JP4114524B2 - Ofdm復調装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交周波数分割多重方式(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)の変調信号を復調するOFDM復調装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル信号を伝送する方式として、直交周波数分割多重方式(以下、OFDM方式と呼ぶ。OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)と呼ばれる変調方式が用いられている。OFDM方式は、伝送帯域内に多数の直交する副搬送波(サブキャリア)を設け、各サブキャリアの振幅及び位相にPSK(Phase Shift Keying)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)によりデータを割り当てて、デジタル変調する方式である。
【0003】
OFDM方式は、多数のサブキャリアで伝送帯域を分割するため、サブキャリア1波あたりの帯域は狭くなり変調速度は遅くなるが、トータルの伝送速度は、従来の変調方式と変わらないという特徴を有している。また、OFDM方式は、多数のサブキャリアが並列に伝送されるのでシンボル速度が遅くなり、シンボルの時間長に対する相対的なマルチパスの時間長を短くすることができ、マルチパス妨害を受けにくくなるという特徴を有している。
【0004】
また、OFDM方式は、複数のサブキャリアに対してデータの割り当てが行われることから、変調時には逆フーリエ変換を行うIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)演算回路、復調時にはフーリエ変換を行うFFT(Fast Fourier Transform)演算回路を用いることにより、送受信回路を構成することができるという特徴を有している。
【0005】
以上のような特徴からOFDM方式は、マルチパス妨害の影響を強く受ける地上波デジタル放送に適用されることが多い。このようなOFDM方式を採用した地上波デジタル放送としては、例えば、DVB-T(Digital Video Broadcasting-Terrestrial)やISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting -Terrestrial)といった規格がある。
【0006】
OFDM方式の伝送シンボル(以下、OFDMシンボルと呼ぶ。)は、図11に示すように、送信時にIFFTが行われる信号期間である有効シンボルと、この有効シンボルの後半の一部分の波形がそのままコピーされたガードインターバルとから構成されている。ガードインターバルは、OFDMシンボルの前半部分に設けられている。OFDM方式では、このようなガードインターバルが設けられることにより、マルチパスによるシンボル間干渉を許容し、マルチパス耐性を向上させている。
【0007】
例えばISDB-TSB規格(日本で採用されている地上デジタル音声放送の放送規格)のモード3では、有効シンボル内に、512本のサブキャリアが含まれており、そのサブキャリア間隔は、125/126≒0.992kHzとなる。また、このISDB-TSB規格のモード3では、有効シンボル内の512本のサブキャリアのうち、433本のサブキャリアに伝送データが変調されている。また、ISDB-TSB規格のモード3では、ガードインターバルの時間長が、有効シンボルの時間長の1/4,1/8,1/16,1/32のいずれかとなる。
【0008】
ところで、OFDM信号を復調する場合、OFDMシンボルの境界を正しく検出し、その境界位置に同期させてFFT演算を行わなければならない。OFDMシンボルの境界位置を正しく検出して同期信号を生成することをシンボル同期処理という。シンボル同期処理を行う方法の一つに、ガードインターバルを利用する方法がある。ガードインターバルを利用してシンボル同期処理を行う方法は、ガードインターバルとそのコピー元との信号系列の相関性を利用し、受信したOFDM信号の自己相関値が最も高い部分がシンボル境界位置であると判断する方法である。
【0009】
一般に、OFDM復調装置では、ガードインターバルを用いたシンボル同期処理を行うため、ガードインターバル相関を利用してシンボル境界位置を算出して同期処理を行うシンボル同期回路が設けられている。
【0010】
以下、このシンボル同期回路100の回路構成例について、図12、図13及び図14を参照して説明をする。
【0011】
図12及び図13に、シンボル同期回路100のブロック構成図を示す。図14に、シンボル同期回路100内の各信号のタイミングチャートを示す。
【0012】
シンボル同期回路100は、図12に示すように、ガードインターバルの自己相関を示すガードインターバル相関信号を生成するガード相関検出回路101と、ガードインターバル相関信号のピーク位置を検出してそのピーク位置をシンボル境界位置として出力するシンボル境界検出回路102とを備えている。
【0013】
ガード相関検出回路101は、有効シンボル長遅延回路111と、複素乗算回路112と、ガードインターバル長積分回路113とを有している。
【0014】
ガード相関検出回路101には、図14(A)に示すような、デジタル直交復調がされたのちのデジタル直交復調信号(r(t))が入力される。このデジタル直交復調信号(r(t))は、実数成分信号(I(t))と虚数成分信号(Q(t))からなる複素信号である。なお、tは時間を示す変数である。
【0015】
有効シンボル長遅延回路111は、図14Bに示すように、入力されたデジタル直交復調信号を有効シンボル時間(Tu)分遅延させる。有効シンボル長遅延回路111により有効シンボル時間分遅延されたデジタル直交復調信号(r(t-Tu))は、複素乗算回路112に入力される。
【0016】
複素乗算回路112は、遅延されていないデジタル直交復調信号(r(t))と、有効シンボル期間(Tu)分遅延されたデジタル直交復調信号(r(t-Tu))との複素乗算演算を、1サンプル毎に乗算する。乗算結果はガードインターバル長積分回路113に入力される。
【0017】
ガードインターバル長積分回路113は、入力された信号に対してガードインターバル長分の移動和演算を行うことによって、ガードインターバル長の範囲の積分演算を行う。ガードインターバル長積分回路113から出力される信号が、デジタル直交復調信号と、有効シンボル(Nuサンプル)分の遅延がされたデジタル直交復調信号との相関を示したガードインターバル相関信号となる。
【0018】
ガードインターバル相関信号は、実数成分がCI(t)、虚数成分がCQ(t)で表される複素信号(CI(t)+jCQ(t))となる。ガードインターバル相関信号は、相関値が高い部分でレベルが高くなり、相関値が低い部分でレベルが低くなる信号である。従って、ガードインターバル相関信号は、理想的には、OFDMシンボルの境界位置をピークとした山形の波形が繰り返される信号となる。
【0019】
ガードインターバル相関信号は、ガードインターバル長積分回路113からシンボル境界検出回路102に供給される。
【0020】
シンボル境界検出回路102は、ガードインターバル相関信号がピークとなるタイミングを検出し、そのタイミングをシンボル境界位置として出力する回路である。
【0021】
シンボル境界検出回路102は、図13に示すように、二乗回路121と、シンボル長周期カウンタ122と、最大値検出回路123とを有している。
【0022】
ガード相関検出回路101から出力されたガードインターバル相関信号は、二乗回路121に供給される。
【0023】
二乗回路121は、ガードインターバル相関信号の実数成分(CI)及び虚数成分(CQ)をそれぞれ二乗して、それらを加算する。加算した結果、図14(C)に示すような、ガードインターバル相関信号の振幅成分を示した、二乗信号({CI2+CQ2}(t))が生成される。ガードインターバル相関信号の二乗信号は、最大値検出回路123に供給される。
【0024】
シンボル長周期カウンタ122は、動作クロックを、1つのOFDMシンボルのサンプリング数(Ns)までカウントするカウンタである。シンボル長周期カウンタ122のカウント値Nは、0からNs-1までが1ずつインクリメントされ、Ns-1を超えると0に戻るように巡回する。つまり、シンボル長周期カウンタ122は、図14(D)に示すように、そのカウント値Nが、OFDMシンボルのサンプル数(例えば、1088)で1周期となっている。シンボル長周期カウンタ122のカウント値Nは、最大値検出回路123に供給される。
【0025】
最大値検出回路123には、二乗回路121から出力された二乗信号が入力される。また、最大値検出回路123には、最大値検出区間を特定する最大値検出範囲が設定されている。最大値検出範囲は、カウント値Nを検出するための範囲を特定する値であり、ここでは、0〜Ns-1(例えば1087)が設定されている。
【0026】
最大値検出回路123は、最大値検出範囲の間(つまり、カウント値Nが0〜Ns-1の間)で、二乗信号の最もレベルの高いサンプル点を見つけ出す。最大値検出回路123は、図14(E)に示すように、見つけ出した最大値のサンプルタイミングでのシンボル長周期カウンタ122のカウント値Nを検出する。この検出したカウント値NがOFDMシンボルの境界位置を特定するシンボル境界位置となる。このシンボル境界位置は、カウント値Nの巡回周期毎に更新される。
【0027】
以上のようにシンボル境界検出回路102では、ガードインターバル相関信号に対して最大値の検索を行い、その最大値の発生タイミングを検出し、そのタイミングをシンボル境界位置として出力している。
【0028】
【非特許文献1】
「地上デジタル音声放送用受信装置 標準規格(望ましい仕様) ARIB STD-B30 1.1版」,社団法人電波産業界,平成13年5月31日 策定,平成14年3月28日 1.1改定,p.10−14
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シンボル同期回路100に入力されるデジタル直交復調信号(r(t))は、伝送路の状態による影響やノイズ等による影響を受けるため、レベルが大きく変動する。
【0030】
そのため、例えば、図14(F)に示すように、シンボル長周期カウンタ122の周期が更新されるタイミング(つまり、カウント値が0になるタイミング)と、二乗信号の最大値のタイミングとが時間的に近い場合、本来1つ前のOFDMシンボルのガードインターバルにより生じる相関性が高い部分(つまり、山状になっている部分)が、次のOFDMシンボル期間のピーク検出処理に含まれて判断されてしまう場合がある。このような場合、ガードインターバル相関信号の最大値でのカウント値Nは、各種のノイズや誤差によりOFDMシンボル毎に一定の値になるとは限らずOFDMシンボル毎に大きく変動してしまい、前のOFDMシンボルのガードインターバルによって生じていた相関性の高い部分が、次のOFDMシンボルの境界位置であると判断されてしまう可能性がある。
【0031】
また、クロック周波数誤差(受信したOFDM信号の伝送クロックと、動作クロックとの間の誤差)がある場合、カウント値Nは徐々に移動していってしまい、この結果、本来1つ前のOFDMシンボルのガードインターバルにより生じる相関性が高い部分が、次のOFDMシンボル期間のピーク検出処理に含まれて判断されてしまうということが生じる可能性がある。
【0032】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ガードインターバルの相関を利用したシンボル同期処理を行う際に、シンボル境界位置の誤検出を無くして、検出精度を向上させたOFDM復調装置及び方法を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るOFDM復調装置は、情報系列が時分割されて複数のサブキャリアに変調されることにより生成された有効シンボルと、この有効シンボルの一部の信号波形が複写されることにより生成されたガードインターバルとが含まれた伝送シンボルを伝送単位とする直交周波数分割多重(OFDM)信号を復調するOFDM復調装置であって、基準クロックに同期してインクリメントされるカウント値であって上記伝送シンボルの時間間隔に対応した周期で巡回的に繰り返されるカウント値を発生するカウント手段と、上記カウント値の巡回周期と同一の周期で繰り返される検出周期を設定し、上記カウント値の巡回周期に対する当該検出周期の位相を制御する検出周期制御手段と、上記検出周期内における上記OFDM信号の上記ガードインターバル部分の自己相関値の最大値を検出し、最大値が発生されたカウント値を上記検出周期毎にシンボル境界位置として出力するシンボル境界検出手段とを備え、上記検出周期制御手段は、上記検出周期内での上記最大値の発生位置に応じて、上記カウント値の巡回周期に対する上記検出周期の位相を制御することを特徴とする。
【0034】
本発明に係るOFDM復調装置は、情報系列が時分割されて複数のサブキャリアに変調されることにより生成された有効シンボルと、この有効シンボルの一部の信号波形が複写されることにより生成されたガードインターバルとが含まれた伝送シンボルを伝送単位とする直交周波数分割多重(OFDM)信号を復調するOFDM復調装置であって、基準クロックに同期してインクリメントされるカウント値であって上記伝送シンボルの時間間隔に対応した周期で巡回的に繰り返されるカウント値を発生するカウント手段と、上記カウント値の巡回周期と同一の周期で繰り返される検出周期が設定されており、当該検出周期内での上記OFDM信号の上記ガードインターバル部分の自己相関値の最大値を検出し、最大値が発生されたカウント値を上記検出周期毎に出力する複数のシンボル境界検出手段と、上記複数のシンボル境界検出手段のうちいずれか一つのシンボル境界検出手段を選択し、選択したシンボル境界検出手段から出力されたカウント値をシンボル境界位置として出力する選択出力手段とを備え、上記複数のシンボル境界検出手段には、検出周期が互いに異なる位相に設定されており、上記選択出力手段は、選択されているシンボル境界検出手段に設定されている検出周期内での上記最大値の発生位置に応じて、いずれか一つのシンボル境界検出手段を選択するを特徴とする。
【0035】
本発明に係るOFDM復調方法は、情報系列が時分割されて複数のサブキャリアに変調されることにより生成された有効シンボルと、この有効シンボルの一部の信号波形が複写されることにより生成されたガードインターバルとが含まれた伝送シンボルを伝送単位とする直交周波数分割多重(OFDM)信号を復調するOFDM復調方法であって、基準クロックに同期してインクリメントされるカウント値であって上記伝送シンボルの時間間隔に対応した周期で巡回的に繰り返されるカウント値を発生し、上記カウント値の巡回周期と同一の周期で繰り返される検出周期を設定し、上記検出周期内における上記OFDM信号の上記ガードインターバル部分の自己相関値の最大値を検出し、最大値が発生されたカウント値を上記検出周期毎にシンボル境界位置として出力し、上記検出周期内での上記最大値の発生位置に応じて、上記カウント値の巡回周期に対する上記検出周期の位相を制御することを特徴とする。
【0036】
本発明に係るOFDM復調方法は、情報系列が時分割されて複数のサブキャリアに変調されることにより生成された有効シンボルと、この有効シンボルの一部の信号波形が複写されることにより生成されたガードインターバルとが含まれた伝送シンボルを伝送単位とする直交周波数分割多重(OFDM)信号を復調するOFDM復調方法であって、基準クロックに同期してインクリメントされるカウント値であって上記伝送シンボルの時間間隔に対応した周期で巡回的に繰り返されるカウント値を発生し、上記カウント値の巡回周期と同一の周期で繰り返される検出周期を設定し、上記検出周期内における上記OFDM信号の上記ガードインターバル部分の自己相関値の最大値を検出し、最大値が発生されたカウント値を上記検出周期毎にシンボル境界位置として出力し、上記検出周期内での上記最大値の発生位置に応じて、上記カウント値の巡回周期に対する上記検出周期の位相を制御することを特徴とする。
【0037】
以上の本発明に係るOFDM復調装置及び方法では、OFDM信号のガードインターバルの自己相関に基づきシンボル境界位置を算出し、そのシンボル境界位置の算出の際に、伝送シンボルの時間間隔周期に設定された検出範囲を設定し、その検出範囲内での自己相関値の最大値のサンプルタイミングを検出し、検出したタイミングをシンボル境界位置として出力する。さらに、本発明では、上記検出範囲が最適な位置となるように、位相制御を行う。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として、本発明を適用したOFDM受信装置について説明をする。
【0039】
第1の実施の形態
本発明の第1の実施の形態のOFDM受信装置について説明をする。
【0040】
OFDM受信装置の全体構成
図1に、本発明の第1の実施の形態のOFDM受信装置のブロック構成図を示す。
【0041】
本発明の第1の実施の形態のOFDM受信装置1は、図1に示すように、アンテナ2と、チューナ3と、バンドパスフィルタ(BPF)4と、A/D変換回路5と、クロック発生回路6と、DCキャンセル回路7と、デジタル直交復調回路8と、キャリア周波数誤差補正回路9と、FFT演算回路10と、位相補正回路11と、ガード相関/シンボル境界検出回路12と、タイミング同期回路13と、狭帯域キャリア誤差算出回路14と、広帯域キャリア誤差算出回路15と、加算回路16と、数値制御発振回路(NCO)17と、フレーム同期回路18と、等化回路19と、デマッピング回路20と、伝送路復号回路21と、伝送制御情報復号回路22とを備えている。
【0042】
放送局から放送されたデジタル放送の放送波は、OFDM受信装置1のアンテナ2により受信され、RF信号としてチューナ3に供給される。
【0043】
アンテナ2により受信されたRF信号は、乗算器3a及び局部発振器3bからなるチューナ3によりIF信号に周波数変換され、BPF4に供給される。チューナ3から出力されたIF信号は、BPF4によりフィルタリングされた後、A/D変換回路5に供給される。
【0044】
A/D変換回路5は、クロック発生回路6から供給されるクロックによりIF信号をサンプリングして、このIF信号をデジタル化する。A/D変換回路5よりデジタル化されたIF信号は、DCキャンセル回路7に供給され、このDCキャンセル回路7によってDC成分が除去された後、デジタル直交復調回路8に供給される。デジタル直交復調回路8は、所定のキャリア周波数の2相のキャリア信号を用いて、デジタル化されたIF信号を直交復調し、ベースバンドのOFDM信号を出力する。デジタル直交復調回路8から出力されるOFDM時間領域信号は、キャリア周波数誤差補正回路9に供給される。
【0045】
ここで、デジタル直交復調回路8によってデジタル直交復調を行う際、キャリア信号として−Sin成分及びCos成分の2相信号が必要となる。そのため、本装置1では、A/D変換回路5に与えるサンプリングクロックの周波数を、IF信号の中心周波数fIFの4倍の周波数とし、デジタル直交復調回路8に供給する2相のキャリア信号を生成可能としている。
【0046】
また、デジタル直交復調後に、4fIFのクロックのデータ系列を1/4にダウンサンプリングをして、デジタル直交復調後の有効シンボルのサンプリング点数を、サブキャリアの本数(Nu)としている。つまり、デジタル直交復調後のデータ系列のクロックを、サブキャリア間隔分の1の周波数としている。また、デジタル直交復調後のダウンサンプルの割合を1/2として、通常の2倍のサンプリング点数でFFT演算を行うようにして、FFT演算後にさらに1/2のダウンサンプルをしてもよい。このように通常の2倍のサンプリング点数に対してFFT演算を行うことによって、FFT演算により抽出できる信号の周波数帯域を2倍し、デジタル直交復調時のローパスフィルタ回路の回路規模を小さくすることができる。なお、後段の各回路がオーバーサンプリングされたデータ系列に対してデータ処理を行う場合には、デジタル直交復調後の有効シンボルのサンプリング点数(Nu)を、サブキャリア本数の2n倍(ここでのnは自然数)としてもよい。
【0047】
クロック発生回路6は、A/D変換回路5に対して以上のような周波数のクロックを供給するとともに、デジタル直交復調後のデータ系列の動作クロック(A/D変換回路5に与えるクロックの周波数に対して1/4分周されたクロック、例えば、サブキャリア間隔分の1の周波数のクロック)を、本装置1内の各回路に対して供給する。
【0048】
なお、クロック発生回路6から発生される動作クロックは、受信したOFDM信号の伝送クロックに対して非同期の自走クロックである。つまり、クロック発生回路6から発生される動作クロックは、その周波数及び位相がPLL等によって伝送クロックと同期しておらず、自走状態で動作している。このように動作クロックを自走状態とすることが可能なのは、タイミング同期回路13によって、OFDM信号の伝送クロックと動作クロックとの周波数誤差を検出し、その周波数誤差成分に基づきフィードフォワード処理により後段でその誤差を除去しているためである。本OFDM受信装置1では、このようにクロック発生回路6を非同期の自走クロックとしているが、本発明は、フィードバック制御により動作クロック周波数を可変制御する装置にも適用することは可能である。
【0049】
また、デジタル直交復調回路8から出力されるベースバンドのOFDM信号は、FFT演算される前のいわゆる時間領域の信号である。このことから、以下、FFT演算前のベースバンド信号を、OFDM時間領域信号と呼ぶ。OFDM時間領域信号は、直交復調された結果、実軸成分(Iチャネル信号)と、虚軸成分(Qチャネル信号)とから構成される複素信号となる。
【0050】
キャリア周波数誤差補正回路9は、NCO17から出力されたキャリア周波数誤差補正信号と、デジタル直交復調後のOFDM時間領域信号とを複素乗算することによって、OFDM時間領域信号のキャリア周波数誤差を補正する。キャリア周波数誤差補正回路9によりキャリア周波数誤差が補正されたOFDM時間領域信号は、FFT演算回路10及びガード相関/シンボル境界検出回路12に供給される。
【0051】
FFT演算回路10は、1つのOFDMシンボルから有効シンボル長の信号を抜き出し、すなわち、1つのOFDMシンボルの全サンプル(Ns)からガードインターバル分のサンプル数(Ng)のサンプルを除いた信号を抜き出して、有効シンボルのサンプル数(Nu)のデータに対してFFT演算を行う。FFT演算回路10には、抜き出し範囲を特定するスタートフラグ(FFT演算の演算開始タイミング)がタイミング同期回路13から与えられ、このスタートフラグのタイミングでFFT演算を行う。FFT演算回路10は、1つのOFDMシンボルに対して、有効シンボル分のサンプル数のデータを抜き出してFFT演算処理を行うことによって、OFDMシンボル内の各サブキャリアに変調されている信号成分を抽出する。
【0052】
なお、FFT演算回路10から出力される信号は、FFTされた後のいわゆる周波数領域の信号である。このことから、以下、FFT演算後の信号をOFDM周波数領域信号と呼ぶ。また、FFT演算回路10から出力されたOFDM周波数領域信号は、OFDM時間領域信号と同様に、実軸成分(Iチャネル信号)と虚軸成分(Qチャネル信号)とから構成される複素信号である。OFDM周波数領域信号は、位相補正回路11に供給される。
【0053】
位相補正回路11は、OFDM周波数領域信号に対して、OFDMシンボルの実際の境界位置と、FFT演算の開始タイミングとのずれによって生じてしまう位相回転成分の補正を行う。位相補正回路11は、サンプリング周期以下の精度で生じるずれを位相補正している。位相補正回路11は、具体的には、FFT演算回路10から出力されるOFDM周波数領域信号に対して、タイミング同期回路13から供給される位相補正信号(複素信号)を複素乗算して、位相回転補正を行う。位相回転補正がされたOFDM周波数領域信号は、広帯域キャリア誤差算出回路15、フレーム同期回路18、等化回路19及び伝送制御情報復号回路22に供給される。
【0054】
ガード相関/シンボル境界検出回路12には、OFDM時間領域信号が入力される。ガード相関/シンボル境界検出回路12は、入力されたOFDM時間領域信号と、有効シンボル分遅延したOFDM時間領域信号との相関値を求める。ここで、相関を求める時間長は、ガードインターバルの時間長に設定してある。このため、この相関値を示す信号(以下、ガードインターバル相関信号という。)は、OFDMシンボルの境界位置でちょうどピークとなる信号となる。ガード相関/シンボル境界検出回路12は、ガードインターバル相関信号のピーク位置を検出し、そのピーク位置のタイミングをシンボル境界タイミング(Np)として出力する。
【0055】
ガード相関/シンボル境界検出回路12から出力されたシンボル境界タイミングNpは、タイミング同期回路13に供給され、ピークタイミングでの相関値の位相は、狭帯域キャリア周波数誤差算出回路14に供給される。
【0056】
タイミング同期回路13は、ガード相関/シンボル境界検出回路12から出力されたシンボル境界タイミングNpに対して、例えばフィルタリング処理を行い、その結果に基づきFFT演算を行うための演算開始タイミングを決定する。演算開始タイミングは、スタートフラグとしてFFT演算回路10に供給される。FFT演算回路10では、スタートフラグに基づき、入力されてくるOFDM時間領域信号からFFT演算範囲の信号を抜き出して、FFT演算を行う。また、タイミング同期回路13は、フィルタリングされたOFDMシンボルの境界位置と、FFT演算を行う演算開始タイミングとの時間ずれに伴い生じてしまう位相回転量を算出し、算出した位相回転量に基づき位相補正信号(複素信号)を生成し、位相補正回路11に供給する。
【0057】
狭帯域キャリア誤差算出回路14は、OFDMシンボルの境界位置での相関値の位相に基づき、デジタル直交復調時の中心周波数のずれ量のうちの狭帯域の成分を示す狭帯域キャリア周波数誤差成分を算出する。具体的に、狭帯域キャリア周波数誤差成分は、サブキャリアの周波数間隔の±1/2以下の精度の中心周波数のずれ量である。狭帯域キャリア誤差算出回路14により求められた狭帯域キャリア周波数誤差成分は、加算回路16に供給される。
【0058】
広帯域キャリア誤差算出回路15は、位相補正回路11から出力されたOFDM周波数領域信号に基づき、デジタル直交復調時の中心周波数のずれ量のうち広帯域の成分を示す広帯域キャリア周波数誤差成分を算出する。広帯域キャリア周波数誤差成分は、サブキャリアの周波数の間隔精度の中心周波数のずれ量である。
【0059】
広帯域キャリア誤差算出回路15により求められた広帯域キャリア周波数誤差成分は、加算回路16に供給される。
【0060】
加算回路16は、狭帯域キャリア誤差検出回路14により算出された狭帯域キャリア誤差成分と、広帯域キャリア誤差算出回路15により算出された広帯域キャリア誤差成分とを加算して、キャリア補正回路9から出力されたベースバンドOFDM信号のトータルの中心周波数のずれ量を算出する。加算回路16は、算出したトータルの中心周波数のずれ量を、周波数誤差値として出力する。加算回路16から出力された周波数誤差値は、NCO17に供給される。
【0061】
NCO17は、いわゆる数値制御発振器であり、加算回路16から出力された周波数誤差値に応じて増減するキャリア周波数誤差補正信号を発生する。NCO17は、例えば、供給された周波数誤差値がプラスの値であればキャリア周波数誤差補正信号の発振周波数を減少させ、供給されたキャリア周波数誤差値がマイナスの値であれば誤差補正信号の発振周波数を増加させるような制御を行う。NCO17は、このように制御することによって、周波数誤差値が0となるところで発振周波数が安定するようなキャリア周波数誤差補正信号を発生する。
【0062】
フレーム同期回路18は、OFDM伝送フレームの所定の位置に挿入されている同期ワードを検出し、OFDM伝送フレームの開始タイミングを検出する。フレーム同期回路18は、OFDM伝送フレームの開始タイミングに基づき各OFDMシンボルのシンボル番号を特定し、等化回路19等に供給する。
【0063】
等化回路19は、OFDM周波数領域信号に対して、いわゆる等化処理を行う。等化回路19は、フレーム同期回路18から供給されたシンボル番号に基づき、OFDM周波数領域信号内に挿入されているSP(Scattered Pilots)信号と呼ばれるパイロット信号を検出する。等化回路19により等化処理がされたOFDM周波数領域信号は、デマッピング回路20に供給される。
【0064】
デマッピング回路20は、等化処理がされたOFDM周波数領域信号(複素信号)に対して、その変調方式(例えば、QPSK、16QAM又は64QAM)に対応したデータの再割付処理(デマッピング処理)を行い、伝送データを復元する。デマッピング回路20から出力された伝送データは、伝送路復号回路21に供給される。
【0065】
伝送路復号回路21は、入力された伝送データに対して、その放送方式に対応した伝送路復号処理を行う。例えば、伝送路復号回路21では、時間方向のインタリーブ処理に対応した時間デインタリーブ処理、周波数方向のインタリーブに対応した周波数デインタリーブ処理、多値シンボルの誤り分散のためのビットインタリーブに対応したデインタリーブ処理、伝送ビットの削減のためのパンクチャリング処理に対応したデパンクチャリング処理、畳み込み符号化されたビット列の復号のためのビタビ復号処理、バイト単位でのデインタリーブ処理、エネルギ拡散処理に対応したエネルギ逆拡散処理、RS符号化処理に対応したエラー訂正処理等を行う。
【0066】
このように伝送路復号がされた伝送データは、例えば、MPEG-2システムズに規定されたトランスポートストリームとして出力される。
【0067】
伝送制御情報復号回路22は、OFDM伝送フレームの所定の位置に変調されているTMCCやTPSといった伝送制御情報を復号する。
【0068】
ガード相関 / シンボル境界検出回路
つぎに、ガード相関/シンボル境界検出回路12の詳細な構成について説明をする。
【0069】
図2に、ガード相関/シンボル境界検出回路12のブロック構成図を示す。図3に、ガード相関/シンボル境界検出回路12内のシンボル境界検出回路のみのブロック構成図を示す。また、図4に、ガード相関/シンボル境界検出回路12内の各信号のタイミングチャートを示す。
【0070】
ガード相関/シンボル境界検出回路12は、図2に示すように、ガードインターバルの自己相関を示すガードインターバル相関信号を生成するガード相関検出回路31と、ガードインターバル相関信号のピーク位置を検出してそのピーク位置をシンボル境界位置として出力するシンボル境界検出回路32とを備えている。
【0071】
ガード相関検出回路31は、有効シンボル長遅延回路33と、複素乗算回路34と、ガードインターバル長積分回路35とを有している。
【0072】
ガード相関検出回路31には、図4(A)に示すような、キャリア周波数誤差補正回路9から出力されたOFDM時間領域信号(r(t))、すなわち、デジタル直交復調がされたOFDM信号が入力される。OFDM時間領域信号(r(t))は、有効シンボル長遅延回路33及び複素乗算回路34に供給される。
【0073】
有効シンボル長遅延回路33は、例えばNu個のレジスタ群から構成されるシフトレジスタであり、図4(B)に示すように、入力されたOFDM時間領域信号を有効シンボル時間(Tu)分遅延させる。有効シンボル長遅延回路33により有効シンボル時間分遅延されたOFDM時間領域信号(r(t-Tu))は、複素乗算回路34に入力される。
【0074】
複素乗算回路34は、有効シンボル期間分遅延されたOFDM時間領域信号の複素共役を算出し、遅延されていないOFDM時間領域信号(r(t))と、有効シンボル期間分遅延されたOFDM時間領域信号(r(t-Tu))の複素共役信号とを、1サンプル毎に乗算する。乗算結果はガードインターバル長積分回路35に入力される。
【0075】
ガードインターバル長積分回路35は、例えば、ガードインターバル分のサンプル数(Ng)個のレジスタ群から構成されるシフトレジスタと、各レジスタに格納されている値の総和を演算する加算器とから構成され、1サンプル毎に順次入力されてきた乗算結果に対して、Ng個のサンプル毎の移動和演算を行う。ガードインターバル長積分回路35から出力される値が、OFDM時間領域信号(r(t))と、有効シンボル分のサンプルの遅延がされたOFDM時間領域信号(r(t-Tu))との相関を示したガードインターバル相関信号となる。
【0076】
このガードインターバル相関信号は、相関値が高い部分でレベルが高くなり、相関値が低い部分でレベルが低くなる信号である。従って、ガードインターバル相関信号は、理想的には、OFDMシンボルの境界位置をピークとした山形の波形が繰り返される信号となる。ガードインターバル相関信号は、ガードインターバル長積分回路35からシンボル境界検出回路32に供給される。
【0077】
シンボル境界検出回路32は、図3に示すように、二乗回路36と、シンボル長周期カウンタ37と、最大値検出回路38と、検出区間制御回路39とを有している。
【0078】
ガードインターバル長積分回路35から出力されたガードインターバル相関信号は、二乗回路36に供給される。
【0079】
二乗回路36は、ガードインターバル相関信号の実数成分(CI)及び虚数成分(CQ)をそれぞれ二乗して、それらを加算する。加算した結果、図4(C)に示すような、ガードインターバル相関信号の振幅成分を示した、二乗信号({CI2+CQ2}(t))が生成される。ガードインターバル相関信号の二乗信号は、最大値検出回路38に供給される。なお、この二乗回路36は、ガードインターバル相関信号の実数部と虚数部とをそれぞれ2乗して、それらを加算し、加算した結果の平方根を取って、ガードインターバル相関信号の振幅成分を求めてもよい。
【0080】
シンボル長周期カウンタ37は、クロック発生回路6から発生された動作クロックをカウントするカウンタである。シンボル長周期カウンタ37のカウント値Nは、図4(D)に示すように、動作クロックの1クロック毎に0からNs-1までが1ずつインクリメントされ、Ns-1を超えると0に戻る。つまり、シンボル長周期カウンタ37は、OFDMシンボルのサンプル数(Ns)で、1周期となっている巡回カウンタである。例えば、ここでは、シンボル長周期カウンタ37の1周期のサンプル数(Ns)が1088に設定され、シンボル長周期カウンタ37のカウント値Nが、0〜1087を巡回的に繰り返す値となっている。シンボル長周期カウンタ37のカウント値Nは、最大値検出回路38に供給される。
【0081】
最大値検出回路38は、図4(E)に示すように、ガードインターバル相関信号の二乗信号がピークとなるタイミングを検出し、そのタイミングにおけるカウント値Nを検出する。具体的に、最大値検出回路38は、一定の周期毎に繰り返される検出期間Tが設定され、その検出区間T毎に二乗信号の最大値をサーチし、その最大値が得られたタイミングでのカウント値Nを出力する。
【0082】
ここで、検出区間Tは、検出区間制御回路39により設定される区間であり、カウント値Nの巡回周期(0〜Ns-1)と同一の時間幅の区間となっている。具体的な設定方法としては、シンボル長周期カウンタ37のカウント値Nを用いて、検出区間Tが指定される。つまり、検出区間Tは、“カウント値Nが0〜1087の区間”又は“カウント値Nが544〜543の区間”といったように設定される。
【0083】
最大値検出回路38は、検出区間T毎に得られる最大値のカウント値Nを、シンボル境界タイミングNpとして外部に出力する。このように算出されたシンボル境界タイミングNpは、OFDMシンボルの境界位置を示すこととなる。
【0084】
すなわち、シンボル長周期カウンタ37は、動作クロックをカウントしているので、そのカウント値NはOFDM時間領域信号のサンプリングタイミングと同期している。さらに、シンボル長周期カウンタ37は、OFDMシンボルのサンプル数(Ns)で1周期となっている。このため、ノイズやクロック周波数誤差がなければ、実際のOFDMシンボルの境界位置は同じカウント値Nで発生することとなる。従って、シンボル長周期カウンタ37の巡回周期に対して、以上のような検出区間Tを設定し、その設定した検出区間T内におけるガードインターバル相関信号の最大値を検出すれば、そのタイミングがOFDMシンボルの境界位置となる。
【0085】
ところで、ノイズがない場合には、OFDMシンボル境界位置の実際の位置に対して、どのように検出区間Tを設定しても、正確にシンボル境界タイミングNpを出力することができるが、ノイズがある場合には、ガードインターバル相関信号がピークとなるタイミング(実際のOFDMシンボルの境界タイミング)と、検出区間Tとが、約半周期ずれるように調整されていることが望ましい。つまり、出力するシンボル境界タイミングNpが、検出区間Tの中央値近傍の値であることが望ましい。
【0086】
以上の理由について説明する。
【0087】
最大値検出回路38の検出区間Tは、シンボル長周期カウンタ37の1周期の期間と同一である。最大値検出回路38は、その検出区間T内でガードインターバル相関信号の二乗値が最大となったタイミングのカウント値を、シンボル境界タイミングNpとして出力する。ここで、もし、検出区間Tの更新タイミング(つまり、検出区間Tの開始位置或いは終了位置)と、ガードインターバル相関信号の二乗値が最大となるときのタイミングとが時間的に近い場合、本来1つ前のOFDMシンボルのガードインターバルにより生じる相関性が高い部分(つまり、山状になっている部分)が、次のOFDMシンボル期間のピーク検出処理に含まれて判断されてしまうこととなる。ガードインターバル相関信号のピーク値は各種のノイズや誤差により必ず一定の値になるとは限らずシンボル毎に変動する可能性があるので、このような場合、前のOFDMシンボルのガードインターバルによって生じていた相関性の高い部分が、次のOFDMシンボルの境界位置であると判断されてしまう可能性がある。
【0088】
そのため、予め、シンボル境界タイミングNpを検出区間Tの中央位置の値となるように調整しておくことによって、1つ前のOFDMシンボルのガードインターバルにより生じている相関性が高い部分(山状の部分)を、次のOFDMシンボルに対する判断に含めないようにすることができ、安定したピーク位置検出を行うことができる。
【0089】
以上が、シンボル境界タイミングNpが、検出区間Tの中央値近傍の値であることが望ましいという理由である。
【0090】
ところが、本受信装置では、動作クロックと受信信号との同期を取ったシステムではないため、クロック周波数誤差(受信したOFDM信号の伝送クロックと、動作クロックとの間の誤差)がある。そのため、シンボル境界タイミングNpが検出区間Tの中央値近傍にあったとしても、そのシンボル境界タイミングNpが徐々に移動してしまう。
【0091】
そこで、シンボル境界検出回路32では、このような場合でも検出区間Tを適宜調整できるように検出区間制御回路39を設けている。
【0092】
以下、検出区間制御回路39の説明を行う。
【0093】
検出区間制御回路39は、出力されたシンボル境界タイミングNpの値と、現在設定している検出区間Tとの位置関係を判断し、その判断結果に基づき、カウント値Nの巡回周期に対する検出区間Tの設定を変化させる。
【0094】
具体的には、検出区間制御回路39は、シンボル境界タイミングNpが、現在設定されている検出区間Tの中央値からどれだけ距離があるかを判断する。
【0095】
例えば、現在設定されている検出区間Tが“カウント値Nが0〜1087の区間”であるとするならばその中央値は“544”となり、また、現在設定されている検出区間Tが“カウント値Nが544〜543の区間”であるとするならばその中央値は“0”となり、その中央値とシンボル境界タイミングNpとの差を求める。
【0096】
続いて、検出区間制御回路39は、シンボル境界タイミングNpと中央値との距離が所定の範囲以上であるか否かを判断する。つまり、シンボル境界タイミングNpが検出区間Tの端部近傍に位置しているか否かを判断する。
【0097】
判断した結果、シンボル境界タイミングNpと中央値との距離が所定の範囲以下であれば、検出区間Tの設定はそのままにする。
【0098】
判断した結果、シンボル境界タイミングNpと中央値との距離が所定の範囲以上である場合(シンボル境界タイミングNpが検出区間Tの端部部分に位置している場合)には、検出区間Tの設定を変更する。具体的には、図4(F)に示すように、そのシンボル境界タイミングNpがより中央値に近くなるように、検出区間Tの設定を変更する。つまり、シンボル境界タイミングNpが検出区間Tの中央部近傍で検出されるように検出区間Tの設定を変更する。
【0099】
検出区間制御回路39は、以上のように制御を行うことによって、シンボル境界タイミングNpを、検出区間Tの中央値近傍の値とすることができる。
【0100】
以上のようにOFDM受信装置1では、OFDM信号のガードインターバルの自己相関信号(ガードインターバル相関信号)に基づきOFDMシンボルのシンボル境界タイミングNpを算出するシンボル境界検出回路32が設けられている。シンボル境界検出回路32では、OFDMシンボルのサンプル数と同一に設定された検出範囲Tを設定し、その検出範囲T内でのガードインターバル相関信号の最大値の検出タイミングを検出して、そのタイミングをシンボル境界位置Npとして出力する。さらに、シンボル境界検出回路32では、検出範囲Tの中央位置近傍に、シンボル境界タイミングNpが位置するように、適宜検出範囲Tの位相を制御している。
【0101】
このため、OFDM受信装置1では、シンボル境界位置の誤検出を無くして、例えばFFT演算を行うためのシンボルの切り出しタイミング等を高精度に行うことができ、このため、復調精度を向上させることができる。
【0102】
なお、検出区間制御回路39では、検出区間Tの設定変更を毎回行わずに、例えば、シンボル境界タイミングNpと中央値との距離が所定の範囲以上である場合が連続した複数の検出区間で発生した場合や、又は、シンボル境界タイミングNpと中央値との距離が所定の範囲以上であった回数を累積していきその累積数が所定回数以上となった場合等に、検出区間Tの変更を行うようにしてもよい。なお、このような場合であっても、受信装置1のリセット動作が行われた際(復調開始時)には、直ちに検出範囲Tの中央位置近傍にシンボル境界タイミングNpが位置するように検出範囲Tの位相を制御するのが望ましい。
【0103】
また、本実施の形態では、動作クロックが受信信号に対して非同期である場合を例にとって説明をしたが、本発明を動作クロックと受信信号とがPLL回路等により同期が取られていても良い。このような場合には、受信装置1のリセット動作が行われた際(復調開始時)に、1回だけ、検出範囲Tの中央位置近傍にシンボル境界タイミングNpが位置するように検出範囲Tの位相を制御すればよい。
【0104】
また、シンボル境界検出回路32に対して、図5に示すように、出力ラッチ回路40を設けても良い。この出力ラッチ回路40を設けた場合のガード相関/シンボル境界検出回路12内の各信号のタイミングチャートを図6に示す。なお、図6の(A)〜(F)は、出力ラッチ回路40を設けていない場合のタイミングと同一なので、その説明は省略する。
【0105】
出力ラッチ回路40は、図6(G)に示すように、シンボル長周期カウンタ37のカウント値Nが0となるタイミングで、最大値検出回路38から出力されたカウント値を取り込んで内部レジスタに格納し、そのカウント値を外部に対して出力可能な状態にセットする。レジスタに格納された当該カウント値は、後段に出力される。
【0106】
このように出力ラッチ回路40を設けることによって、検出区間Tの変更があったとしても、外部には一定の間隔でシンボル境界タイミングNpを発生することができる。そのため、装置全体のタイミング制御を簡便にすることができる。
【0107】
第2の実施の形態
つぎに、本発明の第2の実施の形態のOFDM受信装置について説明をする。
【0108】
本発明の第2の実施の形態のOFDM受信装置は、第1の実施の形態のOFDM受信装置1のシンボル境界検出回路32を変形したものであり、それ以外は第1の実施の形態と同一である。従って、本発明の第2の実施の形態のOFDM受信装置については、シンボル境界算出回路についてのみ説明をし、さらに、第1の実施の形態と同一の構成要素については図面中に同一の符号を付けてその詳細な説明を省略する。
【0109】
図7に、第2の実施の形態のOFDM受信装置内のシンボル境界検出回路50のブロック構成図を示す。また、図8に、このシンボル境界検出回路50を有するガード相関/シンボル境界検出回路12内の各信号のタイミングチャートを示す。なお、図8(A)〜(D)は、第1の実施の形態の場合と同様のタイミングと同一なので、その説明は省略する。
【0110】
シンボル境界検出回路50は、図7に示すように、二乗回路36と、シンボル長周期カウンタ37と、第1〜第nの最大値検出回路51-1〜51-nと、セレクタ52と、検出区間選択回路53とを有している。
【0111】
シンボル長周期カウンタ37のカウント値Nは、第1〜第nの最大値検出回路51-1〜51-nのそれぞれに供給される。
【0112】
第1〜第nの最大値検出回路51-1〜51-nは、図8(D)、図8(E)に示すように、それぞれがガードインターバル相関信号の二乗信号がピークとなるタイミングを検出し、そのタイミングにおけるカウント値Nを検出する。具体的には、第1〜第nの最大値検出回路51-1〜51-nは、一定の周期毎に繰り返される検出期間Tが設定され、その検出区間T毎に二乗信号の最大値をサーチし、その最大値が得られたタイミングでのカウント値Nを出力する。なお、図8では、n=2の場合の例を示している。
【0113】
ここで、検出区間Tは、プリセットされている区間であり、カウント値Nの巡回周期(0〜Ns-1)と同一の時間幅の区間となっている。具体的な設定方法としては、シンボル長周期カウンタ37のカウント値Nを用いて、検出区間Tが指定される。つまり、検出区間Tは、“カウント値Nが0〜1087の区間”又は“カウント値Nが544〜543の区間”といったように設定される。
【0114】
さらに、第1〜第nの最大値検出回路51-1〜51-nに設定されている検出区間Tは、互いに位相がずらされている。
【0115】
例えば、第1の最大値検出回路51-1は“カウント値Nが0〜Nsの区間”に検出区間Tが設定され、第2の最大値検出回路51-2は“カウント値Nが{Ns/(n-1)〜[(Ns-1)+ (Ns/(n-1))mod Ns]}の区間”に検出期間Tが設定され、第nの最大値検出回路51-nは“カウント値Nが{((Ns-1)×Ns)/(n-1)〜[(Ns-1)+ ((n-2)×Ns)/(n-1))mod Ns]}の区間”に検出期間Tが設定される。
【0116】
第1〜第nの最大値検出回路51-1〜51-nは、それぞれ、検出区間T毎に得られる最大値のカウント値Nを、シンボル境界タイミングNpとしてセレクタ52に出力する。
【0117】
セレクタ52は、検出区間選択回路53の設定に従い、第1〜第nの最大値検出回路51-1〜51-nから出力されたn個のシンボル境界タイミングNpのうち、いずれか一つを選択して、外部に出力する。
【0118】
検出区間選択回路53は、セレクタ52に対して、第1〜第nの最大値検出回路51-1〜51-nのうちのいずれか一つの最大値検出回路51を選択する選択信号を供給する。
【0119】
さらに、検出区間選択回路53は、セレクタ52から出力されたシンボル境界タイミングNpの値と、現在設定している最大値検出回路51での検出区間Tとの位置関係を判断し、その判断結果に基づき、カウント値Nの巡回周期に対する検出区間Tの設定を求め、その区間に
対応した新たな最大値検出回路51を選択する。
【0120】
具体的には、検出区間選択回路53は、セレクタ52からシンボル境界タイミングNpが、現在設定されている検出区間Tの中央値からどれだけ距離があるかを判断する。
【0121】
例えば、現在設定されている検出区間Tが“カウント値Nが0〜1087の区間”であるとするならばその中央値は“544”となり、また、現在設定されている検出区間Tが“カウント値Nが544〜543の区間”であるとするならばその中央値は“0”となり、その中央値とシンボル境界タイミングNpとの差を求める。
【0122】
続いて、検出区間選択回路53は、シンボル境界タイミングNpと中央値との距離が所定の範囲以上であるか否かを判断する。つまり、シンボル境界タイミングNpが検出区間Tの端部近傍に位置しているか否かを判断する。
【0123】
判断した結果、シンボル境界タイミングNpと中央値との距離が所定の範囲以下であれば、選択している最大値検出回路51の設定はそのままにする。
【0124】
判断した結果、シンボル境界タイミングNpと中央値との距離が所定の範囲以上である場合(シンボル境界タイミングNpが検出区間Tの端部部分に位置している場合)には、検出区間Tの設定を変更し、新たに最大値検出回路51を選択する。
【0125】
具体的には、図8(G)に示すように、そのシンボル境界タイミングNpがより中央値に近くなるような、検出区間Tを有する最大値検出回路51を選択する。つまり、シンボル境界タイミングNpが中央部近傍で検出されるような検出区間Tを有する最大値検出回路51を選択する。
【0126】
検出区間選択回路53は、以上のように選択を行うことによって、シンボル境界タイミングNpを、検出区間Tの中央値近傍の値とすることができる。
【0127】
以上のように本発明の第2の実施の形態のOFDM受信装置では、OFDM信号のガードインターバルの自己相関信号(ガードインターバル相関信号)に基づきOFDMシンボルのシンボル境界タイミングNpを算出するシンボル境界検出回路50が設けられている。シンボル境界検出回路50では、OFDMシンボルのサンプル数と同一に設定され、互いに位相の異なる複数の検出範囲Tを設定し、各検出範囲T内でのガードインターバル相関信号の最大値の検出タイミングを検出して、シンボル境界タイミングNpとして出力する。さらに、シンボル境界検出回路50では、中央位置近傍にシンボル境界タイミングNpが位置するように、複数の検出範囲Tの中から最適な1つの検出範囲を選択している。
【0128】
このため、本発明の第2の実施の形態のOFDM受信装置では、シンボル境界位置の誤検出を無くして、例えばFFT演算を行うためのシンボルの切り出しタイミング等を高精度に行うことができ、このため、復調精度を向上させることができる。
【0129】
なお、検出区間選択回路53では、検出区間Tの設定変更を毎回行わずに、例えば、シンボル境界タイミングNpと中央値との距離が所定の範囲以上である場合が連続した複数の検出区間で発生した場合や、又は、シンボル境界タイミングNpと中央値との距離が所定の範囲以上であった回数を累積していきその累積数が所定回数以上となった場合等に、検出区間Tの変更を行うようにしてもよい。なお、このような場合であっても、受信装置1のリセット動作が行われた際(復調開始時)には、直ちに検出範囲Tの中央位置近傍にシンボル境界タイミングNpが位置するような検出範囲Tを選択するのが望ましい。
【0130】
また、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に動作クロックが受信信号に対して非同期であるが、動作クロックと受信信号とがPLL回路等により同期が取られていても良い。このような場合には、受信装置1のリセット動作が行われた際(復調開始時)に、1回だけ、中央位置近傍にシンボル境界タイミングNpが位置するように検出範囲Tの選択を行えば良い。
【0131】
また、シンボル境界検出回路50に対して、図9に示すように、出力ラッチ回路54を設けても良い。この出力ラッチ回路54を設けた場合のガード相関/シンボル境界検出回路50内の各信号のタイミングチャートを図10に示す。なお、図10の(A)〜(H)は、出力ラッチ回路54を設けていない場合のタイミングと同一なので、その説明は省略する。
【0132】
出力ラッチ回路54は、図10(H)に示すように、シンボル長周期カウンタ37のカウント値Nが0となるタイミングで、セレクタ52から出力されたシンボル境界タイミングNpを取り込んで内部レジスタに格納し、そのカウント値を外部に対して出力可能な状態にセットする。レジスタに格納された当該カウント値は、後段に出力される。
【0133】
このように出力ラッチ回路54を設けることによって、検出区間Tの変更があったとしても、外部には一定の間隔でシンボル境界タイミングNpを発生することができる。そのため、装置全体のタイミング制御を簡便にすることができる。
【0134】
【発明の効果】
本発明に係るOFDM復調装置及び方法では、OFDM信号のガードインターバルの自己相関に基づきシンボル境界位置を算出し、そのシンボル境界位置の算出の際に、伝送シンボルの時間間隔周期に設定された検出範囲を設定し、その検出範囲内での自己相関値の最大値のサンプルタイミングを検出し、検出したタイミングをシンボル境界位置として出力する。さらに、本発明では、上記検出範囲が最適な位置となるように、位相制御を行う。
【0135】
このため本発明に係るOFDM復調装置及び方法では、シンボル境界位置の誤検出を無くし、検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のOFDM受信装置のブロック構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態のOFDM受信装置のガード相関/シンボル境界検出回路のブロック構成図である。
【図3】ガード相関/シンボル境界検出回路内のシンボル境界検出回路のブロック構成図である。
【図4】上記ガード相関/シンボル境界検出回路内の各信号のタイミングチャートである。
【図5】上記図3に示すシンボル境界検出回路に出力ラッチ回路を設けた変形例を示すブロック構成図である。
【図6】図5に示したシンボル境界検出回路内の各信号のタイミングチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態のOFDM受信装置のシンボル境界検出回路のブロック構成図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態のガード相関/シンボル境界検出回路内の各信号のタイミングチャートである。
【図9】上記図7に示すシンボル境界検出回路に出力ラッチ回路を設けた変形例を示すブロック構成図である。
【図10】図9に示したシンボル境界検出回路内の各信号のタイミングチャートである。
【図11】OFDM信号のシンボル構成を示す図である。
【図12】従来のOFDM復調装置のシンボル同期回路のブロック構成図である。
【図13】従来のOFDM復調装置のシンボル同期回路内のシンボル境界検出回路のブロック構成図である。
【図14】従来のシンボル同期回路内の各信号のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 OFDM受信装置、2 アンテナ、3 チューナ、4 バンドパスフィルタ、5 A/D変換回路、6 クロック発生回路、7 DCキャンセル回路、8デジタル直交復調回路、9 キャリア周波数誤差補正回路、10 FFT演算回路、11 位相補正回路、12 ガード相関/シンボル境界検出回路、13 タイミング同期回路、14 狭帯域キャリア誤差算出回路、15 広帯域キャリア誤差算出回路、16 加算回路、17 数値制御発振回路、18 フレーム同期回路、19 等化回路、20 デマッピング回路、21 伝送路復号回路、22 伝送制御情報復号回路
Claims (20)
- 情報系列が時分割されて複数のサブキャリアに変調されることにより生成された有効シンボルと、この有効シンボルの一部の信号波形が複写されることにより生成されたガードインターバルとが含まれた伝送シンボルを伝送単位とする直交周波数分割多重(OFDM)信号を復調するOFDM復調装置において、
基準クロックに同期してインクリメントされるカウント値であって上記伝送シンボルの時間間隔に対応した周期で巡回的に繰り返されるカウント値を発生するカウント手段と、
上記カウント値の巡回周期と同一の周期で繰り返される検出周期を設定し、上記カウント値の巡回周期に対する当該検出周期の位相を制御する検出周期制御手段と、
上記検出周期内における上記OFDM信号の上記ガードインターバル部分の自己相関値の最大値を検出し、最大値が発生されたカウント値を上記検出周期毎にシンボル境界位置として出力するシンボル境界検出手段とを備え、
上記検出周期制御手段は、上記検出周期内での上記最大値の発生位置に応じて、上記カウント値の巡回周期に対する上記検出周期の位相を制御すること
を特徴とするOFDM復調装置。 - 上記検出周期制御手段は、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央位置から所定の範囲内に含まれていない場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するように、上記カウント値の巡回周期に対する上記検出周期の位相を制御すること
を特徴とする請求項1記載のOFDM復調装置。 - 上記検出周期制御手段は、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央位置から所定の範囲内に含まれていない状態が複数回発生した場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するように、上記カウント値の巡回周期に対する上記検出周期の位相を制御すること
を特徴とする請求項2記載のOFDM復調装置。 - 上記検出周期制御手段は、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央位置から所定の範囲内に含まれていない状態が、復調動作の開始時に生じた場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するように、直ちに上記カウント値の巡回周期に対する上記検出周期の位相を制御すること
を特徴とする請求項3記載のOFDM復調装置。 - 上記シンボル境界検出手段から出力されるシンボル境界位置をラッチするラッチ手段を備え、
上記ラッチ手段は、上記カウント手段のカウント値の巡回周期に基づき上記シンボル境界位置を取り込むこと
を特徴とする請求項1記載のOFDM復調装置。 - 情報系列が時分割されて複数のサブキャリアに変調されることにより生成された有効シンボルと、この有効シンボルの一部の信号波形が複写されることにより生成されたガードインターバルとが含まれた伝送シンボルを伝送単位とする直交周波数分割多重(OFDM)信号を復調するOFDM復調装置において、
基準クロックに同期してインクリメントされるカウント値であって上記伝送シンボルの時間間隔に対応した周期で巡回的に繰り返されるカウント値を発生するカウント手段と、
上記カウント値の巡回周期と同一の周期で繰り返される検出周期が設定されており、当該検出周期内での上記OFDM信号の上記ガードインターバル部分の自己相関値の最大値を検出し、最大値が発生されたカウント値を上記検出周期毎に出力する複数のシンボル境界検出手段と、
上記複数のシンボル境界検出手段のうちいずれか一つのシンボル境界検出手段を選択し、選択したシンボル境界検出手段から出力されたカウント値をシンボル境界位置として出力する選択出力手段とを備え、
上記複数のシンボル境界検出手段には、検出周期が互いに異なる位相に設定されており、
上記選択出力手段は、選択されているシンボル境界検出手段に設定されている検出周期内での上記最大値の発生位置に応じて、いずれか一つのシンボル境界検出手段を選択すること
を特徴とするOFDM復調装置。 - 上記検出周期選択手段は、シンボル境界検出手段に設定されている検出周期の中央位置から上記最大値の発生位置が所定の範囲内に含まれていない場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するような位相の検出周期を有するシンボル境界検出手段を選択すること
を特徴とする請求項6記載のOFDM復調装置。 - 上記検出周期選択手段は、シンボル境界検出手段に設定されている検出周期の中央位置から上記最大値の発生位置が所定の範囲内に含まれていない状態が複数回発生した場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するような位相の検出周期を有するシンボル境界検出手段を選択すること
を特徴とする請求項7記載のOFDM復調装置。 - 上記検出周期選択手段は、上記最大値の発生位置がシンボル境界検出手段に設定されている検出周期の中央位置から所定の範囲内に含まれていない状態が、復調動作の開始時に生じた場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するような位相の検出周期を有するシンボル境界検出手段を直ちに選択すること
を特徴とする請求項8記載のOFDM復調装置。 - 上記選択出力手段から出力されるシンボル境界位置をラッチするラッチ手段を備え、
上記ラッチ手段は、上記カウント手段のカウント値の巡回周期に基づき上記シンボル境界位置を取り込むこと
を特徴とする請求項6記載のOFDM復調装置。 - 情報系列が時分割されて複数のサブキャリアに変調されることにより生成された有効シンボルと、この有効シンボルの一部の信号波形が複写されることにより生成されたガードインターバルとが含まれた伝送シンボルを伝送単位とする直交周波数分割多重(OFDM)信号を復調するOFDM復調方法において、
基準クロックに同期してインクリメントされるカウント値であって上記伝送シンボルの時間間隔に対応した周期で巡回的に繰り返されるカウント値を発生し、
上記カウント値の巡回周期と同一の周期で繰り返される検出周期を設定し、
上記検出周期内における上記OFDM信号の上記ガードインターバル部分の自己相関値の最大値を検出し、最大値が発生されたカウント値を上記検出周期毎にシンボル境界位置として出力し、
上記検出周期内での上記最大値の発生位置に応じて、上記カウント値の巡回周期に対する上記検出周期の位相を制御すること
を特徴とするOFDM復調方法。 - 上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央位置から所定の範囲内に含まれていない場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するように、上記カウント値の巡回周期に対する上記検出周期の位相を制御すること
を特徴とする請求項11記載のOFDM復調方法。 - 上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央位置から所定の範囲内に含まれていない状態が複数回発生した場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するように、上記カウント値の巡回周期に対する上記検出周期の位相を制御すること
を特徴とする請求項12記載のOFDM復調方法。 - 上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央位置から所定の範囲内に含まれていない状態が、復調動作の開始時に生じた場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するように、直ちに上記カウント値の巡回周期に対する上記検出周期の位相を制御すること
を特徴とする請求項13記載のOFDM復調方法。 - カウント値の巡回周期に基づきシンボル境界位置をラッチし、ラッチしたシンボル境界位置を外部に出力すること
を特徴とする請求項11記載のOFDM復調方法。 - 情報系列が時分割されて複数のサブキャリアに変調されることにより生成された有効シンボルと、この有効シンボルの一部の信号波形が複写されることにより生成されたガードインターバルとが含まれた伝送シンボルを伝送単位とする直交周波数分割多重(OFDM)信号を復調するOFDM復調方法において、
基準クロックに同期してインクリメントされるカウント値であって上記伝送シンボルの時間間隔に対応した周期で巡回的に繰り返されるカウント値を発生し、上記カウント値の巡回周期と同一の周期で繰り返される検出周期が互いに異なる位相で設定されており、当該検出周期内での上記OFDM信号の上記ガードインターバル部分の自己相関値の最大値を検出し、最大値が発生されたカウント値を上記検出周期毎に出力する複数のシンボル境界検出器のうち、いずれか一つを選択し、選択したシンボル境界検出器から出力されたカウント値をシンボル境界位置として出力し、
選択されているシンボル境界検出器に設定されている検出周期内での上記最大値の発生位置に応じて、いずれか一つのシンボル境界検出器を選択すること
を特徴とするOFDM復調方法。 - 上記最大値の発生位置がシンボル境界検出器に設定されている検出周期の中央位置から所定の範囲内に含まれていない場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するような位相の検出周期を有するシンボル境界検出器を選択すること
を特徴とする請求項16記載のOFDM復調方法。 - シンボル境界検出器に設定されている検出周期の中央位置から上記最大値の発生位置が所定の範囲内に含まれていない状態が複数回発生した場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するような位相の検出周期を有するシンボル境界検出器を選択すること
を特徴とする請求項17記載のOFDM復調方法。 - シンボル境界検出器に設定されている検出周期の中央位置から上記最大値の発生位置が所定の範囲内に含まれていない状態が、復調動作の開始時に生じた場合には、上記最大値の発生位置が上記検出周期の中央方向に移動するような位相の検出周期を有するシンボル境界検出器を直ちに選択すること
を特徴とする請求項18記載のOFDM復調方法。 - カウント値の巡回周期に基づきシンボル境界位置をラッチし、ラッチしたシンボル境界位置を外部に出力すること
を特徴とする請求項16記載のOFDM復調方法。
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