JP4142616B2 - 表面処理液の調製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属系材料(金属、合金、またはめっきより成る材料を示す。前記めっきより成る材料としては、特に亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっきが挙げられる。)に対して皮膜を形成するために用いられる表面処理液調製方法に関するものである。
亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっき(以下、亜鉛系めっきという。)は、亜鉛の犠牲防食を利用して金属系材料の表面処理方法として広く利用されている。この亜鉛系めっきは良好な防食性を有するが、比較的短期間に皮膜が溶解して耐食性が劣化するという短所を有しており、耐食性が長期間に亘って維持できるように、亜鉛系めっき後にクロメート処理を施すのが一般的である。
クロメート処理には塗布型、反応型および電解型などが知られているが、いずれも6価クロムイオンの還元によるクロメート皮膜の修復を利用して、良好な耐食性を維持しており、クロメート皮膜中には可溶性の6価クロムが含まれる。
6価クロムは、クロメート皮膜の自己修復性に不可欠なものではあるが、その毒性から自然環境に対する環境汚染を引き起こす可能性を有している。例えば、水質汚濁防止法における環境基準値も0.05ppmと非常に低く定められており、可能な限り6価クロムを皮膜中から排除することが好ましいとされている。また、6価クロムは発ガン性を有するため、人体に関する影響を考えると6価クロムの溶出は少なければ少ない程良い。
これらのことから、従来のクロメート皮膜の有する防錆能を損なうことなく、6価クロムを用いない皮膜形成方法として、3価クロムクロメート法が提案されている。
特許文献1では、フルオロ錯体の配位子置換速度より早いアニオンを有する有機酸をキレート剤として添加した3価クロムクロメート液が提案されている。特許文献1のクロメート液は、6価クロムを用いずに、3価クロムのみから成るクロメート液に用いており、従来の3価クロムクロメート皮膜に比べて良好な防錆能を有する皮膜の形成を可能としている。
特開2004−3019号公報
特許文献1の3価クロクロメート液は、建浴時に6価クロムの試薬を添加していない。しかし、3価クロム化合物は添加されており、3価クロム化合物には製薬段階で必ず不純物として6価クロムイオンが混入する。特に、工業用薬品は試験用試薬に比べて不純物を多く含む傾向があり、試験用試薬でも3価クロム化合物には6価クロムイオンが微量に含まれている。従って、特許文献1の3価クロムクロメート液を用いて形成される表面処理皮膜の中にも6価クロムが混入している可能性がある。
表面処理皮膜に含有される6価クロムは水に可溶であることから、水溶性の6価クロムイオンとして膜外に溶出する可能性が高い。6価クロムイオンは自然環境や人体に影響を及ぼす可能性があり、皮膜からの溶出量をより低濃度にしたいというニーズが以前よりあった。
本発明は、このような問題点を解決し得る表面処理液調整方法を提供することを目的とする。
発明は、建浴段階で6価クロムイオンを3価クロムイオンに還元する還元剤を加えることにより、従来の3価クロムクロメート液の調整方法に比べて6価クロムイオン濃度が低い表面処理液を得ることができる表面処理液の調製方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は表面処理液調整方法に対して次の手段を講じた。即ち、
不純物として6価クロムイオンを21.5〜121ppm含む3価クロム化合物の水溶液に、Li、Be、Na、Mg、K、Ca、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Sn、Ba、Ta、W、Pt、Au、Bi、Ceの各価数の金属イオンまたはアンモニウムイオンから選ばれる1種以上のカチオンと、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオン、ジカルボン酸イオンまたはオキシカルボン酸イオンから選ばれる1種以上のアニオンとで成る支持塩の添加の前後に分けて、この6価クロムイオンを3価クロムイオンに還元するものであって、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄または亜リン酸から選ばれる1種以上の硫黄酸化物またはリン酸化物より成る還元剤を添加して、前記還元剤の添加後に表面処理液の温度を60〜90℃とし、前記還元剤の総添加量が、反応が100%生じたと仮定した場合に理論的に必要とされる6価クロムイオン濃度に対して2.0倍の濃度になるように加えて還元反応を行い、6価クロムイオン濃度を10ppm以下に低減す
これによって、従来の3価クロムクロメート液の調製方法に比べて6価クロムイオン濃度が低い表面処理液を得ることができる。また、他の還元剤を用いた場合に比べて、表面処理液に含まれる6価クロムイオンの濃度を低くすることができる。
発明の表面処理液の調整方法により、従来の3価クロムクロメート液の調整方法に比べて6価クロムイオン濃度が低い表面処理液を得ることができる。
本発明の表面処理液は、3価クロム化合物が水溶して生じる3価クロムイオンと、この3価クロム化合物の不純物として微量に含まれる6価クロムイオンと、クロム以外の金属を主に含む支持塩とを含む水溶液であり、金属系材料の表面に防食性の高い表面処理皮膜(いわゆるクロメート皮膜)を形成する為に用いられる。
前記金属系材料には鉄鋼材、亜鉛、ニッケル、アルミ、銅、錫などの金属もしくはステンレス、真鍮など合金材料またはこれらの金属材料に施されためっき膜が挙げられる。めっき膜としては、その耐食性を長時間に亘って安定させられるため、特に亜鉛または亜鉛系合金めっき膜の表面に好適に用いられる。
前記3価クロム化合物は、前記表面処理液中に可溶な塩であって、強い鉱酸イオンをアニオンとするクロム化合物であり、特に塩化クロム(III)、硫酸クロム(III)、硝酸クロム(III)が好ましく用いられる。前記3価クロム化合物は、水溶液中で3価クロムイオン濃度が0.1〜20g/l、好ましくは1〜10g/lとなるように添加される。3価クロムイオン濃度を0.1〜20g/lとすることで、前記表面処理皮膜を良好な造膜速度で形成させることができる。
前記6価クロムイオンは、前記3価クロム化合物に不純物として含まれており、3価クロム化合物の水溶液またはこの水溶液を用いて調整された表面処理液にイオン化して存在しており、その濃度はキャピラリー電気泳動法等を用いて測定すると300ppm程度となる。前記6価クロムイオンは、建浴段階で還元剤を加えて6価クロムイオンから3価クロムイオンに還元され、これによって皮膜中に取り込まれる6価クロムイオン量を低減でき、皮膜から溶出する6価クロムイオンが自然環境や人体に及ぼす影響を低減できる。また、前記還元剤を建浴段階で加えることで、酸化力の強い6価クロムイオンを選択的に還元でき、6価クロムイオン濃度を優先的に下げることができる。
前記6価クロムイオンは、建浴段階の還元剤添加により、濃度が20ppm以下、好ましくは10ppm以下に制限される。濃度を20ppm以下に抑えることで、表面処理皮膜中に取り込まれる6価クロムイオン量を従来の3価クロムクロメート方法に比べて低減できる。
前記還元剤は、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、亜リン酸などの硫黄酸化物またはリン酸化物を用いることができ、特に重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムを好適に用いることができる。重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムを用いることで、前記表面処理液中に微量(300ppm程度)含まれる6価クロムイオンを3価クロムイオンに高収率で還元することができ、表面処理液中の6価クロムイオン濃度を他の還元剤に比べてより低濃度に低減できる。
前記支持塩は、主に金属イオンを主とするカチオンと、無機酸や有機酸などの酸が解離して生じたアニオンから構成されており、複数種の支持塩を併用することもできる。
前記カチオンにはLi、Be、Na、Mg、K、Ca、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Sn、Ba、Ta、W、Pt、Au、BiもしくはCeの各価数の金属イオンまたはアンモニウムイオンから選ばれる1種以上を用いることができ、前記カチオンは全カチオン添加量で100g/l以下、好ましくは50g/l以下の範囲で添加される。なお、前記カチオンは添加された方が好ましいが、前記カチオンを添加しない場合も考えられる。前記カチオンを100g/l以下の範囲で添加することで、下地金属(金属系材料がめっきの場合であって、めっき膜が形成されているベースの金属を示す。)の腐食生成物を安定化したり、皮膜を緻密化することができ、耐食効果の持続性を上げることができる。
また、前記アニオンは無機酸イオンまたは有機酸イオンであって、これらの1種以上を全アニオン添加量で300g/l以下、好ましくは100g/l以下の範囲で添加する。
前記無機酸イオンとしては、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオンなどのハロゲンイオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン(オルトリン酸イオン)、ポリリン酸イオン、メタリン酸イオン、ピロリン酸イオンもしくはウルトラリン酸イオンなどが挙げられ、特にハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオンまたはリン酸イオン(オルトリン酸イオン)が好適に用いられる。
また、有機酸イオンとしては、酢酸イオンなどのモノカルボン酸イオン、酒石酸イオンなどのジカルボン酸イオン、トリカルボン酸イオン、ヒドロキシカルボン酸イオンが上げられ、特にシュウ酸イオン、マロン酸イオン、コハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン、ピメリン酸イオン、スベリン酸イオン、アゼライン酸イオン、セバシン酸イオン、マレイン酸イオン、フタル酸イオン、テレフタル酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン、リンゴ酸イオン、アスコルビン酸イオンなどを好適に用いることができる。
これらの支持塩は配位子(リガンド)として機能して水溶液中のクロムイオンと錯体を形成し、材料表面への3価クロムの反応性を高める効果を有している。
本発明の表面処理液は、表面処理時に希釈または混合し、濃度調整を行って使用することもできる。希釈または混合を行うことにより、液の安定性が向上し長期保存が可能となり、軽量化による輸送コストの低減や低容積化による保管スペースの削減も可能となる。
本発明の表面処理液を用いた表面処理方法は、図1に示すように、前処理工程で前記金属系材料の被処理物の表面に洗浄または感受性化などを行い、調製工程でそれぞれの薬品を調合して表面処理液を所定の液組成、pH、浴温に設定し、化成工程で前記表面処理液を用いて表面処理皮膜を形成させ、次いで洗浄や乾燥を行って表面処理皮膜を得るものである。
前記前処理工程は、水洗、酸洗浄処理、加熱処理、フラッシュ処理、活性化処理から構成される工程であり、被処理物の表面状態や材質に合わせてこれらの処理を組み合わせて用いることができる。
前記酸洗浄処理は、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸もしくはカルボン酸またはこれらの酸を組み合わした処理液を用いて、被処理物の表面に付着するコンタミなどの汚れや油脂などを取り除く処理であり、表面清浄度の低い被処理物に用いるのが好ましく、また前記加熱処理は、金属系材料やめっき膜に含まれる水素ガスなどのガス成分を取り除く工程であり、特にめっき膜を有する被処理物に用いるのが好ましい。
さらに、前記フラッシュ処理はアルカリ系溶液による洗浄処理であって、下地との密着性を向上させるために行われ、前記活性化処理は硝酸、塩酸、硫酸、リン酸もしくはカルボン酸またはこれらの酸を組み合わした処理液を用いて、被処理物の表面に形成される金属酸化物などを取り除き、表面処理皮膜の良好な形成を促すと共に、良好な密着性を得るために行われる。
前記前処理工程は、被処理物の表面状態や材質によって施す処理の組み合わせを変更できる。例えば、表面に加工油やコンタミなどを有さない清浄表面を有する被処理物は、水洗のみでも良いが、アルミなどの不働態が生じやすい被処理物に対しては前記活性化処理を施すのが好ましい。
本発明の表面処理液の調整方法は、前記調製工程の建浴段階において、前記3価クロム化合物が解離して生じる3価クロムイオンと6価クロムイオンとを含む3価クロム化合物の水溶液に、溶存している6価クロムイオンを3価クロムイオンに還元する前記還元剤を添加し、溶存する6価クロムイオン濃度を下げるものであり、次いで行われる支持塩添加やpH、浴温の調整を含めた調製工程の一部である。
前記表面処理液の調整方法には、前記還元剤の還元反応が用いられており、この還元反応は発熱反応であるため、反応率向上をするために前記3価クロム化合物の水溶液に冷却を加えながら還元させるのが好ましいが、低温過ぎると反応収率が低下するため、還元剤を添加した浴温は60〜90℃にするのが好ましい。浴温を60〜90℃に維持することで、効率よく6価クロムイオン濃度を下げることが可能となる。
また、前記還元剤は反応が100%生じたと仮定した場合、理論的に必要とされる6価クロムイオン濃度に対して、還元剤を1.0〜2.0倍の濃度になるように加えるのが好ましい。還元剤を1.0〜2.0倍の濃度になるように加えることで、使用する還元剤を最小限に留めることが可能となり、未反応の6価クロムの濃度を下げることができるようになる。
さらに、前記還元剤は急激な発熱を避けるため一度に多量添加せず、少量を連続的に加え、発熱量と冷却による吸熱量との均衡を取るように還元剤を添加するのが好ましいが、還元剤の添加に時間をかけすぎると生産性が悪化するため、前記支持塩の添加の前後に分けてそれぞれ還元剤を添加するのが好ましい。このように還元剤を分けて添加することで、発熱による反応速度低下を防止でき、支持塩に含まれる可能性のある6価クロムイオンをも還元して低濃度化できる。
次いで、前記支持塩を3価クロム化合物の水溶液に添加し、pH0.5〜5.0、好ましくは1.5〜3.5の酸性になるように塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸もしくは酢酸などの有機酸またはこれらの塩を適宜加えて調整し、浴温10〜70℃、好ましくは20〜50℃として表面処理液を得る。
前記化成工程は、被処理物に表面処理皮膜を造膜させる工程であり、被処理物を5〜120秒、好ましくは10〜90秒浸漬して、表面処理皮膜を形成する。
なお、表面処理皮膜を形成させた後に、前記表面処理皮膜上にシリコンまたはシリコン系樹脂を含む液体組成物を塗布したり、ポリテトラフルオロエチレンなどの微粒子を含む樹脂、ワックスまたはこれらの樹脂を含むコート剤などの液体組成物を塗布して、表面に耐摩耗性や撥水性を有する表面保護皮膜を形成しても良い。また顔料または染料を塗布して、着色したり、耐食性をさらに向上させても良い。これによって、装飾性や耐摩耗性を有する保護皮膜を得ることができる。
前記保護皮膜は、前記表面処理皮膜、または表面処理皮膜とその表面に形成された表面保護皮膜とから成っており、前記表面処理皮膜は3価クロム化合物が水溶して生じる3価クロムイオンと、支持塩と、前記3価クロム化合物に不純物として含まれる6価クロムイオンと、この6価クロムイオンを3価クロムイオンに還元する還元剤とを含む表面処理液に金属系材料の表面を接触させることで形成されている。
前記表面処理皮膜は、前記表面処理液を用いて化成工程で造膜することで、皮膜の総重量に対して含有される6価クロムの濃度が0.2ppm以下に抑えられ、溶出する6価クロムイオン濃度を低濃度にすることができ、人体や自然環境への負担を軽減できる。
また、前記表面処理皮膜は、前記表面処理液を用いることで皮膜中に含まれる6価クロムの濃度分布にばらつきが生じず、皮膜中での6価クロムの濃度分布が深さ方向に垂直ないずれの面分布に対しても0.2μg/cm2以下の面濃度を有する均一な皮膜が得られる。これによって、溶出する6価クロムイオン濃度を安定して低濃度を維持することができる。
本発明を実施例および比較例により更に詳細に説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
本発明の表面処理液の調整方法が表面処理液中の6価クロムイオン濃度の低減に及ぼす効果を示すために、表1に示すように、3価クロム化合物、支持塩、染料、安定剤などが異なる7種類の表面処理液を、還元剤を添加せずに調製すると共に、前記7種類の表面処理液と同組成でありながら、還元剤添加による調製は実施している7種類の表面処理液も用意した。得られた表面処理液の溶存6価クロムイオン濃度を分析して、液組成が異なるそれぞれ表面処理液において、本発明の調整方法が6価クロムイオン濃度をどの程度低減するかを分析した。なお、6価クロムイオン濃度の分析は、3価クロムイオンを沈殿濾過して取り除いた濾液をキャピラリー電気泳動法、ICPまたはジフェニルカルバジド等を用いた吸光光度法で測定して行った。また、表1の調製に用いられる試薬は全て3価クロムの化合物の試薬である。
Figure 0004142616
液組成No.1〜7と、液組成No.8〜14を比較すると、還元剤の添加を調製段階で実施することにより、3価クロムイオンの濃度の低下に比べて、6価クロムイオン濃度の低下は大きく、選択的に6価クロムイオンが3価クロムイオンに還元されていることが分かる。また、支持塩などを添加していない液組成No.1〜4およびNo.8〜11と、支持塩などを添加している液組成No.5〜7およびNo.12〜14とを比べると、どちらも6価クロムイオン濃度が同様に低減しており、支持塩を添加しても還元剤の調製段階での添加による6価クロムイオン低減効果は阻害されないことが分かる。
次に、A〜Jの基本液組成に基づき、調製段階での還元剤添加を行ったものを表2に実施例1〜10として、調製段階での還元剤添加を行っていないものを表3に比較例1〜10として示した。また、表2は還元剤として重亜酸ナトリウムを用いたものを実施例1〜10として示している。なお、前記基本液組成は、3価クロム化合物や支持塩の種類を変えて調整しており、表面処理液中で得られる錯イオンなどが異なるように調整されている。
また、これらの液組成を有する表面処理液を用いて、亜鉛めっき品を被処理品として表2および表3に示す各処理条件で皮膜を形成し、この皮膜の耐食性、外観、皮膜含有の6価クロム濃度を測定して、性能評価を行った。なお、耐食性はJISに規定されるSST(塩水噴霧)試験において白色の腐食生成物が最初に生じるまでの時間である。また、皮膜中の6価クロム濃度は前記濾液のICP等を用いて求めた。
Figure 0004142616
Figure 0004142616
実施例1は基本液組成Aに重亜硫酸ナトリウムを加えて還元処理を行ったものであり、同様に基本液組成Aを用いた比較例1に比べて、6価クロム濃度が32.5ppmから5.5ppmに低減している。pHを2.2、浴温を30℃とした表面処理液に20秒浸漬して皮膜形成を行った結果、皮膜の外観および耐食性は比較例1と同等であるが、皮膜中の6価クロム濃度は0.220ppmから0.045ppmまで低減している。
実施例2〜10は基本液組成B〜Jに重亜硫酸ナトリウムを加えて還元処理を行ったものであり、同様な液組成を用いた比較例2〜10に比べて、それぞれ6価クロム濃度が大幅に低減されている。皮膜形成を行った結果は、外観および耐食性は比較例2〜10と同等であるが、皮膜中の6価クロム濃度は低減している。
前記実施例1〜10と比較例1〜10を比較すると、還元剤を調成段階で加えた各実施例は、外観や耐食性を損なわずに、表面処理液中の6価クロムイオン濃度を低減でき、形成された皮膜に取り込まれる6価クロム濃度を低減できることが分かる。
比較例
較例1〜10は、基本液組成A〜Jを還元処理なしに調製して表面処理液に用いたものであり、実施例1〜10と比べると耐食性や外観は同等であるが、表面処理液中の6価クロム濃度および皮膜中の6価クロム濃度が高い。
本発明の表面処理工程を示すブロック図である。

Claims (1)

  1. 不純物として6価クロムイオンを21.5〜121ppm含む3価クロム化合物の水溶液に、Li、Be、Na、Mg、K、Ca、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Zr、Nb、Mo、Pd、Ag、Sn、Ba、Ta、W、Pt、Au、Bi、Ceの各価数の金属イオンまたはアンモニウムイオンから選ばれる1種以上のカチオンと、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、カルボン酸イオン、ジカルボン酸イオンまたはオキシカルボン酸イオンから選ばれる1種以上のアニオンとで成る支持塩の添加の前後に分けて、この6価クロムイオンを3価クロムイオンに還元するものであって、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄または亜リン酸から選ばれる1種以上の硫黄酸化物またはリン酸化物より成る還元剤を添加して、前記還元剤の添加後に表面処理液の温度を60〜90℃とし、前記還元剤の総添加量が、反応が100%生じたと仮定した場合に理論的に必要とされる6価クロムイオン濃度に対して2.0倍の濃度になるように加えて還元反応を行い、6価クロムイオン濃度を10ppm以下に低減することを特徴とする表面処理液の調製方法。
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