JP4137494B2 - 弱酸性透明固形洗浄剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、弱酸性透明固形洗浄剤の製造方法に関するものである。より詳細に述べるならば、本発明は1個のアミノ基又はイミノ基と2個のカルボン酸基を有する酸性アミノカルボン酸残基を親水基として有するN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸を基剤として含有する弱酸性透明固形洗浄剤の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明固形洗浄剤において、その主成分として脂肪酸石鹸が使用されてきたが、脂肪酸石鹸は、溶解性、泡立ち、洗浄性の改善のために配合された低級脂肪酸成分により、また脂肪酸石鹸中の遊離アルカリにより及び使用中の脂肪酸石鹸の加水分解によるpHの上昇などによって皮膚を刺激することがある。
これらの欠点を解消法として、弱酸性領域でも界面活性を有するN−アシル酸性アミノ酸塩を基剤とする透明固形洗浄剤が提案されてきた。
【0003】
N−アシル酸性アミノ酸塩を基剤とする透明固形洗浄剤の配合組成は、特開昭55−25465号報、特開平4−1297号報、特開平6−264092号報等より、知られている。
これらのN−アシル酸性アミノ酸塩を基剤とする透明固形洗浄剤の原料として用いられるN−長鎖アシル酸性アミノ酸は、特公昭46−8685号報に示されるように、脂肪酸ハライドと酸性アミノ酸の縮合反応によって得られ、有機溶媒を含有し或いは含有せず、副生成物に塩化ナトリウム等の無機塩を含有し、N−アシル酸性アミノ酸塩の含有量が20〜30%の水溶液の状態で製造されている。
このとき得られる反応混合液中の、生成N−アシル酸性アミノ酸塩の含有量が30%以上になるように反応条件を変更すると、未反応物残留量が増大し、ゲル化が発生して反応が困難になるなどの問題点が生ずるため、このような反応条件は一般には採用されていない。
【0004】
一方N−アシル酸性アミノ酸塩を基剤とする透明固形洗浄剤を製造するには、その原料として用いられるN−アシル酸性アミノ酸塩の種類によっても異なるが、その組成物中にN−アシル酸性アミノ酸塩を30%以上含有することを必要とする物であるから、N−アシル酸性アミノ酸塩の含有量が20〜30%の水溶液を原料として使用することは困難である。また反応液に副生している塩化ナトリウム等の無機塩は、目的とする弱酸性透明固形洗浄剤の透明安定性を損ねるので、一般的には、公知技術により製造されたN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩溶液を脱塩し、再結晶やスプレードライ等の方法によりN−アシル酸性アミノ酸を固形化し、これを原料とするのが通常であった。
【0005】
しかしながら、製造工程において結晶の濾過分離、真空加熱などによる乾燥工程を行なうため複数の製造装置が必要であるため、このようにすると、経済性が著しく低下し、かつ、各工程における加熱による着色或いは/また匂いの悪化など品質低下を起こすなどの欠点があり、このため、N−長鎖アシル酸性アミノ酸を含有する弱酸性透明固形洗浄剤を安価にかつ安定に製造することが困難であった。
【0006】
また、N−アシル酸性アミノカルボン酸を単離、固形化する場合、アシル基ソース及び酸性アミノカルボン酸の選択によっては、スプレードライや再結晶等の比較的熱履歴の少ない製造方法では粉末化が困難な場合があり、このため、N−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸の自由な配合組成により透明固形洗浄剤の物性を変化させることが困難であった。
従って、当該透明固形洗浄剤は、その安全性が高いにもかかわらず、幅広く使用されるに至っておらず、このため、より安価で高品質の透明固形洗浄剤の製法の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、N−アシル酸性アミノカルボン酸を基剤として透明固形洗浄剤を製造するに際し、この基剤として用いられるN−アシル酸性アミノカルボン酸を、固形化・乾燥することなく、反応混合液の精製濃縮液を用いて、その固形化・乾燥により発生する基剤品質の低下、及びコスト増大を防止し、安定に、かつ安価に品質の優れた透明固形洗浄剤を製造する方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の弱酸性透明固形洗浄剤の欠点を解消するために鋭意検討した結果、基剤であるN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸の製造により得られる反応混合液の精製濃縮液を原料として用いて弱酸性透明固形洗浄剤を製造することによって、N−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸の固形化に起因する弱酸性透明固形洗浄剤の色相の安定化が得られるばかりでなく、従来の製造法では固形化が不可能であった低溶融点N−アシル酸性アミノカルボン酸を主剤とする弱酸性透明固形洗浄剤の製造も可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の弱酸性透明固形洗浄剤の製造方法は、N−アシル酸性アミノカルボン酸からなる基剤に、分子当り3〜6個の炭素原子を有する多価アルコールと、分子当り2〜4個の炭素原子を有する低級アルコールと、前記N−アシル酸性アミノカルボン酸の中和剤と、水とを含む添加成分を混合加熱して溶解する加熱溶解工程、この溶解物を冷却して、所望形状・寸法に固化することを含み、
前記N−アシル酸性アミノカルボン酸含有基剤が、分子当り1個のアミノ基又はイミノ基と、2個のカルボン酸基とを有する酸性アミノジカルボン酸と、6〜22個の炭素原子を含む長鎖脂肪酸ハライドとを、アルカリ性反応媒体中において、縮合反応させて、前記酸性アミノジカルボン酸残基からなる親水性基と、前記長鎖脂肪酸ハライド残基からなる疎水性基とからなるN−アシル酸性アミノジカルボン酸化合物を生成させ、この生成物を含む縮合反応混合液のpHを5以下に調整し、それによって、前記生成物含有縮合反応混合液中に相分離して形成された有機相成分を分別捕集し、この有機相成分を2〜4個の炭素原子を有する低級アルコールと、硫酸とを含有する水溶液をもって洗浄し、この洗浄混合物の有機相成分を、分離捕集し、この有機相成分を固化することなく脱水濃縮して得られ、かつ40〜90質量%のN−アシル酸性アミノカルボン酸を含む水性液として、前記混合加熱溶解工程に供されることを特徴とするものである。
本発明の弱酸性透明固形洗浄剤の製造方法において、前記洗浄剤成分として用いられる低級アルコール及び前記有機相成分の洗浄に用いられる低級アルコールが、それぞれ、互に独立に、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールから選ばれることが好ましい。本発明の弱酸性透明固形洗浄剤の製造方法において、前記酸性アミノジカルボン酸が、グルタミン酸、イミノジ酢酸、及びカルボキシエチルグリシンから選ばれることが好ましい。
本発明の弱酸性透明固形洗浄剤の製造方法において、分子当り6〜12個の炭素原子を有する炭化水素、チオ尿素、尿素、及びマルチトールから選ばれた少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明方法において、弱酸性透明固形洗浄剤は、N−アシル酸性アミノカルボン酸からなる基剤に、分子当り3〜6個の炭素原子を有する多価アルコールと、分子当り2〜4個の炭素原子を有する低級アルコールと、前記N−アシル酸性アミノカルボン酸の中和剤と、水とを含む添加成分を混合加熱して溶解し、この溶解物を冷却して、所望形状・寸法に固化することによって得られる。
【0011】
本発明方法において、N−アシル酸性アミノカルボン酸を含有する基材の製造において、先ず分子当り1個のアミノ基又はイミノ基と、2個のカルボン酸基とを有する酸性アミノジカルボン酸と、6〜22個の炭素原子を含む長鎖脂肪酸ハライドとを、アルカリ性反応媒体中において、縮合反応させて、前記酸性アミノジカルボン酸残基からなる親水性基と、前記長鎖脂肪酸ハライド残基からなる疎水性基とからなるN−アシル酸性アミノジカルボン酸化合物を生成させる。
【0012】
本発明方法に使用できる脂肪酸ハライドは、炭素原子数6〜22の、好ましくは8〜20の、飽和または不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などのアシル基を含有する単一脂肪酸の脂肪酸ハライド、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、パーム脂肪酸、牛脂脂肪酸などの混合脂肪酸から誘導される混合脂肪酸ハライドから選ぶことができる。
先に述べたように、従来のN−アシル酸性アミノカルボン酸を固形物として単離して透明固形洗浄剤の基剤として使用する場合、原料脂肪酸ハライドの種類によっては、再結晶やスプレードライ等の製造時にかかる熱履歴が比較的穏やかな条件では固形化が困難な場合も有るが、本発明方法では、反応生成物を固形物として単離することがないので、原料選択においてこれらの制限が無いという優れた長所を有する。
【0013】
本発明における酸性アミノジカルボン酸は、分子当り1個のアミノ基又はイミノ基と、2個のカルボン酸基とを有するものであって、天然物或いは合成品のいずれでもよいが、例えばグルタミン酸、イミノジ酢酸、カルボキシエチルグリシン等が好ましく用いられる。
【0014】
弱酸性透明固形洗浄剤の基剤であるN−アシル酸性アミノカルボン酸塩の調製には、2〜4個の炭素原子を有する低級アルコールを含有する水溶媒のpHを、アルカリ金属水酸化物などのアルカリ剤の水溶液を用いて10〜13に調製し、これに酸性アミノカルボン酸を加え濃度が20〜60%、好ましくは30〜50%の酸性アミノカルボン酸水溶液を調製する。
この水溶液中に、脂肪酸ハライドを、アルカリによりpH10〜13の範囲内におさまるよう調整しながら30℃以下で滴下することにより縮合反応させる。
上記反応に用いられる低級アルコールと水との割合は、5:95〜80:20であり、好ましくは20:80〜50:50がよい。このとき低級アルコールが5:95以下になると副生成物である脂肪酸塩の含量が増大し、またそれが50:50以上になると低級アルコールとのエステルが増大し、これらの副生物が弱酸性透明固形洗浄剤の製剤化の障害になる場合がある。
【0015】
上記縮合反応により得られたN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸塩をN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸への変換は特に困難はなく、硫酸、塩酸などの鉱酸でpHを5以下、好ましくは2以下にすればよい。すなわち、N−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸塩を含む水溶液中に、攪拌しながら鉱酸を加え、pHを5以下に調整すればよい。このN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸化生成物含有反応混合液は、鉱酸によるpH調整によって、或いは、pH調整後加熱することにより、N−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸を含む有機相と水相とに分離する。この分離温度条件は、N−長鎖アシルアミノカルボン酸が融解している温度であればよいが、通常室温から低級アルコールの沸点の温度で行なわれる。低級アルコールの沸点を越えると、加圧下での分層が必要となり、このために多額の設備費が必要となり、経済的に不利である。
なお、N−長鎖アシルアミノカルボン酸が融解している状態とは、反応混合液が流動性を保ち、液状化している状態をいう。この溶融物と水との混合物を静置すれば、これらを容易に分層することができる。
【0016】
本発明方法により得られた有機相成分は、N−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸塩の調製時に副生した無機塩を含む。この無機塩は、製剤化後に、経時的に透明固形洗浄剤の表面に析出し、商品的価値を損なうので、本発明方法においては、この有機相成分を低級アルコールと硫酸とを含む水溶液により洗浄することにより無機塩を除去することができる。
このときの低級アルコールと1%硫酸水との割合を5:95〜40:60とし、好ましくは、10:90〜20:80の割合の水溶液で洗浄を行なうと無機塩を容易に除去することができる。
低級アルコールと1%硫酸水との割合が5:95以下であると水相が上層となり、N−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸を含む有機相を完全に分離するために別の設備が必要となり、経済的に不利となることがある。また、この洗浄液に硫酸以外の酸を用いた場合やはり水相が上層となることがある。
低級アルコールと1%硫酸水との割合が40:60以上になるとN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸が洗浄液に溶解し分層が困難となることがある。
【0017】
本発明方法により得られる有機相成分は、水分と低級アルコールとを含むN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸の混合溶融物であるが、反応条件の選択によってはN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸の含有率が40重量%を下回る場合があるため、この有機相成分に脱アルコール及び脱水処理を施す。この処理における減圧操作は、N−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸が酸タイプになっているので、泡立ちも無くスムーズに施すことができる。
また、低級アルコールは、透明固形洗浄剤化する際も必須成分として配合されるため、これらの完全な留去は必要でなく、通常の加熱減圧下で製剤化に必要な程度の濃縮でよい。即ちN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸含有量が40〜90重量%になるように、脱アルコール及び脱水して濃縮する。
この時得られるN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸含有物は、水及び微量の低級アルコールを含有するため、純度の高いN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸比較して低い溶融温度を有している。そのため、N−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸含有物を保存し別途加熱溶解後、透明固形洗浄剤の原料とすることも可能である。
【0018】
N−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸の含有量を高速液体クロマトグラフィーで測定することにより容易に濃度を知ることが出来る。
この時、有機層のN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸の含有量が40重量%を下回ると製造される弱酸性透明固形洗浄剤の固さが不足して変形しやすくなり、またそれが90重量%を超えて濃縮すると、粘度が上昇し他の成分の混合が困難となり、弱酸性透明固形洗浄剤得られない場合が有り好ましくない。
濃縮はN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸の含有量が60〜70重量%である場合が、製造される弱酸性透明固形洗浄剤の固さが好ましく、操作性も良く好ましい。
【0019】
本発明方法において、N−アシル酸性アミノカルボン酸基剤に配合される2〜6個の炭素原子を有する多価アルコールとしては、グリセリン、ソルビトール、及びプロピレングリコールが例示され、これらから選ばれる少なくとも1種以上の混合物を用いてもよい。
【0020】
本発明に使用されるN−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸の中和剤の好適例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩基性化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の塩基性有機アミン化合物、アンモニア及びアルギニン、リジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸化合物が用いられ、これらは単独で用いられてもよく、或いは2種以上の混合物として用いてもよい。特に、トリエタノールアミンを用いると、透明性に優れた製品を得ることができる。
【0021】
本発明の方法において、洗浄に用いられる低級アルコール及び、洗浄剤に含まれる低級アルコールは、それぞれ互に独立に、2〜4個の炭素原子を有するものであって、好ましくは、一般に化粧品で使用される低級アルコール、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが用いられる。
【0022】
本発明方法の最適実施形態としては、N−アシル酸性アミノカルボン酸含有濃縮水性液を製造した反応器を用いて、この濃縮水性液に、弱酸性透明固形洗浄剤を作成するのに必要な他の成分:
▲1▼2〜6個の炭素原子を有する多価アルコール、
▲2▼低級アルコール、
▲3▼N−長鎖アシル酸性アミノカルボン酸の中和剤
▲4▼水
▲5▼その他の添加成分
を加え加熱溶解後、成形容器に流し込み、冷却して固化し、乾燥し、型打ちを施して、所望の形状の弱酸性透明固形洗浄剤を製造する形態が挙げられる。この時N−アシル酸性アミノカルボン酸は、固形化されることなく濃縮水性液のまま用いることができるので、コスト的効果が著しく高い。
【0023】
本発明の透明固形洗浄剤には、洗浄性、使用感の調整などの目的で、通常化粧品に用いられる他の成分、例えば、動物、植物、魚貝類、微生物由来の抽出物、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、N−アシル酸性アミノ酸型以外のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、被膜剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水などを必要に応じて一種乃至は2種以上、透明固形化を阻害しない範囲で加えることが可能である。これらは、当該透明固形洗浄剤の質量に対し25質量%以下の配合量で用いることができる。
【0024】
【実施例】
本発明を下記実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
L−グルタミン酸90.0gを20%イソプロパノール水溶解150.0gに溶解し、これに、48%水酸化ナトリウム水溶液40.0gを加えてL−グルタミンナトリウム水溶液を調製した。これを10〜20℃以下に保ちつつ、これにヤシ油脂肪酸クロライド90.0gと48%水酸化ナトリウムとを、pH10〜14に調整しながら同時滴下した。滴下終了後、更に前記温度で1時間攪拌し、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム水溶液420.0gを得た。これに60℃で75%硫酸水溶液を加えてそのpHを1.0に調整し、これを温度60℃に30分間放置したところ、有機層と水層とに分離した。分離した有機相成分を前記温度で、イソプロパノール50.0gと1%硫酸水400.0gとの混合液により洗浄し、得られた有機相成分から、含水N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸325.4gを捕集した。次いで、この水性液を減圧濃縮し、含水N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸199.0gを得た。これにイソプロパノール40.0g、トリエタノールアミン102.5g、グリセリン40.0g、尿素40.0gを加え、80〜85℃に加温して、均一に融解した。この融解液を型に注入し、室温に冷却して固化させたところ、透明固形洗浄剤が得られた。
得られた透明固形洗浄剤配合の組成は表1に記載の通りである。
【0025】
【表1】
【0026】
比較例1
実施例1の最終配合比率になるよう、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸粉末を準備して従来法で透明固形洗浄剤を試作した。
【0027】
テスト
従来法と本発明方法とを比較するため、実施例1及び比較例1の方法を5回繰り返して透明固形洗浄剤を作成した。
(1)外観色相は透明固形洗浄剤を10mmの厚さに切断し、表面を平滑化したものを試料とし、色差計でのΔb値測定により判断した。
(2)臭いはモニターによる官能評価によって判断した。
テスト(1)及び(2)の各々において、実施例1の1回目のサンプルを基準に下記3段階に評価した。
○は実施例1の一回目のサンプルと同等、
△は実施例1の一回目のサンプルよりやや悪い、
×は実施例1の一回目のサンプルより悪い
各試料についての評価を表2にまとめた。
【0028】
【表2】
【0029】
本発明方法による透明固形洗浄剤の製造実験は、5回とも外観(色相)、臭いに差が見られないことが確認されたが、従来法による製造では色相、特に黄色味にばらつきが多くb値が安定しないことが認められ、更に5例中1例に、評価者によりやや異なる臭いが感じられることがあった。
【0030】
実施例2
イミノジ酢酸58.1gを30%イソプロパノール水溶解205.8gに溶解し、これに48%水酸化ナトリウム水溶液71.3gを加えてイミノジ酢酸ナトリウム液を調製した。次いで、これを20〜30℃以下に保ちつつ、これにラウリン酸クロライド90.0gと48%水酸化ナトリウムとを、pH10〜14に調整しながら同時に滴下した。滴下終了後、更に前記温度で1時間攪拌し、N−ラウロイルイミノジ酢酸ナトリウム水溶液458.3gを得た。これに60℃で75%硫酸水溶液を加えてpH1に調製し、これを60℃の温度で30分間放置したところ、有機層と水層とに分離した。分離した有機相成分を、温度60℃でイソプロパノール50.0gと1%硫酸水400.0gの混合液により洗浄後、含水N−ラウロイルイミノジ酢酸311.3gを捕集した。次いで、これを減圧濃縮し、含水N−ラウロイルイミノジ酢酸205.1gを得た。これにイソプロパノール18.1g、トリエタノールアミン104.7g、グリセリン36.1g、尿素18.1gを加え、80〜85℃に加温して、均一に融解した後これを成形型に注入して室温にて冷却固化させ透明固形洗浄剤を作製した。
得られた透明固形洗浄剤の配合組成を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
実施例2の方法で5回繰り返し、透明固形物を作製した。5回とも透明性にすぐれ、外観(色相)、臭いに差が認められない製品が得られた。
【0033】
【発明の効果】
本発明方法により、品質の優れた弱酸性透明固形洗浄剤を、品質の低下なく、安定して、かつ安価に製造することが可能になった。
Claims (3)
- N−アシル酸性アミノカルボン酸からなる基剤と、分子当り2〜6個の炭素原子を有する多価アルコールと、分子当り2〜4個の炭素原子を有する低級アルコールと、前記N−アシル酸性アミノカルボン酸の中和剤と、水とを含む混合物加熱溶解工程、この溶解物を冷却して、所望形状・寸法に固化することを含み、
前記N−アシル酸性アミノカルボン酸含有基剤が、分子当り1個のアミノ基又はイミノ基と、2個のカルボン酸基とを有する酸性アミノジカルボン酸と、6〜22個の炭素原子を含む長鎖脂肪酸ハライドとを、アルカリ性反応媒体中において、縮合反応させて、前記酸性アミノジカルボン酸残基からなる親水性基と、前記長鎖脂肪酸ハライド残基からなる疎水性基とからなるN−アシル酸性アミノジカルボン酸化合物を生成させ、この生成物を含む縮合反応混合液のpHを5以下に調整し、それによって、前記生成物含有縮合反応混合液中に相分離して形成された有機相成分を分別捕集し、この有機相成分を2〜4個の炭素原子を有する低級アルコールと、硫酸とを含有する水溶液をもって洗浄し、この洗浄混合物の有機相成分を、分離捕集し、この有機相成分を固化することなく脱水濃縮して得られ、かつ40〜90質量%のN−アシル酸性アミノカルボン酸を含む水性液として、前記混合加熱溶解工程に供されることを特徴とする弱酸性透明固形洗浄剤の製造方法。 - 前記洗浄剤成分として用いられる低級アルコール及び前記有機相成分の洗浄に用いられる低級アルコールが、それぞれ、互に独立に、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールから選ばれる、請求項1に記載の弱酸性透明固形洗浄剤の製造方法。
- 前記酸性アミノジカルボン酸が、グルタミン酸、イミノジ酢酸、及びカルボキシエチルグリシンから選ばれる請求項1に記載の弱酸性透明固形洗浄剤の製造方法。
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