JP4137332B2 - 緑化用の植生マットおよび緑化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば道路や山腹の法面、河川敷、川岸や湖岸などの緑化に用いられる緑化用の植生マットおよび緑化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
植物種子の発芽や幼芽の生育の妨げにならないような目の粗いネットを使用した緑化用の植生マットとしては、(1)ネットの片面にシート状の薄綿を積層し、薄綿表面に植物種子や肥料を水溶性接着剤で接着して保持させたものや、(2)ネットの片面全体に、天然の例えば木毛繊維などの粗大繊維を水溶性接着剤で接着してマット状に集積した粗大繊維層を積層し、粗大繊維層に植物種子や肥料を水溶性接着剤で接着して保持させたものが知られている。
【0003】
前記(1)の植生マットは、植物種子の保持面を下にして、法面などに敷設され、ネットを貫通する止め串で固定される。そして、降雨により、前記(1)の植生マットでは、シート状の薄綿がネットから剥がれ落ち、前記(2)の植生マットでは、粗大繊維層がネットから剥がれ落ちて、植物種子が土壌表面に落下し、植物種子が粗大繊維層で被覆されることにより、直射日光から保護され、表面のネットで粗大繊維層を抑えた状態で、植物種子の発芽、生育が行われることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際には、前記(1)の植生マットにおいては、降雨により薄綿がネットから剥がれ落ちた時、薄綿の繊維どうしが絡み合っているため、薄綿が土壌表面の凹部に密着せず、宙に浮いた状態となるため、植物種子や肥料が雨水で流されるなどして移動し、発芽むら、生育むらが生ずることがあった。
【0005】
また、前記(2)の植生マットにおいては、前記粗大繊維の一本の長さが実際には100〜400mmと非常に長く、たとえ折れたとしても依然長いものであり、しかもこの長い前記粗大繊維自体は線状又は帯状に形成されてはいるが、どちらかと言えば直線的な形状を有する。そのため、前記(2)の植生マットのように、降雨によりネットから剥がれ落ちた粗大繊維層がばらけた後は前記粗大繊維が土壌表面の凹部に入り込むことがない。つまり、粗大繊維層がばらけた後は前記粗大繊維が前記凹部に密着せずに宙に浮いた状態となる。しかも直線的な形状のため、粗大繊維同士が絡み難く土壌表面全体を均一に覆うことはできない。よって、植物種子、肥料、表層土などの移動を抑えるのが難しい。また、前記粗大繊維層の保水性が不十分なために植物種子が乾燥して、発芽むら、生育むらが生じるという問題点があった。
【0006】
更に、前記(2)の植生マットにおいては、降雨により前記粗大繊維層がばらけると、粗大繊維間に多くの隙間を有するものの、長く直線的な形状を有する粗大繊維に、発芽した植物種子の幼芽がひっかかるような事態も発生する。この場合、粗大繊維にひっかかった幼芽が重い前記粗大繊維を持ち上げる形になって幼芽が上昇伸長するのを阻害されるおそれがあった。
【0007】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、土壌表面への密着性が良くて、表層土、植物種子、肥料などの移動を確実に防止することができ、しかも、保水機能が高くて、植物種子の乾燥を防止することができ、その結果、発芽むら、生育むらが発生しにくく、侵入植生も定着しやすい緑化用の植生マットおよび緑化方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の緑化用の植生マットは、土壌表面によく馴染ませるために幅0.5〜50mm、長さ10〜100mm、厚さ0.1〜1.0mmに切断された木毛繊維からなる粗大繊維をマット状に集積して形成した粗大繊維層よりなる帯状体を、ネットの片面に、等高線に沿うように一定間隔に装着してネットの片面を各粗大繊維層で部分的に覆い、帯状体による法面表面土壌の堰止め効果を持たせると共に、植生マットの略全幅にわたって装着される肥料袋を帯状粗大繊維層と交互に装着してある。
【0009】
また、この発明は別の観点から、ネットの片面にシート状の薄綿が積層され、この薄綿の上に、土壌表面によく馴染ませるために幅0.5〜50mm、長さ10〜100mm、厚さ0.1〜1.0mmに切断された木毛繊維からなる粗大繊維をマット状に集積して形成した粗大繊維層よりなる帯状体を、等高線に沿うように一定間隔に装着してネットの片面を前記薄綿を介して各粗大繊維層で部分的に覆い、帯状体による法面表面土壌の堰止め効果を持たせると共に、植生マットの略全幅にわたって装着される肥料袋を帯状粗大繊維層と交互に装着したことを特徴とする緑化用の植生マットを提供する。
また、この発明はさらに別の観点から、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の緑化用の植生マットを土壌表面に張り付けることを特徴とする緑化方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、粗大繊維をマット状に集積して形成した粗大繊維層よりなる帯状体を、ネットの片面に、一定間隔に装着してある第1の参考例を示している。
【0012】
図1において、3は、複数の粗大繊維2,2,…同士を絡ませてマット状に集積して帯状に形成した粗大繊維層である。そして、緑化用の植生マット(以下、単に植生マットという)1は、粗目のネット8と、この粗目のネット8の片面に一定間隔Dに装着された複数個の前記粗大繊維層3で構成される帯状体とよりなる。そして、前記ネット8と各粗大繊維層3はパウダー状や繊維状あるいは液状の水溶性接着剤で接着することによって一体化して構成されている。
【0013】
【0014】
そして、前記帯状体としての前記各粗大繊維層3は、この参考例では、前記粗大繊維2同士を前記水溶性接着剤で接着し、圧着ローラで加圧したり、単に粗大繊維2の集積物を加圧して、任意の縦幅A(例えば20〜200mm程度)、任意の横幅B(例えば500〜1500mm程度)、任意の厚さC(例えば2〜50mm程度)のマット状に集積したものである。また、粗大繊維層3,3間の間隔Dも適宜に設定される。そして、この参考例では、上述した従来の粗大繊維層のようにネットの片面全体を覆うのではなく、粗大繊維層3,3間に一定幅dの間隔をおいて各粗大繊維層3がネット8の片面に装着されている。すなわち、ネット8の片面は、各粗大繊維層3によって部分的に覆われている。なお、この参考例では、各粗大繊維層3は略同型である。
【0015】
しかもこの参考例では、前記粗大繊維2として、幅0.5〜50mm、長さ10〜100mm、厚さ0.1〜1.0mmに切断された100g/m2 程度の木毛繊維を使用している。この木毛繊維は、木材を細長く削って形成したり、木材チップを開繊ローラで圧削、圧延してなる。
【0016】
つまり、この参考例では、粗大繊維2の長さを、上述した従来の粗大繊維の長さ(100〜400mm)よりも短くしてある。
【0017】
そのため、植物種子が播かれた法面の土壌表面に、この土壌表面に粗大繊維層3を当接させながら、植生マット1を敷設した状態では、従来の前記(2)の植生マットの粗大繊維層に比して、前記粗大繊維層3の方が土壌表面によく馴染む。なお、帯状の粗大繊維層3が法面の等高線に沿うように植生マット1を設置することが望ましい。
【0018】
更に、植生マット1の敷設後の降雨あるいは散水により、水溶性接着剤が溶けて、粗大繊維2同士の接着が解除されて粗大繊維層3がばらけるが、粗大繊維2の長さが短いので、土壌表面の凹部も含めて粗大繊維層3が土壌表面に食い込んだ状態に密着する。
【0019】
したがって、敷設時に粗大繊維層3間の領域39に位置していた植物種子、肥料なども含めて、これらが表層土などとともに降雨あるいは散水により移動しようとしても、植物種子、肥料が粗大繊維2に絡み付き、植物種子、肥料、土壌改良材のみならず表層土の移動を阻止できる。すなわち、植物種子、肥料、土壌改良材、表層土の流亡を抑制できる。
【0020】
また、前記粗大繊維層3による保水機能を発揮でき、植物種子の乾燥が防止されることになる。
【0021】
更に、粗大繊維2は、これが相互に移動可能なように絡み合っているので、土壌表面の凹部に位置する植物種子であっても、その幼芽の伸長に伴って容易に移動できる。よって、幼芽は粗大繊維2による生育の妨げを受けないので、この粗大繊維2を押し広げて容易に上昇伸長するようになり、法面はこの植物種子の生育によって均一に植生被覆される。
【0022】
このように、発芽むら、生育むらの発生が確実に抑制される。
【0023】
また、粗大繊維層3の存在により、植生マット1の空隙が多くなり、外部から飛来する植物種子や侵入植生も定着しやすい。そして、粗大繊維2が木毛繊維よりなるので、やがては腐食・分解により土壌と同化し、肥料として利用されることになる。
【0024】
なお、前記水溶性接着剤として、乾燥状態では接着機能が発現しないポリビニルアルコール(PVA)の繊維状接着剤を、例えば、太さ1.0〜20デニール、長さ2〜30mm等に切断したものを選択し、一時的な湿潤雰囲気を通過させることにより接着機能を発現させて使用している。なお、マット状に集積する方法としては、上記の他に、単に圧着ローラを通過させることで、粗大繊維2同士を絡ませてマット状に形成する手法もある。
【0025】
なお、この参考例のように水溶性接着剤を用いた場合は、降雨によって水溶性接着剤が溶けて、粗大繊維2同士の結合が解かれることで、粗大繊維2がルーズな状態になることから、植物種子の発芽・生育面で一層好適であるが、例えばエチレン酢ビエマルジョンやアクリル酢ビエマルジョンなどを前記水溶性接着剤に混合し、これらの接着剤と粗大繊維2とを混合して植生マット1を成形してもよく、この場合、接着剤表面に水に溶けない膜が形成されることから、粗大繊維2の結合が長期間にわたって解かれなくなる。
【0026】
また、前記ネット8は、ポリエチレン、生分解性プラスチック、天然繊維などの単体又はそれらの組合せを素材とするものであり、ラッセル織り、絡み織り、平織り、熱融着などの手段により製造され、植物種子の発芽や幼芽の生育の妨げにならないような粗い網目、例えば、1.5〜5.0cm程度の網目に設定される。上記の組み合わせ方法は、経糸又は(及び)緯糸を、単体繊維のどれかを限定し、これを1本又は数本おきに編織して、これを繰り返すものなどがある。例えば、生分解性プラスチック糸を縦横1本おきに、他の糸を天然繊維のジュート糸にするなどである。
【0027】
具体的には、この参考例では、前記ネット8を、ポリエチレンのフラットヤーン300〜1000デニールを目合い15.7mm×20mmのラッセル織りして成るベースネット8aと、ポリエチレンのモノフィラメント500〜1300デニールを目合い50mm×50mmに編み込んだ補強ネット8bとの2層構造としてある。
その他、ネット8の他の例として、ネットを構成する経糸、緯糸の少なくとも一方を、天然繊維、例えばジュート繊維と生分解性プラスチック糸とを引き揃えて、(ラッセル織りの場合は経糸又は緯糸の鎖に単に挿入して)ネットの構成糸として縦横3〜25mmの目合いのネットを編織する場合があり、こうすると、天然繊維が短期間に腐食した後にも生分解性の糸がしばらくは(約2年程度)補強材として機能する。生分解性糸の引き揃え又は挿入はネットを構成する糸の1本又は数本おきに入れる場合がある。
【0028】
なお、この参考例では、ネット8と各粗大繊維層3はパウダー状や繊維状あるいは液状の水溶性接着剤で接着することによって一体化して構成されているものを示したが、ネット8の上に各粗大繊維層3を載置した状態で腐食性素材よりなる糸を用いて縫い目を粗くして縫製することにより、各粗大繊維層3をネット8に一体化してもよい。また、耐腐食性素材による縫製糸(例えば、プラスチックや金属等の線材)を使用すると、容易に腐食したり強度低下を起こさないために、植生マットの法面被覆効果が長期にわたって実現できる。
更に、粗大繊維の素材としてプラスチックや金属等の耐腐食性素材を使用すると、急傾斜の切り土法面等緑化用の植生マットの法面被覆効果を長期間必要とする場合に有利であり、帯状体による法面表面土壌の堰止め効果が持続する。
【0029】
図2、図3は、帯状体の前記各粗大繊維層3を、ネット8の片面に積層されたシート状の薄綿9の上に一定間隔Dに装着してある第2の参考例を示す。この参考例では、前記水溶性接着剤で薄綿9に粗大繊維2を接着してある。なお、図2において、図1に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0030】
而して、図3の(A)に示すように、法面などの土壌表面に植物種子12を播種し、必要であれば肥料や土壌改良材を散布した後、これらを覆うように粗大繊維層3を下にして敷設され、ネット8を貫通する止め串13で固定される。
【0031】
そして、植生マット1を、帯状の粗大繊維層3が法面の等高線に沿うように設置する。植生マット1施工後の降雨あるいは散水により、薄綿9や各粗大繊維層3が水を含んで重くなると共に、水溶性接着剤が溶けて、接合が解かれるので、図3の(B)に示すように、薄綿9がネット8から剥がれ落ち、薄綿9下の粗大繊維層3が土壌表面に食い込んだ状態に密着すると共に、粗大繊維層3が保水性の高い薄綿9で覆われて、粗大繊維層3の移動と乾燥が防止される。
【0032】
従って、表層土、植物種子12、肥料等の移動が防止され、且つ、粗大繊維層3が保水性の高い薄綿9で覆われることにより、薄綿9と粗大繊維層3とによる二重の保水機能が発揮されるので、粗大繊維層3の乾燥に起因する植物種子12の乾燥が防止されることになり、これらの結果、発芽むら、生育むらの発生が確実に抑制される。また、各粗大繊維層3の存在により、植生マット1の空隙が多くなり、外部から飛来する植物種子や侵入植生も定着しやすい。粗大繊維4は木毛繊維などの腐食性繊維や生分解性プラスチックであるから、やがては腐食・分解により土壌と同化し、肥料として利用されることになる。
【0033】
図4、図5は、前記ネット8の片面に、粗大繊維層3を一定間隔に装着するとともに、この粗大繊維層3に植生基材Kを水溶性接着剤で接着して担持させてある第3の参考例を示す。なお、図4、図5において、図1〜図3に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0034】
この場合、植生基材Kとしては、植物種子12のみであってもよいが、この例では、植生基材Aとして、植物種子12と、肥料14、保水材15、土壌改良材16の少なくとも一つとを混合したものを使用している。
【0035】
この植生マット1を使用すれば、各粗大繊維層3に植生基材Kを担持させてあるので、現地で法面などの土壌表面に播種する手間を省くことができ、且つ、飛来する植物種子や侵入植生に依存せずに緑化が行えることになる。
【0036】
上記第2の参考例と同様にこの参考例でも、粗大繊維層3によって表層土や植生基材Kの移動が防止され、且つ、粗大繊維層3が保水性を持つことから、粗大繊維層3の乾燥に起因する植物種子12の乾燥が防止されることになり、しかも、図5の(A)〜(D)に示すように、植生基材Kが粗大繊維2に付着し堆積した表層土20と混じり合って、程よく覆土され、これらの結果、発芽した植物種子の幼芽21の発芽むら、生育むらの発生が確実に抑制され、法面などの緑化保護が良好に行われるのである。また、粗大繊維層2の存在により、植生マット1の空隙が多くなり、外部から飛来する植物種子や侵入植生も定着しやすい。粗大繊維2は木毛繊維などの腐食性繊維や生分解性プラスチックであるから、やがては腐食・分解により土壌と同化し、肥料として利用されることになる。なお、帯状の粗大繊維層3が法面の等高線に沿うように植生マット1を設置することが望ましい。
【0037】
図6は、前記ネット8の片面に、帯状体の粗大繊維層3を一定間隔に装着するとともに、各粗大繊維層3に、前記植生基材K以外に、どんぐり等の大粒種子22を装着してある第4の参考例を示す。なお、図6において、図1〜図5に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0038】
この場合、帯状体としての各粗大繊維層3は、粗大繊維2同士を前記水溶性接着剤で接着し、圧着ローラで加圧したり、単に粗大繊維2の集積物を加圧して、任意の厚さE(例えば30〜50mm程度)のマット状に集積したものである。この厚さEは、上記第1〜3各実施形態の粗大繊維層3の厚さC(例えば2〜30mm程度)よりも大きい。各粗大繊維層3に、どんぐり等の大粒種子22が装着されているからである。なお、帯状の粗大繊維層3が法面の等高線に沿うように植生マット1を設置することが望ましい。
【0039】
図7は、前記ネット8の片面に、帯状体の粗大繊維層3を一定間隔に装着するとともに、各粗大繊維層3に、どんぐり等の大粒種子22と遅効性肥料を主とした肥料23を収容してある第5の参考例を示す。なお、図7において、図1〜図6に示した符号と同一のものは同一または相当物である。
【0040】
図7において、30は、不織布よりなる肥料袋で、帯状に形成されており、内部に遅効性肥料を主とした肥料23を充填してある。この帯状の肥料袋30は、植生マット1の略全幅にわたって装着されている。この参考例では、前記肥料袋30は帯状粗大繊維層3に沿う方向に粗大繊維2とは前記水溶性接着剤と接着された状態で配置されている。
【0041】
31は、不織布よりなり、内部にどんぐり等の大粒種子22を充填してある種子袋である。この種子袋31も粗大繊維2とは前記水溶性接着剤と接着された状態で配置されている。
【0042】
この場合も、帯状の粗大繊維層3が法面の等高線に沿うように植生マット1を設置することが望ましい。
【0043】
ところで、図1に示した第1の参考例、図4,5に示した第3の参考例、図6に示した第4の参考例および図7に示した第5の参考例では、植生マット1を、土壌表面によく馴染ませるために幅0.5〜50mm、長さ10〜100mm、厚さ0.1〜1.0mmに切断された木毛繊維からなる粗大繊維2をマット状に集積して形成した粗大繊維層3よりなる帯状体を、ネット8の片面に、等高線に沿うように一定間隔に装着してネット8の片面を各粗大繊維層3で部分的に覆い、帯状体による法面表面土壌の堰止め効果を持たせるように構成している。
また、図7に示した第5の参考例では、植生マット1の略全幅にわたって装着される前記帯状の肥料袋30を帯状粗大繊維層3に沿う方向に粗大繊維2とは前記水溶性接着剤と接着された状態で配置する構成を採用しているが、この発明の一つの実施形態では、前記帯状の肥料袋30をネット8の片面に装着するとともに、前記帯状の肥料袋30を帯状粗大繊維層3と交互に装着した点を特徴としている。
すなわち、この発明の一つの実施形態に係る緑化用の植生マット1は、土壌表面によく馴染ませるために幅0.5〜50mm、長さ10〜100mm、厚さ0.1〜1.0mmに切断された木毛繊維からなる粗大繊維2をマット状に集積して形成した粗大繊維層3よりなる帯状体を、ネット8の片面に、等高線に沿うように一定間隔に装着してネット8の片面を各粗大繊維層3で部分的に覆い、帯状体による法面表面土壌の堰止め効果を持たせると共に、植生マット1の略全幅にわたって装着される帯状肥料袋30を帯状粗大繊維層3と交互に装着して構成されている。この場合、帯状肥料袋30を帯状粗大繊維層3と交互に所定幅を設けて装着するのが好ましい。
また、この発明の他の実施形態に係る緑化用の植生マット1は、ネット8の片面にシート状の薄綿9が積層され、この薄綿9の上に、土壌表面によく馴染ませるために幅0.5〜50mm、長さ10〜100mm、厚さ0.1〜1.0mmに切断された木毛繊維からなる粗大繊維2をマット状に集積して形成した粗大繊維層3よりなる帯状体を、等高線に沿うように一定間隔に装着してネット8の片面を各粗大繊維層3で部分的に覆い、帯状体による法面表面土壌の堰止め効果を持たせると共に、植生マット1の略全幅にわたって装着される帯状肥料袋30を帯状粗大繊維層3と交互に装着して構成されている。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、粗大繊維をマット状に集積して形成した粗大繊維層よりなる帯状体を、ネットの片面に、一定間隔に装着したり、また、ネットの片面に積層されたシート状の薄綿の上に前記粗大繊維層よりなる帯状体を装着したので、土壌表面への密着性が良くて、表層土、植物種子、肥料等の移動を確実に防止でき、しかも、保水機能が良くて、植物種子の乾燥を防止でき、これらの結果、発芽むら、生育むらが発生しにくく、侵入植生も定着しやすい緑化用の植生マットを得ることができ、所望の施工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の参考例を示す図である。
【図2】 第2の参考例を示す図である。
【図3】 (A)は、上記第2の参考例における施工直後の敷設状態を示す構成説明図である。
(B)は、上記第2の参考例において、降雨により粗大繊維層がばらけた後の状態を示す構成説明図である。
【図4】 第3の参考例を示す図である。
【図5】 (A)は、上記第3の参考例において、降雨により粗大繊維層がばらけた直後の状態を示す構成説明図である。
(B)は、上記第3の参考例において、粗大繊維が植物種子、表層土の移動を阻止している状態を示す構成説明図である。
(C)は、上記第3の参考例において、植物種子が発芽している状態を示す構成説明図である。
(D)は、上記第3の参考例において、粗大繊維とネットが腐食・分解により土壌と同化している状態を示す構成説明図である。
【図6】 第4の参考例を示す図である。
【図7】 第5の参考例を示す図である。
【符号の説明】
1…植生マット、2…粗大繊維、3…粗大繊維層、8…ネット、30…肥料袋。
Claims (5)
- 土壌表面によく馴染ませるために幅0.5〜50mm、長さ10〜100mm、厚さ0.1〜1.0mmに切断された木毛繊維からなる粗大繊維をマット状に集積して形成した粗大繊維層よりなる帯状体を、ネットの片面に、等高線に沿うように一定間隔に装着してネットの片面を各粗大繊維層で部分的に覆い、帯状体による法面表面土壌の堰止め効果を持たせると共に、植生マットの略全幅にわたって装着される肥料袋を帯状粗大繊維層と交互に装着したことを特徴とする緑化用の植生マット。
- ネットの片面にシート状の薄綿が積層され、この薄綿の上に、土壌表面によく馴染ませるために幅0.5〜50mm、長さ10〜100mm、厚さ0.1〜1.0mmに切断された木毛繊維からなる粗大繊維をマット状に集積して形成した粗大繊維層よりなる帯状体を、等高線に沿うように一定間隔に装着してネットの片面を前記薄綿を介して各粗大繊維層で部分的に覆い、帯状体による法面表面土壌の堰止め効果を持たせると共に、植生マットの略全幅にわたって装着される肥料袋を帯状粗大繊維層と交互に装着したことを特徴とする緑化用の植生マット。
- 前記粗大繊維層に植物種子、肥料、土壌改良材および保水材の少なくとも一種類を担持させてある請求項1または請求項2に記載の緑化用の植生マット。
- 前記粗大繊維層に、どんぐり等の大粒種子、遅効性肥料の少なくとも一種類が装着または収容されている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の緑化用の植生マット。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の緑化用の植生マットを土壌表面に張り付けることを特徴とする緑化方法。
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