JP4134658B2 - レシプロ式可変圧縮比機関 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複リンク式ピストン−クランク機構を利用した可変圧縮比機構を備えたレシプロ式の内燃機関、特に、その潤滑機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に、レシプロ式内燃機関の圧縮比可変機構として、複リンク式ピストン−クランク機構を用い、そのリンク構成の一部を動かすことによりピストン上死点位置を変化させるようにした機構を種々提案している(例えば特開2002−21592号公報)。これは、ピストンにピストンピンを介して連結されたアッパリンクと、上記アッパリンクにアッパピンを介して揺動可能に連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に装着されたロアリンクと、一端部が上記ロアリンクにコントロールピンを介して揺動可能に連結されたコントロールリンクと、シリンダブロックに回転可能に設けられ、かつ上記コントロールリンクの他端部を揺動自在に支持する偏心軸を備えたコントロールシャフトと、を備えたものであって、上記コントロールシャフトの偏心軸位置を機関運転条件に応じて制御することで機関圧縮比を可変制御する構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような機構を備えた可変圧縮比機関にあっては、潤滑が必要な箇所として、一般的なクランク主軸、クランクピン、ピストンピンの他に、コントロールシャフト、コントロールピン、アッパピンの3個所がさらに加わるので、高負荷時に、ピストンスカートや各軸受部においてオイル供給が不十分となって潤滑状態が悪化する虞がある。また、過度にオイル循環量を増大すると、低負荷時には、必要オイル量が少ないにもかかわらず過剰なオイル供給が行われ、無駄なオイルポンプ仕事が発生して燃費が悪化する、という問題が生じる。
【0004】
この発明は、上記のような圧縮比可変機構に最適な潤滑機構を備えたレシプロ式可変圧縮比機関を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、請求項1のように、ピストンにピストンピンを介して連結されたアッパリンクと、上記アッパリンクにアッパピンを介して揺動可能に連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に装着されたロアリンクと、一端部が上記ロアリンクにコントロールピンを介して揺動可能に連結されたコントロールリンクと、シリンダブロックに回転可能に設けられ、かつ上記コントロールリンクの他端部を揺動自在に支持する偏心軸を備えたコントロールシャフトと、を備えてなり、上記コントロールシャフトの偏心軸位置を機関運転条件に応じて制御することで機関圧縮比を可変制御するレシプロ式可変圧縮比機関において、オイル潤滑が行われる部位へのオイル供給量を圧縮比に応じて可変にすることを特徴としている。
【0006】
すなわち、この可変圧縮比機関は、一般に、低負荷時には高圧縮比に、高負荷時には低圧縮比に制御される。そのため、高負荷状態にある低圧縮比時ほど各摺動部の潤滑状態悪化を回避するために各摺動部への十分なオイル供給が必要とされる。他方、低負荷状態にある高圧縮比時ほど各摺動部へのオイル供給は少量しか要求されない。そのため、低圧縮比時に各摺動部へのオイル供給を増加することにより各摺動部の潤滑状態を改善でき、また高圧縮比時に各摺動部へのオイル供給を減少または停止することにより、オイルポンプ仕事を低減して燃費を向上することができる。
【0007】
より具体的には、コントロールシャフトを回転可能に支持するコントロールシャフト主軸受部とコントロールシャフト主軸にオイル通路が構成され、コントロールシャフト主軸受部オイル通路からコントロールシャフト主軸にオイルが供給される。さらにコントロールシャフト主軸オイル通路からコントロールシャフト偏心軸に向かってオイル通路が形成され、コントロールシャフト偏心軸に構成される油孔を通ってコントロールシャフト偏心軸にオイルが供給される。コントロールシャフト回転による圧縮比の切換によって、コントロールシャフト主軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト主軸オイル通路の位置が変化し、コントロールシャフト偏心軸へのオイル供給量を可変にできる。上記構成によって、オイル潤滑が行われる部位へのオイルの供給量を圧縮比に応じて切り換える制御を行うことができる。
【0008】
本可変圧縮比機関はコントロールシャフトの回転位置によって圧縮比を可変にする機構を持つため、コントロールシャフト主軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト主軸オイル通路の位置が圧縮比の切換と同時に変化する。そのため、コントロールシャフト主軸受部オイル通路、コントロールシャフト主軸オイル通路を、それぞれ適切に設けることで、コントロールシャフトを圧縮比に応じてオイル流量を制御する制御機構とすることができ、コントロールシャフトベアリング部オイル通路、コントロールシャフト主軸オイル通路、コントロールシャフト内部を通って、オイル潤滑が必要なコントロールシャフト偏心軸やその他の各部位へ、流量可変にオイルを供給することができる。そのため、オイル供給制御を行うために別途制御機構を装備することが不要となり、低コストでオイル供給制御を行うことができる。
【0009】
また本発明の可変圧縮比機関においては、オイル潤滑が行われる部位へのオイルの供給量を低圧縮比時に増加、高圧縮比時に減少または供給停止する制御を行う。
【0010】
すなわち、可変圧縮比機関は、低負荷時には高圧縮比に、高負荷時には低圧縮比にそれぞれ圧縮比を制御する。そのため、前述したように、高負荷状態にある低圧縮比時ほど十分なオイル供給が必要とされ、低負荷状態にある高圧縮比時にはオイル供給は少量しか要求されない。
【0011】
また、高圧縮比に設定されるのは主に低速低負荷領域においてであり、低速域では油圧が低くなり供給可能なオイル量が制限されるため、荷重が小さいコントロールピンやコントロールシャフト偏心軸におけるオイル供給量を減少したほうが、アッパピン、クランクピン、クランクメインジャーナルなどの相対的に荷重が高くよりオイル供給が必要な部位に優先的にオイルを供給することができる。低圧縮比に設定するのは高負荷域であり、特に最大出力を発生する高速回転域においては油圧が高くなり供給可能なオイル量も増加するため、コントロールシャフト偏心軸、コントロールシャフト軸受、コントロールピンに対するオイル供給を増加しても他の部位に十分な量のオイルを供給することができる。
【0012】
特に、低圧縮比化と吸気過給によって高出力化を行う可変圧縮比機関においては、低負荷高圧縮比時と高負荷低圧縮比時に必要なオイル量の差が一層大きくなるため、圧縮比に応じてオイル供給量を可変にすることが非常に効果的である。
【0013】
ただし、冷機始動時には、急速に排温を上昇して触媒が活性する温度まで触媒温度を速やかに上昇させるためには、低圧縮比状態においてもオイル供給を行わないようにするほうが良いため、コントロールシャフト角度によるオイル供給制御だけではなく、他のオイル供給量制御手段も併用して圧縮比に応じてオイル供給量、油圧を可変にすることも効果がある。
【0014】
また、コントロールリンク大端部軸受に油孔が構成され、コントロールリンクのロッド部にコントロールリンク大端部軸受油孔と接続されるオイル通路が構成され、コントロールリンクのロッド部オイル通路と接続されるコントロール小端部付近の油孔からコントロールリンク近傍のオイル潤滑が必要な部分に向けてオイルが供給される。コントロールシャフト回転による圧縮比の切換によって、コントロールリンク大端部軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト偏心軸オイル通路の位置が変化し、コントロールリンク近傍のオイル潤滑が必要な部分へのオイル供給量を可変にできる。上記構成によってオイル潤滑が行われる部位へのオイルの供給量を圧縮比に応じて切り換える制御を行うことができる。オイル供給量の制御は、コントロールシャフト主軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト主軸オイル通路の位置、またはコントロールリンク大端部軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト偏心軸オイル通路の位置、のいずれか一方または両方によって行うことができる。
【0015】
すなわち、本可変圧縮比機関はコントロールシャフトの回転位置によって圧縮比を可変にする機構を持つため、コントロールリンク大端部の軸受部オイル通路に対するコントロールシャフト偏心軸オイル通路の位置が圧縮比の切換と同時に変化する。そのため、コントロールリンク大端部軸受部オイル通路と、コントロールシャフト偏心軸オイル通路位置と、をそれぞれ適切に配置することで、コントロールシャフトを圧縮比に応じてオイル流量を制御する制御機構とすることができ、コントロールシャフトベアリング部オイル通路、コントロールシャフト主軸オイル通路、コントロールシャフト内部、コントロールシャフト偏心軸オイル通路、コントロールリンク大端部に形成したコントロールリンク大端部軸受部貫通孔を一連のオイル通路とすることで、コントロールリンク大端部からオイルを噴射してコントロールピンやその他の各部位に噴射量可変にオイルを供給することができる。
【0016】
また本発明では、コントロールシャフト偏心軸受に設けられた油孔とコントロールリンク小端部軸受部とを接続するオイル通路が、コントロールリンクロッド部に構成され、コントロールピンへのオイルの供給量を圧縮比に応じて切り換えるようにすることができる。
【0017】
この構成では、コントロールシャフト偏心軸受油孔とコントロールリンク小端部軸受部とを接続するオイル通路をコントロールリンクロッド部に構成し、コントロールリンク大端部からコントロールリンク小端部に向かってオイル供給を行うことにより、コントロールシャフト偏心軸を中心に揺動運動を行うコントロールリンクの遠心力を利用してオイルを小端部側に圧送することができ、効率的にコントロールリンク小端部軸受部へのオイル供給を行うことができる。また、コントロールシャフト、コントロールリンク大端部を経由することで、圧縮比変化に応じてオイル供給が可変に行われるため、高負荷低圧縮比時には十分なオイル供給を行い、低負荷高圧縮比時にはオイル供給を減少することができる。その結果、コントロールピンにおける高負荷時の潤滑悪化を回避し、低負荷時のオイルポンプ損失を低減することができるという効果がある。リンク部品のロッド部に大端部側から小端部側まで貫通孔(オイル通路)を形成することは、ロッド部の断面積を低下させ座屈強度を低下させるので、アッパリンクのように最大荷重がロッド部を圧縮する方向に作用する場合には好ましくない。しかしコントロールリンクにおいては、最大荷重が引張方向に作用し座屈の心配が無いため、リンク軽量化を図りつつ、大端部側から小端部側まで貫通孔を設けることが可能である。
【0018】
なおコントロールピンにオイルを供給する方法として、クランクシャフト主軸受、クランクシャフト主軸(ジャーナル部)、クランクピン、ロアリンクのクランクピン軸受、ロアリンク内部、に順次オイル通路を形成してコントロールピン軸受までオイルを供給することも考えられる。しかし、この方法では、圧縮比に応じてオイル供給量を可変にする機構が別途必要になり、またこの方法ではリンク部品の中でも非常に大きい荷重が作用するロアリンクの内部にオイル孔を形成することになるため、ロアリンクの強度が低下することになり好ましくない。また、静止しているコントロールシャフトとは異なりクランクシャフトは回転しているため、クランクシャフト内にオイルを供給するためにはクランクシャフトの遠心力に一旦打ち勝つ必要がある。またクランクシャフト主軸、クランクピン上の油孔が軸受側油孔に対して常に回転しているため、クランクシャフト主軸、クランクピン上の油孔から軸受側油孔に直接オイルを送ることができず、油孔周辺に油溝を形成して該油溝を経由してオイル供給する必要があり効率が悪い。
【0019】
また、本発明では、コントロールリンク小端部にはオイル噴射孔が、コントロールリンクロッド部にはコントロールシャフト偏心軸受油孔とコントロールリンク小端部オイル噴射孔を接続するオイル通路が形成され、コントロールリンク小端部のオイル噴射孔からピストン裏側、ピストンピン、またはシリンダボアへのオイル噴射を圧縮比に応じて切り換えるようにしてもよい。
【0020】
すなわち、高負荷低圧縮比時にはシリンダボア上方およびピストン冠面の温度が高温になりノッキングに至りやすくなるため、シリンダボア上方およびピストン冠面温度をオイル噴射により低下させる必要がある。またピストンピン、ピストンスカートの焼付防止、潤滑悪化防止のためにもオイルジェットを用いてオイルを供給することが効果的である。一方、低負荷高圧縮比時には冷却損失を低減し、またシリンダ壁面油膜温度を高めてオイルの引き摺り抵抗を小さくして、さらにオイルポンプ仕事を低減することにより燃費を向上するために、シリンダ壁面、ピストンに噴射するオイル量を減少する必要がある。そこで、コントロールシャフトの圧縮比に応じてオイル供給量を可変にする機構を用いることで、低圧縮比時には、コントロールリンク小端部付近に形成したオイル噴射孔からピストン、ピストンピン、ピストンスカートにオイルを噴射供給することができる。高圧縮比時には、オイル噴射量を減少するかまたは噴射を停止することで余分なオイル消費を回避することができる。これにより、シリンダブロックにおけるオイルジェットの形成、あるいはアッパリンクやロアリンクにおけるオイル噴射孔の形成が不要となる。ただし、コントロールリンク小端部付近に形成したオイル噴射孔を低圧縮比時のオイル供給手段とし、他の部位に設けたオイル噴射孔もオイル供給手段として併用することもできる。
【0021】
また本発明では、圧縮比に応じたオイル供給量可変制御の手段として、コントロールシャフト主軸受ベアリングの油孔に対するコントロールシャフト主軸の油孔位置を可変にするようにしてもよい。例えば、最低圧縮比時のコントロールシャフト回転位置においてコントロールシャフト主軸の油孔とコントロールシャフト主軸受の油孔がほぼ対向するようにすることで、最大負荷時にコントロールシャフト主軸、コントロールシャフト主軸受間のオイル通路が最短距離、最大断面積になり、オイル供給量を最大にすることができる。高圧縮比になるにつれて、主軸、主軸受間のオイル通路距離が長くなっていき、断面積は小さくなり、オイル供給量は減少していき、最高圧縮比時にはコントロールシャフト主軸、コントロールシャフト主軸受間のオイル通路が最長距離、最小断面積となり、オイル供給量を最少とすることができる。各部の油孔には、オイル通路を拡大してオイル供給量を増加するため、コントロールシャフト主軸側油孔またはコントロールシャフト主軸受の油孔の少なくとも一方に円周方向の油溝を設けることで、コントロールシャフトを回転して圧縮比を可変にしていったときの主軸側油孔とベアリング側油孔の対向期間を長期化することができ、オイル供給できる圧縮比区間を長期化させて高圧縮比時にオイルを供給可能にすることもできる。
【0022】
すなわち、コントロールシャフトは圧縮比切換途中以外の期間はコントロールシャフト主軸受に対して静止しているため、圧縮比に応じてコントロールシャフト主軸受の油孔に対するコントロールシャフト主軸の油孔位置を固定して正確に決めることができる。そのため、圧縮比に応じてオイル流量を正確に制御するための手段として、コントロールシャフトにオイル通路を形成し、コントロールシャフト回転角度によってオイル供給量を可変制御することが有効である。また、コントロールシャフト主軸の油孔とコントロールシャフト主軸受の油孔の位置関係を制御することで、コントロールシャフト内部オイル通路へのオイル供給量を制御できるため、コントロールシャフト偏心軸受を含めそれ以外のコントロールシャフト主軸の油孔より下流のオイル供給先にも、オイルの供給を圧縮比に応じて制御することが可能になる。
【0023】
また請求項1ではコントロールシャフト主軸と主軸受に設けた油孔の位置可変によるオイル供給量制御を行うが、請求項2では圧縮比に応じたオイル供給量可変制御の手段として、コントロールリンク大端部軸受に設けられた油孔に対するコントロールシャフト偏心軸の油孔位置を可変にしている。
【0024】
すなわち、コントロールリンクはコントロールシャフト偏心軸を中心に揺動しているため、圧縮比に応じてコントロールリンク大端部側軸受の油孔に対するコントロールシャフト偏心軸の油孔位置を固定することはできないものの、揺動運動の区間中に軸側油孔と軸受側油孔とのオーバラップ期間は正確に決めることができるため、圧縮比に応じてオイル流量を正確に制御することができる。また、コントロールシャフト偏心軸の油孔とコントロールシャフト偏心軸受の油孔の位置関係を圧縮比に応じて可変にできるため、適切なコントロールリンク揺動位置において、適切なオイル噴射孔をコントロールリンク小端部に形成することによって、オイル供給先へのオイル供給量、供給タイミング、供給方向を最適に設定することが可能になる。
【0025】
また本発明では、クランク角度によって軸受側と軸側のオイル通路の断続が切り換わることを利用することで、低圧縮比時にはコントロールシャフト偏心軸の油孔とコントロールリンクのコントロールシャフト偏心軸受に設けられた油孔とが、コントロールリンクの揺動中心付近で最接近するタイミングで、コントロールリンクが1往復揺動する間に2回オイル供給量または油圧が最大になるように各部の油孔または油溝が形成される。一方、高圧縮比時にはコントロールシャフトが回転してコントロールシャフト偏心軸受油孔の位置が移動し、コントロールシャフト偏心軸の油孔とコントロールリンクのコントロールシャフト偏心軸受油孔とがコントロールリンク揺動の端付近で最接近してコントロールリンクが1往復揺動する間に1回オイル供給が行われるか、またはコントロールシャフト偏心軸受油孔位置がコントロールリンクのコントロールシャフト偏心軸受油孔揺動範囲を超えてしまい油孔・油溝が互いに対向せずにオイル供給が行われなくなる。
【0026】
このように低圧縮比時にコントロールシャフト偏心軸の油孔とコントロールリンクのコントロールシャフト偏心軸受油孔とが、コントロールリンクの揺動中心付近で最接近するようにすることで、軸側油孔、軸受側油孔のオーバラップ期間が低圧縮比時に最大になり、低圧縮比時のコントロールリンク小端部へのオイル供給量を最大にすることができる。また、コントロールリンクが1往復揺動する間にコントロールリンク小端部からのオイル噴射量ピークを2度に分けて最大にすることができるため、特定時期、特定方向に必要十分な量のオイルを供給することができる。
【0027】
さらに、同様の構成によって、低圧縮比時に、コントロールリンクが1往復揺動する間に、ピストン上死点時期にシリンダボアにオイル供給を行い、かつピストン下死点時期にピストン裏側、ピストンピンにオイル供給を行うようにすることができる。
【0028】
例えば、ピストン、ピストンピン、シリンダボアへオイル供給を行う場合、2度のオイル噴射量ピークがほぼピストン上死点時期とピストン下死点時期に相当するため、クランク1回転の間にピストン下死点時期にピストン、ピストンピンへオイルを供給し、かつピストン上死点時期にシリンダボアへもオイル供給を行うことができる。
【0029】
また、本発明では、コントロールリンク小端部はコントロールシャフト偏心軸を中心に揺動運動しているため、コントロールリンク小端部は周期的にピストンに最接近する。また、低圧縮比時の方が高圧縮比時よりもコントロールリンク小端部がピストンに最接近する。そこで、低圧縮比時の最もコントロールリンク小端部がピストンに接近するタイミングにコントロールリンク小端部オイル噴射孔からピストンに向かってオイルを最も大量に噴射するように各部の油孔または油溝を形成してもよい。
【0030】
この構成では、コントロールリンク小端部がピストンに最接近するタイミングに最もオイル供給が大量に行われるようになっている。このようにすることで、コントロールリンク小端部のオイル噴射孔からピストンのオイルが必要な部位へ向けて、オイル供給を効率よく行うことができ、請求項10のようにピストン、ピストンピン、シリンダボアへ別々にオイル供給することはできないものの、コントロールリンク小端部がピストンに最接近するタイミングに噴射すれば、ピストン位置がちょうどストロークの中間位置にあるため、ピストン、ピストンピン、シリンダボアへ同時に大量のオイルを供給することができる。
【0031】
さらに本発明では、コントロールシャフト、コントロールシャフト主軸受、コントロールシャフト偏心軸受の少なくとも一つに複数の油孔または油溝が形成され、圧縮比に応じてオイル供給通路を切り換えることで、オイルの供給量を圧縮比に応じて切り換えるようにすることもできる。例えば、コントロールシャフト偏心軸に油孔を2つ設けることで、低圧縮比側、高圧縮比側で使用するオイル通路を切り換えることができる。
【0032】
すなわち、一つのオイル通路で全圧縮比範囲でのオイル供給量制御を行おうとすると、圧縮比を可変にするためのコントロールシャフトの回転角度が大きいことから、低圧縮比時に軸側オイル通路と軸受側オイル通路が直通となってオイル流量が最大になるようにオイル通路を設定した場合に、高圧縮比側でもオイル供給を行うためには、油孔に接続した油溝を形成し、該油溝を通してオイル供給を行わなければならない。このように油溝を通してオイル供給を行うとすると、油溝から軸受にオイルが一部流出してしまうため、高圧縮比側で各部位に一定量のオイル供給を行うことは容易ではなくなる。そこで、高圧縮比用および低圧縮比用として、コントロールシャフトに複数のオイル通路を設け、高圧縮比時および低圧縮比時のそれぞれでオイル通路を使い分けることによって、高圧縮比、低圧縮比それぞれにおいて、各部位に安定したオイル供給を行うことが可能になる。
【0033】
また上記コントロールシャフト主軸受にオイルを供給する手段として、上記コントロールシャフトを回転可能に固定する複数のベアリングキャップを一体に連結するベアリングビームまたはラダーフレームを有する構成においては、上記ベアリングビームまたはラダーフレームに、コントロールシャフト主軸受へオイルを供給するためのオイル通路を形成することができる。つまり、ベアリングビームまたはラダーフレームにオイル通路用貫通孔を形成し、このオイル通路用貫通孔に通じるオイル通路を複数のコントロールシャフト用ベアリングキャップに形成することで、各コントロールシャフト主軸受にオイルを供給することができる。
【0034】
このようにベアリングビームまたはラダーフレームにオイル通路用貫通孔を設けることによって、各クランクシャフト用ベアリングキャップからオイル通路を各コントロールシャフト主軸受に延長形成する必要が無くなるため、オイル通路形成の工数が削減され、各クランクシャフト用ベアリングキャップの剛性を高めることができる。また、コントロールシャフトに各コントロールシャフト主軸受に通じる貫通孔を設ける必要が無くなり、コントロールシャフトを小径化することができるため軽量コンパクト化できる。
【0035】
【発明の効果】
この発明によれば、低負荷高圧縮比時にはオイル供給量を減少してオイルポンプ損失を低減し、燃費を向上することができる。また高負荷低圧縮比時にはオイル供給量を増大することで、オイル潤滑が必要な各部位へ十分なオイル供給を行うことができ、焼き付きや潤滑悪化を確実に防ぐことができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係るレシプロ式可変圧縮比機関における可変圧縮比機構の構成を示す図である。
【0037】
クランクシャフト1は、複数のジャーナル部11とクランクピン12とを備えており、シリンダブロック21とクランクシャフトベアリングキャップ22との間の主軸受に、ジャーナル部11が回転自在に支持されている。上記クランクピン12は、ジャーナル部11から所定量偏心しており、ここにロアリンク2が回転自在に連結されている。
【0038】
上記ロアリンク2は、左右の2部材に分割可能に構成されているとともに、略中央の連結孔に上記クランクピン12が嵌合している。
【0039】
アッパリンク5は、下端側がアッパピン10を介してロアリンク2の一端に回動可能に連結され、上端側がピストンピン4を介してピストン3に回動可能に連結されている。上記ピストン3は、燃焼圧力を受け、シリンダブロック21のシリンダボア23内を往復動する。
【0040】
コントロールリンク6は、上端側の小端部がコントロールピン9を介してロアリンク2の他端に回動可能に連結され、下端側の大端部が、コントロールシャフト7の偏心軸8に揺動可能に支持されている。上記コントロールシャフト7は、クランクシャフト1と平行に配置されており、上記クランクシャフトベアリングキャップ22と、その下部にさらに取り付けられたコントロールシャフトベアリングキャップ24と、の間に構成された主軸受によって、回転自在に支持されている。上記偏心軸8は、このコントロールシャフト7の回転中心から偏心して形成されている。上記コントロールシャフトベアリングキャップ24は、梯子状のいわゆるベアリングビーム構造をなし、複数個のベアリングキャップが機関前後方向に沿ったビーム部によって一体に連結されている。
【0041】
上記コントロールシャフト7は、図示せぬエンジンコントロールユニットからの制御信号に基づき、電動モータを用いた圧縮比制御アクチュエータ(図示せず)によって、その回動位置が制御される。
【0042】
上記のような複リンク式ピストン−クランク機構を用いた可変圧縮比機構においては、上記コントロールシャフト7が圧縮比制御アクチュエータによって回動されると、偏心軸8の中心位置が変化し、コントロールリンク6の下端の揺動中心位置が上下に変化する。これに伴って、ピストン上死点におけるロアリンク2の姿勢が変化し、ピストン上死点におけるピストン3の位置が高くなったり低くなったりする。これにより、機関圧縮比を変えることが可能となる。この圧縮比制御は、機関運転条件に基づいて行われ、一般に、機関の負荷が高いほど低圧縮比となるように制御される。
【0043】
図2は、上記のようなピストン−クランク機構の潤滑機構の構成を示したもので、シリンダブロック21のメインギャラリ31からバルクヘッド内部を通してクランクシャフト1の主軸受へクランクシャフトベアリングオイル通路32が形成されている。また、コントロールシャフトベアリングキャップ24には、そのビーム部内部を通るようにベアリングビームオイルギャラリ33が形成されており、ここからベアリングキャップ内オイル通路34を通してコントロールシャフト7の主軸受部へオイルが供給され、さらに、コントロールシャフト7内部のコントロールシャフト内オイル通路35へオイルが導かれる。コントロールリンク6は、そのロッド部の内部を通るように、コントロールリンクロッド部オイル通路36を有し、該通路36を通して小端部側つまりコントロールピン12側へオイルが供給される。そして、コントロールリンク6の小端部にオイル噴射孔37が形成され、一対の破線矢印で示す角度範囲内に、オイルを噴射するようになっている。このオイル噴射によって、ピストン3、ピストンピン4、シリンダボア23が潤滑される。
【0044】
図3は、上記のベアリングビームオイルギャラリ33からオイル噴射孔37へ至る油路構成を機関側方から見た説明図である。コントロールシャフト7の主軸受、偏心軸8の軸受、コントロールピン9の軸受、には、それぞれベアリングメタル41,42,43が配設されているが、これらのベアリングメタル41,42,43には、必要に応じて、油孔もしくは油溝が適宜に形成されている。前述したように、複数個のコントロールシャフトベアリングキャップ24を連結するビーム部24aの内部にベアリングビームオイルギャラリ33が形成されており、ここから、ベアリングキャップ内オイル通路34が分岐している。そして、コントロールシャフト内オイル通路35を介して、コントロールリンクロッド部オイル通路36に接続され、かつコントロールリンク6小端部のオイル噴射孔37へ至る。なお、図3の左側は、コントロールシャフト内オイル通路35を斜めにドリル加工した例を示し、右側は、軸方向および半径方向にそれぞれドリル加工した例を示す。
【0045】
図4は、コントロールリンク6内部の油路構成の例を示したもので、(A)に示す例では、大端部6A側の油孔44が油溝45を備えており、小端部6B側の油孔46との間に、コントロールリンクロッド部オイル通路36が形成されている。また、小端部6B側の油孔46は、該小端部6Bの周方向に延びた油溝47に接続され、該油溝47を介して、オイル噴射孔37に接続されている。
【0046】
図4(B)に示す例も基本的には同様であるが、オイル噴射孔37が、コントロールリンク6の長手方向に対し僅かに傾いて形成されている。
【0047】
また図4(C)に示す例では、大端部6A側の油孔44は、油溝を具備しておらず、また、オイル噴射孔37が、コントロールリンクロッド部オイル通路36から斜めに分岐した形に形成されている。従って、この例では、小端部6Bの油溝47が不要となっている。
【0048】
図5および図6は、本発明の基本的な作用を説明するもので、図5は低負荷高圧縮比時の状態を、図6は高負荷低圧縮比時の状態を、それぞれ示す。図中の線mは、コントロールシャフト7の中心と偏心軸8の中心とを通る線を示し、つまりコントロールシャフト7の回転位置を示している。
【0049】
高負荷時には、ノッキングの回避等のために低圧縮比に制御されるが、コントロールシャフト7は、図6に示すように、線mが略垂直となって偏心軸8が高い位置となる回転位置に保たれる。このとき、ベアリングキャップ内オイル通路34とコントロールシャフト7内部のコントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36との3者が互いに十分な連通状態となり、従って、これらのオイル通路を通して各部に十分なオイル供給がなされる。そして、このオイルは、最終的にオイル噴射孔37からピストン3下面やピストンピン4さらにはシリンダボア23へ向けて破線矢印で示すように噴射される。
【0050】
一方、低負荷時には、熱効率向上等のために高圧縮比に制御されるが、コントロールシャフト7は、図5に示すように、線mが水平近くに傾いて偏心軸8が低い位置となる回転位置に保たれる。この状態では、ベアリングキャップ内オイル通路34とコントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36との3者のそれぞれの連通が制限され、オイル供給が少量もしくは0に規制される。このオイル供給量の制限は、ベアリングキャップ内オイル通路34とコントロールシャフト内オイル通路35との開口位置のずれによって達成することもでき、あるいは、コントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36との開口位置のずれによって達成することもできる。また、図4の(A),(B)に示したような油溝45をオイル通路端部に設けることで、その連通状態を適宜に調整することが可能である。
【0051】
次に、図7〜図10の実施例は、クランクシャフト1の1回転の間にコントロールリンク6が1往復の揺動運動をすることを利用して、その間に、2回オイル噴射を行うようにしたものである。各図は、いずれも左側の(a)が低圧縮比時の状態を、右側の(b)が高圧縮比時の状態を、それぞれ示しており、また図7〜図10は、それぞれ、クランク角が0°、90°、180°、270°のときの各オイル通路の連通状態を示している。また、図中の▲1▼は、ベアリングキャップ内オイル通路34を通してコントロールシャフト7の主軸周囲に供給されるオイルの流れ、▲2▼は、コントロールシャフト内オイル通路35を通して偏心軸8の周囲に供給されるオイルの流れ、▲3▼は、コントロールリンクロッド部オイル通路36を通してコントロールリンク6の小端部側へ供給されるオイルの流れ(その一部がピストン3等へ向けて噴射される)、をそれぞれ示す。なお、この実施例では、コントロールシャフト7の主軸の軸受に、周方向に延びる油溝48が形成されている。
【0052】
高圧縮比時(低負荷時)には、前述したように、偏心軸8が比較的低い位置となるように、コントロールシャフト7が回転している。この状態では、各図の(b)に示すように、コントロールシャフト内オイル通路35の一端が上記油溝48に部分的に重なっており、かつ他端がコントロールリンクロッド部オイル通路36の開口端から周方向に大きく離れた位置となる。そのため、クランク角に伴ってコントロールリンク6が揺動しても、コントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36とは連通しない。従って、図7〜図10のいずれの状態でも、▲1▼の主軸へのオイル供給は多量、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給は少量、となり、▲3▼の小端部側へのオイル供給は、微量もしくは無しとなる。
【0053】
一方、低圧縮比時(高負荷時)には、前述したように、偏心軸8が高い位置となるように、コントロールシャフト7が回転している。この状態では、各図の(a)に示すように、コントロールシャフト内オイル通路35の一端が上記油溝48に広く重なっており、かつ他端がコントロールリンクロッド部オイル通路36の開口端に接近した位置となる。そして、クランク角に伴ってコントロールリンク6が揺動するが、クランク角が90°(図8)および270°(図10)のときに、コントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36とが互いに合致して連通する。従って、このときには、▲1▼の主軸へのオイル供給、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給、▲3▼の小端部側へのオイル供給、のいずれも多量となる。これに対し、クランク角が0°(図7)および180°(図9)のときには、コントロールシャフト内オイル通路35とコントロールリンクロッド部オイル通路36とが合致せずに、僅かにずれている。従って、このときには、▲1▼の主軸へのオイル供給は多量、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給は多量、となるが、▲3▼の小端部側へのオイル供給は、微量もしくは無しとなる。つまり、クランクシャフト1が1回転する間に、コントロールリンク6が1往復の揺動運動をし、これに伴って、2回オイル噴射を行うこととなる。ここで、クランク角の90°は、ピストン3の上死点位置にほぼ相当し、クランク角の270°は、ピストン3の下死点位置にほぼ相当する。従って、クランク角の90°の位置では、シリンダボア23へ向けてオイルが噴射され、クランク角の270°の位置では、ピストン3やピストンピン4へ向けてオイルが噴射される。
【0054】
なお、例えばコントロールシャフト内オイル通路35の開口端の位置の変更により、オイル噴射孔37を備えたコントロールリンク6の小端部がピストン3に最接近したときにオイル噴射が行われるようにすることができる。
【0055】
次に、図11および図12は、コントロールシャフト内オイル通路35を2本の通路35A,35Bから構成し、偏心軸8の2箇所に開口するようにした実施例を示している。つまり、オイル通路35Aは、コントロールシャフト7の直径方向に沿うようにコントロールシャフト7に斜めに貫通形成されており、その途中からオイル通路35Bが分岐している。各図は、いずれも左側の(a)が低圧縮比時の状態を、右側の(b)が高圧縮比時の状態を、それぞれ示しており、また図11、図12は、それぞれ、クランク角が0°、90°のときの各オイル通路の連通状態を示している。また、図中の▲1▼は、ベアリングキャップ内オイル通路34を通してコントロールシャフト7の主軸周囲に供給されるオイルの流れ、▲2▼は、コントロールシャフト内オイル通路35を通して偏心軸8の周囲に供給されるオイルの流れ、▲3▼は、コントロールリンクロッド部オイル通路36を通してコントロールリンク6の小端部側へ供給されるオイルの流れ(その一部がピストン3等へ向けて噴射される)、をそれぞれ示す。なお、この実施例においても、コントロールシャフト7の主軸の軸受に、周方向に延びる油溝48が形成されている。
【0056】
高圧縮比時(低負荷時)には、各図の(b)に示すように、コントロールシャフト内オイル通路35Aの一端が上記油溝48に部分的に重なっており、かつコントロールシャフト内オイル通路35Bの開口端がコントロールリンクロッド部オイル通路36の開口端に重なっている。但し、このオイル通路35Bは、オイル通路35Aから折れ曲がっているため、通路抵抗は大となり、かつ通路長も長い。従って、図11、図12のいずれの状態でも、▲1▼の主軸へのオイル供給は多量、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給は少量、▲3▼の小端部側へのオイル供給は少量、となる。
【0057】
一方、低圧縮比時(高負荷時)には、各図の(a)に示すように、コントロールシャフト内オイル通路35Aの一端が上記油溝48に広く重なっており、かつ該通路35Aの他端がコントロールリンクロッド部オイル通路36の開口端に接近した位置となる。そして、クランク角に伴ってコントロールリンク6が揺動するが、クランク角が90°(図12)のときには、コントロールシャフト内オイル通路35Aとコントロールリンクロッド部オイル通路36とが互いに合致して連通する。従って、オイル通路35A内を直線状にオイルが流れるので、通路抵抗は小さく、かつ通路長も最短となる。そのため、このときには、▲1▼の主軸へのオイル供給、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給、▲3▼の小端部側へのオイル供給、のいずれも多量となる。なお、クランク角が270°のときも同様となる。これに対し、クランク角が0°(図11)のときには、コントロールシャフト内オイル通路35Aとコントロールリンクロッド部オイル通路36とが僅かだけ重なっており、従って、このときには、▲1▼の主軸へのオイル供給は多量、▲2▼の偏心軸8へのオイル供給は多量、となるが、▲3▼の小端部側へのオイル供給は、少量となる。これはクランク角が180°のときも同様となる。このように、この実施例では、通路長や通路抵抗が異なる2本のオイル通路35A,35Bを選択的に用いることで、オイル供給量が調整される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る可変圧縮比機関の可変圧縮比機構を示す断面図。
【図2】その潤滑機構の油路構成を示す説明図。
【図3】同じく油路構成を示す機関側方から見た説明図。
【図4】コントロールリンク内部の油路構成の例を示す説明図。
【図5】低負荷高圧縮比時の状態を示す説明図。
【図6】高負荷低圧縮比時の状態を示す説明図。
【図7】クランク角が0°のときのコントロールリンク付近の状態を(a)低負荷時と(b)高負荷時とで対比して示す説明図。
【図8】同じくクランク角が90°のときの説明図。
【図9】同じくクランク角が180°のときの説明図。
【図10】同じくクランク角が270°のときの説明図。
【図11】コントロールシャフト内オイル通路を2本とした実施例のクランク角が0°のときの説明図。
【図12】同じくクランク角が90°のときの説明図。
【符号の説明】
1…クランクシャフト
2…ロアリンク
3…ピストン
5…アッパリンク
6…コントロールリンク
7…コントロールシャフト
8…偏心軸
Claims (8)
- ピストンにピストンピンを介して連結されたアッパリンクと、上記アッパリンクにアッパピンを介して揺動可能に連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に装着されたロアリンクと、一端部が上記ロアリンクにコントロールピンを介して揺動可能に連結されたコントロールリンクと、シリンダブロックに回転可能に設けられ、かつ上記コントロールリンクの他端部を揺動自在に支持する偏心軸を備えたコントロールシャフトと、を備えてなり、上記コントロールシャフトの偏心軸位置を機関運転条件に応じて制御することで機関圧縮比を可変制御するレシプロ式可変圧縮比機関において、
上記コントロールリンクのオイル通路を通してオイル潤滑が行われる部位へのオイル供給量を圧縮比に応じて可変にするように、
コントロールシャフト主軸の油孔または油溝とコントロールシャフト主軸受の油孔または油溝とが、低圧縮比時に最もオイルが流れやすいように対向し、高圧縮比時には部分的に対向するかまたは完全に離れてオイルの流量を制限するように、それぞれの油孔または油溝が形成されていることを特徴とするレシプロ式可変圧縮比機関。 - ピストンにピストンピンを介して連結されたアッパリンクと、上記アッパリンクにアッパピンを介して揺動可能に連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに回転可能に装着されたロアリンクと、一端部が上記ロアリンクにコントロールピンを介して揺動可能に連結されたコントロールリンクと、シリンダブロックに回転可能に設けられ、かつ上記コントロールリンクの他端部を揺動自在に支持する偏心軸を備えたコントロールシャフトと、を備えてなり、上記コントロールシャフトの偏心軸位置を機関運転条件に応じて制御することで機関圧縮比を可変制御するレシプロ式可変圧縮比機関において、
上記コントロールリンクのオイル通路を通してオイル潤滑が行われる部位へのオイル供給量を圧縮比に応じて可変にするように、
コントロールシャフト偏心軸の油孔または油溝とコントロールリンクのコントロールシャフト偏心軸受の油孔または油溝とが、低圧縮比時に最もオイルが流れやすいように対向し、高圧縮比時には部分的に対向するかまたは完全に離れてオイルの流量を制限するように、それぞれの油孔または油溝が形成されていることを特徴とするレシプロ式可変圧縮比機関。 - 上記偏心軸に連結されるコントロールリンク大端部に油孔を備えるとともにコントロールリンクの近傍へオイルを噴射する手段を有し、コントロールリンク近傍へのオイル噴射量を圧縮比に応じて切り換えることを特徴とする請求項1または2に記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
- コントロールピンに連結されるコントロールリンク小端部にオイル噴射孔が形成され、コントロールリンクのロッド部に、コントロールシャフト偏心軸受油孔と上記オイル噴射孔とを接続するオイル通路が形成され、上記オイル噴射孔からピストン、ピストンピン、またはシリンダボアへ向けて噴射されるオイル噴射量を圧縮比に応じて切り換えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
- コントロールシャフト偏心軸の油孔とコントロールリンクのコントロールシャフト偏心軸受油孔とが、低圧縮比時にコントロールリンクの揺動中心付近で最接近し、コントロールリンクが1往復揺動する間に2回オイル供給量が最大になるように、これら2つの油孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
- コントロールリンクが1往復揺動する間に、ピストン上死点時期にシリンダボアにオイル供給を行い、かつピストン下死点時期にピストン裏側およびピストンピンにオイル供給を行うように、上記2つの油孔が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
- コントロールシャフト、コントロールシャフト主軸受、コントロールシャフト偏心軸受の少なくとも一つに複数の油孔または油溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
- 上記コントロールシャフト主軸受にオイルを供給する手段として、上記コントロールシャフトを回転可能に固定する複数のベアリングキャップを一体に連結するベアリングビームまたはラダーフレームを有し、上記ベアリングビームまたはラダーフレームに、コントロールシャフト主軸受へオイルを供給するためのオイル通路が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
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