JP4118491B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は二軸配向ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは長時間記録再生が可能な磁気テープ、特に小型VTR用のコンパクトカセットビデオテープや高密度型大容量記録媒体、特にコンピューター用のデータストレージなどの磁気テープのベースフィルムとして有用な二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープとしては、従来、二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に磁性層を形成したものが広く用いられている。しかしながら、近年、磁気テープのロングプレイ化やハードの小型化に伴ない、カセットに巻くテープの長さを長くして記録再生の長時間化を図る必要が生じ、このためには磁気テープの厚みを薄くする必要があるが、従来の磁気テープには厚みを薄くすると、走行耐久性やヘッド当りが悪化するという問題がある。さらに高ヤング率化が要求される場合、高ヤング率のポリエチレンテレフタレートフィルムを造るためには高倍率の延伸処理が必要で、製膜条件も極めて難しいものとなる。そこで、このようなポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた磁気テープの問題点を解消するために、高ヤング率の二軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムを支持体として用いた磁気テープが多数提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この高ヤング率二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフイルムを用いた磁気テープでも、テープの厚みをさらに薄くして記録再生のより一層の長時間化を図ろうとすると、走行性、耐久性、電磁変換特性に問題が生じる。すなわち、磁気テープを繰り返し走行させる場合にテープの端部が損傷を受け、ワカメ状に変形したり、あるいはテープの横規制ガイドに当たった時にテープ端部が折れ曲がったりして、テープの特性が損なわれ、電磁変換特性をも劣化させる。また、ヘリカル方式のデジタル磁気記録媒体に供するフィルムは横方向のヤング率を高くすることを要求されるが、その場合ポリエステルの延伸性から、縦方向の延伸倍率を縦横バランスタイプより低めに設定しなければならず、縦方向の厚み斑が大きくなる問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記問題点を解消した磁気テープのベースフイルムを開発すべく鋭意研究した結果、製膜安定性の良い特定の延伸条件下において、分子配向計による縦方向対横方向の透過マイクロ波の強度比をある数値範囲内にすることで、横方向のヤング率Y(TD)を従来よりもさらに大きく高強度化でき、かつフィルムの厚み斑を小さくできること、そして得られる二軸配向ポリエステルフィルムは長時間の記録再生小型高密度化のために厚みを薄くしても、テープの走行性、耐久性が良好であり、しかもテープ加工時に削れやシワが発生することがなく、電磁変換特性に優れた磁気記録テープを製造し得ることを見い出し、本発明に到達したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、ポリエステルフィルムがポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであって、(1)フィルムの縦方向のヤング率Y(MD)が3.9GPa以上であり、(2)フィルムの分子配向計による横方向と縦方向の透過マイクロ波強度比(TMS(TD)/TMS(MD))が0.5〜0.9であり、(3)フィルムの横方向に測定した表面粗さRa(TD)と縦方向に測定した表面粗さRa(MD)の比(Ra(TD)/ Ra(MD))が0.3以上1.0未満であり、かつ(4)フィルムの縦方向および横方向の厚み斑が0.5μm以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムである。
【0006】
本発明は、好ましい態様として、ポリエステルフィルムの少なくとも片方の表面粗さRa(MD)が1〜15nmであることポリエステルフィルムの厚みが2〜15μmであることを満足する二軸配向ポリエステルフィルムであることを包含する。更に、該二軸配向ポリエステルフィルムがデジタル磁気記録媒体、特にヘリカル方式のデジタル磁気記録媒体のベースフィルムとして用いられることを包含する。
【0007】
[ポリエステル]
本発明においてポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が例示でき、これらの共重合体又はこれらと小割合の他樹脂とのブレンド組成物なども含まれる。これらの中で、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが特に好ましい。
【0008】
共重合ポリエステルの場合、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルが、加工性や機械的強度、寸法安定性の点から好ましい。共重合成分としては、ジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。このジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1,3―アダマンタンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などを挙げることができる。また、グリコール成分としては、例えば1,3―プロパンジオール、1,4―ブタンジオール、1,6―ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、p―キシリレングリコールなどを挙げることができる。これら共重合成分は5mol%以下であることが好ましい。
【0009】
本発明におけるポリエステルは従来公知の方法、例えばジカルボン酸とグリコールとをエステル化反応させ、またはジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとを従来公知のエステル交換触媒、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物の一種または二種以上を用いてエステル交換反応させた後、重合触媒の存在下で重合させる方法で製造することができる。重合触媒としては三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物等を例示することができる。
【0010】
前記のエステル交換反応を経由して重合を行う場合は、通常、重合反応前にエステル交換触媒を失活させる目的で、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、正リン酸等のリン化合物を添加するが、リン元素としてのポリエステル中の含有量は20〜100ppmであることがポリエステルの熱安定性の点から好ましい。
【0011】
なお、ポリエステルは溶融重合後これをチツプ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中において固相重合することもできる。
【0012】
本発明におけるポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)は通常0.40dl/g以上であるが、0.40〜0.90dl/gであることが好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満では製膜時の工程切断が多発することがあり、一方0.9dl/gより高いと溶融粘度が高いため溶融押出しが困難になり、重合時間が長く不経済であり、好ましくない。
【0013】
[フィルム物性]
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの縦方向のヤング率Y(MD)が3.9GPa以上、好ましくは4.4GPa以上であり、さらにフィルムの分子配向計による横方向と縦方向の透過マイクロ波強度比(TMS(TD)/TMS(MD))が0.5〜0.9、好ましくは0.6〜0.8である。このフィルム縦方向のヤング率Y(MD)が3.9GPa 未満では、磁気テープに瞬間的に強い応力がかかったとき、テープが伸びて変形するので好ましくない。この縦方向のヤング率Y(MD)はフィルムに使用形態にもよるが大きいほど好ましいが、この上限はポリマー特性から自ずと定まる。また、フィルムの分子配向計による横方向と縦方向の透過マイクロ波強度比(TMS(TD)/TMS(MD))が0.5未満であると、縦方向の強度が不足し、フィルム製膜時の切断、また磁気テープでの破断が頻発し、一方0.9を超えると、横方向の強度が不足し、テープのヘッド当たりが弱くなり、電磁変換特性が悪くなったり、またテープの端部が損傷を受けてワカメ状に変形し、更にはテープの横規制ガイドにあたり、テープ端部が折れ曲がったりしてテープの特性が損なわれるので好ましくない。
【0014】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの横方向のヤング率Y(TD)は好ましくは13GPa 以上、更に好ましくは15GPa以上、特に好ましくは17GPa以上である。
【0015】
このように、フィルム横方向のヤング率Y(TD)が大きく、かつ縦方向のヤング率Y(MD)もある程度以上で面配向度の高いポリエステルフィルム、就中ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムの配向度は、従来の屈折率計では測定できない場合がある。本発明においては、この配向度を分子配向計により求める。この分子配向計は、マイクロ波(約4GHz)偏波電界中に試料フィルムを回転させながらマイクロ波偏波の透過度を測定し、分子配向主方向の透過度が低くなることから、配向度や配向軸方向を求めるものである。
【0016】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、さらに、フィルムの横方向に測定した表面粗さRa(TD)と縦方向に測定した表面粗さRa(MD)の比(Ra(TD)/ Ra(MD))が0.3以上1.0未満、好ましくは0.5以上1.0未満であり、かつフィルムの縦方向および横方向の厚み斑が0.5μm以下、好ましくは0.4μm以下、特に好ましくは0.3μm以下である。このフィルム横方向に測定した表面粗さRa(TD)と縦方向に測定した表面粗さRa(MD)の比が0.3未満であると、磁性表面にミクロ的な塗布斑が生じ、出力変動の要因となり、電磁変換特性が悪化する。この表面粗さ比(Ra(TD)/ Ra(MD))は横延伸温度に関連しており、横延伸温度を下げることにより小さくすることができる。一方、フィルム横方向に測定した表面粗さRa(TD)と縦方向に測定した表面粗さRa(MD)の比を1.0以上にすると、フィルム横方向の強度が下がり、テープのヘッド当たりが低下し、電磁変換特性が悪化する。また、フィルムの縦方向および横方向の厚み斑が0.5μmを超えると、磁気記録媒体に用いた場合に磁性層の塗布斑が大きくなり、電磁変換特性が悪化する。
【0017】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、その少なくとも片方の縦方向の表面粗さRa(MD)の下限が1nm以上、さらには2nm以上、特に3nm以上であることが好ましく、また上限が15nm以下、さらには10nm以下、特に8nm以下であることが好ましい。この表面粗さRa(MD)が15nmより大きいと、磁気テープとして必要な電磁変換特性を維持することが難しく、一方表面粗さRa(MD)が1nmより小さいと、摩擦係数が大きくなり、フィルム製膜工程や磁気テープ製造工程での搬送性が悪くなり、フィルムの蛇行、ロールでの削れ粉が発生するので好ましくない。
【0018】
フィルムの表面粗さRaは、フィルム中に内部析出粒子や、不活性添加粒子例えば、炭酸カルシウム粒子、アルミナ粒子、球状シリカ粒子、酸化チタン粒子に代表される不活性無機粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等に代表される有機粒子等を含有させることで、あるいはフィルムの表面処理例えばコーティング処理によって調整することができる。前記不活性粒子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。更に好ましい下限は0.05μm以上、更になお好ましい下限は0.1μmであり、また更に好ましい上限は1.0μm、更になお好ましい上限は0.7μmである。また、添加量は0.001〜2.0重量%が好ましい。更に好ましい下限は0.005重量%、更になお好ましい下限は
0.01重量%であり、また更に好ましい上限は1.0重量%、更になお好ましい上限は0.5重量%である。
【0019】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは好ましくは2〜15μm、更に好ましくは4〜10μm、特に好ましくは4〜9μmである。この厚みが15μmを超えると、カセットに巻く磁気テープの長さを長くして記録再生の長時間化を図ることが難しくなり、一方2μm未満であると、磁気テープの起動や停止時にかかる力により、フィルムの永久伸びが生じ、耐久性を満足させることができない。
【0020】
これらの物性を実現するためには、二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムが好ましい。前記二軸配向ポリエステルフィルムは上記の特性満足する限り、単層フィルムでも積層フィルムでも良い。
【0021】
[フィルムの製造法]
本発明における二軸配向ポリエステルフィルム、例えば二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムはポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートを溶融押出し、好ましくは融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で溶融押出し、急冷却固化して未延伸フィルムとし、次いで該未延伸フィルムを一軸方向(縦方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で1.6〜3.0倍、好ましくは1.9〜2.6倍延伸し、続いて縦方向と直角方向(横方向)に(Tg+0℃)〜(Tg+25)℃の温度で5.0〜8.0倍、好ましくは5.5〜6.0倍延伸し、更に190〜250℃の温度で1〜60秒間熱固定処理することで製造することができる。その際、フィルムの面配向度、縦配向度が高くなると、横ヤング率を上げるために横延伸倍率を過剰に高くする必要があり、製膜性の面からも薄物製膜は非常に難しくなる。そのため、縦方向の延伸を低倍延伸とすることによって縦配向、面配向を抑制し、これによって横延伸倍率を過剰に上げることなく、横延伸温度を低めにすることにより、高い横配向性のポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムを得ることができる。
【0022】
縦方向の延伸倍率を下げた場合、通常、縦方向の厚み斑が悪化するが、本発明者の知見によれば、これは横延伸温度を従来の製膜より、極端に低くすることにより、防止することができる。また、こうした高横倍率下での低横延伸温度での製膜は延伸応力が高くなり、製膜困難となり、また横方向に測定した表面粗さRa(TD)と縦方向に測定した表面粗さRa(MD)の方向差が増大するという問題が生じやすいが、この場合横延伸温度を少なくとも3段階以上、すなわち、1段目は(Tg+5℃)〜(Tg+15)℃、2段目は(Tg+10℃)〜(Tg+20)℃、3段目は(Tg+15℃)〜(Tg+25)℃にわけて、トータル横倍率5.0〜8.0倍にて製膜することが好ましく、これにより、高横配向の厚み斑、表面粗さとも良好な二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
【0023】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを支持体とし、この上に磁性層を形成することにより、高性能の磁気記録媒体が得られる。
【0024】
前記磁性層を構成する磁性剤としては、強磁性金属、例えばコバルト、鉄、ニッケルもしくはこれらの合金、またはこれらとクロム、タングステンとの合金等を用いることが好ましい。磁性層を形成する方法としては例えば磁性金属とバインダーを混合してコーティングする方法が最も好ましい方法である。磁性層の厚みは2.0〜3.5μm程度が一応の厚さの基準となる。
【0025】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは磁性薄膜を形成していない側の表面には磁気テープとしての走行性を維持するために滑剤を含む有機高分子の塗膜(厚み:0.5〜1.0μm)を塗設することが好ましい。
【0026】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルム、特にポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムを用いて磁気記録テープを作成すると、長時間記録再生が可能で、走行性や耐久性が極めて良好な磁気テープを得ることができ、デジタルVHS、データ8ミリ用テープ媒体として極めて有用である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例にもとづいて本発明をさらに説明する。なお、本発明における種々の物性及び特性は、以下のようにして測定されたものであり、かつ定義される。
【0028】
(1)ヤング率(Y)
フィルムを試料幅10mm、長さ150mmに切り、チャック間100mmにして、引張り速度10mm/分、チャート速度500mm/分でインストロンタイプの万能引張り試験装置にて引張る。得られる荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率(Y:Gpa)を算出する。
【0029】
(2)透過マイクロ波の強度
新王子製紙(株)社製の分子配向計(MOA−2001A)を用い、フィルムの面内全方向の3.98GHzの透過マイクロ波強度曲線を得る。これより横方向と縦方向の透過マイクロ波強度比TMS(TD)/TMS(MD)を求める。
【0030】
(3)フィルム厚み
フィルムを層間の空気を排除しながら10枚重ね、打点式電子マイクロメータで厚みを測定し、1枚当りのフィルム厚みを計算する。
【0031】
(4)フィルム厚み斑
縦方向に2m長さ×30mm幅のスリット試料、また横方向からロール幅(最大1m)の長さ×30mm幅のスリット試料を採取し、安立電気製の連続電子マイクロメータで厚み斑を測定し、縦方向については1m長、また幅方向はロール幅(最大1m)で、試料の最大厚みと最小厚みの差Rμmを求め、各々の厚み斑とする。
【0032】
(5)磁気テープの走行性
家庭用ビデオテープレコーダー(ヘリカルスキャン)にセットし、走行開始、停止を繰り返しながら100時間走行させ、走行状態を調べると共に出力測定を行う。この時の磁気テープの走行耐久性を下記のように3段階で判定する。
○:テープの端が折れたり、ワカメ状にならずまた、削れがなく白粉付着がない△:テープの端の折れやワカメが若干発生したり、小量の白粉付着がみられる
×:テープの端の折れやワカメの発生が著しく、またテープ削れが著しく、白粉が多量に発生する
【0033】
(6)磁気テープの電磁変換特性
A)出力特性
テープ再生時の出力信号(当り波形)を一画面分で観察し、下記のように3段階で評価する。
○:出力信号が強くフラットで良好(ヘッド当たり良)
△:出力信号が中央部で上又は下側に歪んであまり良くない
×:出力信号自体が弱く、しかも変形して不良(ヘッド当たり不良)
B)S/N
シバソク(株)製ノイズメーターを使用し、ビデオ用磁気テープのS/N比を測定する。また表1に示す比較例1のテープに対するS/N比の差を求める。なお使用したVTRはソニー(株)製EV―S700である。
【0034】
(7)表面粗さ
小坂研究所(株)製の触針式表面粗さ計(サーフコーダ30C)を用いて針の半径2μm、触針用30mgの条件下にチャート(フィルム表面粗さ曲線)をかかせる。フィルム表面粗さ曲線から、その中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸とし、縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲線をY=f(X)で表したとき、次式で与えられるRa(μm)をフィルム表面粗さとして定義する。
【0035】
【数1】
Figure 0004118491
【0036】
本発明では、測定長を1.25mmとし、カットオフ値を0.08mmとして、5回測定した平均値をRaとする。
【0037】
[実施例1]
平均粒径0.6μmの炭酸カルシウムを0.02重量%、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.3重量%を含有したポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのペレットを170℃で6時間乾燥した後、押出し機に供給して305℃で溶融した。この溶融ポリマーを公知の方法で濾過し、ダイからシート状に押出し、これをキャステイングドラム上で急冷固化して未延伸フィルムを作成した。続いて、この未延伸フィルムを120℃で予熱し、さらに低速、高速のロール間で15mm上方より900℃のIR(赤外線)ヒーターにて加熱して縦方向に2.1倍に延伸し、続いて、ステンターに供給し、1段目120℃、2段目130℃、3段目140℃の3段階の横延伸温度にて横方向に6.1倍に延伸した後、200℃で熱処理し、厚み8.0μmの二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムを得た。
【0038】
一方、下記に示す組成物をボールミルに入れ、16時間混練、分散した後、イソシアネート化合物(バイエル社製のデスモジュールL)5重量部を加え、1時間高速剪断分散して磁性塗料とした。
磁性塗料の組成:
針状Fe粉 100重量部
塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体 15重量部
(積水化学製:エスレック7A)
熱可塑性ポリウレタン樹脂 5重量部
酸化クロム 5重量部
カーボンブラック 5重量部
レシチン 2重量部
脂肪酸エステル 1重量部
トルエン 50重量部
メチルエチルケトン 50重量部
シクロヘキサノン 50重量部
【0039】
この磁性塗料を上述の二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムの片面に塗布厚1.5μmとなるように塗布し、ついで2500ガウスの直流磁場中で配向処理を行ない、100℃で加熱乾燥後、スーパーカレンダー処理(線圧200kg/cm、温度80℃)を行った。巻取ったロールを55℃のオーブン中に3日間放置した。
【0040】
さらに、下記組成のバックコート層塗料を0.5μmに塗布し乾燥させ、磁気テープを得た。
バックコート層塗料の組成:
カーボンブラック 100重量部
熱可塑性ポリウレタン樹脂 60重量部
イソシアネート化合物 18重量部
(日本ポリウレタン工業社製:コロネートL)
シリコーンオイル 0.5重量部
メチルエチルケトン 250重量部
トルエン 50重量部
【0041】
得られたフイルム及び磁気テープの特性を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムは磁気テープの走行性、電磁変換特性(出力特性、S/N)ともに良好であった。
【0042】
[実施例2、比較例1〜4]
延伸条件を表1に記載した条件に変更する以外は実施例1と同様に製膜し、また実施例1と同様に磁気テープを作成した。これらのテープ特性を表1に示す。実施例2は実施例1と同様、磁気テープの走行性、電磁変換特性(出力特性、S/N)ともに良好であった。一方、比較例1〜4は磁気テープの走行性、電磁変換特性(出力特性、S/N)のいずれかの特性が悪かった。
【0043】
[実施例3]
平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.1重量%を含有したA層用ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートと、平均粒径0.3μmの架橋シリコーン樹脂粒子0.15重量%、および平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子0.25重量%を含有したB層用ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのペレットを170℃で6時間乾燥した後、2台の押出機ホッパーに供給し、300℃で溶融し、マルチマニホールド型共押出ダイを用いてB層の片側にA層を比率1:3に積層させ、シート状に押出し、これをキャステイングドラム上で急冷固化して未延伸フィルムを作成した。続いて、この未延伸フィルムを120℃で予熱し、さらに低速、高速のロール間で15mm上方より900℃のIR(赤外線)ヒーターにて加熱して縦方向に2.6倍に延伸し、続いて、ステンターに供給し、1段目120℃、2段目130℃、3段目140℃の3段階の横延伸温度にて横方向に6.1倍に延伸した後、200℃で熱処理し、厚み8.0μmの二軸配向積層ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムを得た。
【0044】
得られた二軸配向積層フィルムをA層側に磁性塗料、またB層側にバックコート層塗料を塗布する以外は実施例1と同様に磁気テープを作成した。得られたのテープ特性を表1に示したが、実施例1と同様、磁気テープの走行性、電磁変換特性(出力特性、S/N)ともに良好であった。
【0045】
【表1】
Figure 0004118491
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、長時間記録再生が可能で、走行性、耐久性が極めて良好な磁気テープを製造するのに有用な二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフイルムを提供することができる。

Claims (5)

  1. ポリエステルがポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートで、
    (1)フィルムの縦方向のヤング率Y(MD)が3.9GPa以上であり、
    (2)フィルムの分子配向計による横方向と縦方向の透過マイクロ波強度比(TMS(TD)/TMS(MD))が0.5〜0.9であり、
    (3)フィルムの横方向に測定した表面粗さRa(TD)と縦方向に測定した表面粗さRa(MD)の比(Ra(TD)/ Ra(MD))が0.3以上で1.0未満であり、かつ
    (4)フィルムの縦方向および横方向の厚み斑が0.5μm以下である
    ことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. フィルムの少なくとも片方の表面粗さRa(MD)が1〜15nmである請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. フィルムの厚みが2〜15μmである請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. デジタル磁気記録媒体に供する請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. ヘリカル方式のデジタル磁気記録媒体に供する請求項記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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