JP4122886B2 - 印刷装置、印刷方法、印刷物製造方法、プログラム及びコンピュータシステム - Google Patents

印刷装置、印刷方法、印刷物製造方法、プログラム及びコンピュータシステム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙などの被印刷体に印刷を行う印刷装置、印刷方法及び印刷物製造方法に関する。また、本発明は、このような印刷装置を制御するプログラム及びコンピュータシステムに関する。
【0002】
【背景技術】
紙、布、フィルム等の各種の被印刷体に画像を印刷する印刷装置として、インクを断続的に吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。このようなインクジェットプリンタでは、被印刷体を紙搬送方向に移動させて位置決めする搬送動作と、走査方向にノズルを移動させながらインクを吐出してドット列を形成する印刷動作とを交互に繰り返し、印刷を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような印刷装置では、被印刷体に画像を印刷したとき、縞(バンディング)が現れる場合がある。この縞は、色の濃い縞(『暗バンディング』、『黒バンディング』又は『濃バンディング』とも呼ばれる)である場合と、色の薄い縞(明バンディング)、『白バンディング』又は『淡バンディング』とも呼ばれる)である場合とがある。
【0004】
本発明は、このような縞の発生を抑え、高品質の画像を印刷できる印刷装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための主たる発明は、移動するノズルからインクを吐出して被印刷体にドット列を形成する吐出動作を繰り返し、複数の前記ドット列を前記被印刷体に配列させて画像を印刷する印刷装置であって、前記ノズルは、大きさの異なるドットを形成可能であり、隣り合う2つのドット列を異なる前記吐出動作によって形成するとき、前記画像の色に関する情報に基づいて、ドットの大きさを考慮してインク量を算出し、算出された前記インク量に基づいて、前記隣り合う2つのドット列を形成する際に、吐出するインク量を制約するとともに、前記隣り合う2つのドット列を形成する際に吐出するインク量を制約するとき、インク量が制約される画素と隣り合う他方のドット列の画素は、インク量が制約されないことを特徴とする。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【0007】
【発明の実施の形態】
===開示の概要===
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
移動するノズルからインクを吐出して被印刷体にドット列を形成する吐出動作を繰り返し、複数の前記ドット列を前記被印刷体に配列させて画像を印刷する印刷装置であって、隣り合う前記ドット列を異なる前記吐出動作によって形成するとき、前記隣り合うドット列のうちの少なくとも一方のドット列を形成する際に、前記画像の色に関する情報に基づいて、吐出するインク量を制約することを特徴とする印刷装置を開示している。このような印刷装置によれば、バンディングの発生を抑え、高品質の画像を印刷できる。
【0008】
かかる印刷装置であって、前記画像の色に関する情報には、前記画像の所定領域内の色に関する情報が含まれることが望ましい。このような印刷装置によれば、所定領域内の色情報に基づいて、吐出するインク量を制約することができる。
【0009】
かかる印刷装置であって、前記画像の色に関する情報には、前記ドット列の色に関する情報が含まれることが望ましい。このような印刷装置によれば、ドット列間のインクの混ざり具合に応じて、吐出するインク量を制約することができる。
【0010】
かかる印刷装置であって、前記画像の色に関する情報には、前記ドット列を構成する複数のドットの色に関する情報が含まれることが望ましい。このような印刷装置によれば、複数のドットの色に応じて、吐出するインク量を制約することができる。
【0011】
かかる印刷装置であって、前記一方のドット列を形成する際に、他方のドット列の色に関する情報も利用して、吐出するインク量を制約することが望ましい。このような印刷装置によれば、吐出するインク量が制約されるドット列だけでなく、隣りのドット列の状況に応じて、吐出するインク量を制約することができる。
【0012】
かかる印刷装置であって、前記画像の色に関する情報には、前記ノズルから吐出するインクに関する情報が含まれることが望ましい。
【0013】
かかる印刷装置であって、前記インクに関する情報には、インク量に関する情報が含まれることが好ましい。ドットを形成するインク量によってドット列間のインクの混ざり具合が異なるので、このような印刷装置によれば、ドット列間のインクの混ざり具合に応じてインク量を制約することができる。
【0014】
かかる印刷装置であって、前記インク量に関する情報には、前記ノズルが吐出するインク滴の大きさに関する情報が含まれることが好ましい。ドットを形成するドット径によってドット列間のインクの混ざり具合が異なるので、このような印刷装置によれば、ドット列間のインクの混ざり具合に応じてインク量を制約することができる。
【0015】
かかる印刷装置であって、前記インク量が多いほど、制約するインク量を多くすることが好ましい。インク量が多いほどドット列間のインクがよく混ざるためバンディングが発生しやすいので、このような印刷装置によれば、バンディングの発生を抑えることができる。
【0016】
かかる印刷装置であって、前記インクに関する情報には、前記インクの種類に関する情報が含まれることが好ましい。インクの種類によってドット列間のインクの混ざり具合が異なるので、このような印刷装置によれば、ドット列間のインクの混ざり具合に応じてインク量を制約することができる。
【0017】
かかる印刷装置であって、前記インクに関する情報には、前記インクの色に関する情報が含まれることが好ましい。インクの色によってバンディングの目立ち方が異なるので、このような印刷装置によれば、高品質な画像を印刷できる。
【0018】
かかる印刷装置であって、前記画像の色に関する情報に、前記画像の濃淡に関する情報が含まれることが望ましい。画像の色の濃い領域と淡い領域とではドット列間のインクの混ざり具合が異なるので、このような印刷装置によれば、ドット列間のインクの混ざり具合に応じてインク量を制約することができる。
【0019】
かかる印刷装置であって、前記画像の色が濃い領域ほど、制約するインク量を多くすることが好ましい。画像の色が濃い領域ではドット列間のインクがよく混ざっているためバンディングが発生しやすいので、このような印刷装置によれば、バンディングの発生を抑えることができる。
【0020】
かかる印刷装置であって、前記画像の色に関する情報には、印刷される画像の元画像の色に関する情報が含まれることが望ましい。このような印刷装置であって、前記元画像に基づいて印刷信号を生成し、前記印刷信号を制約することによって、前記吐出するインク量を制約することが好ましい。このような印刷装置によれば、信号をマスクすることによって、インク量を制約することができる。
【0021】
かかる印刷装置であって、吐出するインク量の制約は、前記ノズルからインクを吐出しないことによって行うことが望ましい。ノズルからインクを吐出しなければインク量が制約されるので、このような印刷装置によれば、バンディングの発生を抑えることができる。
【0022】
かかる印刷装置であって、吐出するインク量の制約は、前記ノズルから吐出するインク滴の大きさを制約することによって行うことが望ましい。ノズルから吐出するインク滴を小さくすればインク量が制約されるので、このような印刷装置によれば、バンディングの発生を抑えることができる。
【0023】
かかる印刷装置であって、前記隣り合う両方のドット列を形成する際に吐出するインク量を制約するとき、インク量が制約される画素と隣り合う他方のドット列の画素は、インク量が制約されないことが望ましい。このような印刷装置によれば、吐出するインク量が制約された画素が目立たないようにすることができる。
【0024】
さらに、移動するノズルからインクを吐出して被印刷体にドット列を形成する吐出動作を繰り返し、複数の前記ドット列を前記被印刷体に配列させて画像を印刷する印刷方法であって、隣り合う前記ドット列を異なる前記吐出動作によって形成するとき、前記隣り合うドット列のうちの少なくとも一方のドット列を形成する際に、前記画像の色に関する情報に基づいて、吐出するインク量を制約することを特徴とする印刷方法を開示している。このような印刷方法によれば、バンディングの発生を抑え、高品質の画像を印刷できる。
【0025】
さらに、移動するノズルからインクを吐出して被印刷体にドット列を形成する吐出動作を繰り返し、複数の前記ドット列を前記被印刷体に配列させて画像を印刷する印刷物の製造方法であって、隣り合う前記ドット列を異なる前記吐出動作によって形成するとき、前記隣り合うドット列のうちの少なくとも一方のドット列を形成する際に、前記画像の色に関する情報に基づいて、吐出するインク量を制約することを特徴とする印刷物の製造方法を開示している。このような印刷物製造方法によれば、高品質の画像を印刷した印刷物を製造することができる。
【0026】
さらに、移動するノズルからインクを吐出して被印刷体にドット列を形成する吐出動作を繰り返し、複数の前記ドット列を前記被印刷体に配列させて画像を印刷する印刷装置に、隣り合う前記ドット列を異なる前記吐出動作によって形成するとき、前記隣り合うドット列のうちの少なくとも一方のドット列を形成する際に、前記画像の色に関する情報に基づいて、吐出するインク量を制約する機能を実現することを特徴とするプログラムを開示している。このようなプログラムによれば、バンディングの発生を抑え高品質の画像を印刷できるように、印刷装置を制御することができる。
【0027】
さらに、コンピュータ本体と印刷装置とを備え、移動するノズルからインクを吐出して被印刷体にドット列を形成する吐出動作を繰り返し、複数の前記ドット列を前記被印刷体に配列させて画像を印刷するコンピュータシステムであって、隣り合う前記ドット列を異なる前記吐出動作によって形成するとき、前記隣り合うドット列のうちの少なくとも一方のドット列を形成する際に、前記画像の色に関する情報に基づいて、吐出するインク量を制約することを特徴とするコンピュータシステムを開示している。このようなコンピュータシステムによれば、バンディングの発生を抑え、高品質の画像を印刷できる。
【0028】
===局所的なバンディングの発生===
<局所的なバンディングについて>
本実施形態では、特に、走査方向の局所的なバンディングの発生を抑制している。まず、局所的なバンディングについて、以下に説明する。
図20Aは、紙に印刷する画像(元画像又は原画像ともいう)の説明図である。ここでは、図20Aに示すように、走査方向に濃度が異なっている画像を、2回の印刷動作で印刷する場合について考える。なお、図中に示された通り、対象となっている画像は、左側の色が濃く、右側の色が薄い。すなわち、図中に示された画像は、走査方向によって画像の濃度が異なっている。
【0029】
バンディングの発生の原因は、印刷動作と印刷動作との間に行われる搬送動作の搬送量の精度が良くないためであると考えられていた。すなわち、搬送量を調整すれば、印刷した画像の縞の発生を抑えられると考えられていた。
【0030】
しかし、単に搬送動作の搬送量を調整しただけでは、走査方向によって画像の濃度が異なっている場合、局所的なバンディングの発生を抑えることができないことが分かった。図20Bは、搬送量の調節によって淡い色の画像領域のバンディングの発生を抑制した場合に、実際に紙に印刷された画像(印刷画像)の説明図である。このように、薄い色の画像領域にバンディング(縞)が発生しないように搬送量を調整すると、印刷画像には、濃い色の画像領域において、色の濃い縞が発生する。一方、図20Cは、搬送量の調節によって濃い色の画像領域のバンディングの発生を抑制した場合の印刷画像の説明図である。このように、濃い色の画像領域にバンディング(縞)が発生しないように搬送量を調整すると、印刷画像には、薄い色の画像領域において、色の薄い縞が発生する。
【0031】
まず、このようなバンディングの発生の原因について説明する。
<局所的なバンディングの発生の原因>
図21は、被印刷体に形成されたドット列の説明図である。ある印刷動作において、ノズル♯n−1がドット列L1を形成し、ノズル♯nがドット列L2を形成する。また、紙Sが搬送されてノズルと紙が相対移動した後、ノズル♯1がドット列L3を形成し、ノズル♯2がドット列L4を形成する。なお、同図では、他のノズルが形成するドット列については、記載を省略している。また、同図において、ヘッド21が2つ描かれているのは、搬送前後における紙とノズルとの相対的な位置関係を示すためである。同図において、淡い色の画像領域では小ドットP1が形成されており、濃い色の画像領域では大ドットP2が形成されている。
【0032】
各ドット列は、ノズルが走査方向に移動し、インクが間欠的に吐出されることによって、走査方向に沿ってライン状に形成されている(これを『ラスタライン』とも呼ぶ)。そして、各ドットの径はドット列の間隔よりも大きいので、各ドット列は、少しずつ重なり合っている。なお、同図において、Dはノズル間隔である(k=1)。Dpは画素の間隔である(ドット間隔でもある)。ドット列L1とL2との間隔、及び、ドット列L3とL4との間隔は、ノズルの間隔で決まるので、ノズルピッチDに等しい(k=1)。ただし、ドット列L2とL3との間隔Dcは、紙Sの搬送量によって調整し得る間隔である。
【0033】
図21において、ドット列L1とL2はほぼ同時に形成される。また、ドット列L3とL4や、他のノズルが形成するドット列も同様に、ほぼ同時に形成される。このように、ほぼ同時に形成されるドット列間のインクの混ざり具合は、印刷条件が同じなので、ほぼ同じである。したがって、ほぼ同時に形成されるドット列間では、バンディングは発生しにくい。
【0034】
一方、ドット列L2とL3は、異なる印刷動作によって形成されており、ドット列L2が形成されてインクが乾いた後に、ドット列L3が形成されている。そのため、ドット列L2とL3間のインクの混ざり具合は、他のドット列間のインクの混ざり具合と異なる。このように、あるドット列間におけるインクの混ざり方が他のドット列間におけるインクの混ざり方と異なるとき、バンディングが発生しやすい。
このように、図中、黒く塗りつぶした部分のインクの重なり方が、バンディングの発生に関して問題となる。
【0035】
<ドットの径との関係について>
一方、ドット列が同じであっても、ドットの径の大きさが異なれば、インクの重なり方が異なることになる。つまり、同じドット列間であっても、そのドット列を形成しているドットの径の大きさによって、インクの混ざり具合が異なっている。例えば、ドットの径が大きければ、ドット列間で多くのインクが混ざり合う。また、ドットの径が小さければ、ドット列間でのインクの混ざる量は小さくなる。
したがって、バンディングの発生状況は、ドット列のドットの径に応じて、異なっている。
【0036】
<吐出するインク量との関係について>
ここで、紙に形成されるドットの径は、ノズルから吐出されたインク量に応じて異なる。例えば、ノズルから吐出されたインク量が少ないと、インクの径は小さくなる。また、ノズルから吐出されたインク量が多いと、インクの径は大きくなる。
したがって、バンディングの発生状況は、吐出されたインク量に応じて、異なっている。
【0037】
<画素の色との関係について1>
吐出されるインクの量は、その画素の色に基づいて、決定される。例えば、同じ色のインクを用いる場合、色の濃い画素には吐出されるインク量が多くなり、色の淡い画素には吐出されるインク量は少なくなる。同図において、右側は淡い色の画像領域なので、ドットの径が小さい。また、左側は濃い色の画像領域なので、ドットの径が大きい。
このように、バンディングの発生状況は、画素の色(画像の色)に応じて、異なっている。
【0038】
<搬送量との関係について>
図中、黒く塗りつぶした部分のインクの混ざり具合は、ドット列L2とL3との間隔(Dc)に応じて、異なることになる。そして、この間隔Dcは、ドット列L1とL2を形成してからドット列L3とL4を形成するまでの間の紙の搬送量を調整すれば、調整することができる。例えば、紙の搬送量を通常の搬送量よりも1/5760インチだけ多く搬送すれば、間隔Dcは、通常の間隔Dcよりも1/5760インチだけ広くなる。
【0039】
しかし、同じドット列に異なる径のドットがある場合、ドット径の大きい領域のバンディングとドット径の小さい領域のバンディングとを同時に修正することは、困難である。なぜなら、間隔Dcを調整すると、ドット径の大きい領域のドット列の間隔が変わるだけでなく、ドット径の小さい領域のドット列の間隔も変わるからである。つまり、既に説明した通り、淡い色の画像領域にバンディングが発生しないように搬送量を調整すると、印刷された画像には、濃い色の画像領域において、色の濃いバンディングが発生するのである(図20B参照)。また、濃い色の画像領域にバンディングが発生しないように搬送量を調整すると、印刷された画像には、淡い色の画像領域において、色の淡いバンディングが発生するのである(図20C参照)。
【0040】
したがって、紙の搬送量を調整すればバンディングの発生が抑えられると考えられていたが、上記の説明から明らかなように、紙の搬送量を調整するだけでは、バンディングの発生を抑えることができない。
そこで、本実施形態では、上記の説明から明らかになったバンディングの発生の原因を考慮し、以下のように吐出するインク量を制限し、バンディングの発生を抑えている。
【0041】
===印刷装置(インクジェットプリンタ)の概要===
<インクジェットプリンタの構成について>
図1、図2、図3および図4を参照しつつ、印刷装置としてインクジェットプリンタを例にとって、その概要について説明する。なお、図1は、本実施形態のインクジェットプリンタの全体構成の説明図である。また、図2は、本実施形態のインクジェットプリンタのキャリッジ周辺の概略図である。また、図3は、本実施形態のインクジェットプリンタの搬送ユニット周辺の説明図である。また、図4は、本実施形態のインクジェットプリンタの搬送ユニット周辺の斜視図である。
本実施形態のインクジェットプリンタは、紙搬送ユニット10、インク吐出ユニット20、クリーニングユニット30、キャリッジユニット40、計測器群50、および制御ユニット60を有する。
【0042】
紙搬送ユニット10は、被印刷体である例えば紙を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(図1において紙面に垂直な方向(以下、紙搬送方向という))に所定の移動量で紙を移動させるためのものである。すなわち、紙搬送ユニット10は、紙を搬送する搬送機構として機能する。紙搬送ユニット10は、紙挿入口11A及びロール紙挿入口11Bと、給紙モータ(不図示)と、給紙ローラ13と、プラテン14と、紙送りモータ(以下、PFモータという)15と、紙送りモータドライバ(以下、PFモータドライバという)16と、紙送りローラ17Aと排紙ローラ17Bと、フリーローラ18Aとフリーローラ18Bとを有する。ただし、紙搬送ユニット10が搬送機構として機能するためには、必ずしも、これらの構成要素を全て要するというわけではない。
【0043】
紙挿入口11Aは、被印刷体である紙を挿入するところである。給紙モータ(不図示)は、紙挿入口11Aに挿入された紙をプリンタ内に搬送するモータであり、パルスモータで構成される。給紙ローラ13は、紙挿入口11に挿入された紙をプリンタ内に自動的に搬送するローラであり、給紙モータ12によって駆動される。給紙ローラ13は、略D形の横断面形状を有している。給紙ローラ13の円周部分の周囲長さは、PFモータ15までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて被印刷体をPFモータ15まで搬送できる。なお、給紙ローラ13の回転駆動力と分離パッド(不図示)の摩擦抵抗とによって、複数の被印刷体が一度に給紙されることを防いでいる。被印刷体の搬送のシーケンスについては、後で詳述する。
【0044】
プラテン14は、印刷中の紙Sを支持する。PFモータ15は、被印刷体である例えば紙を紙搬送方向に送り出すモータであり、DCモータで構成される。PFモータドライバ16は、PFモータ15の駆動を行うためのものである。紙送りローラ17Aは、給紙ローラ13によってプリンタ内に搬送された紙Sを印刷可能な領域まで送り出すローラであり、PFモータ15によって駆動される。フリーローラ18Aは、紙送りローラ17Aと対向する位置に設けられ、紙Sを紙送りローラ17Aとの間に挟むことによって紙Sを紙送りローラ17Aに向かって押さえる。
【0045】
排紙ローラ17Bは、印刷が終了した紙Sをプリンタの外部に排出するローラである。排紙ローラ17Bは、不図示の歯車により、PFモータ15によって駆動される。フリーローラ18Bは、排紙ローラ17Bと対向する位置に設けられ、紙Sを排紙ローラ17Bとの間に挟むことによって紙Sを排紙ローラ17Bに向かって押さえる。
【0046】
インク吐出ユニット20は、被印刷体である例えば紙にインクを吐出するためのものである。インク吐出ユニット20は、ヘッド21と、ヘッドドライバ22とを有する。ヘッド21は、インク吐出部であるノズルを複数有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。ヘッドドライバ22は、ヘッド21を駆動して、ヘッドから断続的にインクを吐出させるためのものである。
【0047】
クリーニングユニット30は、ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するためのものである。クリーニングユニット30は、ポンプ装置31と、キャッピング装置35とを有する。ポンプ装置は、ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するため、ノズルからインクを吸い出すものであり、ポンプモータ32とポンプモータドライバ33とを有する。ポンプモータ32は、ヘッド21のノズルからインクを吸引する。ポンプモータドライバ33は、ポンプモータ32を駆動する。キャッピング装置35は、ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するため、印刷を行わないとき(待機時)に、ヘッド21のノズルを封止する。
【0048】
キャリッジユニット40は、ヘッド21を所定の方向(図1において紙面の左右方向(以下、走査方向という))に走査移動させるためのものである。キャリッジユニット40は、キャリッジ41と、キャリッジモータ(以下、CRモータという)42と、キャリッジモータドライバ(以下、CRモータドライバという)43と、プーリ44と、タイミングベルト45と、ガイドレール46とを有する。キャリッジ41は、走査方向に移動可能であって、ヘッド21を固定している(したがって、ヘッド21のノズルは、走査方向に沿って移動しながら、断続的にインクを吐出する)。また、キャリッジ41は、インクを収容するインクカートリッジ48を着脱可能に保持している。CRモータ42は、キャリッジを走査方向に移動させるモータであり、DCモータで構成される。CRモータドライバ43は、CRモータ42を駆動するためのものである。プーリ44は、CRモータ42の回転軸に取付けられている。タイミングベルト45は、プーリ44によって駆動される。ガイドレール46は、キャリッジ41を走査方向に案内する。
【0049】
計測器群50には、リニア式エンコーダ51と、ロータリー式エンコーダ52と、紙検出センサ53と、紙幅センサ54とがある。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ41の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、紙送りローラ17Aの回転量を検出するためのものである。なお、エンコーダの構成等については、後述する。紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ13が紙送りローラ17Aに向かって紙を搬送する途中で、紙の先端の位置を検出できる位置に設けられている。なお、紙検出センサ53は、機械的な機構によって紙の先端を検出するメカニカルセンサである。詳しく言うと、紙検出センサ53は紙搬送方向に回転可能なレバーを有し、このレバーは紙の搬送経路内に突出するように配置されている。そのため、紙の先端がレバーに接触し、レバーが回転させられるので、紙検出センサ53は、このレバーの動きを検出することによって、紙の先端の位置を検出する。紙幅センサ54は、キャリッジ41に取付けられている。紙幅センサ54は、発光部541と受光部543を有する光学センサであり、紙によって反射された光を検出することにより、紙幅センサ54の位置における紙の有無を検出する。そして、紙幅センサ54は、キャリッジ41によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出する。また、紙幅センサ54は、キャリッジ41の位置によって、紙の先端を検出できる。紙幅センサ54は、光学センサなので、紙検出センサ53よりも位置検出の精度が高い。
【0050】
制御ユニット60は、プリンタの制御を行うためのものである。制御ユニット60は、CPU61と、タイマ62と、インターフェース部63と、ASIC64と、メモリ65と、DCコントローラ66とを有する。CPU61は、プリンタ全体の制御を行うためのものであり、DCコントローラ66、PFモータドライバ16、CRモータドライバ43、ポンプモータドライバ32およびヘッドドライバ22に制御指令を与える。タイマ62は、CPU61に対して周期的に割り込み信号を発生する。インターフェース部63は、プリンタの外部に設けられたホストコンピュータ67との間でデータの送受信を行う。ASIC64は、ホストコンピュータ67からインターフェース部63を介して送られてくる印刷情報に基づいて、印刷の解像度やヘッドの駆動波形等を制御する。メモリ65は、ASIC64及びCPU61のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。DCコントローラ66は、CPU61から送られてくる制御指令と計測器群50からの出力に基づいて、PFモータドライバ16及びCRモータドライバ43を制御する。
【0051】
<エンコーダの構成について>
図5は、リニア式エンコーダ51の説明図である。
リニア式エンコーダ51は、キャリッジ41の位置を検出するためのものであり、リニアスケール511と検出部512とを有する。
リニアスケール511は、所定の間隔(例えば、1/180インチ(1インチ=2.54cm))毎にスリットが設けられており、プリンタ本体側に固定されている。
【0052】
検出部512は、リニアスケール511と対向して設けられており、キャリッジ41側に設けられている。検出部512は、発光ダイオード512Aと、コリメータレンズ512Bと、検出処理部512Cとを有しており、検出処理部512Cは、複数(例えば、4個)のフォトダイオード512Dと、信号処理回路512Eと、2個のコンパレータ512Fa、512Fbとを備えている。
【0053】
発光ダイオード512Aは、両端の抵抗を介して電圧Vccが印加されると光を発し、この光はコリメータレンズに入射される。コリメータレンズ512Bは、発光ダイオード512Aから発せられた光を平行光とし、リニアスケール511に平行光を照射する。リニアスケールに設けられたスリットを通過した平行光は、固定スリット(不図示)を通過して、各フォトダイオード512Dに入射する。フォトダイオード512Dは、入射した光を電気信号に変換する。各フォトダイオードから出力される電気信号は、コンパレータ512Fa、512Fbにおいて比較され、比較結果がパルスとして出力される。そして、コンパレータ512Fa、512Fbから出力されるパルスENC−A及びパルスENC−Bが、リニア式エンコーダ51の出力となる。
【0054】
図6は、リニア式エンコーダ51の2種類の出力信号の波形を示すタイミングチャートである。図6Aは、CRモータ42が正転しているときにおける出力信号の波形のタイミングチャートである。図6Bは、CRモータ42が反転しているときにおける出力信号の波形のタイミングチャートである。
【0055】
図6A及び図6Bに示す通り、CRモータ42の正転時および反転時のいずれの場合であっても、パルスENC−AとパルスENC−Bとは、位相が90度ずれている。CRモータ42が正転しているとき、すなわち、キャリッジ41が主走査方向に移動しているときは、図6Aに示す通り、パルスENC−Aは、パルスENC−Bよりも90度だけ位相が進んでいる。一方、CRモータ42が反転しているときは、図6Bに示す通り、パルスENC−Aは、パルスENC−Bよりも90度だけ位相が遅れている。各パルスの1周期Tは、キャリッジ41がリニアスケール511のスリットの間隔(例えば、1/180インチ(1インチ=2.54cm))を移動する時間に等しい。
【0056】
キャリッジ41の位置の検出は、以下のように行う。まず、パルスENC−A又はENC−Bについて、立ち上がりエッジ又は立ち下りエッジを検出し、検出されたエッジの個数をカウントする。このカウント数に基づいて、キャリッジ41の位置を演算する。カウント数は、CRモータ42が正転しているときに一つのエッジが検出されると『+1』を加算し、CRモータ42が反転しているときに一つのエッジが検出されると『−1』を加算する。パルスENCの周期はリニアスケール511のスリット間隔に等しいので、カウント数にスリット間隔を乗算すれば、カウント数が『0』のときのキャリッジ41の位置からの移動量を求めることができる。つまり、この場合におけるリニア式エンコーダ51の解像度は、リニアスケール511のスリット間隔となる。また、パルスENC−AとパルスENC−Bの両方を用いて、キャリッジ41の位置を検出しても良い。パルスENC−AとパルスENC−Bの各々の周期はリニアスケール511のスリット間隔に等しく、かつ、パルスENC−AとパルスENC−Bとは位相が90度ずれているので、各パルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出し、検出されたエッジの個数をカウントすれば、カウント数『1』は、リニアスケール511のスリット間隔の1/4に対応する。よって、カウント数にスリット間隔の1/4を乗算すれば、カウント数が『0』のときのキャリッジ41の位置から移動量を求めることができる。つまり、この場合におけるリニア式エンコーダ51の解像度は、リニアスケール511のスリット間隔の1/4となる。
【0057】
キャリッジ41の速度Vcの検出は、以下のように行う。まず、パルスENC−A又はENC−Bについて、立ち上がりエッジ又は立ち下りエッジを検出する。一方、パルスのエッジ間の時間間隔をタイマカウンタによってカウントする。このカウント値から周期T(T=T1、T2、・・・)が求められる。そして、リニアスケール511のスリット間隔をλとすると、キャリッジの速度は、λ/Tとして順次求めることができる。また、パルスENC−AとパルスENC−Bの両方を用いて、キャリッジ41の速度を検出しても良い。各パルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジを検出することにより、リニアスケール511のスリット間隔の1/4に対応するエッジ間の時間間隔をタイマカウンタによってカウントする。このカウント値から周期T(T=T1、T2、・・・)が求められる。そして、リニアスケール511のスリット間隔をλとすると、キャリッジの速度Vcは、Vc=λ/(4T)として順次求めることができる。
【0058】
なお、ロータリー式エンコーダ52では、プリンタ本体側に設けられた上記リニアスケール511の代わりに紙送りローラ17Aの回転に応じて回転する回転円板521を用いる点と、キャリッジ41に設けられた検出部512の代わりにプリンタ本体側に設けられた検出部522を用いる点が異なるだけで、他の構成はリニア式エンコーダ51とほぼ同様である(図4参照)。
【0059】
なお、ロータリー式エンコーダ52は、直接的には、紙送りローラ17Aの回転量を検出するのであって、紙の搬送量を検出していない。しかし、紙送りローラ17Aが回転して紙を搬送するとき、紙送りローラ17Aと紙との間の滑りによって、搬送誤差が生じている。したがって、ロータリー式エンコーダ52は、直接的には、紙の搬送量の搬送誤差を検出できない。そこで、ロータリー式エンコーダ52が検出した回転量と搬送誤差との関係を表すテーブルを作成し、そのテーブルを制御ユニット60のメモリ65に格納している。そして、ロータリー式エンコーダの検出結果に基づいてテーブルを参照し、搬送誤差を検出することにしている。このテーブルは、回転量と搬送誤差との関係を表すものに限られず、搬送回数等と搬送誤差との関係を表すものであっても良い。また、紙質に応じて滑りが異なるので、紙質に応じた複数のテーブルを作成し、メモリ65に格納しても良い。
【0060】
<ノズルの構成について>
図7は、ヘッド21の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド21の下面には、濃ブラックインクノズル群KDと、淡ブラックインクノズル群KLと、濃シアンインクノズル群CDと、淡シアンインクノズル群CLと、濃マゼンタインクノズル群MDと、淡マゼンタノズル群MLと、イエローインクノズル群YDが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個(本実施形態ではn個)備えている。なお、各ノズル群を示す符号の最初のアルファベットはインク色を意味しており、また、添え字の「 D」は濃度が比較的高いインクであることを意味しており、また、添え字の「 L 」は濃度が比較的低いインクであることをそれぞれ意味している。
【0061】
各ノズル群の複数のノズルは、紙搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、紙搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。
【0062】
また、各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど若い番号が付されている(♯1〜♯n)。また、各ノズル群のノズルは、紙搬送方向の位置に関して、隣のノズル群のノズルの間に位置するように設けられている。例えば、淡ブラックインクノズル群KLの一番ノズル♯1は、紙搬送方向の位置に関して、濃ブラックインクノズル群KDの一番ノズル♯1と二番ノズル♯2との間に設けられている。また、紙幅センサ54は、紙搬送方向の位置に関して、一番下流側にあるn番ノズル♯nとほぼ同じ位置に設けられている。
【0063】
図8は、各ノズルの構造を示すための説明図である。各ノズルNzには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子PEが設けられている。
ピエゾ素子PEは、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。ピエゾ素子PEは、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インク通路211の一端壁を変形させる。この結果、インク通路211の体積がピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴Ipとなって、ノズルNzの先端から吐出される。このインク滴Ipがプラテン26に支持された紙Sに着弾することにより、ドットが紙Sに形成されて印刷が行われる。
なお、印刷時には、紙Sが紙搬送ユニット10によって間欠的に所定の搬送量で搬送され、その間欠的な搬送の間にキャリッジ41が走査方向に移動して各ノズルからインク滴が吐出される。
【0064】
===ヘッドの駆動===
図9及び図10を用いて、ヘッドの駆動について説明する。図9は、ヘッドドライバ22内の構成を示すブロック図である。また、図10は、各信号の説明のためのタイミングチャートである。図10Aは原信号ODRVのタイミングチャートであり、図10Bは印刷信号PRT(i)のタイミングチャートであり、図10Cは駆動信号DRV(i)のタイミングチャートである。図中に各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。なお、図9の構成は、ヘッドドライバ22内ではなく、制御ユニット70の例えばASIC64内に設けられても良い。
【0065】
ヘッドドライバは、原信号発生部221と、複数の駆動信号生成部223と、マスク回路225と、補正部227とを有している。
原信号発生部221は、ノズル♯1〜♯nに共通に用いられる原信号ODRVを生成する。この原信号ODRVは、一画素分の主走査期間内において、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。原信号発生部221は、この原信号ODRVを、各駆動信号生成部223に出力する。
【0066】
駆動信号生成部223は、ヘッド21のノズル♯1〜♯nをそれぞれ駆動する複数のピエゾ素子に対応して設けられている。各駆動信号生成部223には、原信号発生部221から原信号ODRVが入力されるとともに、印刷信号PRT(i)が入力される。この印刷信号PRT(i)は、パソコン本体からプリンタに供給される印刷データに含まれている画素データに基づく信号である。なお、画素データとは、画素毎の記録状態を示すデータであり、一画素当たり2ビットの情報を有し、各ビットは原信号ODRVの第1パルスW1と第2パルスW2とにそれぞれ対応している。駆動信号生成部223は、印刷信号PRT(i)のレベルに応じて、原信号ODRVを遮断する。すなわち、印刷信号PRT(i)が1レベルのとき、駆動信号生成部223は、原信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとする。一方、印刷信号PRT(i)が0レベルのとき、駆動信号生成部223は、原信号ODRVのパルスを遮断する。そして、駆動信号生成部223は、原信号ODRVと印刷信号PRT(i)に基づいて、駆動信号DRV(i)を補正部227に出力する。
【0067】
マスク回路225は、ヘッド21の端のノズルであるノズル♯1とノズル♯nを駆動するピエゾ素子に対応して設けられている。このマスク回路225は、駆動信号生成部223と補正部227との間に設けられている。マスク回路225は、駆動信号生成部223が出力した駆動信号DRV(1)と駆動信号DRV(n)とをマスクし、マスクされた駆動信号MDRV(1)とマスクされた駆動信号MDRV(n)とを補正部227に出力する。マスク回路225が行う駆動信号DRV(i)のマスクについては、後述する。
【0068】
補正部227には、駆動信号DRV(i)と、マスク回路225からマスクされた駆動信号MDRV(1)及びMDRV(n)とが入力される。補正部227は、マスクされた駆動信号MDRV(i)の波形のタイミングをずらし、補正を行う。この駆動信号の波形のタイミングが補正されることによって、キャリッジの移動の往路と復路におけるインク滴の着弾位置のずれが補正される。すなわち、往路と復路におけるドットの形成位置のずれが補正される。
【0069】
図10に示された通り、原信号ODRVは、各画素区間T1、T2、T3において、第1パルスW1と第2パルスW2とを順に発生する。なお、画素区間とは、一画素分の主走査期間と同じ意味である。
【0070】
図10B及び図10Cに示された通り、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『0、1』に対応しているとき、第1パルスW1のみが一画素区間の前半で出力される。これにより、ノズルから小さいインク滴が吐出され、被印刷体には小さいドット(小ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『1、0』に対応しているとき、第2パルスW2のみが一画素区間の後半で出力される。これにより、ノズルから中サイズのインク滴が吐出され、被印刷体には中サイズのドット(中ドット)が形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットの画素データ『1、1』に対応しているとき、第1パルスW1と第2パルスW2とが一画素区間で出力される。これにより、ノズルから大きいインク滴が吐出され、被印刷体には大きいドット(大ドット)が形成される。以上説明したとおり、一画素区間における駆動信号DRV(i)は、印刷信号PRT(i)の3つの異なる値に応じて互いに異なる3種類の波形を有するように整形されている。
【0071】
印刷信号PRT(i)は、主走査の往路であっても復路であっても、上記の説明の通り、同様に整形される。ただし、各信号波形は、主走査の往路と復路で同じものが用いられるが、そのタイミングは、復路全体で補正部227によってずらされ、補正される。このタイミングの補正によって、復路全体でインク滴の着弾位置が意図的にずらされて、往路と復路におけるインク滴の着弾位置のずれが補正される。
【0072】
===吐出するインク量の制約===
上記の通り、マスク回路225は、駆動信号生成部223が出力した駆動信号DRV(1)と駆動信号DRV(n)とをマスクし、マスクされた駆動信号MDRV(1)とマスクされた駆動信号MDRV(n)とを補正部227に出力する。ここでは、マスク回路225が行う駆動信号DRV(i)のマスクについて、説明する。
【0073】
<印刷画像について>
図11は、紙に形成される印刷画像の説明図である。同図において、方眼状の桝目は、紙上に仮想的に定められたものであり、一つの桝目は一画素を表す。この画素にインク滴を着弾させて、ドットを記録することになる。なお、各画素へのドットの記録は、ノズル21が走査方向に移動しながらインク滴を間欠的に吐出すること(吐出動作)によって行われる。
【0074】
同図に示された印刷方式は、バンド印刷方式と呼ばれる印刷方式である。ここで、『バンド印刷方式』とは、ノズルピッチがドット間隔と等しく(k=1)、連続した複数のラスタラインを1回のパスで印刷する印刷方式を意味する。なお、『パス』とは、ノズルが走査方向に1回走査移動することをいう。また、1回のパスで印刷される複数のラスタラインを『バンド』と呼び、複数のラスタラインの幅を『バンド幅』と呼ぶ。このバンド印刷方式では、バンド幅と等しい搬送量で紙Sの間欠的な搬送が行われる(相対的には、ノズルがバンド幅と等しい量だけ移動する)。なお、ノズルピッチが180dpiだとすると、バンド印刷方式によって印刷される画像の解像度は、180dpiである。
【0075】
同図において、ノズル♯1が紙に形成するドット列は、ノズル♯nが紙に形成するドット列と隣り合っている。そして、ノズル♯1が紙に形成するドット列は、ノズル♯nが紙にドット列を形成し、紙が搬送されることによってノズルが紙に対して相対的に移動した後、形成される。したがって、バンディングは、ノズル♯1とノズル♯nが形成したドット列の間で、発生しやすい。
【0076】
本実施形態では、隣り合うドット列が異なる印刷動作によって形成される場合、マスク回路225は、少なくとも一方のドット列を形成する際に、吐出するインク量を制約している。すなわち、本実施形態では、マスク回路225がノズル♯1及びノズル♯nから吐出するインク滴を制約している。その結果、同図において、×印が記載された画素には、ノズルからのインク滴の吐出が規制され、インク滴が着弾していない。
【0077】
さらに、本実施形態では、ノズルから吐出するインク滴の制約は、画像の色の濃淡に基づいて、行っている。すなわち、本実施形態では、マスク回路225は、画像の色の濃い領域である領域A及び領域Bにおいて、吐出が制約されるインク量が多くなるように、駆動信号DRV(1)と駆動信号DRV(n)とをマスクしている。また、マスク回路225は、画像の色の淡い領域である領域C及び領域Dにおいて、吐出が制約されるインクの吐出量が少なくなるように、駆動信号DRV(1)と駆動信号DRV(n)とをマスクしている。その結果、色の濃い領域において、ノズル♯1とノズル♯nは、本来ならば8画素分のインク滴を吐出すべきところ、4画素分のインク滴の吐出が制約され、4画素分しかインク滴を吐出しない。一方、色の淡い領域においては、ノズル♯1とノズル♯nは、本来ならば8画素分のインク滴を吐出すべきところ、2回分のインク滴の吐出が制約されるのみで、6画素分のインク滴を吐出する。つまり、色の濃い領域では、色の淡い領域と比較して、マスク回路225が駆動信号DRVを多くマスクするため、ノズルが吐出するインク量が多く制約される。
【0078】
さらに、本実施形態では、インク量が制約される画素と隣り合う画素では、インク量を制約していない。これは、インク量が制約される画素が連続すると、色抜けが目立ち、画質が劣化するためである。なお、本実施形態では、同様の理由から、ドット列が異なっている画素同士についても、インク量が制約される画素が隣り合わないようにしている。
【0079】
<制約されるインク量について>
次に、マスク回路225が、どのように画像の色の濃淡を判断し、どの程度吐出するインク量を制約するのかについて、説明する。
画像の色の濃淡は、吐出されるインクの量に基づいて、定めることができる。ここで、例えば、ノズル♯nが、元画像の情報に基づいて、領域Aにおいて大ドットをa個、中ドットをb個、小ドットをc個吐出すると定められていたとする。大ドットは40pl(ピコリットル)、中ドットは21pl、小ドットは13plだとすると、領域Aにおいて吐出されるインクの量は、(40pl×a)+(21pl×b)+(13pl×c)として算出される。そして、この吐出されるインク量が多ければ画像の色が濃いと判断され、この吐出されるインク量が少なければ画像の色が淡いと判断される。
【0080】
また、制約されるインク量は、画像の色の濃淡に基づいて、決定される。ここで、画像の色の濃淡は、上記の通り、領域Aにおいて吐出されるインク量に基づいて算出されている。なお、領域Aにおいて吐出されるインク量は、元画像の情報に基づいて算出することができる。そして、領域Aに吐出されるインク量が多ければ、画像の色が濃いと判断されるので、制約されるインク量を多くする。また、領域Aに吐出されるインク量が少なければ、画像の色が淡いと判断されるので、制約されるインク量を少なくする。なお、元画像から求められるインク量と制約されるインク量とを対応付けたテーブルが、制御ユニット60のメモリ65に記憶されている。
【0081】
このように、マスク回路225は、各領域における制約されるインク量を決定し、ノズルが各領域に吐出するインク量を制約している。
本実施形態によれば、画像の色に基づいて吐出するインク量を制約しているので、搬送量の調整だけでは抑えられなかったバンディング(図20B、図20C参照)を軽減することができる。
【0082】
===コンピュータシステム等の構成===
次に、コンピュータシステム、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムを記録した記録媒体の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0083】
図16は、コンピュータシステムの外観構成を示した説明図である。コンピュータシステム1000は、コンピュータ本体1102と、表示装置1104と、プリンタ1106と、入力装置1108と、読取装置1110とを備えている。コンピュータ本体1102は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置1104は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ1106は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置1108は、本実施形態ではキーボード1108Aとマウス1108Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置1110は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置1110AとCD−ROMドライブ装置1110Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magnet Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0084】
図17は、図16に示したコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。コンピュータ本体1102が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ1202と、ハードディスクドライブユニット1204等の外部メモリがさらに設けられている。
【0085】
上述したプリンタの動作を制御するコンピュータプログラムは、例えばインターネット等の通信回線を経由して、プリンタ1106に接続されたコンピュータ1000等にダウンロードさせることができるほか、コンピュータによる読み取り可能な記録媒体に記録して配布等することもできる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクFD、CD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスクMO、ハードディスク、メモリ等の各種記録媒体を用いることができる。なお、このような記憶媒体に記憶された情報は、各種の読取装置1110によって、読み取り可能である。
【0086】
図18は、コンピュータシステムに接続された表示装置1104の画面に表示されたプリンタドライバのユーザーインターフェースを示す説明図である。ユーザーは、入力装置1108を用いて、プリンタドライバの各種の設定を行うことができる。
【0087】
ユーザーは、この画面上から、印刷モードを選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷モードとして、高速印刷モード又はファイン印刷モードを選択することができる。また、ユーザーは、この画面上から、印刷するときのドットの間隔(解像度)を選択することができる。例えば、ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度(例えば、720dpiや360dpi等)を選択することができる。
【0088】
図19は、コンピュータ本体1102からプリンタ1106に供給される印刷データのフォーマットの説明図である。この印刷データは、プリンタドライバの設定に基づいて、元画像の情報から作成されるものである。印刷データは、印刷条件コマンド群と各パス用コマンド群とを有する。印刷条件コマンド群は、印刷解像度を示すコマンドや、印刷方向(単方向/双方向)を示すコマンドなどを含んでいる。また、各パス用の印刷コマンド群は、目標搬送量コマンドCLや、画素データコマンドCPとを含んでいる。画素データコマンドCPは、各パスで記録されるドットの画素毎の記録状態を示す画素データPDを含んでいる。なお、同図に示す各種のコマンドは、それぞれヘッダ部とデータ部とを有しているが、簡略して描かれている。また、これらのコマンド群は、各コマンド毎にコンピュータ本体側からプリンタ側に間欠的に供給される。但し、印刷データは、このフォーマットに限られるものではない。
【0089】
なお、以上の説明においては、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110と接続されてコンピュータシステムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、コンピュータシステムが、コンピュータ本体1102とプリンタ1106から構成されても良く、コンピュータシステムが表示装置1104、入力装置1108及び読取装置1110のいずれかを備えていなくても良い。また、例えば、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ1106が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【0090】
また、上述した実施形態において、プリンタを制御するコンピュータプログラムが、制御ユニット60の記憶媒体であるメモリ65に取り込まれていても良い。そして、制御ユニット60が、メモリ65に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、上述した実施形態におけるプリンタの動作を達成しても良い。
このようにして実現されたコンピュータシステムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0091】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、印刷方法、プログラム、記憶媒体、コンピュータシステム、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、記録装置、液体の吐出装置等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0092】
<濃淡の判断について>
前述の実施形態によれば、画像の色の濃淡は、画素に吐出するインクの量に基づいて、算出されていた。しかし、濃淡の判断は、これに限られるものではない。
【0093】
例えば、画像の色の濃淡は、画素に吐出するインクの色と量に基づいて、算出しても良い。ここで、画素に吐出するインクの色と量は、画素データには吐出するインクの色(濃ブラック、淡ブラック、濃シアン、淡シアン、濃マゼンタ、淡マゼンタ、イエロー)に関するデータ(インクデータ)とドットデータとが含まれているので、画素データによって決定することができる。例えば、各色ごとに吐出されるインク量が求められるので、各色ごとに求められるインク量に色係数(色に応じて予め定められた係数)をかけて、画像の色の濃淡を算出することができる。具体的には、領域Aにおいて吐出される濃シアンインク及び淡いマゼンタインクの量をそれぞれTcd及びTmlとし、それぞれのインクに対応して予め定められた係数をCcd及びCmlとした場合、画像の色の濃淡は、(Tcd×Ccd)+(Tml×Cml)を基準として、求めることができる。なお、色係数は、同じインク吐出量であれば濃インクの方が淡インクよりも制約されるインク量が多くなるように、設定されている。また、色係数は、同じインク吐出量であれば、シアンインク(又はマゼンタインク)の方がイエローインクよりも制約されるインク量が多くなるように、設定されている。なお、この色係数は、予め制御ユニット60のメモリ65に記憶されている。
【0094】
また、例えば、吐出するインクの色とドットの大きさとに対応したテーブルを予め用意し、このテーブルに基づいて画像の濃淡を判断しても良い。図12は、画像の色の濃淡を算出するのに用いられるテーブルである。このテーブルには、吐出するインクの色とドットの大きさとに対応して、画像の濃淡を表す数値が定められている。そして、マスク回路225は、このテーブルの数値に基づいて、吐出するインク量を制約する。なお、このテーブルの数値は、同じインク吐出量であれば濃インクの方が淡インクよりも制約されるインク量が多くなるように、設定されている。また、このテーブルの数値は、同じインク吐出量であればシアンインク(又はマゼンタインク)の方がイエローインクよりも制約されるインク量が多くなるように、設定されている。なお、このテーブルは、予め制御ユニット60のメモリ65に記憶されている。
【0095】
このような実施形態によれば、前述の実施形態と同様の効果を得られるとともに、たとえ吐出するインク量が同じであっても、吐出するインクの色に応じて、インク量を制約することができる。この結果、ドット列間のインクの混ざり具合はインクの種類によって異なるが、本実施形態によれば、インクの混ざり具合に応じたインク量の制約をすることができる。また、人の目に対するバンディングの目立ち方はバンディングの色によって異なるが、本実施形態によれば、バンディングの色に応じたインク量の制約をすることができる。
【0096】
なお、濃淡の判断は、吐出するインクの種類に関する情報、吐出するインクの量に関する情報、元画像のRGB空間によるデータ、元画像から作成されたCMYK空間によるデータ、その他の元画像の色に関する情報に基づいて、行うことができる。
【0097】
<濃淡の判断の領域について1>
前述の実施形態によれば、走査方向に沿って連続する8画素を一つの領域とし、この領域(例えば、図11の領域Aなど)における画像の濃淡に基づいて、制約するインク量を決定していた。しかし、濃淡の判断の領域は、これに限られるものではない。
例えば、一つの領域が、8画素でなく、他の複数の画素から構成されても良いことは、言うまでもない。
また、例えば、一つの領域が一画素であっても良い。この場合、吐出するインク量の制約は、吐出するインク滴の大きさを小さくすることによって行われることが望ましい。
さらに、濃淡を判断するための領域は、可変であっても良い。例えば、元画像のコントラスト等によって、濃淡を判断する領域の範囲を変えても良い。
【0098】
要するに、元画像の所定の領域の色に関する情報に基づいて、濃淡の判断を行えば良いのである。
【0099】
<濃淡の判断の領域について2>
前述の実施形態によれば、吐出するインク量が制約されるドット列の濃淡に基づいて、制約するインク量を決定していた。しかし、濃淡の判断の領域は、これに限られるものではない。
例えば、あるドット列を形成する際に、隣のドット列の情報を利用して、吐出するインク量を制約しても良い。例えば、あるドット列を形成する際に、そのドット列に吐出するインク量が少ない場合(そのドット列の画像の色が淡い場合)であっても、隣のドット列に吐出するインク量が多いとき(隣のドット列の画像の色が濃いとき)、隣のドット列の状況を考慮して、制約するインク量を多くしても良い。これにより、ドット列間のインクの混ざり具合に応じて吐出するインク量を制約することができるので、局所的なバンディングの発生を抑えることができる。
要するに、あるドット列を形成する際に吐出するインク量は、他のドット列の濃淡に基づいて、制約されても良いのである。
【0100】
<吐出するインク量の制約について>
前述の実施形態によれば、ノズルからのインク滴の吐出を止めることによって、ノズルから吐出するインク量を規制していた(図11の×印を参照)。しかし、吐出するインク量の制約は、ノズルからのインク滴の吐出を止めるものに限られるものではない。
例えば、吐出するインク量の制約は、吐出するインク滴の大きさを小さくすることによって行っても良い。この場合、元画像の情報によれば本来大ドットを形成すべき画素に対し、インク量の制約によって中ドットや小ドットを形成しても良い。また、元画像の情報によれば本来中ドットを形成すべき画素に対し、インク量の制約によって小ドットを形成しても良い。
【0101】
<マスク回路について1>
前述の実施形態では、マスク回路は、ヘッドの端のノズルであるノズル♯1とノズル♯nを駆動するピエゾ素子に対応して設けられていた。しかし、マスク回路が対応するノズルは、端のノズルに限られるものではない。
例えば、図13に示された通り、マスク回路は、端以外のノズルに対応して設けても良い。
【0102】
<マスク回路について2>
前述の実施形態では、マスク回路は、駆動信号生成部と補正部との間に設けられていた。しかし、マスク回路を設ける位置は、これに限られるものではない。
例えば、図14に示された通り、駆動信号生成部よりも手前において印刷信号PRT(i)をマスクし、マスクした印刷信号MPRT(i)を駆動信号生成部に出力するようにしても良い。
また、不図示であるが、マスク回路は、補正部から出力される信号をマスクしても良い。
【0103】
<マスク回路について3>
前述の実施形態によれば、ノズル♯1とノズル♯nの両方のノズルが吐出するインク量が制約されていた。しかし、吐出するインク量が制約されるノズルは、これに限られるものではない。
例えば、ノズル♯1とノズル♯nのうちの一方のノズルから吐出されるインク量だけを制約し、他方のノズルから吐出されるインク量は制約しなくても良い。特に、一方のノズルからインクを吐出しない場合、インクが混ざることによってバンディングが発生することは想定されないので、他方のノズルから吐出されるインク量は、制約しなくても良い。なお、元画像がコントラストの高い画像やテキスト画像などの場合、一方のノズルからインクを吐出しないことが起こりやすい。
【0104】
<印刷方式について>
前述の実施形態では、バンド印刷方式について説明した。しかし、印刷方式がこれらの印刷方式に限られないことは、言うまでもない。
例えば、印刷方式は、擬似バンド印刷方式であっても良い。図15は、擬似バンド印刷によって紙に形成された印刷画像の説明図である。ここで、『擬似バンド印刷方式』とは、kが2以上(同図では、k=2)であって、擬似的なバンドで印刷する印刷方式を意味する。なお、擬似的なバンドとは、複数のパス(同図では、2回のパス)によって印刷される連続した複数のラスタラインをいう。つまり、擬似バンド印刷方式では、擬似バンドを印刷するときの紙の搬送量はドットピッチDとなり、擬似バンドが完成した後の目標搬送量は擬似バンド幅(詳しくは、擬似バンド幅から(k−1)・Dを引いた分)となる。なお、ノズルピッチが180dpiだとすると、この印刷方式によって印刷される画像の解像度は、180dpi×kである(同図では、360dpi)。
要するに、他の印刷方式であっても、異なる吐出動作(パス)によって隣り合うドット列が形成される際に、画像の色に関する情報に基づいて、吐出するインク量を制約できれば良いのである。
【0105】
<印刷装置について>
前述の実施形態では、記録装置としてプリンタ(印刷装置)が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。このような分野に本技術を適用しても、液体を対象物に向かって直接的に吐出(直描)することができるという特徴があるので、従来と比較して省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
【0106】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタの実施形態だったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、このようなインクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出しても良い。このような液体を対象物に向かって直接的に吐出すれば、省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
【0107】
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
【0108】
<紙搬送ユニットについて>
前述の実施形態によれば、紙搬送ユニットは、DCモータからなるPFモータを駆動源として、ロータリーエンコーダで搬送ローラの回転量を制御しながら紙を搬送していた。しかし、紙搬送ユニットは、このような構成に限られるものではない。例えば、駆動源としてパルスモータ等を用いるなど、他の構成であっても良い。要するに、紙搬送ユニットは、紙を搬送する搬送機構としての機能を有する構成であれば良い。
【0109】
<リニアエンコーダについて>
前述の実施形態によれば、キャリッジの走査方向の位置は、リニアエンコーダによって、検出されていた。しかし、キャリッジの位置の検出は、これに限られるものではない。例えば、キャリッジモータをパルスモータとし、モータに与えるパルス数に基づいて、キャリッジの位置を計測しても良い。
【0110】
【発明の効果】
このような印刷装置によれば、バンディングの発生を抑え、高品質の画像を印刷できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のインクジェットプリンタの全体構成の説明図である。
【図2】本実施形態のインクジェットプリンタのキャリッジ周辺の概略図である。
【図3】本実施形態のインクジェットプリンタの搬送ユニット周辺の説明図である。
【図4】本実施形態のインクジェットプリンタの搬送ユニット周辺の斜視図である。
【図5】リニア式エンコーダの構成の説明図である。
【図6】リニア式エンコーダの出力信号の波形を示すタイミングチャートである。
【図7】ヘッドの下面におけるノズルの配列を示す説明図である。
【図8】各ノズルの構造を示すための説明図である。
【図9】ヘッドドライバ22内の構成を示すブロック図である。
【図10】図10Aは、原信号ODRVのタイミングチャートである。図10Bは、印刷信号PRT(i)のタイミングチャートである。図10Cは、駆動信号DRV(i)のタイミングチャートである。
【図11】紙に形成される印刷画像の説明図である。
【図12】画像の色の濃淡を算出するのに用いられるテーブルである。
【図13】他の実施形態におけるマスク回路の説明図である。
【図14】他の実施形態におけるマスク回路の説明図である。
【図15】他の実施形態における印刷方式の説明図である。
【図16】コンピュータシステムの外観構成を示した説明図である。
【図17】図16に示したコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
【図18】ユーザーインターフェースを示す説明図である。
【図19】印刷データのフォーマットの説明図である。
【図20】図20Aは、紙に印刷する画像の説明図である。図20Bは、搬送量の調節によって淡い色の画像領域のバンディングの発生を抑制した場合の印刷画像の説明図である。図20Cは、搬送量の調節によって濃い色の画像領域のバンディングの発生を抑制した場合の印刷画像の説明図である。
【図21】図21は、被印刷体に形成されたドット列の説明図である。
【符号の説明】
10 紙搬送ユニット
11A 紙挿入口
11B ロール紙挿入口
13 給紙ローラ
14 プラテン
15 紙送りモータ(PFモータ)
16 紙送りモータドライバ(PFモータドライバ)
17A 紙送りローラ
17B 排紙ローラ
18A、18B フリーローラ
20 インク吐出ユニット
21 ヘッド
22 ヘッドドライバ
30 クリーニングユニット
31 ポンプ装置
32 ポンプモータ
33 ポンプモータドライバ
35 キャッピング装置
40 キャリッジユニット
41 キャリッジ
42 キャリッジモータ(CRモータ)
43 キャリッジモータドライバ(CRモータドライバ)
44 プーリ
45 タイミングベルト
46 ガイドレール
50 計測器群
51 リニア式エンコーダ
511 リニアスケール
512 検出部
512A 発光ダイオード
512B コリメータレンズ
512C 検出処理部
512D フォトダイオード
512E 信号処理回路
512F コンパレータ
52 ロータリー式エンコーダ
53 紙検出センサ
54 紙幅センサ
60 制御ユニット
61 CPU
62 タイマ
63 インターフェース部
64 ASIC
65 メモリ
66 DCコントローラ
67 ホストコンピュータ

Claims (17)

  1. 移動するノズルからインクを吐出して被印刷体にドット列を形成する吐出動作を繰り返し、複数の前記ドット列を前記被印刷体に配列させて画像を印刷する印刷装置であって、
    前記ノズルは、大きさの異なるドットを形成可能であり、
    隣り合う2つのドット列を異なる前記吐出動作によって形成するとき、
    前記画像の色に関する情報に基づいて、ドットの大きさを考慮してインク量を算出し、
    算出された前記インク量に基づいて、前記隣り合う2つのドット列を形成する際に、吐出するインク量を制約するとともに、
    前記隣り合う2つのドット列を形成する際に吐出するインク量を制約するとき、インク量が制約される画素と隣り合う他方のドット列の画素は、インク量が制約されない
    ことを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記画像の色に関する情報には、前記画像の所定領域内の色に関する情報が含まれることを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1又は2に記載の印刷装置であって、
    前記画像の色に関する情報には、前記ドット列の色に関する情報が含まれることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項3に記載の印刷装置であって、
    前記画像の色に関する情報には、前記ドット列を構成する複数のドットの色に関する情報が含まれることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項3又は4に記載の印刷装置であって、
    前記一方のドット列を形成する際に、他方のドット列の色に関する情報も利用して、吐出するインク量を制約することを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記画像の色に関する情報には、前記ノズルから吐出するインクに関する情報が含まれることを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項6に記載の印刷装置であって、
    前記インクに関する情報には、インク量に関する情報が含まれることを特徴とする印刷装置。
  8. 請求項7に記載の印刷装置であって、
    前記インク量に関する情報には、前記ノズルが吐出するインク滴の大きさに関する情報が含まれることを特徴とする印刷装置。
  9. 請求項7又は8に記載の印刷装置であって、
    前記インク量が多いほど、制約するインク量を多くすることを特徴とする印刷装置。
  10. 請求項6〜9のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記インクに関する情報には、前記インクの種類に関する情報が含まれることを特徴とする印刷装置。
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記インクに関する情報には、前記インクの色に関する情報が含まれることを特徴とする印刷装置。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記画像の色に関する情報に、前記画像の濃淡に関する情報が含まれることを特徴とする印刷装置。
  13. 請求項12に記載の印刷装置であって、
    前記画像の色が濃い領域ほど、制約するインク量を多くすることを特徴とする印刷装置。
  14. 請求項1〜13に記載の印刷装置であって、
    前記画像の色に関する情報には、印刷される画像の元画像の色に関する情報が含まれることを特徴とする印刷装置。
  15. 請求項14に記載の印刷装置であって、
    前記元画像に基づいて印刷信号を生成し、前記印刷信号を制約することによって、前記吐出するインク量を制約することを特徴とする印刷装置。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の印刷装置であって、
    吐出するインク量の制約は、前記ノズルからインクを吐出しないことによって行うことを特徴とする印刷装置。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の印刷装置であって、
    吐出するインク量の制約は、前記ノズルから吐出するインク滴の大きさを制約することによって行うことを特徴とする印刷装置。
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