JP4134829B2 - ナノファイバー混繊糸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来には無かった形態安定性、開繊性の優れたナノファイバー混繊糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)に代表されるポリエステルやナイロン6(N6)やナイロン66(N66)に代表されるポリアミドといった重縮合系ポリマーは適度な力学特性と耐熱性を有するため、従来から衣料用途や産業資材用途の繊維に好適に用いられてきた。一方、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)に代表される付加重合系ポリマーは適度な力学特性や耐薬品性、軽さを有するため、主として産業資材用途の繊維に好適に用いられてきた。
【0003】
特にポリエステル繊維やポリアミド繊維は衣料用途に用いられてきたこともあり、ポリマー改質だけでなく、繊維の断面形状や極細糸による性能向上の検討も活発に行われてきた。このような検討の一つとして、海島複合紡糸を利用したポリエステルの超極細糸が生み出され、スエード調の人工皮革という大型新製品に結実していった。また、この超極細糸を一般衣料に適用し、通常の繊維では絶対に得られないピーチタッチの優れた風合いの衣料にも展開されている。このため、さらにレベルの高い人工皮革や高質感衣料を得るために、より細い繊維が望まれていた。
【0004】
しかしながら、現在の海島複合紡糸技術では単糸繊度は0.04dtex(直径2μm相当)が限界であり、ナノファイバーに対するニーズに充分応えられるレベルではなかった。また、ポリマーブレンド繊維により超極細糸を得る方法もある(特許文献1、2、3)が、ここで得られる単糸繊度も最も細くとも0.001dtex(直径0.4μm相当)であり、やはりナノファイバーに対するニーズに充分応えられるレベルではなかった。しかも、ここで得られる超極細糸の単糸繊度はポリマーブレンド繊維中での島ポリマーの分散状態で決定されるが、該公報で用いられているポリマーブレンド系では島ポリマーの分散が不十分であるため、得られる超極細糸の単糸繊度ばらつきが大きく、製品の性能が太い単糸群で決定され超極細糸のメリットが十分発揮されないばかりか、品質安定性等にも問題があった。
【0005】
ところで、繊維を極細化する技術として近年脚光を浴びているものにエレクトロスピニングという技術がある。これは、ポリマーを電解質溶液に溶解し、口金から押し出すのであるが、その際、ポリマー溶液に高電圧を印加し、その静電反発作用でポリマー溶液を無理矢理ひきちぎって極細化する技術である。この技術を用いると、単糸繊度は10-5dtexオーダー(単糸直径で数十nm相当)と従来のポリマーブレンド技術によるものに比べ、繊度で1/100以下、直径で1/10以下にすることができる場合もある。しかしながら、ここで扱えるポリマーは電解質溶液にできるものに限定され、汎用ポリマーであるポリエステルやポリアミド、ポリオレフィンといった熱可塑性ポリマーはエレクトロスピニングすることが困難であった。一部、熱可塑性ポリマーの溶融体をエレクトロスピニングする検討もされているが、ポリマー自体の導電性がほとんど無いため、ポリマーに十分電荷を印加できないこと、また溶融体の粘度が高くポリマーがひきちぎられにくいことから、得られる繊維の単糸繊度は10-2dtexレベルであり、従来の海島複合紡糸技術さえも超えることができていないのが現状である。しかも従来公知のエレクトロスピニングを行うと、超極細糸部分である“string”はポリマー溜まり部分である“bead”(直径0.5μm程度)により連結されており(非特許文献1)、超極細糸集合体として見た時に、大きな単糸繊度ばらつきがあり、製品の性能は太い単糸群で決定されるため、超極細糸のメリットが十分発揮されないばかりか、製品の品質安定性等にも問題があった。また、エレクトロスピニングで得られる繊維・繊維製品の形状は不織布に限定され、応用展開に大きな制約があった。
【0006】
ところで、ナノファイバーを得る特殊な方法として、メソポーラスシリカに重合触媒を坦持しておき、そこでPEの重合を行うことで直径が30〜50nm(5×10-6〜2×10-5dtex相当)のPEナノファイバーを得る方法がある(非特許文献2)。しかし、この方法ではナノファイバーの綿状塊しか得られておらず、そこから繊維を引き出すことは不可能である。また、扱えるポリマーもPEのような付加重合系ポリマーのみであり、ポリエステルやポリアミドといった重縮合系ポリマーは重合過程で脱水が必要であるため、原理上扱うことは困難である。このため、この方法で得られるナノファイバーには応用展開に大きな制約があった。
【0007】
また、ナノファイバーを単独で使用すると単糸繊度が非常に小さいため糸条としての剛性が低く、布帛形状とした場合に形態安定性が悪く取り扱いにくい物であった。さらにナノファイバー単独では表面活性が高くなるため凝集を起こしやすくナノファイバーとしての特性を十分に発揮することが出来なかった。
【0008】
以上説明したように、繊維・繊維製品形状やポリマーに制約が無く、広く応用展開可能で、さらに形態安定性、開繊性にも優れたナノファイバーが求められていた。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−156579号公報(1〜4ページ)
【0010】
【特許文献2】
特開平3−113082号公報(1〜5ページ)
【0011】
【特許文献3】
特開平6−272114号公報(1〜4ページ)
【0012】
【非特許文献1】
Polymer, vol.40, 4585(1999).
【0013】
【非特許文献2】
Science, vol.285, 2113(1999).
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、繊維・繊維製品形状やポリマーに制約が無く、広く応用展開可能な形態安定性、開繊性の優れたナノファイバー混繊糸を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、数平均による単糸繊度が0.1×10-6〜500×10-6dtexのナノファイバー群と数平均による単糸繊度が0.001〜0.1dtexの極細糸との混繊糸であり、ナノファイバー群内で繊度比率の60%以上が単糸繊度0.1×10-6〜100×10-6dtexの範囲であるナノファイバー混繊糸、あるいは数平均による単糸繊度が0.1×10-6〜500×10-6dtexのナノファイバー群が5〜90wt%混繊しているナノファイバー混繊糸により達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明でいうポリマーとはポリエステルやポリアミド、またポリオレフィンに代表される熱可塑性ポリマーやフェノール樹脂等のような熱硬化性ポリマー、DNAのような生体ポリマーのことを言うが、熱可塑性ポリマーが成形性の点から好ましい。中でもポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高いものが多く、より好ましい。ポリマーの融点は165℃以上であるとナノファイバーの耐熱性が良好であり好ましい。例えば、ポリ乳酸(PLA)は170℃、PETは255℃、N6は220℃である。また、ポリマーには粒子、難燃剤、帯電防止剤等の添加物を含有させていても良い。またポリマーの性質を損なわない範囲で他の成分が共重合されていても良い。
【0017】
本発明のナノファイバーは、数平均による単糸繊度が0.1×10-6〜500×10-6dtex(単糸直径が1〜250nm相当)の単繊維であり、また、本発明の極細糸は、海島型複合紡糸のような従来技術により作製される数平均による単糸繊度が0.001〜0.1dtexの単繊維であり、本発明のナノファイバー混繊糸は、多数のナノファイバーと多数の極細糸を混繊せしめたものである。
【0018】
そして、本発明では、該ナノファイバー群の単糸繊度の平均値及びばらつきが重要である。これは、ナノファイバー群の横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、同一横断面内で無作為抽出した300本以上の単糸直径を測定することで求める。測定は少なくとも5カ所以上で行い、合計1500本以上の単糸直径を測定する。測定位置は、ナノファイバー混繊糸から得られる繊維製品の均一性を保証する観点から、ナノファイバー混繊糸長方向に互いに10m以上離れて測定する。
【0019】
「数平均による単糸繊度」は以下のようにして求める。1500本以上の測定した単糸直径からそれぞれの単糸繊度を計算し、単純な平均値を求める。本発明では、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は0.1×10-6〜500×10-6dtex(単糸直径で1〜250nm相当)
であることが重要である。これは、従来の海島複合紡糸による超極細糸に比べ単糸繊度で1/100〜1/100000という細さであり、従来の超極細糸とは全く異なる質感を持った衣料用布帛を得ることができるのである。ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は、好ましくは10×10-6〜60×10-6dtex(単糸直径で40〜80nm相当)である。
【0020】
また、ナノファイバー群の単糸繊度のばらつきは、以下のような評価をする。すなわち、ナノファイバーそれぞれの単糸繊度をdtiとし、その総和を総繊度(dt1+dt2+…+dtn)とする。また、同じ単糸繊度を持つナノファイバーの頻度(個数)を数え、その積を総繊度で割ったものをその単糸繊度の繊度比率とする。繊度比率は全体(ナノファイバー群)に対する各単糸繊度成分の重量分率(体積分率)に相当し、これが大きい単糸繊度成分がナノファイバー群の性質に対する寄与が大きいことになる。本発明では、ナノファイバー群の繊度比率の60%以上が単糸繊度0.1×10-6〜100×10-6dtex(単糸直径で1〜100nm相当)の範囲にあることが重要である。すなわち、100×10-6dtex(単糸直径で100nm相当)より大きいナノファイバーの存在が少ないことを意味するものである。これにより、ナノファイバーの機能を充分発揮することができ、また製品の品質安定性も良好とすることができる。好ましくは、ナノファイバー群内で繊度比率の60%以上が0.1×10-6〜60×10-6dtex(単糸直径で1〜80nm相当)の範囲である。より好ましくは、ナノファイバー群内で繊度比率の75%以上が0.1×10-6〜60×10-6dtexの範囲である。
【0021】
また、ナノファイバー混繊糸でナノファイバー群の混繊比が5〜90wt%であることが好ましい。この範囲であれば、ナノファイバーとしての性能を維持し、尚かつ形態安定性に優れたナノファイバー混繊糸を得ることが出来る。より好ましくは20〜80wt%である。
【0022】
また、繊度のばらつきのもう一つの指標として、単糸直径差が30nmの幅に入る単糸の繊度比率であるが、これは、中心繊度付近への集中度を意味しており、この繊度比率が高い程ばらつきが小さいことを意味している。本発明では、ナノファイバー単糸直径差が30nmの幅に入るナノファイバーがナノファイバー群内での単糸の繊度比率が40%以上であることが好ましい。より好ましくは70%以上である。
【0023】
また、本発明では、ナノファイバーを形成するポリマーと極細糸を形成するポリマーの帯電性が異なっていることが好ましい。ここで、帯電性は帯電列(繊維などの電気的絶縁体の帯電符号に関する法則)により評価することが出来る。帯電は表面現象であるため、試料差や表面粗さ、測定法や環境条件によって影響を受けるが、古くから報告されている再現性のよい帯電列が「繊維便覧:第二版」(繊維学会編、丸善株式会社)等に記載されている。これによると、二つの物質の組み合わせで、電子供与性の強い側鎖を持つ高分子が正極に帯電し、電子受容性の強い側鎖を持つ高分子が負極に帯電することが記載されている。従って、帯電列内でより離れている物質ほど帯電性は異なっているのである。帯電性が異なるポリマーからなる繊維を近接させると、電気的反発による開繊性に優れ、しなやかでソフト感に優れる従来では考えられない風合いのナノファイバー混繊糸を得ることが出来るのである。また、この開繊効果によりナノファイバーの特性も飛躍的に向上するのである。例えば、ナイロンとポリエステルの場合は、ナイロンが正極に帯電し、ポリエステルが負極に帯電しやすく好ましい組み合わせである。
【0024】
また、本発明のナノファイバー混繊糸中のナノファイバー群は長繊維状および/または紡績糸形状となっていることが好ましい。ここで、長繊維状および/または紡績糸形状とは以下の状態を言うものである。すなわち、ナノファイバー同士が1次元で配向した集合体が有限の長さで連続している状態を言うものである。これに対して、エレクトロスピニングで得られる不織布ではナノファイバーは全く配向していない2次元集合体である点で、全く異なる形態である。本発明は、1次元に配向したナノファイバー群であり、この点が非常に新規なものである。本発明の長繊維状および/または紡績糸形状のナノファイバー群の長さは通常の長繊維や紡績糸同様に数m以上であると好ましい。
【0025】
また、本発明のナノファイバー群は単糸繊度が従来の超極細糸の1/100〜1/100000以下であるため、比表面積が飛躍的にに大きくなるという特徴がある。このため、通常の超極細糸程度では見られなかったナノファイバー特有の性質を示す。
【0026】
例えば、吸着特性の大幅な向上が挙げられる。実際に、水蒸気の吸着、すなわち吸湿性能の場合、ポリアミドナノファイバーと通常のポリアミド超極細糸で比較してみると、通常のポリアミド超極細糸では吸湿率が2%程度なのに比べ本発明のポリアミドナノファイバー混繊糸では吸湿率が6%に達する場合もあった。吸湿性能は衣料用途では快適性の点から非常に重要な特性であり、本発明ではナノファイバー混繊糸として4%以上とすることが好ましい。
【0027】
さらに、本発明のナノファイバーでは、ナノファイバー間に多数の数nm〜100nm程度の隙間が生まれるため、超多孔性材料のような特異的な性質を示す場合もある。
【0028】
例えば、通常のポリアミド超極細糸では吸水による糸長手方向の膨潤率が3%程度なのに比べ、ポリアミドナノファイバーでは膨潤率が7%に達する場合もある。しかもこの吸水膨潤は乾燥すると元の長さに戻るため、可逆的な寸法変化である。このため、ナノファイバー群を単体で布帛に用いると、寸法安定性や形態安定性が悪いという欠点となるが、本発明では、極細糸と混繊することにより、これらの欠点を解決できるのである。さらに吸水によりナノファイバー群と極細糸群の間に糸長差が生じ、布帛のふくらみが増すという特徴を新たに発現できるのである。
【0029】
なお、本発明のナノファイバー混繊糸を衣料用途に用いると、絹のようなきしみ感やレーヨンのようなドライ感のある優れた風合いの繊維製品を得ることができる。さらに、バフィング等により、表層のナノファイバー群からナノファイバーをさらに開繊させることにより、従来では考えられなかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたタッチの優れた風合いの繊維製品を得ることもできる。
【0030】
本発明のナノファイバー混繊糸の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば以下のような方法を採用することができる。
【0031】
すなわち、2種類以上の溶剤に対する溶解性の異なる易溶解性ポリマーと難溶解性ポリマーをアロイ化してポリマーアロイ溶融体となし、これを海成分とし、前記した難溶解性ポリマーと帯電性の異なる難溶解性ポリマーを島成分として特公昭62−25763号公報等に代表される2成分海島型複合口金を用い紡糸した後、冷却固化して繊維化する。そして必要に応じて延伸・熱処理を施し海島型複合糸を得る。そして、易溶解性ポリマーを溶剤で除去することにより本発明のナノファイバー混繊糸を得ることができる。
【0032】
ここで、ナノファイバー混繊糸の前駆体である海島型複合糸の海成分で易溶解性ポリマーがマトリックス、難溶解性ポリマーがドメインとなり、そのドメインサイズを制御することが重要である。ここで、ドメインサイズは、海島型複合糸の横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)観察し、直径換算で評価したものである。直径換算は画像処理ソフト(WINLOOF)を用いて、物体の面積と同じ面積の等価円の直径(円相当径)を求める。
【0033】
円相当径=(2×(面積/π)1/2)
前駆体中でのドメインサイズによりナノファイバーの直径がほぼ決定されるため、ドメインサイズの分布は本発明のナノファイバーの直径分布に準じて設計される。このため、アロイ化するポリマーの混練が非常に重要であり、本発明では混練押出機や静止混練器等によって高混練することが好ましい。なお、単純なチップブレンド(特許文献2)では混練が不足するため、本発明のような数十nmサイズでドメインを分散させることは困難である。
【0034】
具体的に混練を行う際の目安としては、組み合わせるポリマーにもよるが、混練押出機を用いる場合は、2軸押出混練機を用いることが好ましく、静止混練器を用いる場合は、その分割数は100万以上とすることが好ましい。
【0035】
また、ドメインを数十nmサイズで超微分散させるには、ポリマーの組み合わせも重要である。
【0036】
ドメイン(ナノファイバー断面に相当)を円形に近づけるためには、ドメインポリマーとマトリックスポリマーは非相溶であることが好ましい。しかしながら、単なる非相溶ポリマーの組み合わせではドメインポリマーが充分超微分散化し難い。このため、組み合わせるポリマーの相溶性を最適化することが好ましいが、このための指標の一つが溶解度パラメータ(SP値)である。SP値とは(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメータであり、SP値が近い物同士では相溶性が良いポリマーアロイが得られる可能性がある。SP値は種々のポリマーで知られているが、例えば「プラスチック・データブック」旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編、189ページ等に記載されている。2つのポリマーのSP値の差が1〜9(MJ/m3)1/2であると、非相溶化によるドメインの円形化と超微分散化が両立させやすく好ましい。例えばN6とPETはSP値の差が6(MJ/m3)1/2程度であり好ましい例であるが、N6とPEはSP値の差が11(MJ/m3)1/2程度であり好ましくない例として挙げられる。
【0037】
ポリマー同士の融点差が20℃以下であると、特に押出混練機を用いた混練の際、押出混練機中での融解状況に差を生じにくいため高効率混練しやすく、好ましい。また、熱分解や熱劣化し易いポリマーを1成分に用いる際は、混練や紡糸温度を低く抑える必要があるが、これにも有利となるのである。ここで、非晶性ポリマーの場合は融点が存在しないためガラス転移温度やビカット軟化温度あるいは熱変形温度でこれに代える。
【0038】
さらに、溶融粘度も重要であり、ドメインを形成するポリマーの方を低く設定すると剪断力によるドメインポリマーの変形が起こりやすいため、ドメインポリマーの微分散化が進みやすくナノファイバー化の観点からは好ましい。ただし、ドメインポリマーを過度に低粘度にするとマトリックス化しやすくなり、繊維全体に対するブレンド比を高くできないため、ドメインポリマー粘度はマトリックスポリマー粘度の1/10以上とすることが好ましい。
【0039】
ポリマーアロイ中では、ドメインポリマーとマトリックスポリマーが非相溶であるため、ドメインポリマー同士は凝集した方が熱力学的に安定である。しかし、ドメインポリマーを無理に超微分散化するために、このポリマーアロイでは通常の分散径の大きいポリマーブレンドに比べ、非常に不安定なポリマー界面が多くなっている。このため、このポリマーアロイを単純に紡糸すると、不安定なポリマー界面が多いため、口金からポリマーを吐出した直後に大きくポリマー流が膨らむ「バラス現象」が発生したり、ポリマーアロイ表面の不安定化による曳糸性不良が発生し、糸の太細斑が過大となるばかりか、紡糸そのものが不能となる場合がある(超微分散ポリマーアロイの負の効果)。このような問題を回避するため、口金から吐出する際の、口金孔壁とポリマーとの間の剪断応力を低くすることが好ましい。そのためには、口金孔径は大きく、口金孔長は短くする傾向であるが、過度にこれを行うと口金孔でのポリマーの計量性が低下し、繊度斑や紡糸性悪化が発生してしまうため、吐出孔より上部にポリマー計量部を有する口金を用いることが好ましい。ポリマー計量部は、具体的には特公昭62−25763号公報の第1図に記載のように島成分の導入孔に絞った部位、海成分はパイプとの間に狭隘部で計量することが好ましい。
【0040】
また、溶融紡糸での曳糸性や紡糸安定性を十分確保する観点から、口金面温度はマトリックスポリマーの融点+25℃以上とすることが好ましい。
【0041】
上記したように、本発明で用いる超微分散化したポリマーアロイを海成分として紡糸する際は、紡糸口金設計が重要であるが、糸の冷却条件も重要である。上記したようにポリマーアロイは非常に不安定な溶融流体であるため、口金から吐出した後に速やかに冷却固化させることが好ましい。このため、口金から冷却開始までの距離は1〜15cmとすることが好ましい。ここで、冷却開始とは糸の積極的な冷却が開始される位置のことを意味するが、実際の溶融紡糸装置ではチムニー上端部でこれに代える。
【0042】
紡糸速度は特に限定されないが、紡糸過程でのドラフトを高くする観点から高速紡糸ほど好ましい。紡糸ドラフトとしては100以上とすることが、得られるナノファイバー直径を小さくする観点から好ましい。
【0043】
また、紡糸されたポリマーアロイ繊維には延伸・熱処理を施すことが好ましいが、延伸の際の予熱温度はドメインポリマーのガラス転移温度(Tg)以上の温度することで、糸斑を小さくすることができ、好ましい。
【0044】
製造方法は、以上のようなポリマーの組み合わせ、紡糸・延伸条件の最適化を行うことで、マトリックスポリマーが数十nmに超微分散化し、しかも糸斑の小さなポリマーアロイを海成分とした海島型複合糸を得ることを可能にするものである。このようにして得た前駆体を用いることで、ある断面だけでなく長手方向のどの断面をとっても単糸繊度ばらつきの小さなナノファイバーを得ることができるのである。前駆体である海島型複合糸のウースター斑は15%以下とすることが好ましく、より好ましくは5%以下である。
【0045】
このようにして得られた海島型複合糸からマトリックスポリマーである易溶解ポリマーを溶剤で溶出することで、ナノファイバー混繊糸を得るのであるが、その際、溶剤としては水溶液系のものを用いることが環境負荷を低減する観点から好ましい。具体的にはアルカリ水溶液や熱水を用いることが好ましい。このため、易溶解ポリマーとしては、ポリエステル等のアルカリ加水分解されるポリマーやポリアルキレングリコールやポリビニルアルコールおよびそれらの誘導体等の熱水可溶性ポリマーが好ましい。
【0046】
このような製造方法により繊維長が数十μmから場合によってはcmオーダー以上のナノファイバーがところどころ接着したり絡み合った紡績糸形状のナノファイバー群と極細糸群が混合されたナノファイバー混繊糸が得られるのである。
【0047】
また、本発明のナノファイバー混繊糸の強度は1cN/dtex以上であれば繊維製品の力学物性を向上できるため好ましい。ナノファイバー混繊糸の強度は、より好ましくは2cN/dtex以上である。さらに、前駆体である海島型複合糸を捲縮加工することも可能である。
【0048】
本発明のナノファイバー混繊糸は、長繊維、短繊維、不織布、熱成形体等様々な繊維製品形態を採ることができる。そして、、シャツやブルゾン、パンツ、コート、人工皮革といった衣料用途のみならず、カップやパッド等の衣料資材用途、カーテンやカーペット、マット、家具等のインテリア用途、さらにワイピングクロス、研磨布、フィルター等の産業資材用途、車両内装用途、細胞吸着材のようなメディカル用途にも好適に用いることができる。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
【0050】
A.ポリマーの溶融粘度
東洋精機キャピログラフ1Bによりポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
【0051】
B.融点
Perkin Elmaer DSC-7を用いて、2nd runでポリマーの融解を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。この時の昇温速度は16℃/分、サンプル量は10mgとした。
【0052】
C.前駆体である海島型複合糸ののウースター斑(U%)
ツェルベガーウスター株式会社製USTER TESTER 4を用いて給糸速度200m/分でノーマルモードで測定を行った。
【0053】
D.TEMによる繊維横断面観察
繊維の横断面方向に超薄切片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)で繊維横断面を観察した。また、ナイロンはリンタングステン酸で金属染色した。
【0054】
TEM装置 : 日立社製H-7100FA型
E.ナノファイバー群の数平均による単糸繊度、単糸直径
数平均による単糸繊度は以下のようにして求める。すなわち、TEMによる繊維横断面写真を画像処理ソフト(WINROOF)を用いて単糸直径および単糸繊度を計算し、単純な平均値を求めた。これを「数平均による単糸繊度」とした。この時、平均に用いるナノファイバー数は同一横断面内で無作為抽出した300本以上の単糸直径を測定したが、これをナノファイバー混繊糸長方向に互いに10m以上離れた5カ所で行い、合計1500本以上の単糸直径を用いて計算した。
【0055】
F.ナノファイバー群の単糸繊度のばらつき
ナノファイバーの単糸繊度のばらつきは、以下のようにして評価する。すなわち、上記数平均による単糸繊度を求める際に使用したデータを用い、ナノファイバーそれぞれの単糸繊度をdtiとしその総和を総繊度(dt1+dt2+…+dtn)とする。また、同じ単糸繊度を持つナノファイバーの頻度(個数)を数え、その積を総繊度で割ったものをその単糸繊度の繊度比率とする。
【0056】
G.ナノファイバー群の単糸直径差の幅
ナノファイバー群の単糸直径差の幅は以下のようにして評価する。すなわち、ナノファイバーの単糸直径の中心値付近で単糸直径差が30nmの幅に入る単糸の繊度比率で評価する。これは、中心繊度付近への集中度を意味しており、この繊度比率が高いほどばらつきが小さいことを意味している。これも上記数平均による単糸繊度を求める際に使用したデータを用いた。
【0057】
H.SEM観察
繊維に白金−パラジウム合金を蒸着し、走査型電子顕微鏡で繊維側面を観察した。
【0058】
SEM装置 : ニコン製ESEM-2700
I.力学特性
ナノファイバー混繊糸は10mの重量、海島型複合糸は100mの重量をn=5回測定し、これの平均値からナノファイバー混繊糸、海島型複合糸の繊度(dtex)を求めた。そして、室温(25℃)で、初期試料長=200mm、引っ張り速度=200mm/分とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。次に破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求めた。
【0059】
J.吸湿性(ΔMR)
サンプルを秤量瓶に1〜2g程度はかり取り、110℃に2時間保ち乾燥させ重量を測定し(W0)、次に対象物質を20℃、相対湿度65%に24時間保持した後重量を測定する(W65)。そして、これを30℃、相対湿度90%に24時間保持した後重量を測定する(W90)。そして、以下の式にしたがい計算を行う。
【0060】
MR65=[(W65−W0)/W0]×100% ・・・・・ (1)
MR90=[(W90−W0)/W0]×100% ・・・・・ (2)
ΔMR=MR90−MR65 ・・・・・・・・・・ (3)
K.有害・悪臭物質ガスの除去試験
サンプル3.0gを500mlのポリエチレン製容器内に固定した後、悪臭物質を容器内に導入した。そして、密栓後、容器を50℃で1分間保持し、悪臭物質を十分気化させた。そして、30℃で所定時間放置後、容器内の空気をサンプリングし、株式会社ガステック社製のガス検知管で悪臭物質濃度を測定した。
【0061】
実施例1
溶融粘度530poise(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のN6(20重量%)と溶融粘度3100poise(262℃、剪断速度121.6sec-1)、イソフタル酸を8mol%、ビスフェノールAを4mol%共重合した融点225℃の共重合PET(80重量%)を2軸押し出し混練機で260℃で混練してポリマーアロイチップを得た。このポリマーアロイ(80重量%)を275℃、PBT(溶融粘度1500poise:262℃、剪断速度121.6sec-1、融点220℃)(20重量%)を260℃としてそれぞれ溶融部2で溶融し、紡糸温度280℃のスピンブロック3に導いた。そして、限界濾過径15μmの金属不織布でポリマーアロイ溶融体とPBTを別々に濾過した後、PBTを島成分(A)、ポリマーアロイを海成分(B)として特公昭62−25763号公報の第1図に記載の海島型複合口金(36島)を用い口金面温度262℃とした口金5から溶融紡糸した(図10)。この時、口金は吐出孔径が0.8mm、吐出孔長0.8mm、島成分の計量部の孔径は0.23mm、孔長0.3mm、海成分の計量部であるパイプとの間の狭隘部は0.03mmのものを用い、この時の単孔あたりの吐出量は1.2g/分とした。さらに、口金下面から冷却開始点(チムニー6の上端部)までの距離は9cmであった。吐出された糸条は20℃の冷却風で1mにわたって冷却固化され、口金5から1.8m下方に設置した給油ガイド8で給油された後、非加熱の第1引き取りローラー9および第2引き取りローラー10を介して900m/分で巻き取られた。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これを第1ホットローラー14の温度を90℃、第2ホットローラー15の温度を130℃として延伸熱処理した(図11)。この時、第1ホットローラー14と第2ホットローラー15間の延伸倍率を3.2倍とした。得られた海島型複合糸は150dtex、36フィラメント、強度4.0cN/dtex、伸度35%、U%=1.7%の優れた特性を示した。また、得られた海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分(濃い部分)、PBTが島成分(薄い部分)を形成しており海島型複合構造をしていた。(図3)さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、共重合PET(薄い部分)がマトリックス、N6(濃い部分)がドメインの海島構造を示し(図4)、ドメインN6の数平均による直径は53nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイとなっており、海成分がポリマーアロイ化した海島型複合糸が得られた。
【0062】
ここで得られた海島型複合糸を用いて丸編みを作製し、これを6%の水酸化ナトリウム水溶液(95℃、浴比1:100)で3時間浸漬することでポリマーアロイ中の共重合PETの99%以上、PBTの4%を加水分解除去した。これにより、N6ナノファイバーとPBT極細糸からなる本発明のナノファイバー混繊糸が得られた。
【0063】
さらにN6ナノファイバー混繊糸のナノファイバー群の繊維横断面をTEMによって観察した結果を図5に示すが、このN6ナノファイバーは単糸直径が数十nm程度であることがわかった。そして、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は30×10 −6 dtex(単糸直径で56nm)と従来にない細さであった。また、単糸繊度が0.1×10−6〜100×10−6dtex(単糸直径で1〜100nm)の繊度比率は99%であり、特に中心繊度付近の単糸直径差30nmの幅(55〜84nm)に入る繊度比率は71%であり、単糸繊度ばらつきはごく小さいものであった。TEM写真から解析したナノファイバーの単糸直径ヒストグラムを図6、7に示すが、この時、単糸直径で10nm刻みで本数(頻度)および繊度比率を数えた。単糸直径で10nm刻みとは、例えば単糸直径55〜64nmのものは単糸直径60nm、また糸直径75〜84nmのものは単糸直径80nmとして数えたことを意味している。また、これの繊維側面をSEMで観察したところ、ナノファイバーが極細糸の周りに散在し、ナノファイバー単体(図2)の場合に比べ凝集が著しく改善されていた。(図1)なお、このN6ナノファイバー混繊糸の力学特性を測定したところ、強度3.0cN/dtex、伸度50%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が45wt%で極細糸群が55wt%であった。
【0064】
また、この丸編みの吸湿率(ΔMR)を測定したところ、4.3%と綿と同等の優れた吸湿性を示した。なお、N6ナノファイバーのΔMRを6%、PBT極細糸のΔMRを0%として混繊比からΔMRを単純計算すると2.7%であるが、ここではN6とPBTの帯電性の違いによりナノファイバーが開繊することによって4.3%まで飛躍的に向上した。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率83%と通常のN6繊維に比べ高い消臭性能を示した。これも混繊比から単純計算した消臭率からすると、開繊効果によって飛躍的に向上したものである。
【0065】
また、この丸編みは従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したが形崩れなく丸編みの形状を維持しており形態安定性に優れたものであった。
【0066】
実施例2
N6を溶融粘度2120poise(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のN6(20重量%)として、実施例1と同様に2軸押出混練機を用いポリマーアロイチップを得た。そして、単孔あたりの吐出量は1.1g/分として実施例1と同様に溶融紡糸を行い、海島型複合未延伸糸を得た。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これを延伸倍率を3.0倍として、やはり実施例1と同様に延伸し、150dtex、36フィラメント、強度4.1cN/dtex、伸度37%、U%=1.2%の優れた特性を有する海島型複合糸を得た。また、得られた海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分、PBTが島成分を形成しており海島型複合構造をしていた。さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、共重合PETがマトリックス、N6(濃い部分)がドメインの海島構造を示し、ドメインN6の数平均による直径は40nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイとなっており、海成分がポリマーアロイ化した海島型複合糸が得られた。
【0067】
ここで得られた海島型複合糸を用いて実施例1同様に、アルカリ処理によりN6ナノファイバーとPBT極細糸からなる本発明のナノファイバー混繊糸を得た。さらにこれらのナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は20×10-6dtex(単糸直径で43nm)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった。また、これの繊維側面をSEMで観察したところナノファイバーの凝集がナノファイバー単体の場合に比べ抑制されていた。なお、このN6ナノファイバー混繊糸からなる糸は、強度3.2cN/dtex、伸度50%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が45wt%で極細糸群が55wt%であった。
【0068】
また、この丸編みの吸湿率(ΔMR)を測定したところ、4.4%と綿と同等の優れた吸湿性を示した。なお、N6ナノファイバーのΔMRを6%、PBT極細糸のΔMRを0%として混繊比からΔMRを単純計算すると2.7%であるが、ここではN6とPBTの帯電性の違いによりナノファイバーが開繊することによって4.4%まで飛躍的に向上した。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率86%と通常のN6繊維に比べ高い消臭性能を示した。これも混繊比から単純計算した消臭率からすると、開繊効果によって飛躍的に向上したものである。
【0069】
また、この丸編みは従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したが形崩れなく丸編みの形状を維持しており形態安定性に優れたものであった。
【0070】
実施例3
N6を溶融粘度5000poise(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のN6(20重量%)として実施例2と同様に溶融紡糸を行い、海島型複合糸を得た。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これをやはり実施例2と同様に延伸・熱処理して150dtex、36フィラメント、強度4.5cN/dtex、伸度37%の、U%=1.9%の優れた特性を有する海島型複合糸を得た。また、得られた海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分、PBTが島成分を形成しており海島型複合構造をしていた。さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、共重合PETがマトリックス、N6がドメインの海島構造を示し、ドメインN6の数平均による直径は60nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイとなっており、海成分がポリマーアロイ化した海島型複合糸が得られた。
【0071】
ここで得られた海島型複合糸を用いて実施例1同様に、アルカリ処理によりN6ナノファイバーとPBT極細糸からなる本発明のナノファイバー混繊糸を得た。さらにこれらのナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は40×10-6dtex(単糸直径で65nm)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった。また、これの繊維側面をSEMで観察したところナノファイバーの凝集がナノファイバー単体の場合に比べ抑制されていた。なお、このN6ナノファイバー混繊糸は、強度3.4cN/dtex、伸度50%であった。さらに140℃乾熱での収縮率は3%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が45wt%で極細糸群が55wt%であった。
【0072】
また、この丸編みの吸湿率(ΔMR)を測定したところ、4.0%と綿と同等の優れた吸湿性を示した。なお、N6ナノファイバーのΔMRを6%、PBT極細糸のΔMRを0%として混繊比からΔMRを単純計算すると2.7%であるが、ここではN6とPBTの帯電性の違いによりナノファイバーが開繊することによって4.0%まで飛躍的に向上した。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率80%と通常のN6繊維に比べ高い消臭性能を示した。これも混繊比から単純計算した消臭率からすると、開繊効果によって飛躍的に向上したものである。
【0073】
また、この丸編みは従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したが形崩れなく丸編みの形状を維持しており形態安定性に優れたものであった。
【0074】
実施例4
N6をブレンド比をポリマーアロイ全体に対し40重量%として、実施例3と同様に溶融紡糸を行い、海島型複合糸を得た。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これをやはり実施例3と同様に延伸・熱処理して150dtex、36フィラメント、強度4.3cN/dtex、伸度37%、U%=2.5%の優れた特性を有する海島型複合糸を得た。また、得られた海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分、PBTが島成分を形成しており海島型複合構造をしていた。さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、共重合PETがマトリックス、N6がドメインの海島構造を示し、ドメインN6の数平均による直径は80nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイとなっており、海成分がポリマーアロイ化した海島型複合糸が得られた。
【0075】
ここで得られた海島型複合糸を用いて実施例1同様に、アルカリ処理によりN6ナノファイバーとPBT極細糸からなる本発明のナノファイバー混繊糸を得た。さらにこれらのナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は50×10-6dtex(単糸直径で72nm)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった。また、これの繊維側面をSEMで観察したところナノファイバーの凝集がナノファイバー単体の場合に比べ抑制されていた。なお、このN6ナノファイバー混繊糸からなる糸は、強度3.5cN/dtex、伸度50%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が63wt%で極細糸群が37wt%であった。
【0076】
また、この丸編みの吸湿率(ΔMR)を測定したところ、5.0%と綿と同等の優れた吸湿性を示した。なお、N6ナノファイバーのΔMRを6%、PBT極細糸のΔMRを0%として混繊比からΔMRを単純計算すると3.8%であるが、ここではN6とPBTの帯電性の違いによりナノファイバーが開繊することによって5.0%まで飛躍的に向上した。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率92%と通常のN6繊維に比べ高い消臭性能を示した。これも混繊比から単純計算した消臭率からすると、開繊効果によって飛躍的に向上したものである。
【0077】
また、この丸編みは従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したが形崩れなく丸編みの形状を維持しており形態安定性に優れたものであった。
【0078】
実施例5
N6をブレンド比をポリマーアロイ全体に対し50重量%として、実施例4と同様に溶融紡糸を行い、海島型複合糸を得た。この時の紡糸性は良好であり、24時間の連続紡糸の間の糸切れはゼロであった。そして、これをやはり実施例4と同様に延伸・熱処理して150dtex、36フィラメント、強度4.3cN/dtex、伸度37%、U%=2.5%の優れた特性を有する海島型複合糸を得た。また、得られた海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分、PBTが島成分を形成しており海島型複合構造をしていた。さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、共重合PETがマトリックス、N6がドメインの海島構造を示し、ドメインN6の数平均による直径は80nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイとなっており、海成分がポリマーアロイ化した海島型複合糸が得られた。
【0079】
ここで得られた海島型複合糸を用いて実施例1同様に、アルカリ処理によりN6ナノファイバーとPBT極細糸からなる本発明のナノファイバー混繊糸を得た。さらにこれらのナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は60×10-6dtex(単糸直径で84nm)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった。また、これの繊維側面をSEMで観察したところナノファイバーの凝集がナノファイバー単体の場合に比べ抑制されていた。なお、このN6ナノファイバー混繊糸からなる糸は、強度3.6cN/dtex、伸度50%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が68wt%で極細糸群が32wt%であった。
【0080】
また、この丸編みの吸湿率(ΔMR)を測定したところ、5.5%と綿と同等の優れた吸湿性を示した。なお、N6ナノファイバーのΔMRを6%、PBT極細糸のΔMRを0%として混繊比からΔMRを単純計算すると4.1%であるが、ここではN6とPBTの帯電性の違いによりナノファイバーが開繊することによって5.5%まで飛躍的に向上した。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率95%と通常のN6繊維に比べ高い消臭性能を示した。これも混繊比から単純計算した消臭率からすると、開繊効果によって飛躍的に向上したものである。
【0081】
また、この丸編みは従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したが形崩れなく丸編みの形状を維持しており形態安定性に優れたものであった。
【0082】
比較例1
溶融粘度1800poise(290℃、剪断速度121.6sec-1)、融点255℃のPETを島成分に、溶融粘度1000poise(290℃、剪断速度121.6sec-1)、ビカット軟化温度107℃のポリスチレン(PS)を海成分に用いて、特公昭61−9420号公報の実施例1記載のように海島複合糸を得た。そして、これをやはり特公昭61−9420号公報の実施例記載のようにトリクロロエチレン処理によりPSを99%以上除去して超極細糸を得た。これの繊維横断面をTEM観察したところ、超極細糸の数平均による単糸繊度は0.04dtex(単糸直径で2.0μm)と大きいものであった。
【0083】
比較例2
溶融粘度530poise(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点220℃のN6(20重量%)と溶融粘度3100poise(262℃、剪断速度121.6sec-1)、融点225℃のイソフタル酸を8mol%、ビスフェノールAを4mol%共重合した融点225℃の共重合PET(80重量%)を2軸押し出し混練機で260℃で混練してポリマーアロイチップを得た。このポリマーアロイを275℃で溶融し、紡糸温度280℃、限界濾過径15μmの金属不織布でポリマーアロイ溶融体を濾過した後、口金面温度262℃、口金は吐出孔上部に直径0.3mmの計量部を備えた、吐出孔径0.7mm、吐出孔長1.75mmのものを用い実施例1と同様に紡糸を行った。ついで延伸倍率を3.2倍として、実施例1と同様に延伸を行い、得られたポリマーアロイ繊維は120dtex、12フィラメント、強度4.0cN/dtex、伸度35%、U%=1.7%であった。また、得られたポリマーアロイ繊維の横断面をTEMで観察したところ、共重合PETがマトリックス、N6がドメインの海島構造を示し、N6ドメインの数平均による直径は53nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイ繊維が得られた。
【0084】
ここで得られたポリマーアロイ繊維を実施例1同様に丸編みを作製し、アルカリ処理を施しPETを除去した。この結果得られた、N6ナノファイバー単体からなる丸編みは、特に吸水時の形態安定性が不良であり、簡単に布帛が変形し形崩れし易いものであった。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したところ、形崩れし丸い固まり状になってしまった。
【0085】
また、このN6ナノファイバー単体のSEM観察を行ったところナノファイバー同士の凝集が著しいものであった。(図2)
比較例3
溶融粘度500ポイズ(280℃、121.6sec−1)、融点220℃のN6と溶融粘度2100ポイズ(280℃、121.6sec−1)、融点255℃のPETをN6ブレンド比を20重量%となるようにチップブレンドした後、290℃で溶融し、紡糸温度を296℃、口金面温度280℃、口金孔数36、吐出孔径0.30mm、吐出孔長0.50mmのずん胴口金として実施例1と同様に溶融紡糸を行い、紡糸速度1000m/分で未延伸糸を巻き取った。ただし、単純なチップブレンドであり、ポリマー同士の融点差も大きいためN6とPETのブレンド斑が大きく、口金下で大きなバラスが発生しただけでなく、曳糸性にも乏しく、安定して糸を巻き取ることはできなかったが、少量の未延伸糸を得て、第1ホットローラー17の温度を85℃、延伸倍率3倍として実施例1と同様に延伸を行い、100dtex、36フィラメントの延伸糸を得た。
【0086】
この糸を用いて実施例1と同様に丸編みとなし、やはりアルカリ処理によりPET成分を99%以上除去した。得られた丸編みからN6単独糸を引き出し、TEMにより繊維横断面観察を行ったところ、単糸繊度は0.001〜0.1dtex(単糸直径で400〜4000nm)の超極細糸が生成していることを確認した。しかし、これの数平均による単糸繊度は9000×10-6dtex(単糸直径1000nm)と大きいものであった。さらにN6超極細糸の単糸繊度ばらつきも大きいものであった。
【0087】
比較例4
溶融粘度3950ポイズ(262℃、121.6sec−1)、融点220℃のN6と溶融粘度560ポイズ(262℃、121.6sec−1)、融点105℃のPEとをN6ブレンド比を65重量%となるようにチップブレンドした後、図15の装置を用い、1軸押出混練機18の温度を260℃として溶融した後、口金孔数12、吐出孔径0.30mm、吐出孔長0.50mmのずん胴口金として実施例1と同様に溶融紡糸を行った。ただし、N6とPEのブレンド斑が大きく、口金下で大きなバラスが発生しただけでなく、曳糸性にも乏しく、安定して糸を巻き取ることはできなかったが、少量の未延伸糸を得て、実施例1と同様に延伸・熱処理を行い、82dtex、12フィラメントの延伸糸を得た。この時の延伸倍率は2.0倍とした。
【0088】
この糸を用いて実施例1と同様に丸編みとなし、85℃のトルエンにより1時間以上PEを溶出処理しPEの99%以上を除去した。得られた丸編みからN6単独糸を引き出し、TEMにより繊維横断面観察を行ったところ、単糸繊度は0.002〜0.08dtex(単糸直径で500〜3000nm)の超極細糸が生成していることを確認した。これの数平均による単糸繊度は9000×10-6dtex(単糸直径1000nm)と大きいものであった。さらにN6超極細糸の単糸繊度ばらつきも大きいものであった。
【0089】
比較例5
溶融粘度1500ポイズ(262℃、121.6sec-1)、融点220℃のN6と溶融粘度1450ポイズ(262℃、121.6sec-1)、融点105℃のPEとをN6ブレンド比を20重量%となるようそれぞれのポリマーを計量しながら2軸押し出し混練機に導く図16の装置を用い、比較例3と同様に溶融紡糸を行った。ただし、N6とPEのブレンド斑が大きく、口金下で大きなバラスが発生しただけでなく、曳糸性にも乏しく、
安定して糸を巻き取ることはできなかったが、少量の未延伸糸を得て、実施例1と同様に延伸・熱処理を行い、82dtex、12フィラメントの延伸糸を得た。この時の延伸倍率は2.0倍とした。
【0090】
この糸を用いて実施例1と同様に丸編みとなし、85℃のトルエンにより1時間以上PEを溶出処理しPEの99%以上を除去した。得られた丸編みからN6単独糸を引き出し、TEMにより繊維横断面観察を行ったところ、単糸繊度90×10-6〜9000×10-6dtex(単糸直径で100〜1000nm)の超極細糸が生成していることを確認した。しかし、これの数平均による単糸繊度は1000×10-6dtex(単糸直径384nm)と大きいものであった。さらに、これは超極細糸の単糸繊度ばらつきも大きいものであった(図8、9)。
【0091】
比較例6
特公昭60−28922号公報第11図記載の紡糸パックおよび口金を用いて、比較例1記載のPSおよびPETを用い、比較例1と同様に海島複合糸を得た。この時、海島複合糸の島成分はPSとPETの2:1(重量比)のブレンドポリマー、海成分としてPSを用いた(海島複合比は重量比で1:1)。具体的には該公報第11図においてA成分をPET、BおよびC成分をPSとした。そして、これをやはり比較例1と同様にトリクロロエチレン処理してPSを99%以上除去して超極細糸を得た。これの繊維横断面を観察したところ、最小で単糸直径100nm程度の単糸もごく微量存在したが、PS中へのPETの分散が悪いため、これの数平均による単糸繊度は900×10-6dtex(単糸直径326nm)と大きいものであり、超極細糸の単糸繊度ばらつきも大きなものであった。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
実施例6
共重合PETを熱水可溶性ポリマーである第一工業製薬株式会社製“パオゲンPP−15”(PAO)(溶融粘度3500poise、262℃、121.6sec-1、融点55℃)に変更し、図13の装置を用いて240℃の2軸押出混練機19で溶融混練した後、ポリマー融液を紡糸温度を280℃のスピンブロック3に導き、島成分をPET(溶融粘度1500poise、290℃、121.6sec-1、融点255℃)、紡糸速度を5000m/分として実施例1と同様に混練、溶融紡糸を行った。この時のポリマーのブレンド比はN6が20重量%、PAOが80重量%、海島複合の複合比は海成分であるポリマーアロイが80重量%、島成分であるPETが20重量%であった。得られた海島型複合糸は125dtex、36フィラメント、強度3.8cN/dtex、伸度50%、U%=1.7%の優れた特性を示した。この海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分、PETが島成分を形成しており海島型複合構造をしていた。さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、PAOがマトリックス、N6がドメインの海島構造を示し、N6ドメインの数平均による直径は53nmであり、N6が超微分散化した海島型複合糸が得られた。
【0096】
ここで得られた海島型複合糸を用いて実施例1同様に丸編みを作成し、熱水処理(95℃、2時間)によりPAOを99%以上除去しN6ナノファイバーとPET極細糸からなる本発明のナノファイバー混繊糸からなる丸編みを得た。さらにこれらのナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は30×10-6dtex(単糸直径で56nm)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった。また、これの繊維側面をSEMで観察したところナノファイバーの凝集がナノファイバー単体の場合に比べ抑制されていた。なお、このN6ナノファイバー混繊糸は、強度3.2cN/dtex、伸度60%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が44wt%で極細糸群が56wt%であった。
【0097】
また、このナノファイバー混繊糸からなる丸編みの吸湿率(ΔMR)は4%と綿と同等の優れた吸湿性を示した。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率83%と通常のN6繊維に比べ高い消臭性能を示した。
【0098】
実施例7
共重合PETを熱水可溶性ポリマーである第一工業製薬株式会社製“パオゲンPP−15”(PAO)(溶融粘度3500poise、262℃、121.6sec-1、融点55℃)に変更し、島成分をPLA(溶融粘度3200poise、240℃、121.6sec-1、融点170℃)として、紡糸速度を5000m/分として実施例6と同様に混練、溶融紡糸を行った。この時のポリマーのブレンド比はN6が20重量%、PAOが80重量%、海島複合の複合比は海成分であるポリマーアロイが80重量%、島成分であるPETが20重量%であった。得られた海島型複合糸は125dtex、36フィラメント、強度3.8cN/dtex、伸度50%、U%=1.7%の優れた特性を示した。この海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分(薄い部分)、PLAが島成分を形成しており海島型複合構造をしていた。さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、PAOがマトリックス、N6がドメインの海島構造を示し、N6ドメインの数平均による直径は53nmであり、N6が超微分散化した海島型複合糸が得られた。
【0099】
ここで得られた海島型複合糸を用いて実施例1同様に丸編みを作成し、熱水処理(95℃、2時間)によりPAOを99%以上除去しN6ナノファイバーとPLA極細糸からなる本発明のナノファイバー混繊糸を得た。さらにこれらのナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は30×10-6dtex(単糸直径で57nm)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった。また、これの繊維側面をSEMで観察したところナノファイバーの凝集がナノファイバー単体の場合に比べ抑制されていた。なお、このN6ナノファイバー混繊糸は、強度2.5cN/dtex、伸度60%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が44wt%で極細糸群が56wt%であった。
【0100】
また、このナノファイバー混繊糸からなる丸編みの吸湿率(ΔMR)は4%と綿と同等の優れた吸湿性を示した。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率83%と通常のN6繊維に比べ高い消臭性能を示した。
【0101】
実施例8
N6の代わりに溶融粘度1000poise(280℃、121.6sec-1)、融点250℃のN66を図12の装置を用いて270℃で溶融し、実施例1で用いた共重合PETも同様に図12の装置を用いて270℃で溶融した後、それぞれのポリマー融液を紡糸温度を280℃のスピンブロック3に導いた。そして、紡糸パック4内に装着した静止混練器25(東レエンジニアリング社製“ハイミキサー”)を用いて2種のポリマーを104万分割して充分混合しポリマーアロイ溶融体とした後、これを海成分とし、島成分をPBTとして紡糸速度は5000m/分、実施例1同様に溶融紡糸を行った。この時のポリマーアロイのブレンド比はN66が20重量%、共重合PETが80重量%、海島複合の複合比は海成分であるポリマーアロイが80重量%、島成分であるPBTが20重量%であった。得られた海島型複合糸は、125dtex、36フィラメント、強度4.5cN/dtex、伸度45%、U%=1.7%の優れた特性を示した。この海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分、PBTが島成分を形成しており海島型複合構造をしていた。さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、共重合PETがマトリックス、N66がドメインの海島構造を示し、N66ドメインの数平均による直径は58nmであり、N66が超微分散化したポリマーアロイとなっており、海成分がポリマーアロイ化した海島型複合糸が得られた。
【0102】
ここで得られた海島型複合糸を用いて実施例1同様に、アルカリ処理により本発明のナノファイバー混繊糸からなる丸編みを得た。さらにこれらのナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は30×10-6dtex(単糸直径で62nm)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった。また、これの繊維側面をSEMで観察したところナノファイバーの凝集がナノファイバー単体の場合に比べ抑制されていた。なお、このN66ナノファイバー混繊糸は、強度3.4cN/dtex、伸度60%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が44wt%で極細糸群が56wt%であった。
【0103】
また、このナノファイバー混繊糸からなる丸編みの吸湿率(ΔMR)は4%と綿と同等の優れた吸湿性を示した。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率81%と通常のN6繊維に比べ高い消臭性能を示した。
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】
実施例9
島成分であるPBTを30重量%とした以外は実施例1と同様に溶融紡糸を行った。この時のポリマーアロイのブレンド比はN6が20重量%、共重合PETが80重量%、海島複合の複合比は海成分であるポリマーアロイが70重量%、島成分であるPBTが30重量%であった。この未延伸糸にやはり実施例1同様に延伸・熱処理を施した。得られた海島型ポリマーアロイ繊維は100dtex、36フィラメント、強度3.9cN/dtex、伸度38%、U%=1.7%の優れた特性を示した。この海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分、PBTが島成分を形成しており海島型複合構造をしていた。さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETがマトリックス、N6がドメインの海島構造を示し、N6ドメインの数平均による直径は54nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイとなっており、海成分がポリマーアロイ化した海島型複合糸が得られた。
【0108】
ここで得られた海島型複合糸を用いて実施例1同様に、アルカリ処理により本発明のナノファイバー混繊糸を得た。さらにこれらのナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は30×10-6dtex(単糸直径で56nm)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった。また、これの繊維側面をSEMで観察したところナノファイバーの凝集がナノファイバー単体の場合に比べ抑制されていた。なお、このN6ナノファイバー混繊糸は、強度3.0cN/dtex、伸度60%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が33wt%で極細糸群が67wt%であった。
【0109】
また、このナノファイバー混繊糸からなる丸編みの吸湿率(ΔMR)は3%と綿と同等の優れた吸湿性を示した。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率62%と通常のN6繊維に比べ高い消臭性能を示した。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したが形崩れなく丸編みの形状を維持しており形態安定性に優れたものであった。
【0110】
実施例10
島成分であるPBTを50重量%とした以外は実施例1と同様に溶融紡糸を行った。この時のポリマーアロイのブレンド比はN6が20重量%、共重合PETが80重量%、海島複合の複合比は海成分であるポリマーアロイが50重量%、島成分であるPBTが50重量%であった。この未延伸糸にやはり実施例1同様に延伸・熱処理を施した。得られた海島型ポリマーアロイ繊維は90dtex、36フィラメント、強度3.9cN/dtex、伸度38%、U%=1.7%の優れた特性を示した。この海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分、PBTが島成分を形成しており海島型複合構造をしていた。さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETがマトリックス、N6がドメインの海島構造を示し、N6ドメインの数平均による直径は54nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイとなっており、海成分がポリマーアロイ化した海島型複合糸が得られた。
【0111】
ここで得られた海島型複合糸を用いて実施例1同様に、アルカリ処理により本発明のナノファイバー混繊糸を得た。さらにこれらのナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は30×10-6dtex(単糸直径で56nm)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった。また、これの繊維側面をSEMで観察したところナノファイバーの凝集がナノファイバー単体の場合に比べ抑制されていた。なお、このN6ナノファイバー混繊糸は、強度3.2cN/dtex、伸度60%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が17wt%で極細糸群が83wt%であった。
【0112】
また、このナノファイバー混繊糸からなる丸編みの吸湿率(ΔMR)は2%と綿と同等の優れた吸湿性を示した。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率48%とN6ナノファイバー含有量が少ない割に高い消臭性能を示した。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したが形崩れなく丸編みの形状を維持しており形態安定性に優れたものであった。
【0113】
実施例11
島成分であるPBTを80重量%とした以外は実施例1と同様に溶融紡糸を行った。この時のポリマーアロイのブレンド比はN6が20重量%、共重合PETが80重量%、海島複合の複合比は海成分であるポリマーアロイが20重量%、島成分であるPBTが80重量%であった。この未延伸糸にやはり実施例1同様に延伸・熱処理を施した。得られた海島型ポリマーアロイ繊維は75dtex、12フィラメント、強度3.9cN/dtex、伸度38%、U%=1.0%の優れた特性を示した。この海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分、PBTが島成分を形成しており海島型複合構造をしていた。さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETがマトリックス、N6がドメインの海島構造を示し、N6ドメインの数平均による直径は54nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイとなっており、海成分がポリマーアロイ化した海島型複合糸が得られた。
【0114】
ここで得られた海島型複合糸を用いて実施例1同様に、アルカリ処理により本発明のナノファイバー混繊糸を得た。さらにこれらのナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は30×10-6dtex(単糸直径で56nm)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった。また、これの繊維側面をSEMで観察したところナノファイバーの凝集がナノファイバー単体の場合に比べ抑制されていた。なお、このN6ナノファイバー混繊糸は、強度3.6cN/dtex、伸度60%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が5wt%で極細糸群が95wt%であった。
【0115】
また、このナノファイバー混繊糸からなる丸編みの吸湿率(ΔMR)は1.0%であった。ここで、ナノファイバー混繊糸中のN6ナノファイバーの重量比は約5%とごく僅かであることから、このナノファイバー混繊糸のほとんどがPBTである。PBTの吸湿率は約0%であることから考えると1.0%は驚くべき値であり、優れた吸湿性を示している。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率30%とN6ナノファイバー含有量が少ないにもかかわらず、高い消臭性能を示した。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したが形崩れなく丸編みの形状を維持しており形態安定性に優れたものであった。
【0116】
実施例12
島成分であるPBTをPTTとした以外は実施例1と同様に溶融紡糸を行った。この時のポリマーアロイのブレンド比はN6が20重量%、共重合PETが80重量%、海島複合の複合比は海成分であるポリマーアロイが80重量%、島成分であるPTTが20重量%であった。この未延伸糸にやはり実施例1同様に延伸・熱処理を施した。得られた海島型ポリマーアロイ繊維は150dtex、36フィラメント、強度3.9cN/dtex、伸度38%、U%=1.7%の優れた特性を示した。この海島型複合糸の横断面を光学顕微鏡で観察したところ、ポリマーアロイが海成分、PTTが島成分を形成しており海島型複合構造をしていた。さらに海成分であるポリマーアロイ部分を拡大し、TEMで観察したところ、実施例1同様、共重合PETがマトリックス、N6がドメインの海島構造を示し、N6ドメインの数平均による直径は54nmであり、N6が超微分散化したポリマーアロイとなっており、海成分がポリマーアロイ化した海島型複合糸が得られた。
【0117】
ここで得られた海島型複合糸を用いて実施例1同様に、アルカリ処理により本発明のナノファイバー混繊糸を得た。さらにこれらのナノファイバーの単糸繊度ばらつきを実施例1同様に解析した結果、ナノファイバー群の数平均による単糸繊度は30×10-6dtex(単糸直径で56nm)と従来にない細さであり、単糸繊度ばらつきも非常に小さいものであった。また、これの繊維側面をSEMで観察したところナノファイバーの凝集がナノファイバー単体の場合に比べ抑制されていた。なお、このN6ナノファイバー混繊糸は、強度3.0cN/dtex、伸度60%であった。また、このナノファイバー混繊糸の混繊比は、ナノファイバー群が45wt%で極細糸群が55wt%であった。
【0118】
また、このナノファイバー混繊糸からなる丸編みの吸湿率(ΔMR)は4%と綿と同等の優れた吸湿性を示した。また、アンモニアの消臭性を測定したところ、10分間で消臭率83%と通常のN6繊維に比べ高い消臭性能を示した。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したが形崩れなく丸編みの形状を維持しており形態安定性に優れたものであった。
【0119】
【表7】
【0120】
【表8】
【0121】
【表9】
【0126】
実施例13
実施例1〜4で作製した海島型複合糸を用いて平織りを製織した。そして、界面活性剤(三洋化成“グランアップ”)および炭酸ナトリウムをそれぞれ濃度2g/リットルとした100℃の熱水中(浴比は1:100)で精練を施した。精練時間は40分とした。そして、140℃で中間セットを施した。その後、6%の水酸化ナトリウム水溶液(95℃、浴比1:100)でアルカリ処理を90分間施し、海成分である共重合PETの99%以上を除去した。さらに、これに140℃で最終セットを施した。得られた布帛に常法により染色を施したが、染色斑の無い美しい物であった。ここで得られたナノファイバー混繊糸からなる織物は、絹のような「きしみ感」やレーヨンのような「ドライ感」を有する風合いに優れた物であった。また、ΔMRはそれぞれ4〜5%と綿と同等の吸湿性にも優れるため快適衣料に好適なものであった。さらに、この織物をバフィング処理を施したところ、従来の超極細繊維では到達し得なかった超ピーチ感や人肌のようなしっとりとしたみずみずしい優れた風合いを示した。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したが形崩れなく丸編みの形状を維持しており形態安定性に優れたものであった。
【0127】
比較例7
比較例2〜5で作製した繊維を用いて実施例13と同様に平織りを作製したが、比較例3〜5の糸は紡糸が不安定であったため糸の長手方向の太細斑や毛羽が多いことに起因し、毛羽の多い表面品位の悪い織物しかできなかった。これらに精練を施し、続いて中間セットを施した。そして、比較例2の糸を用いたものは実施例13と同様にアルカリ処理を施した後、最終セットを施し、やはり常法に従い染色を施した。一方、比較例3および4の糸を用いたものには、85℃のトルエンに60分間浸漬し、PEを99%以上溶解除去した。その後、これらに最終セットを施し、やはり常法に従い染色を施した。これらの布帛は、染色斑や毛羽の多い品位の悪い物であった。また、風合いとしては従来の極細糸の範疇でありきしみ感やドライ感はなく、吸湿性も通常N6繊維並(ΔMR=2%)であった。また、比較例2の糸を用いたものは、特に吸水時の形態安定性が不良であり、簡単に布帛が変形し形崩れし易いものであった。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したところ、形崩れし丸い固まり状になってしまった。
【0128】
実施例14
実施例1〜4で作製した海島型複合糸を緯糸に、通常N6糸(44dtex、12フィラメント)を経糸に用いて、高密度5枚バックサテンを製織した。そして、実施例14に準じナノファイバー混繊糸からなる織物を得た。そして、これにバフィングを施した。これは、従来の極細糸を用いたワイピングクロスよりも拭き取り性が良く、形態安定性が優れ、ワイピングクロスとして好適なものであった。
【0129】
実施例15
実施例1〜4で作製した海島型複合糸に機械捲縮を施した後、繊維長51mmにカットし、カードで解繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次にニードルパンチを用い、750g/m2の繊維絡合不織布とした。さらにポリエーテル系ポリウレタンを主体とする13重量%のポリウレタン組成物(PU)と87重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる液を含浸させ、DMF40重量%水溶液中でPUを凝固後、水洗した。さらに、この不織布に6%の水酸化ナトリウム水溶液(95℃、浴比1:100)でアルカリ処理を2時間施し、共重合PETの99%以上を除去し、ナノファイバー混繊糸とPUからなる厚さ約1mmのナノファイバー構造体を得た。この1面をサンドペーパーでバフィング処理して厚さを0.8mmとした後、他面をエメリーバフ機で処理してナノファイバー群立毛面を形成し、さらに染色した後、仕上げを行いスエード調人工皮革を得た。得られた製品は外観が極めて良好で染色斑もなく、力学特性にも問題はなかった。また、従来の超極細糸を用いた人工皮革に比べ、さらに柔らかできめの細かいタッチであった。また、吸湿性にも優れるため、従来の人工皮革では持ち得なかった人肌のようなみずみずしさも併せ持つ優れた風合いであった。
【0130】
比較例8
比較例2で作製したポリマーアロイ繊維に機械捲縮を施した後、繊維長51mmにカットし、カードで解繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次にニードルパンチを用い、500g/m2の繊維絡合不織布とした。さらにポリエーテル系ポリウレタンを主体とする13重量%のポリウレタン組成物(PU)と87重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる液を含浸させ、DMF40重量%水溶液中でPUを凝固後、水洗した。さらに、この不織布に6%の水酸化ナトリウム水溶液(95℃、浴比1:100)でアルカリ処理を2時間施し、共重合PETの99%以上を除去し、N6超極細糸とPUからなる厚さ約1mmのナノファイバー構造体を得た。この1面をサンドペーパーでバフィング処理して厚さを0.8mmとした後、他面をエメリーバフ機で処理してナノファイバー集合体立毛面を形成し、さらに染色した後、仕上げを行いスエード調人工皮革を得た。これは、特に吸水時の形態安定性が不良であり、簡単に布帛が変形し形崩れし易いものであった。さらに、これをドラム洗濯機で、洗濯、脱水、乾燥したところ、ナノファイバーが凝集し人工皮革表面タッチが固くなった。
【0131】
比較例9
比較例4で作製したN6/PEブレンド繊維に機械捲縮を施した後、繊維長51mmにカットし、カードで解繊した後クロスラップウェーバーでウェッブとした。次にニードルパンチを用い、500g/m2の繊維絡合不織布とした。さらにポリエーテル系ポリウレタンを主体とする13重量%のポリウレタン組成物(PU)と87重量%のN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)からなる液を含浸させ、DMF40重量%水溶液中でPUを凝固後、水洗した。さらに、この不織布にパークレン処理を行い、N6超極細糸とPUからなる厚さ約1mmのナノファイバー構造体を得た。この1面をサンドペーパーでバフィング処理して厚さを0.8mmとした後、他面をエメリーバフ機で処理してナノファイバー集合体立毛面を形成し、さらに染色した後、仕上げを行いスエード調人工皮革を得た。これの風合いは、単なるスエードの模造品であり従来の超極細繊維を用いた人工皮革を超えるものではなかった。
【0132】
【発明の効果】
本発明の単糸繊度ばらつきの小さなナノファイバー混繊糸により、これまでにない風合いで吸湿・吸着性が良好でしかも形態安定性に優れた快適な衣料や布帛を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の海島型複合糸の側面を示すSEM写真である。
【図2】ナノファイバー単体の側面を示すSEM写真である。
【図3】実施例1の海島型複合糸の横断面を示す光学顕微鏡写真である。
【図4】実施例1のポリマーアロイ部分の横断面を示すTEM写真である。
【図5】実施例1のナノファイバー部分の横断面を示すTEM写真である。
【図6】実施例1のナノファイバー部分の単糸繊度ばらつきをあらわす図である。
【図7】実施例1のナノファイバー部分の単糸繊度ばらつきをあらわす図である。
【図8】比較例4の超極細糸部分の単糸繊度ばらつきをあらわす図である。
【図9】比較例4の超極細糸部分の単糸繊度ばらつきをあらわす図である。
【図10】紡糸装置を示す図である。
【図11】延伸機装置示す図である。
【図12】紡糸装置を示す図である。
【図13】紡糸装置を示す図である。
【図14】スパンボンド紡糸装置を示す図である。
【図15】紡糸装置を示す図である。
【図16】紡糸装置を示す図である。
【符号の説明】
1:ホッパー
2:溶融部
3:スピンブロック
4:紡糸パック
5:口金
6:チムニー
7:糸条
8:集束給油ガイド
9:第1引き取りローラー
10:第2引き取りローラー
11:巻き取り糸
12:未延伸糸
13:フィードローラー
14:第1ホットローラー
15:第2ホットローラー
16:第3ローラー(室温)
17:延伸糸
18:1軸押出混練機
19:2軸押出混練機
20:チップ計量装置
21:イジェクター
22:開繊板
23:開繊糸条
24:捕集装置
25:静止混練器
Claims (4)
- 数平均による単糸繊度が0.1×10−6〜500×10−6dtexのナイロンからなるナノファイバー群と数平均による単糸繊度が0.001〜0.1dtexのポリエステルからなる極細糸群との混繊糸であり、ナノファイバー群内で繊度比率の60%以上が単糸繊度0.1×10−6〜100×10−6dtexの範囲であるナノファイバー混繊糸。
- 数平均による単糸繊度が0.1×10−6〜500×10−6dtexのナノファイバー群の混繊比が5〜90wt%である請求項1に記載のナノファイバー混繊糸。
- ナノファイバー群内で繊度比率の40%以上のナノファイバーが単糸直径差で30nmの幅に入る請求項1または2記載のナノファイバー混繊糸。
- 請求項1〜3のうちいずれか1項記載のナノファイバー混繊糸を少なくとも一部に有する繊維製品。
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