JP4144220B2 - 電力変換器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はパルス幅変調方式を用いたインバータ制御回路を使用した電力変換器に係わり、特にインダクタンス成分を含む負荷に電力供給する発電機励磁装置用電力変換器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
前記平滑コンデンサの耐電圧値以上の特性をもつ非線形抵抗を前記放電回路として使用していた。
【０００３】
また、線形抵抗を前記放電回路として使用し、半導体スイッチング素子にて放電回路を動作させる場合、前記平滑コンデンサの過電圧時にのみ平滑コンデンサの両端電圧を利用して放電回路を動作させていた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の技術において、前記非線形抵抗を前記放電回路として使用した場合、非線形抵抗の持つ特性により許容回路電圧に対するエネルギ耐量に制約があるため、電力変換器の負荷に制約が生じ、発電機励磁装置用電力変換器として適用できない。
【０００５】
前記従来の技術において、前記線形抵抗を前記放電回路として使用し、前記半導体スイッチング素子にて放電回路を動作させ、前記平滑コンデンサの過電圧時にのみ放電回路を動作させた場合、過電圧検出値未満の電圧値では放電回路は動作しない。このため、発電機励磁装置用電力変換器として運転中に前記インバータ回路が回生状態となると、平滑コンデンサの両端には過電圧検出値未満の電圧相当分の電荷が残る。また、発電機励磁装置用電力変換器として運転中に電力変換器の制御電源が遮断されると、放電回路を形成できなくなり、平滑コンデンサには負荷のインダクタンスと負荷に供給されていた電流によるエネルギーが回生され、過電圧となる。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記線形抵抗を前記放電回路として使用し、平滑コンデンサの両端電圧を抵抗分圧して、前記平滑コンデンサの正常時の両端電圧で放電回路の半導体スイッチング素子がオンするようなゲート電圧を供給する。更に、電力変換器の制御電源が健全な場合は放電回路を動作させないように半導体スイッチング素子のゲートにツェナーダイオードを用いて、負の定電圧を供給するようにした。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【０００８】
図１に本発明を適用した発電機励磁装置用電力変換器の概略構成例を示す。
【０００９】
交流電源１を入力とし、インバータ制御信号１４に応じた直流電圧を負荷１６に供給する主回路１５と、直流電源１７を制御電源とし、主回路１５の平滑コンデンサ３の過電圧を検出する過電圧検出回路２６，過電圧検出回路２６に基づいて主回路１５の放電回路１０を通電させるドライバ回路２１，電力変換器制御入力信号２５に応じたパルスを発生するパルス発生回路２７、及びパルス発生回路２７によりインバータ回路１３を動作させるドライバ回路２２を有する制御回路２４で構成する。
【００１０】
本電力変換器は交流電源１を全波整流回路２で整流し、平滑コンデンサ３で直流変換する。この電圧をインバータ回路１３の入力とし、電力変換器制御入力信号２５に応じたインバータ制御信号１４によりインバータ回路１３を動作させ、負荷１６に供給する直流電圧を調整する。
【００１１】
図２に本発明を適用した発電機励磁装置用電力変換器の詳細構成例を示す。
【００１２】
通常運転中に過電圧検出回路２６により平滑コンデンサ３の過電圧検出時には、ドライバ回路２１内にあるフォトカプラ１９、及び半導体スイッチング素子
２０をオンすることにより放電回路１０の放電抵抗８を通電し、平滑コンデンサ３の電荷を放電する。
【００１３】
制御回路２４に直流電源１７が供給されている間は、たとえば電源回路２３のＤＣコンバータ１８からＮ−ＣＯＭ間に−８Ｖを供給し、逆バイアス特性が６Ｖのツェナーダイオード７を経由し、放電回路１０内の動作電圧３Ｖの放電回路用半導体スイッチング素子９のゲートに接続された回路により、放電回路１０の半導体スイッチング素子９は動作電圧から５Ｖ低い−２Ｖの不動作電圧を供給されていることになる。これにより、放電抵抗８は平滑コンデンサ３の過電圧検出時に放電回路用半導体スイッチング素子９を動作させるドライバ回路２１のフォトカプラ１９、及びドライバ回路２１用半導体スイッチング素子２０がオンしない限り通電しない。
【００１４】
負荷１６に供給する直流電圧を急速に減少させる信号をインバータ回路用半導体スイッチング素子１１に供給した場合、負荷１６のインダクタンス成分に蓄積されていたエネルギーがインバータ回路１３のダイオード１２を経由して平滑コンデンサ３に充電され、回生状態となる。このとき、平滑コンデンサ３の両端電圧が放電回路動作設定値となったら、制御回路２４のドライバ回路２１のフォトカプラ１９とドライバ回路２１用半導体スイッチング素子２０が動作することにより、放電回路１０の半導体スイッチング素子９の動作電圧をゲートに供給し、放電抵抗８により平滑コンデンサ３の両端を短絡することで過電圧を抑制する。
【００１５】
主回路１５において負荷１６の直流電圧供給を調整中に交流電源１を遮断した場合、半導体スイッチング素子１１用ドライバ回路２２からインバータ回路１３の半導体スイッチング素子１１に負荷１６の直流電圧供給を急速に減少させるようなインバータ制御信号１４を与え、インバータ回路１３を回生状態にする。このときも前記同様、平滑コンデンサ３の両端電圧が過電圧となったら、半導体スイッチング素子９用ドライバ回路２１により放電回路１０を動作させ、平滑コンデンサ３の過電圧を抑制する。また、交流電源１遮断後、平滑コンデンサ３の両端に残った電荷を速やかに放電させる為、一定時間後、ドライバ回路２１のフォトカプラ１９及びドライバ回路２１用半導体スイッチング素子２０を動作させることにより、放電回路１０の半導体スイッチング素子９を動作させ、平滑コンデンサ３の電荷を放電する。
【００１６】
負荷１６の直流電圧供給を調整中に制御回路２４の直流電源１７を遮断した場合、インバータ回路用半導体スイッチング素子１１のドライバ回路の電源が喪失し、インバータ制御信号１４が無くなり、インバータ回路１３は回生状態となる。このとき、平滑コンデンサ３の両端電圧が、交流電源１の直流変換値以上であれば、自己点弧回路６の分圧抵抗４で分圧され、ダイオード５を経由して放電回路１０の半導体スイッチング素子９の動作する電圧がゲートに供給される。これにより、放電抵抗８に通電される。この様にして自己点弧回路６は、制御回路
２４に直流電源１７が供給されている場合には放電回路１０を動作させず、電源が喪失時に放電回路１０を動作させることができる。
【００１７】
【発明の効果】
本発明により、制御対象の発電機運転中に発電機励磁装置用電力変換器の制御回路に供給されている制御電源を遮断しても、速やかに平滑コンデンサの過電圧を抑制し、コンデンサの電荷を放電することができるという効果がある。
【００１８】
また、簡単な回路素子を用いた自己点弧回路を追加することで、既存の主回路部分の大きさ，スペースを変更することなく安全性向上を実現できるという効果がある。
【００１９】
また、電力変換器の回路構成を制御回路と主回路に分けたことにより、負荷の電流容量増大に対しても、制御回路に対する主回路の並列接続数を増やすことで対応が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を適用した発電機励磁装置用電力変換器概略構成例を示す図。
【図２】本発明を適用した発電機励磁装置用電力変換器詳細構成例を示す図。
【符号の説明】
１…交流電源、２…全波整流回路、３…平滑コンデンサ、４…分圧抵抗、５…ダイオード、６…自己点弧回路、７…ツェナーダイオード、８…放電抵抗、９，２０…半導体スイッチング素子、１０…放電回路、１１…インバータ回路用半導体スイッチング素子、１２…インバータ回路用ダイオード、１３…インバータ回路、１４…インバータ制御信号、１５…主回路、１６…負荷、１７…制御電源、１８…ＤＣコンバータ、１９…フォトカプラ、２１，２２…ドライバ回路、２３…電源回路、２４…制御回路、２５…電力変換器制御入力信号、２６…過電圧検出回路、２７…パルス発生回路。

Claims (1)

1. 交流電源を全波整流する整流回路と、前記整流回路の出力を平滑して直流に変換する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの出力電圧を入力とし、半導体スイッチング素子を用いて出力電圧を調整するインバータ回路と、前記平滑コンデンサの電荷を放電する放電回路と、前記放電回路を動作させる自己点弧回路と、前記インバータ回路を制御する制御回路とを有し、前記制御回路に制御電源が供給されていて、前記自己点弧回路は前記制御電源が喪失時に前記放電回路を動作させる機能を有し、
   前記制御回路は、ドライバ回路を含んでなり、
   前記放電回路は、放電動作させる半導体スイッチング素子を含んでなり、
   前記放電回路の半導体スイッチング素子のゲートは、前記自己点弧回路のツェナーダイオードを介して、電圧源に接続され、
   前記放電回路の半導体スイッチング素子のゲートに対する前記電圧源から前記ツェナーダイオードへの電圧は、前記ドライバ回路を介するものであって、
   前記ドライバ回路は、フォトカプラ及び半導体スイッチング素子を含んでなり、
   前記ドライバ回路のフォトカプラ及び前記半導体スイッチング素子は、前記電圧源として、前記制御電源が供給されている間は負の電圧となし、前記制御電源が喪失した時は前記負の電圧が消失されるように動作し、
   前記自己点弧回路は、前記平滑コンデンサの両端電圧を抵抗分圧し、該分圧電圧が前記ゲートに印加されることを特徴とする電力変換器。

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