JP4119077B2 - 電力系統の周波数安定化装置 - Google Patents

電力系統の周波数安定化装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統の周波数の低下あるいは上昇を検出し、一部の負荷あるいは発電機を電力系統から解列することにより、周波数低下あるいは上昇を抑制する電力系統の周波数安定化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電力系統の周波数安定化装置は、電力系統の周波数低下あるいは上昇の大きさを基にした装置の動作条件と周波数変動を抑制するのに必要な制御量との関係を予め設定しておき、監視対象とする各変電所あるいは発電所において計測した周波数と比較して制御量を決定し、制御を実施することで、周波数の低下あるいは上昇を抑制するように構成されている。
【0003】
図39は、上記する従来の電力系統の周波数安定化装置の処理手順を示したものである。
【0004】
まず、(S1)において、事前に周波数低下あるいは上昇の大きさを基にした装置の動作条件と制御量の関係を予め設定しておく。例えば、図40に示す動作条件設定例50のように設定する。次に、(S2)において、監視対象とする変電所あるいは発電所等の電気所において、時々刻々と周波数を計測する。(S3)では、計測した周波数と予め設定した動作条件とを比較する。
【0005】
ここで、(S4)で動作条件が成立するか否かの判定を実行し、動作条件が成立した場合には(S5)へ進み、成立しない場合には、(S2)へ戻り、(S2)〜(S3)の処理を引き続き行う。
【0006】
また、(S5)では、(S4)において装置の動作条件が成立した場合に、その動作条件に対応する制御量を制御する。例えば、図40の条件では、時々刻々と計測した周波数が58.90Hz以下に低下した場合、第一段の動作条件が成立するので、対応する負荷制限量(10%)を遮断する。
【0007】
そして、制御実施後も引き続き(S2)から(S4)の処理を行い、図40に示す次の第二段の動作条件が成立した場合には、更に、対応する負荷制限量(10%)を遮断する。この(S2)から(S4)の処理を周波数の低下あるいは上昇が収まるまで継続する。このような方法により、周波数低下あるいは上昇を抑制して、系統の周波数を安定化させる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図39及び図40に基づき説明した従来の電力系統の周波数安定化装置は、装置の動作条件と制御量の設定を事前に行って、且つ、制御量を固定値として用いているので、次の問題がある。
【0009】
まず、第一に、電力系統内の需要は、季節あるいは時間帯により時々刻々と変化するので、制御量を固定して用いると、潮流断面によっては、過剰制御あるいは不足制御となることが考えられる。過剰あるいは不足制御を防止するためには、潮流断面に合わせて制御量の設定を変更すればよいが、その都度、潮流断面に合わせて設定を変更するのは、系統運用者にとって負担となることが予想される。
【0010】
また、第二に、動作条件の判定には、基準周波数からの偏差の大きさのみを用いて判定している。ところが、周波数低下あるいは上昇の速さや大きさは、発電機の運転状態や種類、接続されている負荷の種類により変わるので、周波数低下あるいは上昇の大きさのみを用いた判定であると、周波数低下あるいは上昇が急激に大きく変化するような場合には、動作条件の設定によっては、次々と動作条件が成立して必要以上に過剰制御してしまう可能性が考えられる。
【0011】
また、第三に、従来、監視対象の電気所内の周波数の異常な変動を抑制する場合、その監視対象の属するローカル系統の多数箇所の各種電気量を広域の情報伝送網によって収集して需給アンバランスを算出しなければならず情報伝送網等によりシステムの規模が大きくなるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、系統運用者の負担を軽減すべく、系統状態が変化した場合でも装置の動作条件などのパラメータ設定の変更を必要とせず、系統状態の変化に対して柔軟に対応可能で、且つ、周波数を安定化にするのに必要な制御量を高精度に算出する電力系統の周波数安定化装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、電力系統の監視対象とする変電所あるいは発電所等の電気所において、計測された系統の周波数を含む各種電気量を用いて所定の演算を行い、得られた周波数の変動を防止するために必要な負荷制限量あるいは電源制限量によって発電機あるいは負荷を遮断する電力系統の周波数安定化装置において、監視対象の電気所の周波数変化率と前記監視対象の電気所が属する系統内の等価発電機の慣性定数とに基づいて、所定の演算により前記系統内の需給アンバランス量を推定する手段と、この手段によって推定された需給アンバランス量に応じて初期の負荷制限量あるいは初期の電源制限量を決定する手段と、前記初期の負荷制限量あるいは初期の電源制限量による実施後に、監視対象の系統の周波数が所定の大きさの変動をする場合、前記実施の前後の各周波数変化率と各負荷制限量あるいは各電源制限量を用いて、前記系統内の需給アンバランス量を再度推定する手段と、この手段によって再度推定された需給アンバランス量に応じて追加の負荷制限量あるいは追加の電源制限量を決定する手段と、この手段によって決定された追加の前記系統の需給アンバランス量の再度の推定及び追加の負荷制限量あるいは電源制限量の決定を、予め定める条件に応じて実施する手段とを備えることにより、前記監視対象電気所毎に個別に監視制御するものである。この手段によれば、遮断済みの制御量の合計値と周波数変化率のみで、監視対象の電気所が属する系統内の需給アンバランス量を推定できるので、演算のためのパラメータ設定が必要なく、また、推定した需給アンバランス量から制御量を算出するので需要の増減などの系統状態が変化しても対応でき、系統運用者の負担を低減でき、また、追加制御を繰り返し実施するので不足制御を防止できる。また、監視対象の電気所端のみで計測あるいは収集可能な情報のみで、需給アンバランス量を推定し、推定した需給アンバランス量に基づいて制御量を算出できるので、電力系統内の各所において計測した情報を収集する必要がなく広域の情報伝送網も不要で、システム規模を小さくできる。また、監視対象の電気所毎に個別に監視,制御が実施できるので、装置構成が簡素で制御性が高く運用性や保守性に優れた装置を提供できる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1記載の電力系統の周波数安定化装置において、初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した後の監視対象の電気所が属する系統の需給アンバランス量を推定する際に、負荷制限あるいは電源制限の実施の前後の各周波数変化率、各負荷制限量あるいは各電源制限量とともに、系統分離及び負荷制限あるいは電源制限に伴う負荷増減特性係数をも用いて、系統内の需給アンバランス量を推定するようにしたものである。この負荷増減特性係数は、事故発生前の定常時及び前記実施の前後の負荷フィーダーあるいは発電機の各有効電力から算出される。この手段によれば、系統分離に伴う電圧変化によるローカル系統内の負荷の増減とか、ローカル系統内の負荷制限や電源制限に伴う電圧変動による負荷の増減をそれぞれ考慮した需給アンバランスの推定を行えるので、推定精度を高めることができる。また、電圧変動の影響を除去するための周波数の平滑化処理を削除あるいは平滑化処理に用いるデータ区間長の短縮を図ることができため、追加制御量を短時間に算出できる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2記載の電力系統の周波数安定化装置において、系統分離及び負荷制限あるいは電源制限に伴う負荷増減特性係数を、計測した電圧に基づいて算出するようにしたものである。この手段によれば、計測した電圧から算出した電圧変動係数として、負荷の増減特性係数を求めることにより、電圧変動を考慮した需給アンバランス量の推定を行えるので、推定精度を高めることができる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置において、周波数変化率の演算あるいは需給アンバランス量の演算に用いる各種電気量に対して所定の平滑化処理を施すようにしたものである。この手段によれば、需給アンバランス量を求める際に用いる各種電気量に平滑化処理を施しているので、周波数が長周期あるいは短周期に動揺する場合やごく短時間に急激に変化する場合でも、精度良く需給アンバランス量を推定でき、且つ、推定結果のばらつきを防止するので、高精度で高信頼度の装置を提供できる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置において、系統の将来の周波数を予測して予測された将来の周波数の変化率を用いて需給アンバランス量を推定するようにしたものである。この手段によれば、予測した将来の周波数やその周波数変化率を用いて演算を行うので、実測値を用いて演算する場合より早い時点で演算結果を得ることができると共に、早い時点で制御を実施できるので、周波数低下あるいは上昇を短時間で安定化する装置とすることができる。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置において、予め設定した所定の条件となったと判定した場合、需給アンバランス量を推定する初期あるいは追加の演算を開始し、得られた初期あるいは追加の需給アンバランス量によって負荷制限量あるいは電源制御量を決定するようにしたものである。この手段によれば、予め設定した条件を基にして、段階的に制御が実施できるので、系統運用に合わせた制御が可能であり運用性の高い装置とすることができる。
【0020】
請求項7の発明は、請求項6記載の電力系統の周波数安定化装置において、各監視対象の電気所に接続される負荷フィーダーあるいは発電機などの周波数変動に対する許容度に応じて個々に需給アンバランス量の推定する演算を開始するようにしたものである。この手段によれば、電力系統の周波数安定化装置が電力系統の複数の電気所に設置されている場合に、複数の周波数安定化装置間で動作条件を異なるようにすることができるので、協調を取った安定化制御により必要以上の解列を防止できる。
【0021】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置において、需給アンバランス量を推定する初期あるいは追加の演算を開始し、得られた初期あるいは追加の需給アンバランス量によって負荷制限量あるいは電源制限量を決定し、発電機あるいは負荷遮断を実施した後に、引き続き、再度、需給アンバランス量を推定する演算を行う場合に予め設定した所定の条件に従って需給アンバランス量を推定する演算をロックするようにしたものである。この手段によれば、負荷制限後の過渡的な電圧上昇が発生している間は、補正制御演算をロックするので、電圧上昇に伴って負荷の消費電力が増加し過剰に制御量が算出される場合でも、過剰制御を防止でき、信頼性の高い装置とすることができる。
【0022】
請求項9の発明は、請求項8記載の電力系統の周波数安定化装置において、需給アンバランス量を推定する初期あるいは追加の演算を開始し、得られた初期あるいは追加の需給アンバランス量によって負荷制限量あるいは電源制限量を決定し、発電機あるいは負荷遮断を実施した後に、引き続き、再度、需給アンバランス量を推定する演算を行う場合に計測した電圧が予め設定される条件となった場合には、需給アンバランス量を推定する演算をロックするようにしたものである。この手段によれば、負荷制限後の過渡的な電圧上昇が発生している間は、補正制御演算をロックするので、電圧上昇に伴って負荷の消費電力が増加し過剰に制御量が算出される場合でも、過剰制御を防止でき、信頼性の高い装置とすることができる。
【0023】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置において、需給アンバランス量の推定の際に予め設定した所定の条件に基づいて、予め設定された複数の発電機の慣性定数を選択するように調整を行うようにしたものである。この手段によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる等価発電機モデルの慣性定数を、周波数変化率の大きさを用いて自動的に調整するので、実現象に応じた制御量を算出できる。特に、請求項5の発明の周波数平滑化処理手段と請求項7の発明の制御演算開始判定手段と組み合わせた場合には、制御の緊急性が高い周波数変化率が大きい場合に初期の制御量が多めに制御され、制御後に時間的余裕が生まれるので、平滑化処理に用いるデータ数を増やして精度よく追加制御量を算出できるので、運用性が高く制御量を高精度に算出する装置とすることができる。
【0024】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置において、需給アンバランス量の推定の際に周波数変化率の大きさに基づいて、発電機の慣性定数を増減させて補正するようにしたものである。この手段によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる等価発電機モデルの慣性定数を、周波数変化率の大きさを用いて自動的に調整するので、実現象に応じた制御量を算出できる。特に、請求項4の発明の周波数平滑化処理手段と請求項6の発明の制御演算開始判定手段と組み合わせた場合には、制御の緊急性が高い周波数変化率が大きい場合に初期の制御量が多めに制御され、制御後に時間的余裕が生まれるので、平滑化処理に用いるデータ数を増やして精度よく追加制御量を算出できるので、運用性が高く制御量を高精度に算出する装置とすることができる。
【0025】
求項12の発明は、請求項1記載の電力系統の周波数安定化装置において、周波数が安定している場合の各種電気量と周波数が変動した場合の各種電気量とに基づいて所定の演算を行い、電源制限量あるいは負荷制限量を補正するようにしたものである。この手段によれば、計測した各種電気量を用いて制御量を自動的に補正するので、実現象に即した制御量を算出でき、運用性の高い装置とすることができる。
【0026】
請求項13の発明は、請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置において、予め設定した所定の条件に基づいて負荷制限する負荷フィーダーあるいは電源制限する発電機を選択するようにしたものである。この手段によれば、系統より解列する負荷フィーダーあるいは発電機を自動的に選択できるので、運用性に優れた装置とすることができる。
【0027】
請求項14の発明は、請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置において、監視対象の電気所が属するローカル系統と電力系統のその他の主系統との間の連系線の遮断器の開閉情報と電流,電圧,有効電力などを含む各種電気量とローカル系統内の発電機が運転されているかどうかを示す発電機の解併列情報とを収集すると共に、予め設定し保管したローカル系統内の発電機の定格出力,慣性定数などを含む各種発電機情報と収集した発電機の解併列情報を用いて、連系線上からみたローカル系統側を1機の等価発電機モデルで表わした場合の等価発電機モデルの慣性定数を所定の演算により算出し、算出した慣性定数を需給アンバランス量を推定する際に用いる発電機の慣性定数とする系統状態推定部を設けるようにしたものである。この手段によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる等価発電機モデルの慣性定数を正確に算出できるので、高精度の装置とすることができる。
【0028】
請求項15の発明は、請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置において、分離系統内の一部の周波数安定化装置が故障などにより不動作であった場合に、正動作する周波数安定化装置において、故障した周波数安定化装置が実施すべき負荷制限あるいは電源制限分を考慮して制御を実施するようにしたものである。この手段によれば、誤不動作の周波数安定化装置が不特定多数あった場合でも、正動作装置において不足制御分を含めた制御量を算出できるので、システムとして信頼性の高い周波数安定化装置を提供できる。
【0029】
請求項16の発明は、請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置において、監視対象の電気所が属する系統内の一部の電気所にのみ本装置を設置するようにしたものである。この手段によれば、電力系統内の一部の電気所にのみ本装置を設置することで、ローカル系統の周波数低下あるいは上昇を抑制し、基準周波数に制御できるので、システムを簡素化できる。また、監視対象外の負荷や制御不可能な負荷あるいは送電損失などが存在した場合でも、これらに対する制御量も含め追加制御量を算出できるので、信頼性や運用性の高い周波数安定化装置を提供できる。
【0030】
請求項17の発明は、請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置において、求めた周波数変化率を用いて、制御目標周波数を見直すようにしたものである。この手段によれば、周波数変化率によって目標制御周波数を選択するので、周波数低下率が大きく制御の緊急性が高い場合には制御量が多く算出され、周波数抑止効果が高くなる。また、周波数低下率が小さく安定化制御の緊急性が低い場合には制御量が少なく算出され、発電機の出力増加の制御により基準周波数に制御するので、停電区間を最小化できる。
【0031】
請求項18の発明は、請求項1記載の電力系統の周波数安定化装置において、事故発生前の定常時及び初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した前と後の負荷フィーダーあるいは発電機の有効電力から算出した係数を用いて、算出した周波数変化率などの各種電気量の変化分や計測した周波数などを補正するようにしたものである。この手段によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる周波数変化率を、負荷の増減特性を表わす係数を用いて自動的に補正するため、負荷の電圧特性により負荷量が増加した場合でも精度よく追加制御量を算出できるので、推定精度の高い電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0032】
請求項19の発明は、請求項1記載の電力系統の周波数安定化装置において、事故発生前の定常時及び初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した前と後の電圧から算出した係数を用いて、算出した周波数変化率などの各種電気量の変化分や計測した周波数などを補正するようにしたものである。この手段によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる周波数変化率を、電圧変動特性を表わす係数を用いて自動的に補正するため、電圧変動の影響を除去でき精度よく追加制御量を算出できるので、推定精度の高い電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0033】
請求項20の発明は、請求項2または請求項3記載の電力系統の周波数安定化装置において、監視対象の電気所が属する系統内の発電機の慣性定数を推定するようにしたものである。この手段によれば、監視対象の電気所端のみで計測あるいは収集可能な情報のみで、監視対象の電気所が属する系統内の発電機を1機で表わした場合の等価発電機モデルの慣性定数を推定することができる。
【0034】
請求項21の発明は、請求項1記載の電力系統の周波数安定化装置において、記載の電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部において、事故発生前の定常時及び初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した前と後の負荷フィーダーあるいは発電機の有効電力から算出した係数を用いて、算出した制御量を補正するようにしたものである。この手段によれば、負荷の増減特性を表わす係数を用いて制御量を自動的に補正するので、負荷の電圧特性により負荷量が変化した場合でも精度よく追加制御量を算出できるので、負荷の電圧特性を考慮した推定精度の高い電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明の係わる電力系統の周波数安定化装置の全体構成図である。
【0037】
図1において、電力系統100の主系統101とローカル系統103とが連系線102によって接続し、監視対象に接続する伝送ライン104から各電気所毎の電圧、電流、有効電力、系統の周波数などを含む各種電気量が周波数安定化装置120へ取り込まれるように構成されている。
【0038】
周波数安定化装置120は、系統状態計測部1と周波数演算部2と制御量演算部3と制御部4と系統状態記憶部5とからなっており、ローカル系統103から入力した各種電気量に基づいて、制御部4で得られた制御量をローカル系統103へ安定化制御ライン105から伝えるようになっている。
【0039】
図2は、図1に示す電力系統の周波数安定化装置の具体例を示す電力系統の周波数安定化装置の構成図であって、ローカル系統103は、主系統101と連系線102とによって連系し、遮断器106を介して電気所107に送電線108によって接続している。そして、発電機109あるいは負荷110の近傍の電気所107に計測器111を接続する周波数安定化装置120を複数設けている。
【0040】
図3は、本発明の第1の実施の形態を示す周波数安定化装置の構成図である。
【0041】
図3において、系統状態計測部1は、監視対象の電気所端の電流、電圧、負荷フィーダーあるいは発電機の有効電力、系統の周波数などを含む各種電気量を時々刻々と計測する。周波数演算部2は、前記の周波数などを含む各種電気量を用いて、周波数変化率などの各種電気量の変化分を所定の演算により算出する周波数演算手段21からなる。
【0042】
制御量演算部3は、前記の算出した周波数変化率と監視対象の電気所が属するローカル系統内の発電機の慣性定数を用いて、監視対象の電気所が属するローカル系統の需給アンバランス量を所定の演算により推定し、前記の推定した需給アンバランス量に応じて負荷制限量あるいは電源制限量を決定する主制御演算手段31からなる。
【0043】
制御部4は、前記の負荷制限量あるいは電源制限量に応じて、負荷あるいは発電機を遮断する。系統状態記憶部5は、系統状態計測部1で計測した各種電気量と周波数演算部2の演算結果と制御量演算部3の演算結果を保管し、必要に応じてこれらを呼び出すことができるようになっている。
【0044】
ここで、図2に示す連系線102の遮断器106が開放されると、ローカル系統103内において連系線潮流分の需給アンバランスが発生し、ローカル系統103内の周波数が低下あるいは上昇する。
【0045】
まず、系統状態計測部1において、監視対象の電気所107に設置された計測器111を介して、系統の電圧V,電流I,有効電力P,周波数fを含む各種電気量を時々刻々と計測し、これらを周波数演算部2に渡すと共に、系統状態記憶部5において保管する。
【0046】
なお、有効電力Pあるいは周波数fは、計測した電圧Vや電流Iを用いて、既存の演算方法を流用した演算により求めてもよい。
【0047】
周波数演算部2の周波数演算手段21では、計測した周波数fあるいは演算により求めた周波数fを用いて、ある一定時間間隔における変化分、つまり、周波数変化率df/dtを演算により算出し、結果を制御量演算部3へ渡すと共に、系統状態記憶部5で保管する。例えば、dt=10msとして周波数変化率を継続的に算出する。
【0048】
制御量演算部3では、周波数演算部2で算出した周波数変化率df/dtと監視対象の電気所が属するローカル系統内の後述する発電機の慣性定数Mを用いて、監視対象の電気所が属するローカル系統の需給アンバランス量ΔPを所定の演算により推定し、前記の推定した需給アンバランス量ΔPに応じて負荷制限量あるいは電源制限量を決定する。
【0049】
具体的には、図2に示すようにローカル系統103内に監視対象の電気所が複数存在する場合、ある監視対象の電気所が属するローカル系統103内について、図4に示すように、前記ローカル系統103を、一負荷一発電機の等価系統モデルとして考える。この等価系統モデルにおいて、周波数演算部2において算出した周波数変化率df/dtと等価発電機の慣性定数Mとを用いて、次の(1.1)式から、ローカル系統103内の需給アンバランス量ΔPを求める。なお、電気量は全て、PU(パーセントユニット)に統一する。
【0050】
ΔP=Δf・M ・・・・(1.1)
【0051】
ここで、Δfは、周波数演算部2で求めた周波数変化率df/dt,Mは等価発電機の慣性定数で、ローカル系統103を一負荷一発電機の等価系統モデルに等価縮約したときの定数を、事前に求めて設定した値であり、ローカル系統103内の各発電機の定格出力で加重平均した値である。
【0052】
なお、(1.1)式は、発電機の運動方程式から以下の通り導くことができる。
【0053】
監視対象の電気所が属するローカル系統を一負荷一発電機の等価系統モデルとして考え、発電機の機械入力をPm,電気出力をPe,等価発電機の慣性定数をMとすると、発電機の運動方程式より(1.2)式が成り立つ。
【0054】
【数1】
Figure 0004119077
【0055】
ここで、電気出力Pe=負荷の消費電力PLとみなせるので、(Pm−Pe)=ローカル系統内の需給アンバランス量ΔPと言える。従って、需給アンバランス量ΔPは(1.1)式で求めることができる。
【0056】
なお、周波数低下あるいは上昇は、系統内の電力の消費量と発電量のアンバランス、つまり、需給アンバランスによって発生するので、(1.1)式で求めた需給アンバランス量ΔPと等量の制御を実施すれば、ローカル系統103内の需給アンバランスが解消され、周波数低下あるいは上昇をおさえて、且つ、周波数低下あるいは上昇が発生する前の定常時の周波数に制御(安定化)することができる。
【0057】
前記の通り(1.1)式に用いる電気量は全てPU値で、(1.1)式において推定される需給アンバランス量ΔPは、等価発電機モデルの機械入力Pmを1.0〔PU〕としたときのPmとPeの差である。例えば、周波数低下側をプラスとして周波数変化率df/dtが0.01、等価発電機モデルの慣性定数Mが5.0〔秒〕であった場合の需給アンバランス量ΔPは(1.1)式から0.01×5.0=0.05〔PU〕で、機械入力Pm=1.0〔PU〕の5%が等価系統モデル内の需給アンバランス量ΔPとなる。
【0058】
よって、需給アンバランス量ΔPの0.05〔PU〕にローカル系統内の全発電機の定常時の発電量の合計値(総発電量)を掛けた値が、ローカル系統内の実際の需給アンバランス量ΔPであり、この結果、ローカル系統内の発電機の総発電量の5%の負荷を遮断すれば、需給アンバランスが解消され周波数低下を防止できる。
【0059】
なお、推定した需給アンバランス量ΔPから各周波数安定化装置毎の安定化制御量(負荷制限量あるいは電源制限量)を次のように決定する。
【0060】
監視対象とする電気所毎に設置した周波数安定化装置毎に需給アンバランス量ΔPを推定して、この推定した需給アンバランス量ΔPと各電気所において計測し系統状態記憶部5に保管しておいた定常時の有効電力Pを呼び出して定常時の有効電力Pを基準に、推定したΔPの割合分を制御量PCUT(負荷制限量あるいは電源制限量)として決定する。
【0061】
例えば、周波数低下側を例にとって説明すると、推定した需給アンバランス量ΔPが0.05〔PU〕で、電気所に接続する全負荷の定常時の有効電力PLTが2.0〔PU〕であった場合には、2.0〔PU〕の5%、つまり、0.1〔PU〕を負荷制限量とする。
【0062】
このようにして求められた制御量PCUTを制御部4へ渡されると、制御部4では、制御量演算部3で求めた制御量PCUT(負荷制限量あるいは電源制限量)に応じて、監視対象の電気所に接続する負荷あるいは発電機を系統より解列し、周波数低下あるいは上昇を防止する。
【0063】
このように本発明の第1の実施の形態によれば、監視対象の電気所端のみで、しかも、計測あるいは収集可能な情報のみで、監視対象の電気所が属する全体の系統内の需給アンバランス量を推定し、推定した需給アンバランス量に基づいて制御量を算出できるので、電力系統の各所において計測した情報を収集する必要がなく広域の情報伝送網も必要ないので、システム規模を小さくでき、また、監視対象の電気所毎に個別に監視,制御が実施できるので、装置構成が簡素で運用性の高い電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0064】
次に、本発明の第2の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を図1と図2と図4と図5を参照しながら説明する。
【0065】
図1は、本発明に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図、図2は、図1の具体例を示す電力系統の周波数安定化装置の構成図、図5は、本発明の第2の実施の形態を示す電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【0066】
図5において、系統状態計測部1は、監視対象の電気所端の電流,電圧,負荷フィーダーあるいは発電機の有効電力,系統の周波数などを含む各種電気量を時々刻々と計測する。周波数演算部2は、前記の周波数などを含む各種電気量を用いて、周波数変化率などの各種電気量の変化分を所定の演算により算出する周波数演算手段21からなる。
【0067】
制御量演算部3は、初期制御演算手段31’と補正制御演算手段32とからなる。初期制御演算手段31’は、前記の算出した周波数変化率と監視対象の電気所が属するローカル系統内の発電機の慣性定数を用いて、第1の実施の形態に記載の手法により、監視対象の電気所が属するローカル系統の需給アンバランス量を所定の演算により推定し、推定した需給アンバランス量に応じて初期の負荷制限量あるいは電源制限量を算出する。補正制御演算手段32は、初期、または、追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した前と後のそれぞれの周波数変化率と、負荷フィーダあるいは発電機の有効電力から算出した係数と、制御した負荷制限量あるいは電源制限量を用いて、初期、または、追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した後の監視対象の電気所が属するローカル系統の需給アンバランス量を所定の演算により推定し、前記の推定した需給アンバランス量に応じて追加の負荷制限量あるいは電源制限量を決定する。制御部4は、前記の負荷制限量あるいは電源制限量に応じて、負荷あるいは発電機を遮断する。
【0068】
本発明の第2の実施の形態は、予め設定した条件に応じて、需給アンバランス量の推定と追加の負荷制限あるいは電源制限を複数回実施する点に特徴を有している。
【0069】
次に、本発明の第2の実施の形態の処理の流れを図2と図5を用いて説明する。なお、系統状態計測部1及び周波数演算部2及び系統状態記憶部5の作用は、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0070】
まず、制御量演算部3では、初期制御演算手段31’において、周波数演算部2で算出した周波数変化率df/dtと監視対象の電気所が属するローカル系統内の発電機の慣性定数Mを用いて、第1の実施の形態に記載の手法により、監視対象の電気所が属するローカル系統の需給アンバランス量ΔPC1を所定の演算により推定し、推定した需給アンバランス量ΔPC1に応じて初期の負荷制限量あるいは電源制限量を決定する。
【0071】
次に、補正制御演算手段32において、初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した前と後のそれぞれの周波数変化率df/dtと制御した負荷制限量あるいは電源制限量を用いて、初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した後の監視対象の電気所が属するローカル系統の需給アンバランス量ΔPC2を所定の演算により推定し、前記の推定した需給アンバランス量ΔPC2に応じて追加の負荷制限量あるいは電源制限量を決定する。
【0072】
以下に、初期制御演算手段31’と、補正制御演算手段32を詳細に説明する。
【0073】
まず、初期制御演算手段31’では、事故発生直後に各電気所で一律同じ割合の初期制御量PCUT1を制御して、周波数低下速度あるいは上昇速度を抑制して、補正制御演算を実行するための時間的余裕を確保する。このため、初期制御量PCUT1は、予め設定した固定値としても良いが、需給アンバランスによっては過制御となる可能性が考えられるので、次のように初期制御量PCUT1を算出する。
【0074】
周波数演算部2で算出した周波数変化率df/dtと監視対象の電気所が属するローカル系統内の発電機の慣性定数Mを用いて、監視対象の電気所が属するローカル系統の需給アンバランス量ΔPC1を所定の演算により推定し、前記の推定した需給アンバランス量ΔPC1に応じて負荷制限量あるいは電源制限量を決定する。
【0075】
ΔPC1=Δf・M ・・・・(2.1)
【0076】
具体的には、監視対象の電気所が属するローカル系統を、図4に示すように一負荷一発電機の等価系統モデルとして考えて、周波数演算部2において算出した周波数変化率df/dtと等価発電機の慣性定数Mを用いて、各電気所に設置した周波数安定化装置毎に、おのおの独立に(2.1)式からローカル系統内の需給アンバランス量ΔPC1[%]を推定する。各電気所端で計測した周波数は、ローカル系統内でほぼ同じ様相で変動するので、各装置で算出したΔPC1[%]はほぼ同量となる。
【0077】
なお、初期制御は、補正制御演算を実行するための時間的余裕を確保するのが目的であること、慣性定数Mは発電機の運転状態により変化することから、Mは真値より小さ目の値に設定しておくことが望ましい。例えば、ローカル系統を一負荷一発電機の等価モデルに縮約したときの等価発電機の慣性定数Mの真値(Mを定格出力で加重平均した値)が10[秒]であるとしたら、5あるいは6[秒]といったように小さ目に設定する。
【0078】
次に、各電気所端で制御すべき初期制御量(負荷制限量あるいは電源制限量)PCUT1は、推定した需給アンバランス量ΔPC1と事故発生前の定常時の電気所内の総負荷量あるいは総発電量(=PLOT)を用いて(2.2)式から算出する。
【0079】
CUT1=PLOT・ΔPC1 ・・・・(2.2)
【0080】
ここで、Δfは、周波数演算部2で求めた周波数変化率df/dt,Mは等価発電機の慣性定数で、ローカル系統を一負荷一発電機の等価系統モデルに等価縮約したときの定数を、事前に求めて設定した値であり、ローカル系統内の各発電機の定格出力で加重平均した値である。PLOTは、事故発生前の定常時に計測した電気所内の総負荷量あるいは総発電量である。
【0081】
なお、(2.1)式は、発電機の運動方程式から以下の通り導くことができる。監視対象の電気所が属するローカル系統を一負荷一発電機の等価系統モデルとして考え、発電機の機械入力をPm,電気出力をPe(=負荷の消費電力PL),等価発電機の慣性定数をMとすると、発電機の運動方程式より(1.2)式が成り立つ。
【0082】
(1.2)式について、周波数変化率df/dt=Δf,初期制御前の需給アンバランス量(Pm−Pe)=ΔP1とすると、ΔPC1[%]は(2.1)式で求めることができる。
【0083】
(2.1)式で推定される需給アンバランス量ΔPC1は、例えば、周波数低下側を例にとって説明すると、等価発電機モデルの電気出力Pe(=負荷の消費電力PL)を1.0としたときの供給量(発電量)の不足分であり、仮に、周波数低下側を正として周波数変化率df/dt(dt=10ms)が0.01、等価発電機モデルの慣性定数Mが5.0であった場合の需給アンバランス量ΔPC1は(2.1)式から0.01×5.0=0.05で、ローカル系統内の総負荷量に対して総発電量が5[%]不足していることになる。よって、ローカル系統内の総負荷量の5[%]の負荷を遮断すれば、需給アンバランスが解消され周波数低下を抑制できる。
【0084】
次に、推定した需給アンバランス量ΔPC1から各電気所端(各周波数安定化装置毎)の初期制御量PCUT1(負荷制限量あるいは電源制限量)を求めるには、具体的には、例えば、周波数低下側を例にとって説明すると、ローカル系統内の電気所A1,A2,A3に、PL1=2000[MW],PL2=1000[MW],PL3=500[MW]の負荷(定常時の総負荷量PLOT)があるとした場合で、各電気所端で推定した需給アンバランス量ΔPC1が5[%]と推定されたときには、それぞれの電気所における制御量は、電気所A1は、2000[MW]の5[%]、つまり、100[MW]を、電気所A2は、1000[MW]の5[%]、つまり、50[MW]を、電気所A3は、500[MW]の5[%]、つまり、25[MW]をその電気所で制御する初期制限量とする。分離系統内の周波数は、ほぼ同じ様相で変動し、各電気所端で推定したΔPC1は、ほぼ同量となるので、分散型のシステム構成でも各電気所端において一律α[%]の初期制御を実施できる。このようにして求めた制御量を制御部4へ渡すと共に、系統状態記憶部5において保管する。
【0085】
制御部4では、制御量演算部3で求めた初期制御量PCUT1(初期の負荷制限量あるいは電源制限量)に応じて、監視対象の電気所に接続する負荷あるいは発電機を系統より解列し、周波数低下あるいは上昇を防止する。
【0086】
初期制御実施後は、補正制御演算手段32において、初期制御実施後の周波数が初期制御実施前と同じく継続して低下あるいは上昇しているか確認して、制御実施前と同じく低下あるいは上昇が継続している場合に、初期制御(初期の負荷制限あるいは電源制限)を実施した前の周波数変化率df/dt(以下、Δfbfと示す)と実施した後の周波数変化率df/dt(以下、Δfafと示す)と初期制御量PCUT1及び負荷フィーダーあるいは発電機の有効電力から算出した負荷の増減特性係数abf及びaafを用いて、(2.3)式から、負荷の電圧特性や周波数特性を考慮した初期制御実施後のローカル系統内の需給アンバランス量ΔPC2(=初期制御における不足分)を推定する。なお、負荷の増減特性を考慮しない場合には、係数abf及び係数aafを1.0とすればよい、また、初期制御実施前の周波数変化率Δfbfと初期制御前の需給アンバランスΔPC1は、系統状態記憶部5において保管しておいたものを呼び出して用いる。
【0087】
【数2】
Figure 0004119077
【0088】
ここで、Δfは、周波数演算部2で求めた周波数変化率df/dtであり、式の添字のbfは制御実施前の値、afは制御実施後の値であることを示す。ΔPC1は、一回目の追加制御演算では、初期制御実施前の需給アンバランス量ΔPC1であり、二回目以降の追加制御演算では、初期制御量(=ΔPC1)と追加制御量(=ΔPC2)の合計値である。
【0089】
各電気所自端で制御すべき追加制御量(追加の負荷制限量あるいは電源制限量)PCUT2は、需給アンバランス量ΔPC2[%]と事故発生前の定常時の電気所内の総負荷量あるいは総発電量(=PLOT)を用いて(2.4)式で算出する。
【0090】
CUT2=PLOT・ΔPC2 ・・・・(2.4)
【0091】
推定した需給アンバランス量ΔPC2から各電気所端(各周波数安定化装置毎)の追加制御量PCUT2を求めるには、具体的には、例えば、周波数低下側を例にとって説明すると、ローカル系統内の電気所A1,A2,A3にPL1=2000[MW],PL2=1000[MW],PL3=500[MW]の負荷(定常時の総負荷量PLOT)があるとした場合、各電気所端で推定した需給アンバランス量ΔPC2が2[%]と推定された場合には、それぞれの電気所における追加制限量は、電気所A1は、2000[MW]の2[%]、つまり、40[MW]を、電気所A2は、1000[MW]の2[%]、つまり、20[MW]を、電気所A3は、500[MW]の2[%]、つまり、10[MW]をその電気所で制御する追加負荷制限量とする。このようにして求めた追加制御量を制御部4へ渡すと共に、系統状態記憶部5において保管する。
【0092】
制御部4では、制御量演算部3で求めた追加制御量PCUT2(追加の負荷制限量あるいは電源制限量)に応じて、監視対象の電気所に接続する負荷あるいは発電機を系統より解列し、周波数低下あるいは上昇を防止する。
【0093】
通常は、(2.3)式で求めた需給アンバランス量ΔPC2と等量の制御を実施すれば、ローカル系統内の需給アンバランスが解消され、周波数低下あるいは上昇を抑えて、周波数低下あるいは上昇が発生する前の定常時の周波数に制御(安定化)できる。ところが、需要の増減や負荷特性の変化などの系統状態が変化した場合に、一度の追加制御では、不足制御となることが考えられる。
【0094】
このために、追加制御後も引き続き周波数低下あるいは上昇を確認して、制御前と同様に低下あるいは上昇が継続している場合には、次の処理が行われる。
【0095】
具体的には、系統状態記憶部5に保管した追加制御を実施した前の周波数変化率Δfbfと追加制御実施後の周波数変化率Δfafと系統状態記憶部5に保管した初期制御量および追加制御量の合計値PC1を用いて、(2.3)式から、追加制御後の需給アンバランス量ΔPC2を求めて、再度、追加制御を実施と共に、追加制御量を系統状態記憶部5において保管する。追加制御は、周波数低下あるいは上昇がおさまるまで繰り返し行う。
【0096】
以下に、(2.3)式及び負荷の増減特性係数abf,aafについて説明する。
【0097】
初期制御演算と同じく、監視対象の電気所が属するローカル系統を図4に示すような一負荷一発電機の等価系統モデルとして考え、発電機の機械入力をPm,電気出力をPe,等価発電機の慣性定数をMとすると、発電機の運動方程式より(1.2)式が成り立つ。以下、時間変化を示す量には(t)で記す。
【0098】
初期制御前の周波数変動は、制御前の時間をt−とすると、(1.2)式から、(2.5)式で表わすことができる。なお、Δfは、周波数変化率df/dtである。
【0099】
【数3】
Figure 0004119077
【0100】
しかし、実際には、系統分離により電力の供給量が減少した場合には電圧が低下し、これに伴い、系統分離直後の負荷量(=Pe(t−))は減少する。そこで、(2.5)式に負荷の増減特性を表わす係数abfを用いて、負荷の減少分を考慮した推定式を導くと(2.6)式となる。
【0101】
【数4】
Figure 0004119077
【0102】
一方、初期制御後の周波数変動は、初期制御で各電気所で負荷あるいは発電機を一律α[%](=ΔPC1)遮断している。したがって、ローカル系統の総負荷量あるいは総発電量に対してもα[%]の制御を実施したことになるので、制御実施後の時間をt+とすると、(2.7)式で表わすことができる。なお、(2.5)式及び(2.7)式は負荷特性(負荷の電圧特性,周波数特性)が無いものと仮定した場合の近似式である。
【0103】
【数5】
Figure 0004119077
【0104】
しかし、実際には、初期制御後は、負荷制限などの安定化制御による電圧上昇に伴い、第一段制御後の負荷量(=Pe(t+)−ΔPC1)は増加している。そこで、(2.7)式に負荷の増減特性を表わす係数aafを用いて、負荷の増加分を考慮した推定式を導くと(2.8)式となる。
【0105】
【数6】
Figure 0004119077
【0106】
時刻t−とt+の時間差は短いと仮定し、Pm(t−)=Pm(t+)、Pe(t−)=Pe(t+)とすると、(2.8)式−(2.5)式より、
【0107】
【数7】
Figure 0004119077
【0108】
従って、
【0109】
【数8】
Figure 0004119077
【0110】
(2.10)式を(2.8)式に代入し、消費電力PL側を正にとり、初期制限後の需給アンバランス量△PC2を{−Pm(t+)+aaf・(Pe(t+)−ΔPC1)}とすると、ΔPC2[%]は、(2.11)式で求めることができる。
【0111】
【数9】
Figure 0004119077
【0112】
ここで、初期負荷制限後の負荷量Pe(t+)は、電気所内の定常時の総負荷量PLOTから初期制御量PCUT1を遮断したものであり、よって、Pe(+)=PL(+)=(PL0−PCUT1)=(1−ΔPC1)といえるので、ΔPC2[%]は(2.12)式(=(2.3)式)で求めることができることとなる。つまり、(2.3)式を用いて需給アンバランス量を推定すれば、負荷の電圧特性,周波数特性を考慮したΔPC2を求めることができる。
【0113】
【数10】
Figure 0004119077
【0114】
なお、負荷の増減特性係数abf,aafを考慮しない場合のΔPC2の推定式は、(2.13)式となる。
【0115】
【数11】
Figure 0004119077
【0116】
次に負荷の増減特性係数abf,aafの算出方法は、監視対象の各電気所自端で計測できる電気量から算出することを考慮して、時々刻々と計測した総負荷量あるいは総発電量(=PL)と初期制御量PCUT1を用いて算出する。
【0117】
図6は、負荷の増減特性係数abf,aafの概念図で、具体的には、系統分離直後に(2.14)式から時々刻々と負荷の増減特性係数abfを算出し、(2.15)式からその平均値を求める。また、初期制御後に(2.16)式から時々刻々と負荷の増減特性係数aafを算出し、(2.17)式からその平均値を求める。求めたabf,aafを需給アンバランスの推定演算(2.3)式に用いる。例えば、電圧動揺の周期に合せて、動揺周期と同じ時間(区間)の平均値を負荷の増減特性係数abfあるいはaafとして用いる。また、計測した電圧を用いて、系統分離直後は、周波数低下あるいは上昇が発生する前に計測した定常時の電圧V0より低下している間、負荷の増減特性係数abfを時々刻々と求めて、その区間の平均値を(2.3)式で用いる。また、初期制御後あるいは追加制御後は、定常時の電圧V0あるいは初期制御直前の電圧VC1bfより上昇している間、負荷の増減特性係数aafを時々刻々と求めて、その区間の平均値を(2.3)式で用いる。なお、nは、データ数の総数である。
【0118】
【数12】
Figure 0004119077
【0119】
このように本発明の第2の実施の形態によれば、遮断済みの制御量の合計値と周波数変化率のみで、監視対象の電気所が属する系統内の需給アンバランス量を推定できるので、演算のためのパラメータ設定が必要なく、また、推定した需給アンバランス量から制御量を算出するので需要の増減などの系統状態が変化しても対応でき、系統運用者の負担を低減することができる。さらに、追加制御を繰り返し実施するので不足制御を防止でき、また、監視対象の電気所端のみで計測あるいは収集可能な情報のみで、需給アンバランス量を推定し、推定した需給アンバランス量に基づいて制御量を算出できるので、電力系統内の各所において計測した情報を収集する必要がなく広域の情報伝送網も不要で、システム規模を小さくでき、また、監視対象の電気所毎に個別に監視,制御が実施でき、装置構成が簡素で制御性が高く運用性や保守性に優れた電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0120】
また、電気所の有効電力から求めた負荷の増減特性係数を考慮して需給アンバランス量の推定を行えるので、推定精度を高めることができる。
【0121】
さらに、本発明の第2の実施の形態において、負荷の増減特性係数を、電気所の有効電力に代えて、計測した電圧から求め、ローカル系統内の需給アンバランス量を推定する周波数安定化装置について説明する。
【0122】
図5の補正制御演算手段32において、初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した後の監視対象の電気所が属する系統の需給アンバランス量を推定する際に、初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した前と後のそれぞれの周波数変化率及び計測した電圧から算出した係数と制御した負荷制限量あるいは電源制限量を用いる。
【0123】
具体的には、初期の負荷制限を実施した際に発生する電圧上昇による影響を除去するため、初期制御実施後のローカル系統内の需給アンバランス量ΔPC2を(2.18)式から推定する。
【0124】
【数13】
Figure 0004119077
【0125】
ここで、abfv,aafvは、電圧の低下や上昇傾向を表わす電圧変動係数であり、電圧変動分を考慮した需給アンバランス量の推定式である。なお、abfv,aafvは、以下のように求める。
【0126】
電圧変動係数abfv,aafvの算出方法は、監視対象の電気所端で計測できる電気量から算出することを考慮して、各電気所の事故発生前の定常時の電圧V0と時々刻々と計測した電圧Vnと周波数偏差Δfnを用いて算出する。
【0127】
具体的には、(2.19)式あるいは(2.20)式から時々刻々と電圧変動係数abfvnを算出して、その平均値を(2.21)式から求める。また、(2.22)式あるいは(2.23)式から時々刻々と電圧変動係数aafvnを算出して、その平均値を(2.24)式から求める。求めた電圧変動係数abfvn、aafvを、需給アンバランスの推定演算の(2.3)式に用いる。
【0128】
例えば、電圧変動係数abfvは、系統分離後の電圧動揺の周期にあわせて、動揺周期と同じ時間(区間)の平均値を用いる。電圧変動係数aafvは、初期制御を実施してから、電圧動揺の周期に合せて、動揺周期と同じ時間(区間)の平均値を用いる。または、電圧変動係数abfvは、時々刻々と計測した電圧Vnが、定常時の電圧V0より低下している間、電圧変動係数abfvnを求めて、その区間の平均値を(2.21)式で求める。電圧変動係数aafvは、定常時の電圧V0または、初期制御直前の電圧VC1bfより上昇している間、電圧変動係数aafvnを求めて、その区間の平均値を(2.24)式で求める。
【0129】
【数14】
Figure 0004119077
【0130】
ここで、nは、データ数の総数。(2.22)式及び(2.23)式では、V0の代わりに、初期制御直前の電圧VC1bfを用いても良い。KVAは、負荷の電圧特性の割合を設定する定数である。KVBは、予め設定した係数である。αは、予め設定した負荷の電圧特性指数である。KfPは、予め設定した周波数特性定数[%/Hz]である。Δfnは、計測した周波数から求めた(基準周波数からの)周波数偏差[Hz]である。
【0131】
このように、本発明の第2の実施の形態において、さらに、計測した電圧から算出した電圧変動係数として、負荷の増減特性係数を求めることにより、電圧変動を考慮した需給アンバランス量の推定を行えるので、推定精度を高めることができる。また、電圧変動の影響を除去するための周波数の平滑化処理を削除あるいは平滑化処理に用いるデータ区間長の短縮を図ることができるため、追加制御量を短時間に算出できる。
【0132】
次に、本発明の第3の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を図1と図2と図7を参照しながら説明する。
【0133】
本発明の第3の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置は、第1の実施の形態または第2の実施の形態に記載の電力系統の周波数安定化装置の周波数演算部2において、算出した周波数変化率などの各種電気量の変化分や計測した周波数などに平滑化処理(フィルタリング)を含む誤差対策を施す周波数平滑化手段22を有した構成を特徴とするものである。
【0134】
次に、本発明の第3の実施の形態の全体の処理の流れを図2と図7を参照して説明する。なお、系統状態計測部1及び制御量演算部3及び制御部4及び系統状態記憶部5の作用と周波数演算部2の周波数演算手段21の作用は、第1の実施の形態あるいは第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0135】
ここで、例えば、系統分離などが発生した後の分離系統の周波数の変化を見ると、系統内の発電機の動揺などの影響により、周波数が短い周期で動揺することがある。このような場合に、計測した周波数をそのまま用いて周波数変化率を求めると、算出した時点によって周波数変化率が変わり、前記の(1.1)式、(2.1)式あるいは、(2.3)式を用いてローカル系統内の需給アンバランス量ΔPを推定しようとすると、周波数変化率の変化、つまり、周波数動揺の影響により、推定結果がばらつくことが考えられる。このため、周波数動揺の影響を排除あるいは低減する必要がある。
【0136】
図7に示す周波数演算部2の周波数平滑化処理手段22は、算出した周波数変化率などの各種電気量の変化分や計測した周波数などに平滑化処理を施し、これら各種電気量が長周期あるいは短周期に動揺する場合やごく短時間の間に急激に変化する場合の影響を低減する。例えば、平滑化処理として、ある一定の区間の周波数変化率や周波数などの各種電気量の平均を求める。
【0137】
具体的には、平均を求める区間を、データ区間長TSMPとして時間で設定する。系統状態記憶部5に保管しておいた、周波数低下あるいは上昇後に計測した各種電気量や算出した周波数変化率を用いて、低下あるいは上昇が発生した時点を基準にデータ区間長TSMP間のデータを用いて、各電気量毎にこの区間の平均値を求めて、その平均値を制御量演算部3の制御量の演算に用いる。
【0138】
なお、各種電気量は時々刻々と計測されるので、新しいデータが計測された場合には、データ区間を更新して平均値を時系列的に継続して求める。つまり、最も古いデータを除いて、新しいデータを追加した区間の平均を求める。新しいデータが計測される度に、同様の作業を繰り返す。
【0139】
ここで、平滑化に用いるデータ区間長TSMPは、例えば、電力動揺の周期と同じに設定する。動揺の周期が1〔秒〕程度ならば、1秒間の平均値を時系列的に継続して求める。以上のように平滑化処理された周波数変化率や周波数などの各種電気量を制御量演算部3へ渡すと共に、系統状態記憶部5において保管する。制御量演算部3では、平滑化処理された各種電気量を用いて制御量を算出する。
【0140】
このように本発明の第3の実施の形態によれば、需給アンバランス量を求める際に用いる各種電気量に平滑化処理を施しているので、周波数が長周期あるいは短周期に動揺する場合やごく短時間に急激に変化する場合でも、精度良く需給アンバランス量を推定でき、且つ、推定結果のばらつきを防止するので、高精度で高信頼度の電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0141】
次に、本発明の第4の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を図1と図2と図8を参照しながら説明する。
【0142】
本発明の第4の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置は、第1の実施の形態または第2の実施の形態に記載の電力系統の周波数安定化装置の周波数演算部2において、計測した系統の周波数などを含む各種電気量を用いて、所定の演算により将来の周波数などの各種電気量の変化を予測する周波数変動予測手段23を備えた構成とした点に特徴を有している。
【0143】
次に、全体の処理の流れを図1と図2と図8を用いて説明する。なお、系統状態計測部1及び制御量演算部3及び制御部4及び系統状態記憶部5の作用と周波数演算部2の周波数演算手段21及び周波数平滑化手段22の作用は、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0144】
まず、図8に示す周波数演算部2の周波数変動予測手段23では、計測した系統の周波数などの各種電気量を用いて、所定の演算により将来の周波数などの各種電気量の変化を予測する。例えば、系統状態記憶部5に保管した過去の周波数などを含む各種電気量を用いて、最小二乗法などの手法により周波数予測式を作成して、数百ミリ秒先の周波数値を予測する。
【0145】
周波数予測式は、次の(4.1)式に示すように1次あるいは次の(4.2)式に示すような2次式の予測関数として、過去の周波数を用いて、最小二乗法などの既存の手法により係数a0〜a2を求める。そして、作成した周波数予測式を用いて、数百ミリ秒先の周波数値を予測する。なお、周波数は時々刻々と変化するので、最小二乗法に用いる周波数を更新しながら、これらの一連の動作を繰り返し行って、時々刻々と将来の周波数を予測する。
【0146】
Δf(t)=a0+a1t ・・・・(4.1)
Δf(t)=a0+a1t+a22 ・・・・(4.2)
【0147】
次に、時々刻々と予測した周波数を用いて、周波数変化率df/dtを演算により算出し、演算結果を制御量演算部3へ渡すと共に、系統状態記憶部5で保管する。例えば、dt=10msとして周波数変化率を継続的に算出する。制御量演算部3では、予測した将来の周波数やその周波数変化率などを用いて演算を行う。
【0148】
このように本発明の第4の実施の形態によれば、予測した将来の周波数やその周波数変化率を用いて演算を行うので、実測値を用いて演算する場合より早い時点で演算結果を得ることができると共に、早い時点で制御を実施できるので、周波数低下あるいは上昇を短時間で安定化する電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0149】
なお、本発明の第4の実施の形態は、図9に示すように実施できる。
【0150】
この図9の実施の形態は、第3の実施の形態による周波数平滑化処理手段22を図8に追設して、周波数の動揺や短時間に急激に変化した場合でも精度よく需給アンバランス量を推定できる。
【0151】
次に、本発明の第5の実施乃至第8の実施の電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を図1と図2と図10と図12を参照しながら順次説明する。
【0152】
本発明の第5の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置は、図10に示すように、図5に示す第2の実施の形態に記載の電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部3において、予め設定した所定の条件を用いて、需給アンバランス量を推定する演算を開始する条件を切り換える制御演算開始判定手段30を追設した構成とする点に特徴を有している。
【0153】
次に、本発明の第5の実施の形態の全体の処理の流れを図2と図10と図11を用いて説明する。なお、系統状態計測部1及び周波数演算部2及び制御部4及び系統状態記憶部5の作用は、第1の実施の形態乃至第4実施のいずれかと同様であるので説明を省略する。
【0154】
まず、図10の制御量演算部3の制御演算開始判定手段30では、計測した周波数などの各種電気量と予め設定した所定の条件を用いて、需給アンバランス量ΔPを推定する演算を開始する条件を切り換える。例えば、計測した周波数を用いて演算を開始するかどうかの動作判定を行う場合には、判定条件として、動作判定しきい値fLMを複数設定して、計測した周波数と動作判定しきい値fLMとを比較して、周波数がしきい値fLMを超えた場合には動作条件成立と判定して、需給アンバランス量を推定する演算を開始する。
【0155】
なお、動作判定しきい値fLMは、系統運用の周波数制御体系などを基にして設定すれば、系統運用に見合った制御を実施できる。
【0156】
具体的には、周波数低下側を例にとって全体の処理の流れを説明すると、図11及び図12に示すように、まず、周波数演算部2において、周波数などの各種電気量の計測と周波数変化率などを算出する(S11,S12)。
【0157】
続いて、制御演算開始判定手段30において、周波数が低下しているかどうかを判定して(S13)、低下している場合には、計測した周波数と第一の動作判定しきい値fLM1(例えば、59.0Hz)とを比較する(S14)。この比較でしきい値fLM1以下の場合には、初期制御演算手段31’を動作させ、初期の制御量を算出し制御する(S15〜S17)。
【0158】
一方、しきい値fLM1以下となっていない場合には、(S11)から(S14)の処理を繰り返し行う。その後、(S16,S17)の初期制御実施後も引き続き、(S11)から(S15)の処理を行い、初期制御実施後も継続して周波数が低下している場合は、図12に示す処理へ移行する。
【0159】
まず、追加制御の実施回数により動作判定しきい値fLM2〜fLMnを選択し(S18)、計測した周波数と選択したしきい値fLMを比較する(S19)。この比較でしきい値fLM以下の場合には、補正制御演算手段32を動作させ、追加の制御量を算出し追加制御1回目の制御をする(S20a,21a)。一方、しきい値fLM以下となっていない場合には、図11の(S11)から(S14)及び図12の(S18m)〜(S19m)の処理を繰り返し行う。
【0160】
すなわち、(S20a,21a)の追加制御実施後も引き続き(S11)から(S14)及び(S18m)〜(S21m)の処理を行って、周波数低下がなくなるまで、つまり、(S13)において、周波数低下なしと判定されるか、追加制御の上限回数(m回目)となるまで繰り返し行う。
【0161】
また、本実施の形態は、第3の実施の形態で説明した図7に示す周波数平滑化処理手段22と組み合わせて用いる場合には、図13に示す構成となる。この場合には、周波数低下側を例にとって説明すると、図14及び図15に示すような処理の流れとなる。
【0162】
まず、周波数演算部2において、周波数などの各種電気量の計測と周波数変化率などを算出する(S11,S12)。続いて、計測した周波数などの各種電気量や算出した周波数変化率などに周波数演算手段21によって平滑化処理を施す(S12a)。次に、制御量演算開始判定手段30において、周波数が低下しているかどうかを判定して(S13)、低下している場合には、平滑化処理された周波数と第一の動作判定しきい値fLM1とを比較する(S14)。この比較でしきい値fLM1以下の場合には、初期制御演算手段31’を動作させ、初期の制御量を算出し制御する(S16,S17)。
【0163】
一方、しきい値fLM1以下となっていない場合には、(S11)から(S14)の処理を繰り返し行う。その後、(S16,S17)の初期制御実施後も引き続き(S11)から(S15)の処理を行い、初期制御実施後も継続して周波数が低下している場合には、図15に示す処理へ移行する。
【0164】
まず、追加制御の実施回数により動作判定しきい値fLM2〜fLMnを選択し(S18)、計測した周波数と選択したしきい値fLMを比較する(S19)。この比較によりしきい値fLM以下の場合には、補正制御演算手段32を動作させ、追加の制御量を算出し追加制御1回目の制御をする(S20a,21a)。一方、しきい値fLM以下となっていない場合には、図14の(S11)から(S15)及び図15の(S18m)〜(S19m)の処理を繰り返し行う。
【0165】
すなわち、(S20a,21a)の追加制御実施後も引き続き(S11)から(S15)及び(S18m)〜(S21m)の処理を行い、周波数低下が解消するまで、つまり、(S13)において、周波数低下なしと判定されるか、追加制御の上限回数(m回目)となるまで繰り返し行う。
【0166】
この実施の形態によれば、第3の実施の形態で説明したように、平滑化処理として、ある一定区間の平均を求めるような場合には、平滑化処理に用いるデータを収集している間、つまり、初期制御演算では、周波数低下が発生してからデータ区間長TSMP分時間が経過するまでの間、補正制御演算では、初期あるいは追加制御を実施してからデータ区間長TSMP分時間が経過するまでの間に、系統の周波数が動作判定しきい値fLMを超えてしまうことが考えられる。
【0167】
この様な場合に、平滑化処理を重視してデータ収集を継続すると安定化制御が遅れ、系統に重大な影響を与えかねないので、これを防ぐために、常に、計測した周波数としきい値fLMとの比較を行って、周波数がしきい値fLMを超えた場合には、平滑化処理のデータ収集を中断する。そして、データ収集を始めてから周波数がしきい値fLMを超えてデータ収集が中断されるまでの間に集めたデータを用いて、この間の各種電気量毎の平均値を求め、その平均値を用いて、制御量演算部3において制御量を算出する。
【0168】
なお、前記に説明した制御演算開始判定手段30では、動作判定に時々刻々と計測した周波数の実測値を用いているが、第4の実施の形態で説明した図8に示す周波数変動予測手段23と組み合わせて実施することができる。この実施の形態によれば、予測した将来の周波数を用いて動作判定を行えるので、現時点の実測値を使って判定する場合よりも、早い時点で動作判定ができ、図14の(S11)〜(S13)に代えて、図16に示すような処理の流れとして実施できる。
【0169】
このように本発明の第5の実施の形態によれば、予め設定した条件を基にして、段階的に制御が実施できるので、系統運用に合わせた制御が可能で、運用性の高い装置となる。
【0170】
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態は、図10乃至図16に示す第5の実施の形態における需給アンバランス量を推定する演算を開始するかどうかを判定する動作判定しきい値の設定値を、各電気所に設置した周波数安定化装置毎に、各監視対象の電気所に接続される負荷フィーダあるいは発電機などの系統設備の周波数低下あるいは上昇に対する許容度に応じて設定するものである。
【0171】
例えば、一例として、周波数上昇に対して弱い発電機GAが接続されている電気所を監視・制御する周波数安定化装置Aと、逆に、周波数上昇に対して強い発電機GBが接続されている電気所を監視・制御する周波数安定化装置Bがあった場合に、周波数安定化装置Aのしきい値fLMiAを安定化装置Bのしきい値fLMiBより小さ目、つまり、基準周波数に近い値で設定し、安定化装置Bのしきい値fLMiBは安定化装置Aのしきい値fLMiAより大き目、つまり、基準周波数より離れた値で設定する。ここで、添字iは、しきい値fLMの設定数である。
【0172】
このように本発明の第6の実施の形態によれば、電力系統の周波数安定化装置が電力系統の複数の電気所に設置されている場合に、複数の周波数安定化装置間で動作条件を違えることができるので、協調を取った安定化制御により必要以上の解列を防止できる。
【0173】
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。
【0174】
第7の実施の形態は、図10乃至図16に示す第5の実施の形態における制御量演算部3において、予め設定した所定の条件を用いて、初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した後の需給アンバランス量を推定する演算、つまり、補正制御演算をロックするものである。
【0175】
具体的には、予め設定した補正制御演算ロック時間TLKを用いて、初期あるいは追加の負荷制限実施後は、TLKだけ需給アンバランス量を推定する演算をロックする。例えば、TLK=0.2〔秒〕として、初期あるいは追加の負荷制限後0.2秒間は、初期あるいは追加の負荷制限実施後の需給アンバランス量の推定、つまり、補正制御演算をロックする。
【0176】
ここで、周波数低下を防止する安定化制御手段として負荷制限が考えられるが、例えば、系統から解列する負荷の近傍にスタコンなどの容量性の負荷や系統設備があるような系統では、負荷制限直後にスタコンのフェランチ効果による電圧上昇が発生することが考えられる。この電圧上昇が発生している間は、負荷の電圧特性によって負荷の消費電力が増加するので、この過渡的な電圧上昇が発生している間に、需給アンバランス量を推定すると多めに(過剰に)推定され、過剰制御を行ってしまうことが考えられる。
【0177】
これを防止するため、負荷制限後の過渡的な電圧上昇の影響を避けるため数百ミリ秒間は、補正制御演算をロックして過剰制御を防止する。なお、第3の実施の形態のような平滑化処理手段と組合せる場合は、データ区間長との兼ね合いも考慮して、電圧上昇の影響がなくなるように補正制御演算ロック時間TLKを設定する。
【0178】
このように第7の実施の形態によれば、負荷制限後の過渡的な電圧上昇が発生している間は、補正制御演算をロックするので、電圧上昇に伴って負荷の消費電力が増加し過剰に制御量が算出される場合でも、過剰制御を防止でき、信頼性の高い装置とすることができる。
【0179】
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。
【0180】
第8の実施の形態は、図10乃至図16に示す第5の実施の形態における制御量演算部3において、計測した電圧と予め設定したしきい値を用いて、初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した後の需給アンバランス量を推定する演算、つまり、補正制御演算をロックするものである。
【0181】
具体的には、時々刻々と計測した電圧Vなどの各種電気量と予め設定した補正制御演算ロック判定しきい値VLKを用いて、初期あるいは追加の負荷制限実施後の電圧Vがしきい値VLK以上である間は、次の(1.10)式の条件で補正制御演算をロックする。
【0182】
V≧VLKの間、補正制御演算ロック ・・・・(1.10)
【0183】
例えば、しきい値VLKは、定常状態での運用時の電圧が1.00〔P.U.〕であるならば、1.00〜1.20〔P.U.〕程度の範囲で設定し、例えば、VLK=1.05〔P.U.〕と予め設定しておく。
【0184】
このように第8の実施の形態によれば、負荷制限後の過渡的な電圧上昇が発生している間は、補正制御演算をロックするので、電圧上昇に伴って負荷の消費電力が増加し過剰に制御量が算出される場合でも、過剰制御を防止でき、信頼性の高い装置とすることができる。
【0185】
次に、本発明の第9の実施の形態及び第10の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を図1と図2と図17と図18を参照しながら説明する。
【0186】
本発明の第9の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置は、第1の実施の形態あるいは第2の実施の形態に記載の電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部3において、需給アンバランス量を推定する際に用いる等価発電機モデルの慣性定数Mを、調整する演算条件設定手段310を備えた点に特徴を有している。
【0187】
次に、全体の処理の流れを図2と図17と図18とを用いて説明する。なお、系統状態計測部1及び周波数演算部2及び制御部4及び系統状態記憶部5の作用は、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態のいずれかあるいは第5の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0188】
図17または図18に示す制御量演算部3の演算条件設定手段310では、需給アンバランス量ΔPを推定する際に用いる前述した(1.1)式中の等価発電機モデルの慣性定数Mを調整する。例えば、慣性定数Mを予め複数設定しておき、周波数変化率df/dtの大きさにより選択して演算に用いるようにする。
【0189】
具体的には、次の(9.1)式の関係を予め設定しておき、周波数演算部2で求めた周波数変化率df/dtを用いて、(9.1)式との関係と比較して、条件を満足する中で最も大きいαn(周波数変化率)に対応するMnを演算に用いる慣性定数Mとして決定する。
【0190】
例えば、df/dt≧α1及びdf/dt≧α2の条件が成立する場合、α1<α2…<αnの関係から、α2に対応するM2を演算に用いる。これにより、周波数変化率df/dtが大きいほど大きな慣性Mnが選択されるので、慣性定数Mを固定値として用いた場合より、周波数変化率df/dtが大きい、つまり、周波数が急激に、且つ、大幅に変化する場合ほど、制御量が多めに算出されるようになる。
【0191】
df/dt≧α1のときM1,df/dt≧α2のときM2,…,
df/dt≧αnのときMn,df/dt<α1のときM1 ・・・・(9.1)
但し、α1<α2…<αn、且つ、M1<M2…<Mn
【0192】
ここで、αnは、周波数変化率df/dtであり予め設定しておく。Mnは、慣性定数であり予め設定しておく。それぞれnは、設定値の総数。
【0193】
なお、第3の実施の形態の周波数平滑化処理手段22と第5の実施の形態の制御演算開始判定手段30と組み合わせて用いれば、前記のように、周波数変化率が大きい場合、つまり、周波数が急激に、且つ、大幅に低下あるいは上昇する場合に、初期の制御量が多めに制御されるので、初期制御後の周波数低下度合いが緩やかになり、補正制御の動作判定しきい値に達する(補正制御演算を開始する)までに時間的な余裕が生まれるので、平滑化処理に用いるデータ数を増やして平滑化処理の効果を高めることができ、補正制御演算において精度よく追加制御量を算出できる。
【0194】
このように第9の実施の形態によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる等価発電機モデルの慣性定数を、周波数変化率の大きさを用いて自動的に調整するので、実現象に応じた制御量を算出できる。また、第3の実施の形態の周波数平滑化処理手段と第5の実施の形態の制御演算開始判定手段と組み合わせた場合には、制御の緊急性が高い周波数変化率が大きい場合に初期の制御量が多めに制御されるので、制御後に時間的余裕が生まれるので、平滑化処理に用いるデータ数を増やして精度よく追加制御量を算出でき、運用性が高く制御量を高精度に算出する装置とすることができる。
【0195】
次に、本発明の第10の実施の形態について説明する。
【0196】
第10の実施の形態は、図17または図18の演算条件設定手段310において、需給アンバランス量を推定する際に用いる等価発電機モデルの慣性定数Mを、周波数変化率df/dtを用いて補正するものである。
【0197】
具体的には、演算条件設定手段310は、前述する(1.1)式中の慣性定数Mを、図17または図18の周波数演算部2で求めた周波数変化率df/dtを用いて、(10.1)式及び(10.2)式のようにして補正するものである。
【0198】
α=KADJ・Δf ・・・・(10.1)
RE=α・M ・・・・(10.2)
【0199】
ここで、Δfは、周波数変化率df/dtである。KADJは、予め設定した係数である。Mは、予め設定した慣性定数であり、MREは補正後の慣性定数である。
【0200】
なお、第3の実施の形態の周波数平滑化処理手段22と第5の実施の形態の制御演算開始判定手段30と組み合わせて用いれば、前記のように、周波数変化率が大きい場合、つまり、周波数が急激に、且つ、大幅に低下あるいは上昇する場合に、初期の制御量が多めに制御されるので、初期制御後の周波数の低下度合いが緩やかになる。このため補正制御の動作判定しきい値に達する(補正制御演算を開始する)までに時間的な余裕が生まれるので、平滑化処理に用いるデータ数を増やして平滑化処理の効果を高めることができ、補正制御演算において精度よく追加制御量を算出できる。
【0201】
このように第10の実施の形態によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる等価発電機モデルの慣性定数を、周波数変化率の大きさを用いて自動的に調整するので、実現象に応じた制御量を算出できる。さらに、第3の実施の形態の周波数平滑化処理手段と第5の実施の形態の制御演算開始判定手段と組み合わせた場合には、制御の緊急性が高い周波数変化率が大きい場合に初期の制御量が多めに制御されるので、制御後に時間的余裕が生まれ、平滑化処理に用いるデータ数を増やして精度よく追加制御量を算出でき、運用性が高く制御量を高精度に算出する装置とすることができる。
【0202】
次に、本発明の第11の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を図1と図2と図19または図20を参照しながら説明する。
【0203】
本発明の第11の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置は、第1の実施の形態または第2の実施の形態に記載の電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部3において、計測した電圧などの各種電気量を用いて、算出した制御量を補正する制御量補正演算手段33を備える構成とした点に特徴を有している。
【0204】
次に、全体の処理の流れを図2と図19と図20を参照して説明する。なお、系統状態計測部1及び周波数演算部2及び制御部4及び系統状態記憶部5の作用と、これから説明する制御量補正演算手段33以外の制御量演算部3の手段の作用は、第1の実施の形態あるいは第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0205】
図19または図20の制御量補正演算手段33では、算出した制御量PCUTを、計測した電圧などの各種電気量を用いて補正し、補正した制御量PCMを制御部4へ渡す。
【0206】
具体的には、系統状態記憶部5に保管しておいた周波数低下あるいは上昇が発生する前に計測した電圧V0と現在の電圧Vを用いて、算出した制御量PCUTを(11.1)式と(11.2)式を用いて補正を行いあるいは(11.1)式と(11.3)式を用いて補正する。なお、現在の電圧値の代わりに、制御実施後から現在までに計測した電圧の平均値を用いても良い。
【0207】
【数15】
Figure 0004119077
【0208】
ここで、PCUTは、図19に示すように第1の実施の形態と組み合わせた場合は、制御量PCUTであり、図20に示すように第2の実施の形態と組み合わせた場合は、初期制御量PCUT1あるいは追加制御量PCUT2である。KPAは、負荷の電圧特性の割合を設定する定数である。KPBは、予め設定した係数である。αは、予め設定した電圧特性指数である。KfPは、予め設定した周波数特性定数〔%/Hz〕である。Δfは、計測した周波数から求めた(基準周波数からの)周波数偏差〔Hz〕である。
【0209】
なお、制御量PCUTを補正する代わりに、推定した需給アンバランス量ΔPを上記方法にて補正し、補正後のΔPを用いて制御量PCUTを算出してもよい。
【0210】
このように本発明の第11の実施の形態によれば、計測した各種電気量を用いて制御量を自動的に補正するので、実現象に即した制御量を算出でき、運用性の高い装置とすることができる。
【0211】
次に、本発明の第12の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を図2と図21と図22を参照しながら説明する。
【0212】
本発明の第12の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置は、第1の実施の形態または第2の実施の形態に記載の電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部3において、予め設定した所定の条件を基に、解列する負荷フィーダーあるいは発電機を選択する制御対象決定手段34を備えた構成とした点に特徴を有している。
【0213】
次に、全体の処理の流れを図2と図21及び図22を用いて説明する。なお、系統状態計測部1及び周波数演算部2及び系統状態記憶部5の作用とこれから説明する制御対象決定手段34以外の制御量演算部3の手段の作用は、第1の実施の形態あるいは第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0214】
図21または図22の制御対象決定手段34は、各制御量演算手段において算出した制御量(PCUTあるいはPCUT1あるいはPCUT2)に応じて、実際に系統から解列する負荷フィーダーあるいは発電機を選択する。例えば、系統状態計測部1において時々刻々と計測した各種電気量あるいは系統状態記憶部5において保管した定常時の各種電気量の中から、各負荷フィーダーの有効電力PLあるいは各発電機の有効電力PGを用いて、制御対象を選択する。
【0215】
ここで、周波数低下側において負荷制限の対象を決定する場合を例にとって説明すると、有効電力PLの大きな負荷フィーダーから順次解列対象として選択し、選択された負荷フィーダーの有効電力PLの合計値PLTと制御量を比較して、合計値PLTが制御量(PCUTあるいはPCUT1あるいはPCUT2)と同様か、大きくなったら、解列対象の選択を止め、それまでに選択した負荷フィーダーを解列対象として決定する。一方、周波数上昇側の場合は、有効電力PGの大きな発電機から順次解列対象として選択する。
【0216】
また、解列した場合に系統運用上あるいは需要家に対して影響が大きいかどうかを表わす重要度や解列した際の周波数低下あるいは上昇の抑止効果の大きさなど基にして遮断の優先順位を決め、この優先順位の高いものから順に制御対象として選択してもよい。
【0217】
この場合も、例えば、周波数低下側を例にとって説明すると、優先順位の高いものから順次解列対象として選択し、選択された負荷フィーダーの有効電力Pの合計値PLTと制御量(PCUTあるいはPCUT1あるいはPCUT2)を比較して、合計値PLTが制御量と同様か、大きくなったら、解列対象の選択を止め、それまでに選択した負荷フィーダーを解列対象として決定する。
【0218】
制御部4では、制御量演算部3の制御対象決定手段34の選択結果に基づいて、解列対象の負荷フィーダーあるいは発電機が接続されている遮断器に対して、開放指令を出力し、負荷制限を実施することで周波数低下あるいは上昇を防止する。
【0219】
なお、第3の実施の形態乃至第11の実施の形態の各手段と適宜組み合わせて、周波数演算部2及び制御量演算部3を図23に示すような構成としてもよい。個々の手段の作用は、第3の実施の形態形態乃至第7の実施の形態形態と同様であるので説明を省略する。
【0220】
このように本発明の第12の実施の形態によれば、系統より解列する負荷フィーダーあるいは発電機を自動的に選択できるので、運用性に優れた装置とすることができる。
【0221】
次に、本発明の第13の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置について、図24乃至図29を参照しながら説明する。
【0222】
本発明の第13の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置は、第1の実施の形態または第2の実施の形態に記載の電力系統の周波数安定化装置において、監視対象の電気所が属するローカル系統と電力系統のその他の系統(主系統)との間の連系線の遮断器の開閉情報と電流,電圧,有効電力などを含む各種電気量とローカル系統内の発電機が運転されているかどうかを示す発電機の解併列情報を測定あるいは収集すると共に、予め設定し保管したローカル系統内の発電機の定格出力,慣性定数などを含む各種発電機情報と前記収集した発電機の解併列情報を用いて、連系線上からみたローカル系統側を1機の等価発電機モデルで表わした場合の等価発電機モデルの慣性定数を、所定の演算により算出し、算出した慣性定数を需給アンバランス量を推定する際に用いる発電機の慣性定数とするようにした点に特徴を有している。
【0223】
図24は、本発明の第13の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の全体構成図、図25は、系統状態推定部の構成図である。
【0224】
図24において、監視対象の電気所107が属するローカル系統103と電力系統のその他の系統(主系統101)とを連系する送電線102を接続する電気所107端に、系統状態推定部130(図示黒塗部分)を設置して、ローカル系統103内の監視対象とする各電気所107毎に、系統状態計測部1と周波数演算部2と制御量演算部3と制御部4と系統状態記憶部5を一つのセットとしてそれぞれ設置して、情報通信網である通信ネットワーク115で接続し、必要な情報をお互いに送受信する。
【0225】
系統状態推定部130は、図25に示すように、連系線102の電流,電圧,有効電力,遮断器106の開閉情報を入力する一方、発電機の解併列情報を入力して系統状態を推定し、推定した慣性定数を情報通信装置114から通信ネットワーク115へ出力する。
【0226】
系統状態推定部130は、図26に示す具体例のように、連系線状態計測手段61と発電機運転状態把握手段62と慣性定数演算手段63と系統構成把握手段64と発電機情報記憶手段65とから構成されている。
【0227】
系統状態推定部130の連系状態計測手段61では、連系線102の遮断器106の開閉情報と電流,電圧,有効電力などを含む各種電気量を時々刻々と計測あるいは収集し、系統状態推定部130の系統構成把握手段64に渡す。
【0228】
次に、発電機運転状態把握手段62では、発電機の運転状態を示す発電機の解併列情報、つまり、発電機が接続されている遮断器の開閉情報を、ローカル系統内の監視対象とする発電所毎に設置した系統状態計測部1を介して収集し、慣性定数演算手段63へ渡す。
【0229】
次に、発電機情報記憶手段65では、ローカル系統内の発電機の定格出力,慣性定数などを含む各種発電機情報を予め設定し保管しておき、必要に応じて各手段に出力する。図29は、発電機情報記憶手段65の発電機情報のデータベースの概念図である。
【0230】
次に、慣性定数演算手段63では、発電機情報記憶手段65に保管した発電機の定格出力,慣性定数などを含む各種発電機情報と発電機運転状態把握手段62にて収集した発電機の解併列情報を用いて、連系線上からみたローカル系統103側を1機の等価発電機モデルで表わした場合の等価発電機モデル112の慣性定数Mを、所定の演算により算出する。
【0231】
具体的には、発電機の解併列情報からローカル系統103に接続されている発電機を確認して、系統に接続されている発電機の定格出力,慣性定数などの各種発電機情報を発電機情報記憶手段65から呼び出して用いて、次の(13.1)式から慣性定数を定格出力で加重平均した値MCALを演算により求める。
【0232】
【数16】
Figure 0004119077
【0233】
ここで、mは、分離系統内で運転している発電機の総数。nは、発電機の通し番号(図29のnと同様)。
【0234】
次に、系統構成把握手段64では、連系線状態計測手段61で収集した連系線の遮断器の開閉情報を用いて、連系線の遮断器が開放されてローカル系統103が分離系統となっていることを確認する。そして、分離系統となっている場合には、慣性定数演算手段63で求めた等価発電機モデル112の慣性定数MCALを、ローカル系統103内の監視対象の電気所毎に設置したそれぞれの制御量演算部3へ渡す。
【0235】
監視対象の電気所毎に設置したそれぞれの制御量演算部3において、需給アンバランス量を推定する際に用いる前述した(1.1)式中の慣性定数Mに、慣性定数演算手段63で算出した慣性定数MCALを用いて需給アンバランス量を推定する。
【0236】
なお、ここで、遮断されると分離系統となる連系線がローカル系統内に複数個所ある場合には、慣性定数MCALを次のようにして求める。
【0237】
まず、各連系線がそれぞれ遮断された場合の分離系統の系統構成を事前に調査すると共に、各連系線がそれぞれ遮断された場合に分離系統内にどの発電機が属するのかを調査する。そして、各連系線遮断ケース毎に、図29に示すようなデータベース作成し、発電機情報記憶手段65において予め設定し保管しておく。連系線状態計測手段61では、各連系線の遮断器の開閉情報を収集して、系統構成把握手段64に渡す。
【0238】
発電機運転状態把握手段62では、ローカル系統103内の監視対象とする発電所毎に設置した系統状態計測部1によって発電機の運転状態を示す発電機の解併列情報を収集し、慣性定数演算手段63へ渡す。
【0239】
系統構成把握手段64では、収集した連系線の遮断器の開閉情報を用いて、遮断された連系線を確認して、その結果を慣性定数演算手段63に渡す。
【0240】
慣性定数演算手段63では、系統構成把握手段64の結果を用いて、発電機情報記憶手段65に予め設定し保管しておいた複数のデータベースの中から、遮断された連系線に対応するデータベースを選択して、演算に用いる。
【0241】
選択された発電機情報記憶手段65に保管の発電機の定格出力,慣性定数などの各種発電機情報と収集した発電機の解併列情報を用いて、分離系統に接続されている発電機を確認して、等価発電機モデル112の慣性定数MCALを、前述する(13.1)式から演算により算出する。
【0242】
図27及び図28は、系統状態推定部130と組み合わせる周波数安定化装置の構成図である。
【0243】
図27の場合には、系統状態推定部130によって得られた等価発電機モデル112の慣性定数MCALが制御量演算部3の初期制御演算手段31’及び補正制御演算手段32の演算に用いられる。
【0244】
また、図28の場合には、系統状態推定部130によって得られた等価発電機モデル112の慣性定数MCALが主制御演算手段31の演算に用いられる。
【0245】
このように本発明の第13の実施の形態によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる等価発電機モデルの慣性定数を正確に算出できるので、高精度の装置とすることができる。
【0246】
次に、本発明の第14の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を、図1と図30乃至図34を参照しながら説明する。
【0247】
本発明の第14の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置は、第2の実施の形態に記載の電力系統の周波数安定化装置において、分離系統内の一部の周波数安定化装置が故障などにより不動作であった場合に、正動作する装置において、故障装置が実施すべき負荷制限あるいは電源制限分を考慮して制御を実施するようにしている。図31は、本発明の第14の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の一実施例の構成図である。
【0248】
次に、全体の処理の流れを図30乃至図34を用いて説明する。なお、系統状態計測部1、周波数演算部2、制御部4及び系統状態記憶部5の作用と、制御量演算部3の以下に説明する手段以外の作用は、第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0249】
本周波数安定化装置は、図31に示すようにローカル系統内の監視対象とする各電気所に本装置を分散配置して、それぞれの装置毎にローカル系統内の需給アンバランス量を推定して、推定した需給アンバランス量に基づいて負荷制限量あるいは電源制限量を算出し、制御を実施してローカル系統内の需給アンバランスを解消し、周波数低下あるいは上昇が発生する前の定常時の周波数(基準周波数)に制御する。
【0250】
しかし、ローカル系統内の一部の周波数安定化装置において装置故障等が発生し制御が実施されないと、ローカル系統全体としては制御量が不足し、周波数低下あるいは上昇し続ける可能性が考えられる。このため、正動作する残りの周波数安定化装置において、故障した装置が制御すべき制御量分を多く制御すれば、不足分は解消されるので、周波数低下あるいは上昇を抑制して、周波数低下あるいは上昇が発生する前の定常時の周波数(基準周波数)に制御可能である。
【0251】
以下に、誤不動作装置があった場合の正動作する装置側での処理を説明する。正動作装置において不足分を考慮して制御を実施する必要がある場合は、次のような場合が考えられる。例えば、自端以外の不特定多数の装置で装置故障等が発生し、初期制御及び追加制御が共に実施されなかった場合あるいは全装置とも初期制御は正動作し、追加制御が自端以外の不特定多数の装置で実施されなかった場合などが考えられる。
【0252】
まず初めに、正動作する周波数安定化装置の制御演算開始判定手段30において、計測した周波数などの各種電気量と予め設定した所定の条件を用いて、追加制御を実施するか、実施しないかの判定を行う。例えば、計測した周波数を用いて追加制御を実施するか、実施しないかの判定を行う場合には、予め設定した動作判定しきい値fLMと初期制御後の周波数fを比較すると共に、周波数変化率df/dtを観測して、以下のように判定する。
【0253】
df/dt≦0、且つ、fがfLM以内ならば追加制御不要と判定 (14.1)df/dt>0、且つ、fがfLM超ならば追加制御必要と判定 (14.2)ここで、df/dtは、周波数上昇側では、上昇傾向のとき正とする。周波数低下側では、低下傾向のとき正とする。
【0254】
“追加制御必要と判定”した場合には、補正制御演算手段32で、不足制御分を含めた初期制御実施後のローカル系統内の需給アンバランス量ΔPC2を推定し、推定したΔPC2に応じた追加制御量PCUT2を決定する。
【0255】
以下に、不足制御分を含めた需給アンバランス量ΔPC2の推定方法を説明する。例えば、周波数低下側で自端以外の不特定多数の装置で初期制御及び追加制御が共に実施されなかった場合を例にとって説明する。
【0256】
図31に示すようなローカル系統において、ローカル系統内の負荷変電所A1からA5にそれぞれPL1からPL5の負荷があり、各負荷変電所でほぼ一律に負荷をα(=ΔPC1)[%]づつ遮断したとすると、ローカル系統全体の制御量PC1Tは(14.3)式のようになる。なお、PLn・ΔPC1が、各電気所における制御量である。
【0257】
【数17】
Figure 0004119077
【0258】
次に、誤不動作装置があると仮定した場合、図32に示すように、このときの正動作装置の割合をβとし、β=(1−誤不動作装置の割合)と定義する。例えば、負荷変電所A1からA3の装置が正動作して、その割合βが60[%]であったとすると、(1−β)=(1−0.6)=40[%]が誤不動作装置の割合(A4とA5)となる。
【0259】
正動作装置において、不動作分を含んだ制御を実施することを考えると、(14.4)式に示すように自端で1/β分多く制御すれば不足分を補うことができる。
【0260】
【数18】
Figure 0004119077
【0261】
よって、不特定多数の誤不動作装置があった場合の初期制御後の需給アンバランス量ΔPC2の推定式は、初期制御がβ[%]しか制御されていないことを考慮すると(14.5)式となる。つまり、(2.13)式をそのまま用いれば良い。なお、簡単のため負荷の増減特性係数aafを考慮しない推定式を用いた。
【0262】
負荷の増減特性係数abf,aafを考慮した場合も同様に、ΔPC2の推定式は、初期制御がβ[%]しか制御されていないことを考慮すると(14.6)式あるいは(14.7)式となり、(2.3)式あるいは(2.18)式をそのまま用いれば良いことがわかる。
【0263】
【数19】
Figure 0004119077
【0264】
本実施の形態によれば、誤不動作装置が不特定多数あった場合でも、正動作装置において不足制御分を含めた制御量を算出できるので、システムとして信頼性の高い周波数安定化装置を提供できる。
【0265】
また、本第14の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置では、監視対象の電気所が属する系統内の一部の電気所にのみ本周波数安定化装置を設置するようにした場合にも、対応することができる。図33は、この場合の電力系統の周波数安定化装置の一実施例の構成図である。
【0266】
以下に、全体的な処理の流れを図33と図34を用いて説明する。なお、系統状態計測部1及び周波数演算部2及び制御部4及び系統状態記憶部5の作用と、制御量演算部3の以下に説明する手段以外の作用は、第2の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0267】
本実施の形態では、図33に示すようにローカル系統内の一部の電気所にのみ本周波数安定化装置を設置して、それぞれ装置毎におのおの独立して周波数を監視し、対策が必要な場合には制御量の算出と制御を実施する。
【0268】
しかし、第2の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置は、ローカル系統内に属する全ての電気所において、一律の制御が実施されないと、ローカル系統全体としては制御量が不足し、周波数低下あるいは上昇し続ける可能性が考えられる。このため、本実施の形態では、一部の電気所にのみ周波数安定化装置を設置するシステム構成として、各周波数安定化装置において、周波数安定化装置が設置されていない電気所で制御すべき制御量分を含んだ制御量を算出するようにする。
【0269】
以下に、処理を説明する。まず、初期制御演算手段31’にて、監視対象の電気所が属するローカル系統の需給アンバランス量ΔPC1を所定の演算により推定し、推定した需給アンバランス量ΔPC1と電気所内の定常時の総負荷量あるいは総発電量(=PLOT)を用いて初期制御量PCUT1を算出する。具体的な作用は、第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0270】
次に、制御演算開始判定手段30において、追加制御を実施するか、実施しないかの判定を行う。具体的な作用は、図31,図32で説明した誤不動作の周波数安定化装置がある場合と同じであるので説明を省略する。なお、“追加制御必要と判定”した場合には、補正制御演算手段32では、本装置が設置されていない電気所分も考慮した初期制御実施後の需給アンバランス量ΔPC2を推定して、推定したΔPC2に応じて追加制御量PCUT2を決定する。
【0271】
具体的には、例えば、周波数低下側を例にとって説明すると、図33に示すようなローカル系統において、ローカル系統内の負荷変電所A1からA5にそれぞれPL1からPL5の負荷があり、負荷変電所A1からA3に本周波数安定化装置を分散設置して監視・制御しているとする。次に、図31,図32で説明した正動作装置の割合βについて、装置が設置されている=正動作装置があるのと同じ,装置が設置されていない=誤不動作装置があるのと同じ,と考え、本装置が設置されている電気所で制御すべき制御量を考えると、(14.4)式に示す通り、自端で1/β分多く制御すれば不足分を補うことができる。同様に、装置が設置されていない電気所分を考慮した初期制御後の需給アンバランス量ΔPC2の推定式を考えると、初期制御量PCUT1は、ローカル系統全体でみればβ[%]しか制御されていないことを考慮すると、やはり(14.5)式乃至(14.7)式に示すようになる。
【0272】
つまり、一部の電気所にのみ本装置が設置されるシステム構成の場合でも、装置が設置されている電気所で1/β分多く制御すれば不足分を補うことができるので、一部の電気所にのみ本装置を設置する形態の場合の推定式は、ローカル系統内の全ての電気所に本周波数安定化装置を設置した場合の推定式(2.3)式あるいは(2.18)式と同じとなる。
【0273】
これらのことから、監視対象外の負荷が存在した場合や、発電所の所内負荷などのような制御不可能な負荷あるいは送電損失の有効電力分PLOSSなどが存在した場合でも、それらに対する制御量も含んだ追加制御量が本装置で算出できることがわかる。
【0274】
本実施の形態によれば、電力系統内の一部の電気所にのみ本装置を設置することで、ローカル系統の周波数低下あるいは上昇を抑制し、基準周波数に制御できるので、システムを簡素化できる。また、監視対象外の負荷や制御不可能な負荷あるいは送電損失などが存在した場合でも、これらに対する制御量も含め追加制御量を算出できるので、信頼性や運用性の高い周波数安定化装置を提供できる。
【0275】
次に、本発明の第15の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を、図1と図2と図35を参照しながら説明する。
【0276】
本発明の第15の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置は、第2の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部において、求めた周波数変化率を用いて、制御目標周波数を見直すようにしている。図35は、制御量演算部の構成図である。
【0277】
次に、全体の処理の流れを図2と図35を用いて説明する。なお、系統状態計測部1及び周波数演算部2及び制御部4及び系統状態記憶部5の作用と制御量演算部3の以下に説明する手段以外の作用は、第2の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0278】
制御目標周波数設定手段301では、周波数変化率df/dtと予め設定した制御目標周波数切り換えしきい値ΔfTRGを用いて、周波数変化率の大きさに応じて制御目標周波数を切り換える。
【0279】
df/dt≧ΔfTRG ならば、
制御目標周波数を基準周波数に設定 ・・・・(15.1)
df/dt<ΔfTRG ならば、
制御目標周波数を初期制御実施時点の周波数に設定・・・(15.2)
【0280】
「制御目標周波数を基準周波数に設定」と判定した場合には、第1の実施の形態において説明した方法で初期制御量PCUT1と追加制御量PCUT2を求める。
【0281】
「制御目標周波数を初期制御実施時点の周波数に設定」と判定した場合には、追加制御量PCUT2を以下の通り算出する。
【0282】
ΔPC1の推定方法は、第2の実施の形態と同じであるので説明を省略する。初期制御量PCUT1は、推定した需給アンバランス量ΔPC1と初期制御直前の電気所内の総負荷量あるいは総発電量(=PLC1T)を用いて(15.3)式から算出する。
【0283】
CUT1=PLCIT・ΔPC1 ・・・・(15.3)
【0284】
次に、補正制御演算手段32では、第2の実施の形態で説明したようにΔPC2を推定する。追加制御量PCUT2は、推定した需給アンバランス量ΔPC2と初期制御直前の電気所内の総負荷量あるいは総発電量(=PLC1T)を用いて(15.4)式から算出する。
【0285】
CUT2=PLCIT・ΔPC2 ・・・・(15.4)
【0286】
このようにして求めた追加制御量PCUT2を制御部4へ渡すと共に、系統状態記憶部5において保管する。
【0287】
「制御目標周波数を初期制御実施時点の周波数に設定」の場合には、補正制御演算で、初期制御実施時点の周波数に制御するための制御量を算出する。つまり、初期制御実施時点のローカル系統内の総負荷量と総発電量のアンバランスを推定することになる。一方、「制御目標周波数を基準周波数に設定」の場合は、基準周波数に制御するための制御量を算出する。つまり、系統分離発生時のアンバランス(ローカル系統内の定常時の総需要に対する遮断された連系線事前潮流の割合)を推定することになる。前者の特徴は、初期制御時点の需給アンバランスと同量の制御を行って、まず、周波数低下あるいは上昇を防止し、本装置以外の制御(例えば、発電機の出力増加・低下など)によって、基準周波数に安定化するものであり、後者は、初期の需給アンバランス、つまり、連系線事前潮流分の等量制御を行って、基準周波数に安定化する。
【0288】
本実施の形態によれば、周波数変化率によって目標制御周波数を選択するので、周波数低下率が大きく制御の緊急性が高い場合には制御量が多く算出され、周波数抑止効果が高くなる。また、周波数低下率が小さく安定化制御の緊急性が低い場合には制御量が少なく算出され、発電機の出力増加の制御により基準周波数に制御するので、停電区間を最小化できる。
【0289】
次に、本発明の第16の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を図1、図2と図30、図36を参照しながら説明する。
【0290】
本発明の第16の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置は、まず第1番目として、第2の実施の態様の電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部において、負荷フィーダーあるいは発電機の有効電力から算出した係数を用いて、算出した周波数変化率などの各種電気量の変化分や計測した周波数などを補正するようにしている。図36は、その制御量演算部の構成図である。
【0291】
次に、全体の処理の流れを説明する。なお、系統状態計測部1及び周波数演算部2及び制御部4及び系統状態記憶部5の作用と制御量演算部3の以下に説明する手段以外の作用は、第2の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0292】
具体的には、周波数補正手段302において、周波数演算部2で求めた周波数変化率df/dtを、負荷の増減特性係数abf,aafを用いて、(16.1)式乃至(16.3)式のように補正する。なお、負荷の増減特性係数abf,aafの算出方法は、第2の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0293】
α=KADJ2・abf ・・・・(16.1)
あるいは
α=KADJ2・aaf ・・・・(16.2)
ΔfRE=α・Δf ・・・・(16.3)
【0294】
ここで、Δfは、周波数変化率df/dtであり、添字のREは補正後の値であることを示す。KADJ2は、予め設定した係数である。系統分離直後は、(16.1)式を使用し、初期の負荷制限あるいは追加の負荷制限直後には、(16.2)式を用いる。
【0295】
本実施の形態によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる周波数変化率を、負荷の増減特性を表わす係数を用いて自動的に補正するため、負荷の電圧特性により負荷量が増加した場合でも精度よく追加制御量を算出できるので、推定精度の高い電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0296】
次に、本実施の形態の第2番目として、第2の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部の周波数補正手段302において、電圧から算出した係数を用いて、算出した周波数変化率などの各種電気量の変化分や計測した周波数などを補正するようにしている。
【0297】
具体的には、周波数補正手段302において、周波数演算部2で求めた周波数変化率df/dtを、電圧変動係数abfv,aafvを用いて(16.4)式乃至(16.6)式のように補正する。なお、電圧変動係数abfv,aafvの算出方法は、第2の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0298】
α=KADJ3・abfv ・・・・(16.4)
あるいは
α=KADJ3・aafv ・・・・(16.5)
ΔfRE=α・Δf ・・・・(16.6)
【0299】
ここで、Δfは、周波数変化率df/dtであり、添字のREは補正後の値であることを示す。KADJ3は、予め設定した係数である。系統分離直後は、(16.4)式を使用し、初期の負荷制限あるいは追加の負荷制限直後には、(16.5)式を用いる。
【0300】
本実施の形態によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる周波数変化率を、電圧変動特性を表わす係数を用いて自動的に補正するため、系統分離後の電圧低下や制御を実施した際に発生する電圧上昇の影響を除去でき精度よく追加制御量を算出できるので、推定精度の高い電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0301】
次に、本発明の第17の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を図1、図2、図4と図37を参照しながら説明する。
【0302】
本発明の第17の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置は、第2の実施の態様の電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部において、監視対象の電気所が属する系統内の発電機の慣性定数を推定するようにした。図37は、本発明に係わる電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部の一実施例の構成図である。
【0303】
以下に、全体の処理の流れを説明する。なお、系統状態計測部1及び周波数演算部2及び制御部4及び系統状態記憶部5の作用と制御量演算部3の以下に説明する手段以外の作用は、第2の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0304】
図37に示す慣性定数推定手段35では、前述の(2.10)式を用いて、連系線上からみたローカル系統側を図4に示すような1機の発電機で表わした際の等価発電機モデルの慣性定数Mを推定する。なお、(2.10)式において、有効電力から算出した負荷増減特性係数abf,aafの代わりに、計測した電圧から算出した負荷特性増減係数abfv,aafvを用いてもよい。初期負荷制限後の負荷量Pe(t+)は、第2の実施の形態で説明したように、電気所内の定常時の総負荷量PLOTから初期制御量PCUT1分遮断したものであり、よって、Pe(t+)=PL(t+)=(PL0−PCUT1)=(1−ΔPC1)、とする。
【0305】
推定した慣性定数Mestは、系統状態記憶部5に保管しておき、後日、周波数低下あるいは上昇が発生した際に、初期制御演算手段31’において、初期制御前の需給アンバランス量ΔPC1の推定式(1.1)式のMとして用いる。このようにすれば、実系統の慣性定数を用いることができるので、より高精度に需給アンバランス量を推定できる。
【0306】
本実施の形態によれば、監視対象の電気所端のみで計測あるいは収集可能な情報のみで、監視対象の電気所が属する系統内の発電機を1機で表わした場合の等価発電機モデルの慣性定数を推定することができる。
【0307】
次に、本発明の第18の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の各構成部及び手段の作用を図1、図2と図30、図38を参照しながら説明する。
【0308】
本発明の第18の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置は、第2の実施の形態の電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部において、初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した前と後の負荷フィーダーあるいは発電機の有効電力から算出した係数を用いて、算出した制御量を補正するようにしている。図38は、その制御量演算部の構成図である。
【0309】
次に、全体の処理の流れを説明する。なお、系統状態計測部1及び周波数演算部2及び制御部4及び系統状態記憶部5の作用とこれから説明する制御量補正演算手段33以外の制御量演算部3の手段の作用は、第2の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0310】
制御量補正演算手段33では、算出した制御量PCUT(追加制御量PCUT2)を、負荷増減特性係数aafを用いて(18.1)式のように補正する。なお、負荷増減特性係数aafの算出方法は、第2の実施の形態と同じであるので説明を省略する。
【0311】
具体的には、負荷増減特性係数aafを用いて、算出した制御量PCUTを(18.1)式を用いて補正する。
【0312】
【数20】
Figure 0004119077
【0313】
ここで、αpcは、予め設定した係数であり、PCUTは、追加制御量PCUT2である。
【0314】
なお、制御量PCUTを補正する代わりに、推定した需給アンバランス量ΔP(ΔPC1あるいはΔPC2)を上記方法にて補正し、補正後のΔPを用いて制御量PCUTを算出してもよい。
【0315】
本実施の形態によれば、負荷の増減特性を表わす係数を用いて制御量を自動的に補正するので、負荷の電圧特性により負荷量が変化した場合でも精度よく追加制御量を算出できるので、負荷の電圧特性を考慮した推定精度の高い電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0317】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、遮断済みの制御量の合計値と周波数変化率のみで、監視対象の電気所が属する系統内の需給アンバランス量を推定できるので、演算のためのパラメータ設定が必要なく、また、推定した需給アンバランス量から制御量を算出するので需要の増減などの系統状態が変化しても対応でき、系統運用者の負担を低減でき、また、追加制御を繰り返し実施するので不足制御を防止できる。また、監視対象の電気所端のみで計測あるいは収集可能な情報のみで、需給アンバランス量を推定し、推定した需給アンバランス量に基づいて制御量を算出できるので、電力系統内の各所において計測した情報を収集する必要がなく広域の情報伝送網も不要で、システム規模を小さくできる。また、監視対象の電気所毎に個別に監視,制御が実施できるので、装置構成が簡素で制御性が高く運用性や保守性に優れた装置を提供できる。
【0318】
また、請求項2の発明によれば、系統分離に伴う電圧変化によるローカル系統内の負荷の増減とか、ローカル系統内の負荷制限や電源制限に伴う電圧変動による負荷の増減をそれぞれ考慮した需給アンバランスの推定を行えるので、推定精度を高めることができる。また、電圧変動の影響を除去するための周波数の平滑化処理を削除あるいは平滑化処理に用いるデータ区間長の短縮を図ることができため、追加制御量を短時間に算出できる。
【0319】
また、請求項3の発明によれば、計測した電圧から算出した電圧変動係数として、負荷の増減特性係数を求めることにより、電圧変動を考慮した需給アンバランス量の推定を行えるので、推定精度を高めることができる。また、電圧変動の影響を除去するための周波数の平滑化処理を削除あるいは平滑化処理に用いるデータ区間長の短縮を図ることができため、追加制御量を短時間に算出できる。
【0320】
また、請求項4の発明によれば、需給アンバランス量を求める際に用いる各種電気量に平滑化処理を施しているので、周波数が異常に変動する場合でも、精度良く需給アンバランス量を推定でき、且つ、推定結果のばらつきを防止するので、高精度で高信頼度の装置を提供できる。
【0321】
また、請求項5の発明によれば、予測した将来の周波数やその周波数変化率を用いて演算を行うので、実測値を用いて演算する場合より早い時点で演算結果を得ることができ、早い時点で制御を実施でき、周波数の異常変動を短時間で安定化する装置とすることができる。
【0322】
また、請求項6の発明によれば、予め設定した条件を基にして、段階的に制御が実施できるので、系統運用に合わせた制御が可能であり運用性の高い装置とすることができる。
【0323】
また、請求項7の発明によれば、複数の周波数安定化装置間で動作条件を違えることができるので、協調を取った安定化制御により必要以上の解列を防止できる。
【0324】
また、請求項8の発明によれば、負荷制限後の過渡的な電圧上昇が発生している間は、補正制御演算をロックするので、電圧上昇に伴って負荷の消費電力が増加し過剰に制御量が算出される場合でも、過剰制御を防止できる。
【0325】
また、請求項9の発明によれば、負荷制限後の過渡的な電圧上昇が発生している間は、補正制御演算をロックするので、電圧上昇に伴って負荷の消費電力が増加し過剰に制御量が算出される場合でも、過剰制御を防止できる。
【0326】
また、請求項10の発明によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる等価発電機モデルの慣性定数を、周波数変化率の大きさを用いて調整するので、実現象に応じた制御量を算出できる。
【0327】
また、請求項11の発明によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる等価発電機モデルの慣性定数を、周波数変化率の大きさを用いて調整するので、実現象に応じた制御量を算出できる。
【0328】
また、請求項12の発明によれば、計測した各種電気量を用いて制御量を補正するので、実現象に即した制御量を算出でき、運用性の高い装置とすることができる。
【0329】
また、請求項13の発明によれば、系統より解列する負荷フィーダーあるいは発電機を選択できるので、運用性に優れた装置とすることができる。
【0330】
また、請求項14の発明によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる等価発電機モデルの慣性定数を正確に算出できるので、高精度の装置とすることができる。
【0331】
また、請求項15の発明によれば、誤不動作装置が不特定多数あった場合でも、正動作装置において不足制御分を含めた制御量を算出できるので、システムとして信頼性の高い周波数安定化装置を提供できる。
【0332】
また、請求項16の発明によれば、電力系統内の一部の電気所にのみ本装置を設置することで、ローカル系統の周波数低下あるいは上昇を抑制し、基準周波数に制御できるので、システムを簡素化できる。また、監視対象外の負荷や制御不可能な負荷あるいは送電損失などが存在した場合でも、これらに対する制御量も含め追加制御量を算出できるので、信頼性や運用性の高い周波数安定化装置を提供できる。
【0333】
また、請求項17の発明によれば、周波数変化率によって目標制御周波数を選択するので、周波数低下率が大きく制御の緊急性が高い場合には制御量が多く算出され、周波数抑止効果が高くなる。また、周波数低下率が小さく安定化制御の緊急性が低い場合には制御量が少なく算出され、発電機の出力増加の制御により基準周波数に制御するので、停電区間を最小化できる。
【0334】
また、請求項18の発明によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる周波数変化率を、負荷の増減特性を表わす係数を用いて自動的に補正するため、負荷の電圧特性により負荷量が増加した場合でも精度よく追加制御量を算出できるので、推定精度の高い電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0335】
また、請求項19の電力系統の周波数安定化装置によれば、需給アンバランス量を推定する際に用いる周波数変化率を、電圧変動特性を表わす係数を用いて自動的に補正するため、電圧変動の影響を除去でき精度よく追加制御量を算出できるので、推定精度の高い電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【0336】
また、請求項20の発明によれば、監視対象の電気所端のみで計測あるいは収集可能な情報のみで、監視対象の電気所が属する系統内の発電機を1機で表わした場合の等価発電機モデルの慣性定数を推定することができる。
【0337】
また、請求項21の発明によれば、負荷の増減特性を表わす係数を用いて制御量を自動的に補正するので、負荷の電圧特性により負荷量が変化した場合でも精度よく追加制御量を算出できるので、負荷の電圧特性を考慮した推定精度の高い電力系統の周波数安定化装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する電力系統の周波数安定化装置の全体構成図である。
【図2】本発明の電力系統の周波数安定化装置の実施の形態を示す構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図4】本発明を適用する電力系統の周波数安定化装置が扱う等価系統モデルを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図6】本発明の負荷の増減特性係数の概念図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図9】図8の他の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図11】図10の電力系統の周波数安定化装置の処理を示す第1フローチャートである。
【図12】図10の電力系統の周波数安定化装置の処理を示す第2フローチャートである。
【図13】図10の他の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図14】図13の電力系統の周波数安定化装置の処理を示す第1フローチャートである。
【図15】図13の電力系統の周波数安定化装置の処理を示す第2フローチャートである。
【図16】図13の電力系統の周波数安定化装置の別の他の実施の形態に係る電力系統の周波数安定化装置の処理を示す部分フローチャートである。
【図17】本発明の第9の実施の形態及び第10の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図18】本発明の第9の実施の形態及び第10の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図19】本発明の第11の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図20】図19の電力系統の周波数安定化装置の他の実施の形態に係る電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図21】本発明の第12の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図22】図21の電力系統の周波数安定化装置の他の実施の形態に係る電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図23】図22の電力系統の周波数安定化装置の別の他の実施の形態に係る電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図24】本発明の第13の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の全体構成図である。
【図25】図24の電力系統の周波数安定化装置に備える系統状態推定部の説明図である。
【図26】図25の系統状態推定部の具体的構成図である。
【図27】図24の電力系統の周波数安定化装置の具体的構成図である。
【図28】図24の電力系統の周波数安定化装置の別の具体的構成図である。
【図29】図26の系統状態推定部に備える発電機情報記憶手段の構成図である。
【図30】本発明の第14の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の周波数演算部及び制御量演算部の構成図である。
【図31】本発明の第14の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図32】正動作する周波数安定化装置の割合βを説明する図である。
【図33】本発明の第14の実施の形態に係わる他の電力系統の周波数安定化装置の構成図である。
【図34】本発明の第14の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部の構成図である。
【図35】本発明の第15の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部の構成図である。
【図36】本発明の第16の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部の構成図である。
【図37】本発明の第17の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部の構成図である。
【図38】本発明の第18の実施の形態に係わる電力系統の周波数安定化装置の制御量演算部の構成図である。
【図39】従来の電力系統の周波数安定化装置の処理を示すフローチャートである。
【図40】従来の電力系統の周波数安定化装置の周波数低下側を安定化する場合の動作条件設定例の説明図である。
【符号の説明】
1 系統状態計測部
2 周波数演算部
3 制御量演算部
4 制御部
5 系統状態記憶部
21 周波数演算手段
22 周波数平滑化処理手段
23 周波数変動予測手段
30 制御演算開始判定手段
31 主制御演算手段
31’ 初期制御演算手段
32 補正制御演算手段
33 制御量補正演算手段
34 制御対象決定手段
35 慣性定数推定手段
61 連系線状態計測手段
62 発電機運転状態把握手段
63 慣性定数演算手段
64 系統構成把握手段
65 発電機情報記憶手段
100 電力系統
101 主系統
102 連系線
103 ローカル系統
104 伝送ライン
105 安定化制御ライン
106 遮断器
107 電気所
108 送電線
109 発電機
110 負荷
111 計測器
112 等価発電機モデル
113 等価負荷モデル
114,116 情報通信装置
115 通信ネットワーク
120 周波数安定化装置
130 系統状態推定部
301 制御目標周波数設定手段
302 周波数補正手段
310 演算条件設定手段
50 動作条件設定例

Claims (21)

  1. 電力系統の監視対象とする変電所あるいは発電所等の電気所において、計測された系統の周波数を含む各種電気量を用いて所定の演算を行い、得られた周波数の変動を防止するために必要な負荷制限量あるいは電源制限量によって発電機あるいは負荷を遮断する電力系統の周波数安定化装置において、
    監視対象の電気所の周波数変化率と前記監視対象の電気所が属する系統内の等価発電機の慣性定数とに基づいて、所定の演算により前記系統内の需給アンバランス量を推定する手段と、
    この手段によって推定された需給アンバランス量に応じて初期の負荷制限量あるいは初期の電源制限量を決定する手段と、
    前記初期の負荷制限量あるいは初期の電源制限量による実施後に、監視対象の系統の周波数が所定の大きさの変動をする場合、前記実施の前後の各周波数変化率と各負荷制限量あるいは各電源制限量を用いて、前記系統内の需給アンバランス量を再度推定する手段と、
    この手段によって再度推定された需給アンバランス量に応じて追加の負荷制限量あるいは追加の電源制限量を決定する手段と、
    この手段によって決定された追加の前記系統の需給アンバランス量の再度の推定及び追加の負荷制限量あるいは電源制限量の決定を、予め定める条件に応じて実施する手段とを備えることにより、前記監視対象電気所毎に個別に監視制御することを特徴とする電力系統の周波数安定化装置。
  2. 前記系統内の需給アンバランス量を再度推定する手段において、負荷制限あるいは電源制限の実施の前後の各周波数変化率、各負荷制限量あるいは各電源制限量とともに、系統分離及び負荷制限あるいは電源制限に伴う負荷増減特性係数をも用いて、系統内の需給アンバランス量を推定することを特徴とする請求項1記載の電力系統の周波数安定化装置。
  3. 前記系統分離及び負荷制限あるいは電源制限に伴う負荷増減特性係数を、計測した電圧に基づいて算出することを特徴とする請求項2記載の電力系統の周波数安定化装置。
  4. 前記周波数変化率の演算、あるいは、前記需給アンバランス量の演算に用いる各種電気量に対して所定の平滑化処理を施すことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置。
  5. 系統の将来の周波数を予測して予測された将来の周波数の変化率を用いて前記需給アンバランス量を推定することを特徴とする請求項1乃至請求項4記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置。
  6. 予め設定した所定の条件となったと判定した場合、前記需給アンバランス量を推定する初期あるいは追加の演算を開始し、得られた初期あるいは追加の需給アンバランス量によって負荷制限量あるいは電源制御量を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置。
  7. 各監視対象の電気所に接続される負荷フィーダーあるいは発電機などの周波数変動に対する許容度に応じて個々に需給アンバランス量を推定する演算を開始することを特徴とする請求項6記載の電力系統の周波数安定化装置。
  8. 前記需給アンバランス量を推定する初期あるいは追加の演算を開始し、得られた初期あるいは追加の需給アンバランス量によって負荷制限量あるいは電源制限量を決定し、発電機あるいは負荷の遮断を実施した後に、引き続き、再度、需給アンバランス量を推定する演算を行う場合に予め設定した所定の条件に従って前記需給アンバランス量を推定する演算をロックすることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置。
  9. 前記需給アンバランス量を推定する初期あるいは追加の演算を開始し、得られた初期あるいは追加の需給アンバランス量によって負荷制限量あるいは電源制限量を決定し、発電機あるいは負荷の遮断を実施した後に、引き続き、再度、需給アンバランス量を推定する演算を行う場合に、計測した電圧が予め設定される条件となった場合には、前記需給アンバランス量を推定する演算をロックすることを特徴とする請求項8記載の電力系統の周波数安定化装置。
  10. 需給アンバランス量の推定の際に予め設定した所定の条件に基づいて、予め設定された複数の発電機の慣性定数を選択するように調整を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置。
  11. 需給アンバランス量の推定の際に周波数変化率の大きさに基づいて、発電機の慣性定数を増減させて補正することを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置。
  12. 周波数が安定している場合の各種電気量と周波数が変動した場合の各種電気量とに基づいて所定の演算を行い、前記電源制限量あるいは前記負荷制限量を補正することを特徴とする請求項1記載の電力系統の周波数安定化装置。
  13. 予め設定した所定の条件に基づいて、負荷制限する負荷フィーダーあるいは電源制限する発電機を選択することを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置。
  14. 監視対象の電気所が属するローカル系統と電力系統のその他の主系統との間の連系線の遮断器の開閉情報と電流,電圧,有効電力などを含む各種電気量とローカル系統内の発電機が運転されているかどうかを示す発電機の解併列情報とを収集すると共に、予め設定し保管したローカル系統内の発電機の定格出力,慣性定数などを含む各種発電機情報と前記の収集した発電機の解併列情報を用いて、連系線上からみたローカル系統側を1機の等価発電機モデルで表わした場合の等価発電機モデルの慣性定数を所定の演算により算出し、算出した慣性定数を需給アンバランス量を推定する際に用いる前記系統内の発電機の慣性定数とする系統状態推定部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置。
  15. 分離系統内の一部の周波数安定化装置が故障などにより不動作であった場合に、正動作する周波数安定化装置において、故障した周波数安定化装置が実施すべき負荷制限あるいは電源制限分を考慮して制御を実施することを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置。
  16. 監視対象の電気所が属する系統内の一部の電気所にのみ本装置を設置することを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置。
  17. 求めた周波数変化率を用いて、制御目標周波数を見直すことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれかの電力系統の周波数安定化装置。
  18. 事故発生前の定常時及び初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した前と後の負荷フィーダーあるいは発電機の有効電力から算出した係数を用いて、算出した周波数変化率などの各種電気量の変化分や計測した周波数などを補正することを特徴とする請求項1記載の電力系統の周波数安定化装置。
  19. 事故発生前の定常時及び初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した前と後の電圧から算出した係数を用いて、算出した周波数変化率などの各種電気量の変化分や計測した周波数などを補正することを特徴とする請求項1記載の電力系統の周波数安定化装置。
  20. 監視対象の電気所が属する系統内の発電機の慣性定数を推定することを特徴とする請求項2または請求項3記載の電力系統の周波数安定化装置。
  21. 事故発生前の定常時及び初期あるいは追加の負荷制限あるいは電源制限を実施した前と後の負荷フィーダーあるいは発電機の有効電力から算出した係数を用いて、算出した制御量を補正することを特徴とする請求項1記載の電力系統の周波数安定化装置。
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