JP4132176B2 - ナフタロシアニン化合物及びその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なナフタロシアニン化合物及び該化合物を含有する近赤外線吸収材料に関する。詳細には、近赤外線吸収塗料あるいはインキ、光熱変換材料、光カード、光記録媒体、有機光導電体、近赤外線吸収フイルター、熱線遮蔽フィルム、農業用フィルム等の近赤外線吸収能を必要とする用途への展開が可能なナフタロシアニン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナフタロシアニン化合物は近赤外線吸収能力に優れるため、光カード、近赤外線吸収フィルター、熱線遮蔽フィルム、レーザープリンターの有機光導電体などへの応用が種々検討され、用途に応じた波長選択性を有する化合物、700〜800nmに吸収極大を有する化合物を中心に検討が行われているが、熱線遮断等の用途や、さらに、長波長領域の近赤外線を吸収する必要がある用途に対しては、適した化合物の例が少ない。
【0003】
例えば、特開昭60-23451号公報及び特開昭60-184565号公報には、アルキル基で置換されたナフタロシアニン化合物が、特開昭60-43605号公報には、塩素原子、スルホン酸基、置換されていてもよいスルホンアミド基、または置換されていてもよいアミノメチル基で置換されたナフタロシアニン化合物が開示されている。これらで開示されているナフタロシアニン化合物は、吸収極大波長がせいぜい800nm前後であり、長波長領域の近赤外線を吸収する能力に欠ける。また、特開平4-81995号公報には、ハロゲン原子で置換され、また、特定の中心金属化合物であるナフタロシアニン化合物が開示されている。ここで開示されているナフタロシアニン化合物は、吸収極大波長が900nmまで長波長化されてはいるが、溶剤に対する溶解性がほとんどなく、蒸着等の特定の技術を用いる必要がある。
【0004】
また、GB 2200650号、GB 2168372号、J. Chem. Soc. PerkinTrans I, 2453(1988)には、オクタアルコキシナフタロシアニンが記載されているが、該化合物は不安定であり、耐久性を要求される用途には不向きであることが判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、800nm以上の近赤外線領域の波長を吸収し、溶剤あるいは樹脂との相溶性に優れた高耐久性のナフタロシアニン化合物、及び該化合物を用いた近赤外線吸収材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討した結果、アルコキシ基を有するナフタロシアニン化合物に、カルボニル基、スルホニル基で置換されたアミノ基を導入したナフタロシアニン化合物が、近赤外線吸収化合物として優れた特性を有していることを見い出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される新規なナフタロシアニン化合物に関する。
【0008】
更に本発明は、該ナフタロシアニン化合物を含有する近赤外線吸収樹脂組成物、近赤外線吸収材料に関する。
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、R1、R2は、各々独立に置換されていてもよいアルキル基を示し、R3は、置換されていてもよいアルキルカルボニル基、置換されていてもよいアリールカルボニル基、置換されていてもよいアルキルスルホニル基、置換されていてもよいアリールスルホニル基を示し、Mは2価の金属原子、3価または4価の置換金属、あるいはオキシ金属を示す。)
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の前記一般式(1)で表わされるナフタロシアニン化合物は新規な化合物であり、カルボニル基、スルホニル基で置換されたアミノ基を有する高耐久性の化合物である。一般式(1)において、R1、R2は、各々独立に置換されていてもよいアルキル基を示し、Mは2価の金属原子、3価または4価の置換金属、あるいはオキシ金属を示す。
【0012】
R1、R2において、置換されていてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の直鎖または分岐のアルキル基、クロロエチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲノアルキル基、
メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基等のアルコキシアルキル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシエトキシエチル基、ヒドロキシエトキシエトキシエチル基等のヒドロキシポリエーテル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロポキシエトキシエチル基、ブトキシエトキシエチル基等のアルコキシポリエーテル基等が例示される。
【0013】
R3において、置換されていてもよいアルキルカルボニル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、iso−ブチリル基、バレリル基、iso−バレリル基、トリメチルアセチル基、ヘキサノイル基、t−ブチルアセチル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基等のアルキルカルボニル基、6−クロロヘキサノイル基、6−ブロモヘキサノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロプロピオニル基、パーフルオロオクタノイル基等のハロゲノアルキルカルボニル基、メトキシアセチル基等のアルコキシアルキルカルボニル基等が例示される。
【0014】
置換されていてもよいアリールカルボニル基としては、ベンゾイル基、o−クロロベンゾイル基、m−クロロベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、o−フルオロベンゾイル基、m−フルオロベンゾイル基、p−フルオロベンゾイル基、o−アセチルベンゾイル基、m−アセチルベンゾイル基、p−アセチルベンゾイル基、o−メトキシベンゾイル基、m−メトキシベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基、o−メチルベンゾイル基、m−メチルベンゾイル基、p−メチルベンゾイル基、o−トリフルオロメチルベンゾイル基、p−トリフルオロメチルベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、4−(トリフルオロメチル)ベンゾイル基等が例示される。
【0015】
置換されていてもよいアルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、ヘプタンスルホニル基、ヘキサンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、2−クロロエタンスルホニル基、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のハロゲノアルキルスルホニル基、ベンジルスルホニル基等が例示される。
【0016】
置換されていてもよいアリールスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、o−クロロベンゼンスルホニル基、m−クロロベンゼンスルホニル基、p−クロロベンゼンスルホニル基、o−フルオロベンゼンスルホニル基、m−フルオロベンゼンスルホニル基、p−フルオロベンゼンスルホニル基、ペンタフルオロベンゼンスルホニル基、o−メトキシベンゼンスルホニル基、m−メトキシベンゼンスルホニル基、p−メトキシベンゼンスルホニル基、o−メチルベンゼンスルホニル基、m−メチルベンゼンスルホニル基、p−メチルベンゼンスルホニル基、2−メシチレンスルホニル基、4−t−ブチルベンゼンスルホニル基、N−アセチルスルホニル基等が例示される。
【0017】
特に、R1、R2として直鎖または分岐の無置換アルキル基、R3は、直鎖または分岐の無置換アルキルカルボニル基、直鎖または分岐の無置換アルキルスルホニル基、無置換のアリールカルボニル基、無置換のアリールスルホニル基である化合物が好ましい。
【0018】
Mで表される2価の金属としては、Cu(II)、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Ru(II)、Rh(II)、Pd(II)、Pt(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ti(II)、Be(II)、Ca(II)、Ba(II)、Cd(II)、Hg(II)、Pb(II)、Sn(II)等が例示される。
【0019】
1置換の3価金属としては、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Al−I、Ga−Cl、Ga−F、Ga−I、Ga−Br、In−Cl、In−Br、In−I、In−F、Tl−Cl、Tl−Br、Tl−I、Tl−F、Al−C6H5、Al−C6H4(CH3)、In−C6H5、In−C6H4(CH3)、In−C6H5、Mn(OH)、Mn(OC6H5)、Mn〔OSi(CH3)3〕、Fe−Cl、Ru−Cl等が例示される。
【0020】
2置換の4価金属としては、CrCl2、SiCl2、SiBr2、SiF2、SiI2、ZrCl2、GeCl2、GeBr2、GeI2、GeF2、SnCl2、SnBr2、SnF2、TiCl2、TiBr2、TiF2、Si(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、Sn(OH)2、TiR2、CrR2、SiR2、SnR2、GeR2〔Rはアルキル基、フェニル基、ナフチル基、およびその誘導体を表す〕、Si(OR’)2、Sn(OR’)2、Ge(OR’)2、Ti(OR’)2、Cr(OR’)2〔R’はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアルコキシシリル基およびその誘導体を表す〕、Sn(SR”)2、Ge(SR”)2(R”はアルキル基、フェニル基、ナフチル基、およびその誘導体を表す〕等が例示される。
オキシ金属の例としては、VO、MnO、TiO等が例示される。
【0021】
特に好ましいMは、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、AlCl、InCl、TiO、VOである。
【0022】
本発明の一般式(1)で表わされるナフタロシアニン化合物は、例えば、
▲1▼下記式(2)で表されるジシアノナフタレン誘導体と金属あるいは金属化合物とを、溶媒中で環化反応させ、ニトロナフタロシアニン化合物を合成し、ニトロ基を還元してアミノナフタロシアニンを合成したのち、アミド化、スルホンアミド化して本願化合物を製造する方法、
【0023】
【化3】
(式中、R1〜R3は、一般式(1)と同じ意味を示す。)
【0024】
あるいは、
▲2▼下記式(3)で表されるジシアノナフタレン誘導体と金属あるいは金属化合物とを、溶媒中で環化反応させる方法、
【0025】
【化4】
(式中、R1〜R3は、一般式(1)と同じ意味を示す。)
により製造できるが、これらに限定されるものではない。尚、収率の観点から▲1▼の方法がより好ましい。
【0026】
まず、ニトロナフタロシアニン化合物を合成し、還元して得たアミノナフタレン化合物を更にアミド化或いはスルホンアミド化する▲1▼の合成法について下記に例示するが、これらに限定されるものではない。
【0027】
ジシアノナフタレン化合物の環化反応において使用する、金属あるいは金属化合物としては、Al、Si、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pb、Mg、Ca、Ba、Be、Cd、Hg及びこれらのハロゲン化物、カルボン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物、錯体等が挙げられる。特に金属のハロゲン化物またはカルボン酸塩が好ましく用いられ、これらの例としては塩化銅、臭化銅、沃化銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化コバルト、臭化コバルト、酢酸コバルト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミニウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、アセチルアセトンマンガン、塩化マンガン、塩化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、塩化チタン、塩化スズ等が挙げられる。
【0028】
金属あるいは金属化合物の使用量は、一般式(2)のジシアノナフタレン誘導体に対して0.2〜0.6倍モル、好ましくは0.25〜0.4倍モルである。
【0029】
反応に使用される溶媒としては沸点100℃以上、好ましくは130℃以上の有機溶媒が用いられる。例として、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等のアルコール溶媒、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、スルフォラン、ニトロベンゼン、キノリン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、尿素等の高沸点溶媒が挙げられる。
【0030】
溶媒の使用量はジシアノナフタレン誘導体に対して1〜100倍重量、好ましくは5〜20倍重量である。
【0031】
反応に際しては、触媒としてモリブデン酸アンモニウム、或いはDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン)を添加しても良い。添加量はジシアノナフタレン誘導体1モルに対して、0.1〜10モル、好ましくは0.5〜2モルである。
【0032】
反応温度は100〜300℃、好ましくは130〜220℃である。
【0033】
反応終了後の後処理としては、反応後に溶媒を留去するか、又は反応液をナフタロシアニン化合物に対する貧溶媒に排出して析出物を濾過することによりニトロナフタロシアニン化合物が得られる。
【0034】
尚、以上の条件は、一般式(3)で表されるジシアノナフタレン誘導体を直接環化して目的の一般式(1)で表されるナフタロシアニン化合物を得る▲2▼の方法に際しても適用される。
【0035】
さらに、このニトロナフタロシアニン化合物を還元して、アミノナフタロシアニン化合物を得る方法としては、常法の還元反応で合成されるが、例えば、上記で得られたニトロナフタロシアニン化合物を溶媒中で還元剤存在下に還元することにより合成できる。
【0036】
反応に使用される溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、n−アミルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エトキシエタノール、ジメチルアミノエタノール等のアルコール溶媒;
テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル溶媒;
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルフォラン、水、酢酸等の極性溶媒が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0037】
溶媒の使用量はニトロナフタロシアニン化合物に対して1〜100倍重量、好ましくは5〜20倍重量である。
【0038】
還元剤としては、例えば、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等の水素化金属、ナトリウム、亜鉛、スズ等の金属、水硫化ソーダ、トリフェニルフォスファイト、チオ硫酸ナトリウム等があげられる。
【0039】
還元剤の使用量は、ニトロナフタロシアニン化合物に対して0.08〜800倍モル、好ましくは8〜80倍モルである。
【0040】
また、ラネーニッケル、パラジウムカーボン等の触媒存在下での水素還元を行うこともできる。
【0041】
このとき、触媒の使用量は、ニトロナフタロシアニン化合物に対して0.004〜40倍重量、好ましくは0.04〜4倍重量である。
【0042】
反応温度は−80℃〜200℃、好ましくは20℃〜100℃である。
【0043】
反応終了後の後処理としては、反応後に溶媒を留去するか、又は反応液をナフタロシアニン化合物に対する貧溶媒に排出して析出物を濾過することによりアミノ基を有するナフタロシアニン化合物を得ることができる。
【0044】
つづいて、一般式(1)で表されるナフタロシアニン化合物を得る方法としては、上記アミノナフタロシアニン化合物のアミノ基を、常法によりアミド化、スルホンアミド化することにより製造できるが、例えば、上記で得られたアミノナフタロシアニン化合物を溶媒中でアミド化試剤を加えることにより製造することができる。
【0045】
使用される溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
溶媒の使用量はアミノナフタロシアニン化合物に対して1〜100倍重量、好ましくは5〜20倍重量である。
【0046】
アミド化試剤としては、例えば、アセチルクロライド、プロピオン酸クロライド、ブタン酸ブロマイド、イソブタン酸クロライド、オクタン酸クロライド、エチルヘキサン酸ブロマイド、クロロ酢酸クロライド、トリフルオロ酢酸クロライド、ペンタフルオロプロピオン酸フルオライド等、ベンゾイルクロライド、パラメチルベンゾイルクロライド、パラメトキシベンゾイルクロライド、ナフトイルクロライド、ペンタフルオロベンゾイルフルオライド等の酸ハロゲン化物;
メタンスルホン酸クロライド、プロパンスルホン酸クロライド、トリフルオロメタンスルホニルフルオライド、ベンゼンスルホン酸クロライド、パラトルエンスルホン酸クロライド、オルトクロロスルホン酸クロライド、メタブロモスルホン酸ブロマイド等のスルホン酸ハロゲン化物;
あるいは、上記に例示したカルボン酸、スルホン酸に対応する無水物があげられるがこれに限定されるものではない。
【0047】
アミド化剤の使用量はアミノナフタロシアニン化合物に対して2〜800倍モル、好ましくは4〜40倍モルである。
【0048】
さらに、反応の進行を促すために必要に応じて、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、DBU等のアミン類を添加しても良い。これらのアミンの使用量はアミノナフタロシアニン化合物に対して0〜400倍モル、好ましくは0〜40倍モルである。
【0049】
反応温度は−80℃〜200℃、好ましくは、20℃〜100℃である。
【0050】
反応終了後の後処理としては、反応後に溶媒を留去するか、又は反応液をナフタロシアニン化合物に対する貧溶媒に排出して析出物を濾過することにより目的とするナフタロシアニン化合物を得ることができる。
【0051】
本発明の近赤外線吸収樹脂組成物および近赤外線吸収材料について説明する。本発明のナフタロシアニン化合物は、耐久性が優れた化合物である。すなわち、アミド基、スルホンアミド基を有するナフタロシアニンは、オクタアルコキシナフタロシアニンと比べて溶液中での安定性が飛躍的に向上するとともに、このナフタロシアニン化合物を含有する近赤外線吸収樹脂組成物および近赤外線吸収材料についても、耐久性が極めて高く、長時間経過後も吸収能力が消失しないため、従来使用できなかった広い分野にも使用できる。
【0052】
本発明の近赤外線吸収樹脂組成物は、本発明のナフタロシアニン化合物を樹脂に含有させることにより得られる。含有させる方法としては、樹脂と共に加熱混合する方法、溶剤に溶解して樹脂とともに塗料化、あるいはインキ化する方法がある。その際必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加物を加えることもできる。
【0053】
使用する樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等ビニル化合物及びビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む化合物、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることが出来るが、これらの樹脂に限定されるものではない。
【0054】
本発明の近赤外線吸収樹脂組成物は、可視領域の吸収が小さく波長選択性が高いため、すぐれた光熱変換材料、光記録媒体、近赤外線吸収フィルター、農業用フィルム、熱線遮断フィルム、近赤外線吸収塗料、偽造防止用の印刷インク、受光素子等の近赤外線吸収材料として使用できる。
【0055】
また、上記ナフタロシアニン化合物を用いて、例えば、フィルム、シート、板等の近赤外線吸収材料を作る方法は特に限定されるものではないが、例えば、以下の3つの方法が利用できる。
【0056】
すなわち、
(1)樹脂にナフタロシアニン化合物を混練し、加熱成形して樹脂板或いはフィルムを作製する方法、
(2)ナフタロシアニン化合物を含有する塗料を作製し、透明樹脂板、透明フィルム、或いは透明ガラス板上にコーティングする方法、
(3)ナフタロシアニン化合物を接着剤に含有させて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、合わせガラス等を作製する方法、である。
【0057】
まず、樹脂にナフタロシアニン化合物を混練、加熱成形する(1)の方法において、樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等ビニル化合物及びビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む化合物、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることが出来るが、これらの樹脂に限定されるものではない。
【0058】
作製方法としては用いるベース樹脂によって、加工温度、フィルム化条件等が多少異なるが、通常ナフタロシアニン化合物を、ベース樹脂の粉体或いはペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させた後成形して樹脂板を作製、或いは押し出し機によりフィルム化するか、或いは押し出し機により原反を作製し、30〜120℃で2〜5倍に、1軸乃至は2軸に延伸して10〜200μm厚のフィルムにする方法で得られる。なお、混練する際に紫外線吸収剤、可塑剤等の通常の樹脂成型に用いる添加剤の他、色調をコントロールするための染料、顔料あるいは、その他の近赤外線吸収化合物を加えてもよい。ナフタロシアニン化合物の添加量は、作製する樹脂の厚み、目的の吸収強度、目的の近赤外線透過率、目的の日射透過率、目的の可視透過率等によって異なるが、通常1ppm〜10%である。
【0059】
塗料化後、コーティングする(2)の方法においては、▲1▼本発明のナフタロシアニン化合物をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて塗料化する方法と、▲2▼ナフタロシアニン化合物を数μm以下に微粒化し、アクリルエマルジョン中に分散した水系塗料とする方法や、あるいは▲3▼水系エマルジョン塗料とする方法等がある。
【0060】
前記▲1▼の方法では、通常、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂をバインダーとして用いる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、あるいはそれらの混合物系等を用いる。
【0061】
ナフタロシアニン化合物の濃度はコーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の近赤外線透過率、目的の日射透過率、目的の可視透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の重量に対して通常0.1〜100%である。また、バインダー樹脂濃度は塗料全体に対して通常1〜50%である。
【0062】
前記▲2▼のアクリルエマルジョン系水系塗料の場合も同様に、未着色のアクリルエマルジョン塗料にナフタロシアニン化合物を微粉砕(1μm以下、好ましくは50〜500nm)したものを分散させることで得られる。塗料中には紫外線吸収剤、酸化防止剤等の通常塗料に用いるような添加物の他に、色調をコントロールするための染料、顔料、あるいはその他の近赤外線吸収化合物を加えてもよい。
【0063】
上記の方法で作製した塗料は、透明樹脂フィルム、透明樹脂、透明ガラス等の上にバーコーター、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等でコーティングして近赤外線吸収フィルターを作製する。コーティング面を保護するために保護層を設けたり、透明樹脂板、透明樹脂フィルム等コーティング面に貼り合わせることもできる。またキャストフィルムも本方法に含まれる。
【0064】
本発明のナフタロシアニン化合物を接着剤に含有させて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、合わせガラス等を作製する(3)の方法においては、接着剤としては一般的なシリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用、或いは合わせガラス用のポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)等の合わせガラス用の公知の接着剤が使用できる。ナフタロシアニン化合物を0.1〜50%添加した接着剤を用いて樹脂板どうし、樹脂板と樹脂フィルム、樹脂板とガラス、樹脂フィルムどうし、樹脂フィルムとガラス、ガラスどうしを接着して近赤外線吸収材料を作製する。また熱圧着する方法もある。
【0065】
以上のように作製された近赤外線吸収フィルターは、実際にはその片面あるいは両面に紫外線カット層、ハードコート層、反射防止層をもうけたり、また、粘着層をもうけることで、より実用的なフィルターとなる。また、必要に応じて、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物と金、銀等の金属を交互にスパッタリングすることで積層した近赤外線反射層、あるいは銅塩、酸化亜鉛を主成分とする金属混合物、タングステン化合物、YbPO4、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、ATO(錫ドープ酸化アンチモン)等を平均粒径100μm以下に微粒化して作製した近赤外線反射塗料を本発明の近赤外線吸収フィルターと組み合わせることもできる。
【0066】
本発明の近赤外線吸収材料は、可視領域の吸収が小さく波長選択性が高いため、すぐれた光熱変換材料、光記録媒体、近赤外線吸収フィルター、農業用フィルム、熱線遮断フィルム、受光素子等に使用できる。
【0067】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これによりなんら制限されるものではない。
【0068】
実施例1
ナフタロシアニン化合物(A)の合成
下記化合物(a)4.0g、塩化銅(I)0.323g、DBU1.63mL、n−アミルアルコール20mLを混合した後、還流下6時間撹拌した。冷却後、メタノール100mLに排出、析出物を濾別し、ニトロナフタロシアニン化合物を2.83g得た。得られた該化合物、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略す)50mLを混合した後、70℃まで加熱した。これに、20%NaSH水溶液5gを滴下し、1時間撹拌した。冷却して、水500mLに排出し、希硫酸で中和して結晶化させた。析出物を濾別し、アミノナフタロシアニン化合物2.50gを得た。さらに、得られた該化合物2.0gをテトラヒドロフラン20mlに溶解させ、トリエチルアミン1.2mLを加えた後、ベンゾイルクロライド0.98mLを滴下し、室温で1時間反応させた。水30mL中に排出し、析出物を濾別、洗浄して目的の化合物(A)2.14gを得た。
【0069】
【化5】
【0070】
【化6】
(X1及びX2は、各々独立にどちらか一方がNHCOPh基を示し、他方が水素原子である。)
【0071】
該化合物のトルエン溶液中における極大吸収波長(λmax)は882nmであった。該化合物は溶媒溶解性が高く、トルエンに10%以上の溶解性を示した。
【0072】
さらに、クロロホルム溶媒中、遮光条件下での安定性試験では、20時間後においてもλmaxの吸光度は初期の87.6%を維持した(図1)。
尚、安定性試験は、λmaxでの吸光度が1となるように、ナフタロシアニン化合物約10mgをクロロホルム1Lに溶解して測定試料液を調製し、幅1cmのガラスセルに入れ、室温、遮光条件下で吸光度の経時変化を測定したものである。
【0073】
また、該化合物(A)1.3gとポリメタクリル酸メチル(PMMA)(商品名;「デルペット80N」、旭化成工業(株)製)10kgとを混合し、260〜280℃で溶融させ押し出し機で厚み3mmの近赤外線吸収フィルターを作製した。
【0074】
該フィルターは880nm付近の近赤外線を選択的に効率よく吸収した。
【0075】
実施例2
ナフタロシアニン化合物(B)の合成
実施例1で得られた中間体のアミノナフタロシアニン化合物をテトラヒドロフラン20mlに溶解させ、トリエチルアミン1.2mLを加えた後、アセチルクロライド0.61mLを滴下し、室温で1時間反応させた。水30mL中に排出し、析出物を濾別、洗浄して目的の化合物(B)2.08gを得た。
【0076】
【化7】
(X3及びX4は、各々独立にどちらか一方がNHCOCH3基を示し、他方が水素原子である。)
【0077】
該化合物のトルエン溶液中における極大吸収波長(λmax)は882nmであった。該化合物も溶媒溶解性が高く、トルエンに10%以上の溶解性を示した。さらに、クロロホルム溶媒中、遮光条件下での安定性試験では、20時間後においてもλmaxの吸光度は初期の81.6%を維持した(図1)。
【0078】
更に、該化合物を用いて、実施例1と同様に厚み3mmの近赤外線吸収フィルターを作製したところ、該フィルターは880nm付近の近赤外線を選択的に効率よく吸収した。
【0079】
実施例3
実施例1で合成したナフタロシアニン化合物(A)1.7g、「チヌビン329」(商品名;チバガイギー(株)製ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)100g、「シーソルブ501」(商品名;シプロ化成(株)製紫外線吸収剤)100g、及びポリカーボネート(商品名;「パンライトK−1300Z」、帝人(株)製)10kgを260〜280℃で、溶融混練して、押し出し成型機を用いて、厚み2mmの近赤外線吸収フィルターを作製した。さらに、ポリカーボネート樹脂板の耐久性を高めるため、該フィルターと紫外線吸収剤を含有する50μm厚のアクリルフィルムを熱ラミネートした。アクリルフィルムは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商品名;「チヌビンP」、チバガイギー(株)製)100g、及びシアノ酢酸系紫外線吸収剤(商品名;「ユービナール3039」、BASF(株)製)100gとをポリメタクリル酸メチル(PMMA)(商品名;「デルペット80N」、旭化成工業(株)製)10kgと混合し、260〜280℃で溶融させ押し出し機で厚み、200μmのフィルム原反を作製した後、このフィルムを2軸延伸して作製した。
【0080】
該フィルターは880nm付近の光を選択的に効率よく吸収した。
【0081】
実施例4
実施例2で合成したナフタロシアニン化合物(B)1g、紫外線吸収剤(商品名;「チヌビン327」、チバガイギー(株)製)10gをエチルセロソルブ300mlに溶解させ、アクリル系塗料(商品名;「アルマテクス1043」三井東圧化学(株)製)200gを加えて近赤外線吸収塗料を調製した。該塗料を膜厚が10μmになるように、フローコートによりガラスにコートした。
【0082】
該ガラスは880nm付近の光を選択的に効率よく吸収した。
【0083】
実施例5
ナフタロシアニン化合物(C)の合成
実施例1の塩化銅の代わりに無水塩化ニッケル(II)0.42g使用した以外は実施例1と同様にして、目的化合物(C)1.84gを得た。
【0084】
【化8】
(X1及びX2は、各々独立にどちらか一方がNHCOPh基を示し、他方が水素原子である。)
【0085】
該化合物のトルエン溶液中における極大吸収波長(λmax)は876nmであった。該化合物も溶媒溶解性が高く、トルエンに10%以上の溶解性を示した。さらに、クロロホルム溶媒中、遮光条件下での安定性試験では、20時間後においてもλmaxの吸光度は初期の86%を維持した(図1)。
【0086】
また、該ナフタロシアニン化合物(C)を用いて実施例4と同様にガラスにコートしたところ、該ガラスは870nm付近の光を選択的に効率よく吸収した。
【0087】
実施例6
ナフタロシアニン化合物(D)の合成
下記化合物(b)2.5gを用いた他は実施例1と同様にして、目的化合物(D)0.96gを得た。
【0088】
【化9】
【0089】
【化10】
(X1及びX2は、各々独立にどちらか一方がNHCOPh基を示し、他方が水素原子である。)
【0090】
該化合物のトルエン溶液中における極大吸収波長(λmax)は880nmであった。該化合物は溶媒溶解性が高く、トルエンに10%以上の溶解性を示した。さらに、クロロホルム溶媒中、遮光条件下での安定性試験では、20時間後においてもλmaxの吸光度は初期の82.5%を維持した。
【0091】
比較例1
オクタアルコキシナフタロシアニン化合物(E)の合成
下記化合物(c)10.0g、塩化銅(I)0.921g、DBU 4.63mL、アミルアルコール100mLを混合した後、150℃で10時間撹拌し、実施例と同様に後処理を行ったが、得られたナフタロシアニン(E)は0.32gしか得られなかった(収率3%)。
【0092】
該ナフタロシアニン化合物のトルエン溶液中における極大吸収波長(λmax)は852nmであった。
【0093】
【化11】
【0094】
【化12】
【0095】
また、該化合物を用いて、クロロホルム中における安定性試験を行ったところ、20時間後にはλmaxの吸光度は初期の57.7%にまで低下した(図1)。
【0096】
さらに、実施例1と同様にポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いて、厚み3mmの近赤外線吸収フィルターを作製した。該フィルターをカーボンアーク灯(63℃)による耐光促進試験を行ったところ、大きな吸収劣化が見られた。
【0097】
実施例7〜25
実施例1で合成したナフタロシアニン化合物(A)と同様な方法によって、第1表に示されるナフタロシアニン化合物を得た。
【0098】
その結果を第1表に示す。全ての化合物において、近赤外線領域の光を選択的に効率よく吸収し、安定性試験においても表中に示すように良好な結果を有していた。
【0099】
なお、表中の置換位置については下記式(F)に示すように、1または4、10または13、19または22,28または31位である場合をβ位と表現し、2または3、11または12、20または21,29または30位である場合をγ位と表現する。
【0100】
【化13】
【0101】
【表1】
【0102】
比較例2〜7
比較例1と同様にして、NHR3基を含まないナフタロシアニン化合物の合成を行い、得られた化合物についてのスペクトル測定と安定性試験を行った。それらの結果を第2表に示す。得られた化合物の安定性は低かった。
【0103】
【表2】
【0104】
【発明の効果】
本発明のナフタロシアニン化合物は、近赤外線吸収能力に優れ、溶剤及び樹脂に対する相溶解性、耐久性に優れた化合物であり、さらに該化合物を用いた近赤外線吸収材料も、近赤外線吸収能力、耐久性に優れた材料となり、近赤外線吸収フィルター、農業用フィルム、光カード、光記録媒体等の用途に対し好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例および比較例で得られた化合物のクロロホルム中の安定性試験の結果を示すグラフである。
Claims (5)
- R1、R2が、無置換のアルキル基を示し、R3は、無置換のアルキルカルボニル基、無置換のアリールカルボニル基、無置換のアルキルスルホニル基、無置換のアリールスルホニル基である請求項1記載のナフタロシアニン化合物。
- Mが、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、AlCl、InCl、TiO、VOである請求項1または2記載のナフタロシアニン化合物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のナフタロシアニン化合物を含有することを特徴とする近赤外線吸収樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のナフタロシアニン化合物を含有することを特徴とする近赤外線吸収材料。
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