JP4125589B2 - 小物入れ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、その開口が可撓材からなるスライド蓋で閉じられる小物入れに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
例えば自動車のセンターコンソールに設けられた小物入れの開口を塞ぐ蓋として、軟質で薄肉なシート材の裏面に多数の突条を平行に設けたスライド蓋を左右一対のガイドレールに摺合させたものが知られている（例えば、特開２００２−０８７１６７号公報を参照されたい）。
【０００３】
このスライド蓋によると、互いに隣接する突条同士間の薄肉部で自由に折れ曲がるので、開放時は開口の一端に連続して設けられた収容部内に鎧戸式に収容され、閉鎖時はガイドレールに沿って展延して開口が塞がれ、突条の剛性をもってその上面に加わる重量が支持される。
【０００４】
【特許文献１】
特開２００２−０８７１６７号公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、この従来技術によると、開口を閉じる際には可撓材からなるスライド蓋の進行方向の前端を引き、また開口を開く際にはその進行方向の後端を押して収容部内にその自重でスライド蓋を落とし込むようになっている。従って、特に開くときにスライド蓋の前進端がガイドレールに引っ掛かる恐れがあり、開蓋動作の円滑性を保証することが困難であった。
【０００６】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、開蓋動作を円滑化し得るように改良された小物入れを提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明は、箱体（４）の開口面に沿って延設されたガイドレール（６）に摺合すると共に、箱体の一端部に設けられた収容部（８）に収容される可撓性スライド蓋（５）を有する小物入れであって、一端が箱体に回動自在に軸支されるともに、他端がスライド蓋の収容部側の端部に係合され、軸支部を中心とする歯車（１７）を備え、回動運動によりスライド蓋を開閉方向に移動させるアーム（１６）と、箱体に軸支されるとともに、アームの歯車と噛合する歯車を備えた中間歯車（１９）と、中間歯車の中心軸に設けられて中間歯車を回動付勢する捩じりばね（１８）とを有し、収容部は、スライド蓋を湾曲させて収容するべく、アームの回動中心を中心した円弧形状に形成され、中間歯車は、収容部の円弧形状の内方に配置されていることを特徴とする。
【０００８】
このようにすれば、スライド蓋における開放時の進行方向の前端が引っ張られるので、開蓋動作の円滑性を高めることができる。
【０００９】
また、簡略な構造でスライド蓋を収容部に確実に収容することができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【００１１】
図１は、本発明に基づく小物入れが適用された自動車のセンターコンソールボックス１を示している。このセンターコンソールボックス１は、乗用車の運転席２と前部客席３との間に設けられており、その上面を開放させた箱体４が、センターコンソールボックス１の内側に埋め込まれている。そして箱体４の開口は、開閉自在なスライド蓋５で通常は塞がれるようになっている。
【００１２】
図２に示すように、箱体４の開口部の両側部には、スライド蓋５が摺動するガイドレール６が形成されている。そして開口部の前端（図２における左方）には、スライド蓋５の閉鎖状態を保持するためのラッチ機構７が設けられ、また後端（図２における右方）には、開放時のスライド蓋５を湾曲させて収容するための適宜な曲率の円弧溝からなる収容部８が形成されている。
【００１３】
スライド蓋５は、多数の細長い厚肉部９同士を薄肉部１０で連結した鎧戸のような形状をなし、その全体が軟質合成樹脂材で形成されており、厚肉部１０の両側端が、箱体４に形成されたガイドレール６に摺合している。そして閉鎖時には概ね水平面上に延在していたスライド蓋５は、開くと湾曲して収容部８へ円滑に入り込むようになっている。
【００１４】
スライド蓋５の閉鎖運動時の前進端には、閉操作時に指先を掛けるためのつまみ部１１が形成されている。そしてつまみ部１１の内面には、ラッチ機構７のロック爪１２が係合する溝１３が形成されている。
【００１５】
ロック爪１２は、硬質の合成樹脂材で形成されており、箱体４の前端部に設けられた窪み１４に上下動自在に摺合し、かつ圧縮コイルばね１５によって常時上向きに弾発付勢されている。
【００１６】
箱体４の収容部８側には、箱体４の側壁に軸支されて概ね１８０度の角度範囲を回動可能なアーム１６と、アーム１６の基部に形成された歯車１７に噛合してアーム１６に回転力を与えるための捩りコイルばね１８で弾発的に回動付勢された中間歯車１９と、中間歯車１９と噛合してアーム１６の回転速度を規制する回転ダンパ２０とからなる開放駆動機構２１が設けられている。
【００１７】
この開放駆動機構２１のアーム１６の遊端は、スライド蓋５の後端に設けられたスリット２２に突入しており、アーム１６の回転力がスライド蓋５に伝達されるようになっている。
【００１８】
上記のように構成された小物入れによれば、スライド蓋５を閉じるときは、アーム１６に加わる捩りコイルばね１８の弾発的回転力に抗してつまみ部１１を一杯前進させると、スライド蓋５の前端裏面の溝１３にロック爪１２が引っ掛かり、自動的に閉状態が保持される。
【００１９】
ロック爪１２と一体をなす押釦２３を押してロック爪１２の溝１３との係合を解除すると、捩りコイルばね１８の弾発的回転力と回転ダンパ２０の抵抗力とで定まる適度な速度でアーム１６が回動し、アーム端に連結されたスライド蓋５が自動的に開かれる。この時、進行方向の前端に加わる駆動力でスライド蓋５の開放運動が行われるので、開蓋動作円滑性の信頼度が高められる。
【００２０】
以上、自動車のコンソールボックスに適用したものを例示して本発明を詳細に説明したが、本発明は上記に限らず、家具や事務器にも適用可能である。また、単なる箱状の小物入れに限らず、内側に飲料容器の保持具を設け、カップホルダとして使用できるようにしても良い。
【００２１】
また開放駆動機構は、上記した捩りコイルばね１８で回動付勢されたアーム１６を用いたもののみならず、例えば捩りばねで回動付勢されたボビンに巻き付けたワイヤーや、公知の定荷重ばねによってスライド蓋に牽引力を与えるように構成することもできる。
【００２２】
【発明の効果】
以上詳述した通り本発明の請求項１の構成によれば、スライド蓋の進行方向の前端に加わる駆動力で開蓋運動が行われるので、開蓋動作円滑性の信頼度を高める上に多大な効果を奏することができる。また請求項２の構成によれば、簡略な構造でスライド蓋を収容部に確実に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明が適用された乗用車の車室内の要部斜視図
【図２】本発明による小物入れの前後方向に沿う垂直断面図
【符号の説明】
１ センターコンソールボックス
２ 運転席
３ 前部客席
４ 箱体
５ スライド蓋
６ ガイドレール
７ ラッチ機構
８ 収容部
９ 厚肉部
１０ 薄肉部
１１ つまみ部
１２ ロック爪
１３ 溝
１４ 窪み
１５ 圧縮コイルばね
１６ アーム
１７ 歯車
１８ 捩りコイルばね
１９ 中間歯車
２０ 回転ダンパ
２１ 開放駆動機構
２２ スリット
２３ 押釦

Claims (1)

1. 箱体の開口面に沿って延設されたガイドレールに摺合すると共に、前記箱体の一端部に設けられた収容部に収容される可撓性スライド蓋を有する小物入れであって、
   一端が前記箱体に回動自在に軸支されるともに、他端が前記スライド蓋の前記収容部側の端部に係合され、前記軸支部を中心とする歯車を備え、回動運動により前記スライド蓋を開閉方向に移動させるアームと、
   前記箱体に軸支されるとともに、前記アームの歯車と噛合する歯車を備えた中間歯車と、
   前記中間歯車の中心軸に設けられて前記中間歯車を回動付勢する捩じりばねと
   を有し、
   前記収容部は、前記スライド蓋を湾曲させて収容するべく、前記アームの回動中心を中心した円弧形状に形成され、
   前記中間歯車は、前記収容部の円弧形状の内方に配置されていることを特徴とする小物入れ。

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