JP4132419B2 - 半導電性ベルト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミド系樹脂組成物からなる半導電性ベルトに関し、電子写真記録装置において像の中間転写体となる中間転写ベルトや、像の転写を兼用しつつ印刷シートの搬送を行う転写搬送ベルトなどに有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真方式で像を形成記録する電子写真記録装置としては、複写機やレーザープリンタ、ビデオプリンタやファクシミリ、それらの複合機等が知られている。この種の装置では、装置寿命の向上などを目的として、感光ドラム等の像担持体にトナー等の記録剤により形成された像を印刷シート上に直接定着させる方式を回避すべく、像担持体上の像を中間転写ベルトに一旦転写し、それを印刷シート上に定着させる中間転写方式が検討されている。また装置の小型化等を目的に、転写ベルトに印刷シートの搬送も兼ねさせる方式も検討されている。
【0003】
このような中間転写ベルト等に用いうる半導電性ベルトとして、例えば特開平7−156287号公報、特開平10−63115号公報には、機械特性に優れるポリイミド系樹脂にカーボンブラック、金属酸化物等の導電材料を分散してなる中間転写ベルトが提案されている。しかし、このような導電材料は分散状態が充分でなく、ベルトの電気抵抗値(特に体積抵抗値)のバラツキが大きくなるため、実用上、満足の行くものではなかった。更に、複写機、プリンター等は種々の環境下で使用されるため、種々の環境下で表面抵抗値の変動の大きな中間転写ベルトや転写搬送ベルトを用いた場合、印刷シートに転写したトナー像に転写ムラを生じたり、搬送している印刷シートをベルトより分離する際に、分離不良を生じるなどの問題点があった。
【0004】
一方、導電材料であるカーボンブラックに樹脂等をグラフトしたグラフト化カーボンブラックを使用した半導電性ベルトとしては、特開平10−10880号公報に、疎水性のオリゴマー(スチレン、メタクリル酸メチル等)をグラフトしたカーボンを用いた中間転写ベルトが提案されている。しかし、ここで用いられているグラフト化カーボンブラックをポリイミド前駆体(ポリアミド酸)あるいは重合溶媒中に分散しようとすると、使用溶媒との親和性が悪く、カーボンの凝集や不均一分散が発生することが判明した。そして、これにより、電気抵抗値のばらつきの大きなベルトとなり、電子写真記録装置の中間転写ベルトとして使用した場合、不鮮明な像が形成されるなどの問題が生じた。
【0005】
なお、このように電気抵抗値のばらつきが中間転写に影響するのは、半導電性ベルトの帯電抑制能の不均一化や、導電抑制能の不均一化により、局所的な剥離放電や導電が生じ易くなるためと考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
他方、電子写真記録装置の中間転写ベルトや転写搬送ベルトに限らず、半導電性ベルトに要求される帯電抑制能や導電抑制能は、用途により程度の差が有るものの、それらの機能が均一なもの程好ましい。
【0007】
そこで、本発明の目的は、機械特性をある程度維持しつつ、電気抵抗値の均一性や環境安定性を改善して、中間転写ベルトや転写搬送ベルト等に有用な半導電性ベルトを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、電気抵抗値が従来より大きいカーボンブラックを、特定量だけポリイミド系樹脂中に均一に分散・混合することで、特定範囲の体積抵抗値でそのバラツキが小さく、また、種々の環境下での表面抵抗値の変動が小さい安定した半導電性ベルトが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の半導電性ベルトは、ポリイミド系樹脂を主体とし、カーボンブラックを含有する樹脂組成物からなる半導電性ベルトにおいて、前記カーボンブラックが、親水性ポリマーをグラフトしたカーボンブラックであり、前記カーボンブラックとして、50kgf/cm2 で圧縮した状態の試料を用いて測定される電気抵抗が2〜50Ω・cmのカーボンブラックを、前記ポリイミド系樹脂100重量部に対し20重量部を超え50重量部未満含有し、かつ体積抵抗率ρvが108 〜1016Ω・cmの範囲にあり、前記樹脂組成物が、更に分散剤を含有することを特徴とする。
【0010】
上記において、前記カーボンブラックが親水性ポリマーをグラフトしたカーボンブラックであることが好ましい。ここで、「グラフトした」とは、基質であるカーボンブラックにポリマー等が不可逆的に結合していることを指す。
【0011】
また、前記ポリイミド系樹脂が、その繰返し単位中に、ビフェニル骨格を有する繰返し単位を50モル%以上有するものであることが好ましい。
【0012】
更に、本発明の半導電性ベルトは、電子写真記録装置の中間転写ベルト又は転写搬送ベルトに使用されるものであって、30℃85%RHと10℃15%RHとにおける表面電気抵抗率ρsの常用対数値の差が1.0以下であることが好ましい。
【0013】
[作用効果]
本発明の半導電性ベルトによると、実施例の結果が示すように、機械特性をある程度維持しつつ、電気抵抗値の均一性や環境安定性を改善して、中間転写ベルトや転写搬送ベルト等に有用な半導電性ベルトを提供することができる。その際、電気抵抗値の均一性や環境安定性が改善される理由の詳細は明らかでないが、電気抵抗値が従来より大きいカーボンブラックを、比較的多量にポリイミド系樹脂中に含有させたためと考えられる。
【0014】
前記カーボンブラックが親水性ポリマーをグラフトしたカーボンブラックである場合、上記の電気抵抗値を有するカーボンブラックが得られ易くなり、また、従来の疎水性ポリマーをグラフトしたものに比べて、ポリイミド系樹脂組成物中での分散性が良好になる。
【0015】
また、前記ポリイミド系樹脂が、その繰返し単位中に、ビフェニル骨格を有する繰返し単位を50モル%以上有する場合、ベルトの吸湿を抑制して、電気抵抗値の環境安定性をより向上させることができる。この効果は、特に親水性ポリマーをグラフトしたカーボンブラックを用いる場合に顕著である。
【0016】
本発明の半導電性ベルトが、電子写真記録装置の中間転写ベルト又は転写搬送ベルトに使用されるものであって、前記の表面電気抵抗率特性を有する場合、当該用途では中間転写体として特に高い環境安定性が要求されるところ、上記の如き作用効果と相まって本発明が特に有用なものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
本発明の半導電性ベルトは、ポリイミド系樹脂を主体とし、カーボンブラックを含有する樹脂組成物からなるものである。かかる半導電性ベルトは、通常、エンドレスベルトとして形成され、好ましくはシームレスベルトとして形成される。このような半導電性ベルトは、例えばカーボンブラックを含有するポリイミド系樹脂の原料液を用いて、フィルム形成後にイミド転化を行うことで得ることができる。
【0019】
ポリイミド系樹脂の原料液としては、例えばテトラカルボン酸二無水物やその誘導体とジアミンとを溶媒中で重合反応させてなるポリアミド酸の溶液が使用可能である。前記ポリアミド酸はテトラカルボン酸二無水物あるいはその誘導体とジアミンとの略等モルを有機溶媒中で反応させることにより得られるもので、通常、溶液状で用いられる。このようなテトラカルボン酸二無水物は、例えば下記の一般式(1)で示されるものが挙げられる。
【0020】
【化1】
Figure 0004132419
(式中、Rは4価の有機基であり、芳香族、脂肪族、環状脂肪族、芳香族と脂肪族とを組み合わせたもの、またはそれらの置換された基である。)
前記したテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0021】
一方ジアミンの例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4−ジアミノジフェニルスルフィド−3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン(PDA)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、
2 N(CH23 O(CH22 O(CH2 )NH2
2 N(CH23 S(CH23 NH2
2 N(CH23 N(CH32 (CH23 NH2
等が挙げられる。
【0022】
上記したテトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては、溶解性などの点により極性溶媒が好ましく用いられる。極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が好ましく、例えばこれの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等があげられる。これらは、蒸発、置換または拡散により、ポリアミド酸およびポリアミド酸成形品から容易に除去することができる。また、これ以外の極性溶媒として、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等があげられる。これらは単独で又は混合して用いることができる。さらに、上記極性溶媒にクレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、ベンゾニトリル、ジオキサン、ブチロラクトン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等を単独又は複数混合することもできる。なお、水の存在によってポリアミド酸が加水分解して低分子量化し易いため、ポリアミド酸の合成は実質上無水条件下で行うことが好ましい。
【0023】
上記のテトラカルボン酸二無水物(a)とジアミン(b)とを極性溶媒中で反応させることによりポリアミド酸が得られるが、その際のモノマー濃度(溶媒中における(a)+(b)の濃度)は、種々の条件に応じて設定されるが、5〜30重量%が好ましい。また、反応温度は80℃以下に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜50℃であり、反応時間は約0.5〜10時間である。
【0024】
このようにしてテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させることによりポリアミド酸が生成する。そして、このポリアミド酸をイミド転化することにより、本発明におけるポリイミド系樹脂が得られる。従って、前記したモノマー成分によって、ポリイミド系樹脂の構造がほぼ決定されるが、本発明では、前記ポリイミド系樹脂が、その繰返し単位中に、ビフェニル骨格を有する繰返し単位を50モル%以上有することが好ましく、80%以上有することがより好ましい。このようなビフェニル骨格は、モノマーとして3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体等を使用することにより形成できる。
【0025】
前記カーボンブラックとしては、50kgf/cm2 で圧縮した状態の試料を用いて測定される電気抵抗が2〜50Ω・cmのものが使用される。ここで、電気抵抗のより厳密な測定方法は、実施例で記載の通りである。
【0026】
このような電気抵抗を有するカーボンブラックは、カーボンブラックにポリマーをグラフトし、電気抵抗の調整は、グラフトするポリマーや被覆する絶縁材の種類や量、あるいはカーボンブラック自身の種類などを変えることにより、行うことができる。
【0027】
本発明では、半導電性付与機能の安定性の観点から、各種ポリマーをグラフトしたカーボンブラックが用いられ、特に、カーボンブラック表面の官能基と反応し得る反応性基を有し、カーボンブラック表面との親和性が良好なセグメントと、その他のセグメントとを有する親水性ポリマー(共重合体)をグラフトしたカーボンブラックが用いられる。このようなグラフト化カーボンブラックについては、特開平10−120935号公報に詳細が記載されている。
【0028】
また、カーボンブラックを均一に混合・分散する観点より、親水性ポリマーをグラフトしたカーボンブラックが好ましい。当該親水性ポリマーとしては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリドン)等が挙げられる。また、当該カーボンブラックとしては、親水性ポリマーをカーボンブラックにグラフトする際、カーボンブラック表面との親和性が良好なセグメントを介在させたもの(ブロック共重合体等)でもよい。
【0029】
カーボンブラックの平均粒径については、偏在による電気特性のバラツキを制御する観点より、一次粒子に基づく平均粒径が1μm以下、特に0.001〜0.5μmの平均粒径が好ましい。
【0030】
カーボンブラックの含有量は、前記ポリイミド系樹脂100重量部(固形分)に対し20重量部を超え50重量部未満であり、好ましくは21重量部以上40重量部以下である。20重量部以下では半導電性ベルトに適した抵抗が得られず、このようなベルトを中間転写ベルト等に用いると、トナー像の転写時に中間転写ベルトが著しく帯電するため、像担持体と離れる際に剥離放電が起こり、転写されたトナー像が飛散する。また、50重量部以上では、抵抗が小さくなり過ぎ、ベルト強度も弱くなる。その結果、体積抵抗率が低すぎて転写ベルトと像担持体との間に過大な電流が流れるため、ベルトに転写されたトナー像が像担持体に戻る現象が生じ易い。
【0031】
本発明におけるポリイミド系樹脂組成物にカーボンブラックを均一に分散する方法は、特に制限されないが、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液にプラネタリーミキサーやビーズミル、三本ロール等で混合・分散する方法や、ポリアミド酸合成時に使用する溶媒中にカーボンブラックをボールミルあるいは超音波等で分散後、この溶媒を用いてポリアミド酸を合成する方法等が挙げられる。その際、親水性ポリマーをグラフトしたカーボンブラックを使用するのが、前記の重合溶媒との親和性を高めるための分散剤も使用する。
【0032】
かかる分散剤としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリドン)等が挙げられる。
【0033】
なお、本発明における樹脂組成物、即ち半導電性ベルトは、上記の必須成分、分散剤以外に、その物性を損なわない程度に、シリコーン系又はフッ素系の各有機化合物、カップリング剤、滑剤、酸化防止剤、その他の添加剤を含有してもよい。また、前記ポリイミド系樹脂は、その物性を損なわない程度に、他のポリマー成分が共重合されたり、ブレンドされたものであってもよい。
【0034】
本発明の半導電性ベルトは、シームレスベルトであることが好ましいが、シームレスベルトの形成は、例えば、前記のポリアミド酸溶液を原料液として用い筒状体を成形後、イミド転化を行うことで行うことができる。筒状体の成形は、例えば原料液を金型の内周面や外周面に、浸漬方式、遠心方式、塗布方式等にてコートする方式などで筒状に展開して、その展開層を乾燥製膜すればよい。イミド転化は、その成形物を加熱処理すればよく、ポリイミド系樹脂の種類にもよるが、例えば300〜400℃で加熱が行われる。その後、半導電性ベルトが型より回収される。このような製造方法は、従来より公知であり、特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等に詳細が記載されている。また、シームレスベルトの形成に際しては、更に型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことができる。
【0035】
シームレスベルト以外のエンドレスベルトを形成する場合、例えば連続工程で上記に準じて長尺シートを形成したのち、所定の長さに切断し、その両端を通常公知の方法で接着等すればよい。
【0036】
以上のようにして得られる本発明の半導電性ベルトは、体積抵抗率ρvが108 〜1016Ω・cmの範囲にあり、好ましくは109 〜1015Ω・cmの範囲である。また、30℃85%RHと10℃15%RHとにおける表面電気抵抗率ρsの常用対数値の差が1.0以下であり、好ましくは0.5以下である。
【0037】
半導電性ベルトの厚さは、その使用目的などに応じて適宜決定しうるが、一般には強度や柔軟性等の機械特性などの点により、5〜500μm、就中10〜300μm、特に20〜200μmの厚さが好ましい。
【0038】
本発明の半導電性ベルトは、従来の半導電性ベルトに準じた各種の用途に用いることができる。就中、機械特性や電気特性に優れることにより、電子写真記録装置の中間転写用のベルトや転写搬送用ベルトなどとして好適に用いられる。その場合、印刷シートに像を形成する記録剤としても、静電気を介し像担持体に付着できる、各種のトナー等が使用できる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、グラフト化カーボンブラックの電気抵抗値は、次のような方法で測定したものである。
【0040】
試料となるグラフト化カーボンブラックを約0.25gベークライト製の円筒状容器に詰め、約50kgf/cm2 の圧力で圧縮したとき、試料の高さが約10mmになるように試料を増減した。その後、圧縮状態の試料の両端の電圧と電流とを測定して、下記の式
電気抵抗値(Ω・cm)=(断面積/試料高さ)×(電圧/電流)
より電気抵抗値を求めた。なお、液に分散されたグラフト化カーボンブラックの場合、分散液の一部をサンプリングし、減圧乾燥して粉体のグラフト化カーボンブラックを取り出し、その粉体について上記の方法で測定した。
【0041】
実施例1
1674gのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散したグラフト化カーボンブラック(日本触媒社製,ポリビニルピロリドンをグラフトしたもの,電気抵抗10Ω・cm)84.18g(ポリイミド樹脂固形分100重量部に対し23重量部)を用い、このカーボン分散NMP液に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物294.2gと、p−フェニレンジアミン108.2gを溶解し、窒素雰囲気中において、室温で4時間撹拌しながら反応させて、ポリアミド酸溶液を得た。
【0042】
内径330mm、長さ500mmの円筒金型の内面に、上記ポリアミド酸溶液をディスペンサーで厚さ400μmに塗布後、1500rpmで10分間回転させ均一な塗布面を得た。
【0043】
次に、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱し、その後300℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に300℃で30分間加熱し、溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化を行った。その後、室温に戻し、金型から剥離し、目的とする半導電性ベルトを得た。このものの厚さは75μmであった。
【0044】
実施例2
実施例1において、グラフト化カーボンブラックの添加量を109.8g(ポリイミド樹脂固形分100重量部に対し30重量部)に変更する以外は、同様の操作を行い厚さ75μmの半導電性ベルトを得た。
【0045】
実施例3
実施例1において、グラフト化カーボンブラック分散NMP液に代えて、カーボンブラック(電気抵抗8Ω・cm)84.18g(ポリイミド樹脂固形分100重量部に対し23重量部)をポリビニルピロリドンを分散剤に用いてNMPに分散したカーボンブラック分散NMP液を用いる以外は、同様の操作を行い厚さ75μmの半導電性ベルトを得た。
【0046】
比較例1
実施例1においてグラフト化カーボンブラックの添加量を69.54g(ポリイミド樹脂固形分100重量部に対し19重量部)に変更する以外は、同じ操作を行い厚さ75μmの半導電性ベルトを得た。
【0047】
比較例2
実施例1においてグラフト化カーボンブラックの添加量を183g(ポリイミド樹脂固形分100重量部に対し50重量部)に変更する以外は、同じ操作を行い厚さ75μmの半導電性ベルトを得た。
【0048】
比較例3
実施例1においてスチレングラフト化カーボンブラック(電気抵抗8Ω・cm)を使用した以外は、実施例1と同様にして厚さ75μmのベルトを得た。その結果、カーボンの凝集により目標抵抗の調整が不可能であり、機械的特性の低下が認められた。
【0049】
比較例4
実施例1において、電気抵抗の異なるグラフト化カーボンブラック(日本触媒社製,ポリビニルピロリドンをグラフトしたもの,電気抵抗2Ω・cm)を36.6g(ポリイミド樹脂固形分100重量部に対し10重量部)用いる以外は、同様の操作を行い厚さ75μmの半導電性ベルトを得た。
【0050】
評価試験
実施例、比較例で得た半導電性ベルトについて下記の特性を調べた。
【0051】
(1)体積抵抗率とそのばらつき
ハイレスタIP MCP−HT260(三菱油化製、プローブHR−100)にて印加電圧500V、1分値の測定条件による25℃、60%RHでの体積抵抗率を調べた。また、1本のベルトの10箇所を測定して、その変動幅をにより体積抵抗率のばらつきを評価した。○は体積抵抗率のばらつきが1桁以内におさまるものを、×は体積抵抗率のばらつきが1桁以内におさまらないものを表す。
【0052】
(2)表面抵抗率とその変動幅
ハイレスタIP MCP−HT260(三菱油化製、プローブHR−100)にて印加電圧100V、1分値の測定条件による10℃15%RH、25℃60%RH(基準状態)、および30℃85%RHでの外表面の表面抵抗率を調べた。更に、30℃85%RH(a)と10℃15%RH(b)における表面抵抗率の常用対数に基づく変動幅〔log(a)−log(b)〕を求めた。なお基準としたa、bの値は、平均値(n=10)である。
【0053】
(3)引張り強度、伸び
ダンベル3号の打ち抜き試験片(幅5mm)について、引張り強度(速度100mm/分)、および破断時の伸びを調べた。
【0054】
(4)面像転写性、紙分離性
実施例、比較例で得た半導電性ベルトを市販の複写機に、中間転写兼用の記録シート搬送ベルトとして組み込み、普通紙からなる印刷シートの1万枚の印刷テストを行った。評価は、1万枚のテスト中ですべて転写による鮮明で正確な画像が得られた場合、及び紙の分離不良が生じなかった場合を良好、転写不良や不鮮明な画像、不正確な面像が得られた場合、および紙の分離不良を生じた場合を不良とした。
【0055】
以上の結果を表1に示した。
【0056】
【表1】
Figure 0004132419
表1の結果が示すように、実施例の半導電性ベルトは、強度等を維持しつつ、体積抵抗率が適正範囲でばらつきが小さく、また表面抵抗率の変動幅が小さく、電子写真記録装置の転写搬送ベルトとして用いた場合に、画像転写性や紙分離性能が良好であった。これに対して、比較例1〜3では、強度が不十分となったり、体積抵抗率が適正範囲から外れたりし、1万枚のテスト中で画像転写性や紙分離性が劣化した。また、比較例4では体積抵抗率のばらつきが大きく、画像転写性が劣化した。

Claims (4)

  1. ポリイミド系樹脂を主体とし、カーボンブラックを含有する樹脂組成物からなる半導電性ベルトにおいて、
    前記カーボンブラックが、親水性ポリマーをグラフトしたカーボンブラックであり、 前記カーボンブラックとして、50kgf/cm2 で圧縮した状態の試料を用いて測定される電気抵抗が2〜50Ω・cmのカーボンブラックを、前記ポリイミド系樹脂100重量部に対し20重量部を超え50重量部未満含有し、かつ体積抵抗率ρvが108 〜1016Ω・cmの範囲にあり、
    前記樹脂組成物が、更に分散剤を含有することを特徴とする半導電性ベルト。
  2. 前記ポリイミド系樹脂が、その繰返し単位中に、ビフェニル骨格を有する繰返し単位を50モル%以上有するものである請求項1記載の半導電性ベルト。
  3. 電子写真記録装置の中間転写ベルト又は転写搬送ベルトに使用される半導電性ベルトであって、30℃85%RHと10℃15%RHとにおける表面電気抵抗率ρsの常用対数値の差が1.0以下である請求項1又は2記載の半導電性ベルト。
  4. ポリイミド系樹脂を主体とし、カーボンブラックを分散させた樹脂組成物からなる半導電性ベルトの製造方法において、
    前記カーボンブラックとして、50kgf/cm 2 で圧縮した状態の試料を用いて測定される電気抵抗が2〜50Ω・cmのカーボンブラックを、前記ポリイミド系樹脂100重量部に対し20重量部を超え50重量部未満含有し、かつ体積抵抗率ρvが10 8 〜10 16 Ω・cmの範囲にあり、
    前記カーボンブラックが、親水性ポリマーをグラフトしたカーボンブラックであり、 前記カーボンブラックを、分散剤により前記ポリイミド系樹脂中に分散させることを特徴とする半導電性ベルトの製造方法。
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