JP4092476B2 - レシプロ式可変圧縮比機関 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、機関圧縮比を変更可能な複リンク式のレシプロ式可変圧縮比機関の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車に好適に用いられるレシプロ式内燃機関の分野では、従来より、運転状態に応じて機関圧縮比を適切なものとするために、機関圧縮比を変更可能な様々な可変圧縮比機関が提案されている。例えば特許文献1には、ピストンとクランクピンとを複数のリンクで連繋し、このリンクの運動拘束条件を変化させることにより、機関圧縮比を変更可能とする複リンク式の可変圧縮比機関が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−73804号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような複リンク式の可変圧縮比機関では、リンクのジオメトリを変更することにより、機関圧縮比の他、出力性能や燃費性能等の機関運転性能に大きな影響を及ぼすピストンストローク特性、特にピストン速度のパターンを幅広い範囲から設定することが可能である。しかしながら、機関圧縮比の設定状態に応じたピストン速度のパターン等について、今まで十分な検討がなされていなかった。
【0005】
本発明は、機関圧縮比の設定状態に応じて、ピストンストローク特性、特にピストン最大上昇速度・最大下降速度に関する設定を適正化し、機関運転性能を有効に向上することを主たる目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るレシプロ式可変圧縮比機関は、ピストンとクランクシャフトのクランクピンとを連携する複数のリンクを備え、上記リンクの運動拘束条件を変化させることにより、機関圧縮比を可変制御することができる。そして、高圧縮比の設定状態で、ピストンが上死点から最大下降速度となるまでのクランク角度をθ1Hとし、低圧縮比の設定状態で、ピストンが上死点から最大下降速度となるまでのクランク角度をθ1Lとすると、θ1H≦θ1Lとしたことを特徴としている。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、θ1H≦θ1Lとしたために、例えば高負荷域で用いられる低圧縮比の設定状態で、低速側の体積効率を向上し、その最大出力を有効に向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は、この発明の一実施形態に係るレシプロ式可変圧縮比機関を示す概略構成図である。この可変圧縮比機関は、ピストン3とクランクシャフト1のクランクピン1aとを連携する複数のリンクとして、アッパーリンク5とロアリンク2とを備えている。ロアリンク2は、クランクピン1aに回転可能に取り付けられている。アッパーリンク5は、一端がピストンピン4によりピストン3に接続され、他端が第1接続ピン10によりロアリンク2に接続されている。また、ロアリンク2の運動拘束条件を変化させて、機関圧縮比を可変制御する可変制御手段を備えている。この可変制御手段は、クランクシャフト1と平行に気筒列方向に延びるコントロールシャフト7と、このコントロールシャフト7に偏心して設けられた偏心カム8と、この偏心カム8とロアリンク2とを連携するコントロールリンク6と、を備えている。コントロールリンク6は、一端が第2接続ピン9によりロアリンク2に接続され、他端が偏心カム8に揺動可能に装着されている。駆動手段としての油圧式や電動式のアクチュエータ12により、コントロールシャフト7を回転駆動することにより、偏心カム8に装着されるコントロールリンク6の他端位置、つまりコントロールリンク6の揺動中心の位置が変化する。これにより、ロアリンク2の運動拘束条件を変更して、機関圧縮比を可変制御することができる。
【0010】
図2〜図4は、後述する設定(1)〜(6)を満たすレシプロ式可変圧縮比機関のリンクジオメトリの一例を示している。図2は低圧縮比の設定状態、図3は高圧縮比の設定状態を示し、点P0〜5は、それぞれ、クランクシャフト1の回転中心P0,クランクピン1aの中心P1,ピストンピン4によるピストン3とアッパーリンク5の連結中心P2,第1接続ピン10によるアッパーリンク5とロアリンク2の連結中心P3,第2接続ピン9によるロアリンク2とコントロールリンク6との連結中心P4,コントロールリンク6の揺動中心(偏心カム8の中心)P5を示している。図4の軌跡PH1〜5は、高圧縮比の設定状態における各点P1〜5の軌跡を示し、軌跡PL1〜5は、低圧縮比の設定状態における各点P1〜5の軌跡を示している。
【0011】
図4に示すように、クランクシャフト1の回転中心P0を通ってシリンダ軸方向に延びる基準線Y1に対し、ピストン往復軸線(PH2,PL2)は一側(図4では右側)にオフセットしており、このオフセット側に、アッパーリンク−ロアリンクの連結中心軌跡PH3,PL3が位置する。一方、コントロールリンク6の揺動中心P5(PH5,PL5)及びロアリンク−コントロールリンクの連結中心軌跡PH4,PL4は、基準線Y1に対して上記のオフセット側と反対側(図4の左側)に位置する。
【0012】
コントロールリンクの揺動中心P5は、低圧縮比の設定状態PL5のときに、高圧縮比の設定状態PH5のときに比して、基準線Y1に近づくように設定されている。つまり、機関圧縮比を高くすると、揺動中心P5が基準線Y1から離れていくように設定されている。
【0013】
なお、上記の低圧縮比の設定状態及び高圧縮比の設定状態を含めて、コントロールシャフト7を多段階又は無段階に回転駆動することにより、圧縮比を多段階又は無段階に可変制御することができる。
【0014】
図5を参照して、本明細書で利用する記号の定義について説明する。なお、図5及び図6〜11において、high CRは上記可変圧縮比手段による高圧縮比の設定状態に対応し、low CRは、低圧縮比の設定状態に対応している。
【0015】
【数1】
Vmax1…ピストンの最大下降速度(mm/rad)
Vmax1H…高圧縮比の設定状態におけるVmax1
Vmax1L…低圧縮比の設定状態におけるVmax1
Vmax2…ピストンの最大上昇速度(mm/rad)
Vmax2H…高圧縮比の設定状態におけるVmax2
Vmax2L…低圧縮比の設定状態におけるVmax2
θ1…上死点からVmax1となるまでのクランク角度(°)
θ1H…高圧縮比の設定状態におけるθ1
θ1L…低圧縮比の設定状態におけるθ1
θ2…Vmax2となる状態から上死点までのクランク角度(°)
θ2H…高圧縮比の設定状態におけるθ2
θ2L…低圧縮比の設定状態におけるθ2
なお、周知のように、一般的な4サイクルの内燃機関では、吸気行程及び膨張行程がピストン下降行程であり、排気行程及び圧縮行程がピストン上昇行程である。従って、最大下降速度は吸気行程や膨張行程におけるピストン最大速度であり、最大上昇速度は排気行程や圧縮行程におけるピストン最大速度である。
【0016】
クランクピンとピストンとを一本のコンロッドにより連携した単リンク式のレシプロ機関では、θ1,θ2ともにクランク半径−コンロッド長比により一義的に定まり、クランク半径やコンロッド長は、ピストンサイドフォース、ピストンとクランクシャフトとの干渉回避、及びコンロッドの慣性重量等により制約を受けるため、実質的にはθ1,θ2ともに約72〜76°の範囲に制限される。
【0017】
これに対し、本実施形態のような複リンク式の可変圧縮比機関では、複数のリンク部品のジオメトリの設定次第で、θ1,θ2,Vmax1等を幅広い範囲の中から設定することが可能になり、その設定による音振性能、低速最大トルク、高速最大トルク、燃費等への影響が大きくなる。好ましくは、高負荷域(出力域)ではノッキングを回避しつつ最適な点火時期を取ることで最大出力を向上するために、圧縮比を低くする制御、つまり低圧縮比の設定を用い、低速低負荷の燃費域を含む低負荷域では、熱効率を向上して燃費の向上を図るために圧縮比を高くする制御、つまり高圧縮比の設定を用いる。
【0018】
この実施形態では、後述するように、高負荷域で用いられる低圧縮比の設定状態における低速側の最大出力(トルク)を効果的に向上することができる。上記の最大出力を向上するためには、体積効率を大きくするとともにポンプ損失を小さくすれば良い。しかしながら、体積効率が最大となるθ1,θ2の値は、ポンプ損失が最小となるθ1,θ2の値とは異なるため(具体的には体積効率最大側が小さい値、ポンプ損失最小側が大きい値)、本実施形態では、体積効率とポンプ損失の双方を考慮して、以下の特徴的な設定(1)〜(6)を行っている。
(1)θ1H≦θ1L
すなわち、高圧縮比の設定状態で、ピストンが上死点から最大下降速度Vmax1Hとなるまでのクランク角度θ1Hを、低圧縮比の設定状態で、ピストンが上死点から最大下降速度Vmax1Lとなるまでのクランク角度θ1L以下としている。
【0019】
図6に示すように、θ1が小さくなる(最大下降速度の時期が上死点に近づく)ほど、高速側ではピストン上昇行程である吸気行程中の慣性効果が大きくなって体積効率が向上し、低速側では吸気行程中の慣性効果が小さくなって体積効率が低下する。反対に、θ1が大きくなる(最大下降速度の時期が上死点から遠ざかる)ほど、高速側では体積効率が低下し、低速側では体積効率が向上する。そこで、上記のθ1H≦θ1Lと設定することにより、低圧縮比の設定を用いる高負荷域では、高圧縮比の設定を用いた場合に比して、低速側での体積効率が向上し、その最大出力を向上することができる。すなわち、低速高負荷域での最大出力を重点的に向上することができる。
【0020】
例えば、低速低負荷域からの急加速開始直後に、ノッキング回避のために圧縮比を低下する制御を行うと、一般的に、熱効率低下によるトルク低下を招いたり加速性能の低下を招き易いが、本実施形態のようにθ1H≦θ1Lの設定を適用した場合、低圧縮比の設定状態における低速側の体積効率が向上するため、圧縮比の低下に伴う加速性能の低下を有効に抑制・回避することができる。
【0021】
低速低負荷域からの緩加速開始直後では、低い負荷に応じて吸入空気量を絞るためにスロットル開度を小さくしているため、ポンプ損失が増大する傾向にある。このような課題に対し、本実施形態では、θ1H≦θ1Lとすることにより、低速低負荷域で用いる高圧縮比の設定状態では、低圧縮比の設定状態に比して、体積効率が低く、同等の空気量を導入するために必要なスロットル開度を、低圧縮比の設定状態に比して大きくすることができる。このため、緩加速開始直後の低速低負荷域におけるポンプ損失を有効に低減し、燃費が向上するという効果が得られる。
(2)|θ1H−θ1L|≧|θ2H−θ2L|
すなわち、θ1Hからθ1Lを引いた値の絶対値|θ1H−θ1L|が、θ2Hからクランク角度θ2Lを引いた値の絶対値|θ2H−θ2L|以上となるように設定している。
【0022】
図7に示すように、低速域では、体積効率に対する影響は、θ2の変化に比してθ1の変化の方が大きい。つまり、θ2の変化に対する体積効率の変化の感度は比較的低い。また、少なくとも50≦θ1≦130の範囲では全域でθ1が小さくなるほど体積効率が向上する。従って、上述したθ1H≦θ1Lの設定に加え、|θ1H−θ1L|≧|θ2H−θ2L|となるように設定し、圧縮比の変更に伴うθ1の変化率を、圧縮比の変更に伴うθ2の変化率以上とすることにより、低圧縮比の設定を用いる高負荷域での体積効率を効果的に増大・向上することができる。
【0023】
また、圧縮比を変更するためにはアクチュエータ12によりコントロールシャフト7を回転駆動して、コントロールリンク6の揺動中心となる偏心カム8を機関本体に対して移動する必要がある。コントロールシャフト7を回転駆動するのに必要なエネルギーの低減化及び制御時間の短縮化等を図るためには、偏心カム8の機関本体に対する移動量を必要最小限に抑制し、圧縮比の変化に対するθ2の変化量(図7の縦軸θ2方向の移動量)を小さくした方が良い。上記の|θ1H−θ1L|≧|θ2H−θ2L|とし、圧縮比の変更に伴うθ2の変化率を相対的に低く抑制することにより、コントロールシャフト7を回転駆動するのに必要なエネルギーの低減化及び制御時間の短縮化等を図ることができる。
(3)Vmax1H≦Vmax1L
すなわち、高圧縮比の設定状態におけるピストンの最大下降速度Vmax1Hを、低圧縮比の設定状態におけるピストンの最大下降速度Vmax1L以下とする。
【0024】
図8に示すように、Vmax1を増加すると吸気行程中の慣性効果が大きくなり体積効率を向上することができる。そこで、上記のθ1H≧θ1Lの設定に加え、Vmax1H≦Vmax1Lとすることによって、低圧縮比の設定を用いる高負荷域の体積効率を有効に向上することができる。加えて、高圧縮比の設定を用いる低負荷域では、ピストン最大下降速度が相対的に低くなり、ポンプ損失の低減化による燃費の向上を図ることができる。
(4)|θ1H−90|≦|θ1L−90|
すなわち、高圧縮比の設定状態での上死点〜最大下降速度間のクランク角度θ1Hから90(°)を減算した値の絶対値|θ1H−90|を、低圧縮比の設定状態での上死点〜最大下降速度間のクランク角度θ1Lから90(°)を減算した値の絶対値|θ1H−90|以下とする。
【0025】
上記(1)〜(3)のように、低速側の出力を重視して向上するようなθ1の設定とした場合、低速側では高速側に比して音振・フリクションが低下しておらず、音振性能改善による低フリクション化・出力向上効果は得られ難い。そこで、低圧縮比の設定を用いる高負荷域においては、低速側の音振性能改善よりも体積効率向上を重視し、高圧縮比の設定を用いる低負荷域においては、燃費域である低速側の音振性能を重点的に向上するような設定とするのが良い。そこで、図9にも示すように、上記(1)のθ1H≦θ1Lの設定に加え、|θ1H−90|≦|θ1L−90|とし、低圧縮比の設定に比して高圧縮比の設定におけるピストン下降行程を単振動に近づけることにより、高負荷域での出力低下を抑制・回避しつつ、高圧縮比の設定を用いる低速低負荷域での音振性能を向上することができる。
(5)|θ2H−90|≦|θ2L−90|
すなわち、高圧縮比の設定状態でのピストン最大上昇速度〜上死点間のクランク角度θ2Hから90(°)を減算した値の絶対値|θ2H−90|を、低圧縮比の設定状態でのピストン最大上昇速度〜上死点間のクランク角度θ2Lから90(°)を減算した値の絶対値|θ2H−90|以下とする。
【0026】
低速側ではθ2の変化に対するトルク感度は小さいため、θ2の変化による低速高負荷域での出力低下の影響は小さい。そのため上記(4)の低速低負荷域における音振性能向上効果をより高めるようなθ2の設定とするのが良い。そこで、図10にも示すように、|θ2H−90|≦|θ2L−90|として、高圧縮比の設定状態におけるピストン上昇行程を単振動に近づけることで、低速高負荷域での出力低下を抑制・回避しつつ、低速低負荷域における音振性能を有効に向上することができる。
(6)θ2H≧θ2L
すなわち、高圧縮比の設定状態でのピストン最大上昇速度〜上死点間のクランク角度θ2Hを、低圧縮比の設定状態でのピストン最大上昇速度〜上死点間のクランク角度θ2H以上とする。
【0027】
θ2の変化に対する体積効率・ポンプ損失への影響は、高速側で大きくなる傾向にある。圧縮比を低くする高速高負荷域では、ポンプ損失の低減化に比して体積効率を増加する方が出力向上への効果が大きいので、体積効率を優先的に向上するθ2の設定とするのが良い。一方、高圧縮比の設定を用いる高速低負荷域では、ポンプ損失が低減するようなθ2の設定とするのが良い。θ2が小さい(Vmax2となる時期が上死点側に近い)と、排気終了・吸気開始時期となる上死点近傍におけるポンプ損失が増大して出力や燃費の低下を招くおそれがあるために、θ2を上死点から遠い時期に設定してポンプ損失を低減することが望ましい。そこで、図11に示すように、θ2H≧θ2Lとすることにより、低圧縮比の設定を用いる高速高負荷域での出力向上と、高圧縮比の設定を用いる高速低負荷域での燃費向上との両立を図ることができる。
【0028】
上記の(1)〜(6)のように、圧縮比の設定状態に応じてθ1H,θ2H,θ1L,θ2L等を適切な設定とするだけではなく、コントロールシャフト7の回転に応じて変化するθ1,θ2の可変範囲、つまり上死点に対する角度範囲を規定することによって、低速側・高速側の出力を有効に増大することができる。
【0029】
例えば、θ1≧90とすることにより、θ1≦90の場合と比較して、高圧縮比・低圧縮比の設定ともに、低速側の体積効率が向上して低速トルクが向上し、かつ、高速側のポンプ損失低減率が向上して燃費を向上することができる。
【0030】
このようなθ1≧90の領域でθ1L≦θ1Hとした場合には、高速出力域における出力低下を小さく抑えつつ、低速トルクを向上することができる。一方、θ1≦90の領域でθ1L≦θ1Hとした場合には、高速側での出力を重点的に向上することができる。
【0031】
高速トルクは、体積効率・ポンプ損失を考慮すると、θ2が80°近傍で最大となり、θ2が80°近傍から外れるほど低下する。一方、低速域での最大トルクは、θ2方向に関してあまり感度が無い。そこで、θ2を80°近傍とすることにより、低速トルクの低下を十分に抑制しつつ高速トルクを効果的に向上することができる。
【0032】
体積効率は、θ2が80°近傍から上死点側・下死点側のいずれにずれてもほぼ同様な傾向で低下する。音振性能は、θ2が90°(単振動に相当)から遠ざかるほど低下する傾向にある。そこで80≦θ2≦90とすることによって、高速トルクの向上と音振性能の向上とを両立することができる。更に、バルブオーバラップを拡大することでθ2の最適時期をより上死点側に接近した設定にすることもできる。
【0033】
低速トルク・高速トルクのいずれか一方の過度な低下を招くことなく全域でトルクを平均的に向上するためには、低速トルク向上率と高速トルク向上率との和が最大となる領域(θ1=115°±10°、θ2=80°±10°を中心とする領域)とすることにより、高速域から低速域までの幅広い速度域において最大トルクを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るレシプロ式可変圧縮比機関を示す概略構成図。
【図2】低圧縮比の設定状態における可変圧縮比機関のリンクジオメトリを示す説明図。
【図3】高圧縮比の設定状態における可変圧縮比機関のリンクジオメトリを示す説明図。
【図4】上記可変圧縮比機関のリンク連結点や回転中心の軌跡を示す説明図。
【図5】低圧縮比・高圧縮比の設定状態におけるピストンの速度特性を示す特性図。
【図6】θ1H≦θ1Lの設定及びその作用説明図。
【図7】|θ1H−θ1L|≧|θ2H−θ2L|の設定及びその作用説明図。
【図8】Vmax1H≦Vmax1Lの設定及びその作用説明図。
【図9】|θ1H−90|≦|θ1L−90|の設定及びその作用説明図。
【図10】|θ2H−90|≦|θ2L−90|の設定及びその作用説明図。
【図11】θ2H≧θ2Lの設定及びその作用説明図。
【符号の説明】
1…クランクシャフト
1a…クランクピン
2…ロアリンク
3…ピストン
4…ピストンピン
5…アッパーリンク
6…コントロールリンク
7…コントロールシャフト
8…偏心カム

Claims (7)

  1. ピストンとクランクシャフトのクランクピンとを連携する複数のリンクと、
    上記リンクの運動拘束条件を変化させることにより、機関圧縮比を可変制御する可変圧縮比手段と、を有するレシプロ式可変圧縮比機関であって、
    低負荷域で用いられる高圧縮比の設定状態で、ピストンが上死点から最大下降速度となるまでのクランク角度をθ1Hとし、
    高負荷域で用いられる低圧縮比の設定状態で、ピストンが上死点から最大下降速度となるまでのクランク角度をθ1Lとすると、
    θ1H≦θ1Lとしたことを特徴とするレシプロ式可変圧縮比機関。
  2. 高圧縮比の設定状態で、ピストンが最大上昇速度となる状態から上死点となるまでのクランク角度をθ2Hとし、
    低圧縮比の設定状態で、ピストンが最大上昇速度となる状態から上死点となるまでのクランク角度をθ2Lとすると、
    |θ1H−θ1L|≧|θ2H−θ2L|としたことを特徴とする請求項1に記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
  3. 高圧縮比の設定状態で、ピストンの最大下降速度をVmax1Hとし、
    低圧縮比の設定状態で、ピストンの最大下降速度をVmax1Lとすると、
    Vmax1H≦Vmax1Lとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
  4. |θ1H−90|≦|θ1L−90|としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
  5. 高圧縮比の設定状態で、ピストンが最大上昇速度となる状態から上死点となるまでのクランク角度をθ2Hとし、
    低圧縮比の設定状態で、ピストンが最大上昇速度となる状態から上死点となるまでのクランク角度をθ2Lとすると、
    |θ2H−90|≦|θ2L−90|としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
  6. 高圧縮比の設定状態で、ピストンが最大上昇速度となる状態から上死点となるまでのクランク角度をθ2Hとし、
    低圧縮比の設定状態で、ピストンが最大上昇速度となる状態から上死点となるまでのクランク角度をθ2Lとすると、
    θ2H≧θ2Lとしたことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
  7. 上記複数のリンクが、クランクシャフトのクランクピンに回転可能に取り付けれるロアリンクと、このロアリンクとピストンとを連携するアッパーリンクと、により構成され、
    上記可変圧縮比手段が、気筒列方向に延びるコントロールシャフトと、このコントロールシャフトに偏心して設けられた偏心カムと、この偏心カムとロアリンクとを連携するコントロールリンクと、上記コントロールシャフトを回転駆動する駆動手段と、を有する請求項1〜6のいずれかに記載のレシプロ式可変圧縮比機関。
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