JP4112774B2 - 加工設備における回転体の回転不良監視装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は圧延設備におけるローラガイド等の回転体の回転不良監視装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ローラガイドの回転検出としては、実開平4−108907号公報に記載のものが公知である。
この従来のものは、ローラに設けた検出片を回転検出センサで検知し、回転数に相当する電気信号を取り出して、回転が不良か否か判定している。
回転不良は、回転検出センサで検出されたローラの回転数が所定値よりも低下した場合に不良と判定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のものでは、検出されたローラの回転数だけでは、回転不良か否かを判定することはできない。つまり、回転数と所定値(基準回転数)とを比較することでしか判定できない。
しかし、ローラを通過する材の通過速度は変更される場合があり、その場合、基準回転数も変更しなければならず煩雑である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ローラの回転角に依存して時間的に変化する信号を周波数分析して観察したことろ、ローラが回転停止乃至回転低下を起こすと、前記主成分周波数が低下すると共に、ノイズ成分が増大して、主成分とノイズ成分のレベル差が小さくなることを見出した。本発明者は、これを利用して、従来にない回転不良判装置・方法を発明した。
すなわち、本発明の特徴は、被加工体と接して回転される又は被加工体を送るために回転駆動される上下一対の回転体を備えた加工設備における回転体の回転不良監視装置において、前記上下の回転体の回転角に依存して時間的に変化する信号をそれぞれ検出し、上下の回転体毎の前記信号を周波数分析して当該信号の周波数成分を求める周波数検出部と、周波数分析して得られた周波数成分のうち上下の回転体のそれぞれの主成分周波数の差を比較すると共に、少なくとも上下の回転体の一方の主成分周波数のレベルに基づいて、上下の回転体の回転不良を判定する回転不良判定部と、を備えている点にある。
【0005】
なお、本発明において、回転体とは、ローラガイドのように被加工体の移動で回転させられるものの他、被加工体を送るために回転駆動される回転体の双方を含む。
また、前記回転不良判定部は、上下の回転体での主成分周波数の差が所定範囲外であると共に、前記主成分周波数レベルに対して低レベルの周波数成分レベルのレベル比率が所定比率を超えた場合に、回転不良と判定するのが好適である。
また、前記回転体としては、ローラ軸にローラを回転自在に設けて構成され、前記ローラ軸の一端より軸方向に通路を設け、さらにその通路に連通させて径方向に通路を設ける一方、径方向に設けた通路の開口に対向するローラの内周面に、前記開口を開閉する部分を周方向に設けてなり、軸方向に設けた通路の軸端における開口には気体圧をかける管路が接続され、かつ、その管路に圧力検出装置が接続され、前記周波数検出部は、前記圧力検出装置によって検出された圧力変化の信号を周波数分析するのが好適である。
【0006】
また、前記被加工体は条鋼であり、加工設備は仕上げブロックミル又はこれに後続するサイジングミルであるのが好適である。
また本発明に係る方法は、被加工体と接して回転される又は被加工体を送るために回転駆動される上下一対の回転体を備えた加工設備における回転体の回転不良監視方法において、前記上下の回転体の回転角に依存して時間的に変化する信号をそれぞれ検出し、上下の回転体毎の前記信号を周波数分析して前記信号の周波数成分を求め、上下の回転体のそれぞれの主成分周波数の差を比較すると共に、少なくとも上下の回転体の一方の主成分周波数のレベルに基づいて、上下の回転体の回転不良を判定することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明が適用される条鋼(線材、棒材等)の圧延設備1を示している。この圧延設備1は、加熱炉2を有し、この加熱炉2から送りだされた被圧延材(被加工体)を圧延するために、加熱炉2側から粗列圧延機3、一中間列圧延機4、二中間列圧延機5が配置されている。二中間列圧延機の下流側は、分岐されており、一方は巻線機6が配置され、他方には仕上ブロックミル7が配置され、仕上ブロックミル7に後続してサイジングミル8が配置されている。サイジングミル8の下流側にはローラコンベア9が接続されている。なお、圧延設備1には、作業者が圧延作業を監視・操作するための圧延運転室10が含まれる。この圧延運転室10は、圧延設備1の他の機器とは離れた場所に設置されている。
【0008】
図2は、本発明に係る回転体不良監視装置11を前記仕上ブロックミル7及びサイジングミル8に適用した例を示している。
仕上ブロックミル7は、ハウジング13内に被圧延材の流れ方向に複数のスタンドが配置されて主構成されている。図示は省略したが、この仕上ブロックミル7では、8個のスタンドが設けられ、垂直式(楕円のカリバー)の圧延ロールと水平(円のカリバー)の圧延ロールとが材流れ方向に交互に配列されている。
垂直のスタンドとその下流側にある水平のスタンドとで組を成しており、この組みを成すスタンドの間にローラガイド14がそれぞれ設けられている。つまり、水平スタンドの上流側にそれぞれローラガイド14が設けられている(計4個)。これらのローラガイド14は、水平スタンドに熱鋼を安定して供給するためのものである。ローラガイド14は、各位置において上側ローラガイド14aと下側ローラガイド14bとが設けられ、上下のローラガイド14a,14bが被圧延材を挟んで上下に対向するように対をなして設けられている。このローラガイド14は非駆動であるが、熱鋼による高速回転を繰り返すうち、ときにベアリングの焼付といった回転不良を生じて品質不良やミスロールを誘発する。
【0009】
また、サイジングミル8もハウジング16にスタンドが1つ設けられており、このスタンドにも被圧延材を安定して供給するためのローラガイド14が設けられている。なお、以下では、仕上ブロックミル7に設けられているスタンドのうち、材供給のためのローラガイド14が設けられているをスタンドを、材流れ方向上流側から「スタンド22st」、「スタンド24st」、「スタンド26st」、「スタンド28st」という。また、サイジングミル8のスタンドを「スタンド30st]という。なお、ローラガイドの位置は、上記のものに限定されない。
【0010】
図3及び図4は、ローラガイド14を示している。このローラガイド14は、被圧延材を案内するカリバーが外周面に形成されたローラ101を有し、ローラ101の内周面の中央部にはつば102が形成され、その両側にはボール軸受104を収容し得る構成となっている。
ローラ101のローラ軸107はボルト状のもので、頭110の側にはボール軸受104を受ける肩112が形成され、先端にはナット108をねじ込むねじが形成されている。また、軸中心部には頭110側から軸中央部にわたってボール軸受104への潤滑油(オイルエア)の供給孔111が穿設され軸中央部で径方向に穿設された供給孔11aと連通している。
【0011】
ローラ101は、ローラ支持本体105によって支持され、この支持本体105は、一端にローラ101の厚さより広い間隔の二股に形成されたローラ軸支持部材106,106を有し、このローラ軸支持部材106,106には、ローラ軸107を取付けるための穴109aが穿設されるとともに、一方のローラ軸支持部材106には、外面側からローラ軸7の頭110を非回転に収容するための穴109が形成され、他方のローラ軸106には、外面側からナット108を回転可能に収容するための穴9bが形成されている。
【0012】
ローラ101とローラ軸107の間には、スペーサリング116が設けられており、このスペーサリング116は、ローラ101の内周面の中央部のつば102の厚みよりわずかに薄い(0.5mm程度)厚さで且つローラ軸107の外径よりわずかに大きな(数mm程度)内径のドーナッツ板状の小径スペーサリング117と、この小径スペーサリング117の外径よりわずかに大きな(0.5mm程度)内径で且つローラ101の内周面の中央部のつば102の厚みとほぼ同じ厚さの大径スペーサリング118とで構成されるとともに、小径スペーサリング117の厚みの中央には径方向に貫通孔119が穿設され、一方、大径スペーサリング118の内周には、溝120が穿設されている。
【0013】
上記構成のガイドローラは次の手順により組立られる。
(1):ローラ101のつば102の内周に大径スペーサリング118を非回転に嵌合させるとともに、小径スペーサリング117をボール軸受104の内輪で挟むようにしてローラ101の両側よりボール軸104を装入する。
(2):上記(1)のように組付けたものを、ローラ支持本体105のローラ軸支持部材106,106の間に装入するとともに、ローラ軸107をローラ軸支持部材106の穴109側の側面より挿通し、その挿通過程で挿通方向とは逆のボール軸受104の内輪とローラ軸支持部材106との間に軸受押さえリング113を装入する。
(3):ローラ軸107を挿通した後、ローラ軸支持部材106の穴109bにローラ軸107に挿通してスプリングワッシャ114を入れナット108を締める。これにより、小径スペーサリング117は、2つのボール軸受104の内輪間で締めつけられローラ軸107に非回転に取付けられるとともに、ローラ軸107との間に供給孔111aと貫通孔119に連通する空間21が形成される。
(4):次に、ローラ軸107の頭10の供給孔111にオイルエアを供給する管路122を接続し、その管路122の途中に圧力検出装置123を接続する。オイルエアの管路122は、各ローラガイド14のそれぞれに設けられており、各管路122にそれぞれ圧力検出装置123が設けられている。圧力検出装置123は、ハウジング13,16の外部に設けられ熱による影響を回避している。また、圧力検出装置123はハウジング13,16の近傍に設けられており、圧力検出の遅延を防止している。
【0014】
以上のように構成されたローラガイド14では、管路122により供給されたオイルエアは、供給孔111,111a、空間121、貫通孔119を通りボール軸受104へ供給される。この供給過程で、ローラ101が回転すると、その回転に伴い大径スペーサリング118が回転し、これにより、大径スペーサリング118に形成した溝120が小径スペーサリング117に形成した貫通孔119を開閉する。圧力検出装置123では、この開閉時の圧力の変化が検出される。また、圧力検出装置123は、複数のローラガイド14に対応して設けられているので、それぞれのローラガイド14の回転による圧力変動を検出することができる。
【0015】
オイルエアの圧力変動は、ローラガイド14の一回転当たり4回生じる。図5は、圧力検出装置123で検出された圧力変動の信号波形を示している。図5(a)のように大径スペーサリング118の溝120が小径スペーサリング117に形成した貫通孔119を開いた場合、管路122の圧力は低下する。一方、図5(b)のように貫通孔119が閉じた場合には、管路122の圧力は高くなる。この圧力変動の信号は、ローラガイドの回転角に依存して変化する。すなわち、この信号は、ローラガイド14の回転数に比例した周波数となる。図5では、圧力変動の2周期がローラガイド14の一回転に対応する。
【0016】
圧力検出装置123から出力された圧力変動信号は、増幅器35によって増幅され、制御装置37に与えられる。なお、増幅器35は、仕上げブロックミル7等の近傍に設置されたローカル機器収納盤36に設けられている。また、制御装置37は、前記圧延運転室10に設置されている。
なお、図6に示すように、前記圧力検出装置123、増幅器35,及び後述するハイパスフィルタ38等は監視装置11の入力部を構成している。
前記制御装置37は、前記ハイパスフィルタ38の他、アナログ信号である圧力変動信号をデジタル信号に変換するA/D変換器39と、このA/D変換器39と接続されたコンピュータ(汎用パソコン)40とを有している。このコンピュータ40は、表示装置40aとしてディスプレイ表示装置を備えている。また、コンピュータ40は、圧延ラインを制御する圧延制御装置41である圧延ライン主幹制御装置41と通信可能に接続されており、この圧延制御装置41と情報をやりとりすることができる。
【0017】
また、コンピュータ40は、A/D変換されたデータをフィルタリングするローパスフィルタ部43,フィルタリングされたデータをFFT変換するFFT変換部44と、回転不良を判定する回転不良判定部45として機能するプログラムを保持している。ローパスフィルタ部43,FFT変換部44はA/D変換器39と共に信号処理部を構成している。
なお、圧力検出装置123からFFT変換部までの各機能により、ローラガイドの回転角に依存して変化する信号である圧力変動信号の周波数が検出されるので、これら各機能が本発明にいう周波数検出部33を構成していることになる。
【0018】
図7は、本監視装置11による監視処理の流れを示している。まず、装置11が立ち上げられると、システムの初期化が行われる。そして、圧延ラインの状態判定が行われる。このライン状態判定には、メタルイン判定と使用スタンド判定が含まれる。
メタルイン判定は、被圧延材がラインに有るか否かの判定であり、判定結果は、後述の監視状況表示画面で監視中か待機中かを表示するために用いられる。被圧延材がなければ監視は不要であり、待機していればよい。
【0019】
また、使用スタンドの判定は、使用スタンドを監視し画面に表示するために行われる。スタンドは、圧延サイズや製品品質等の変更によって使用されるものが変更される。例えば、ある種類の圧延には、すべてのスタンド22st,24st,26st,28st,30stが使用される一方、他の種類の圧延には、一部のスタンド22st,24st,30stしか使用されない場合もある。さらに他の種類の圧延には、他の一部のスタンド22st,24st,28stが使用される場合もある。使用されないスタンドには、圧延ローラやローラガイド14がないので、ローラガイド14の監視は不要である。
【0020】
このような圧延の仕方毎の使用スタンド情報は、前記圧延制御装置41がそのメモリにデータテーブルとして保持しており、監視装置11は、圧延制御装置41から使用スタンド情報を取り込んで、監視すべきスタンドの認識を行う。
したがって、圧延サイズの変更によりスタンド構成が変更されても自動的に使用スタンドのみを診断する。
ローラガイド14の監視が開始されると、圧力検出装置123から出力された圧力変動アナログ信号は、ハイパスフィルタ38でフィルタリングされ、A/D変換器に与えられてデジタルデータに変換される。このデジタルデータは、コンピュータ40のメモリに格納される。このデジタルデータはローパスフィルタ43でフィルタリングされ、FFT変換部によってFFT解析される。圧力変動の変化速度は、非常に速い(ローラガイドの回転速度:2万〜3万rpm)ので生データのままでは取り扱いが困難であるが、FFT解析により取り扱いが容易になる。
【0021】
前記FFT解析により圧力変動の周波数成分が求められ、この周波数成分に基づいてローラ回転検出処理が行われる。この処理によって、圧力変動の主成分(第1次成分)周波数が求められる。なお、主成分周波数は、一般に最もレベルの大きい周波数であり、FFT変換後のデータからピークリストとハーモニックリストを作成すること等で求めることができるが、公知の手法であるので説明を省略する。また、主成分がない場合には、回転の監視は行われない。
この処理を行うと、図8(a)のような採取された圧力変動のデータから、図8(b)のようにローラガイド14の回転によってできなオイルエアの圧力変化の周波数(主成分周波数)が求められる。この圧力変化周波数は、ローラガイド14の回転状態を示しており、ローラガイド14の回転が低下したり停止したりすれば、周波数の低下となって現れる。
【0022】
回転不良判定部45は、圧力変動の周波数成分に基づいて回転不良診断を行う。不良診断のための判定は、(1)各ローラガイドの回転数差に基づく判定と、(2)周波数分布による回転停止判定を併用することによって行われる。
(1)の回転数差判定は、被圧延材を挟んで対をなす上下のローラガイド14a,14bにそれぞれ対応して設けられた圧力検出装置123により検出された信号の周波数の比較によって行われる。
この比較は、上側ローラガイド14aについて求められた主成分周波数と、下側ローラガイド14bについて求められた主成分周波数の差異を算出することによって行われる。差異の算出は、比較される2つの主成分周波数のうち、大きい方を主成分周波数Aとし、小さい方を主成分周波数Bとした場合に、差異=(主成分周波数A−主成分周波数B)/主成分周波数×100(%)として求められる。
【0023】
例えば、図9に示すように、上側ローラガイド14aの主成分周波数が300Hzであり、下側ローラガイド14bの主周波数成分が320Hzの場合には、差異は、6.25%と算出される。
この判定方法によれば、比較されるローラガイド14のいずれかの回転数が低下したり停止した場合に、即座に回転異常と判定することができる。また、従来のように、被圧延材の通過速度に対応した基準値も不要となる。
なお、算出された差が、所定範囲を超えた場合には、上側ローラガイド14aと下側ローラガイド14bの間に回転差が生じ回転不良であると判定する。差異が許容範囲内であるか否かを判定するための所定範囲基準値は、回転不良判定部45に予め設定されているが、精度の変更のため手動で設定変更可能としておくのが好ましい。なお、設定変更は、各ローラガイド毎又は各スタンド毎に行えるようにしておくのが好ましい。
【0024】
(2)の回転停止判定は、本発明に係るものであり、圧力検出装置123で検出された信号の周波数成分に基づいて行われる。周波数解析の結果に基づいて、各周波数成分を、レベルの大きいものから順番に並べ、レベルの一番大きいもの(主成分)と、N番目に大きいもの(低レベル成分)を比較し、主成分に対する低レベル成分の比率が予め設定された所定比率を超えた場合に、ローラガイド14の回転停止と判定する。
ローラガイド14の回転が停止した場合には、主成分のレベルが低下し、ノイズが増加することが経験的に見出されたので、これを利用して回転停止を検出しようとするものである。この判定方法であれば、複数のローラガイド14の回転を比較する必要がないので、すべてのローラガイド14が停止した場合であっても、確実に回転不良を判定できる。特に、(1)の判定と組み合わせることによって、より確実に回転不良を判定できる。
【0025】
図10は、上側ローラガイド14aが正常に回転し、下側ローラガイド14bが停止した場合を示している。この図10では、FFT変換で求められた各周波数成分を、周波数レベルが高いものから小さいものへ順番に並べている。すなわち、図10において左側に位置する最もレベル大きい成分が主成分周波数であり、右側へ行くに従ってレベルが小さくなるように並べられている。
図10(a)に示すように、上側ローラガイド14aは正常に回転しているので、主成分が大きくN番目(図では14番目)の成分との差は十分に大きい。主成分に対するN番目の周波数成分のレベル比率は6%である。このように比率が小さければ、正常に回転しているものと判定される。
【0026】
一方、図10(b)に示すように、下側ローラガイド14bは停止乃至回転停止しているので、主成分のレベルが下がり、逆にノイズにより低レベル成分が上昇し、両者の差が小さくなっている。ここで、主成分に対するN番目の周波数成分のレベル比率は25%である。このレベル比率が高いことから、主成分のレベルが低下したものとして回転不良と判定される。なお、回転比率が良いか悪いかの基準となる比率(所定比率)は、予め回転不良判定部45に設定されているが、精度の変更のため手動で設定変更可能としておくのが好ましい。なお、設定変更は、各ローラガイド毎又は各スタンド毎に行えるようにしておくのが好ましい。また、Nの値も手動で設定変更可能としておくのが好ましい。
【0027】
上記のような回転不良判定結果は、常時、表示装置40aの監視表示画面50に表示されている。この画面50は、監視するスタンド(使用スタンド)を表示する監視スタンド状態表示部51、現在の監視機能がどのような状態(待機中、監視中)になっているかを表示する現在監視状態表示部52、監視を行うための設定項目の値を表示する監視設定項目表示部53、監視中の各スタンドの状態をグラフ表示するスタンド状態表示部54、異常発生時に最新の異常情報を表示する最新異常情報表示部55を含んでいる。
【0028】
監視スタンド状態表示部51には、前記使用スタンド情報に基づいて、現在使用されているスタンド14が表示されている。図11では、すべてのスタンド「22,24,26,28,30」が表示されされ、すべてのスタンドが使用されて監視対象となっていることを示している。また、例えば使用スタンドが「22st,24st,30st」に変更されれば、スタンド状態表示部51には、「22,24,30」が表示される。
現在監視状態表示部52には、前記メタルイン判定の結果が表示され、被圧延材のない監視不要の状態であれば、図11のように「待機中」と表示され、被圧延材があれば「監視中」と表示される。
【0029】
スタンド状態表示部54には、前記使用スタンド情報に基づいて、現在使用されている各スタンドの状態をグラフ表示する。図11では、すべてのスタンドが使用されているので、全てのスタンドの状態が表示されている。表示されるグラフの内容は、上側ローラガイド14a、下側ローラガイド14bそれぞれの主成分である。
回転不良判定部45により、回転不良と判定されると、異常処理が行われる。異常処理には、異常警報処理と異常データ保存処理とが含まれる。異常警報処理では、画面50中で異常発生とされたスタンド14を反転表示させ、ブザーを鳴らして警告する。なお、異常発生以降も回転不良判定処理は動作継続される。
【0030】
異常データ保存処理では、FFT変換後のデータや異常発生日時、異常発生スタンド番号などの記録をコンピュータのハードディスク等の記憶部に記憶する。
図12は、上下のローラガイド14a,14bの回転が正常な場合、図13は、下側のローラガイド14bが停止した場合の、FFT変換後のデータの状態を具体的に示している。図12の場合には、上側ローラ14aの主成分周波数は180Hzで、下側ローラ14bの主成分周波数は183Hzである。両者の周波数の差異は少なく、ノイズ成分に対して主成分が十分に大きいので正常と判断される。
【0031】
一方、図13の場合には、上側ローラ14aの主成分周波数は180Hzで、下側ローラ14bの主成分周波数は361Hzであり、両者の周波数の差異が大きいので回転不良乃至停止と判断される。また、主成分周波数のレベルが下がり、逆のノイズのレベルが上昇していることからも不良と判断される。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。特に、本発明の適用は圧延設備に限定されるものではなく、回転体を有する他の設備にも適用できる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、被加工体の速度に依存して変化するような基準回転速度を用いることなく、回転体の回転不良を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される圧延設備の概要を示す図である。
【図2】 仕上ブロックミルとサイジングミルに本発明を適用した場合の装置概略図である。
【図3】 ローラガイドの断面説明図である。
【図4】 図3のX−X線断面図である。
【図5】 ガイドローラの回転状態と、圧力変動信号の関係を示す説明図である。
【図6】 制御装置の詳細な構成を含む装置概略図である。
【図7】 監視装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】 圧力検出装置で検出された信号からFFT解析で圧力変化の周波数が求まることの説明図である。
【図9】 回転差による回転不良判定方法の説明図である。
【図10】 周波数分布による回転不良判定方法の説明図である。
【図11】 監視状況表示画面の説明図である。
【図12】 正常時のFFT変換後データである。
【図13】 下側ローラ停止時のFFT変換後データである。
【符号の説明】
1 圧延設備
11 回転不良監視装置
14 ローラガイド
33 周波数検出部
45 回転不良判定部
Claims (6)
- 被加工体と接して回転される又は被加工体を送るために回転駆動される上下一対の回転体(14a,14b)を備えた加工設備における回転体の回転不良監視装置において、
前記上下の回転体(14a,14b)の回転角に依存して時間的に変化する信号をそれぞれ検出し、上下の回転体(14a,14b)毎の前記信号を周波数分析して当該信号の周波数成分を求める周波数検出部(3)と、
周波数分析して得られた周波数成分のうち上下の回転体(14a,14b)のそれぞれの主成分周波数の差を比較すると共に、少なくとも上下の回転体(14a,14b)の一方の主成分周波数のレベルに基づいて、上下の回転体の回転不良を判定する回転不良判定部(45)と、を備えていることを特徴とする加工設備における回転体の回転不良監視装置。 - 前記回転不良判定部(45)は、上下の回転体(14a,14b)での主成分周波数の差が所定範囲外であると共に、前記主成分周波数レベルに対して低レベルの周波数成分レベルのレベル比率が所定比率を超えた場合に、回転不良と判定することを特徴とする請求項1記載の加工設備における回転体の回転不良監視装置。
- 前記回転体(14a,14b)は、ローラ軸(107)にローラ(101)を回転自在に設けて構成され、前記ローラ軸(107)の一端より軸方向に通路を設け、さらにその通路に連通させて径方向に通路を設ける一方、径方向に設けた通路の開口に対向するローラの内周面に、前記開口を開閉する部分を周方向に設けてなり、
軸方向に設けた通路の軸端における開口には気体圧をかける管路(122)が接続され、かつ、その管路に圧力検出装置(123)が接続され、
前記周波数検出部(33)は、前記圧力検出装置(123)によって検出された圧力変化の信号を周波数分析することを特徴とする請求項1記載の加工設備における回転体の回転不良監視装置。 - 前記被加工体は条鋼であり、加工設備は仕上げブロックミル(7)又はこれに後続するサイジングミル(8)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の回転体の回転不良監視装置。
- 被加工体と接して回転される又は被加工体を送るために回転駆動される上下一対の回転体を備えた加工設備における回転体の回転不良監視方法において、
前記上下の回転体の回転角に依存して時間的に変化する信号をそれぞれ検出し、上下の回転体毎の前記信号を周波数分析して前記信号の周波数成分を求め、上下の回転体のそれぞれの主成分周波数の差を比較すると共に、少なくとも上下の回転体の一方の主成分周波数のレベルに基づいて、上下の回転体の回転不良を判定することを特徴とする加工設備における回転体の回転不良監視方法。 - 上下の回転体のそれぞれの主成分周波数の差が所定範囲外であると共に、前記主成分周波数レベルに対して低レベルの周波数成分レベルのレベル比率が所定比率を超えた場合に、回転不良と判定することを特徴とする請求項5に記載の回転体の回転不良監視方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000103908A JP4112774B2 (ja) | 2000-04-05 | 2000-04-05 | 加工設備における回転体の回転不良監視装置及び方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2000103908A JP4112774B2 (ja) | 2000-04-05 | 2000-04-05 | 加工設備における回転体の回転不良監視装置及び方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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