JP4125428B2 - 頸部留置用カテーテルと枝管管孔内壁保護用管との組合せ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療分野で利用される頸部留置用カテーテル、詳しくはこれを患者の頸部の血管に挿入、頸部に留置するのに適した形状となすとともに、この頸部留置用カテーテルに、このカテーテルを患者の頸部の血管への挿入を簡便かつ迅速に行わしめる枝管管孔内壁保護用管を組合せたものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、血管内留置用カテーテルには、カテーテル本体が単一の内腔を有し、その後端部側の基部に連接部を介して単一の枝管が接続されたシングルルーメンカテーテル、カテーテル本体が2つの内腔を有し、その基部の連接部を介してカテーテル本体の各別の内腔が一方ずつ連通せしめられている2本の枝管が接続されたダブルルーメンカテーテル、カテーテル本体が3つの内腔を有し、連接部を介して3本の枝管に接続されたトリプルルーメンカテーテルのほか、内腔が4つ以上で枝管が4本以上のカテーテルもあり、血液透析用に使用するカテーテルとしては、カテーテル本体内に1〜3つの内腔を有するカテーテルが使用されるが、通常は、2つの内腔を有するカテーテル本体を備えたダブルルーメンカテーテルが最も多く使用されている。
【0003】
ところで、この種血管内留置用カテーテルの挿入、留置部位は、血管の太さや長さ、それに血流量の豊さ、管理面等の要因から、患者の鎖骨下静脈や、大腿静脈等が採用されることが多いところから、カテーテルとしては、単に留置する血管の太さと長さに合わせただけの比較的単純な形状のものが主として使用されている。
【0004】
これに対し、患者の頸部の血管にカテーテル本体を挿入、留置する手技は、血流量の多さ、カテーテルの管理の簡便さ、清潔部位による感染防止効果、歩行等の体動の制限の緩和という点から、その優位性は認められていたものの、これまでの一般臨床現場においては、動脈誤穿刺等の危険性や、カテーテルの体外部の枝管等が患者の耳や顔面等に接触することによって生ずる違和感による患者の苦痛等の問題のため、採用されるケースは少なく、迅速にカテーテル本体を挿入、留置することが必要とされる集中治療室の場などで重症患者に対して選択されるケース等に限られていた。
【0005】
ところが、最近になって、臨床現場においても、頸部へのカテーテル本体の挿入、留置のメリットが注目されるようになり、頸部留置を第一選択として採用、使用されるケースが増加してきた。
【0006】
しかし、頸部にカテーテル本体を挿入、留置する場合、カテーテル本体を体外循環回路や輸液回路等に連結、接続するために設けられているカテーテルの体外部の枝管等が患者の耳や顔面等に接触することが多く、患者の違和感が強まり、カテーテル留置に際し、患者が苦痛を訴えることが度々あった。
【0007】
このため、頸部にカテーテル本体を挿入、留置するカテーテルにおいては、形状、特に体外部の枝管等の形状を小さくするか、それらが顔面や頭部等に当たらない角度に湾曲させた形状にしたり、あるいはそれらの長さを極端に延長して顔面や頭部等に接触しないよう頸部以外の部分、個所等で固定するなどの形状面での工夫が必要とされていた。
【0008】
そこで、例えば、図6に示すが如き、主として透析用に供せられるダブルルーメンカテーテルにおいては、カテーテルの体外部の枝管3,3の形状をカテーテル本体1に対し互いに反対方向に180 度湾曲させたもの、もしくは図7の如く、患者に挿入されないカテーテル本体1の後端部の基部側を180 度に湾曲させたもの、あるいは図8の如く、枝管3,3の長さを通常よりも延長して患者の頸部以外の部分、個所に留置できるようにしたものなどが提案され、実際に製品化されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図6に示すが如きカテーテルは、枝管3,3が反対方向に湾曲しているため、体外部の枝管3,3等の占める面積が大きくなり、患者の違和感を増大させるだけではなく、枝管3,3に体外循環回路や輸液回路等を接続しない場合における衛生管理上、枝管3,3をガーゼ等で包んで患者に固定するさいに大量のガーゼを必要とし、消毒の手間も増大する問題点があり、また図7に示すカテーテル本体1の如く、その基部側が湾曲している形状のカテーテルの場合には、カテーテル内腔を通る薬液や血液が湾曲部で流れが変化するので、流量が低下したり、あるいは血栓が発生し易いなどの問題点があり、さらに図8に示すような枝管3,3の長さを通常よりも延長した形状のカテーテルの場合は、体外部となるカテーテル構成部分の占める面積が大きくなるばかりでなく、枝管3,3の長さが非常に長くなるため、該部分での血液や薬液等の流量の低下が起こり易くなるうえ、カテーテルをガイドワイヤーに沿って留置するセルジンガー法で留置する場合には、ガイドワイヤーを通過しなければならない長さが増大するため、挿通抵抗が大きくなることなどの難点がある。
【0010】
一般に、頸部にカテーテルを留置する方法として、出血量を最小限に抑え、できる限り迅速に留置する必要があることから、予め、血管の所定の位置まで挿入されたガイドワイヤーに沿って挿入、留置する方法、すなわちセルジンガー法が採られることが多い。
【0011】
しかし、頸部に留置するために、カテーテル本体の基部側や枝管等の体外部が湾曲したり、長い形状を有するカテーテルは、予め留置されているガイドワイヤーに沿って体内あるいは血管内に挿入する場合、長い体外部や湾曲部で抵抗が大きくなるため、カテーテルの挿入手技に膨大な時間を要したり、あるいは力をかけ過ぎてガイドワイヤーを損傷させるため、一旦留置したガイドワイヤーを交換しなければならないなど、術者にも患者にも大きな負担を強いることがあった。
【0012】
また、カテーテルの体外部の枝管が2本以上ある場合は、枝管を長くして体外接続部が互いに離れると、体外循環回路や輸液回路等への接続や消毒、点検等の管理が難しくなるのみならず、体外循環回路や輸液回路等への非接続時にこれらを直線状に束ねると、患者の耳などや顔面、それに頸部等に接触し、患者の違和感が増大する。また、枝管を短くまとめると、カテーテル本体の刺入部に近くなるため、不潔になり易く感染などの問題が起きる可能性が増大する傾向がある。
【0013】
本発明は、上述の如き、頸部の血管内に留置するためのカテーテル、すなわち頸部留置用カテーテルの選択、使用にあたって、違和感による患者の苦痛を低減させ、留置時の管理を容易にする形状となされていて、しかもこれに血管への挿入の際に使用する枝管管孔内壁保護用管を組合せ、カテーテルの血管への挿入、留置が簡便かつ迅速に行い得る頸部留置用カテーテルと枝管管孔内壁保護用管との提供を目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するものであって、本発明は、患者の頸部への挿入、留置用に供するカテーテル本体と、該本体の基部に設けられた連接部を介して接続され、かつ、ほぼ同一平面内で間隔をおいて患者の頸部から離間する方向へ略J字形状に湾曲せしめられた複数本の枝管と、よりなる頸部留置用カテーテルと、前記枝管の材質よりも硬く、滑り性の良い材質製で、カテーテル本体の先端部に開口せしめられた内腔と一連の管孔を有し、ガイドワイヤーが挿入、挿通せしめられる枝管の管孔内壁をガイドワイヤーの挿入、挿通時に保護し、かつガイドワイヤーの挿入、挿通抵抗軽減用に供せられる枝管管孔内壁保護用管と、からなることを特徴とする頸部留置用カテーテルと枝管管孔内壁保護用管との組合せである。
また、前記枝管管孔内壁保護用管は、これを挿入、挿通せしめる枝管とほぼ同長、ほぼ同等の曲率で略J字形状に湾曲せしめられていることを特徴とする枝管管孔内壁保護用管であってもよい。
さらに、前記枝管管孔内壁保護用管は、これを挿入、挿通せしめる枝管とほぼ同長なるも、異なった曲率で略J字形状に湾曲せしめられていることを特徴とする枝管管孔内壁保護用管であってもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における頸部留置用カテーテルの形状としては、内腔が1つのシングルルーメン、2つのダブルルーメン、3つのトリプルルーメンを始めとし、4つ以上あるものもあり、容積は従来のものと大差ないが、今、頸部留置用カテーテルを内腔を2つ有する頸部留置用ダブルルーメンカテーテルを例にとり、これに枝管管孔内壁保護用管を組合せた場合を例にとって図示した図1〜図5に基づいて本発明を詳細に説明することとする。
【0016】
頸部留置用ダブルルーメンカテーテルは、図1に示したように、患者の頸部の血管に挿入し留置せしめるカテーテル本体1と、該本体1の後端側の基部に設けられた連接部2と、該連接部2に先端側で接続され、後端側には体外循環回路や輸液回路等へ接続するためのアダプター4,4を備えているうえ、患者の頸部から離間するように、ほぼ同一平面内で間隔をおいて湾曲せしめられた枝管3,3とを主としてなり、1aはカテーテル本体1の先端に開口せしめられていて、一方の内腔が開口せしめられた先端孔、1bは先端孔1aを有する前記一つの内腔に連通せしめられた側孔、1cはカテーテル本体1の先端近くの側面に開口せしめられていて、他方の内腔が開口せしめられた側孔である。
【0017】
本発明に使用する上記カテーテル本体1の材質としては、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンービニル酢酸共重合体、ポリアミド等で血管内で安定な形状を保ち血管を傷つけない硬さのものであれば何でも良いが、特にポリウレタンはカテーテル挿入性を損なわない程度の硬さを持ち、常温では硬く体内の温度では柔らかくなる性質をもつので最も多く使用される。
【0018】
上記枝管3,3の材質としては、カテーテル本体1の材質と同じ硬さの材質あるいはこれより柔らかい材質が使用される。例えば、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、シリコン、エチレンービニル酢酸共重合体等が挙げられるが、容易に折れ曲がり、内腔が閉塞しない強度と皮膚表面を傷つけない柔らかさを持つ樹脂としてポリウレタン、ポリ塩化ビニル、シリコン等が特に多く使用される。
【0019】
そして、上記枝管3,3が上記の如く、患者の顔面に接触しないように湾曲させたのは、これまでのこの種のカテーテルでは、枝管3,3が直線状の形状をとるため、内頸静脈に留置する際に、患者の顔面などにカテーテルの枝管3,3が接触するおそれがある。特に、2本の枝管3,3を有するこの種カテーテルである場合には、上記の如く、2本の枝管3,3を同方向に湾曲させる形状とすることが患者の違和感の低減や消毒等の日常管理面で有利である。
【0020】
通常、体外循環回路や輸液回路等への非接続時には、枝管3,3をガーゼ等で包み、患者の頸部にテープ等で固定する場合が多く、その際には2本の枝管3,3は互いに接近している方が医師や看護婦による消毒やガーゼ交換等の作業が行い易いメリットがある。このため、患者の顔面にカテーテルの体外部が接触しないように、枝管3,3の長さを短くしたり、耳に当たらないように湾曲させるなどできる限り占有面積を小さくすることが望ましいのである。
【0021】
また、湾曲させた場合の大きさ(例えば直径長)は、カテーテルの皮膚刺入部からある程度離れ、刺入部に体外循環時や消毒、ガーゼ交換の際に接触する可能性が少なくなる程度に離れる大きさにすることが好ましい。
【0022】
さらに、カテーテル本体1と枝管3,3との連接部2から枝管3,3の湾曲させるまでの直線距離についてもある程度の長さを確保する必要がある。直線距離の長さは5 〜20mm程度が好ましいが、特に10mmが好ましい。これは患者の日常生活や体外循環や消毒等の際にかかる枝管3,3に対する力をカテーテルの皮膚刺入部まで直接伝わらせない作用が期待できるためである。
【0023】
上記枝管3,3を曲げる方法としては、例えば、枝管3,3の中に所望の湾曲形状を有し、かつ枝管の内径よりも細い外径を有する金属製または耐熱性樹脂製のピンを挿入し、枝管3,3を構成するポリマーのガラス転移点よりも高い温度で加熱して曲げる方法、あるいは有機溶剤等の薬剤に浸漬し、枝管3,3を構成するポリマーの材質に影響を及ぼしながら曲げる方法などが挙げられる。医療用具として使用される安全面から考えると前者が好ましい。
【0024】
この枝管3,3のアダプター部分4,4の材質としては、硬度、強度が高く、消毒剤等に対する耐薬品性と寸法安定性に優れた樹脂であって、成型され得るものであれば良い。この樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、硬質のポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、またはこれらの樹脂に強度をさらに上げるために他の樹脂を混合させたものであっても良い。
【0025】
そのうえ、カテーテル本体1の先端孔1aと一連の枝管3内の内腔には、図3〜図5に示したガイドワイヤー6の挿入性を向上させるために、カテーテルの枝管3の材質よりも硬く、滑り性の良い材質からなる図2に示した枝管管孔内壁保護用管5が着脱可能に挿入されるようになされている。この枝管管孔内壁保護用管5の形状としては、枝管3に予め挿入しておく場合には、枝管3の形状と同じ形状であることが望ましい。例えば、枝管3の湾曲している形状が半円状の場合は枝管管孔内壁保護用管5も半円状であることが望ましい。なぜなら、枝管管孔内壁保護用管5の材質が硬いため、もし直線状であれば、図4に示したように、枝管3の形状も直線状に戻る可能性があるためである。一方、カテーテル留置操作時のみ枝管管孔内壁保護用管5を挿入する場合は、この管5自体の形状は、直線状である方がガイドワイヤー6との抵抗がさらに減少するので好ましい。
【0026】
この枝管管孔内壁保護用管5の材質としては、カテーテルの枝管3,3よりも硬く、滑り性の良い材質として、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、テフロン、ポリスチレン、ポリエステル、硬質のポリ塩化ビニル、ポリウレタンを挙げることができ、またはこれらの材質の表面に親水性あるいは疎水性のポリマーを被覆したものも望ましい。
【0027】
そして、この枝管管孔内壁保護用管5の基部には、カテーテルの枝管3のアダプター4に嵌合し、固定することができるよう、外表面の一端部(基部側)はアダプター4内のテーパー部に嵌入、当接することができるような先細状のテーパー形状を有し、他端部は前記アダプター4内に嵌合することのできない太さを有するとともに、使用者が指で摘むことができるような太さを有し、かつガイドワイヤー6が通過できる内腔を有するコネクター7を備えている。このコネクター7は使用者が操作しやすいように凹凸部を設けていてもよい。
【0028】
枝管管孔内壁保護用管5のコネクター7の材質としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、テフロン、ポリスチレン、硬質のポリ塩化ビニル、ポリウレタン等が挙げられ、硬度、強度の高い材質が好ましい。
【0029】
要するに、本発明においては、頸部留置時に患者の顔面などに接触しないようカテーテルの体外部である枝管を患者の頸部から離間する方向へと湾曲させることによりカテーテル留置時の違和感による患者の苦痛を低減させ、またカテーテルの体外部である枝管の材質より硬く、滑り性の良い材質からなる枝管管孔内壁保護用管を枝管内に予め挿入しておくか、カテーテルの血管内への挿入時に挿入するかして、ガイドワイヤーとの抵抗を低減させ、また簡便かつ迅速に留置することができる。そのうえ、カテーテルの体外部の枝管が2本以上ある場合にはこれらの枝管を湾曲させる方向を間隔をおいて同方向にすることにより、患者への接触を防止し、患者に与える違和感をなくし、カテーテルの管理と衛生面上の処置を容易にし、感染の可能性を低減することができる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
実施例1ポリウレタン製のカテーテル本体1(外径3.7mm 、長さ130mm )と体外部の2本の枝管3,3(外径4mm 、内側にある枝管3の長さ65mm、外側にある枝管3の長さ100mm )とからなるダブルルーメンカテーテルに対して、内側には半径25mmに湾曲したステンレス棒、外側には半径40mmに湾曲したステンレス棒をそれぞれ挿入し、オーブンで加熱することにより、図1に示す同方向に湾曲した2本の枝管3,3を有するカテーテルを作製した。一方、外径2mm 、内径1mm のポリプロピレン製チューブの基部側に、1.5mm の内腔と外側に枝管3のアダプター4のテーパー部4aに嵌合できるテーパー部7aとを備えたポリプロピレン製コネクター7を取り付けてコネクター付きの枝管管孔内壁保護用管5を作製した。
【0031】
この枝管管孔内壁保護用管5の内腔に曲率半径40mmの湾曲したステンレス棒を挿入し、オーブンで加熱することにより、図2に示した形状に湾曲した枝管管孔内壁保護用管5を作製した。次に、カテーテルの先端孔1aに通ずる方の枝管3に湾曲した枝管管孔内壁保護用管5を挿入し、枝管3のアダプター部4の先細テーパー状の内壁と枝管管孔内壁保護用管5のコネクター7のテーパー部7aを嵌合させて固定した。
【0032】
(カテーテルのガイドワイヤー挿通試験)
図3や図4に示す一端がJ型に曲がり、他端が直線状である外径0.038 インチ、長さ600mm のステンレス製ガイドワイヤー(Lake region 社製)を直線状側の端を先端にしてカテーテルの先端孔1aからアダプター4側に出るまで挿入し、カテーテルを図5の様に立てた状態でガイドワイヤーのJ型側に重り8を取り付け、ガイドワイヤーがカテーテルから滑り出したときの重さ(g)を3度測定し、その平均値を静摩擦力とした。
【0033】
先に示した枝管を湾曲させたカテーテルについて、図3の如く、枝管の湾曲形状と同じ形状の枝管管孔内壁保護用管を挿入したもの、図4の如く、直線状の枝管管孔内壁保護用管を挿入したもの、対照として枝管管孔内壁保護用管を挿入しなかったものについて、それぞれ静摩擦力を測定した。その測定結果は、湾曲形状の枝管管孔内壁保護用管を挿入したものの静摩擦力は5.5 (g)であり、ガイドワイヤーへの挿通性に優れることが確認された。さらに、直線状の枝管管孔内壁保護用管を挿入したものの静摩擦力は1.3 (g)であり、ガイドワイヤー挿通性がより向上することも確認された。これに対して、枝管管孔内壁保護用管を挿入しなかったものの静摩擦力は10.7(g)であり、ガイドワイヤーへの挿通性が著しく劣るものであることが確認された。
【0034】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、本発明によれば、カテーテルの体外部の枝管を患者の頸部から離間させる方向に湾曲させた形状にすることにより、患者のカテーテル留置に伴う違和感を低減させ、また医師、看護婦によるカテーテルの日常管理を容易にすることが期待できるばかりでなく、枝管への枝管管孔内壁保護用管の挿入、定置によりガイドワイヤーに沿ってのカテーテルの血管への挿入、留置が簡便、かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る頸部留置用ダブルルーメンカテーテルの一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る頸部留置用ダブルルーメンカテーテルの枝管に装着する枝管管孔内壁保護用管の概略図である。
【図3】本発明に係る頸部留置用ダブルルーメンカテーテルの一方の枝管内に該枝管とほぼ同長、ほぼ同等の曲率で湾曲させた枝管管孔内壁保護用管を挿入、定置させてガイドワイヤーを挿入したときの状態を示す概略図である。
【図4】本発明に係る頸部留置用ダブルルーメンカテーテルの一方の枝管内に直線状の枝管管孔内壁保護用管を挿入、定置させてガイドワイヤーを挿入したときの状態を示す概略図である。
【図5】本発明に係る頸部留置用ダブルルーメンカテーテルのガイドワイヤー挿通性試験のモデルを示す概略図である。
【図6】従来のダブルルーメンカテーテルの枝管の形状がカテーテル本体に対し互いに反対方向に180 度湾曲したダブルルーメンカテーテルの一例を示す概略図である。
【図7】従来のダブルルーメンカテーテルのカテーテル本体が反対方向に180 度湾曲しているダブルルーメンカテーテルの一例を示す概略図である。
【図8】従来のダブルルーメンカテーテルの枝管が頸部以外の部分に留置できる長さの枝管を有するダブルルーメンカテーテルの一例を示す概略図である。なお、図中の同一符号は同一または均等な構成部分を示すものである。
【符号の説明】
1 カテーテル本体
1a カテーテル先端孔
1b 先端孔に通ずる内腔の側孔
1c 先端孔に通じない内腔の側孔
2 カテーテルと枝管の連接部
3 枝管
4 アダプター
4a アダプター内のテーパー部
5 枝管管孔内壁保護用管
6 ガイドワイヤー
7 コネクター
7a コネクターのテーパー部
8 重り
Claims (3)
- 患者の頸部への挿入、留置用に供するカテーテル本体と、該本体の基部に設けられた連接部を介して接続され、かつ、ほぼ同一平面内で間隔をおいて患者の頸部から離間する方向へ略J字形状に湾曲せしめられた複数本の枝管と、よりなる頸部留置用カテーテルと、
前記枝管の材質よりも硬く、滑り性の良い材質製で、カテーテル本体の先端部に開口せしめられた内腔と一連の管孔を有し、ガイドワイヤーが挿入、挿通せしめられる枝管の管孔内壁をガイドワイヤーの挿入、挿通時に保護し、かつガイドワイヤーの挿入、挿通抵抗軽減用に供せられる枝管管孔内壁保護用管と、
からなることを特徴とする頸部留置用カテーテルと枝管管孔内壁保護用管との組合せ。 - 請求項1記載の枝管管孔内壁保護用管は、これを挿入、挿通せしめる枝管とほぼ同長、ほぼ同等の曲率で略J字形状に湾曲せしめられていることを特徴とする枝管管孔内壁保護用管。
- 請求項1記載の枝管管孔内壁保護用管は、これを挿入、挿通せしめる枝管とほぼ同長なるも、異なった曲率で略J字形状に湾曲せしめられていることを特徴とする枝管管孔内壁保護用管。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0672228U (ja) * | 1993-03-26 | 1994-10-07 | 東光株式会社 | 昇圧トランス |
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1998
- 1998-08-26 JP JP25467498A patent/JP4125428B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH0672228U (ja) * | 1993-03-26 | 1994-10-07 | 東光株式会社 | 昇圧トランス |
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