池スタックの発熱量が下回っているが、加湿器出口空気温度を基準として燃料電池入口冷却水温度が所定範囲を越えて下回っていない場合の様子を示す図である。
【図12】第3の実施形態における燃料電池システムにおいて、発電補正量を消費させる処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】第4の実施形態における燃料電池システムにおいて、バイパス配管を通過する冷却水の流量を制御する処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池発電手段
2 燃料電池目標発電量演算手段
3 燃料電池発熱量推定手段
4 放熱量推定手段
6 燃料電池発電補正量演算手段
7 車速検出手段
8 外気温検出手段
9 冷却水冷却装置入口温度検出手段
11 燃料電池スタック
14 コントローラ
15 加湿器
31 コンプレッサ
41 冷却水循環配管
42 ラジエータ
43 ラジエータファン
46 バイパス配管
47 熱交換器
Claims (16)
- 燃料電池スタックを冷却して加熱された冷却水を冷却装置における放熱によって冷却して前記燃料電池スタックへと循環させる燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池スタックの発電量に基づいて当該燃料電池スタックの発熱量を推定する発熱量推定手段と、
前記冷却装置での放熱量を推定する放熱量推定手段とを備え、
前記燃料電池スタックに要求される発電量に基づき前記発熱量推定手段により推定された発熱量を、前記放熱量推定手段により推定された放熱量が所定量以上上回っている場合には、前記要求される発電量に補正量を加算した発電量を前記燃料電池スタックで発電させることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記補正量は、前記発熱量推定手段により推定された発熱量と、前記放熱量推定手段により推定された放熱量との差に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池スタックが搭載される車両の速度を検出する車速検出手段と、
外気温を検出する外気温検出手段と、
前記冷却装置に流入する冷却水の温度を検出する冷却水冷却装置入口温度検出手段とを更に備え、
前記放熱量推定手段は、前記車速検出手段からの出力と、前記外気温検出手段からの出力と、前記冷却水冷却装置入口温度検出手段からの出力とに基づいて前記冷却装置での放熱量を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池スタックを加湿する加湿器と、
前記燃料電池スタックに流入する前記加湿器出口の空気温度を検出する加湿器出口空気温度検出手段と、
前記燃料電池スタック入口の冷却水温度を検出する燃料電池入口冷却水温度検出手段とを更に備え、
前記加湿器出口空気温度検出手段により検出された温度を基準とした所定範囲を、前記燃料電池入口冷却水温度検出手段により検出された温度が下回っている場合で、且つ、前記燃料電池スタックに要求される発電量に基づき前記発熱量推定手段により推定された発熱量を、前記放熱量推定手段により推定された放熱量が所定量以上上回っている場合に、前記要求される発電量に補正量を加算した発電量を前記燃料電池スタックで発電させることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の燃料電池システム。 - 前記補正量は、前記加湿器出口空気温度検出手段により検出された温度から前記燃料電池入口冷却水温度検出手段により検出された温度と所定量とを差し引いたものに基づいて算出することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
- 前記補正量相当の発電分によりバッテリを充電することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の燃料電池システム。
- 前記バッテリの充電状態を検出するバッテリ充電状態検出手段を更に備え、
前記バッテリ充電状態検出手段により検出されたバッテリ充電状態が上限に達していない場合に、前記補正量相当の発電分により前記バッテリを充電することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。 - 前記バッテリ充電状態検出手段により検出されたバッテリ充電状態が上限に達している場合には、前記補正量相当の発電分を電気負荷により消費することを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。
- 前記電気負荷は、前記燃料電池スタックに空気を供給するコンプレッサであることを特徴とする請求項8記載の燃料電池システム。
- 前記冷却装置をバイパスするバイパス経路を設けて前記冷却水を分流し、
前記冷却装置を通過した冷却水を前記燃料電池スタックを加湿するための加湿水と熱交換器で熱交換させた後、前記バイパス経路を通過した冷却水に混入することを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載の燃料電池システム。 - 前記冷却装置を通過する冷却水の流量と前記バイパス経路を通過する冷却水の流量とを制御する流量制御手段を更に備え、
前記冷却装置を通過した冷却水を前記燃料電池スタックを加湿するための加湿水と熱交換器で熱交換させた後、前記バイパス経路を通過した冷却水に混入することにより、前記加湿器出口空気温度を基準とした所定範囲を前記燃料電池スタック入口の冷却水温度が上回るように、前記流量制御手段がそれぞれの冷却水の流量を制御することを特徴とする請求項10に記載の燃料電池システム。 - 前記冷却水冷却装置入口温度検出手段が前記冷却装置の入口から離間して設けられている場合、前記冷却水冷却装置入口温度検出手段が設けられている位置から前記冷却装置の入口までの配管における熱交換分を演算して、前記冷却装置に流入する冷却水の温度を推定することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- 前記冷却水冷却装置入口温度検出手段が前記燃料電池スタックの冷却水出口部分に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の燃料電池システム。
- 前記加湿器出口空気温度検出手段は、前記加湿器に流入する純水を温度検出媒体として加湿器出口空気温度を検出することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池スタックに要求される発電量に基づき前記発熱量推定手段により推定された発熱量を、前記放熱量推定手段により推定された放熱量が所定量以上上回っている場合に、前記冷却装置の冷却能力を上げる装置の能力を低下させることを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の燃料電池システム。
- 前記冷却装置がラジエータであり、前記冷却装置の冷却能力を上げる装置がラジエータファンであることを特徴とする請求項15に記載の燃料電池システム。
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