JP4122136B2 - 密封装置 - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は、一般的には密封装置に関するものであり、より詳しくは、１つ又はこれより多くの細長い部品が通り抜けて伸びる物体の孔部を密封するための密封装置と、このような密封装置を含む物体とに関するものである。
【０００２】
本発明は、パイプ、チューブ又はケーブルなどといった細長い部品の間の結合部（接続部）を保護するための密封装置（シール）として特別の有用性が認められるものである。以下において、「ケーブル（cable）」との語は、導電性ケーブルと光ファイバの束の両方を含むものであることが理解されるべきである。パイプ、チューブ又はケーブルなどといった細長い部品の間に結合部をつくることが必要とされる場合、このような部品において、端部と端部とが結合される結合部ないしは継手部は、該部品それ自体に比べて、必然的に、環境因子に対する強度及び耐性が低く、時の経過ににより劣化を引き起こしやすい。
【０００３】
例えば、遠隔通信システム又は電力伝達システムなどといったケーブルシステムを設置する場合、ケーブルの端部と端部とを結合し、あるいは分岐部を形成するために、継手部を形成することがしばしば必要とされる。ケーブル及び継手部は、建物の内側もしくは外側において、地下、導管内、又はその他の環境下に配置されるであろうが、いずれの場合も、常に、水分又はちりなどといった環境因子の介入の危険がある。地下への配設はまた、圧力、とくに水圧にさらされ、他方地上への配設は毎日の熱変化（温度変化）にさらされる。
【０００４】
ケーブル又はその他の細長い部品中の継手部を環境から保護するための、種々の保護手段が知られている。密閉ケーシングを利用したシステムは、とくに有効であることが見出されている。このようなケーシング又は密閉されたコンテナは、ケーブルの結合部又は継手部を密閉する（囲う）ためのハウジングと、それを通り抜けて１つ又は複数のケーブルが伸びることができるハウジング壁中の少なくとも１つの孔部とを有している。適切な保護を確実化するために、このような孔部にはすべて密封装置（シール）が設けられるべきである。
単純な構造を有し、装着するのが容易であり、かつ良好な密閉性能を与える、物体（対象物）中の孔部を密封するための密封装置が必要とされている。
【０００５】
本発明の第１の態様によれば、その中を１つ又はこれより多くの細長い部品が通り抜けて伸びる物体中の孔部を密封するための密封装置であって、細長い部品を収容しかつ支持するようになっている少なくとも１つの長手方向に伸びる通路を有する第１支持部材と、第１支持部材の通路と対応する少なくとも１つの長手方向に伸びる通路を有し、第１支持部材から長手方向に移動して用いられる第２支持部材と、第１支持部材と第２支持部材との間に配置されるシール部材とを含んでいて、細長い部品が、第１支持部材の長手方向に伸びる通路内に収容されて、第２支持部材上の対応する通路を通って伸び、かつシール部材がその安息形態から（必然的に）変形されることができるようになっている密封装置が提供される。
【０００６】
本発明は、良好な密封を行なうだけでなく、細長い部品を孔部に関して把持させる機能をも果たす。細長い部品によるシール材料の変形は、シール部材がこれらの部品の間及びそのまわりを密封する結果となる。
【０００７】
第１及び第２の支持部材は、好ましく、実質的に互いに同一のものとされている。それらは一体化された部品であってもよく、この場合、それらは連結部材によってともに連結される。これに代えて、第１及び第２の支持部材は、それらのうちの１つと一体であることができる連結部材によって、適宜、ともに結合されることができる個別の部品であってもよい。
【０００８】
支持部材の各々又は両方は、好ましく、その周縁において長手方向に伸びる少なくとも１つの通路を有する実質的に円柱形部材の形態となっている。各支持部材は、長手方向に伸びる複数の通路が設けられているのが好ましい。通路は、支持部材の外周で開放され、ここから伸び、該密封装置が用いられるべき細長い部品を収容できるように、所望の形態又は形状とされることができる。例えば、それらは、実質的にＵ字形又はＶ字形の通路であってもよい。任意の連結部材を収容するために、この支持部材又は各支持部材には、長手方向に伸びる穴部（孔部）、好ましくは支持部材の中央においてその長手方向の軸に平行な穴部が設けられていてもよい。
【０００９】
この支持部材又は各指示部材は、任意の適当な材料で形成されることができ、かつ弾性又は硬い性質を有することができる。例えば、この支持部材又は各支持部材は、アルミニウム又は鋼などといった金属で形成されても、ゴムなどといった天然の弾性材料で形成されても、またプラスチック材料、例えばポリアミド、ポリカーボネート又はポリエチレンもしくはポリプロピレンなどのポリオレフィンで形成されてもよい。
【００１０】
シール部材は、好ましく、実質的に円筒形のシール材料ブロックの形態とされている。シール材料ブロックの寸法、とくにその横断面の幅は、第１及び第２の支持部材の対応する寸法と少なくとも（小さくても）同じ大きさであるべきである。シール材料ブロックの外側寸法は、とくに、長手方向に伸びる通路の内側寸法より大きくされるべきであり、これによりこれらの通路内に存在する細長い部品は、細長い部品が横方向に偏らずに直線状に伸びるよう、シール材料を変形させることが必要である。
【００１１】
シール部材は、一般的に、任意の適切なシール材料（シーラント）を含むことができる。とくに好ましいシール材料は、ゲルシール材料である。ゲルシール材料は、シリコンゲル、尿素ゲル又はウレタンゲルなど、任意の適切なゲル又はゲロイド（geloid）のシール材料であってもよい。それは、エラストマを含むポリマーを伴った、ポリマー組成のゲルシール材料が希釈された液体の形態であってもよく、あるいは比較的硬いブロック及び比較的弾性を有するブロックを有するブロックコポリマーの形態であってもよい。このようなコポリマーの例は、スチレン−ジエンブロックコポリマー、又はスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマーを含む。ゲルに用いられている希釈液は、好ましく、天然の炭化水素オイル、合成オイル又はこれらの混合物などといったオイルを含んでいる。好ましいオイルは、非芳香族パラフィン及びナフテン系炭化水素オイルである。このようなゲルは、この技術分野ではよく知られている。
【００１２】
連結部材が存在する場合、これは任意の適切な形態とすることができる。例えば、第１及び第２の支持部材に関連して先に述べた任意の材料で形成されたロッドの形態とすることができる。
【００１３】
第１及び第２の支持部材の長手方向に伸びる通路内における細長い部品の支持を助勢するために、追加的な保持手段が設けられてもよい。このような手段は、タイラップ（tie wrap）及び／又はテープ又は帯（細長い片）の形態をとることができる。例えば、細長い部品のまわりに、ケーブル把持帯が、個別に又はまとめて巻きつけられる。このような把持帯は、軸引っ張り帯と呼ばれ、ここに参照文献として組み入れられている国際公開公報ＷＯ９６／０９６７０号に開示されている。このような帯は、ケーブルなどといった細長い部品の能力を増加させ、軸方向の力に抵抗し、必要があれば細長い部品の寸法を増加させ、ケーシング内の孔部の寸法と整合する。
【００１４】
追加のシール材料が、細長い部品のまわりに、もし必要があれば中央のシール材料のまわりにも配置されることができる。このようなさらなるシール材料は、テープの形態で用いられることができる。
【００１５】
本発明にかかる密封装置は、孔部を有する物体（対象物）の密封に広く応用される。例えば、ダクトの密封、壁内のはと目もしくは「フィードスルー（feed through）」、又は自動車もしくはその他の車両の隔壁として用いられることができる。より好ましく、それらは、光ファイバ又は電気の継手部もしくは結合部を収容するための密閉されたコンテナ中の孔部の密封に用いられることができる。このようなコンテナは、予め装着された本発明の第１の態様にかかる密封装置とともに用いられることができる。また、密封装置は、個別に応用されて使用時に装着されることができる。密封装置は、ケーブル継手部の密閉容器のケーブル孔部内において、いくつかの小径のケーブルのまわりの密封にとくに適している。
【００１６】
本発明の第２の態様によれば、本発明の第１の態様にかかる密封装置を含む１つ又はこれより多くのケーブルの継手部又は結合部を収容するための密閉された閉じられたコンテナが提供される。
【００１７】
第２の発明にかかるコンテナは、参照文献としてここに組み入れられている国際公開公報ＷＯ９７／４５９０４号に記載されているようなケーブル継手部の密閉容器（enclosure）であってもよい。このようなコンテナ又はケーブル継手部の密閉容器は、密閉されたコンテナとなるように、ともに結合され又は個別の部品として形成された、少なくとも２つの部品又は半割シェルを有するハウジングを含む。本発明にかかる密封装置に加えて、密閉されたコンテナを通り抜けるようにケーブルとハウジングとの間の隙間を密封するシール材料もまた設けられてもよい。このようなシール材料は、好ましく、例えばハウジングの個別の部品を密閉することにより、又はその他の手段により、例えばコンテナに可動部材を設けることにより、加圧下で使用されるようになっている。コンテナ、とくにそのハウジングは、第１及び第２の支持部材について先に述べたような任意の適切な材料で形成されることができる。
【００１８】
長手方向及び横方向との語は、一般に、それぞれ、細長い部品が伸びる方向実質的に平行な方向、及び実質的に垂直な方向を意味する。
【００１９】
本発明は、既知のシール装置よりも有利（有益）であり、使用が容易であり、製造及び装着が容易であり、かつ力、とくに軸方向（長手方向）の力に対する有効な保護を与えると同時に、優れた機械的及び環境的な保護を与える。本発明によるひずみの除去は、テープを伴ったケーブルを個々に包み込むことを必要とし、個々のケーブルの数が増加するのに伴ってより多くの時間を浪費する従来技術にかかる方法に比べて、より実施が容易である。本発明はまた、ケーブルが分離されたままとなること、すなわち互いに離間されたままとなることを確実化し、シール材料の密封圧力がケーブル間で良好に伝達されるのを可能にする。
【００２０】
以下、本発明をより良く理解するために、そしてこれがどのような効果をもたらすかを示すために、単なる例示の目的で用いられる添付の図面を参照しつつ、説明がなされる。
【００２１】
図１に示された密封部材１は、ゴムなどの弾性材料、又はポリプロピレンなどの硬い材料で形成された２つの支持部材２ａ、２ｂを含んでいる。２つの支持部材２ａ、２ｂは、互いに横方向に配置され、それらの間にシール材料ブロック３がサンドイッチ状にはさまれている。２つの支持部材２ａ、２ｂを互いに連結しているのは、ポリプロピレン製の連結ロッド４である。連結ロッド４は、支持部材２ａ、２ｂ内に設けられた円柱形穴部３ａ、３ｂを通り抜ける円柱形のロッドである。図１ａに示されているように、連結ロッド４には、軸穴７と結合してシール材料ブロック３を支持する大径部６が設けられている。
【００２２】
各支持部材２ａ、２ｂには、その円柱周縁部のまわりに放射状に配置された長手方向に伸びる複数の通路８ａ、８ｂが設けられている。
図２ａに示されているように、光ファイバケーブル９などの細長い部品は、互いに実質的に平行となるように長手方向に伸びている通路８ａ、８ｂ内に収容されることができる。シール材料ブロック３の寸法は、ケーブル９を対応する通路８ａ、８ｂ内に収容するために、シール材料がケーブルによってへこまされ、これによりそれらの間をシールできるよう、ケーブルの少なくとも一部のまわりに押し出されるようなものでなければならない。
【００２３】
図２ｂに示されているように、密封装置１の上に配置されたケーブルのまわりを包み込むタイラップ１０が追加的な固定手段として設けられてもよい。また、図２ｃに示されているように、軸方向の力に対して追加的な強度を与えるために、密封装置の上に配置されるケーブルの束のまわりを包み込む軸引っ張り帯１１を設けてもよい。大きな寸法の孔部又はポートに収容させるために、ゲルテープ１２などの追加的なシール材料が、変形されたシール材料ブロック３のまわりを包み込むようにしてもよい。
【００２４】
図３に示された第２実施形態においては、第１及び第２の支持部材は、個別の相互連結ロッドによって連結された個別の部材ではない。第１支持部材１３及び第２支持部材１４は、それらの間を伸びる一体的な相互連結ロッド１５を備えた一体的な部品として形成されている。このような一体的な部品は、好ましく、ポリプロピレンなどの硬い材料で形成される。
【００２５】
上記の第１実施形態及び第２実施形態を含む本発明にかかる密封装置は、ケーブル継手部の密閉容器のケーブル孔内のいくつかの小径のケーブルのまわりを密封するためのケーブル密封装置として用いられる。
図４に、このようなケーブル継手部の密閉容器１６が示されている。密閉容器１６は、互いにぴったり結合して１つの閉じられた密閉容器を形成する２つの個別のハウジング部品１７ａ、１７ｂで形成されている。密閉容器の端部１８は、端部壁１８内に形成されたＵ字形の切欠部が設けられた２つのハウジング部品１７ａ、１７ｂを互いにぴったり結合させることにより形成されたケーブル孔１９を有している。長手方向に離間された壁部２０は、端部壁１８とで、空洞部２１を画成する。密封装置は、その中央のシール材料ブロック３が空洞部２１内に収容され、かつ支持部材２ａ、２ｂ又は支持部材１３、１４と、もし存在すれば軸引っ張りひもとが壁部２０の内側輪郭表面とかみあうような態様で、ケーブル孔１９の１つとぴったり結合する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の第１実施形態にかかるシールの分解斜視図である。
【図１ａ】 いくつかの部品が組み付けられた状態における図１に示す実施形態の斜視図である。
【図１ｂ】 いくつかの部品が組み付けられた状態における図１に示す実施形態の斜視図である。
【図２】 （ａ）〜（ｄ）は、それぞれ、使用時における図１に示す実施形態の組み付けに際してのいくつかの段階を示す一連の斜視図である。
【図３】 本発明の第２実施形態の斜視図である。
【図４】 図１及び図２、又は図３に示す密封装置を用いた、本発明の第２の態様にかかるコンテナの図である。
【符号の説明】
１…密封装置、２ａ…第１支持部材、２ｂ…第２支持部材、３…シール材料ブロック、４…連結ロッド、６…大径部、８ａ…通路、８ｂ…通路、９…細長い部品、１１…軸引っ張りひも、１２…ゲルテープ、１６…密閉容器、１７ａ…ハウジング部品、１７ｂ…ハウジング部品、１９…ケーブル孔。

Claims (6)

1. その中を少なくとも１つの細長い部品（９）が通り抜けて伸びる、物体中の孔部を密封するための密封装置（１）であって、
   細長い部品を収容するようになっている複数の通路（８ａ）をその周縁部に有する第１支持部材（２ａ）と、
   第１支持部材の通路と対応する複数の通路（８ｂ）をその周縁部に有し、使用時には第１支持部材から長手方向に離間している第２支持部材（２ｂ）と、
   第１支持部材と第２支持部材との間に配置されるシール部材（３）とを含んでいて、
   支持部材（２ａ、２ｂ）が実質的に円柱形の本体部を含むとともに、上記複数の通路（８ａ、８ｂ）が、それらの長手方向の一部にわたって細長い部品（９）を支持するように長手方向に伸び、
   かつ、シール部材（３）が、長手方向に伸びる通路（８ａ、８ｂ）の内側寸法より大きい外側寸法を有し、これによりこれらの通路内に収容された細長い部品（９）がシール部材（３）を変形させることができるようになっていて、
   第１支持部材（２ａ）、第２支持部材（２ｂ）及びシール部材（３）が、上記両支持部材のうちの少なくとも一方と一体である連結部材（４）によって互いに連結され、
   該密封装置（１）が、さらに、軸方向の引っ張り軽減のための少なくとも１つの軸方向引っ張り帯（１１）を含み、又は、シール部材（３）のまわりをシールするための少なくとも１つのゲルテープ（１２）を含んでいることを特徴とする密封装置。
2. シール部材（３）がゲルシール材料を含む、請求項１に記載の密封装置。
3. 連結部材（４）に、シール部材（３）を支持するための直径が大きくなっている部分（６）が設けられている、請求項１又は２に記載の密封装置。
4. 連結部材（４）が、硬い材料、好ましくはポリプロピレンで形成されている、請求項１〜３のいずれか１つに記載の密封装置。
5. さらに、細長い部品（９）を位置決めするための少なくとも１つのタイラップ（１０）を含んでいる、請求項１〜４のいずれか１つに記載の密封装置。
6. ともに結合して少なくとも１つの孔部（１９）を有する閉じられたコンテナを形成する２つのハウジング部品（１７ａ、１７ｂ）を含み、１つ又はこれより多いケーブルの継手部又は接続部を収容するための密閉容器（１６）であって、少なくとも１つの孔部（１９）が、請求項１〜５のいずれか１つに記載の密封装置（１）を収容することを特徴とする密閉容器。

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