JP4139952B2 - 共重合高分子膜及びその形成方法、並びに共重合高分子膜を用いた半導体装置 - Google Patents

共重合高分子膜及びその形成方法、並びに共重合高分子膜を用いた半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置における素子間を結ぶ多層配線間の絶縁に好適な絶縁膜及びその形成方法、その絶縁膜を用いた多層配線構造を有する半導体装置、ならびに高分子膜成長装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路の設計ルールは縮小を続けており、それに伴い、配線幅が減少し、隣接する配線間の間隔も狭くなっている。その結果、配線間の寄生容量に起因する遅延により高速動作性能の劣化が顕在化している。つまり、半導体集積回路において、配線信号遅延は配線CR時定数(C:配線容量、R:配線抵抗)に依存するが、配線幅の減少による配線抵抗の増大および配線間隔の減少による配線間容量の増大により配線CR時定数が大幅に増大すると、トランジスタのスイッチング速度向上に対して配線での信号伝達速度が追従できない状態が懸念されている。従来、半導体集積回路の配線材料にはアルミ合金が主に使用されていたが、より高速な動作が必要な集積回路では配線の低抵抗化のため銅配線が使用されている。
【0003】
一方、配線間容量の増大を回避するために、配線間の絶縁膜として、従来広く利用されているシリカ(SiO2)系絶縁膜よりも、比誘電率の低い絶縁膜材料の採用が進められている。このような比誘電率の低い絶縁膜としては、フッ素添加シリカ(SiOF)膜やポーラスシリカ膜、有機高分子膜(有機絶縁膜)が知られている。
【0004】
フッ素添加シリカの成膜方法としては、例えば特開2002−16061号公報(以後「引例1」と表記)に、ヘキサメチルジシロキサンなどの有機シリコン化合物と炭素2重結合を2つ以上有するフッ化炭素化合物との混合ガスをプラズマ重合反応させてフッ化炭素含有シリコン酸化膜を形成する方法が記載されている。かかる重合反応では、重合生成物として環状炭化水素が形成される反応経路は含まれないことから、有機シリコン化合物とフッ化炭素化合物とが強固な環状炭化水素を介して接続されることはない。このため、十分な機械強度が得られない。
【0005】
フッ素添加シリカは、現在、既に一部の市販製品で使用されているものの、膜自身の低誘電率化を図るために膜中のフッ素濃度を高くすると、水分あるいは水素との反応によって生じるフッ化水素で配線金属の腐食が発生したり、フッ素が脱離することにより比誘電率が増大するといった課題が生じる。加えて、半導体集積回路技術の進歩により、絶縁膜への低誘電率化の要求は、既にフッ素添加シリカ(SiOF)膜で得られる3.3程度の比誘電率では十分に応えられなくなってきている。すなわち、比誘電率が3以下と非常に小さな絶縁材料が注目されている。
【0006】
例えば、特開平11−288931号公報(以後「引例2」と表記)には、シロキサン(-Si-O-Si-)に飽和炭化水素基が結合したシリコン系炭化水素化合物の気化ガスを用いたプラズマ重合技術で、比誘電率3以下のシリコン系有機絶縁膜が得られることが記載されている。この場合、飽和炭化水素基自体は安定であるためプラズマ中の電子エネルギーで飽和炭化水素基の構成分子の一部を解離させて活性化させている。かかる重合反応においても、環状炭化水素が形成される反応経路は含まないことから、シリコン系炭化水素化合物同士が強固な環状炭化水素を介して接続されることはない。このため、十分な機械強度が得られず、さらに、シリコン系有機絶縁膜に微細な空孔を導入するポーラス膜の分子設計も困難である。
【0007】
特表2002−503879号公報(以後「引例3」と表記)には、特定範囲のRFパワーレベルのプラズマ処理により、解離させた酸化ガスと、炭化水素基とシロキサン又はシランとからなるオルガノシリコン化合物とを反応させて低誘電率膜を堆積処理する方法が記載されている。この反応過程においても、環状炭化水素が形成される反応経路は含まれないことから、オルガノシリコン化合物が強固な環状炭化水素を介して接続されることはなく、このため、十分な機械強度が得られない。また、プラズマ中でオルガノシリコン化合物を酸化させる際、その酸化反応や酸化度を制御することが難しい。さらには、シリコン系有機絶縁膜に微細な空孔を導入するポーラス膜の分子設計も困難である。
【0008】
一方で、現在、半導体集積回路上の多層配線間を絶縁するシリカ系以外の層間絶縁膜として、耐熱性・耐吸湿性に優れた有機高分子膜の開発が急がれている。
【0009】
有機高分子膜の耐湿性を高めるには、有機モノマー中に親水基が含まれないことが肝要である。また、その有機高分子膜の骨格を形成する有機モノマーの重合反応は水分子を生成させる縮重合反応を経由しないことが望ましいとされている。ここで有機モノマーとは、かかる有機モノマーを構成単位として、重合反応を生じ、目的とする有機高分子(有機ポリマー)を形成する原料化合物を指す。
【0010】
層間絶縁膜としての機能性を有する有機高分子膜の成膜方法としては、有機高分子膜の成膜に広く用いられているスピンコーティング法がある。このスピンコーティング法は、溶媒に溶解した有機モノマーを塗布して被膜を形成した後、溶媒を除去するとともに、加熱により有機モノマーの重合反応を進行させ、この結果、2次元あるいは3次元の網目構造をもった高分子膜が形成される。得られた高分子膜からなる有機絶縁膜を構成する骨格は、有機溶剤にとけていた有機モノマーの構造によってきまる。
【0011】
例えば、“REAL-TIME FT-IR STUDIES OF THE REACTION KINETICS FOR THE POLYMERIZATION OF DIVINYL SILOXANE BIS BENZOCYCLO BUTENE MONOMERS”,Material Research Symposium Proceeding,Vol.227,p.103, 1991,T.M.Stokich, Jr., W.M.Lee, R.A.Peters (以後「引例4」と表記)には、ジビニルシロキサンビスベンゾシクロブテンモノマーをメシチレンに溶解させた溶液をスピン塗布した後、100℃でベークして溶媒であるメシチレンを除去し、その後、さらに300℃〜350℃まで加熱すると、ベンゾシクロブテン骨格中の炭素四員環の熱開環重合反応で、下記化学式に示す、ジビニルシロキサンビスベンゾシクロブテンを骨格とした3次元分子鎖からなる有機高分子膜が形成される記述がある。
【0012】
ジビニルシロキサンビスベンゾシクロブテンモノマー(DVS−BCBモノマー)
【0013】
【化4】
Figure 0004139952
DVS−BCBを骨格とする有機高分子膜
【0014】
【化5】
Figure 0004139952
スピンコーティング法は、有機モノマーを溶剤に溶かし、この溶液をスピン塗布するので、塗布工程に用いるこの溶液の90%程度は基板外に飛ばされる。そのため、出発原料の有機モノマーの使用効率が低く、製造コストに占める有機モノマーの費用の比率は高くなる。
【0015】
また、スピンコーティング法は、塗布膜をベーク炉中で加熱して、まず溶剤を除去した後、さらに高温で加熱して有機モノマーの重合反応を起こして有機高分子膜を形成するものである。すなわち、基本的に、熱エネルギーを利用して重合反応を起こしているため、例えば400℃、30分といった高温・長時間の熱処理を必要とする。最近のULSIデバイスでは、多層化がより一層進められ、例えば9層近くの多層配線を形成する場合もあり、多層化が進行すると、スピン塗布膜の高温ベーク累積時間が増大するため、銅多層配線の信頼性が低下しやすくなる。さらに、ベーク炉中に酸素が存在すると、酸素と有機モノマーの一部が反応して目的とする有機高分子膜が形成されない場合もある。そのため、ベーク炉全体を窒素ガス置換する必要があり、これは低コスト化の阻害要因の一つとなる。
【0016】
また、スピンコーティング法は、その塗布処理を、局所排気されたスピン塗布室で行うが、その際、浮遊している粉塵粒子や、スピン塗布室の内壁にこびりつき乾燥、固化した有機モノマーの微粒子などが、形成されるスピン塗布膜に混入して、膜質を劣化させる場合もある。さらに、スピン塗布では、大量の有機溶剤を必要とし、環境負荷が大きいといった課題もある。加えて、下地膜と形成された有機高分子膜との密着性不足の課題も指摘されている。
【0017】
本発明者は、特開平11−17006号公報(特願平09−164688、以下「引例5」と表記)にて、有機モノマーを気化させ、気相からモノマー分子を供給し、基板上で熱重合を行って有機高分子膜を得る方法を提案している。図6に、この方法に用いられる成膜装置を示す。タンク55中の有機モノマーを減圧下で加熱して蒸発させる。一方、反応室を排気ポンプ50により減圧し、気化原料配管56を通して蒸発した有機モノマーを反応室51に送る。有機モノマー分子は、半導体集積回路が形成された半導体基板53の表面に吸着される。その際、半導体基板53は、基板加熱部54によって加熱されており、この熱エネルギーによって重合反応が進行し、架橋構造を有する有機絶縁膜52が形成される。この方法は、スピンコーティング法と異なり、有機溶剤を利用せず、また減圧反応室で成膜するため、酸素が存在しない雰囲気で成膜することができる。したがって、スピンコーティングにおいて生じる酸素との反応や、被膜中に残留する溶媒の気化に伴うボイドの発生など、膜質の低下要因を原理的に有していない点で優れていた。しかしながら、重合反応速度を増大させるため基板温度を上げると、一旦吸着した有機モノマー分子の離脱速度が増し、基板上への実効的な吸着速度が減少し、結果的に所望の成膜速度が得られないといった技術課題を有していた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、特開2000−12532号公報(特願平10−170016、以下「引例6」と表記)において、機能性有機高分子膜の成膜方法としてMVP(Monomer-Vapor Polymerization)法を提案している。この方法は、有機高分子膜の骨格を形成する有機モノマーを気化させ、キャリアガスを用いて気相中を輸送し、反応室中に形成されたHeプラズマを介して加熱基板表面に吹き付けることで、基板表面に有機高分子膜を形成するものである。気相輸送された有機モノマーは、プラズマ環境を通過する際に励起され、より反応性を増した状態となって基板表面に到達し、重合反応を起こす。予め励起された有機モノマー分子は、比較的わずかな熱エネルギーを加えるだけで容易に重合反応を起こすため、基板温度をそれほど高くしなくても所望の重合速度を達成できる。また、出発原料の化学構造と全く異なる構造を有する膜が形成されるCVD法に対して、MVP法は、出発原料の化学構造を骨格とする構造を有する膜が形成されるため、膜厚や膜質を高い再現性で高精度に制御することができる利点を有している
具体的には、前記のDVS−BCBモノマーガスをプラズマ中で活性化させて、DVS−BCBモノマー中のシクロブテン構造と、別のDVS−BCBモノマー中の二重結合とを付加重合させてDVS−BCB高分子膜を得た。ここで、付加重合は下記の式で示されるように、シクロブテン構造と二重結合との付加反応により炭化水素6員環が形成され、この炭化水素6員環を介してモノマーが結合される。なお、このMVP法は、従来のプラズマCVD法あるいはプラズマ重合法と区別するため、プラズマ付加重合法と呼ぶ。
【0019】
ベンゾシクロブテン構造の開環反応
【0020】
【化6】
Figure 0004139952
ベンゾシクロブテン構造の開環基と二重結合との付加反応
【0021】
【化7】
Figure 0004139952
原料モノマーとしてDVS−BCBモノマーを用い、プラズマ付加重合により得られた高分子膜として、比誘電率2.5〜2.7のものが得られた。しかしながら、さらに低い誘電率を達成するには、DVS−BCBモノマーのプラズマ付加重合で得られる高分子膜では困難であった。
【0022】
そこで、さらに低い誘電率を達成するためには、得られる有機高分子膜の嵩密度を小さくすることが有効な手段であり、そのためには有機高分子膜にその嵩密度を小さくできる有機骨格を導入する必要がある。しかし、このような手段には、嵩密度を小さくすることによる低誘電率化と、他の半導体材料との高い密着性との両立が困難であるという問題がある。有機高分子膜の比誘電率は小さいものの、より低誘電率化を図るためには、酸素やシリコンといった極性元素をなるべく少なくすることが必要である。しかしながら、これらの極性元素の存在により他の半導体材料との密着性が向上する。このように、有機高分子膜の低誘電率化と密着性とはトレードオフの関係にある。
【0023】
このような問題を解決するためには、理想的には、他の半導体材料と接して界面を形成する表面、すなわち有機高分子膜の上面層および底面層(下面層)のみが他の半導体材料との密着性に優れる材料から構成されていることが望ましいといえる。
【0024】
DVS−BCBモノマーといった単一のモノマー原料を用いた従来のプラズマ付加重合法においては、成膜条件の変化、例えばプラズマ生成のRFパワーや成長圧力によるある程度の構造変化は可能であったが、界面付近の比誘電率や密着性を精度よく制御することは困難であった。つまり、従来のプラズマ付加重合法においては、膜厚方向の連続的かつ大幅な膜質制御は実質的に不可能であった。
【0025】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであって、低誘電率でありながら密着性にも優れる有機高分子膜、およびこれを用いた多層配線構造を有する半導体装置を提供することを目的とするものである。また、このような有機高分子膜を気相成長により形成する成膜方法、およびその成膜方法に好適な高分子膜成長装置を提供することを目的とするものである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の複数種の有機モノマーに由来する骨格を含む共重合高分子膜によれば、低誘電率で且つ密着性に優れる絶縁膜を提供し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。また、特定の複数種の有機モノマーの混合ガスを用いてプラズマ付加重合を行うことによって、膜厚方向に沿って、その膜組成や化学構造を容易に制御できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0027】
すなわち本発明は、シクロブテン構造を少なくとも2つ以上有し且つ極性分子構造を含む結合を有する第1の有機モノマーのガスと、
二重結合を環内に有し且つ該二重結合と第1の有機モノマーのシクロブテン構造との反応により第1の有機モノマーと第2の有機モノマーとが結合し十字型骨格ユニットを形成する脂環式炭化水素である第2の有機モノマーのガスとを含む混合ガスを、減圧下の反応室内において、該反応室内に設置され加熱された下地面に吹き付けて、該下地面上で第1の有機モノマー分子と第2の有機モノマー分子のプラズマ共重合反応を起こして共重合高分子膜の成長を行うことを特徴とする共重合高分子膜の形成方法に関する。
【0028】
また本発明は、前記混合ガスを、前記反応室内に形成されたプラズマ中を通過させた後に前記下地面に吹き付けることを特徴とする上記の共重合高分子膜の形成方法に関する。
【0029】
また本発明は、第1及び第2の有機モノマーガスを前記反応室に供給するに際して、これら有機モノマーガスの相対供給量を経時的に変化させることで、前記混合ガス中の第1及び第2有機モノマーの相対含有量比を経時的に変化させて、形成される共重合高分子膜の膜厚方向に、第1及び第2の有機モノマーにそれぞれ由来する骨格ユニットの面内平均組成を変化させることを特徴とする上記の共重合高分子膜の形成方法に関する。
【0030】
また本発明は、第1の有機モノマーが、下記化学式で示されるビスベンゾシクロブテン系化合物である上記の共重合高分子膜の形成方法に関する。
【0031】
【化8】
Figure 0004139952
式中、Qは、シロキサンを含む2価基を示す。
【0032】
また本発明は、第1の有機モノマーが、下記化学式で示されるシロキサンビスベンゾシクロブテンである上記の共重合高分子膜の形成方法に関する。
【0033】
【化9】
Figure 0004139952
また本発明は、第1の有機モノマーを示す前記化学式において、Qは、エテン−1,2−ジイル(−C=C−)構造を有する上記の共重合高分子膜の形成方法に関する。
【0034】
また本発明は、第1の有機モノマーが、下記化学式で示されるジビニルシロキサンビスベンゾシクロブテンである上記の共重合高分子膜の形成方法に関する。
【0035】
【化10】
Figure 0004139952
また本発明は、第1の有機モノマーが、他の環と共有しない2つの炭素原子と、他の環と共有し且つ二重結合を形成する二つの炭素原子とからなるシクロブテン骨格を縮合環内に2つ以上有する縮合多環炭化水素である上記の共重合高分子膜の成長方法に関する。
【0036】
また本発明は、第1の有機モノマーは単独で重合可能な化合物であり、該第1の有機モノマーを重合開始から重合終了を通して供給して前記混合ガスに含有させ、第2の有機モノマーは重合途中に供給して前記混合ガスに含有させて重合を行い、
前記下地面との界面を含む下層領域および上面を含む上層領域は、第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットを含まず、第1の有機モノマーに由来する骨格ユニットを有し、前記下層領域と上層領域の間の中間領域は、第1の有機モノマーと第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットを有する、高分子膜を形成することを特徴とする上記の共重合高分子膜の形成方法に関する。
【0037】
また本発明は、シクロブテン構造を少なくとも2つ以上有し且つ極性分子構造を含む結合を有する第1の有機モノマーと、二重結合を環内に有する脂環式炭化水素である第2の有機モノマーとのプラズマ共重合により形成された共重合体高分子膜であって、
第1の有機モノマーのシクロブテン構造と第2の有機モノマーの二重結合との開環付加反応により生じる炭素6員環を介して第1の有機モノマーと第2の有機モノマーとが結合されてなる十字型骨格ユニットを有することを特徴とする共重合高分子膜に関する。
【0038】
また本発明は、エテン−1,2−ジイル(−C=C−)構造および少なくとも2つ以上のシクロブテン構造を有し且つ極性分子構造を含む結合を有する第1の有機モノマーと、二重結合を環内に有する脂環式炭化水素である第2の有機モノマーとのプラズマ共重合により形成された共重合高分子膜であって、
一方の第1の有機モノマーのシクロブテン構造と他方の第1の有機モノマーのエテン−1,2−ジイル(−C=C−)構造との開環付加反応により生じる炭素6員環を介して第1の有機モノマー同士が結合されてなる骨格をもつ領域と、
第1の有機モノマーのシクロブテン構造と第2の有機モノマーの二重結合との開環付加反応により生じる炭素6員環を介して第1の有機モノマーと第2の有機モノマーとが結合されてなる十字型骨格ユニットをもつ領域とを有する共重合高分子膜に関する。
【0039】
また本発明は、第1の有機モノマーはシロキサン結合(Si−O)を有しており、膜厚方向において、シロキサン結合構造の密度が変化していることを特徴とする上記の共重合高分子膜に関する。
【0040】
また本発明は、膜厚方向において、第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットの面内平均含有比率が変化していることを特徴とする上記の共重合高分子膜に関する。
【0041】
また本発明は、第1の有機モノマーはシロキサン結合(Si−O)を有しており、膜厚方向において、シロキサン結合構造の密度と、第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットの面内平均含有比率とがいずれも変化していることを特徴とする上記の共重合高分子膜に関する。
【0042】
また本発明は、膜中に含まれるシロキサン結合構造の密度の変化は、下地面に接する共重合高分子膜の下面付近の領域および上面付近の領域に比較して、膜厚方向の中間領域において、前記シロキサン結合構造の密度が相対的に低くなっていることを特徴とする上記の共重合高分子膜に関する。
【0043】
また本発明は、膜中に含まれる第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットの面内平均含有比率の変化は、下地面に接する共重合高分子膜の下面付近の領域および上面付近の領域に比較して、膜厚方向の中間領域において、前記骨格ユニットの面内平均含有率が相対的に高くなっていることを特徴とする上記の共重合高分子膜に関する。
【0044】
また本発明は、第1の有機モノマーはシロキサン結合(Si−O)を有し、そのシロキサン結合構造の密度と、第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットの面内平均含有比率は、それぞれ膜厚方向において変化しており、
下地面に接する共重合高分子膜の下面付近の領域および上面付近の領域に比較して、膜厚方向の中間領域において、前記シロキサン結合構造の密度が相対的に低く、かつ前記骨格ユニットの面内平均含有率が相対的に高くなっていることを特徴とする上記の共重合高分子膜に関する。
【0045】
また本発明は、シロキサン結合(Si−O)及び少なくとも2つ以上のシクロブテン構造を有する第1の有機モノマーと、二重結合を環内に有する脂環式炭化水素である第2の有機モノマーとのプラズマ共重合により形成された共重合高分子膜であって、第1の有機モノマーのシクロブテン構造と第2の有機モノマーの二重結合との開環付加反応により生じる炭素6員環を介して第1の有機モノマーと第2の有機モノマーとが結合されてなる十字型骨格ユニットを有し、第1の有機モノマーに由来するシロキサン結合構造の密度および第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットの面内平均含有比率がそれぞれ膜厚方向において変化しており、下地面に接する共重合高分子膜の下面付近の領域および上面付近の領域に比較して、膜厚方向の中間領域において、前記シロキサン結合構造の密度が相対的に低く、かつ前記骨格ユニットの面内平均含有率が相対的に高くなっている共重合高分子膜
前記共重合体高分子膜に、金属配線が埋め込まれてなる配線構造を有する半導体装置に関する。
【0046】
また本発明は、前記金属配線は、膜厚方向において少なくとも前記中間領域から前記上面付近の領域にわたって存在し、その金属配線に接続する金属ビアは、少なくとも前記下面付近の領域に埋め込まれている上記の半導体装置に関する。
【0049】
本発明によれば、絶縁膜の原料として特定の複数の有機モノマーを用いることにより、1種の原料モノマーを用いる場合では得えられなかった機能性を持つ高分子膜を得ることができる。また、成膜工程において原料モノマー供給量の制御を、異なる種類の原料モノマーそれぞれに対して独立に行うことにより、膜厚方向に沿って膜構造の制御が可能となる。すなわち本発明によれば、機械強度や密着性に優れながら、低誘電率の高分子膜を提供できる。また、このような高分子膜を配線間絶縁膜として多層配線構造に適用することにより、信頼性および素子特性に優れる半導体装置を提供することができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
本発明においては、配線間絶縁膜として好適な有機高分子膜を、複数種の有機モノマーを用いたプラズマ付加重合法により形成することができる。このプラズマ付加重合法では、用いる複数の有機モノマーのうち共重合可能な2種類以上の有機モノマーの一方はシクロブテン構造を2つ以上有し、他方の有機モノマーは不飽和結合を2つ以上もつ。また、シクロブテン構造を2つ以上もつ有機モノマーは単独で用いても、その有機モノマー骨格中の不飽和結合が関与する開環・付加重合反応によって高分子膜を形成できることが好ましい。ここでは、共重合可能な2種類以上の有機モノマーが付加重合することで炭化水素環を形成し、この炭化水素環を介して複数の有機モノマーが結合されてゆくことで有機高分子膜を得ることができる。例えば下記化学式に示されるように、一方の有機モノマーが有するシクロブテン構造と、他方の有機モノマーが有する、脂環式炭化水素の環内のエテン−1,2−ジイル(−C=C−)構造(以下適宜「脂環式エテン構造」という)との付加反応を利用することができる。一方の有機モノマーのシクロブテン構造は他方の有機モノマーの環内二重結合との付加反応により炭素6員環を形成し、この炭素6員環を介してモノマー同士が結合される。
【0051】
【化11】
Figure 0004139952
すなわち本発明においては、例えば下記化学式に示すように、第1の有機モノマーとしてシクロブテン構造を少なくとも2つ以上有する化合物と、第2の有機モノマーとして環内に二重結合を少なくとも2つ以上もつ脂環式炭化水素を用い、プラズマ中でこれら有機モノマーを活性化させて第1の有機モノマーのシクロブテン構造と第2の有機モノマーの脂環式エテン構造との付加反応を連続的に生じさせ、すなわち付加重合させることで高分子膜を得ることができる。
【0052】
【化12】
Figure 0004139952
〔有機高分子膜の成膜方法〕
以下、本発明における有機高分子膜の成膜方法について図1を用いて説明する。ここでは、シクロブテン構造をもつ第1の有機モノマーを「有機モノマーA」、脂環式エテン構造を持つ第2の有機モノマーを「有機モノマーB」と記する。
【0053】
まず、反応室1は、真空ポンプ8により減圧されており、反応室1の内部には基板加熱部6が設けられ、その上に半導体基板5が固定される。原料有機モノマーAおよびBは、それぞれ気化供給システム61、62内において気化され、その蒸気はキャリアガスとともに原料供給配管38A、38B、バルブ18A、18Bを介して反応室1へ供給される。反応室1の壁面はヒータ2により、気化原料供給配管38A、38Bの管壁はヒータ3により加熱され所望の温度に維持されている。有機モノマーAと有機モノマーBの蒸気は、それぞれがキャリアガスとともにシャワーヘッド7へ供給されて混合された後、基板4の表面へ吹き付けられる。その際、シャワーヘッド7と基板加熱部6との間には、RF電源9からRF電力が印加され、プラズマが誘起されている。そのため、有機モノマーAと有機モノマーBの分子はプラズマ雰囲気を通過して励起され、活性化された状態で基板表面に到達する。活性化され基板へ到達した有機モノマーAガスと有機モノマーBガスは、基板加熱部6からの熱エネルギーを受け、速やかに共重合反応を起こし、半導体基板5表面上に共重合高分子絶縁膜4が成長する。
【0054】
なお、未反応の原料は、反応室1が真空ポンプ8により減圧されており、その壁面も保温されていることから、気体状態のまま、ヒータにより加熱されている排気配管16を経て冷却トラップ14へ到達する。冷却トラップ14内では温度が十分に低いため、気体状の原料モノマーA、Bは凝集され、冷却トラップ14内で液化あるいは固化される。その結果、未反応の原料モノマーは、排気ポンプ8には送られることなく、冷却トラップ14内で回収される。
【0055】
図2は、本発明における有機モノマーが液体である場合、あるいは有機溶媒に溶解し溶液として利用する場合に利用可能な、有機モノマー原料の気化供給システムを説明するための模式図である。有機モノマーAタンク23Aから、気化制御器において有機モノマー原料が気化され、反応室へ供給される直前までを示す。なお、以下の説明では単量体である有機モノマーを例に説明するが、二量体である有機オリゴマーでもその原理は同様である。
【0056】
有機モノマーA 22は、バルブ46A、液体流量指示器A 28A、バルブ43Aを介して気化制御器A 30Aに供給される。さらに、有機モノマーA用液体流量指示器28Aからフィードバック制御されている気化制御バルブA 35Aと気化制御機A内バルブ37を介し、気化室A 32Aに供給される。一方、キャリアガスA 26Aはバルブ45Aを経て気化制御器30Aへ供給される。したがって、気化室A 32Aの直前で液体原料モノマーA 22AとキャリアガスA 26Aは混合される。キャリアガスAと混合状態で気化室A 32Aへ供給された液体原料モノマーA 22Aは、気化室32Aへ供給されるときの急激な圧力減少により、同時にヒーター34により受ける熱エネルギーにより連続的に気化する。気化した原料モノマーAは、ヒーターで保温されている原料供給配管38A、バルブ18Aを介して反応室1へ供給される。なお、気化が困難な有機モノマーの場合、有機溶剤にその有機モノマーを溶解し、かかる溶液を気化制御器A 30Aに供給してもよい。
【0057】
図3は、本発明における有機モノマーが固体である場合に利用可能な、有機モノマー原料の気化供給システムを説明するための模式図である。キャリアガス26Bが供給される有機モノマーBタンク23Bから、反応室へ気化された有機モノマー原料が供給される直前までを示す。なお、以下の説明では単量体である有機モノマーを例に説明するが、二量体である有機オリゴマーでもその原理は同様である。
【0058】
キャリアガスB 26Bは気体流量制御器31Bにおいて流量を制御されながら、バルブ45Bを介して有機モノマーBタンク 23Bへ供給される。有機モノマーBタンク 23Bは一定温度に加熱されている。この温度は、有機モノマーBが溶融状態から気化して、あるいは固相状態から昇華して、十分な飽和蒸気圧が得られる温度である。また、気化あるいは昇華状態も温度により制御される。気化したモノマーBは、供給されたキャリアガスと混合され、バルブ46B、気体流量指示器B 33B、バルブ43Bを介して気化原料供給配管38Bへ供給され、さらに、バルブ41Bを介して反応室1へ供給される。その際、単位時間あたりの有機モノマーの供給量は、キャリアガス流量により制御することができる。
【0059】
以上のように、有機モノマー原料が常温で液体であっても固体であっても適切な気化供給システムを選択することで、反応室へ、気体状態の有機モノマーを所定量、供給することができる。なお、常温で気体の有機モノマーを利用する場合は、通常の気体原料ガスやクリーニングガスと同様の供給形態をとればよい。また、本発明において用いられるキャリアガスとしては、ヘリウムガス、アルゴンガス、ネオンガス等の、有機モノマー原料に対して不活性なガスを適宜使用することができる。
【0060】
〔第1の有機モノマー:ベンゾシクロブテン構造を持つ有機モノマー〕
ここでは、第1の有機モノマーの1つとして、ベンゾシクロブテン構造を2つ持つ有機モノマー(以下適宜「ビスベンゾシクロブテン誘導体」という)について具体的に説明する。
【0061】
この有機モノマーは、下記化学式に示すように、ベンゾシクロブテン構造の2つが炭素化合物やシロキサンの二価基Qを介して接続された構造を有する。ベンゾシクロブテン構造は、ベンゼン環とシクロブテン構造をもつ縮合環構造を有し、そのシクロブテン構造は下記化学式に示されるように開環反応を起こす。
【0062】
【化13】
Figure 0004139952
上記の二価基Qは、飽和炭化水素または不飽和炭化水素等の炭素化合物の二価基、あるいはシロキサンの二価基を示し、以下のものを挙げることができる。
【0063】
エチレン基(−CH2−CH2−)等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキレン基;
エテン−1,2−ジイル基(−CH=CH−、ビニレン基)、
1,3−ブタジエン−1,4−ジイル基(−CH=CH−CH=CH−)、
下記化学式に示す2価基
【0064】
【化14】
Figure 0004139952
(式中、R8 はメチレン基、エチレン基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキレン基あるいはその他の飽和もしくは不飽和炭化水素の二価基、R9、R10 はそれぞれ独立に水素、メチル基、エチル基または飽和もしくは不飽和炭化水素基を示す。)等の直鎖状又は分岐状のアルケニレン;
下記化学式に示すエチン−1,2−ジイル基、
【0065】
【化15】
Figure 0004139952
下記化学式に示すビス(エチン−1,2−ジイル)基
【0066】
【化16】
Figure 0004139952
(式中、R11 はメチレン基、エチレン基等の炭素数1〜3の直鎖状又は分岐状のアルキレン基あるいは飽和もしくは不飽和炭化水素の二価基)、
等の直鎖状又は分岐状のアルキニレン;
下記化学式に示すフェニレン基、
【0067】
【化17】
Figure 0004139952
下記化学式に示すベンゼンジビニレン基、
【0068】
【化18】
Figure 0004139952
下記化学式に示すベンゼンジカルボニルの2価基、
【0069】
【化19】
Figure 0004139952
下記化学式に示す2価基、
【0070】
【化20】
Figure 0004139952
下記化学式に示す2価基、
【0071】
【化21】
Figure 0004139952
下記化学式に示す2価基、
【0072】
【化22】
Figure 0004139952
下記化学式に示すシロキサンの2価基、
【0073】
【化23】
Figure 0004139952
下記化学式に示すジビニルシロキサンの2価基
【0074】
【化24】
Figure 0004139952
〔その他の第1の有機モノマー:縮合多環炭化水素構造の有機モノマー〕
その他の第1の有機モノマーとして、シクロブテン構造を縮合環内に2つ以上有する縮合多環炭化水素構造を有する有機モノマー(以下適宜「縮合多環シクロブテン誘導体」という)について具体的に説明する。例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、ピレン、クリセンなどの縮合多環炭化水素と2つ以上のシクロブテンとの縮合構造を有するものが挙げられる。さらには、縮合多環炭化水素の一部が飽和炭化水素基あるいは不飽和炭化水素基で置換されたものと2つ以上のシクロブテンとの縮合構造も含まれる。ここで、シクロブテン構造は、第2の有機モノマーと開環付加反応を生じ得るように、他の環と共有しない2つの炭素原子と、他の環と共有し且つ二重結合を形成する二つの炭素原子とから構成される。
【0075】
以下にこのような縮合多環炭化水素構造を有する有機モノマーを例示する。なお、ベンゼン環と2つのベンゾジシクロブテンとが縮合された縮合多環炭化水素構造およびその誘導体も含まれる。
【0076】
【化25】
Figure 0004139952
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素、メチル基、エチル基または飽和もしくは不飽和炭化水素基を示す。)
【0077】
【化26】
Figure 0004139952
(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素、メチル基、エチル基または飽和もしくは不飽和炭化水素基を示す。)
【0078】
【化27】
Figure 0004139952
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に水素、メチル基、エチル基または飽和もしくは不飽和炭化水素基を示す。)
【0079】
【化28】
Figure 0004139952
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素、メチル基、エチル基または飽和もしくは不飽和炭化水素基を示す。)
〔第2の有機モノマー:2つの二重結合を環内に持つ脂環式炭化水素〕
第2の有機モノマーとして用いられる脂環式炭化水素の環内の二重結合は、第1の有機モノマーのシクロブテン構造と付加反応を生じる。
【0080】
具体的には、8員環の脂環式化合物として、シクロオクタテトラエン、1,3,5-シクロオクタトリエン、1,3,6-シクロオクタトリエン、1,4-シクロオクタジエン、1,5-シクロオクタジエン、あるいはそれらに炭化水素基等の置換基が結合されたものが挙げられる。また、6員環の脂環式化合物としては、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、あるいはそれらに炭化水素基等の置換基が結合されたものが挙げられる。さらに、5員環の脂環式化合物としては、1,3−シクロペンタジエタンあるいはそれに炭化水素基等の置換基が結合されたものが挙げられる。その他、7員環の脂環式化合物として、1,3,5−シクロペプタトリエン、1,3,6−シクロペプタトリエン、1,3−シクロペプタジエンおよびそれらにそれに炭化水素基等の置換基が結合されたものが挙げられる。なお、これらの脂環式炭化水素化合物は、単独で第2の有機モノマーとして使用することもできるし、これらの混合物として使用することもできる。
【0081】
なかでも、下記の脂環式炭化水素が好ましい。
【0082】
【化29】
Figure 0004139952
【0083】
【化30】
Figure 0004139952
【0084】
【化31】
Figure 0004139952
【0085】
【化32】
Figure 0004139952
【0086】
【化33】
Figure 0004139952
【0087】
【化34】
Figure 0004139952
【0088】
【化35】
Figure 0004139952
【0089】
【化36】
Figure 0004139952
【0090】
【化37】
Figure 0004139952
〔プラズマ付加共重合反応の第1の実施形態〕
ここでは、第1の有機モノマーとしてビスベンゾシクロブテン誘導体と第2の有機モノマーとして1,5-シクロオクタジエン(融点:−56℃)を用いて、プラズマ付加共重合反応を行った場合について説明する。
【0091】
気化されたビスベンゾシクロブテン誘導体はプラズマ中で活性化され、下記化学式に示すように、そのシクロブテン骨格の4員環が開環して2つのビニリデン構造を生じる。
【0092】
【化38】
Figure 0004139952
一方、気化された1,5-シクロオクタジエンもプラズマ中で活性化され、その環内の一方の二重結合と、ビスベンゾシクロブテン誘導体のシクロブテン骨格が開環して形成された2つのビニリデン構造とのディールス・アルダー型の付加反応が生じ、形成された炭素6員環を介して、第1の有機モノマーのベンゼン環と第2の有機モノマーの8員環とが接続される。続いて、同様の反応が第2の有機モノマーの8員環中の他方の二重結合と他の第1の有機モノマーとの間でも生じ、結果、下記化学式に示すように、シクロオクタン基の両側にそれぞれ炭素6員環を介してベンゼン環が直線上に接続された骨格ユニットが得られる。実際には、かかる素反応がプラズマ中で連続的に生じて、シクロオクタン環とベンゼン環が炭素6員環を介して直線状に配列した構造を有する高分子が得られる。
【0093】
【化39】
Figure 0004139952
第2の有機モノマーとして、1,5-シクロオクタジエンに代えて1,4-シクロオクタジエンを用いた場合は、下記化学式に示すように、シクロオクタン環とベンゼン環が炭素6員環を介して結合され、これらが約45°傾いて配列した骨格を有する高分子が得られる。
【0094】
【化40】
Figure 0004139952
〔プラズマ付加共重合反応の第2の実施形態〕
ここでは、第1の有機モノマーとしてビスベンゾシクロブテン誘導体と第2の有機モノマーとして1,3,5-シクロオクタトリエン(融点:−83℃)を用いて、プラズマ付加共重合反応を行った場合について説明する。
【0095】
気化されたビスベンゾシクロブテン誘導体はプラズマ中で活性化され、そのシクロブテン骨格の4員環が開環して2つのビニリデン構造を生じる。
【0096】
一方、気化された1,3,5-シクロオクタトリエンもプラズマ中で活性化され、その環内の一つの二重結合と、ビスベンゾシクロブテン誘導体のシクロブテン骨格が開環して形成された2つのビニリデン構造との付加反応が生じ、形成された炭素6員環を介して、第1の有機モノマーのベンゼン環と第2の有機モノマーの8員環とが接続される。続いて、同様の反応が、第2の有機モノマーの8員環内の他の2つの二重結合のそれぞれと他の第1の有機モノマーとの間でも生じ、結果、下記化学式に示すように、シクロオクタン環に炭素6員環を介して3つのベンゼン環が互いに垂直3方向に結合された骨格ユニットが得られる。
【0097】
【化41】
Figure 0004139952
第2の有機モノマーとして、1,3,5-シクロオクタトリエンに代えて、1,3、6-シクロオクタトリエンを用いた場合は、下記化学式に示すように、シクロオクタン環に3つのベンゼン環が炭素6員環を介して接続された骨格が得られる。この骨格において、2つのベンゼン環はシクロオクタン環の中心を頂点として互いに角度90°を成して配置され、またこれらのベンゼン環に対して135°をなす位置に他の1つのベンゼン環が配置されている。
【0098】
【化42】
Figure 0004139952
〔プラズマ付加共重合反応の第3の実施形態〕
ここでは、第1の有機モノマーとしてビスベンゾシクロブテン誘導体と第2の有機モノマーとしてシクロオクタテトラエンを用いて、プラズマ付加共重合反応を行った場合について説明する。
【0099】
気化されたビスベンゾシクロブテン誘導体はプラズマ中で活性化され、そのシクロブテン骨格の4員環が開環して2つのビニリデン構造を生じる。
【0100】
一方、気化されたシクロオクタテトラエンもプラズマ中で活性化され、その環内の一つの二重結合と、ビスベンゾシクロブテン誘導体のシクロブテン骨格が開環して形成された2つのビニリデン構造との付加反応が生じ、形成された炭素6員環を介して、第1の有機モノマーのベンゼン環と第2の有機モノマーの8員環とが接続される。続いて、同様の反応が、第2の有機モノマーの8員環内の他の3つの二重結合のそれぞれと他の第1の有機モノマーとの間でも生じ、結果、下記化学式に示すように、シクロオクタン環にそれぞれ炭素6員環を介して4つのベンゼン環が十字型に結合された骨格ユニットが得られる。
【0101】
【化43】
Figure 0004139952
さらに、この付加反応が複数のベンゾシクロブテン構造部とシクロオクタテトラエンとの間で生じることで、シクロオクタン環に炭素6員環を介して4つのベンゼン環が接続された骨格ユニットが、シクロオクタン環を交点として、網目格子状に配列した高分子構造が得られる。この網目格子には、4つの前記十字型の骨格ユニットに囲まれた空孔領域が形成される。この空孔領域を以後、分子格子空孔と呼ぶ。この分子格子空孔の大きさは、ビスベンゾシクロブテン誘導体の二価基Qによって決まるが、φ1nm以下にすることができ、高分子膜の比誘電率を1.5〜2.5にすることができる。
【0102】
【化44】
Figure 0004139952
〔プラズマ付加共重合反応の第4の実施形態〕
ここでは、第1の有機モノマーとして、2つのシクロブテン構造の間に介在する2価基Qがジビニルシロキサン由来の2価基であるビスベンゾシクロブテン誘導体、すなわちDVS−BCBモノマーを用い、第2の有機モノマーとしてシクロオクタテトラエンを用いてプラズマ付加重合反応を行った場合を説明する。
【0103】
この反応においても、前述の実施の形態と同様に第1の有機モノマーのシクロブテン構造と第2の有機モノマーの環内二重結合との開環付加反応により、DVS−BCBモノマーのベンゼン環とシクロオクタテトラエン由来のシクロオクタン環とが炭素6員環を介して接続された骨格ユニットが形成され、この骨格ユニットが格子状に配列した高分子骨格構造が得られる。さらに一方では、DVS−BCBモノマー同士の反応も生じ、一方のモノマーのシクロブテン構造と他方のモノマーの二価基Q内の二重結合とのプラズマ付加重合反応も競合して生じる。その結果、例えば下記化学式に示すように、上記骨格ユニットが格子状に配列された高分子骨格構造において骨格ユニット間を連結する二価基Q内の二重結合とDVS−BCBモノマーのシクロブテン構造との付加反応によって架橋された高強度構造膜が得られる。この架橋密度はDVS−BCBモノマーとシクロオクタテトラエンとの供給量比によって変化させることができる。高分子骨格構造における全ての二価基Qの二重結合を架橋するには、DVS−BCBモノマーの供給量をシクロオクタテトラエン供給量の少なくとも2倍以上とする必要がある。高分子骨格構造内に活性な二重結合が多量に残存すると、膜特性に経時変化が生じるおそれがある。従って、シクロオクタテトラエンの供給量は(あるいは供給速度)は、DVS−BCBモノマーの供給量(あるいは供給速度)に対してモル比で30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。なお、プラズマを利用する成膜方法では、プラズマ中に発生する水素ラジカルと高分子骨格構造内の二重結合との水素付加反応が生じて、架橋後に高分子骨格構造内の二重結合が残存することは極めてまれである。
【0104】
【化45】
Figure 0004139952
〔プラズマ付加共重合反応の第5の実施形態〕
ここでは、第1の有機モノマーとして、ナフタレンと2つのシクロブテンとの縮合物である縮合多環シクロブテン誘導体を用い、第2の有機モノマーとしてシクロオクタテトラエンを用いてプラズマ付加共重合反応を行った場合について説明する。
【0105】
気化された縮合多環シクロブテン誘導体はプラズマ中で活性化され、そのシクロブテン骨格の4員環が開環して2つのビニリデン構造を生じる。
【0106】
一方、気化されたシクロオクタテトラエンもプラズマ中で活性化され、その環内の二重結合と、シクロブテン骨格が開環して形成された2つのビニリデン構造との付加反応が生じ、形成された6員環を介して、第1の有機モノマーのナフタレン環と第2の有機モノマーの8員環とが接続される。続いて、同様の反応が第2の有機モノマーの8員環中の他の二重結合と他の第1の有機モノマーとの間でも生じ、結果、下記化学式に示すように、シクロオクタン環に炭素6員環を介して4つのナフタレン環が接続された骨格ユニットが得られる。さらに、この付加反応が複数のベンゾシクロブテン構造部とシクロオクタテトラエンとの間で生じることで、シクロオクタン環に炭素6員環を介して4つのナフタレン環が接続された骨格ユニットがシクロオクタン環を交点として網目格子状に配列した高分子構造が得られる。
【0107】
【化46】
Figure 0004139952
〔プラズマ付加共重合反応の第6の実施形態〕
ここでは、第1の有機モノマーとして、ナフタレンと4つのシクロブテンとの縮合物である縮合多環シクロブテン誘導体を用い、第2の有機モノマーとして1,3-シクロヘキサジエンを用いてプラズマ付加共重合反応を行った場合について説明する。
【0108】
気化された縮合多環シクロブテン誘導体はプラズマ中で活性化され、そのシクロブテン骨格の4員環が開環して2つのビニリデン構造を生じる。
【0109】
一方、気化された1,3-シクロヘキサジエンもプラズマ中で活性化され、その環内の二重結合と、シクロブテン骨格が開環して形成された2つのビニリデン構造との付加反応が生じ、形成された6員環を介して、第1の有機モノマーのナフタレン環と第2の有機モノマーの6員環とが接続される。続いて、下記化学式に示すように、同様の反応が第2の有機モノマーの6員環中の他の二重結合と他の第1の有機モノマーとの間でも生じ、結果、炭素6員環に炭素6員環を介して2つのナフタレン環が接続された骨格ユニットが得られる。さらに、この付加反応が、複数のベンゾシクロブテン構造と1,3−シクロヘキサジエンとの間で生じることで、シクロヘキサン環に炭素6員環を介してナフタレン環が接続された骨格ユニットがナフタレン環を交点として網目格子状に配列した高分子構造が得られる。
【0110】
【化47】
Figure 0004139952
なお、未反応のシクロブテン構造はプラズマ中に発生する水素ラジカルと反応して、安定な2つのメチル基へと変化させることができる。この場合、高分子膜中が全てシクロヘキサン環とベンゼン環(芳香族)で構成、すなわち全て炭素6員環から構成されることとなり、機械的に極めて強固な低誘電率有機絶縁膜を得ることが可能となる。
【0111】
【実施例】
以下に、第1の有機モノマーとしてDVS−BCBモノマーを用い、第2の有機モノマーとしてシクロオクタテトラエンを用いてプラズマ付加共重合反応を行う場合を例に挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。
【0112】
〔共重合高分子膜およびその成膜方法〕
ここで、高分子膜成長装置の有機モノマータンクAにはDVS−BCBモノマーを収容し、有機モノマータンクBにはシクロオクタテトラエンを収容した。キャリアガス26A、26B、パージガスおよび圧力送出ガス27にはいずれもヘリウム(He)を用いた。クリーニングガス21には、NF3と酸素の混合気体、又はSF6と酸素あるいはオゾンの混合気体を用いた。またCF4やC26といったフルオロカーボンガスと酸素あるいはオゾンの混合気体でもよい。
【0113】
有機モノマーの気化は次のようにして行った。ここではDVS−BCBモノマーについて説明するが、シクロオクタテトラエンについても同様に行うことができる。
【0114】
まず、高分子膜成長装置(図1)の気化制御器(図2)を初期状態に維持するために、気化制御器内バルブ37A及びバルブ41A、成長装置のバルブ49を「開」とし、真空ポンプ8で、反応室1、排気配管16、廃液配管15、気化制御器38A、気化原料供給配管38Aを真空引きする。
【0115】
有機モノマーの気化温度は、有機モノマーガスの必要供給量を確保するために必要な温度であるとともに、有機モノマーを気相供給する配管過程で分解や重合等による変質および配管の閉塞等を伴わない温度に設定することが望ましい。配管は、成長時に設定される温度に十分に耐えられる耐熱性材料からものを用いることが必要である。また、配管の温度は、配管各所に設置された熱電対によりモニターし、常に設定温度となるよう配管加熱ヒータを制御する。
【0116】
次に、図2に示すバルブ45Aを「開」とし、キャリアガス供給配管40Aからキャリアガス(He)26Aを、気体流量制御器31Aを介して気化制御器30Aに供給し、さらに気化原料供給配管38A、バルブ18Aを介して反応室1に流し、排気配管16を介して真空ポンプ8で装置外に排気する。
【0117】
ここでは、気化温度を210℃とし、Heキャリアガス流量500sccm(500ml/min(normal))とした。この条件の場合、気化制御器の全圧Pは、7Torr(933Pa)であり、反応室1は2.0Torr(267Pa)であった。また、反応室1内に設置された基板加熱部6により、半導体集積回路が形成されたシリコン基板(半導体基板)5を400℃に加熱した。DVS−BCBモノマーとシクロオクタテトラエンを用いた場合の基板加熱温度は200℃〜450℃の範囲内に設定することが好ましい。
【0118】
以上の操作の後、DVS−BCBモノマー及びシクロオクタテトラエンを、それぞれHeキャリアガスとともに、それぞれの気化原料供給配管を介し反応室1へ供給し、混合する。反応室1内へ供給されたこれらのガスは反応室1内のシャワーヘッド7で分散される。シャワーヘッド7には13.56MHzのRFパワーが印加されており、このシャワーヘッド下にHeプラズマを発生させた。RFパワーは100W以下、好ましくは50W以下とし、DVS−BCBモノマー及びシクロオクタテトラエンの付加反応に関与する官能基(シクロブテン構造および二重結合)のみを活性化させることが肝要である。
【0119】
DVS−BCBモノマーとシクロオクタテトラエンの混合ガスは、シャワーヘッド7により分散された後、かかるHeプラズマを通して半導体基板5上に吹き付けられる。400℃に加熱された基板表面上では、DVS−BCBモノマーとシクロオクタテトラエンの共重合反応が生じて共重合高分子膜(有機絶縁膜)が形成される。その際、排気配管16には未反応のDVS−BCBモノマーおよびシクロオクタテトラエンを含むガスが流れるが、20℃程度に冷やされた冷却トラップ14にてガス状のDVS−BCBモノマーとシクロオクタテトラエンが液化され、真空ポンプ8には入り込まない。
【0120】
所定量のDVS−BCBモノマー及びシクロオクタテトラエンを反応室1へ気相供給した後、それぞれの供給を停止し、反応室内の半導体基板5を取り出す。
【0121】
成膜工程においてDVS−BCBモノマーガスとシクロオクタテトラエンガスの相対供給量を経時的に変化させることで、膜厚方向にDVS−BCB由来の骨格ユニットとシクロオクタテトラエン由来の骨格ユニットの比率が異なる、すなわち化学構造の異なる共重合高分子膜が得られる。
【0122】
例えば、重量流量換算で流速0.15g/分のDVS−BCBモノマーのみを30秒間供給し、その後DVS−BCBモノマーとシクロオクタテトラエンを同時にそれぞれ流速0.15g/分と0.01g/分で1分間供給した。その後、シクロオクタテトラエンの供給を停止し、流速0.15g/分のDVS−BCBモノマーのみを30秒間供給した。その際、DVS−BCBモノマーは成膜開始から終了まで通して連続的に供給されている。
【0123】
あるいは、成膜開始から終了まで通してDVS−BCBモノマーの供給を重量流量換算で流速0.15g/分で一定とし、シクロオクタテトラエンの供給速度を最初の30秒間で流速0g/分から0.01g/分へ増加させ、その後、流速0.01/分で1分間保ち、次に30秒間で流速0.01g/分から0g/分へ減少させることもできる。この場合、DVS−BCB由来の骨格ユニットとシクロオクタテトラエン由来の骨格ユニットの相対量が膜厚方向に連続的に変化した共重合高分子膜が得られる。
【0124】
図4に、得られる共重合高分子膜の模式的断面図を示す。成膜の初期および終了時期では、DVS−BCBモノマーを含みシクロオクタテトラエンを含まないガス或いはDVS−BCBモノマーの相対含有量の多いガスを供給するため、下地膜およびキャップ膜との界面付近の層領域では、それぞれ中間領域に対してDVS−BCB由来の骨格ユニットが相対的に多い。これにより、下地膜やキャップ膜を構成する他の材料との密着性に優れた共重合高分子膜が得られる。一方、成膜の中間時期では、シクロオクタテトラエンの供給を開始する或いは供給量を増やすため、膜厚方向の中間領域においては相対的にDVS−BCB由来の骨格ユニットは少なく、シクロオクタテトラエン由来の骨格ユニットを比較的多く含んだ共重合高分子膜が得られる。すなわち、共重合高分子膜の中間領域は相対的に嵩密度が小さく低誘電率となる。シクロオクタテトラエン由来の骨格ユニットを比較的多く含んだ共重合膜領域では、膜中に含まれる酸素やシリコンが少ないため、相対的に比誘電率が低くなる。
【0125】
なお、図4では説明のために構造の異なる3層膜のように記載しているがこれらは連続した層である。先に述べたように、有機モノマーの供給量はそれぞれ独立に制御可能であるので、ゆるやかに供給量を変化させる場合は連続的にゆるやかに構造が変化をした共重合高分子膜が得られる。また、急激に供給量を変化させることにより連続的に急激に構造が変化した共重合高分子膜を形成することが可能である。
【0126】
〔多層配線構造およびその形成方法〕
本発明の共重合高分子膜をMOSFETデバイスの多層配線構造に適用した場合について図5を用いて説明する。
【0127】
ここでは、上記の実施例で説明した共重合高分子膜を、シリコン基板81に形成されたMOSFET82上に設けられた3層の銅配線85、87、89(M1、M2、M3)を埋め込むための絶縁膜に適用した。
【0128】
第1の銅配線(M1)85は、MOSFET82上の無機層間絶縁膜84に形成されている銅コンタクトプラグ83上に形成され、配線間絶縁膜91にバリア金属膜を介して埋め込まれている。無機層間絶縁膜84の表面には銅拡散バリアキャップ膜として10nm厚以下の極薄膜シリコン窒化膜90が形成されている。このキャップ膜90上に形成された配線間絶縁膜91は、DVS−BCB由来の骨格ユニットを多く含むDVS−BCB高分子膜91aと、DVS−BCB及びシクロオクタテトラエン由来の骨格ユニットを含むDVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子膜91bと、DVS−BCB由来の骨格ユニットを多く含むDVS−BCB高分子膜91cの連続した3つの層状領域からなる構造を有している。
【0129】
この配線間絶縁膜91において、下地膜および上地膜との界面付近の領域には、機械的強度と密着性に優れたDVS−BCB高分子膜91a、91cを配置している。これらのDVS−BCB高分子膜(比誘電率k=2.5)は、単位骨格あたり2つのシロキサン基を含んでおり、高い機械的強度を有しながら銅拡散バリア膜(タンタル系金属等)との密着性に優れる。
【0130】
配線間絶縁膜91の中間領域を構成するDVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子膜91bは、そのシロキサン濃度がDVS−BCB高分子膜91aの半分以下であり、その比誘電率kは2.1である。
【0131】
第1層目の配線間絶縁膜91の実効誘電率は、DVS−BCB高分子層状領域とDVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子層状領域との厚み比に依存するが、DVS−BCB高分子層状領域の総厚さは、DVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子層状領域の5〜20%程度、例えば10%程度であることが望ましい。例えば、銅配線85の厚さが300nmの場合、DVS−BCB高分子膜91a、DVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子膜91b、DVS−BCB高分子膜91cのそれぞれの厚さは15nm/270nm/15nmとすることができ、この場合の実効比誘電率は2.2〜2.3程度であった。
【0132】
かかる配線間絶縁膜91は、図1に示した共重合高分子膜の成長装置を用いて成長した。ここでは、基板加熱温度を425℃とし、シャワーヘッドには50WのRFパワーを印加してHeプラズマを発生させた。まず、成膜初期ではDVS−BCBモノマーのみを供給して15nm厚のDVS−BCB高分子膜を成長させた。続いて、DVS−BCBモノマーとシクロオクタテトラエンとが等モル供給となるように、例えばDVS−BCBモノマーの流量0.15g/分、シクロオクタテトラエン流量0.01g/分で供給し、270nm厚のDVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子膜を成長した。続いて、再びDVS−BCBモノマーのみを供給して15nm厚のDVS−BCB高分子膜を成長させた。その際、DVS−BCBモノマーは成膜開始から終了まで通して連続的に供給されている。なお、成膜開始から終了まで通してDVS−BCBモノマーの供給量を一定とし、シクロオクタテトラエンの供給量を連続的に増減させれば絶縁膜の全領域がDVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子膜となり、そのシロキサン構造の密度が漸次的に変化し下地膜および上地膜との界面近傍領域で高く中間領域で低くなる膜を形成することもできる。その後、この第1の配線層間絶縁膜91には、配線形成用の溝が形成され、この配線溝内に10nm厚のTaNバリア膜で側面および底面が覆われた第1層目のシングルダマシン銅配線85が形成される。
【0133】
次に、第1の銅配線85上に10nm厚の銅拡散バリアキャップ膜90を成長させ、第2の配線間絶縁膜92を成長する。ここには、第1の銅配線85とビア86と第2の銅配線87からなるデュアルダマシン銅配線が形成される。ここでも、DVS−BCB高分子膜92aとDVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子膜92bとDVS−BCB高分子膜92cの3つの層状領域からなる絶縁膜を成長する。
【0134】
まず、銅ビア86を埋め込む層間絶縁膜領域には機械的強度および密着性に優れるDVS−BCB高分子膜92aを成長する。続いて、DVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子膜92bを成長する。ここでは、DVS−BCBモノマーとシクロオクタテトラエンとのモル供給量比を4:1とし、シロキサン構造の密度をDSV−BCB高分子膜中の75%程度以下とした。DVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子膜92bには、後に配線溝をドライエッチングにより形成するが、その際、下地のDVS−BCB高分子膜92aをエッチング停止層として用いることができる。N2/H2/CFx系エッチングガスを用いた場合、そのエッチング速度は膜中のシロキサン構造の密度に依存する。DVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子膜のシロキサン密度を下地のDVS−BCB高分子膜と比較して75%以下まで小さくしているのは、エッチング選択性を向上させるためである。当然のことながら、その比誘電率は2.0程度となり、配線間容量の低減の観点からも有利である。続いて、このDVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子膜上92bに、機械的強度と密着性に優れたDVS−BCB高分子膜92cを成長する。
【0135】
かかる配線間絶縁膜92も、図1に示した共重合高分子膜の成長装置を用い、DVS−BCBモノマーとシクロオクタテトラエンとの相対供給量を所定量に制御することで連続成長させることができる。
【0136】
この第2の配線間絶縁膜92を構成するDVS−BCB高分子膜92aにはビア孔が開口され、DVS−BCB・シクロオクタテトラエン共重合高分子膜92bとDVS−BCB高分子膜92cには配線溝が形成される。そして、これらの配線溝とビア孔からなる開口部に、その側面と底面をTaNバリア膜で覆われた第2層目のデュアルダマシン銅配線87が形成される。
【0137】
その後、第2の銅配線87上に10nm厚の銅拡散バリアキャップ膜であるSiN膜90を成長させ、第3の配線間絶縁膜93を成長する。ここでは、第2の銅配線87とビア88と第3の銅配線89からなるデュアルダマシン銅配線が形成される。ここでも、ビア88を埋め込む層間絶縁膜領域には機械的強度および密着性に優れるDVS−BCB高分子膜93aを、配線形成部にはDVS−BCB・シクロオクタテトラエン高分子膜93b、その上層には機械的強度および密着性に優れるDVS−BCB高分子膜93cを連続成長する。この成長においては、供給ガスを、有機モノマー成分がDVS−BCBモノマー100%のガスを供給してDVS−BCB高分子膜93aを形成し、続いてDVS−BCBモノマー80モル%、シクロオクタテトラエン20モル%の混合ガスを供給してDVS−BCB・シクロオクタテトラエン高分子膜93bを形成し、そして再びDVS−BCBモノマー100%のガスを供給してDVS−BCB高分子膜93cを形成する。DVS−BCB・シクロオクタテトラエン高分子膜93bの比誘電率は2.2〜1.8程度である。
【0138】
このように、本発明によれば、DVS−BCBモノマーとシクロオクタテトラエンのように、共重合高分子膜を気相反応系において形成可能な2種以上の有機モノマーを用い、その少なくとも一種の有機モノマーが単独で重合可能であることにより、各有機モノマー由来の骨格ユニットの含有量比率を変化させることができる。すなわち、用いる有機モノマーガスの供給比を制御することで各有機モノマー由来の骨格ユニットの含有量比率を膜厚方向に変化させることができ、ULSI多層配線のように各配線層の配線間絶縁膜に対して要求される膜物性、例えば機械強度や密着性、比誘電率を満たすことができる。さらに本発明によれば、高分子膜の嵩密度、言い換えると屈折率が、膜厚方向に連続的あるいはステップ状に変化している有機膜を得ることができる。このような有機高分子膜は光導波路用基板にも用いることができる。
【0139】
以上に説明した高分子膜の成長例では、単独で重合可能な一方の有機モノマーとして、DVS−BCBモノマーを用いたが、本発明では単独でも重合する有機モノマーと、この有機モノマーと共重合可能な他の有機モノマーを含有する混合ガスを用いて共重合高分子膜を気相成長することができれば、これに限定するものではない。なお、本発明の成長方法において、自己重合可能な有機モノマーを含む2種以上の有機モノマーの混合ガスに対して、さらにアセチレンやエチレンといった不飽和鎖式炭化水素等の重合性モノマーを重合補助ガスとして添加して、共重合高分子膜を気相成長させることもできる。
【0140】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の有機モノマーガスを複数混合して共重合高分子膜を気相成長することができるため、1種の原料モノマーを用いる場合では得えられなかった機能性を有する高分子膜を得ることが可能となる。さらに、有機モノマーガスの供給量をそれぞれ独立に制御しながら反応室へ供給することで、膜厚方向に沿って膜構造の異なる共重合高分子膜を得ることができる。より具体的には、他の材料層との界面領域に機械強度と密着性に富んだ共重合高分子膜を配置し、その間に位置する中間層に嵩密度の小さな共重合高分子膜を配置することができる。その結果、膜全体として実効比誘電率が低く、かつ密着性および機械的強度に優れた共重合高分子膜を得ることができる。また、このような共重合高分子膜を配線間絶縁膜として多層配線構造に適用することにより、信頼性および素子特性に優れる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高分子膜の形成方法の実施に利用可能な成膜装置の概略図である。
【図2】本発明の高分子膜の形成方法に利用される、有機モノマー原料の気化制御器の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の高分子膜の形成方法に利用される、有機モノマー原料の気化制御器の構成を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施例である共重合高分子膜の断面模式図である。
【図5】本発明の一実施例である共重合高分子膜を用いた多層銅配線構造の断面模式図である。
【図6】有機モノマーを気化させ、気相の有機モノマーを基板上で重合して高分子膜を得る従来法の説明図である。
【符号の説明】
1 反応室
2 反応室加熱ヒータ
3 配管加熱ヒータ
4 共重合高分子膜
5 半導体基板
6 基板加熱部
7 シャワーヘッド
8 真空ポンプ
9 RF電源
10 マッチングボックス
11 RFケーブル
12a、12b アース線
13 気体流量制御器
14 冷却トラップ
15 廃液配管
16 排気配管
17 バルブ
18A、18B バルブ
19A 気化モノマーA
19B 気化モノマーB
20A 排気気化モノマーA
20B 排気気化モノマーB
21 クリーニングガス
22A 有機モノマーA
22B 有機モノマーB
23A 有機モノマーAタンク
23B 有機モノマーBタンク
24A 洗浄溶剤A
25A 洗浄溶剤Aタンク
26A キャリアガスA、
26B キャリアガスB
27 圧力送出ガス
28A 有機モノマーA用液体流量指示器
29A 洗浄溶剤A用液体流量指示器
30A 気化制御器A
31A 気体流量制御器A
31B 気体流量制御器B
32A 気化室
33B 気体流量指示器B
34 ヒータ
35A 気化制御バルブA
36A 洗浄溶剤制御バルブA
37A 気化制御器A内バルブ
38A 気化原料A供給配管
38B 気化原料B供給配管
39A 気化原料A排気配管
39B 気化原料B排気配管
40A キャリアガスA供給配管
40B キャリアガスB供給配管
41A〜48A、41B〜48B バルブ
50 排気ポンプ
51 反応室
52 有機絶縁膜
53 半導体基板
54 基板加熱部
55 タンク
56 気化原料配管
61 気化モノマーA供給システム
62 気化モノマーB供給システム
81 シリコン基板
82 MOSFET
83 銅コンタクトプラグ
84 無機層間絶縁膜
85 第1の銅配線
86 ビア
87 第2の銅配線
88 ビア
89 第3の銅配線
90 銅拡散バリアキャップ膜
91 第1の配線間絶縁膜
91a,c DVS−BCB高分子膜
91b DVS−BCB・シクロオクタトリエン共重合高分子膜
92 第2の配線間絶縁膜
92a,c DVS−BCB高分子膜
92b DVS−BCB・シクロオクタトリエン共重合高分子膜
93 第3の配線間絶縁膜
93a,c DVS−BCB高分子膜
93b DVS−BCB・シクロオクタトリエン共重合高分子膜

Claims (20)

  1. クロブテン構造を少なくとも2つ以上有し且つ極性分子構造を含む結合を有する第1の有機モノマーのガスと、
    二重結合を環内に有し且つ該二重結合と第1の有機モノマーのシクロブテン構造との反応により第1の有機モノマーと第2の有機モノマーとが結合し十字型骨格ユニットを形成する脂環式炭化水素である第2の有機モノマーのガスとを含む混合ガスを、
    減圧下の反応室内において、該反応室内に設置され加熱された下地面に吹き付けて、該下地面上で第1の有機モノマー分子と第2の有機モノマー分子のプラズマ共重合反応を起こして共重合高分子膜の成長を行うことを特徴とする共重合高分子膜の形成方法。
  2. 前記混合ガスを、前記反応室内に形成されたプラズマ中を通過させた後に前記下地面に吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の共重合高分子膜の形成方法。
  3. 第1及び第2の有機モノマーガスを前記反応室に供給するに際して、これら有機モノマーガスの相対供給量を経時的に変化させることで、前記混合ガス中の第1及び第2有機モノマーの相対含有量比を経時的に変化させて、形成される共重合高分子膜の膜厚方向に、第1及び第2の有機モノマーにそれぞれ由来する骨格ユニットの面内平均組成を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の共重合高分子膜の形成方法。
  4. 第1の有機モノマーが、下記化学式で示されるビスベンゾシクロブテン系化合物である請求項1、2又は3に記載の共重合高分子膜の形成方法。
    Figure 0004139952
    式中、Qは、シロキサンを含む2価基を示す。
  5. 第1の有機モノマーが、下記化学式で示されるシロキサンビスベンゾシクロブテンである請求項1、2又は3に記載の共重合高分子膜の形成方法。
    Figure 0004139952
  6. 第1の有機モノマーを示す前記化学式において、Qは、エテン−1,2−ジイル(−C=C−)構造を有する請求項4に記載の共重合高分子膜の形成方法。
  7. 第1の有機モノマーが、下記化学式で示されるジビニルシロキサンビスベンゾシクロブテンである請求項1、2又は3に記載の共重合高分子膜の形成方法。
    Figure 0004139952
  8. 第1の有機モノマーが、他の環と共有しない2つの炭素原子と、他の環と共有し且つ二重結合を形成する二つの炭素原子とからなるシクロブテン骨格を縮合環内に2つ以上有する縮合多環炭化水素である請求項1、2又は3に記載の共重合高分子膜の形成方法。
  9. 第1の有機モノマーは単独で重合可能な化合物であり、該第1の有機モノマーを重合開始から重合終了を通して供給して前記混合ガスに含有させ、第2の有機モノマーは重合途中に供給して前記混合ガスに含有させて重合を行い、
    前記下地面との界面を含む下層領域および上面を含む上層領域は、第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットを含まず、第1の有機モノマーに由来する骨格ユニットを有し、前記下層領域と上層領域の間の中間領域は、第1の有機モノマーと第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットを有する、高分子膜を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の共重合高分子膜の形成方法。
  10. 第2の有機モノマーが、シクロオクタテトラエンである請求項1〜9のいずれか一項に記載の共重合高分子膜の形成方法。
  11. シクロブテン構造を少なくとも2つ以上有し且つ極性分子構造を含む結合を有する第1の有機モノマーと、二重結合を環内に有する脂環式炭化水素である第2の有機モノマーとのプラズマ共重合により形成された共重合体高分子膜であって、
    第1の有機モノマーのシクロブテン構造と第2の有機モノマーの二重結合との開環付加反応により生じる炭素6員環を介して第1の有機モノマーと第2の有機モノマーとが結合されてなる十字型骨格ユニットを有することを特徴とする共重合高分子膜。
  12. エテン−1,2−ジイル(−C=C−)構造および少なくとも2つ以上のシクロブテン構造を有し且つ極性分子構造を含む結合を有する第1の有機モノマーと、二重結合を環内に有する脂環式炭化水素である第2の有機モノマーとのプラズマ共重合により形成された共重合高分子膜であって、
    一方の第1の有機モノマーのシクロブテン構造と他方の第1の有機モノマーのエテン−1,2−ジイル(−C=C−)構造との開環付加反応により生じる炭素6員環を介して第1の有機モノマー同士が結合されてなる骨格をもつ領域と、
    第1の有機モノマーのシクロブテン構造と第2の有機モノマーの二重結合との開環付加反応により生じる炭素6員環を介して第1の有機モノマーと第2の有機モノマーとが結合されてなる十字型骨格ユニットをもつ領域とを有する共重合高分子膜。
  13. 第1の有機モノマーはシロキサン結合(Si−O)を有しており、膜厚方向において、シロキサン結合構造の密度が変化していることを特徴とする請求項11又は12に記載の共重合高分子膜。
  14. 膜厚方向において、第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットの面内平均含有比率が変化していることを特徴とする請求項11又は12に記載の共重合高分子膜。
  15. 第1の有機モノマーはシロキサン結合(Si−O)を有しており、膜厚方向において、シロキサン結合構造の密度と、第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットの面内平均含有比率とがいずれも変化していることを特徴とする請求項11又は12に記載の共重合高分子膜。
  16. 膜中に含まれるシロキサン結合構造の密度の変化は、下地面に接する共重合高分子膜の下面付近の領域および上面付近の領域に比較して、膜厚方向の中間領域において、前記シロキサン結合構造の密度が相対的に低くなっていることを特徴とする請求項13に記載の共重合高分子膜。
  17. 膜中に含まれる第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットの面内平均含有比率の変化は、下地面に接する共重合高分子膜の下面付近の領域および上面付近の領域に比較して、膜厚方向の中間領域において、前記骨格ユニットの面内平均含有率が相対的に高くなっていることを特徴とする請求項14に記載の共重合高分子膜。
  18. 第1の有機モノマーはシロキサン結合(Si−O)を有し、そのシロキサン結合構造の密度と、第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットの面内平均含有比率は、それぞれ膜厚方向において変化しており、
    下地面に接する共重合高分子膜の下面付近の領域および上面付近の領域に比較して、膜厚方向の中間領域において、前記シロキサン結合構造の密度が相対的に低く、かつ前記骨格ユニットの面内平均含有率が相対的に高くなっていることを特徴とする請求項11又は12に記載の共重合高分子膜。
  19. シロキサン結合(Si−O)及び少なくとも2つ以上のシクロブテン構造を有する第1の有機モノマーと、二重結合を環内に有する脂環式炭化水素である第2の有機モノマーとのプラズマ共重合により形成された共重合高分子膜であって、第1の有機モノマーのシクロブテン構造と第2の有機モノマーの二重結合との開環付加反応により生じる炭素6員環を介して第1の有機モノマーと第2の有機モノマーとが結合されてなる十字型骨格ユニットを有し、第1の有機モノマーに由来するシロキサン結合構造の密度および第2の有機モノマーに由来する骨格ユニットの面内平均含有比率がそれぞれ膜厚方向において変化しており、下地面に接する共重合高分子膜の下面付近の領域および上面付近の領域に比較して、膜厚方向の中間領域において、前記シロキサン結合構造の密度が相対的に低く、かつ前記骨格ユニットの面内平均含有率が相対的に高くなっている共重合高分子膜
    前記共重合体高分子膜に、金属配線が埋め込まれてなる配線構造を有する半導体装置。
  20. 前記金属配線は、膜厚方向において少なくとも前記中間領域から前記上面付近の領域にわたって存在し、その金属配線に接続する金属ビアは、少なくとも前記下面付近の領域に埋め込まれている請求項19に記載の半導体装置。
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