JP4128363B2 - 多孔質ゲルの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は断熱材や触媒の担体として利用される多孔質ゲルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
断熱材や触媒の担体として利用される多孔質ゲルは一般に表面積が大きく、かつ微細な細孔を有しており、エアロゲルやキセロゲルと呼ばれる。微細な細孔を有する多孔質ゲルを得るには、いわゆるゾルーゲル法では、微細な細孔を有する湿潤ゲルを作る必要がある。しかし、通常乾燥を行うと、微細な細孔に含まれる溶媒が気化する際に形成する毛管力により、細孔は収縮方向の力が加わり、細孔がつぶれてしまう。細孔に掛かる力は一般に(数1)により表される。
【0003】
【数1】
【0004】
ここでΔPは毛管力、γは溶媒の表面張力、θは溶媒の接触角、dは細孔の径を表す。細孔の径が小さいほど毛管は大きくなり、細孔がつぶれやすいのである。従来はこれを回避するために主に2つの方法が用いられていた。
【0005】
一つは溶媒を超臨界状態にして乾燥する方法(USP4327065;USP4610863)である。これは溶媒を臨界点以上の温度と圧力にし、超臨界流体とすることにより、溶媒の表面張力を下げるとともに、液体のように細孔内で濡れるという減少をなくすために、毛管を減少させることにより、細孔をつぶさず乾燥させる方法である。
【0006】
もう一つは細孔の表面を疎水化した後、非超臨界の条件で乾燥させる方法である(特開平5−51277号公報;特許第2840881号公報)。これは湿潤ゲル中の細孔の表面を疎水化剤により疎水化することにより、接触角を減少させることにより毛管を減少させ、細孔をつぶすことなく乾燥させる方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、超臨界乾燥を行う場合は、溶媒を超臨界状態に保持できる容器内で行う必要があり、超臨界に耐えうる特別な容器が必要であり、多くの手間と時間も必要であった。また、従来の細孔の表面を疎水化した後、非超臨界の条件で乾燥させる方法では、疎水化剤としてトリメチルクロロシランなどのハロゲン化アルキル珪素やヘキサメチルジシラザンなどの疎水化剤が使用されており、塩素や窒素化合物が生成するばかりでなく、溶媒の置換工程が必要であり非常に手間や時間のかかる方法であった。また、疎水化剤が溶媒等と反応するために必要量以上の量が必要であり、非効率であった。疎水化が不十分であれば、乾燥の際に収縮し、微細な細孔を失ってしまう課題がある。また、ゲル原料の重合がほぼ終了した後に疎水化剤を添加しなければならず、非常に手間がかかる課題があった。さらに、ゲル材料として、異なった種類のアルキル基を有するアルコキシドが用いられている場合もあり、このときはアルキル基の加水分解速度の違いにより不均質な多孔質ゲルとなる場合もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決しようとするものであり、R’とR’’とR’’’はアルキル基を表し、R’およびR’’はメチル基かエチル基であり、R’’’は、エチル基かプロピル基であり、かつR’よりもR’’’の分子鎖が長く、(R’O)Siで表されるアルコキシシランをゲル原料とし、R’’(R’’’O)4−xSi(x=1〜3の整数)で表されるアルキルアルコキシシランを疎水化剤とし、前記ゲル原料をアルコール溶媒で希釈した溶液を、少なくとも水を含むアルカリ触媒を滴下して重合させ、湿潤ゲルを形成させる重合工程と、前記アルカリ触媒を滴下した後の前記重合工程中の溶液に、疎水化剤を入れ、前記湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る疎水化工程と、前記疎水化湿潤ゲルを前記アルコール溶媒の超臨界未満の温度または圧力条件で乾燥する乾燥工程とからなり、ゲル原料の重合が先に起こり、重合開始後に疎水化反応が始まることを特徴とする多孔質ゲルを製造する多孔質ゲルの製造方法において、さらに、ゲル原料が重合する重合工程中の溶液中に前記疎水化剤をゲル原料のモル量の1/2以下のモル量で存在させることを特徴とする多孔質ゲルの製造方法とすることにより、簡単な方法で微細な多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0009】
R’とR’’とはいずれもメチル基であり、R’’’はエチル基とすることにより、短時間で多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0010】
また、前記アルコキシシランと疎水化剤を表す化学式においてx=1である物質を用いることにより、少量の疎水化剤で多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0011】
また、x=2である物質を用いることにより、少ない疎水化剤で、より微細な細孔を有する多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0012】
また、x=3である物質を用いることにより、さらに微細な細孔を有する孔質ゲルを製造することができるのである。
【0013】
また、疎水化工程と乾燥工程の間に水より沸点が高くかつ表面張力が小さい溶剤としてトルエンまたはキシレンを添加する溶剤添加工程を行い、乾燥工程で水を含む溶媒を前記溶剤より先に蒸発させることにより、さらに微細な多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、R’とR’’とR’’’はアルキル基を表し、R’およびR’’はメチル基かエチル基であり、R’’’は、エチル基かプロピル基であり、かつR’よりもR’’’の分子鎖が長く、(R’O)Siで表されるアルコキシシランをゲル原料とし、R’’(R’’’O)4−xSi(x=1〜3の整数)で表されるアルキルアルコキシシランを疎水化剤とし、前記ゲル原料をアルコール溶媒で希釈した溶液を、少なくとも水を含むアルカリ触媒を滴下して重合させ、湿潤ゲルを形成させる重合工程と、前記アルカリ触媒を滴下した後の前記重合工程中の溶液に、疎水化剤を入れ、前記湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る疎水化工程と、前記疎水化湿潤ゲルを前記アルコール溶媒の超臨界未満の温度または圧力条件で乾燥する乾燥工程とからなり、ゲル原料の重合が先に起こり、重合開始後に疎水化反応が始まることを特徴とする多孔質ゲルを製造する多孔質ゲルの製造方法において、さらに、ゲル原料が重合する重合工程中の溶液中に前記疎水化剤をゲル原料のモル量の1/2以下のモル量で存在させることを特徴とする多孔質ゲルの製造方法とすることにより、簡単な方法で微細な多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0015】
必要により有機溶媒が加えられ、ゲル原料である(R’O)Siで表されるアルコキシシランは水と酸またはアルカリなどのような触媒により、加水分解を起こし、(化1)に表されるような反応をする。
【0016】
【化1】
【0017】
また、疎水化剤のR’’(R’’’O)4−xSiで表されるアルキルアルコキシシランのアルコキシド基も同様の加水分解反応をする。
【0018】
さらに、加水分解したゲル原料および疎水化剤は、(化2)に表されるような反応により重合する。
【0019】
【化2】
【0020】
ここで、A,B,C,D,E,Fはアルコキシド基または水酸基またはアルキル基である。(化1)と(化2)の反応がすすむと、ゲル原料や疎水化剤は析出しゾルとなり、さらに反応がすすむと流動性を失い湿潤ゲルとなる。この工程が重合工程である。
【0021】
一般に、アルコキシド基を形成するアルキル基は分子鎖が長くなるほど(化1)で表される加水分解の速度が遅くなる。よって、異なる種類のアルコキシド基が珪素原子についている物質をゲル原料物質とすると、分子内での加水分解速度に差が生じ、一部分は加水分解が終了し、重合を起こしているが、一部分は加水分解さえ起こさず、最終的に集合しない、またはわずかな重合度しか重合しないなどの不均一な反応になってしまい、不均一な反応が不均一な細孔を有する多孔質ゲルとなってしまう。しかし、本発明では、ゲル原料は化学式として (R’O)Siで表されるアルコキシシランを用いた。珪素の分子には同じアルコキシド基がついているので、加水分解の速度は同じであり、均質な反応を起こすので、均質な多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0022】
触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、酢酸、クエン酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基およびアンモニア、アミン類などの有機塩基を使用することができる。
【0023】
疎水化工程は、R’’(R’’’O)4−xSiで表されるアルキルアルコキシドを疎水化剤として用い、湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得るのである。本発明においては、前記重合化工程中に疎水化剤が存在していることを特徴としている。ゲル原料の重合と、疎水化剤の加水分解、重合が同時に起こるのである。
【0024】
ここで疎水化剤の量は、ゲル原料のモル量以下のモル量とすることが重要である。疎水化剤はアルキル基を有しているため、加水分解し、重合するアルコキシド基は1〜3個であり、アルコキシド基を4個有するゲル原料とは反応性が異なる。疎水化剤の量が、ゲル原料のモル量以上のモル量とした場合は、疎水化剤の重合が優位に発生し、均質な反応が生じないため、微細な細孔の多孔質ゲルを得ることができないが、疎水化剤の量をゲル原料のモル量以下のモル量とすることで、ゲル原料の均質な反応を阻害することなく、疎水化剤はゲル原料の重合による湿潤ゲルに反応するため、疎水性を付与することができるのである。ヘキサメチルジシラザンやトリメチルクロロシランなどの疎水化剤として用いる場合には、溶媒に含まれる水を取り除く必要がある。水があると、水とヘキサメチルジシラザンやトリメチルクロロシランとが反応し、湿潤ゲルとの反応効率が極端に悪くなるからである。
【0025】
しかし、R’’(R’’’O)4−xSiで表されるアルキルアルコキシドは水と触媒が存在すると、アルコキシド基が加水分解を起こし、湿潤ゲル中の水酸基などの親水基と反応し、R’’で表されるアルキル基でゲルの表面を覆うことができるので、ゲル原料の重合工程と同じ溶液で反応し作用させることができるので、非常に簡単な方法と言える。
【0026】
また、ヘキサメチルジシラザンを疎水化剤として使用すると、反応時に窒素化合物が、トリメチルクロロシランなどを疎水化剤として使用すると、塩素化合物が新たに発生する。これらの中には塩化水素など腐食性を持つものもあり、使用する器具は特別の処理をしたものを使用するなど非常に手間がかかった。
【0027】
一方、R’’(R’’’O)4−xSiで表されるアルキルアルコキシドを疎水化剤として使用すると、反応で生成する物質は、R’’’OHで表されるアルコールだけである。アルコールは湿潤ゲルの生成時にも発生するので、疎水化処理により、全く性質の異なる新たな物質を生成させることはなく、非常に簡単に疎水化処理を行うことができる製造方法が実現できるのである。
【0028】
ゲル原料として使用する(R’O)Siと、疎水化剤として使用されるR’’(R’’’O)4−xSiで表される物質において、R’よりもR’’’の分子鎖が長いことを特徴とする製造方法とすることにより、さらに微細な細孔を有する多孔質ゲルを製造することができるのである。アルコキシドの加水分解、重合の速度は、分子鎖が長いほど遅くなる。ゲル原料のアルコキシドの分子鎖より、疎水化剤の分子鎖が長いと、ゲル原料の加水分解、重合が先に起こり、湿潤ゲルがほぼ形成した後に、疎水化反応が始まる。よって、ゲル原料と疎水化剤が同一溶液に共存しながら、重合を先に行わせ、重合後疎水化を行うことができるので、より均質な反応となるので、より微細な細孔を有する多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0029】
R’とR’’とはいずれもメチル基であり、R’’’はエチル基とすることにより、より短時間に重合工程と疎水化工程を行うことができる。アルコキシド基が反応し重合するためには(化1)に示したような加水分解反応が起こる必要がある。この反応はアルキル基が大きくなるほど遅くなるので、最も小さなアルキル基であるメチル基で、メチル基より大きく最も小さいのはエチル基であるので、短時間で重合工程と疎水化工程を行うことができるため短時間で多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0030】
R’’(R’’’O)4−xSiで表される疎水化剤において、x=1である場合、つまりアルキルトリアルコキシシランを用いると、少量の疎水化剤で多孔質ゲルを製造することができるのである。湿潤ゲル中には水酸基などの親水性の官能基があり、これがゲルに親水性を付与している。アルキルトリアルコキシシランは1分子で3つの親水基と反応することができるため、親水基の数に対して1/3の分子数の疎水化剤でよい。親水基が反応により消失し、アルキル基がゲル上に存在することになるので、親水性が疎水性にかわる。よって、少量の疎水化剤で多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0031】
R’’(R’’’O)4−xSiで表される疎水化剤において、x=2である場合、つまりジアルキルジアルコキシシランを用いると、多孔質ゲルの製造において、疎水化剤の少量化と細孔の微細化を両立することができる。ジアルキルジアルコキシシランは1分子に2つのアルコキシド基を有しているため、1分子で2つの親水基と反応することができる。しかも、1分子中に2つのアルキル基を有している。アルキルトリアルコキシシラン等に比べ、親水基と反応できる個数は少ないが、トリメチルクロロシランなどに比べると1分子で、倍の反応性を有することになる。また、アルキルトリアルコキシシラン等に比べ疎水性を示すアルキル基が2倍存在しているので、より疎水化度が高いため乾燥の際の細孔の収縮が少なく、より微細な細孔を有する多孔質ゲルの製造が実現できるのである。
【0032】
R’’(R’’’O)4−xSiで表される疎水化剤において、x=3である場合、つまりトリアルキルアルコキシシランを用いると、より微細な細孔を有する多孔質ゲルの製造ができる。トリアルキルアルコキシシランは1分子に3つのアルキル基を有しているため非常に疎水化作用が強い。よって乾燥の際、さらに収縮が小さいために、より微細な細孔を有する多孔質ゲルの製造が実現できるのである。
【0033】
乾燥工程は、前記疎水化湿潤ゲルを溶媒の臨界点未満の温度または圧力、つまり非超臨界乾燥にり行われる。疎水化湿潤ゲルを他の溶媒などで洗浄することなく非超臨界乾燥を行うことができれば非常に簡単な多孔質ゲルの製造を実現することができるのである。疎水化湿潤ゲルの溶媒には、重合時に必要により加えられた溶媒と、水と、酸またはアルカリの触媒と、加水分解によって生じたR’OH、R’’’OHで表されるアルコール、および未反応のアルコキシドまたはオリゴマーが含まれている。重合時に加えた溶媒は、ゲル原料や水と混ざる必要があり、さらにゲル化反応においても副反応を引き起こすことを避ける必要があるため、R’OHやR’’’OHなどのアルコールが使用される。
【0034】
この場合、液体成分で沸点の高い物は、水である。疎水性湿潤ゲルから溶媒を揮発させて行くと、最終的には水が残る。水の表面張力は72.8dyn/cm(常温)であり、比較的大きいと言える。しかし、疎水化したゲルの表面となす接触角は非常に大きくなるため、(数1)で示される毛管は小さくなり、ゲルの細孔をつぶすことがないため、非常に簡単に多孔質ゲルが製造できるのである。
【0035】
また、疎水化工程と乾燥工程の間に水より沸点の高い溶剤を添加しても良い。水より沸点の高い溶剤を添加した後、非超臨界乾燥を行うと、アルコールや水が蒸発し、最終的に水より沸点の高い溶剤が残る。水より沸点の高い溶としてトルエンやキシレン等がある。これらの物質の沸点は高いが、表面張力は水より小さいので、さらに毛管力を小さくすることができるのでより小さな疎水化度で多孔質ゲルを製造することができる。乾燥装置が100℃よりも十分加熱できる場合や減圧することができるのであれば、溶を添加すると言う簡単な操作で、より微細な細孔を有する多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
本実施例では、(R’O)Siで現されるアルコキシシランとしてテトラメトキシシラン(以降TMOSと称する)をゲル原料とし、前記ゲル原料をメタノールで希釈し、水と触媒であるアンモニアの混合物により湿潤ゲルを形成させ、R’’(R’’’O)4−xSiで現される疎水化剤としてメチルトリメトキシシランを用い、湿潤ゲルの表面を疎水化し、前記疎水化湿潤ゲルを溶媒の臨界点未満の温度または圧力条件で乾燥する乾燥工程により多孔質ゲルを製造した。具体的にはゲル原料であるTMOS1モルをメタノール3モルで希釈した溶液(以降TMOS溶液と称する)と疎水化剤であるメチルトリメトキシシランを1/6モルと、水4モルでアンモニアが0.002モルとなるようにアンモニア水を希釈した溶液(以降アンモニア希釈水と称する)を用意する。TMOS溶液に攪拌しながらアンモニア希釈水を滴下して行く。アンモニア希釈水を入れ終わると、疎水化剤を入れ後、攪拌を止め静置する。すると容器内でTMOSの加水分解と重合が起こり、ゾル−ゲル反応が進行し湿潤ゲルが形成される。以上が重合工程である。湿潤ゲルの表面には加水分解によって生じた水酸基があり、これが親水性を示す。この水酸基に疎水化剤が作用し、水酸基を抄出されアルキル基を表面に存在させる。アルキル基は疎水性であるので、疎水化湿潤ゲルとすることができるのである。
【0037】
乾燥工程は、疎水化湿潤ゲルを窒素気流下の電気炉にいれ、110℃で加熱した。加熱により、メタノールとアンモニアが揮発し、最後に水が残りこれも揮発させ、乾燥した多孔質ゲルを得た。
【0038】
比較例1として、疎水化剤としてトリメチルクロロシランを用い多孔質ゲルを製造した。各多孔質ゲルの熱伝導率の測定結果を(表1)に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
上記に示すように、本発明の方法で製造した多孔質ゲルの熱伝導率は22mW/m・Kであり、比較例は50mW/m・Kであった。静止空気の熱伝導率は約26mW/m・Kである。本発明の多孔質ゲルの熱伝導率が26mW/m・Kを下回ったのは、多孔質ゲルの細孔の大きさが、空気成分の気体の平均自由工程よりも小さいことを表しており、非常に微細であることを示している。熱伝導率が小さいほど細孔は小さく、骨格は薄いことを示している。熱伝導率が高い物ほど、細孔の径は大きいまたは細孔の数が少なく、骨格が大きく太いことを表している。比較例は、疎水化剤が溶液中の水と反応し、ゲルとの反応が有効に行われなかったため、疎水性が弱く、溶媒とゲルとの接触角が小さいため、が大きく乾燥の際に収縮した。よって、R’とR’’とR’’’はアルキル基を表し、(R’O)Siで表されるアルコキシシランをゲル原料とし、R’’(R’’’O)4−xSiで表されるアルキルアルコキシシランを疎水化剤とし、前記ゲル原料含む溶液を、少なくとも水を含む溶媒と、触媒とを用いて重合させる重合工程と、重合工程により湿潤ゲルが形成し、前記湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る疎水化工程と、前記疎水化湿潤ゲルを超臨界未満の温度または圧力条件で乾燥する乾燥工程により多孔質ゲルを製造する多孔質ゲルの製造方法において、ゲル原料が重合する重合工程中の溶液中に前記疎水化剤をゲル原料のモル量以下のモル量で存在させることを特徴とする多孔質ゲルの製造方法とすることにより、簡単な方法で微細な多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0041】
(実施例2)
R’とR’’とR’’’はいずれもメチル基としたゲル原料と疎水化剤を用いた場合、R’とR’’はいずれもメチル基とし、R’’’はエチル基としたゲル原料と疎水化剤を用いた場合、R’とR’’はいずれもエチル基とし、R’’’はプロピル基としたゲル原料と疎水化剤を用いた場合について多孔質ゲルを製造した。製造方法は実施例1と同じである。上記による製造時のゲル化時間と、上記により製造した多孔質ゲルの熱伝導率の測定結果を(表2)に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
以上のように、R’よりもR’’’の分子鎖は、同じものより長いものの方が熱伝導率は小さくなった。これは細孔がより微細であることを表している。これはR’よりもR’’’の分子鎖が長い場合は、R’’’よりもR’の反応が速いため、ゲル原料が重合し、湿潤ゲルがほぼできあがった後、疎水化反応が起こるため、均質で微細な細孔を有する疎水化湿潤ゲルができるのである。このように、R’よりもR’’’の分子鎖が長いことを特徴とする製造方法とすることにより、さらに微細な細孔を有する多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0044】
また、R’とR’’とはいずれもメチル基であり、R’’’はエチル基としたものは、R’とR’’とはいずれもエチル基であり、R’’’はプロピル基の場合より、ゲル化速度が速かった。これは、アルコキシドの加水分解、重合速度はアルコキシド中のアルキル基の分子鎖が短いほど速いからである。よって、 R’とR’’とはいずれもメチル基であり、R’’’はエチル基とすることにより、短時間で多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0045】
(実施例3)
本実施例では、(R’O)Siで現されるアルコキシシランとしてテトラメトキシシラン(以降TMOSと称する)をゲル原料とし、R’’(R’’’O)4−xSiで現される疎水化剤で、x=1の場合としてメチルトリエトキシシランを、x=2の場合としてジメチルジエトキシシランを用い、x=3の場合としてトリメチルエトキシシランを用いた。疎水化剤の量は、1/2モル、1/4モル、1/6モルとした。他の条件や方法は実施例1と同じとして多孔質ゲルを製造し、製造された多孔質ゲルの熱伝導率を測定した結果を(表3)に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
(表3)から分かるように、R’’(R’’’O)4−xSiで現される疎水化剤を使用し、x=1の場合であるメチルトリエトキシシランを使用して製造された多孔質ゲルの熱伝導率は1/6モル量の少量でも、静止空気の熱伝導率以下となった。メチルトリエトキシシランは3官能性でるので、少量の疎水化剤で微細な多孔質ゲルを製造できるのである。
【0048】
x=2の場合としてジメチルジエトキシシランを使用して製造された多孔質ゲルは、メチルトリトキシシランに比べ量は必要であるが1/4モル量と言う比較的少ない量で、メチルトリエトキシシランを用いた場合に比べ、小さな熱伝導率の多孔質ゲルを製造することができた。x=2である物質を用いることにより、少ない疎水化剤で、より微細な細孔を有する多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0049】
x=3の場合としてトリメチルエトキシシラン使用して製造された多孔質ゲルは、さらに小さな熱伝導率の多孔質ゲルを製造することができた。x=3である物質を用いることにより、さらに微細な細孔を有する孔質ゲルを製造することができるのである。
【0050】
(実施例4)
本実施例では、疎水化工程と乾燥工程の間に、水より沸点の高い溶としてトルエンを疎水化湿潤ゲル入れた容器に添加した。乾燥は150℃で行った。他の条件や方法は実施例1と同じとして多孔質ゲルを製造し、製造された多孔質ゲルの熱伝導率を測定した結果を(表4)に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
(表1)と(表4)を比べると、疎水化工程と乾燥工程の間に、水より沸点の高い溶としてトルエンを疎水化湿潤ゲル入れた容器に添加して製造された多孔質ゲルの熱伝導率は、溶を添加しない場合に比べて小さかった。より微細な多孔質である事が分かる。乾燥において、水より沸点の高い溶を添加しない場合は、液体成分で最後に残るのは水であるが、水より沸点の高い溶を添加した場合は、液体成分で最後に残るのは添加した溶であり、本実施例の場合はトルエンである。水の表面張力は72.8dyn/cm(常温)であるが、トルエンの表面張力は31dyn/cm(常温)であり、水より小さい。そのため、毛管がより小さいため、乾燥時のゲルの収縮がより小さく、より微細な多孔質ゲルを製造することができるのである。
【0053】
(実施例5)
実施例3でx=3の疎水化剤を使用し、作成された多孔質ゲルを粉砕し粒径を約40mmにした。この粉砕多孔質ゲルにバインダとして融点が約400℃のガラス粒子を20%ブレンドし、さらにガラス繊維を5%入れブレンドした。これを型に入れ、450℃で30分保持し、成形した。成型品の熱伝導率は20mW/m・Kであり、例えばガラスウール断熱材の約35mW/m・Kと言う熱伝導率に比べ十分小さい。本発明の製造方法で製造された多孔質ゲルを含み断熱材とすることにより、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下である断熱材が実現できるのである。
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明により、簡単な方法で微細な多孔質ゲルを製造することができるのである。

Claims (6)

  1. R’とR’’とR’’’はアルキル基を表し、R’およびR’’はメチル基かエチル基であり、R’’’は、エチル基かプロピル基であり、かつR’よりもR’’’の分子鎖が長く、(R’O)Siで表されるアルコキシシランをゲル原料とし、R’’(R’’’O)4−xSi(x=1〜3の整数)で表されるアルキルアルコキシシランを疎水化剤とし、前記ゲル原料をアルコール溶媒で希釈した溶液を、少なくとも水を含むアルカリ触媒を滴下して重合させ、湿潤ゲルを形成させる重合工程と、前記アルカリ触媒を滴下した後の前記重合工程中の溶液に、疎水化剤を入れ、前記湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る疎水化工程と、前記疎水化湿潤ゲルを前記アルコール溶媒の超臨界未満の温度または圧力条件で乾燥する乾燥工程とからなり、ゲル原料の重合が先に起こり、重合開始後に疎水化反応が始まることを特徴とする多孔質ゲルを製造する多孔質ゲルの製造方法において、さらに、ゲル原料が重合する重合工程中の溶液中に前記疎水化剤をゲル原料のモル量の1/2以下のモル量で存在させることを特徴とする多孔質ゲルの製造方法。
  2. R’とR’’とはいずれもメチル基であり、R’’’はエチル基であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ゲルの製造方法。
  3. x=1であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ゲルの製造方法。
  4. x=2であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ゲルの製造方法。
  5. x=3であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ゲルの製造方法。
  6. 疎水化工程と乾燥工程の間に水より沸点が高くかつ表面張力が小さい溶剤としてトルエンまたはキシレンを添加する溶剤添加工程を行い、乾燥工程で水を含む溶媒を前記溶剤より先に蒸発させることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ゲルの製造方法。
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