JP4134978B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料噴射装置に関する。
燃料噴射装置としては、例えば内燃機関の燃焼室に直接あるいは間接的に燃料噴射する燃料噴射弁が知られている。燃料噴射弁から供給される燃料は、吸気管あるいは燃焼室において空気と混合され、燃焼室内に可燃混合気を形成する。燃焼室内の可燃混合気はピストン運動により圧縮された後、点火装置により着火燃焼し、内燃機関の動力として利用されている。燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射・噴霧特性の一つとして、噴射率および噴霧ペネトレーション(噴霧先端到達距離)があり、噴射率および噴霧ペネトレーションは内燃機関の運転状態により最適な状態がある。
その実現手段として、特許文献1は、噴霧形状を2段階に切換える技術を開示している。特許文献1の開示による従来技術によると、ノズルニードルのリフト量の切換えにより噴霧形状を2段階に切換えることで、運転状態による噴射率の最適な状態への考慮がなされている。そのノズルニードルのリフト量を2段階に切換える手段として、従来の噴射用ソレノイドとは別のストッパ用ソレノイドを有している。別のソレノイドを作動させることによりノズルニードルのリフト量を制限するストッパの軸方向位置を制御する。詳しくは、噴射用ソレノイドはノズルニードルと一体となった可動コアを駆動する。一方、ストッパ用ソレノイドは、可動コアのリフトが増加する側つまりノズルニードルのリフト量を増加させる側に、ストッパを駆動する。なお、ストッパには、リフトが小さくなる側にストッパを付勢する第2のスプリングが、リフトが小さくなる側に可動コアを付勢する第1のスプリングとは別に、設けられている。
特開2001−153003号公報
しかしながら、上記従来技術では、噴射用ソレノイドを作動させて内燃機関の各気筒へ燃料噴射を繰り返している期間中に、ニードルリフトを小さくさせたい場合に、ストッパ用ソレノイドを通電状態から非通電に切換えても、消磁が促進されず、ストッパ軸方向移動の応答性もしくは閉弁応答性が低下するおそれがある。
また、上記従来技術では、噴射用ソレノイドとは別にもう一つのソレノイドを設ける必要となるため、システムの複雑化を招き、コストアップは避けられないという問題がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、噴射率等の噴射・噴霧特性を切換える機能を有するもので、切換え応答性の向上が図れる燃料噴射装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を備える。
即ち、請求項1乃至5記載の発明では、噴孔の上流側に弁座を有するノズルボディと、ノズルボディ内に軸方向移動可能に収容され、弁座に離座および着座するノズルニードルと、ノズルニードルに協働する第1可動コアと、第1可動コアに軸方向に対峙し、軸方向移動可能な第2可動コアと、第1可動コアおよび第2可動コアをノズルニードルの着座方向に付勢する付勢部材とを備え、第2可動コアの軸方向位置に応じてノズルニードルのリフト量を可変にする燃料噴射装置において、
第1可動コアおよび第2可動コアに磁力を作用可能な駆動コイルと、磁力に対して第2可動コアを反第1可動コア側に吸引および反発可能な永久磁石とを設けるとともに、
付勢部材は、第1可動コアを付勢する第1付勢部材と、第2可動コアを付勢する第2付勢部材とを有し、第2付勢部材の内周側には、第1付勢部材と、第1付勢部材に荷重を加える付勢力調整部材を設けていることを特徴としている。
これによると、ノズルニードルのリフト量を可変にするための第2可動コアの駆動手段として、第1可動コアおよび第2可動コアに磁力を作用可能な駆動コイルと、永久磁石とを有し、永久磁石は、駆動コイルの磁力に応じて第2可動コアを、反第1可動コア側に吸引、および第1可動コア側へ反発可能にしている。例えばその磁力の磁極方向に対して永久磁石による吸引、反発力を利用することで、第2可動コアの軸方向位置を、反第1可動コア側に吸引される方向つまり第1可動コアから遠のく方向側の位置と、第1可動コア側へ反発される方向つまり第1可動コアへ近づく方向側の位置とに切換えることができる。
したがって、従来のようにソレノイドつまり駆動コイルを例えば2つ設けてストッパ用駆動コイルを通電停止および通電にすることでノズルニードルのリフト量を切換えるのではなく、駆動コイルに発生する磁力の磁極方向を切換えることでノズルニードルのリフト量を切換えることが可能である。さらに、永久磁石の吸引、反発力を利用するので、従来の通電停止つまり消磁がなされてリフト量が切換えられる構成に比べて、リフト量切換えの応答性の向上が図れる。
なお、ストッパ用駆動コイルに通電つまり励磁する従来技術の場合には、励磁され磁気飽和するまでの間、本来の電磁力が発生せず、磁気飽和するまでの過渡期は電磁力が比較的小さい。例えば第2可動コアを磁気吸引する磁束の流れにその電磁力を効率的に変換するために、磁路面積としての対向面積を稼ぐ必要がある。しかしながら、内部に第1付勢部材および第2付勢部材を配置する場合、体格の大型化を招くおそれがある。その解決方法として第1付勢部材および第2付勢部材を直列状に配置する方法が考えられるが、第1可動コアおよび第2可動コアに付勢する各付勢力を調整することが難しいという問題がある。
これに対して永久磁石は、常に飽和磁力を発生するように磁化し、着磁することができるので、従来のストッパ用駆動コイルの場合のように対向面積を稼ぐ必要がない。したがって、第1付勢部材および第2付勢部材を内外に二重に配置することができ、第1可動コアと第2可動コアに独立して付勢力を加えることができるので、各付勢力の調整が容易となるとともに、体格の大型化防止が図れる。
なお、第2付勢部材の内周側には、第1付勢部材と、第1可動コアに付勢する第1付勢部材の付勢力を調整する付勢力調整手段としての付勢力調整部材が配置されている。
また、請求項2に記載の発明では、永久磁石は、第2可動コアの反第1可動コア側に配置されていることを特徴としている。
これによると、例えば第2可動コアの磁極が駆動コイルの磁力の作用によって逆転すると、第2可動コアには、磁極の逆転前に比べて、永久磁石の磁力にバイアスした磁力が作用つまり永久磁石の磁力と駆動コイルの電磁力を加えた磁力が作用、あるいは永久磁石に反発する電磁力のいずれかが作用する。バイアスした磁力が作用する場合には、第2可動コアは永久磁石側つまり第1可動コアから遠のく方向側の軸方向位置に吸引され、永久磁石に反発する磁力が作用する場合には、第2可動コアは第1可動コアに近づく方向側の軸方向位置へ押し戻される。その結果、第2可動コアの変位動作により第1可動コアの変位量、つまりノズルニードルのリフト量を変化させることが容易となる。さらに、噴射率等の噴射・噴霧特性を変化させる機能を、従来に比べて構成を簡素化させて提供することが可能である。
また、請求項3に記載の発明では、第2可動コアと永久磁石との間には、磁性体が配設されていることを特徴としている。
これによると、第2可動コアと永久磁石との間には、磁性体が配設されていることが好ましい。例えば駆動コイルの磁力の作用により第1可動コアおよび第2可動コアに発生する磁界(磁力の磁極方向)と永久磁石の磁界とが逆方向となる場合には、駆動コイルの磁束の流れは、その磁束の流れに対して磁気抵抗となる永久磁石自身に直接作用せず、永久磁石と第2可動コアの間に設けられた磁性体に作用するため、永久磁石の磁束の影響を緩和または除去できる。したがって、駆動コイルに発生する電磁力を効率的に利用することができる。
また、請求項4に記載の発明では、付勢力調整部材の第1付勢部材との接触面は、略円筒状であることを特徴としている。
これによると、第1付勢部材および第2付勢部材を内外に二重に配置し、第1可動コアと第2可動コアへの各付勢力の独立した調整が可能なように、付勢力調整部材を配置することができる。
また、請求項5に記載の発明では、駆動コイルへの通電方向を切換える切換手段を備えていることを特徴としている。これにより、駆動コイルへの通電方向を切換えることで、第1可動コアおよび第2可動コアの極性を逆転することができる。
以下、本発明の燃料噴射装置を、ガソリンエンジンに燃料を噴射供給するものに適用して、具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。図2は、本実施形態に係わる電気的構成を示す模式的回路図である。図3は、図2中の電磁コイルへの通電方向を切換える切換手段の切換動作を表す図である。図4は、図1の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルの非通電状態を示す部分的断面図である。図5は、図1の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルへの通電方向の正方向状態を示す部分的断面図である。図6は、図1の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルへの通電方向の逆方向状態を示す部分的断面図である。なお、図7は、図1中の燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射量と噴射期間との関係を示すグラフであって、図7(a)は燃料噴射弁の個々のばらつきを示すグラフ、図7(b)は各燃料噴射弁の付勢力調整部材による第1付勢部材の付勢力の調整後を示すグラフである。なお、図1において、駆動コイルは非通電状態にある。
燃料噴射装置1は、内燃機関(エンジン)、特にガソリンエンジンに用いられる。燃料噴射装置1は、図1に示すように、エンジンの燃焼室(図示せず)に燃料噴射する燃料噴射弁(インジェクタと呼ぶ)2と、インジェクタ2の噴射動作等を制御する制御手段(以下、ECUと呼ぶ)100とを含んで構成されている。
なお詳しくは、インジェクタ2は、例えば多気筒(例えば4気筒)ガソリンエンジン(以下、エンジンと呼ぶ)の吸気ポート等の吸気管または各気筒に取付けられて、気筒内の燃焼室に燃料を噴射供給する。なお、本実施形態では、インジェクタ2は各気筒に設けられているものとする。インジェクタ2には、図示しない燃料ポンプにより加圧された燃料が、燃料分配管(図示せず)を介して供給される。燃料分配管には、一般に、図示しない燃料タンク内の燃料を燃料ポンプ(図示せず)により吸い上げ吐出し、その吐出された燃料が導かれている。なお、吐出される燃料は、図示しないプレーシャレギュレータ等の調圧装置によって所定の圧力に調圧されて、燃料分配管へ送られる。なお、エンジンが直噴エンジンの場合には、内燃機関の燃焼室へ供給する燃料の圧力が約2Mpa以上とするため、燃料ポンプによって燃料タンクから吸上げられた所定の低圧(例えば0.2Mpa)の燃料を、図示しない高圧ポンプで加圧し、この加圧された所定の高圧の燃料(例えば、2〜13Mpaの範囲の所定の燃料)が、燃料分配管を介してインジェクタ2に供給されている。燃料ポンプから吐出される燃料、高圧ポンプから燃料分配管へ供給された燃料は、図示しないプレーシャレギュレータ等の調圧装置によって所定の圧力に調圧されている。なお、以下、本実施例で説明するエンジンは、ガソリン直噴エンジンとする。
まず、インジェクタ2について以下図1に従って説明する。インジェクタ2は、略円筒形状であり、一端から燃料を受け、内部の燃料通路を経由して他端から燃料を噴射する。インジェクタ2は、燃料の噴射を遮断および許容する弁部Bと、弁部Bを駆動する電磁駆動部Sとを備えており、燃料導入部48側から内部の燃料通路内に流入した燃料を弁部Bからエンジンの気筒に噴射供給する。
弁部Bは、図1に示すように、弁ボディとしてのノズルボディ12と、弁部材としてのノズルニードル30と、ハウジング16とを含んで構成されている。ノズルボディ12はハウジング(以下、弁ハウジングと呼ぶ)16の燃料噴射側端部の内壁に溶接により固定されている。ノズルボディ12は燃料流れ方向の噴孔21側に向けて縮径する内周面としての円錐面13を有している。円錐面13には、ノズルニードル30が離座および着座可能である。なお、ここで、円錐面13は、ノズルニードル30が離座および着座可能な弁座14を構成する。具体的には、弁座14には、ノズルニードル30の当接部31が離座および着座する。ノズルニードル30は略軸状に形成され、弁ボディ12内を軸方向に往復移動可能である。なお、ここで、弁座14と当接部31は、弁部が燃料の噴射を遮断するための油密機能の働きをするシート部を構成している。
弁座の中央側には、図1に示すように、弁座14の燃料流れの下流側に向って、内部燃料通路と連通可能な噴孔21が配置されている。この噴孔21は、要求される燃料の噴霧の形状、方向、数などに応じて、その大きさ、噴孔軸線の方向、噴孔配列等が決定される。また、噴孔の開口面積は、開弁時の流量を規定する。なお、インジェクタ2の燃料噴射量は、開弁している噴孔の開口面積と、ノズルニードル30のリフト量と、開弁期間とによって計量されている。ノズルニードル30が弁座14に着座すると噴孔21からの燃料噴射が遮断され、ノズルニードル30が弁座14から離座すると噴孔21からの燃料噴射が許容され燃料が噴射される。
なお、上述の燃料噴射量を左右するリフト量とは、ノズルニードル30(詳しくは当接部31とノズルボディ12(詳しくは弁座14)によるリフト量−開口面積の関係において、リフト量の増加に従ってシール部31、14の離間距離が増加するので、シール部による開口面積が噴孔による開口面積より小さい間(例えば後述するリフト量H=HD1の低リフト状態)は、燃料噴射量が増加する。
なお、弁ハウジング16は、ノズルボディ12を固定する弁ハウジング下部16aと、電磁駆動部S側の筒部材15に固定される弁弁ハウジング上部16bとから構成されており、弁ハウジング下部16aは弁ハウジング上部16bの内周16baに挿入固定されている。なお、弁ハウジング下部16aと弁ハウジング上部16bは挿入固定可能な別部材を一体的に組付け固定する構成に限らず、一体に形成されるものであってもよい。
電磁駆動部Sは、図1に示すように、第1可動コア50、第1可動コア50に軸方向に対峙する第2可動コア60、コイル70、および永久磁石80と、第1可動コア50および第2可動コア60に付勢する付勢手段としての付勢部材59、69とを有する。第1可動コア50は磁性ステンレス等の磁性材からなる段付きの略円筒状体である。第1可動コア50はノズルニードル30に固定されており、第1可動コア50とノズルニードル30は協働する。なお、第1可動コア50とノズルニードル30は、図1に示すように別部材を溶接等により一体的に形成されたものに限らず、一体に形成されているものであってもよい。
第2可動コア60は、磁性ステンレス等の磁性材からなる略円筒体である。第2可動コア60は筒部材15、18の内周を軸方向に移動可能である。詳しくは、第2可動コア60は、筒部材15の内周15a、15bに軸方向移動可能に収容されている。筒部材15は磁性材料からなるパイプ材などで形成され、段付き内周15a、15bからなる段差部15kを有する。段付部15kは、第2可動コア60の軸方向移動(詳しくは軸方向下方移動)を規制する。なお詳しくは、筒部材15は内周15aより内周15bが大きく形成されている。第2可動コア60の下端部側の外周が内周15aに移動可能に保持されている。また、コア60の上端部側の外周に形成された環状部62が内周15bに移動可能に保持されており、その軸方向下方側への移動は、環状部62が段差部15kに係止されると制限される。
コイル70は、樹脂製のスプール(図示せず)の外周に所定方向に巻回されている。コイル70の端部は2つのターミナル(図示せず)として引き出されている。ターミナルは、外部電源等(詳しくは、ECU100)からの電流をコイル70へ供給する。スプールは、筒部材15、18の外周に装着されている。なお、ここで、コイル70、スプール、ターミナルは、駆動コイルを構成している。なお、コイル70等の駆動コイルの外周側には、樹脂モールド19が配置され、ターミナルを収容するコネクタ部(図示せず)が設けられている。
永久磁石80は、フェライト磁石、稀土類磁石、あるいはアルニコ磁石等の磁化された磁性体である。図1に示すように、永久磁石80は略円筒体に形成され、所定の磁力が発生するように着磁されている。この永久磁石80は、第2可動コア60の反第1可動コア50側に、第2可動コア60に軸方向に対峙するように配置されている。
永久磁石80の磁極としては、図4に示すように第2可動コア60側の端面をS極、反第2可動コア60側の端面をN極とする磁極配置に限らず、第2可動コア60側の端面をN極、反第2可動コア60側の端面をS極とする磁極配置であってもよい。なお、第2可動コア60側の端面をS極、反第2可動コア60側の端面をN極とする磁極配置する前者に代えて、第2可動コア60側の端面をN極、反第2可動コア60側の端面をS極とする磁極配置する後者の構成とする場合には、永久磁石80による磁力と駆動コイルによる電磁力の関係が前者と同じになるように、後者におけるECU100による駆動コイルへの通電方向を反転させる。
なお、以下本実施形態で説明する永久磁石80の磁極配置は、第2可動コア60側の端面をS極、反第2可動コア60側の端面をN極とする(図4参照)。
付勢部材59、69は、図1に示すように、第1可動コア50をノズルニードル30の着座方向に付勢する第1付勢部材(以下、第1スプリングと呼ぶ)59と、第2可動コア60をノズルニードル30の着座方向に付勢する第2付勢部材(以下、第2スプリングと呼ぶ)とから構成されている。なお、第1スプリング59および第2スプリング69は加える荷重に応じて変位するばね部材等の弾性体であればいずれの部材であってもよく、本実施例ではばね部材とする。
第1スプリング59は、一端部で第1可動コア(詳しくは第1可動コア50内のスプリング座50sに係止され、他端部で付勢力調整部材(以下、アジャスティングパイプと呼ぶ)41に係止されている。詳しくは、アジャスティングパイプ41は、燃料導入部48の内周48aに圧入され、内部に燃料通路を形成している。アジャスティングパイプ41の圧入量を調整することにより、第1可動コア50に付勢する第1スプリング59の付勢力(荷重)が変更される。第1スプリング59の付勢力により第1可動コア50およびノズルニードル30は弁座14に向けて付勢されている。
第2スプリング69は、第2可動コア60と、他端部で磁性体17等の第2可動コア60に軸方向に対峙する部材との間に挟みこまれている。詳しくは、第2スプリング69は、磁性体17および永久磁石80の内周を挿通可能であり、一端部が第2可動コア60の上端面に係止され、他端部が燃料導入部48内のスプリング座面に係止されている。
第2スプリング69の内周側には、図1に示すように、第1スプリング59とアジャスティングパイプ41が配置されている。第2スプリング69と第1スプリング59は内外に二重に配置される付勢手段を構成している。
なお、本実施形態では、アジャスティングパイプ41は略円筒状体であり、アジャスティングパイプ41の第1スプリング59との接触面は円筒状であることが好ましい。これにより、第2スプリング69と第1スプリング59を内外に二重に配置し、第1可動コア50と第2可動コア60への各付勢力の独立した調整が可能なように、アジャスティングパイプ41を配置することが可能となる。
なお、本実施形態では、第2可動コア60と永久磁石80との間には、図1に示すように、磁性体17を設けることが好ましい。磁性体19は、永久磁石等の強磁性材料のように着磁により磁化されるものではなく、比較的磁化され易く、残留磁気が少ない軟磁性材料などの磁性材を使用する。例えば駆動コイルへの通電方向によっては、第1可動コア50および第2可動コア60に発生する磁界(磁力の磁極方向)と永久磁石80の磁界とが逆方向となる場合がある。この場合、上記磁性体17を設けることにより、駆動コイルの磁束の流れは、その磁束の流れに対して磁気抵抗となる永久磁石80自身に直接作用することなく、永久磁石80と第2可動コア60の間に設けられた磁性体17に作用する。したがって、永久磁石80の磁束の影響を緩和または除去できるので、駆動コイルに発生する電磁力を効率的に利用することができる。
なお、上述の磁性体17を永久磁石80とコア60の間に配置する場合、着磁により磁化された永久磁石80に代えて、磁性体17が、第2可動コア60の永久磁石80側方向(図1では軸方向上方)への移動量を規制する機能を有する。なお、磁性体17の下端面17aは、第2可動コア60にほぼ全面で当接する略平面形状に限らず、第2可動コア60の一部に当接するように略円環状の段差(図示せず)を有する段付平面のものであってもよい。なお、磁性体17の下端面17a形状に上記段差を設けるように構成するものでは、第2可動コア60が磁性体17の磁力により一旦は連結した場合であっても、第2可動コア60の磁性を逆転させたときに、磁性体17から第2可動コア60の連結を解除して離脱し易くなる。
なお、磁性体17は、図1に示すように、永久磁石80を収容して保持するように有底筒状に形成されている。磁性体17は筒部材18の内周に挿入固定可能である。なお、磁性体17と永久磁石80は、永久磁石80を内部に収容した磁性体17を筒部材18の内周に挿入可能にする構成に限らず、永久磁石80および磁性体17を個別に筒部材18の内周に挿入可能にするものであってもよい。
なお、筒部材15、18は、永久磁石80および磁性体17を内部に収容する筒部材18と、第2可動コア60を軸方向に移動可能かつ下方移動を規制する筒部材15とが接続されている。なお、筒部材15、18は別部材で形成され一体的に接続されるものに限らず、一体形成されるものであってもよい。
なお、インジェクタ2の内部燃料通路は、図1に示すように、燃料の流れの上流から下流に向かって、燃料導入部48の内周48aと、アジャスティングパイプ41の内周と、永久磁石80の内周と、磁性体17の内周と、第2可動コア60の内周61と、第1可動コア50の径方向通路52と、弁ハウジング16a、16bの内周およびノズルボディ12の内周とノズルニードル30とで形成される燃料通路の順で構成されており、これらは、噴孔21へ向かう燃料の流れ経路としての内部燃料通路を構成している。
ECU100は、図示しないリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、マイクロプロセッサ(CPU)、入力ポート、出力ポートを相互に双方向性バスで接続した公知の構成のマイクロコンピュータとして構成されている。このECU100は、バッテリ等の電源を用いて、インジェクタ2のコイル70への通電開始および通電停止を行なうことで、インジェクタ2への通電期間を制御する。エンジンの回転速度、吸気管圧力(または吸入空気量)、冷却水温等のエンジンの運転状態を検出する図示しない各種センサの信号を読み込み、エンジン用の各種プログラム(図示せず)に従って、インジェクタ2の電磁駆動部Sの動作を制御する(図1参照)。
本実施形態の燃料噴射装置1における電気的構成を、図2および図3に従って説明する。ECU100は、エンジンの運転状態を検出する各種センサの信号に基づいて、インジェクタ2(詳しくは駆動コイル)の二つのターミナルに所定の方向の電流を供給する。ECU100は、図2に示すように、制御部100aと、通電方向切換え回路100bとを有する。なお、制御部100aは上記説明のマイクロコンピュータであるので説明を省略する。
通電方向切換え回路100bは、インジェクタ2の駆動コイル(詳しくはコイル70)を中心とし、四つのスイッチング素子(以下、トランジスタと呼ぶ)TR1、TR2、TR3、TR4によりHブリッジ回路を組んだ構成となっている。所定方向に巻回されたコイル70の一端側は、直列接続された、バッテリ電源電圧Vb側の第1のトランジスタTR1と、接地側の第2のトランジスタTR1との中間点に接続されている。また、コイル70の他端側は、直列接続された、バッテリ電源電圧Vb側の第3のトランジスタTR3と、接地側の第4のトランジスタTR4との中間点に接続されている。この通電方向切換え回路100bでは、図3に示すように、第1のトランジスタTR1のベース端子と第4のトランジスタTR4のベース端子に対する通電のみをONにすることにより、コイル70へ流れる電流の方向が所定方向となる。また、第2のトランジスタTR2のベース端子と第3のトランジスタTR3のベース端子に対する通電のみをONにすることにより、コイル70へ流れる電流の方向が、所定方向とは逆転し、反所定方向となる。なお、以下の本実施形態の説明では、所定電流方向を正方向、反所定電流方向を逆方向と呼ぶ。
なお、ここで、ECU100は、システムを制御する手段の一つとして、インジェクタ2の駆動コイルへの通電方向を切換える切換手段を有する。この切換手段は、通電方向を切換えることで、コイル70に流れる電流方向を正方向から逆方向へ、あるいは逆方向から正方向へ切換えられる。
上述の構成を有する燃料噴射装置1の動作、特にインジェクタ2の作動について以下図4から図6に従って説明する。図4から図6では、ECU100から駆動コイル(詳しくはコイル70)へ供給されるバッテリ電源等の電流の方向を、便宜上、電池の向きで模式的に表す。まず、駆動コイルへの非通電状態(図4参照)、駆動コイルへの通電方向が正方向状態(図5参照)、駆動コイルへの通電方向が逆方向状態(図6参照)についてそれぞれ説明する。なお、図4から図6において、矢印方向は磁界(磁束の流れ)の方向を示している。
(1)図4に示す駆動コイル(詳しくはコイル70)の非通電状態では、永久磁石80の磁束の流れは、磁性体17を通って閉回路を形成する。永久磁石80の磁力は、磁性体17を通じて第2可動コア60に及ばないため、第2可動コア60を永久磁石80に吸引する吸引力は生じない。一方、駆動コイルは非通電状態にあるため、コイル70には電磁力は生じず、ノズルニードル30は、第1スプリング59によって弁座14へ押付けられている。その結果、インジェクタ2は閉弁し、噴孔21から燃料が噴射されることはない。
なお、第2スプリング69の付勢力によって第2可動コア60が筒部材15の段差部15kに向けて付勢されているため、この付勢力によって第2可動コア60が段差部15kに係止されている。そのため、第2可動コア60の移動位置が軸方向移動の下限位置(以下、低リフト状態に制限する位置と呼ぶ)に規制されている。
(2)図5に示す駆動コイルへの通電方向が正方向の状態では、コイル70に通電され、コイル70には電磁力が発生する。さらに、駆動コイルへの通電方向が正方向に設定されているため、第2可動コア60の永久磁石80側端面の磁極がS極となり、永久磁石80の第2可動コア23側端面の磁極のS極と反発する関係となる。その結果、第2可動コア60は低リフト状態に制限する位置に維持される。
一方、コイル70によって磁化された第2可動コア60は第1可動コア50を引きつけ、第1可動コア50に協働するノズルニードル30が弁座14から離座する。このとき、可動コア50の軸方向変位は、第2可動コア60の低リフト状態に制限する位置によって規制されるので、ノズルニードル30のリフト量Hは低リフト状態に制限される(H=HD1)。
なお、このとき、第2可動コア60には、永久磁石80による磁力(以下、定常磁力と呼ぶ)に対して反発するコイル70の電磁力が作用している。このコイル70の電磁力すなわち磁束の流れは、図5に示すように、永久磁石80自体に直接作用せず、磁性体17に作用する。その結果、コイル70の磁束の流れは、その磁束の流れに対して磁気抵抗となる永久磁石80の磁束の流れに妨げられない。そのため、永久磁石80と第2可動コア60との間に磁性体17を配置せずに永久磁石80と第2可動コア60を軸方向に直接対峙させる構成を有するインジェクタに比べて、コイル70に発生する電磁力を約半分程度にする場合であっても、同等以上の動作力を得ることが可能である。
なお、ここで、永久磁石80の磁力で形成する磁気回路とコイル70の電磁力で形成する磁気回路は、永久磁石80と第2可動コア60との間に挟まれた磁性体17を通じて、それぞれ閉回路を形成している。
(3)図6に示す駆動コイルへの通電方向が逆方向の状態では、駆動コイルへの通電方向を正方向から逆方向に切換えられるため、コイル70に発生する電磁力による磁界の方向は、永久磁石80に常に生じる磁界の方向と同じとなる。このとき、第2可動コア60には、永久磁石80による定常磁力に加えてコイル70の電磁力をバイアスされた磁力が作用する。その結果、第2可動コア60は磁性体17側に引きつけられて、磁性体17の下端面17aに係止される。そのため、第2可動コア60の移動位置が軸方向移動の上限位置(以下、高リフト状態に制限する位置と呼ぶ)に規制される。なお、図5および図6に示す矢印方向は磁界の方向つまり磁力線を表す。図6において、コイル70の電磁力による磁力線と永久磁石80の磁力による磁力線とを便宜的に別々(図6中の実線で示す各磁力線)に表したが、これら磁力線の磁力はバイアスされるため、コイル70と永久磁石80の磁力線は一つの大きな磁力線(図6中の一点鎖線で示す磁力線)となる。
一方、コイル70と永久磁石80によって磁化された第2可動コア60は第1可動コア50を引きつけ、ノズルニードル30のリフト量Hを高リフト状態にする(H=HD2であって、HD2>HD1)。
次に燃料噴射装置1の全体動作を説明する。ECU100は各種センサの信号からエンジンの運転状態を検出する。そして、ECU100は、検出したエンジンの運転状態に基いて、その運転状態に適した噴孔21から燃料噴射する噴射率、噴霧形状等の噴射・噴霧特性を判断する。その運転状態に適した噴射・噴霧特性がノズルニードル30のリフト量を低リフト状態にすることであるとECU100が判断した場合には、ECU100は通電方向切変え回路100bの第1および第4のトランジスタTR1、TR4をオン動作させ、駆動コイルへの通電方向を正方向にする。その結果、第2可動コア60の移動位置を低リフト状態に制限する位置に規制し、第1ニードル31のみを開弁し、ノズルニードル30のリフト量HをH=HD1に制御する。一方、その運転状態に適した噴射・噴霧特性がノズルニードル30のリフト量を高リフト状態にするものであるとECU100が判断した場合には、ECU100は通電方向切変え回路100bの第2および第3のトランジスタTR2、TR3をオン動作させ、駆動コイルへの通電方向を逆方向にする。その結果、第2可動コア60の移動位置を高リフト状態に制限する位置に規制し、リフト量HをH=HD2に制御する。
なお、リフト量を変化させることで、例えば燃料噴射のための開口面積が変わるため、単位時間当りの噴射量を変化させることが可能である。その結果、コイル70への通電期間を調節することでインジェクタ2から噴射される噴射量が調整される。さらに、コイル70への通電期間が同一であっても、リフト量Hを、H=HD1あるいはH=HD2のいずれかに設定することによって噴射量を変化させることができる。
この様に、ECU100(詳しくは通電方向切換え回路100b)によって駆動コイルへの通電方向を切換えることで、第2可動コア60の極性(磁極)を反転させられる。第2可動コア60の極性を反転させると、永久磁石80の定常磁力とコイル70の電磁力がバイアスした磁力、あるいは永久磁石80の定常磁力に反発するコイル70の電磁力のいずれかが第2可動コア60に作用する。第2可動コア60にバイアスした磁力が作用する場合には、永久磁石80側(詳しくは磁性体17の下端面17a)に吸引され、第2可動コア60の軸方向上方へ移動可能な上限位置(高リフト状態に制限する位置)に規制される。一方、永久磁石80に反発するコイル70の電磁力が第2可動コア60に作用する場合には、第2可動コア60は反永久磁石80側つまり弁座14方向に押付けられ、第2可動コア60の軸方向下方へ移動可能な下限位置(低リフト状態に制限する位置)に規制される。なお、第1可動コア50および第2可動コア60には駆動コイルの電磁力が作用可能である。低リフト状態(図5参照)および高リフト状態(図6参照)のいずれも、コイル70へ通電し、コイル70に電磁力を発生している。この電磁力によって第1可動コア50が引きつけられる。
なお、ここで、第2可動コア60、永久磁石80、および通電方向切換回路100bは、ノズルニードル30のリフト量を可変にするリフト可変手段を構成する。第2可動コア60の変位動作により第1可動コア50の変位量つまりノズルニードル30のリフト量Hを、HD2からHD1へ、あるいはHD1からHD2へ変化させることができる。このリフト可変手段60、80、100bによって、インジェクタ2のリフト量が低リフト状態(H=HD1)と高リフト状態(H=HD2)に切換えられる。
以上説明した燃料噴射装置において、インジェクタ2の構成および作動が同じであっても、例えば製造工程途中の個々のインジェクタ2には以下のばらつきが生じる場合がある。図7(a)に示すように、同一噴射期間Tiつまり駆動コイルへの通電期間が同一であっても、個々のインジェクタ2の燃料噴射量が異なる。なお、図7(a)では横軸を噴射期間Ti、縦軸を燃料噴射量qで表し、便宜上図7(a)中に記載するインジェクタ2の個数は3個とする。これらの製造工程途中のインジェクタ2は、ノズルニードル30の開弁応答性等を調整するため、第1スプリング59により第1可動コア50およびノズルニードル30が弁座14に付勢される付勢力(荷重)を調整する必要がある。
これに対して本実施形態では、第1スプリング59と第2スプリング69が内外に二重に配置され、第1可動コア50に加える付勢力(以下、第1付勢力と呼ぶ)と、第2可動コア60に加える付勢力(以下、第2付勢力と呼ぶ)とを独立して調整することが可能である。第1付勢力は、アジャスティングパイプ41の圧入量を調整することにより、所定の付勢力(荷重)に調整される。その結果、個々のインジェクタ2の燃料噴射量が同じになるように調整できる(図7(b)参照)。したがって、個々のインジェクタ2の噴射期間に対する噴射特性を、第1付勢力を調整することでエンジンに適用するインジェクタに要求される特性に揃えることが可能である。
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、(1)本実施形態では、ノズルニードル30に協働する第1可動コア60、および第1可動コア50に軸方向に対峙し軸方向移動可能な第2可動コアとを有し、ノズルニードル30のリフト量を可変にするインジェクタにおいて、ノズルニードル30のリフト量を可変にするための第2可動コア60を駆動する駆動手段として、第1可動コア50および第2可動コア60に磁力を作用可能な駆動コイル(詳しくはコイル70)と、永久磁石80とを有し、永久磁石80は、駆動コイルの磁力に応じて第2可動コア60を、反第1可動コア50側に吸引、および第1可動コア50側へ反発可能にしている。その磁力の磁極方向に対して永久磁石80による吸引、反発力を利用することで、第2可動コア60の軸方向位置を、反第1可動コア側に吸引される方向つまり第1可動コア50から遠のく方向側の位置としての高リフト状態に規制する位置と、第1可動コア側へ反発される方向つまり第1可動コアへ近づく方向側の位置としての低リフト状態に規制する位置とに切換えることができる。
したがって、従来のようにソレノイドつまり駆動コイルを例えば2つ設けてストッパ用駆動コイルを通電停止および通電にすることでノズルニードルのリフト量を切換えるのではなく、駆動コイル70に発生する磁力の磁極方向を切換えることでノズルニードル30のリフト量を切換えることが可能である。さらに、永久磁石80の吸引、反発力を利用するので、従来の通電停止つまり消磁がなされてリフト量が切換えられる構成に比べて、リフト量切換えの応答性の向上が図れる。
(2)なお、ストッパ用駆動コイルに通電つまり励磁する従来技術の場合には、励磁され磁気飽和するまでの間、本来の電磁力が発生せず、磁気飽和するまでの過渡期は電磁力が比較的小さい。第2可動コア60を磁気吸引する磁束の流れにその電磁力を効率的に変換するために、磁路面積としての対向面積を稼ぐ必要がある。しかしながら、内部に第1スプリング59および第2スプリング69を配置する場合、体格の大型化を招くおそれがある。その解決方法として第1スプリングよび第2スプリングを直列状に配置する方法が考えられるが、第1可動コア50および第2可動コア60に付勢する各付勢力を独立的に調整することが難しいという問題がある。
これに対して本実施形態では、永久磁石80は、常に飽和磁力を発生するように磁化し、着磁することができるので、従来のストッパ用駆動コイルの場合の対向面積のように対向面積17aを稼ぐ必要がない。したがって、第1スプリング59および第2スプリング60を内外に二重に配置し、第1可動コア50と第2可動コア60に独立して付勢力を加えることができる。したがって、各付勢力の調整が容易となるとともに、体格の大型化防止が図れる。
(3)なお、第2スプリング69の内周側には、第1スプリング59と、第1可動コア50に付勢する第1スプリング59の付勢力を調整する付勢力調整手段としてのアジャスティングパイプ41が配置されている。
一般にインジェクタ2の構成および作動が同じであっても、例えば製造工程途中の個々のインジェクタ2の例えば噴射期間Ti−噴射量特性等の噴射特性が異なる場合がある。エンジンに適用するには、インジェクタ2の個々の噴射特性を揃える必要がある。
これに対して、本実施形態では、第1スプリング59と第2スプリング69が内外に二重に配置され、第1可動コア50に加える第1付勢力と、第2可動コア60に加える第2付勢力とを独立して調整することが可能である。第1付勢力は、アジャスティングパイプ41の圧入量を調整することにより、所定の付勢力(荷重)に調整される。その結果、個々のインジェクタ2の燃料噴射量が同一噴射期間Tiにおいて同じになるように調整できる。したがって、個々のインジェクタ2の噴射期間に対する噴射特性を、第1付勢力を調整することでエンジンに適用するインジェクタに要求される特性に揃えることが可能である。
(4)さらになお、本実施形態では、永久磁石80は、第2可動コア60の反第1可動コア50側に配置されている。そのため、第2可動コア60の磁極が駆動コイルの磁力の作用によって逆転すると、第2可動コア60には、磁極の逆転前に比べて、永久磁石80の磁力にバイアスした磁力が作用つまり永久磁石80の磁力と駆動コイルの電磁力を加えた磁力が作用、あるいは永久磁石80に反発する電磁力のいずれかが作用する。バイアスした磁力が作用する場合には、第2可動コア60は第1可動コア50から遠のく方向側の軸方向位置つまり高リフト状態に規制する位置に吸引され、永久磁石80に反発する磁力が作用する場合には、第2可動コア60は第1可動コアに近づく方向側の軸方向位置つまり低リフト状態に規制する位置へ押し戻される。その結果、第2可動コア60の変位動作により第1可動コア50の変位量、つまりノズルニードル30のリフト量を変化させることが容易となる。さらに、噴射率等の噴射・噴霧特性を変化させる機能を、従来に比べて構成を簡素化させて提供することが可能である。
(5)さらになお、本実施形態では、第2可動コア60と永久磁石80との間には、磁性体17が配置されていることが好ましい。駆動コイルへの通電(詳しくは通電方向が正方向の状態)により第1可動コア50および第2可動コア60に発生する磁界(磁力の方向)と永久磁石80の磁界とが逆方向となる場合には、駆動コイルの磁束の流れは、その磁束の流れに対して磁気抵抗となる永久磁石80自身に直接作用せず、磁性体17に作用するため、永久磁石80の磁束の影響を緩和または除去できる。したがって、駆動コイルに発生する電磁力を効率的に利用することができる。
(6)さらになお、本実施形態では、アジャスティングパイプ41の第1スプリング59との接触面は円筒状であることが好ましい。これにより、第2スプリング69と第1スプリング59を内外に二重に配置し、第1可動コア50と第2可動コア60への各付勢力の独立した調整が可能なように、アジャスティングパイプ41を配置することが可能となる。
(他の実施形態)
なお、以上説明した本実施形態では、ノズルボディ12の弁座14の下流側に噴孔21が配置される構成で説明したが、ノズルボディ12と、噴孔プレートとを有するものであってもよい。なお、この場合、噴孔プレートは略有底筒状に形成されており、例えば弁ハウジング16の底部と弁ボディ12の底部との間に挟持されている。噴孔プレートには複数の噴孔21が配置される。噴孔プレートは燃料を微粒化し、噴霧を形成する燃料噴霧形成手段を構成する。
本発明の実施形態の燃料噴射装置の構成を表す部分的断面図である。 本実施形態に係わる電気的構成を示す模式的回路図である。 図2中の電磁コイルへの通電方向を切換える切換手段の切換動作を表す図である。 図1の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルの非通電状態を示す部分的断面図である。 図1の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルへの通電方向の正方向状態を示す部分的断面図である。 図1の燃料噴射装置の作動状態を示す模式的断面図であって、駆動コイルへの通電方向の逆方向状態を示す部分的断面図である。 図1中の燃料噴射弁から噴射される燃料の噴射量と噴射期間との関係を示すグラフであって、図7(a)は燃料噴射弁の個々のばらつきを示すグラフ、図7(b)は各燃料噴射弁の付勢力調整部材による第1付勢部材の付勢力の調整後を示すグラフである。
符号の説明
1 燃料噴射装置
2 インジェクタ(燃料噴射弁)
12 ノズルボディ(弁ボディ)
14 弁座
15 筒部材
15a、15b 内周
15k 段付部
21 噴孔
30 ノズルニードル(弁部材)
31 当接部
50 第1可動コア
60 第2可動コア
62 環状部
70 コイル(駆動コイルの一部)
80 永久磁石
100 ECU(制御手段)
100a 制御部
100b 通電方向切換え回路
B 弁部
S 電磁駆動部

Claims (5)

  1. 噴孔の上流側に弁座を有するノズルボディと、
    前記ノズルボディ内に軸方向移動可能に収容され、前記弁座に離座および着座するノズルニードルと、
    前記ノズルニードルに協働する第1可動コアと、
    前記第1可動コアに軸方向に対峙し、軸方向移動可能な第2可動コアと、
    前記第1可動コアおよび前記第2可動コアを前記ノズルニードルの着座方向に付勢する付勢部材とを備え、
    前記第2可動コアの軸方向位置に応じて前記ノズルニードルのリフト量を可変にする燃料噴射装置において、
    前記第1可動コアおよび前記第2可動コアに磁力を作用可能な駆動コイルと、
    前記磁力に対して前記第2可動コアを反第1可動コア側に吸引および反発可能な永久磁石とを設けるとともに、
    前記付勢部材は、前記第1可動コアを付勢する第1付勢部材と、前記第2可動コアを付勢する第2付勢部材とを有し、前記第2付勢部材の内周側には、前記第1付勢部材と、前記第1付勢部材に所定の荷重を加える付勢力調整部材を設けていることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記永久磁石は、前記第2可動コアの反第1可動コア側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 前記第2可動コアと前記永久磁石との間には、磁性体が配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料噴射装置。
  4. 前記付勢力調整部材の前記第1付勢部材との接触面は、略円筒状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  5. 前記駆動コイルへの通電方向を切換える切換手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
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