JP4114376B2 - 測色用座標決定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測色用座標決定方法、色変換方法、測色用座標決定装置、色変換装置、測色用座標決定プログラムを記録した媒体、色変換プログラムを記録した媒体、測色用座標決定プログラム、色変換プログラムおよび色変換テーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスプレイやプリンタ等、複数の画像機器において共通の画像を扱う際には、双方の画像機器で共通の発色で画像を得るために色変換テーブルやICCプロファイル等を参照して両画像の色を変換している。これら色変換テーブルやICCプロファイルを作成する手法は種々のものが存在するが、作成時の重要なプロセスとして任意の画像データによる画像機器での出力色と特定の絶対表色空間中の色との対応関係を規定するプロセスが存在する。
【0003】
この対応関係によって画像機器の出力色と絶対表色空間中の色との対応関係を正確に規定することが、最終的に作成される色変換テーブルやICCプロファイルの精度向上に寄与することから、色変換テーブルやICCプロファイルの精度にとってこの対応関係を正確に規定することが重要である。画像機器の任意の画像データと絶対表色空間中の色との対応関係を逐次規定することができれば精度上好ましいが、任意の画像データについての対応関係を規定するとデータ量が膨大になり、実質上不可能である。
【0004】
そこで、通常、画像機器の複数の代表画像データ(測色用座標)についての出力色を測色して絶対表色空間中の正確な座標を求め、任意の画像データについてはこれらの代表画像データからの補間演算によって絶対表色空間中の座標を算出している。この測色用座標を決定する従来の測色用座標決定方法としては、画像機器の色空間内で等間隔に座標を抽出する方法が存在する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の測色用座標決定方法では、以下のような課題があった。
すなわち、上述の補間演算において補間関数は絶対表色空間中の曲線として規定されるため、精度上好ましい補間関数が得られるか否かは測色用座標が該当する絶対表色空間中の座標位置に依存しており、この座標が相互に離れすぎず、近づきすぎないようにするべきである。しかし、従来の測色用座標決定方法では、測色用座標を決定するに当たり画像機器の色空間のみを考慮しており、精度上好ましい補間関数が得られるように測色用座標を決定することができなかった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、表色空間の全域に渡って高精度に色の対応関係を規定することが可能な測色用座標を決定する測色用座標決定方法、色変換方法、測色用座標決定装置、色変換装置、測色用座標決定プログラムを記録した媒体、色変換プログラムを記録した媒体、測色用座標決定プログラム、色変換プログラムおよび色変換テーブルの提供を目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、所定の画像機器で使用される第1色空間の複数の座標における出力色を測色して第2色空間の座標を得ることにより上記第1色空間と上記第2色空間との対応関係を規定するにあたり、上記複数の座標位置を測色用座標として決定する測色用座標決定方法において、上記第1色空間の座標ついて上記第2色空間の座標を取得し、上記第1色空間と上記第2色空間との対応関係を規定する基準対応関係規定工程と、上記基準対応関係規定工程における第1色空間の座標より粗い間隔で座標を決定し、当該決定した座標と上記基準対応関係に基づいて上記第1色空間と上記第2色空間との対応関係を規定する試行用対応関係規定工程と、上記決定された座標のうち隣り合う座標について上記基準対応関係にて規定される上記第2色空間の座標相互の距離に制限を与え、上記第1色空間中の特定の座標について上記基準対応関係にて規定される上記第2色空間の座標と上記試行用対応関係にて規定される上記第2色空間中の座標とのずれを算出する算出工程と、当該ずれが極小化したときの座標を測色用座標として決定する工程を具備し、上記算出工程においては、所定色を可変にしつつ所定色を固定して規定された基準座標を結んだ線上に存在しうる総ての座標について上記基準対応関係にて規定される第2色空間中の座標間の距離を積算した基準長を(測色用座標数−1)で除した数に所定定数を乗じた値を上記隣り合う座標に対応した第2色空間中の座標相互の最大距離とする、構成としてある。
【0007】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、色変換テーブルやICCプロファイル等を作成する際に所定の画像機器からの出力色を測色して第2色空間中での座標を求めて第1色空間中と所定の第2色空間との対応関係を規定するに当たり、以下の工程によって当該第1色空間での複数の測色用座標を決定する。基準対応関係規定工程においては、上記第1色空間の座標について上記第2色空間中の座標を取得し、第1色空間と第2色空間との基準対応関係を規定する。
【0008】
また、測色用座標仮決定工程においては、上記基準座標より粗い間隔で試行用に測色用座標を仮決定し、試行用対応関係規定工程においては、当該仮決定された測色用座標について上記基準対応関係に基づいて第2色空間の座標を求め、当該第2色空間の座標と上記仮決定された測色用座標とを参照点として、第1色空間と第2色空間との試行用対応関係を規定する。すなわち、基準座標と測色結果から基準対応関係が規定され、基準座標より少ない測色用座標から試行用対応関係が規定される。参照点に基づく対応関係の規定としては、例えばこれらの参照点によってスプライン補間関数を規定する手法や四面体補間等の補間演算が挙げられるが、一般には参照点が少ない試行用対応関係の方が基準対応関係より低精度となる。本発明においては後述の試行によって誤差を極小化しているので、基準座標より少ない測色用座標によって高精度に第1色空間と第2色空間との対応関係を規定することができる。
【0009】
すなわち、試行工程においては、上記測色用座標仮決定工程において隣り合う測色用座標について基準対応関係にて規定される第2色空間中の座標相互の距離に制限を与えつつ上記測色用座標を仮決定するとともに上記試行用対応関係規定工程にて試行用対応関係を規定し、第1色空間中の特定の座標について上記基準対応関係にて規定される第2色空間中の座標と上記試行用対応関係にて規定される第2色空間中の座標とのずれを算出する工程を繰り返し試行する。この結果、上記第2色空間中の座標相互の距離制限内で測色用座標が移動され、それぞれの状態でのずれが算出される。そして、測色用座標特定工程においては、当該試行工程において上記ずれが極小化したときの座標を測色用座標として特定する。
【0010】
すなわち、試行用対応関係にて求められる第2色空間中の座標と基準対応関係にて求められる第2色空間中の座標とが最も近づくように測色用座標を決定することになり、基準座標より少ない座標数の測色用座標において第1色空間と第2色空間との対応関係を規定する最適な精度が算出される。第1色空間内に存在する測色用座標の総てあるいは一部の決定について以上の工程を導入することにより、表色空間の全域に渡って高精度に色の対応関係を規定することが可能になる。また、第2色空間中の座標相互の距離制限内で測色用座標を移動しているので、これらの座標が必要以上に近づいたり離れたりすることがなく、測色用座標による色の規定精度が部分的に悪くなることを防止し、色空間全域において好ましい精度とすることができる。
【0011】
ここで、本発明における所定の画像機器は、他の画像機器と画像データをやりとりする際に色変換テーブルやICCプロファイル等によって色変換を実施する機器であればよく、特に限定されない。例えば、ディスプレイ,プリンタ等種々の画像機器を採用可能である。むろん、機器が別体でなくてもよく、例えば、fax機はプリンタとスキャナとが一体になっていると言え、かかるfax機に本発明を適用することも可能である。
【0012】
本発明における測色用座標決定方法では、上述の極小化によって複数の測色用座標が決定されるが、第1色空間の複数の領域にて測色用座標を仮決定し、それぞれの領域についての上記極小化によって第1色空間の複数の領域で測色用座標を決定することができ、測色用座標がある程度の個数になれば当該測色用座標から他の測色用座標位置を予想し、上記極小化を経ることなく当該他の測色用座標を決定することができる。すなわち、第1色空間の全域で基準座標を規定しその出力色を測色することが必須ではなく、一部の領域について基準座標を規定し、測色すれば第1色空間の全域に渡って存在する測色用座標を決定することができる。また、色空間中の座標は、通常3成分からなる座標で必要充分であるが、それ以上の成分数からなる座標であってもよい。具体的には、画像機器で使用する3色の階調値を成分とした座標や色を一義的に特定可能な要素色を成分とした座標等が本発明における座標に該当する。
【0013】
基準対応関係規定工程と試行用対応関係規定工程とでは、第1色空間中の座標と当該第1色空間に対応づけられた第2色空間中の座標とを参照点として対応関係を規定することができればよく、上述のようにスプライン補間等種々の補間手法を採用可能である。スプライン補間においては補間演算時にスプライン補間関数を算出し、当該スプライン補間関数によって参照点以外の第1色空間の座標から第2色空間の座標を算出することができるので、第1色空間と第2色空間との対応関係が規定されると言える。対応関係を規定すると言っても本発明では測色を行う座標数を必要以上に増加させることなく精度よく測色用座標を決定する必要があり、一度に第1色空間中の全領域の測色用座標を決定する必要はないので、第1色空間中の一部の領域について限られた基準座標数によって精度よく対応関係を規定できればよい。
【0014】
従って、第1色空間中の一部の領域について高精度のスプライン補間関数を決定できるように基準座標を選択するのが好ましく、色空間中で基準座標を直線状に配置したり、基準座標成分の一部を固定したりすると良い。また、上述の基準対応関係と試行用対応関係とが補間関数によって規定されることから、上記試行工程においてずれを算出する際に使用される第1色空間中の特定の座標は、この補間関数から直接的に第2色空間中の座標を算出できるように決定するのが好ましい。さらに、第2色空間中の座標相互の距離制限の構成例としては、上記算出工程においては、上記画像機器で使用する色の中の所定色を可変にしつつ所定色を固定して規定された基準座標を結んだ線上に存在しうる総ての座標について上記基準対応関係にて規定される第2色空間中の座標間の距離を積算した基準長を(測色用座標数−1)で除した数に所定定数を乗じた値を上記隣り合う測色用座標に対応した第2色空間中の座標相互の最大距離とする構成としてある。
すなわち、算出工程においては上記距離制限内で測色用座標を移動させて上記ずれを算出するので、測色用座標は基準座標を結んだ線上に存在するのが好ましく、この場合測色用座標の可動範囲は当該線上である。基準対応関係に基づいて規定される測色用座標に対応した第2色空間中の座標も第2色空間中で線を形成するので、精度上好ましい測色用座標を決定するためには、この第2色空間の座標がこの線上で近づきすぎず、離れすぎないようにすべきである。上記基準長はこの線の長さであり、これを(測色用座標数−1)で除するとその値は第2色空間中の座標をこの線の端から端まで均等に配置した場合の長さとなる。従って、上記最大距離は第2色空間に形成される線上に座標を均等配置した場合の距離の定数倍となる。
この結果、上記均等配置をした場合を基準としてその定数倍より遠くに上記第2色空間中の座標相互が離れないようにして測色用座標を決定することが可能になる。従って、限られた測色用座標数を使用しながらも部分的に精度が低下することを防止することができる。ここで、上記基準座標を結んだ線上の具体例として、例えば基準座標を第1色空間の稜線上で選択する場合には当該稜線上が当該線上となる。また、上述のように当該線上に存在しうる総ての座標を考えると言っても、本発明において座標値が通常は整数であるなどの制限が存在するので、座標間隔が任意ではなく座標数は有限である。
【0015】
また、請求項2にかかる発明は、上記第1色空間は画像機器で使用する所定の3色を成分とした色空間であり、上記第2色空間は均等色空間である構成としてある。すなわち、上記試行工程では、基準対応関係にて規定される第2色空間中の座標と試行用対応関係にて規定される第2色空間中の座標とのずれを評価する必要があり、均等色空間内においては空間内の距離差が色の差すなわち色差に相当することから第2色空間内のずれの評価は色のずれの評価と等価である。従って、第2色空間内でのずれを評価することによって測色用座標による色の規定精度が測色値に充分近づいているか否かを容易に評価することができる。
【0016】
均等色空間の具体例としてはLuv空間やLab空間(通常これらの空間はLやL等、を付して表現するが本明細書では簡単のため省略する。以下同じ)等が挙げられる。また、第1色空間を画像機器で使用する所定の3色を成分とした色空間にすることによって、画像機器で直接的に使用する色について測色用座標を決定することができ、この測色用座標での色を出力させて当該画像機器の機器依存性を考慮した色変換テーブルを生成することができる。具体的には、プリンタで使用するCMY(シアン,マゼンタ,イエロー)を成分とした色空間等が挙げられる。
【0017】
さらに上記最大距離の値を規定するための具体例として請求項3にかかる発明では、上記所定定数は2以上、3以下である構成としてある。すなわち、上記最大距離は、上述のように座標を均等配置した場合の距離より大きくないと測色用座標を移動させることができないので所定定数を1以上にすることが必須である。この必須要件の下で出願人が実験的に試行を繰り返した結果、上記所定定数が2程度の値であれば算出工程によって極小解を導出することができ、上記所定定数が3以上の値では極小化を行っても色変換テーブルやICCプロファイルを作成するに当たり精度が低下する傾向にあることが判明した。そこで、上記所定定数を2以上、3以下とすると精度においても試行処理においても好適である。
【0042】
以上説明したように、請求項1にかかる発明によれば、表色空間の全域に渡って高精度に色の対応関係を規定することが可能であるとともに第2色空間中の座標が必要以上に近づいたり離れたりすることがなく、測色用座標による色の規定精度が部分的に悪くなることを防止し、色空間全域において好ましい精度とすることが可能な測色用座標決定方法を提供することができる。さらには、限られた測色用座標数を使用しながらも部分的に精度が低下することを防止することができる。
また、請求項2にかかる発明によれば、測色用座標による色の規定精度が測色値に充分近づいているか否かを容易に評価することができる。
さらには、請求項3にかかる発明によれば、精度及び試行処理の実現性から見て好適な所定定数値にすることができる。
【0048】
(1)本発明の構成:
図1は、本発明にかかる測色用座標決定方法の工程を概略的に説明する説明図であり、図2は各工程の関係を示すブロック図である。図1においてコンピュータ10は汎用的なパーソナルコンピュータにて実現可能であり、ディスプレイ11とプリンタ12とが接続されている。本実施形態においては、プリンタ12で使用するCMY色空間中で測色用座標を決定する。このとき、再帰的な演算を行うことによってCMY色空間中の各稜線(12個の稜線)について測色用座標を特定し、当該特定された測色用座標からさらにCMY色空間の外周面および内部に存在する測色座標を決定する。
【0049】
この測色用座標の数を10個とし、各座標についてプリンタ12にてパッチを印刷し、当該パッチを測色してLab色空間中の座標を取得すれば、その結果に基づく補間演算によって任意のCMY色空間中の座標値とLab色空間中の座標値とを対応づけるに当たり、真のLab座標値と補間値との色差が所定以上になる色を全体の所定%以下に抑えることができる。本実施形態においては、色差が2.0以上になる色を全体の10%以下に抑えることができる。
【0050】
このようにして、高精度にCMY色空間とLab色空間とを対応づける測色用座標位置を決定した後に、この対応関係を使用してCMY色空間とディスプレイ11で使用するsRGB色空間とを高精度に対応づけることができ、高精度の色変換テーブル(LUT)を作成することができる。尚、本実施形態におけるプリンタ12はCMYインクの他ブラック(K)インクを使用する4色プリンタであり、LUTにおいては17個の参照点にてsRGB空間とCMYK空間との対応関係を規定する。
【0051】
以下、上記構成を図に則して説明する。図1に示すコンピュータ10においては、ドットマトリクス状の画素についてCMYの各色256階調(0〜255の整数値)のデータを与えて所望の色を表現し、プリンタ12にてカラー画像を印刷させることができる。本実施形態においては、上記CMY色空間中の各稜線についてそれぞれ10個の測色用座標を特定することにしており、正確にCMY色空間とLab色空間との対応関係を規定できるような10個の測色用座標を再帰演算にて導出できるように、まず再帰演算時の基準となる対応関係を取得する。
【0052】
このためにまずCMY空間の各稜線について10個よりも多数である16個の基準座標を規定する。そして、上記コンピュータ10によってプリンタ12を制御し、これらのCMY座標によるパッチPを印刷する。測色器20は高精度に色パッチPを測色してその色のLab座標を得ることができ、測色によって各パッチPのCMY座標とLab座標とが正確に対応づけらる(図2では基準座標測色値30)。これらの16組の座標を参照してスプライン補間関数を決定すると、各稜線上の任意のCMY座標とLab座標とを非常に正確に対応づけることができる。このスプライン補間関数を決定する工程が基準対応関係を規定する工程であり、図2では基準対応関係規定部31が該当する。ここで、基準座標の数”16”は各稜線上の任意の座標についてCMY色空間とLab色空間とを非常に高精度に対応づけるために必要充分な数である。
【0053】
このように、上記基準対応関係は高精度であるので、上記10個の測色用座標によって試行用対応関係を規定し、この試行用対応関係に基づいて算出される任意のCMY座標に対するLab座標が上記基準対応関係に基づいて算出されるLab座標に充分近づいていれば、試行用対応関係が充分に高精度になっていると言える。そこで、図2の試行部32および測色用座標特定部36では、再帰演算によって10個の測色用座標を各稜線上で移動させ、移動後のそれぞれの座標位置を参照してスプライン補間関数を決定し、試行用対応関係とする。それぞれの状態について試行用対応関係によってCMY色空間稜線上の総ての座標に対応するLab座標を求めれば、上記基準対応関係によって算出されたLab座標とのずれを計算することができ、このずれが極小化している状態の測色用座標位置を最適な座標位置として特定することができる。
【0054】
すなわち、試行部32は測色用座標仮決定部33と試行用対応関係規定部34とずれ算出部35とを備えており、測色用座標仮決定部33では、所定の初期座標37(本実施形態では稜線上に均等に配置された座標)からスタートし、各試行工程において10個の測色用座標を各稜線上で移動させる。試行用対応関係規定部34では、各測色用座標についてスプライン補間関数を決定し、試行用対応関係を規定する。ずれ算出部35では、各稜線上の全階調値について上記基準対応関係と試行用対応関係とのそれぞれにてLab座標を求め、両者のずれを算出する。試行部32がこれらの工程を繰り返すと、ずれが極小化している状態の測色用座標位置を把握することができるので、測色用座標特定部36ではこのずれを判別することによって最適な測色用座標を把握することができる。
【0055】
尚、上記測色用座標仮決定部33においては、測色用座標を各稜線上で移動させるに当たり、隣り合う座標間の距離に制限を設けている。この距離は後述するようにLab空間中の座標間距離で規定されており、試行部32による試行を行う前にある座標の隣に他の座標が存在しうるか否かを示すフラグが要素となった隣接行列38が予め計算されている。この隣接行列38においては、CMY色空間稜線上の全階調値についてその隣に座標点が存在しうるか否かを規定しているので、試行部32による試行時には逐次条件分岐を行う必要がなく、この隣接行列38を参照するのみで良い。
【0056】
稜線上の測色用座標位置が特定されれば、これらの座標点を線で結んだときの交点をCMY色空間外周上の測色用座標位置とし、さらにこの格子点を線で結んだときの交点をCMY色空間内部の測色用座標位置として、CMY色空間全体に渡る10個の測色用座標位置を決定する。このCMY色空間全体に渡る測色用座標位置が決定したら、これらの座標によって上記プリンタ12からパッチを印刷し、当該パッチを測色器20で測色する。
【0057】
CMYK色空間の座標とsRGB色空間の座標との対応関係を規定するLUTを作成するためには、CMY座標をLab座標に変換し、sRGB座標をLab座標に変換し、両者をLab空間内で対応づけ、上記CMY座標をCMYK座標に分版する。ここで、上記CMY色空間全体に渡る測色用座標とその測色値(Lab座標値)によって任意のCMY色空間中の座標とLab座標とを高精度に対応づけることができるので、LUT作成中の上記変換作業を高精度に実施することができ、高精度のLUTを作成することができる。任意のCMY座標に対応するLab座標はスプライン補間によって算出することができる。尚、sRGB色空間中の座標とLab座標との対応関係は公知の式によって算出したり、測色したりすることによって求めることができる。
【0058】
本実施形態においては、プリンタ12が4色プリンタであることによって分版処理を行っているが、3色プリンタの場合は分版処理を省くことができるし、ライトシアン,ライトマゼンタ,ダークイエローなどを含む分版を行うことにより6色,7色プリンタ用のLUTを作成しても良い。また、sRGB色空間との対応をすることが必須というわけではなく、スキャナ等の機器固有のRGB色空間とCMY色空間とを対応づけてもいいし、汎用性を持たせるためLab色空間とCMY色空間とを対応させたLUTとしてもよい。むろん、LUTではなくICCプロファイルを作成する際に上記測色用座標を使用しても良い。
【0059】
本発明にかかる測色用座標決定方法は、多くの演算を行いかつ計算の繰り返しを行うことによって実現されるものである。従って、コンピュータを使用して当該方法を実現すると好適であり、この場合には当該コンピュータが測色用座標決定装置を構成するし、実行されるプログラムが測色用座標決定プログラムとなる。図3は測色用座標決定装置の構成例を示すブロック図である。同図においてコンピュータ100は汎用的なパーソナルコンピュータ等にて構成することができ、当該コンピュータ100にて実行可能なAPL110が測色用座標決定プログラムに該当する。
【0060】
コンピュータ100はディスプレイやキーボード等のユーザインタフェースを備えるとともに、フレキシブルディスクドライブ(FDD)130やハードディスクドライブ(HDD)120等を備えており、図示しないオペレーティングシステム制御下においてAPL110を実行可能である。APL110は上記図2に示す各部をモジュール化した複数のプログラムにより構成されており、試行モジュール32aによって試行を繰り返した結果ずれの極小値が算出され、測色用座標決定モジュール36aではずれが極小化した時点の測色用座標位置を各稜線上の測色用座標とするとともに、これらの測色用座標からCMY色空間内の測色用座標位置を決定する。
【0061】
測色用座標位置が決定すると、この当該座標値による印刷がなされ、印刷結果が測色される。この測色用座標測色値39cはデータ化され、上記FDD130を介して読み出されるとともにLUT作成モジュール39aに供給される。LUT作成モジュール39aはこれらの測色用座標測色値と測色用座標値とに基づいて上述のような分版処理等を実行し、LUT39bを作成するとともに上記HDD120に保存する。むろん、コンピュータ100にプリンタ12を接続しておいて、測色用座標による印刷を当該コンピュータ100の制御によって行っても良い。
【0062】
具体的には、試行モジュール32aは、スプライン補間演算モジュール31aと測色用座標仮決定モジュール33aとずれ算出モジュール35aとを備えている。基準座標測色値30は、測色器20によってコンピュータ読み取り可能にデータ化され、図示しないフレキシブルディスクを介してFDD130から読み込まれるとともにスプライン補間演算モジュール31aに供給される。スプライン補間演算モジュール31aは、与えられたデータに基づいて後述するスプライン補間関数を算出するモジュールであり、上記基準対応関係と試行用対応関係とのいずれをも算出することができる。
【0063】
測色用座標仮決定モジュール33aは、スプライン補間演算モジュール31aが算出した基準対応関係(スプライン補間関数にCMY色空間稜線上の全階調値を代入した値)から隣接行列38を算出しHDD120に隣接行列データ38aとして保存する。また、試行実行時には隣接行列データ38aを参照し、当該行列要素が示す距離制限内で測色用座標を移動させつつ測色用座標を仮決定する。スプライン補間演算モジュール31aはこの仮決定された測色用座標から上記試行用対応関係を算出する。ずれ算出モジュール35aは、上記スプライン補間演算モジュール31aが算出した基準対応関係と試行用対応関係とにCMY色空間稜線上の全階調値を代入するとともに、双方の代入結果からずれを算出する。このずれが極小化した時点の測色用座標値は上記測色用座標決定モジュール36aに出力される。
【0064】
(2)基準座標の取得および基準対応関係の規定:
以下、上記測色用座標決定方法の各工程を詳細に説明する。図4は、測色用座標によって上記プリンタ12で印刷するパッチPの例を説明する説明図である。上述のようにパッチPはCMY色空間の各稜線について16個の座標を考え、各座標について印刷したものである。また、CMYの階調値は0〜255でありそれぞれ独立の値を取ることができるので、CMYを各軸にした直交座標を考えたとき、CMY色空間は図5に示すように立方体である。基準座標は立方体の各稜線上に存在し、稜線は12本存在することから、基準座標の総数は192個であり、パッチPも192個である。本実施形態においては、稜線上の端から端まで均等に並ぶように基準座標を選択してある。図5では、CMY色空間の稜線WC(Wはホワイト)を拡大して示しており、同拡大図に示すように隣り合う基準座標の間隔は総て等しい。
【0065】
また、プリンタ12の印刷用紙上においては、図4に示すように同一稜線に存在する座標のパッチが横方向に並ぶように印刷している。同図において、印刷用紙の両脇にはCMYRGBWKの文字が付してあり、それぞれシアン,マゼンタ,イエロー,レッド,グリーン,ブルー,ホワイト,ブラックを示している。例えば、印刷用紙の最上部に並んだパッチは稜線WC上の座標に基づいて印刷したものである。このようにして印刷したパッチPを、測色器20によって測色すれば、各パッチのLab座標値を得ることができ、CMY色空間の各稜線上の座標に対応したLab座標を得ることができる。すなわち、基準座標を取得することができる。尚、基準座標を上記稜線上で選択する構成は一例であり、高精度に色の対応関係を規定することが要求されるグレー軸(直線WK)上においても基準座標を選択する構成等を採用しても良い。
【0066】
図6は、上記図5に示すCMY色空間の立方体に該当するLab色空間中の立体を示している。上記パッチPを測色すると、CMY色空間の立方体の各稜線上の基準座標に対応するLab座標が得られるので、このLab座標をLab色空間中にプロットすれば、図6に示すようにCMY色空間の立方体に対応する立体を概略的に得ることができる。ここでは、上述のように192個のパッチについての測色であるから、Lab色空間中の立体においても座標が得られるのは192個であり、当該立体外周の曲線の一部である。
【0067】
Lab色空間中の立体は、図6に示すように歪んだ形状である。すなわち、CMY色空間が立方体になっていてもLab色空間においてCMY色空間の外周に相当する色がLab空間中で立方体の外周を形成するとは限らない。例えば、CMY色空間中で直線を形成する稜線WCはLab色空間中で図6に示す曲線WCとなり、Lab色空間中のWCを結んでいるものの屈曲している。また、図6の拡大図に示すように曲線WC上のLab座標同士の間隔が均等ではないが、曲線WC上に16個の座標があれば、これらの座標とCMY色空間中の基準座標との組に基づいてスプライン補間を行ってLab色空間中の座標を算出したときに両者を充分な精度で対応づけることができる。すなわち、再帰演算で収束対象とされる基準として充分でありこの基準に基づいてLUTを作成したときに充分な精度となる。
【0068】
図7〜図9は、基準対応関係の規定すなわちスプライン補間関数の決定を説明するための説明図である。本実施形態においては、CMY色空間稜線上の基準座標についてのスプライン補間関数を決定するにあたり、CMYのいずれか1つが変数であってLabのいずれか一つが変数となるスプライン補間関数を決定する。すなわち、CMY色空間中の稜線においてはCMYのいずれか1つが変動し他の2つは固定であるので、当該変動する値を変数とする。また、Labの各値については独立に考え、いずれか1つのみを変動させてスプライン補間関数を決定する。図7〜図9では、稜線WC上の基準座標についてスプライン補間関数を決定する際の計算を示す例を示しており、それぞれL−C,a−C,b−Cの関係を示すグラフである。
【0069】
図において、横軸は総てCの階調値であり、縦軸はそれぞれL,a,bであり、グラフ上の●が基準座標における値である。基準座標は16個あるので、各グラフ上で16個の点が決定する。本例は稜線WC上の座標に関するものであるから、CMY色空間においてCが変化し他のMとYは”0”で固定である。各Cに対しては上記測色によってL,a,bの値が決定しているので、それぞれについてグラフにプロットすると図7〜図9の様になる。このグラフについてスプライン補間関数を求めると、それぞれのグラフからスプライン補間関数Lp=f(C),ap=f(C),bp=f(C)が算出される。尚、左辺のL,a,bに付されたpは基準対応関係であることを示している。
【0070】
ここで、それぞれのスプライン補間関数は左辺,右辺ともに1変数であるから、容易に各変数の係数を決定することができ、各スプライン補間関数を決定することができる。このようにしてスプライン補間関数が決定すると、各関数に任意のCを代入することによってL,a,bを一義的に決定することができ、稜線WC上の任意の座標に対するLab座標を算出することができる。すなわち、稜線WCに対応するLab色空間中の曲線WCを一義的に決定することができ、両空間の対応関係を規定したことになる。稜線WC以外の他の稜線についても同様の処理を行えば、CMY色空間中の各稜線に対応するLab座標が決定されたことになる。
【0071】
(3)試行工程:
(3−1)測色用座標の仮決定および試行用対応関係の規定:
次に、基準対応関係による座標と試行用対応関係による座標とのずれを極小化するための試行工程を説明する。本発明においては、まずCMY色空間の稜線上に測色用座標を決定し、その後にCMY色空間の全域に渡って測色用座標を決定しており、稜線上の測色用座標を決定するに当たり、仮決定した測色用座標を少しずつ移動させる試行を行い、座標位置を最適化して当該稜線上の測色用座標を決定する。この最適化のために測色用座標を仮決定する工程および試行用対応関係を規定する工程を繰り返し、各試行段階で算出された試行用対応関係と上記基準対応関係とでの座標ずれを算出する。このずれが極小化した座標位置が最適な座標位置である。
【0072】
試行工程において、第1回目の試行では所定の測色用座標の初期値を使用して試行用対応関係を決定しており、当該初期値は各稜線において均等に配置された座標である。また、測色用座標数は10個である。図5にはCMY色空間の稜線WC上の測色用座標(○)をも拡大して示してある。各測色用座標はCMY色空間中の座標であり、これに対応するLab色空間中の座標は上記基準対応関係、すなわち、スプライン補間関数にCMY値のいずれかを代入することによって求めることができる。図5に示すようなCMY色空間中の稜線WC上の測色用座標を当該稜線WCについて規定された上記基準対応関係によってLab色空間中の座標に変換したものを図6に示してある。
【0073】
すなわち、測色用座標についてもCMY色空間の稜線上に均等に配置された座標の対応座標がLab色空間中の曲線上に均等に配置されるとは限らない。このように、CMY色空間中の座標の対応座標がLab色空間中でどのような配置になるのか、CMY色空間中の座標を決定しただけで即座に明らかにはならないので、高精度の色変換を実現するためには本発明のように座標位置を最適化することが重要である。CMY色空間中の座標のLab色空間中での対応座標が曲線WC上の一部に偏っていたり、離れすぎていると、試行用対応関係によって高精度にCMY色空間とLab色空間とを対応づけることができないからである。
【0074】
試行用対応関係は、測色用座標として仮決定されたCMY色空間稜線上の10個のCMY座標と当該CMY座標に対応するLab座標とを参照してスプライン補間関数を算出することによって規定される。ここで、当該Lab座標値は上記CMY座標値を上記基準対応関係のスプライン補間関数に代入して得られた値である。上記基準対応関係によれば各稜線の全座標(CMYのいずれかのみが0〜255で可変,他は固定)についてLab色空間中の座標が算出可能であり、この算出値は高精度で色を規定しているので、各稜線上に10個存在する測色用座標に対応するLab座標も当該基準対応関係から高精度に算出することができる。
【0075】
このCMY色空間中の測色用座標とそのLab色空間中の座標とからスプライン補間関数を算出すれば試行用対応関係を規定することができる。例えば、上記図7〜図9に示す○は稜線WC上の測色用座標の一例であり、それぞれのグラフからスプライン補間関数Lq=f(C),aq=f(C),bq=f(C)を算出することができる。ここで左辺のL,a,bに付されたqは試行用対応関係であることを示している。
【0076】
但し、測色用座標数は10個であるから、これら10個の測色用座標からスプライン補間関数を算出して新たに試行用対応関係を規定しても、稜線上の任意の値の変換精度を考えたときには、通常上記16個の基準座標から規定される上記基準対応関係より色の変換精度が劣ってしまう。すなわち、上記図7〜図9にて示すように、各稜線上で測色用座標は基準座標より粗に分布しているので、一般的には○によって求めた試行用対応関係のスプライン補間関数Lq,aq,bqは上記基準対応関係のスプライン補間関数Lp,ap,bpより、図7〜図9の各曲線に対するフィッティング精度が悪い。
【0077】
図10は、この様子を説明する説明図であり、上記基準座標を●で示し、ある測色用座標を○で示すとともに、グラフを上記図7よりも拡大して示している。基準座標によって規定された基準対応関係は実線で示し、測色用座標によって規定された試行用対応関係は破線で示している。図10に示す例においては3次のスプライン補間関数を使用しているので、スプライン補間関数を決定する際の座標数が少ないと、破線で示す試行用対応関係のように本来変曲点が存在しない関数となるべきところ、変曲点を有する関数として規定されることがある。
【0078】
図10はかかる様子を示しており、○のみでスプライン補間関数を算出した場合に本来●同士を結ぶ実線のようになるべきところ、そうはならず、不要な変曲点を有している。このグラフにおいて、Cの階調値は0〜255であるから、スプライン補間関数によってCが0〜255それぞれの値である場合についてLpiとLqi(iは0〜255)とを算出することができ、両者を比較することによって基準対応関係と試行用対応関係とのずれを判定することができる。Lab色空間は3次元空間であるから、本実施形態においてはL成分,a成分,b成分のそれぞれに基づいてLab色空間中の距離としてずれを算出する。試行用対応関係は、測色用座標位置を変更させると逐次変動するので、測色用座標を移動させ、試行用対応関係を算出し、ずれを算出することを1試行として繰り返せば、どのような測色用座標位置であればずれが極小化するのかを把握することができる。このようにずれを極小化することにより、高精度に色を変換可能な試行用対応関係および測色用座標位置を決定することができる。尚、本実施形態においては、各稜線上の全座標(階調値0〜255)におけるずれを平均化して比較している。
【0079】
尚、本実施形態のように測色用座標を10個にしておけば、稜線上の測色用座標を使用してCMY色空間の全域に渡る測色用座標を決定し、これらを色変換テーブル作成時の測色点として使用することにより、色変換テーブルによって色変換を実施するに当たり真の値と補間値との色差が2.0以上になる色を全体の10%以下に抑えることができる。すなわち、測色用座標が9個であれば色差が2.0以上になる色が全体の10%を超えてしまう。また、測色用座標は3次元空間(CMY色空間)に分布するので、稜線上の測色用座標を増やすことにより実際に測色を要する色の数が3乗で増えてしまうところ、測色用座標数を少なく抑えたままで高精度に色変換可能な色変換テーブルを作成することができる。
(3−2)距離制限:
【0080】
上述のように、基準対応関係と試行用対応関係とのそれぞれにて算出されるLab座標のずれが極小化するように試行を行うが、測色用座標が自由に移動可能であるとして測色用座標を仮決定すると、そのLab色空間中の座標が空間的に密になるなどして測色用座標として不都合になる場合がある。そこで、本発明においては、上述の測色用座標の仮決定に際して測色用座標の移動に制限を設けている。すなわち、隣り合う測色用座標同士の距離に制限を設けている。
【0081】
図11は、本実施形態にかかる距離制限を説明する説明図である。本実施形態において、隣り合う座標間の距離の最大値はCMY色空間の稜線に対応するLab色空間中の曲線の長さから算出している。以下においてはLab色空間中の曲線WCを例にして説明する。図11はLab色空間中の曲線WCの一部拡大図である。同図において、曲線WC上には、基準座標に対応したLab色空間中の座標を●で示している。上記基準対応関係を規定すると、上記色空間稜線上の全階調値(CMYのいずれかが0〜255)に対応したLab色空間中の座標pi(iは0〜255の整数)を算出することができる。
【0082】
曲線WCの長さは隣り合う座標の距離を以下の式(1)のように積算することにより近似値lを求めることができる。
【数1】
Figure 0004114376
尚、座標piは離散的な座標であるから座標間の距離を積算しても厳密には曲線の長さにはならないが、階調数が256であって多数存在するため、ほぼ曲線の長さとみなすことができる。以下、近似値lを曲線の長さと同視して説明する。また、式(1)において右辺は各座標間の距離を示している。
【0083】
隣り合う座標間の距離の最大値Lmaxは、曲線WC上に各座標間距離が均等になるように配置した場合の当該距離の定数倍(本実施形態においては2.5)であり、以下の式(2)にて算出することができる。
【数2】
Figure 0004114376
尚、式(2)においてnは測色用座標数であり本実施形態においてはn=10である。
【0084】
このようにしてLmaxを制限することにより、曲線WC上に座標を均等配置した場合を基準として、その定数倍より遠くに隣り合う座標が離れないようにすることができる。従って、曲線WC上の一部において座標が密になることを防止することができる。ここで、式(2)における2.5は印刷メディア等の条件や実験結果によって好ましい値を算出し、適宜変更することができるが、概ね2.0〜3.0の範囲内が好ましい。Lmaxは、Lab色空間中の曲線の長さに依存しているので、CMY色空間の各稜線毎に異なった値となり、それぞれ計算する。
【0085】
一方、本実施形態において隣り合う座標間の距離の最小値Lminは、上記各稜線について定数値0.7を採用している。すなわち、Lab色空間は均等色空間でありその距離は色差であるから、座標間の最小距離を規定することによって当該座標の色差の最小値を規定することができる。人間の目による色の認識限度は概ね1.0程度であるから、Lminをこの程度の値にすることによって座標が近づきすぎることを防止するとともに、少なくとも人間の目に有意な色の変化が感じられるような測色用座標間の距離を確保することができる。むろん、視覚による認識限度は相対的なものであり、上記定数値0.7はその値の一例であるが、概ね0.5〜1.0程度が好ましい。
【0086】
CMY色空間中の稜線に対応したLab色空間中の曲線上のある座標に対して、どのような座標位置であれば隣り合わせることが可能であるかを判別するには、上記式(1)(2)を計算することによって判別することができるが、具体的な座標位置は各座標について他の座標との距離を実際に計算してみる必要がある。本発明における試行時には距離制限を加味しているが、試行工程はコンピュータ演算によって自動で繰り返すことが好ましいので、試行工程において距離制限の条件判別を逐一実行するのは計算速度上好ましくない。
【0087】
そこで、本実施形態においては、予め距離制限をフラグ化した隣接行列を用いて試行工程の計算速度向上を図っている。図12は当該隣接行列の説明図である。隣接行列の要素はaijであり、i,jはそれぞれ0〜255の整数値をとるとともに要素aijの実際の値は0もしくは1である。aijの値は以下の条件式(3)によって規定されている。
【数3】
Figure 0004114376
【0088】
すなわち、Lab色空間中の座標piに関し、その隣の座標として座標pjを想定したときに上記距離制限を満たす座標pjが存在しうる場合に要素aijが”1”になる。
【0089】
このような隣接行列を規定しておくと、CMY色空間中で仮決定される測色用座標列Xを端から順番にxk(kは0〜9,xkは0〜255であってCMYいずれかの座標値)としたとき、k番目の座標については隣接行列の要素が以下の条件式(4)を満たすときに上記距離制限内であると判定することができる。
【数4】
Figure 0004114376
すなわち、隣接行列においては注目している座標piより番号の大きな座標pj(式(3)による条件i<j)を比較対象としているので、座標の一方側で隣り合う座標についての条件をフラグ化しているが、番号k−1と番号k+1を考えることにより番号kの座標について両隣の距離制限を加味することができる。
【0090】
図13は、この隣接行列および上記条件式(4)によって距離制限の判別が実施される様子を説明する説明図である。同図においては簡略のため隣接行列の一部を示しており、その要素値も説明のための例として図のように決めてある。試行工程においては、測色用座標列Xのうちの一つが移動され、逐次上記ずれが算出される。同図に示す例では1番目の座標を移動させることとしてx’として示している。また、xの値は0,xの値は8であるとして説明する。
【0091】
’の距離制限を上記条件式(4)で考える場合、上述のように当該x’のみの移動を考えるため、xk-1とxk+1とは固定であってこの例ではそれぞれ”0”と”8”である。そこで、まずa0xk=1を考える。このとき、図13に示す隣接行列の1行目が”1”であるか否かを考えればよいので、a02,a03,a04,a05,a06が該当することが分かる。一方、axk8=1を考える際には、図13に示す隣接行列の8列目が”1”であるか否かを考えればよいので、a18,a28,a38が該当することが分かる。
【0092】
従って、条件式(4)を満たすxkは2と3であり、x’が取りうる座標値は2もしくは3である。そこで、xについては2と3を代入して上記試行用対応関係を規定し、上記ずれを算出する。このような隣接行列による条件判別と試行用対応関係の規定、ずれの算出を測色用座標列Xの総ての番号kについて実施すれば、距離制限内で座標を移動させた測色用座標の総ての組みついてずれを算出することができ、従って、ずれの極小値を把握することができる。この作業をCMY色空間中の各稜線について実施することにより、各稜線上で測色用座標を特定することができる。
【0093】
(4)第1色空間内での測色用座標の拡張:
以上のようにして各稜線上で測色用座標を特定した後には、CMY色空間中の全域に渡って測色用座標を拡張する必要がある。図14は、稜線上の測色用座標からCMY色空間中の測色用座標を決定する様子を説明する説明図である。同図は、CMY色空間中に形成される立方体を示すとともに、その稜線上で特定された測色用座標を○で示している。CMY色空間の外周面においては、CMY色空間中で平行な稜線上の測色用座標を直線で結んだときの交点を測色用座標位置とする。
【0094】
例えば、測色用座標のそれぞれにおいて座標値が小さい方から番号を付していき、同じ番号の測色用座標同士を直線で結ぶと交点を決定することができる。図14では、稜線WC上の測色用座標および稜線YG上の測色用座標に対して図14に示すように0〜9番の番号を付し、4番同士を直線で結ぶ。稜線WY上および稜線CG上でも同様の作業により測色用座標を直線で結ぶと、これらが交差するので、当該交点を測色用座標xnとする。総ての稜線について、総ての番号の測色用座標について同様の作業をすれば、CMY色空間の外周面上で測色用座標を決定することができる。
【0095】
さらに、CMY色空間内部の測色用座標については、面の交点を考える。すなわち、上述のようにしてCMY色空間の外周面上に直線を引いていくと当該直線に囲まれた面が形成される。図14に示す例では、ある番号の測色用座標同士を結んだ直線に囲まれる面S1,S2,S3が形成される。各稜線上で測色用座標の位置がどのように変化したとしても、面S1は面WMRYと面CBKGに挟まれ、面S2は面WCBMと面YGKRに挟まれ、面S3は面WCGYと面MBKRに挟まれているので、これらの面S1,S2,S3はCMY色空間内で交わるとともに共通の交点は1点となる。そこで、この交点をCMY色空間内の測色用座標xmとする。
【0096】
総ての稜線について、総ての番号の測色用座標について同様の作業をすれば、CMY色空間の内部で測色用座標を決定することができる。この結果、稜線および外周を含むCMY色空間中に10個の測色用座標を決定することができる。これら10個の測色用座標にて印刷したパッチを測色すれば、10個の座標についてCMY値とLab値とを正確に対応づけることができる。これらの座標に基づいて任意のCMY値についてスプライン補間演算を行えば、任意のCMY値に対するLab値(補間値)を得ることができるが、上述のようにこの補間値と真の値(例えば実際に測色した値)との色差が2.0以上になる座標は全体の10%以下である。従って、この測色値によってCMY色空間とLab色空間とを正確に対応づけることができ、この対応関係を参照しながら正確なLUTを作成することができる。
【0097】
また、普通紙について染料インクを使用して出願人が行った実験によると、当該色差の平均値は1.0程度になり、多数のCMY値に対して上記色差のヒストグラム(縦軸は分布数、横軸は色差)をとるとその標準偏差が0.6程度になる。普通紙について染料インクを使用しつつ測色用座標をCMY色空間中に均等に配置して検証すると、上記色差が2.0以上になる座標が全体の20%になり、色差の平均値が1.5程度になり、標準偏差が1.4程度になる。従って、普通紙については特に、本発明にかかる測色用座標の決定により非常に顕著な精度向上効果を奏すると言える。
【0098】
(5)測色用座標の決定作業:
以下、上記各工程を一連の作業として実施してCMY色空間中の稜線上の測色用座標を決定する作業をフローチャートに沿って説明する。図15は、測色用座標決定作業の全体を示すゼネラルフローである。同図において、ステップS100では上記コンピュータ10にてプリンタ12を制御し、上記図5に示すようなCMY色空間中の各稜線上に均等に配置された16個の基準座標に該当するCMY値で印刷を実行する。この結果、印刷用紙上には図4に示すような192個のパッチPが印刷される。
【0099】
ステップS105では、当該印刷された各パッチPを測色器20で測色し、それぞれのLab色空間中の座標値を取得する。すなわち、ステップS100,S105が上記基準座標取得工程に該当する。ステップS110では、当該測色値および上記CMY色空間中の座標値を参照してスプライン補間関数を決定する。当該決定されるスプライン補間関数が上記基準対応関係である。ステップS115では、試行工程において測色用座標同士に距離制限を与えるため、CMY色空間中の稜線のいずれかについて距離制限を決定する処理を行う。
【0100】
ステップS120では、処理中の稜線上について上記図5に示す様に10個の測色用座標を均等に配置して初期座標とし、初期測色用座標列Xとする。ステップS125では、番号kを”1”に初期化し、ステップS130にてずれ算出処理を行う。ずれ算出処理では、後述するようにk番目の測色用座標を上記距離制限内で移動させる測色用座標の仮決定を行い、基準対応関係により算出されるLab座標と試行用対応関係により算出されるLab座標とのずれを逐次算出する。ステップS135では、番号kがn−2(nは1稜線上の測色用座標数。本実施形態ではn=10)に達しているか否かを判別しkがn−2に達していると判別されなければステップS137でkをインクリメントしてステップS130以降の処理を繰り返す。
【0101】
すなわち、ずれ算出処理では番号kについてその可動範囲内で座標を移動させ、逐次ずれを算出するとともに番号1〜8(10−2)の座標について同様の処理を繰り返すことによって稜線上の測色用座標について総ての可動範囲での移動を行ってずれを算出している。尚、番号kは測色用座標について端から順に付した番号であり、0〜9の値である。また、本実施形態においては、稜線上の両端の点は固定的な測色用座標であるとしており、上記ステップS125〜S137では番号1〜8について可動範囲内での移動を行うようになっている。
【0102】
上記ステップS130のずれ算出処理では、所定の記憶領域内にその時点でずれが最小となっている測色用座標列XをXbestとして記録してある。従って、上記ステップS125〜S137のループが終了した時点でのXbestは、上記ずれが極小化したときの測色用座標列である。そこで、ステップS140においては、処理中の稜線について当該Xbestを測色用座標として特定する。ステップS145では、CMY色空間中の全稜線について上記測色用座標の特定が終了したか否かを判別する。
【0103】
ステップS145にて全稜線について上記測色用座標の特定が終了していると判別されないときには、ステップS150にて処理対象となる稜線を変更し、ステップS115〜ステップS145の処理を繰り返す。ステップS145にて全稜線について上記測色用座標の特定が終了していると判別されたときには、当該特定されている稜線上の測色用座標を稜線上の測色用座標として決定(ステップS155)し、作業を終了する。すなわち、上記ステップS115〜ステップS150における処理が上記試行工程に該当する。
【0104】
次に、上記ステップS115における距離制限決定処理を詳細に説明する。図16は当該距離制限決定処理のフローチャートである。ステップS200では、処理中の稜線上の全階調値、すなわち階調値0〜255を上記基準対応関係のスプライン補間関数に代入しそれぞれの補間Lab値pi(iは0〜255)を算出する。すなわち、本実施形態では階調値0〜255の座標が上記請求項に言う特定の座標に該当する。ステップS210では、当該算出したLab値piを使用して上記式(1)を計算し、CMY色空間中の稜線に該当するLab色空間中の曲線の長さlを算出する。そして、ステップS220では当該Lab色空間中の曲線の長さlを使用して上記式(2)を計算し、Lmaxを求める。本実施形態においてはn−1=9である。
【0105】
この結果、処理中の稜線について、隣り合う測色用座標のLab色空間中で距離の最大値が算出されることとなる。一方、本実施形態において、隣り合う測色用座標のLab色空間中で距離の最小値Lminはデフォルトで0.7と決められている。このようにして、LmaxとLminとが決定すれば、上記隣接行列を算出することができる。すなわち、ステップS230では上記条件式(3)に基づいて要素aijを決定し、隣接行列を生成する。上述のように、この隣接行列から各測色用座標の可動範囲を判別することができるので、当該隣接行列の決定によって距離制限が決定されたと言える。
【0106】
次に、上記ステップS130におけるずれ算出処理を詳細に説明する。図17は当該ずれ算出処理のフローチャートである。ステップS300では、測色用座標列Xの各座標値を上記基準対応関係のスプライン補間関数に代入し、これら測色用座標列Xに対応したLab値を算出する。この結果、CMY色空間中の測色用座標列XとそのLab値が算出されたことになるので、ステップS310にてこれらを使用してスプライン補間関数を決定する。当該決定されるスプライン補間関数が上記試行用対応関係である。
【0107】
ステップS320では、処理中の稜線上の全階調値、すなわち階調値0〜255を上記試行用対応関係のスプライン補間関数に代入しそれぞれの補間Lab値qi(iは0〜255)を算出する。ステップS340では、座標qiと座標piとのずれを評価するために下記式(5)の演算を行って各座標のずれの平均値Eを算出する。
【0108】
【数5】
Figure 0004114376
むろん、ここでは平均値Eを使用することが必須というわけではなく、積算値でも良い。
【0109】
この平均値については、その時点での最小値を予め記録することとしてあり、当該最小値をEbestとしてある。そこで、上記ステップS340で算出した平均値EがEbestより小さいか否かをステップS350で判別する。尚、ある稜線についてずれ算出処理が初めて実行されたときには上記式(5)によって算出された値をEbestに代入する。ステップS350にて平均値EがEbestより小さいと判別されたときにはステップS360で上記測色用座標列XをXbestとして記録し、平均値EをEbestとして記録する。
【0110】
ステップS350にて平均値EがEbestより小さいと判別されないときには、上記ステップS360はスキップする。そして、ステップS370では、上記条件式(4)を満たすxkの総てについてステップS300〜S360の処理が終了したか否かを判別し、同ステップS370にて条件式(4)を満たすxkの総てについて処理が終了したと判別されないときにはステップS380でxkの座標位置を変更しステップS300以降の処理を繰り返す。ステップS370にてにて条件式(4)を満たすxkの総てについて処理が終了したと判別されたときには上記図15に示す処理に復帰する。
【0111】
すなわち、ステップS370における判別により、xkの座標位置が変更されると測色用座標列Xのうちk番目の座標位置が変更され、k番目の座標は可動範囲内で移動されて逐次ずれが算出される。また、図17に示すずれ算出処理は図15に示すステップS125〜S137のループの一部であるので、この処理は1番目からn−2番目の総ての測色用座標について実行される。以上のようにステップS120,S380が上記測色用座標仮決定工程に該当し、ステップS300,310が上記試行用対応関係規定工程に該当し、ステップS350,S360およびステップS140が上記測色用座標特定工程に該当する。
【0112】
(6)測色用座標を使用して作成されたLUTに基づく色変換処理:
以上のようにして稜線上の測色用座標を特定し、CMY色空間中の全域に渡る測色用座標を決定すると、上述のようにLUTを作成する際にCMY座標とLab座標とを高精度に色変換可能になる。従って、作成されたLUTの色変換精度が非常に高くなり、非常に高精度の色変換を行いつつ印刷を実行することができる。当該作成されたLUTは、汎用的なコンピュータにて汎用的に行われている印刷処理にて使用可能である。図18は、印刷時に当該LUTを使用するコンピュータ構成例を示すブロック図である。
【0113】
同図において、コンピュータ140は汎用的なパーソナルコンピュータであり、プリンタドライバ(PRTDRV)210と入力機器ドライバ(DRV)220とディスプレイドライバ(DRV)230とがOS200に組み込まれている。ディスプレイDRV230はディスプレイ180における画像データ等の表示を制御するドライバであり、入力機器DRV220はシリアル通信用I/O190aを介して入力される上記キーボード310やマウス320からのコード信号を受信して所定の入力操作を受け付けるドライバである。
【0114】
APL250は、カラー画像のレタッチ等を実行可能なアプリケーションプログラムであり、利用者は当該APL250の実行下において上記操作用入力機器を操作して当該カラー画像を印刷装置400にて印刷させることができる。このようなカラー画像の印刷時に本発明によって作成されたLUTが参照される。APL250にて作成されるカラー画像のカラー画像データ150aはRGBの各色成分を階調表現したドットマトリクス状のデータであり、sRGB規格に準拠したデータであるとともに、HDD150に保存される。
【0115】
上記PRTDRV210は印刷を実行するために、画像データ取得モジュール210aと色変換モジュール210bとハーフトーン処理モジュール210cと印刷データ生成モジュール210dとを備えている。また、本発明によって決定された測色用座標を使用して作成されたLUT150bはHDD150に保存されている。APL250実行時に利用者が印刷実行指示を行うと、印刷にかかる画像データ150aが画像データ取得モジュール210aに取得され、画像データ取得モジュール210aは上記色変換モジュール210bを起動する。色変換モジュール210bは、sRGB階調値をCMYK階調値に変換するモジュールであり、上記17個の参照点から64個の参照点を生成するとともに、これらの参照点を使用して補間演算を行って任意のsRGBドットデータをCMYKドットデータに変換する。
【0116】
色変換モジュール210bが色変換を行ってCMYKの階調データを生成すると、当該CMYKの階調データは上記ハーフトーン処理モジュール210cに受け渡される。ハーフトーン処理モジュール210cは、各ドットのCMYK階調値を変換してインク滴の記録密度で表現するためのハーフトーン処理を行うモジュールであり、変換後の記録密度でインクを付着させるためのヘッド駆動データを生成する。印刷データ生成モジュール210dはかかるヘッド駆動データを受け取って、印刷装置400で使用される順番に並べ替えるラスタライズを行う。このラスタライズの後、画像の解像度などの所定の情報を付加して印刷データを生成し、パラレル通信用I/O190bを介して印刷装置400に出力する。印刷装置400においては当該印刷データに基づいて上記ディスプレイ180に表示された画像を印刷する。
【0117】
この印刷処理において、色変換は本発明によって決定された測色用座標を使用して作成されたLUTを参照して行われるので、ディスプレイ180および印刷装置400の色域全域に渡って高精度に色変換を行うことが可能であり、トーンジャンプの無い高画質の印刷を実施することができる。尚、以上の説明はPRTDRV210による非常に汎用的な印刷処理である。従って、本発明にかかる測色用座標決定方法にて測色用座標を決定し、LUTを作成すれば、従来の印刷処理にて使用されていたLUTを本発明によるLUTに置き換えるだけで多くの印刷装置にてハードウェア構成を全く変えることなく、非常に高画質の印刷を実行可能にすることができる。
【0118】
以上説明したように、本発明においては第1色空間における測色用座標より多数の基準座標によって基準対応関係を規定し、測色用座標によって試行用対応関係を規定し、特定の座標について基準対応関係と試行用対応関係とから第2色空間中の座標を算出する。そして、それぞれの第2色空間中の座標のずれを極小化するように試行を繰り返す。従って、必要充分な数の測色用座標によって表色空間の全域に渡って高精度に色の対応関係を規定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】測色用座標決定方法の工程を概略的に説明する説明図である。
【図2】測色用座標決定方法の各工程の関係を示すブロック図である。
【図3】測色用座標決定装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】測色用座標によって印刷するパッチPの例を説明する説明図である。
【図5】CMY色空間に形成される立方体を示す図である。
【図6】Lab色空間に形成される立体を示す図である。
【図7】スプライン補間関数の決定を説明するための説明図である。
【図8】スプライン補間関数の決定を説明するための説明図である。
【図9】スプライン補間関数の決定を説明するための説明図である。
【図10】スプライン補間関数による色変換精度を説明する説明図である。
【図11】距離制限を説明する説明図である。
【図12】隣接行列の説明図である。
【図13】距離制限の判別が実施される様子を説明する説明図である。
【図14】稜線上の測色用座標からCMY色空間中の測色用座標を決定する様子を説明する説明図である。
【図15】測色用座標決定作業の全体を示すゼネラルフローである。
【図16】距離制限決定処理のフローチャートである。
【図17】ずれ算出処理のフローチャートである。
【図18】印刷時にLUTを使用するコンピュータ構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…コンピュータ
11…ディスプレイ
12…プリンタ
20…測色器
30…基準座標測色値
31…基準対応関係規定部
31a…スプライン補間演算モジュール
32…試行部
32a…試行モジュール
33…測色用座標仮決定部
33a…測色用座標仮決定モジュール
34…試行用対応関係規定部
35…ずれ算出部
35a…ずれ算出モジュール
36…測色用座標特定部
36a…測色用座標決定モジュール
37…初期座標
38…隣接行列
38a…隣接行列データ
39a…LUT作成モジュール
39c…測色用座標測色値

Claims (3)

  1. 所定の画像機器で使用される第1色空間の複数の座標における出力色を測色して第2色空間の座標を得ることにより上記第1色空間と上記第2色空間との対応関係を規定するにあたり、上記複数の座標位置を測色用座標として決定する測色用座標決定方法において、
    上記第1色空間の座標ついて上記第2色空間の座標を取得し、上記第1色空間と上記第2色空間との対応関係を規定する基準対応関係規定工程と、
    上記基準対応関係規定工程における第1色空間の座標より粗い間隔で座標を決定し、当該決定した座標と上記基準対応関係に基づいて上記第1色空間と上記第2色空間との対応関係を規定する試行用対応関係規定工程と、
    上記決定された座標のうち隣り合う座標について上記基準対応関係にて規定される上記第2色空間の座標相互の距離に制限を与え、上記第1色空間中の特定の座標について上記基準対応関係にて規定される上記第2色空間の座標と上記試行用対応関係にて規定される上記第2色空間中の座標とのずれを算出する算出工程と、
    当該ずれが極小化したときの座標を測色用座標として決定する工程
    を具備し、
    上記算出工程においては、所定色を可変にしつつ所定色を固定して規定された基準座標を結んだ線上に存在しうる総ての座標について上記基準対応関係にて規定される第2色空間中の座標間の距離を積算した基準長を(測色用座標数−1)で除した数に所定定数を乗じた値を上記隣り合う座標に対応した第2色空間中の座標相互の最大距離とする、
    ことを特徴とする測色用座標決定方法。
  2. 上記第1色空間は画像機器で使用する所定の3色を成分とした色空間であり、上記第2色空間は均等色空間であることを特徴とする、
    請求項1に記載の測色用座標決定方法。
  3. 上記所定定数は2以上、3以下であることを特徴とする、
    請求項1または2いずれかに記載の測色用座標決定方法。
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