JP4119742B2 - イソブチレン系重合体及びその製造方法 - Google Patents

イソブチレン系重合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イソブチレン系重合体の製造方法および該製造方法で製造した重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
イソブチレン系重合体は、カチオン重合により得られることが知られている。例えば、ルイス酸触媒と1,4−ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼンなどの重合開始剤を用いるイニファー法により、求核剤であるエレクトロンドナーの存在下、イソブチレンモノマーとスチレンモノマーを逐次添加して、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体を製造する方法が開発されている(特許文献1)。また、アミン化合物をエレクトロンドナーとして用い、同様の方法でスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体を製造する方法が開示されている(特許文献2)。
【0003】
前記イソブチレン系重合体の製造において、塩素原子を有する重合開始剤およびルイス酸触媒を用いたカチオン重合により得られるイソブチレン系重合体は、その重合体分子の末端に該重合開始剤又はルイス酸触媒に由来する塩素原子を有している。このような塩素原子を有するイソブチレン系重合体は、加工成型の際に、その溶融温度以上に加熱すると、塩素成分が遊離し、乾燥装置や成型加工装置を腐食する等の問題を有している。
【0004】
また使用用途により、塩素の含有自体が問題となり、塩素原子を全く含有しないあるいはほとんど含有しない重合体が望まれている。
【0005】
以上より、塩素含量を大幅に低減したイソブチレン系重合体の製造方法が所望されていた。
【0006】
【特許文献1】
米国特許RE34640
【0007】
【特許文献2】
特公平7−059601
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、塩素量を低減したイソブチレン系重合体の製造方法を提供することにある。また、装置の腐食の問題を解決することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塩素原子を有する重合開始剤およびルイス酸触媒を用いたカチオン重合により得られる塩素原子を含有するイソブチレン系重合体製造方法において、該重合体の重合途中または重合終了後に無機系吸着剤を添加し、加熱することを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
【0010】
好適な実施態様としては、イソブチレン系重合体がイソブチレンを主成分とする重合体であることを特徴とする上記製造方法に関する。
【0011】
好適な実施態様としては、イソブチレン系重合体がイソブチレンを主成分とするブロックと芳香族ビニル化合物を主成分とするブロックから成るブロック共重合体であることを特徴とする上記製造方法に関する。
【0012】
好適な実施態様としては、無機系吸着剤が、珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト類である上記製造方法に関する。
【0013】
好適な実施態様としては、無機系吸着剤が珪酸アルミニウムであることを特徴とする上記製造方法に関する。
【0014】
また、本発明は、上記製造方法で製造された重合体に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、塩素原子を有する重合開始剤およびルイス酸触媒を用いたカチオン重合により得られるイソブチレン系重合体の製造方法であって、該重合体の重合途中または重合終了後に無機系吸着剤を添加し、加熱することを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法である。
【0016】
塩素原子を有する重合開始剤およびルイス酸を用いたカチオン重合により製造される重合体分子は、成長末端に開始剤または触媒由来の塩素原子が結合している。イソブチレン系重合体の重合途中または重合終了後に無機系吸着剤を添加し、加熱することによりイソブチレン重合体中の塩素量を低減できる。
【0017】
まず、本発明におけるイソブチレン系重合体の製造方法について説明する。該イソブチレン系重合体とはイソブチレンを主成分とするカチオン重合性モノマーの重合体、あるいはイソブチレンを主成分とするカチオン重合性モノマーの重合体のブロックと芳香族ビニル化合物を主成分とするブロックから成るブロック共重合体を指す。
【0018】
イソブチレンを主成分とするカチオン重合性モノマーとは、イソブチレンのみからなるモノマーに限定されず、イソブチレンを50%以上含有するモノマーを指す。イソブチレン以外のカチオン重合性モノマーとしては、イソブチレンとカチオン重合可能なモノマーであれば特に制限はないが、例えば、脂肪族オレフィン類、芳香族ビニル化合物、ジエン類、ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、β−ピネン、アセナフチレン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
脂肪族オレフィン類としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキセン、オクテン、ノルボルネン等が挙げられる。
【0020】
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、インデン誘導体等が挙げられる。
【0021】
ジエン類としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−、イソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、tert−、イソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル等が挙げられる。
【0022】
シラン類としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
これらの中では、例えば、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン等が好適である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
次に本発明におけるイソブチレン系重合体のうち、イソブチレンを含有するカチオン重合性モノマーの重合体のブロックと芳香族ビニル化合物を主成分とするブロックから成るブロック共重合体について説明する。
【0025】
イソブチレンを含有するカチオン重合性モノマーの重合体については既に述べたが、該重合体のブロックとは、該重合体で構成されるブロックである。なお、芳香族ビニル化合物を主成分とするブロックは、芳香族ビニル化合物を50%以上含有するモノマー成分から形成されるブロックを指す。得られる共重合体の力学特性が優れていることから、芳香族ビニル化合物を60%以上含有するモノマー成分から形成されるブロックが好ましく、より好ましくは芳香族ビニル化合物を80%以上含有するモノマー成分から形成されるブロックである。また、芳香族ビニル化合物のみから形成されるブロックであってもよい。
【0026】
芳香族ビニル化合物を主成分とするブロックのうち、芳香族ビニル化合物以外のモノマーとしては、芳香族ビニル化合物とカチオン重合が可能なモノマーであれば、特に制限はないが、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、β−ピネン、アセナフチレン等のモノマーを列挙できる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上組み合わせてもよい。
【0027】
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、インデン誘導体等が挙げられる。より好ましいのは、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルナフタレン誘導体、インデン誘導体からなる群より選択される1種以上のモノマーからなるブロックである。
【0028】
イソブチレンを含有するカチオン重合性モノマーの重合体のブロックと芳香族ビニル化合物を主成分とするブロックからなるブロック共重合体におけるブロックの比率は、一般に重量比で10:90から90:10である。
【0029】
ブロック共重合体の構造は、イソブチレンを主成分とするブロック及び芳香族ビニル化合物を主成分とするブロックからなるものである限り特に制限はないが、芳香族ビニル化合物を主成分とするブロック−イソブチレンを主成分とするブロックからなるジブロック共重合体、芳香族ビニル化合物を主成分とするブロック−イソブチレンを主成分とするブロック−芳香族ビニル化合物を主成分とするブロックからなるトリブロック体、イソブチレンを主成分とするブロック−芳香族ビニル化合物を主成分とするブロック−イソブチレンを主成分とするブロックからなるトリブロック体、イソブチレンを主成分とするブロック−芳香族ビニル化合物を主成分とするブロックをアームとし、これらのアーム3本以上が多官能性化合物からなるコアに結合した星状ブロック体等、及び、これらの混合物が挙げられる。これらの中で、共重合体の物性の観点から、芳香族ビニル化合物を主成分とするブロック−イソブチレンを主成分とするブロック−芳香族ビニル化合物を主成分とするブロックからなるトリブロック体、及び、芳香族ビニル化合物を主成分とするブロック−イソブチレンを主成分とするブロックからなるジブロック共重合体がより好ましい。
【0030】
本発明で使用する塩素原子を有する重合開始剤としては、ルイス酸触媒と組み合わせることによりモノマー成分のカチオン重合を可能にするものであれば特に限定されない。
【0031】
塩素原子を有する重合開始剤の具体例としては、1−クロロ−1−メチルエチルベンゼン〔C65C(CH32Cl〕、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,4−Cl(CH32CC64C(CH32Cl〕、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,3−Cl(CH32CC64C(CH32Cl〕、1,3,5−トリス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼン〔1,3,5−((ClC(CH32363〕、1,3−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン〔1,3−((C(CH32Cl)2−5−(C(CH33)C63〕を挙げることができる。ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンは、ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン、またはジクミルクロライドとも呼ばれる。このうち、反応性が良好なことと入手がしやすいという点で、1,4−ビス(1−クロロ−1−メチルエチル)ベンゼンが特に好ましい。
【0032】
ルイス酸触媒としては、上記重合開始剤と組み合わせることによりモノマー成分のカチオン重合を可能にするものであれば特に限定されない。具体的には、TiCl4、TiBr4、BCl3、BF3、BF3・OEt2、SnCl4、SbCl5、SbF5、WCl6、TaCl5、VCl5、FeCl3、ZnBr2、AlCl3、AlBr3等の金属ハロゲン化物;Et2AlCl、EtAlCl2等の有機金属ハロゲン化物が好ましい。触媒としての能力、工業的な入手の容易さを考えた場合、TiCl4、BCl3、SnCl4がより好ましい。
【0033】
次に、本発明におけるイソブチレン系重合体中の塩素量について説明する。本発明においてイソブチレン系重合体中の塩素量とは、重合体全体の重量に占める重合体分子に結合している塩素原子の重量割合のことをいう。塩素原子が重合体中の炭素原子と共有結合せず、塩化水素などの別の化合物として共重合体に混入している場合や塩素系溶媒が残存する場合、このような塩素種は、本発明においては共重合体中の塩素量に加えない。本発明において、イソブチレン系重合体中の塩素量を測定する際は、本発明のイソブチレン系重合体を良溶媒、例えば、ヘキサンあるいはトルエン、ハロゲン系溶剤等に溶解した溶液を、貧溶媒、例えば、メタノール、アセトンに添加して、再沈殿させたものを濾別して、充分乾燥させたものを試料とする。また塩素量の測定は、測定試料を高温で燃焼し、得られる塩酸ガスを酸化・電量法で滴定することにより行う。
【0034】
次に、本発明における無機系吸着剤について説明する。本発明における無機系吸着剤としては特に限定されないが、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素等を主成分とする単独もしくはこれらを組み合わせたものが好ましい。例えば二酸化珪素;酸化マグネシウム;シリカゲル;シリカ・アルミナ、珪酸アルミニウム;活性アルミナ;酸性白土、活性白土等の粘土系吸着剤;珪酸アルミニウム等の含水アルミノ珪酸塩鉱物群で総称されるゼオライト系吸着剤;ドーソナイト類化合物;ハイドロタルサイト類化合物が例示される。ゼオライトには天然産と合成品があるがいずれも使用されてよい。
【0035】
二酸化ケイ素は、結晶性、無定形、非晶質、ガラス状、合成品、天然品などの種類が知られるが、ここでは、粉体状であれば使用することができる。二酸化ケイ素としては、活性白土を酸処理して得られる粘土鉱物から作られるケイ酸、カープレックスBS304、カープレックスBS304F、カープレックス#67、カープレックス#80(いずれもシオノギ製薬)などの合成ケイ酸が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0036】
また、珪酸アルミニウムとはケイ酸のケイ素の一部がアルミニウムに置換されたもので、軽石、フライアッシュ、カオリン、ベントナイト、活性白土、ケイソウ土等が知られている。この中でも、合成の珪酸アルミニウムは比表面積も大きく吸着能力が高い。合成珪酸アルミニウムとしてはキョーワード700(協和化学製)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0037】
ハイドロタルサイト類化合物はアルミニウム、マグネシウムの含水水酸化物及び炭酸塩からできている。合成品としてはキョーワード500、キョーワード1000(いずれも協和化学製)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0038】
上記吸着剤のうち、塩素量を低減する効果、例えば、添加量、加熱する時間、温度等を考慮した場合、塩基性無機系吸着剤が特に好ましい。塩基性無機系吸着剤としては例えば活性アルミナ、珪酸アルミニウムナトリウム等の含水アルミノ珪酸塩鉱物群で総称されるゼオライト系吸着剤、ハイドロタルサイト類化合物が挙げられるが、それらのなかでも珪酸アルミニウムが特に好ましい。上記吸着剤は単独で用いても2種以上を混合して用いてもかまわない。
【0039】
吸着剤の添加方法としては、イソブチレン系重合体の重合途中に添加しても、重合終了後に添加してもよい。
【0040】
一般的に、カチオン重合により得られた重合溶液から重合体を得るには、水やアルコールなどで触媒を失活させて、溶媒を留去する。この場合の重合途中とは、触媒を添加して重合を開始してから、触媒を失活させるまでを指す。つまり、重合が進行中の溶液に対して吸着剤を添加することとなる。また、重合終了後とは、触媒を失活させた後を指す。この場合、触媒を失活させるのは重合性モノマーが消失した後でもよいし、消失する前でもよい。また吸着剤の添加は、溶媒を留去する前後どちらでもよい。また溶媒留去後は、無溶剤でも溶媒で再溶解しても構わない。ただし、溶媒で再溶解する場合には重合体濃度が高いほうが好ましい。再溶媒する溶剤としては一般的なものが使用されてよい。
【0041】
吸着剤処理の温度や圧力については特に制限はないが、一般に常圧で20℃〜200℃であり、なるべく安全上温和な条件で実施する方が好ましい。吸着剤処理の温度が20℃以下の場合、塩素量を低減する効果が小さく、200℃以上の場合は、重合体の熱安定性が懸念される。ただし、温度が高い方が効果的であり、好ましくは70〜150℃で行うのがよい。また、吸着剤の使用量は、好ましくはイソブチレン系重合体100重量部に対して0.1〜100重量部の範囲であるが、経済性や操作面を考慮して、更に好ましくは0.5〜20重量部の範囲である。
【0042】
吸着剤と重合体又は重合体溶液の固液接触には様々な実施態様が可能であるが、撹拌混合と固液分離を回分操作で行う回分式のほか、吸着剤を容器に充填し重合体溶液を通液する固定層方式、吸着剤の移動層に液を通じる移動層式、吸着剤を液で流動化して吸着を行う流動層式等も利用できる。さらに必要に応じて撹拌による混合分散に加えて、容器の振とう、超音波の利用など、分散効率を向上させる諸操作を取り入れることができる。
【0043】
このように重合体又は重合体溶液を吸着剤に接触させた後、濾過、遠心分離、沈降分離等の方法で吸着剤を除去し、目的とする重合体溶液を得る。
【0044】
【実施例】
(製造例)
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン484mL及びノルマルブチルクロリド696mL、p−ジクミルクロライド0.637g(2.76mmol)を加えた。重合容器を−70℃のドライアイス/エキネンバス中につけて冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド0.36g(4.14mmol)を加えた。次にイソブチレンモノマー172.4g(3072mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。さらに内温−70℃で四塩化チタン6.1mL(55.2mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から2時間後、スチレンモノマー83.3g(800mmol)を添加した。反応溶液に60℃の温水1000mLを加えて1時間攪拌し、静置して油水分離した水層を除去した。さらに残った反応溶液に水1000mLを加え、30分間攪拌を行い、静置して油水分離した水層を除去し、この操作を2回繰り返した。得られた反応溶液を減圧条件下、加熱して溶剤を留去し、目的のイソブチレンスチレン共重合体を得た。
【0045】
(実施例1)
10mLナスフラスコ中において、上記製造法により得られたイソブチレンスチレン共重合体1.0gをp−キシレン5.0gに溶解し、珪酸アルミニウム(KW700;協和化学製)0.2gを添加し110℃に加熱し5時間攪拌した。加熱を止め、溶液を室温に戻した後、珪酸アルミニウムを濾過し、メタノール20mL中に攪拌しながら添加した。溶液中の沈殿物を濾別し、減圧条件下、加熱乾燥してイソブチレン系重合体を得た。得られたイソブチレンスチレン共重合体の含有塩素量を三菱化成株式会社製TOX−シグマ10(酸化/電量滴定)により測定し、結果を表1に示す。以下含有塩素量は、同様の装置を使用して測定した。
【0046】
(実施例2から13)
珪酸アルミニウムの添加部数、加熱温度、及び珪酸アルミニウムを他の無機系吸着剤に変えた以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
10mLナスフラスコ中において、上記製造法により得られたイソブチレンスチレン共重合体1.0gをp−キシレン5.0gに溶解し、110℃に加熱し5時間攪拌した。加熱を止め、溶液を室温に戻した後、メタノール20mL中に攪拌しながら添加した。溶液中の沈殿物を濾別し、減圧条件下、加熱乾燥してイソブチレン系重合体を得た。得られたイソブチレンスチレン共重合体の含有塩素量を測定した結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2から3)
比較例2から3は温度以外は、比較例1と同様とする。結果は表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0004119742
表2に使用した吸着剤の構造式を示す。
【0050】
【表2】
Figure 0004119742
(実施例14)
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン484mL及びノルマルブチルクロリド348mL、p−ジクミルクロライド0.318g(1.38mmol)を加えた。重合容器を−70℃のドライアイス/エキネンバス中につけて冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド0.18g(2.07mmol)を加えた。次にイソブチレンモノマー86.1g(1536mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。さらに内温−70℃で四塩化チタン3.0mL(27.6mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から2時間後、スチレンモノマー41.6g(400mmol)を添加した。スチレンモノマー添加後すぐに珪酸アルミニウムを4g添加し、1時間反応させた。反応溶液に60℃の温水1000mLを加えて、1時間攪拌した後、混合溶液をオートクレーブ中、加圧下で125℃に加熱し、3時間攪拌した。室温まで混合溶液を放置し、静置して油水分離した水層を除去した。得られた溶液を、減圧条件下、加熱して溶媒を留去し、目的のイソブチレンスチレン共重合体を得た。得られた重合体の塩素量を測定した結果、100ppmであった。
【0051】
(実施例15)
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、n−ヘキサン484mL及びノルマルブチルクロリド348mL、p−ジクミルクロライド0.318g(1.38mmol)を加えた。重合容器を−70℃のドライアイス/エキネンバス中につけて冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド0.18g(2.07mmol)を加えた。次にイソブチレンモノマー86.1g(1536mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。さらに内温−70℃で四塩化チタン3.0mL(27.6mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から2時間後、スチレンモノマー41.6g(400mmol)を添加し、1時間反応させた。反応溶液に60℃の温水1000mLを加えて1時間攪拌し、静置して油水分離した水層を除去した。さらに残った反応溶液に水1000mLを加え、30分間攪拌を行い、静置して油水分離した水層を除去し、この操作を2回繰り返した。得られた溶液に珪酸アルミニウムを10g添加したものを、オートクレーブ中、加圧下で125℃に加熱し、5時間反応させた。溶液を1μ濾紙にて濾別し、減圧条件下、加熱して溶媒を留去し、目的のイソブチレンスチレン共重合体を得た。得られた重合体の塩素量を測定した結果、80ppmであった。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、イソブチレン系樹脂中の塩素量を低減することができ、乾燥装置や成形加工装置の腐食を抑えることができる。

Claims (6)

  1. 塩素原子を有する重合開始剤およびルイス酸触媒を用いたカチオン重合により得られるイソブチレン系重合体の製造方法であって、
    該イソブチレン系重合体は、イソブチレンを主成分とするブロックと芳香族ビニル化合物を主成分とするブロックとから成るブロック共重合体、または、イソブチレンを主成分とする重合体であり、
    前記ルイス酸触媒としてTiCl を用いるとともに、
    該重合体の重合途中または重合終了後にアルミニウム、マグネシウム、またはケイ素を主成分とする無機系吸着剤を添加し、加熱することを特徴とするイソブチレン系重合体の製造方法。
  2. 前記カチオン重合では成長末端に塩素原子が結合することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 前記無機系吸着剤が、二酸化珪素、酸化マグネシウム、シリカゲル、シリカ・アルミナ、珪酸アルミニウム、活性アルミナ、粘土系吸着剤、ゼオライト系吸着剤、ドーソナイト類化合物またはハイドロタルサイト類化合物である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記無機系吸着剤が、珪酸アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、または、ハイドロタルサイト類である請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記無機系吸着剤が、珪酸アルミニウムである請求項4記載の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の製造方法で製造したイソブチレン系重合体。
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