JP4110832B2 - 高導電性樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents

高導電性樹脂成形品およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高導電性を有する樹脂成形品およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、成形性に優れ、低コストで製造可能な高導電性樹脂成形品およびその効率的な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高導電性を必要とする樹脂材料のニーズが大幅に増えてきている。特に、自動車部品用途においては、環境対策の一環として軽量化のために金属から樹脂への代替が進められているが、ここで使用する樹脂材料の一部には、高い導電性が要求されるようになっている。
【0003】
例えば、近年、炭酸ガス排出問題に対応するために、従来石油資源から得ていたエネルギーを、石油資源に依らない方法で供給する方法の一つとしての燃料電池があり、この燃料電池については、車両用電源や一般家庭用電源への普及を目指しての開発が盛んに進められている。
【0004】
また、自動車分野においても、排出ガス規制などの観点から、自動車の軽量化のために、外装材を樹脂化する検討が進んでおり、従来の金属塗装と同じように、樹脂製外装材に静電塗装あるいは電着塗装を行うに際しては、塗装ムラをなくすために、樹脂成形品の表面に安定した導電性が必要とされている。
【0005】
しかるに、上記した導電性のニーズに対応するために、高導電性を有する樹脂成形品を得る方法としては、炭素繊維や金属繊維あるいは黒鉛などの導電性物質を樹脂に混合して成形する方法が従来から知られているが、高導電性を得るためには、導電物質を多量に添加する必要がある。例えば、フィラー高充填配合組成物の取得方法として、押出機のヘッド部を解放した状態で混練・押し出すことを特徴とする製造方法が提案されている(特開平8−1663号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では混練時にダイを外していることから、混練時に押出機バレル内の圧力が上がらないために十分に熱可塑性樹脂とフィラーが混合せず、得られた組成物中で組成バラツキがおき、それにより特性バラツキ大きくなる可能性がある。
【0007】
また、単純に導電剤を多量に添加しても成形性が悪くなる一方、導電剤が絶縁性の樹脂の薄い膜で覆われることに起因して、その添加量に見合うだけの十分な導電性を有する成形品が得られないため、成形性が悪くなると共に製造コストが非常に高くなるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0009】
したがって、本発明は、溶融加工が可能で用いる導電剤の特性を高効率に発揮することを可能とした低コストで製造可能な高導電性樹脂成形品およびその効率的な製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
【0011】
すなわち本発明は、
(1) 熱可塑性樹脂と導電剤の組成比が両者の合計100容量%に対して熱可塑性樹脂1〜40容量%、導電剤99〜60容量%である樹脂組成物100重量部に対して、さらに25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化する物質(X)を0.1〜30重量部配合してなる錠剤型樹脂組成物を溶融成形してなる樹脂成形品であって、その少なくとも導通させる必要のある接触表面部分に切削部を形成することにより、高導電性部分を有する部分を露出せしめてなることを特徴とする高導電性樹脂成形品、
(2) 熱可塑性樹脂と導電剤の組成比が両者の合計100容量%に対して熱可塑性樹脂1〜40容量%、導電剤99〜60容量%である樹脂組成物100重量部に対して、がさらに25℃における粘度が1〜5000m Pa s の液状有機化合物を0.1〜30重量部配合してなる錠剤型樹脂組成物を溶融成形してなる樹脂成形品であって、その少なくとも導通させる必要のある接触表面部分に切削部を形成することにより、高導電性部分を有する部分を露出せしめてなることを特徴とする高導電性樹脂成形品、
(3) 熱可塑性樹脂と導電剤の組成比が両者の合計100容量%に対して熱可塑性樹脂1〜40容量%、導電剤99〜60容量%である樹脂組成物100重量部に対して、さらにリン酸エステルを0.1〜30重量部配合してなる錠剤型樹脂組成物を溶融成形してなる樹脂成形品であって、その少なくとも導通させる必要のある接触表面部分に切削部を形成することにより、高導電性部分を有する部分を露出せしめてなることを特徴とする高導電性樹脂成形品、
)前記錠剤型樹脂組成物、の縦、横、高さ、直径のいずれかの最大値が15mm未満、最小値が1mm以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高導電性樹脂成形品、
)前記錠剤型樹脂組成物の形状が円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型、円盤状、キュービック状または角柱状である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の高導電性樹脂成形品、
)前記切削部が、切削前の樹脂成形品の最表面層から深さ方向に5〜500μmの深さに形成されたものである上記(1)〜()のいずれかに記載の高導電性樹脂成形品、
) 前記樹脂成形品の接触表面部分のJIS K6911に準じて測定した体積固有抵抗値が1×1010Ωcm以下であることを特徴とする上記(1)〜()いずれか記載の高導電性樹脂成形品、
) 前記切削部形成後の樹脂成形品の接触表面部分の体積固有抵抗値が、前記切削部形成前の体積固有抵抗値より50%以上低下していることを特徴とする上記(1)〜()のいずれか記載の高導電性樹脂成形品、
)前記錠剤型樹脂組成物を溶融成形した後、得られた樹脂成形品の少なくとも導通させる必要のある接触表面部分を切削することを特徴とする上記(1)〜()のいずれか記載の高導電性樹脂成形品の製造方法、
10)前記切削を物理的な研磨方法で行うことを特徴とする上記()に記載の高導電性樹脂成形品の製造方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0013】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、成形加工できる合成樹脂のことである。その具体例としては、例えば、非液晶性半芳香族ポリエステル、非液晶性全芳香族ポリエステルなどの非液晶性ポリエステル、ポリカーボネート、脂肪族ポリアミド、脂肪族−芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドなどのポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのオレフィン系重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー等のエラストマーから選ばれる1種または2種以上の混合物が挙げられる(“/”は共重合を表す。以下同じ)。
【0014】
さらに非液晶性半芳香族ポリエステルの具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレートなどの共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0015】
また、ポリアミドの具体例としては、例えば環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン4・6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリ(メタキシレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)などの脂肪族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体が挙げられ、共重合体として例えばナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などを挙げることができる。なお、共重合の形態としてはランダム、ブロックいずれでもよいが、ランダムが好ましい。
【0016】
また、液晶ポリマーとは、異方性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有するものが好ましい。例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル、あるいは、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミドなどが挙げられ、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなど、また液晶性ポリエステルアミドとしては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位以外にさらにp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドである。
【0017】
上記液晶性ポリエステルおよび液晶性ポリエステルアミドのうち、好ましい構造の具体例としては、下記(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、または、(I)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
【0018】
特に好ましいのは(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルである。
【0019】
【化1】
Figure 0004110832
【0020】
(ただし式中のR1は
【0021】
【化2】
Figure 0004110832
【0022】
から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
【0023】
【化3】
Figure 0004110832
【0024】
から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)。
【0025】
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1が
【0026】
【化4】
Figure 0004110832
【0027】
であり、R2が
【0028】
【化5】
Figure 0004110832
【0029】
であるものが特に好ましい。
【0030】
本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエステルは、上記したように、構造単位(I)、(III)、(IV)からなる共重合体および上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体から選択される1種以上であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)の共重合量は任意である。しかし、本発明の特性を発揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
【0031】
すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して30〜95モル%が好ましく、40〜85モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70〜5モル%が好ましく、60〜15モル%がより好ましい。また、構造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]は好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであることが好ましい。
【0032】
一方、上記構造単位(II) を含まない場合は流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位(I)および(III)の合計に対して40〜90モル%であることが好ましく、60〜88モル%であることが特に好ましく、構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルであることが好ましい。
【0033】
ここで実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
【0034】
また液晶性ポリエステルアミドとしては、上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
【0035】
上記好ましく用いることができる液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを液晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0036】
本発明において使用する上記液晶性ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0037】
例えば、上記液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する方法。
【0038】
本発明に使用する液晶性ポリエステルは、導電剤を高充填した場合の流動性低下を抑制するため、溶融粘度は0.5〜80Pa・sが好ましく、特に1〜50Pa・sがより好ましい。また、流動性がより優れた組成物を得ようとする場合には、溶融粘度を40Pa・s以下とすることが好ましい。
【0039】
なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
【0040】
ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
【0041】
上述した熱可塑性樹脂のうち機械的性質、成形性などの点からポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびポリエチレンテレフタレートなどの非液晶性ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12、ナイロン4・6、ポリノナンメチレンテレフタルアミド、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン66/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン12/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6/ナイロン6・6/ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(メチルペンタメチレンテレフタルアミド)/ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)などのポリアミド、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、から選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましく用いることができる。
【0042】
なかでもナイロン6、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位の液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位の液晶性ポリエステルを特に好ましく用いることができる。
【0043】
本発明で用いる導電剤とは、導電性フィラーおよび/または導電性ポリマーであり、特に限定されるものではない。
【0044】
上記導電性フィラーは、通常樹脂の導電化に用いられる導電性フィラーであれば特に制限はなく、その具体例としては、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊維、金属酸化物、導電性物質で被覆された無機フィラー、カーボン粉末、黒鉛、PAN系あるいはピッチ系炭素繊維、カーボンフレーク、鱗片状カーボンおよびカーボンナノチューブなどが挙げられる。
【0045】
ここで、上記金属粉、金属フレークおよび金属リボンの金属種の具体例としては、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロムおよび錫などを例示することができる。
【0046】
また、上記金属繊維の金属種の具体例としては、鉄、銅、ステンレス、アルミニウムおよび黄銅などを例示することができる。
【0047】
かかる金属粉、金属フレーク、金属リボンおよび金属繊維は、いずれもチタネート系、アルミ系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0048】
上記金属酸化物の具体例としては、SnO2 (アンチモンドープ)、In2 3 (アンチモンドープ)およびZnO(アルミニウムドープ)などを例示することができ、これらはチタネート系、アルミ系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0049】
上記導電性物質で被覆された無機フィラーにおける導電性物質の具体例としては、アルミニウム、ニッケル、銀、カーボン、SnO2 (アンチモンドープ)およびIn2 3 (アンチモンドープ)などを例示することができる。また、被覆される無機フィラーとしては、マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛系ウィスカー、酸化チタン酸系ウィスカーおよび炭化珪素ウィスカーなどを例示することができる。被覆方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法および焼き付け法などが挙げられる。そして、これらの導電性物質で被覆された無機フィラーもまた、チタネート系、アルミ系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0050】
上記カーボン粉末は、その原料および製造法から、アセチレンブラック、ガスブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラックおよびディスクブラックなどに分類される。本発明で用いることのできるカーボン粉末は、その原料および製造法については特に限定されないが、なかでもアセチレンブラックおよびファーネスブラックが特に好適に用いられる。また、カーボン粉末としては、その粒子径、表面積、DBP吸油量および灰分などの特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。本発明で用いることのできるカーボン粉末は、これら特性については特に制限はないが、強度および電気伝導度のバランスの点から、平均粒径が500nm以下、特に5〜100nm、さらには10〜70nmの範囲にあることが好ましい。また、表面積(BET法)が10m2 /g以上、さらには30m2 /g以上の範囲にあることが好ましい。さらに、DBP給油量が50ml/100g以上、特に100ml/100g以上の範囲にあることが好ましい。さらにまた、灰分が0.5%以下、特に0.3%以下の範囲にあることが好ましい。
【0051】
かかるカーボン粉末は、チタネート系、アルミ系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。また、樹脂との溶融混練作業性を向上させるために造粒されたものを用いることも可能である。
【0052】
本発明で用いられる導電性ポリマーの具体例としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ(パラフェニレン)、ポリチオフェンおよびポリフェニレンビニレンなどを例示することができる。
【0053】
上記導電性フィラーおよび/または導電性ポリマーは、2種以上を併用して用いてもよいが、下記で説明する導通表面切削により、導電性向上効果をより一層好適に発揮するためには、高いアスペクト比を有する繊維状フィラーよりも、粉状、粒状、板状、鱗片状の導電剤を含む導電剤であることが好ましい。ここでいう粉状、粒状、板状、鱗片状の導電剤としては、黒鉛およびカーボンブラックが好適に用いられる。
【0054】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂と導電剤との配合量は、用いる導電剤の特性を発揮し、かつ溶融加工性とのバランスの点から、熱可塑性樹脂と導電剤の合計量100容量%に対し、通常、熱可塑性樹脂1〜40容量%、導電剤99〜60容量%であり、熱可塑性樹脂2〜25容量%、導電剤98〜75容量%であることが好ましく、熱可塑性樹脂3〜20容量%、導電剤97〜80容量%であることがより好ましい。
【0055】
また、本発明で用いる錠剤型樹脂組成物には、錠剤としての形状保持と成形時の錠剤の安定的な圧壊による計量安定性付与効果の両立を図るためにさらに25〜250℃の温度範囲で力学的に固体の状態から液体または気体に変化する物質(X)を添加することが可能である。
【0056】
本発明に使用される物質(X)とは、すなわち、25〜250℃の温度範囲の中で力学的に固体の状態から流動性に富む液体や気体の状態になる物質であるが、このような物質として、例えば、脂肪酸の1価アルコールエステル、脂肪酸金属塩、多塩基酸のアルコールエステル、多価アルコールの脂肪酸エステル、およびそれらの誘導体、グリセリンの脂肪酸エステル、シリコーンレジン、フェノール系化合物、エポキシ系化合物、ホスファイトあるいはホスフェート系化合物、チオエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アミド基含有化合物、シアヌレート化合物およびその塩等で融点または軟化点が40〜250℃のものが挙げられる。
【0057】
具体的には、ステアリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアレートなどの脂肪酸の1価アルコールエステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸リチウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸バリウム、モンタン酸アルミニウムなどの脂肪酸金属塩、フタル酸ジステアリル、トリメリット酸ジステアリルなどの多塩基酸の脂肪酸エステル、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリプロピレングリコールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレートなどの多価アルコールの脂肪酸エステル、ステアリン酸モノグリセライド、パルミチン酸・ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノ・ジグリセライド、ステアリン酸・オレイン酸・モノ・ジグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライドなどのグリセリンの脂肪酸エステル、メタクリル酸ベヘニル、モンタン酸エステルおよびその誘導体、ステアリン酸エステルおよびその誘導体、ビスフェノール型単官能および多官能エポキシ化合物、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスフェート、ジ(2,4−ジ−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフェート、ビス−(2,6−ジ−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフェートなどのホスフェート化合物、ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのホスファイト系化合物、トリエチレングリコール−ビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、2,2−チオ−ジエチレンビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テルペンフェノール、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンなどのフェノール系化合物、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、ステアリルエルカミドなどのアミド基含有化合物、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、メラミン/シアヌレート塩などのシアヌレート化合物およびその塩、2,5−ビス(5’−t−ブチルベンゾオキソザリル(2))チオフェン、エポキシ基または、メタクリル基または、アミノ基含有あるいは未官能のシリコーンレジンが挙げられる。また、分解発泡剤のように25℃以下で固体で、25〜250℃の温度範囲で気体に変化する物質が挙げられる。そのような物質として具体的には、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジン、アゾジカルボン酸バリウム、トリヒドラジノトリアジン、5−フェニルテトラゾール等が挙げられる。
【0058】
本発明において物質(X)として上記の物質のいずれか1種、または2種以上の混合物であってもよい。
【0059】
本発明に用いる物質(X)は、ハンドリング性、溶融可塑化特性の点から25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化するものであり、好ましくは、40〜230℃、より好ましくは、50〜220℃、さらに好ましくは、60〜200℃で固体から液体または気体に変化することが好ましい。
【0060】
本発明においては、錠剤型樹脂組成物を製造する際には物質(X)は固体で存在し、錠剤型組成物を溶融成形する際には液体または気体に変化することができる。本発明においては、このような物質(X)を用いることにより、錠剤としての形状保持と成形時の錠剤の安定的な圧壊による計量安定性付与効果の両立が図れるものと推察される。
【0061】
上記物質(X)の添加量は、熱可塑性樹脂と導電剤の合計量100重量部に対し、0.1〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜25重量部、さらに好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは2〜15重量部である。なかでも3〜10重量部が、特に好ましい。
【0062】
物質(X)の添加量が本発明の範囲より多すぎる場合、得られた成形品表面にブリードアウトしてくると共に、それによって熱可塑性樹脂と導電剤界面の剥離を引き起こし、機械物性が低下する傾向にあり、少なすぎる場合、添加による成形時の圧壊による計量安定性付与効果が小さくなる傾向にある。
【0063】
また、本発明には、錠剤型樹脂組成物を製造する際に組成分布を低減し、溶融成形する際に錠剤型組成物の圧壊性が均一とすることで成形時の計量時間の安定を図るための手法として25℃における粘度が1〜5000mPa・sの液状有機化合物を添加することが可能である。25℃における粘度が1〜5000mPa・sの液状有機化合物とは、25℃で液状で流動性のある有機化合物である。このような物質として、例えば、脂肪酸の1価アルコールエステル、多塩基酸のアルコールエステル、多価アルコールの脂肪酸エステルおよびそれらの誘導体、グリセリンの脂肪酸エステル、シリコーンオイル、ホスファイト系化合物等で融点が25℃未満のものが挙げられる。具体的には、2−エチルヘキサン酸セチル、ヤシ脂肪酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシル、カプリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、オレイン酸メチル、オレイン酸オクチル、オレイン酸ラウリル、オレイン酸オレイル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチドデシル、オレイン酸イソブチルなどの脂肪酸のアルコールエステル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジオレイル、アジピン酸エステル、フタル酸ジトリデシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブチルグリコール、フタル酸2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジデシル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシル等の多塩基酸のアルコールエステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセキスオレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシメチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシメチレンソルビタンモノパルミネート、ポリオキシメチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシメチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシメチレンソルビタンテトラオレート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンビスフェノールAラウリン酸エステル、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールモノオレートなどの多価アルコールの脂肪酸エステルおよびそれらの誘導体、オレイン酸モノジグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、2−エチルヘキサン酸トリグリセライド、カプリル酸モノジグリセライド、カプリル酸トリグリセライド、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ミリスチル、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチレングリコレート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、メチルアセチルリシノレート、グリセルトリアセテート、2−エチルヘキシルアセテートなどのグリセリンの脂肪酸エステル、トリフェニルホスファイト、ジブチルハイドロジエンホスファイト、ヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシル−5−t−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラトリデシル−4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)−ジ−ホスファイトなどのホスファイト化合物、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルなどのシリコーン化合物等が挙げられる。
【0064】
本発明において25℃における粘度が1〜5000mPa・sの液状有機化合物のいずれか1種、または2種以上の混合物であってもよい。
【0065】
本発明に用いる液状有機化合物の25℃における粘度は、組成物中への液状有機化合物の分散性、本発明の効果である成形時の計量時間の安定化の点から、1〜5000mPa・sであるものであり、好ましくは、2〜2000mPa・s、より好ましくは10〜500mPa・sである。
【0066】
なお、25℃における粘度は、回転式粘度計(B型粘度計)により測定する。
【0067】
本発明においては、このような液状有機化合物を用いることにより、錠剤型樹脂組成物を製造する際に均一に分散し、錠剤型樹脂組成物を溶融成形する際に計量時の圧壊が均一となり成形時の計量時間の安定を図れるものと推察される。
【0068】
上記液状有機化合物を添加する場合の添加量は、熱可塑性樹脂と導電剤の合計量100重量部に対し、0.1〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜25重量部、さらに好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは2〜15重量部である。なかでも3〜10重量部が、最も好ましい。
【0069】
液状有機化合物の添加量が本発明の範囲より多すぎる場合、得られた成形品表面にブリードアウトしてくると共に、それによって熱可塑性樹脂と導電剤界面の剥離を引き起こし、かえって機械物性の低下する傾向にあり、少なすぎる場合、添加により得られる成形時の計量時間の安定化による成形品の特性バラツキ低減付与効果が小さくなる傾向にある。
【0070】
本発明において錠剤の成形時の易圧壊性と流動性を向上させるためにリン酸エステルを添加することが可能である。本発明に使用されるリン酸エステルとしては、リン酸のモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステルから選ばれ、好ましくは、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
【0071】
【化6】
Figure 0004110832
【0072】
まず前記式(1)で表されるリン酸エステルの構造について説明する。前記式(1)の式中nは0以上の整数であり、好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5である。上限は分散性の点から40以下が好ましい。
【0073】
またk、mは、それぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは、0以上2以下の整数であるが、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
【0074】
また前記式(1)の式中、R3〜R10は同一または相異なる水素または炭素数1〜5のアルキル基を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−イソプロピル、ネオペンチル、tert−ペンチル基、2ーイソプロピル、ネオペンチル、tert−ペンチル基、3−イソプロピル、ネオペンチル、tert−ペンチル基、ネオイソプロピル、ネオペンチル、tert−ペンチル基などが挙げられるが、水素、メチル基、エチル基が好ましく、とりわけ水素が好ましい。
【0075】
またAr1、Ar2、Ar3、Ar4は同一または相異なる芳香族基あるいは有機残基で置換された芳香族基を表す。かかる芳香族基としては、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、インデン骨格、アントラセン骨格を有する芳香族基が挙げられ、なかでもベンゼン骨格、あるいはナフタレン骨格を有するものが好ましい。有機残基(好ましくは炭素数1〜8の有機残基)で置換されていてもよく、置換基の数にも特に制限はないが、1〜3個であることが好ましい。具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基などの芳香族基が挙げられるが、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェニル基、トリル基、キシリル基が好ましい。
【0076】
またYは直接結合、O、S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。
【0077】
このような式(1)で表されるリン酸エステルの具体例としては、大八化学社製“PX−200”、“PX−201”、“PX−130”、“CR−733S”、“TPP”、“CR−741”、“CR−747”、“TCP”、“TXP”、“CDP”から選ばれる1種または2種以上が使用することができ、中でも好ましくは“PX−200”、“TPP”、“CR−733S”、“CR−741”、“CR−747”から選ばれる1種または2種以上、特に好ましくは“PX−200”、“CR−733S”、“CR−741”を使用することができるが、最も好ましくは“PX−200”である。
【0078】
本発明においてリン酸エステルのいずれか1種、または2種以上の混合物であってもよい。
【0079】
本発明においては、リン酸エステルは成形加工時の可塑化特性に優れるだけでなく、熱可塑性樹脂と導電剤との馴染みが良いために、リン酸エステルを用いることにより、錠剤としての形状保持と成形時の錠剤の安定的な圧壊による計量安定性付与効果の両立とさらに金型内での流動性向上効果を併せて得られるものと推察される。
【0080】
上記リン酸エステルを添加する場合の添加量は、熱可塑性樹脂と導電剤の合計量100重量部に対し、0.1〜30重量部、好ましくは0.1〜25重量部、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜15重量部である。なかでも3〜10重量部が、特に好ましい。
【0081】
リン酸エステルの添加量が本発明の範囲より多すぎる場合、得られた成形品表面にブリードアウトしてくると共に、それによって熱可塑性樹脂と導電剤界面の剥離を引き起こし、機械物性が低下する傾向にあり、少なすぎる場合、添加による成形時の計量安定性、流動安定性付与効果が小さくなる傾向にある。
【0082】
また、25〜250℃の温度範囲で力学的に固体の状態から液体または気体に変化する物質(X)、25℃における粘度が1〜5000mPa・sの液状有機化合物およびリン酸エステルを本発明の範囲内の添加量で併用することにより、計量安定性付与の相乗効果が得られる。
【0083】
本発明の高導電性樹脂成形品に対してさらに機械強度その他の特性を付与するために、その他の充填材を配合することが可能であり、繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を使用することができる。具体的には、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填材、およびマイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、ポリリン酸カルシウムなどの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられる。上記充填材のなかでも、特にガラス繊維が好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記の充填材は2種以上を併用して使用することが可能であり、例えば、機械強度と成形品の低そり性の両立を得る目的として使用される。なお、本発明に使用する上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤およびチタネート系カップリング剤など)や、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
【0084】
また、使用するガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0085】
上記の充填材の添加量は、熱可塑性樹脂と導電剤の合計量100重量部に対し、通常0.5〜150重量部、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜80重量部の範囲である。
【0086】
本発明における高導電性樹脂成形品には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体など)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系およびヒンダードアミン系など)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックスなど)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニンおよび着色用カーボンブラックなど)、染料(ニグロシンなど)、結晶核剤、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチルおよびN−ブチルベンゼンスルホンアミドなど)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤およびベタイン系両性帯電防止剤など)、難燃剤(例えば、赤燐)、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせなど)、他の重合体などを添加することができる。
【0087】
本発明において、錠剤型樹脂組成物は、粉末状の原料を圧縮成形することにより得ることができる。圧縮成形には、打錠機(ロータリー、単発式、2連式、3連式)を用いることが好ましい。上記粉末状の原料としては、樹脂組成物中に含有せしめるべき、熱可塑性樹脂の粉末(熱可塑性樹脂粉末)、導電剤などが挙げられるが、予め熱可塑性樹脂と導電剤とを溶融混練して得られる組成物の粉末を用いることもでき、これらの一種以上を所望の組成となるよう適宜選択して用いることができる。
【0088】
本発明の錠剤型樹脂組成物の製造方法は、たとえば熱可塑性樹脂粉末および導電剤をバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、固相状態で均一ブレンドし、打錠機により錠剤(タブレット)化することにより得ることができる。また、熱可塑性樹脂と導電剤とをバンバリーミキサー、ニーダー、ロールを用いて予めドライブレンドし、もしくはドライブレンドしないで、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、一度溶融混練し、冷却粉砕して粉末状としたのち、打錠機により錠剤(タブレット)化することも可能である。この場合、溶融混練に供する熱可塑性樹脂としては、溶融混練が可能であれば、粉末状でもペレット状でも特に制限はないが、導電剤の分散不良による特性のバラツキを低減する点から粉末状あるいは粉砕品であることが好ましい。また、単軸もしくは2軸押出機を用いて、予め溶融混練した組成物を粉末状とする場合、導電剤の使用量が多いと、流動性が悪化するため、ダイからの押出ができずペレット化が困難になる場合があるが、その場合には、特開平8−1663号公報に記載の如く、押出機のヘッド部を開放した状態で混練・押出すことも可能である。導電剤が多量である場合、フレーク状の組成物が得られることもある。本発明においてはこれらの方法で予め溶融混練して得られたペレットもしくはフレーク状の組成物を必要により、冷却粉砕して粉末状とした後、錠剤化する。また、これらの方法を組み合わせて錠剤化することも可能である。すなわち、熱可塑性樹脂と導電剤を溶融混練してなる組成物と、熱可塑性樹脂粉末および/又は導電剤とを、所望の含有量となるよう調整し、錠剤化することも可能である。上記方法のうち、工程が簡素である点で、熱可塑性樹脂粉末および導電剤を固相状態で均一ブレンドした混合物を打錠機により錠剤(タブレット)化する方法が好ましい。
【0089】
上記熱可塑性樹脂粉末としては、通常、粉末状で入手できる熱可塑性樹脂の他、ペレットを常温あるいは冷凍粉砕することによっても得ることができる。冷凍粉砕は、ドライアイスあるいは液体窒素等で凍結させた後、一般的に知られている通常のハンマータイプ(アトマイザー)粉砕機、カッタータイプ粉砕機あるいはグラインダー型または石臼型の粉砕機により行うことができる。本発明において用いる熱可塑性樹脂粉末としては、得られる錠剤間の組成の均一化および得られた錠剤のハンドリング性を良好にする点から、粒子の最大長径の数平均粒子径が1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。また、5μmに相当する篩は実質的に通過しないものであることが取り扱い性の観点から好ましい。かかる粒径を有する粉末を得るには、粉砕などにより得られた粉体を適宜所望の大きさの篩を用いてふるい分けすればよい。
【0090】
また、導電剤についても溶融加工性、得られる成形品の表面外観等を考慮した場合、導電剤のサイズはJIS-K0069に基づく篩分け試験法に基づき測定した場合、1000μmに相当する篩を通過するものであることが好ましく、より好ましくは800μmに相当する篩を通過するもの、特に500μmに相当する篩を通過するものであることが好ましい。また、5μmに相当する篩は実質的に通過しないものであることが好ましい。なお、ここで「実質的に通過しない」とは、95重量%以上が通過しないことを意味する。
【0091】
かかる導電剤は市販されているものから選択してもよいし、また、篩を用いて分級し、必要なサイズのものを取り出し使用することも可能である。また、用いる導電剤の形状については、組成物のペレットの取得性から、繊維状、板状、鱗片状および破砕品が好ましく用いられ、さらに製造上得られた成形品の強度等の点から繊維状あるいは板状、鱗片状が好ましい。
【0092】
さらに、必要特性によっては、異なった粒子径のものを2種以上併用しても良い。
【0093】
本発明において、必要に応じて配合し得る他の成分を配合する場合、その配合方法に特に制限はなく、予め熱可塑性樹脂に溶融混練した熱可塑性樹脂組成物の粉末を熱可塑性樹脂粉末として用いてもよいし、熱可塑性樹脂粉末と導電剤を固相状態で均一にブレンドする際に、かかる他の成分も一緒に添加してブレンドしてもよい。また、予め熱可塑性樹脂と導電剤とを溶融混練した組成物の粉末を用いる場合には、その溶融混練の際に他の成分も一緒に添加してブレンドしてもよい。さらには錠剤型樹脂組成物のまわりに付着せしめることにより添加してもよい。
【0094】
本発明の錠剤型樹脂組成物の錠剤形状としては、輸送時の形状保持性と成形時の易圧壊性を考慮した場合、例えば、円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型、円盤状、キュービック状、角柱状のものが挙げられる。なかでも加工時の計量安定性の点から円柱状、楕円柱状、球状、楕円球状、円錐台形状、鶏卵型形状、マセック型が好ましい。錠剤型樹脂組成物の錠剤サイズとしては、錠剤の縦、横、高さ、直径のいずれかの最大値が15mm未満、最小値が1mm以上が好ましい。最大径、最小径の規定方法としては、得られた錠剤が入る仮想の直方体容器において、その縦、横、高さのいずれかの最大値、最小値を測定することとする。かかる錠剤型樹脂組成物の縦、横、高さ、直径のいずれかの最大値は15mm未満であることが好ましく、12mm以下であることがより好ましい。また、最小値としては1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましい。
【0095】
かかる方法を用いることにより、従来、成し得なかった導電剤を高充填化した組成物を得ることが可能となる。
【0096】
さらに、熱可塑性樹脂と導電剤との均一混合性の点から導電剤の比重は3.5以下であることが好ましく、特に3以下であることが好ましい。なお、複数種の導電剤を用いる場合には、配合量の最も多い導電剤の少なくとも1種の比重が上記範囲にあることが好ましい。
【0097】
かくして得られた錠剤型樹脂組成物は、溶融成形が可能であり、射出成形、押出成形、プレス成形、インジェクションプレス成形などの方法により、三次元成形品、シート、容器状物などに加工することができる。特に、生産性から、射出成形、射出圧縮成形(インジェクションプレス成形)などが好ましく用いられる。
【0098】
本発明においては、上記の成形方法よって得られた成形品の少なくとも導通させる必要のある接触表面部分に切削部を形成して、高導電性部分を有する部分を露出せしめることにより、切削部を形成する前の成形品よりも高度な導電性を得ることが可能となる。
【0099】
例えば、導電剤を含有する樹脂組成物を上記のような方法により成形すると、得られる成形品は樹脂の含有量が多く、かつ低結晶性および樹脂流れ方向に高配向であるスキン層と、導電剤のランダム配向であるコア層とから構成されることになる。本発明においては、かかるスキン層を切削することにより、成形品の厚み方向により効率的な導電パスが得られることを見出したことを特徴としている。しかしながら、使用する樹脂の種類や成形品形状あるいは成形後の熱処理により成形品の表面状態が変化し、スキン層とコア層との境界が必ずしも明確でないことから、形成する切削部の切削深さとしては、導通が必要とされる成形品の切削前の最表層面から深さ方向に5〜500μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは、10〜300μm、さらに好ましくは30〜200μmの範囲である。最も好ましくは、導電剤の希薄なスキン層部分の切削を行うことである。切削深さが上記の範囲の場合には、添加した導電剤の導通パスが形成しやすく、導電性向上効果が最も高くなる。
【0100】
かくして得られる本発明の高導電性樹脂成形品は、極めて優れた高導電性を有する。本発明でいう高導電性は、JIS K6911法に準じて測定した成形品の接触表面部分の体積固有抵抗値が1×1010Ωcm以下であることを示すが、本発明の好ましい態様においてはこのような高導電性樹脂成形品を得ることが可能である。より好ましい態様においては108Ωcm以下、さらに好ましい態様においては106 Ωcm以下、特に好ましい態様においては10-1 Ωcm以下というより優れた高導電性樹脂成形品も得られ得る。成形品表面の導電および制電性を付与する目的の場合には、通常、JIS K6911法に準じて測定した成形品の接触表面部分の体積固有抵抗値が108Ωcm以下のレベル、なかでも106Ωcm以下のレベルで好ましく用いられる。成形品の導通目的で用いられる部材の場合には、特に4端子法で10-1cm以下の領域で好ましく用いられる。
【0101】
本発明の好ましい態様においては、成形品表面を切削処理することにより、切削部形成後の樹脂成形品の接触表面部分の体積固有抵抗値を、前記切削部形成前の接触表面部分の体積固有抵抗値よりも50%以上低下せしめることが可能であり、より好ましい態様においては90%以上低下せしめること、さらに好ましい態様においては95%以上低下せしめることが可能である。
【0102】
本発明の高導電性成形品がその効果を効率よく発揮するためには、導通させる接触表面部分を平坦にすることが好ましい。具体的には、得られる成形品表面の凹凸は最凸部と最凹部の差が50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、さらには20μm以下、最も好ましくは5μm以下であることが好ましい。
【0103】
なお、導通させる接触表面部分とは、導電性が必要とされる成形品の表面部分であり、例えば、静電塗装を行う時のその表面、成形品を重ね合わせた時の導通が必要な部分、あるいは帯電防止性が必要な成形品の表面部分のことをいう。
【0104】
本発明の高導電性成形品の表面の切削方法としては、導通させる成形品表面の全面または部分的に成形品最表面の絶縁樹脂膜を切削することができれば、通常の切削方法を使用することが可能であり、具体的には、サンドブラスト加工、サンディングペーパー(40番〜2000番)による加工、フライス盤による加工、酸・アルカリによるエッジング加工および液体ホーミング加工などを用いることができ、なかでも好ましくは、サンドブラスト加工、サンディングペーパー(40番〜2000番)による加工およびフライス盤による加工などの物理的な研磨方法、特に生産性の点からサンドブラスト加工が好ましい。
【0105】
かくして得られる本発明の高導電性樹脂成形品は、従来より導電剤の配合量が少量であっても高導電性であり、同等の導電レベルを得る上では成形性に優れ、かつ低コストであるという優れた効果を発現するものである。
【0106】
また、本発明の高導電性樹脂成形品の製造方法によれば、錠剤型樹脂組成物を成形し、導通させる必要のある部分に通常の切削手段を付加するのみで、上記の優れた特性を有する高導電性樹脂成形品を効率的に製造することができる。
【0107】
本発明の高導電性樹脂成形品は、上記の優れた特性を生かして、パソコン、液晶プロジェクター、モバイル機器、携帯電話などの筐体、フェンダー、スポイラー、ルーフレール、テールゲート、バンパーなどの自動車外装材、集電板等のエネルギー関連部材、機械・機構部品などの静電塗装をする成形品、HDD用部品、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、ICトレー、玩具およびパチンコ台部品などの娯楽用途に用いられるICカバー、高導電性が必要とされる用途、自動車部品、内燃機関用途、電動工具ハウジング類などの機械部品をはじめ、発電システム、電気・電子部品、医療機器、食品容器、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品などの帯電防止あるいは電気伝導性が必要な各種用途に有効である。
【0108】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0109】
参考例1 熱可塑性樹脂
PPS−1(リニアタイプ):ポリフェニレンスルフィド、M2588(東レ社製)をサンプルミル(協立理工社製SK−M型)にて粉砕し、篩にて60メッシュパス、150メッシュオンで分級して数平均粒子径200μmのものを得た。PPS−2(リニアタイプ):ポリフェニレンスルフィド、M2588(東レ社製)をサンプルミル(協立理工社製SK−M型)にて粉砕し、篩にて16メッシュパス、32メッシュオンで分級して数平均粒子径800μmのものを得た。
PA6:ナイロン6、CM1001(東レ社製)を液体窒素に浸し、サンプルミル(協立理工社製SK−M型)にて粉砕し、篩にて42メッシュパス、80メッシュオンで分級して数平均粒子径300μmのものを得た。
LCP:液晶性ポリエステル、“シベラス”L201E(東レ社製)を液体窒素に浸し、サンプルミル(協立理工社製SK−M型)にて粉砕し、篩にて80メッシュパス、150メッシュオンで分級して数平均粒子径150μmのものを得た。
PBT:ポリブチレンテレフタレート、1100S(東レ社製)を液体窒素に浸し、サンプルミル(協立理工社製SK−M型)にて粉砕し、篩にて42メッシュパス、80メッシュオンで分級して数平均粒子径300μmのものを得た。
【0110】
なお、上記において数平均粒子径は島津社製レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した。
【0111】
参考例2 導電剤
炭素繊維(CF):MLD30(繊維状導電性フィラー、繊維径7μm、東レ社製)
グラファイト(KS):KS−150(鱗片状導電性フィラー、ティムカルジャパン社製)
後述の表中のフィラーサイズは、500gの試料をとり、そのサイズに相当する粗さの篩を用いて分級した時、篩上に残留しなかったことを表す。
【0112】
参考例3 25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化する物質(X)(篩にて42メッシュパスしたものを使用)
EBA:エチレンビスステアリルアミド
“アーモワックス”(ライオン・アクゾー社製)融点140℃
IRG:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
“イルガフォス”168(日本チバガイギー社製)融点182℃
HWE:モンタン酸エステルエステルワックス
“リコワックス”E(クラリアントジャパン社製)融点78℃
参考例4 液状有機化合物
BPD:ポリオキシエチレンビスフェノールAラウリン酸エステル
“エキセパール”BP−DL(花王社製)
25℃における粘度280mPa・s
MAR:テトラトリデシル−4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)−ジ−ホスファイト
“MARK”260(アデカ・アーガス社製)
25℃における粘度1100mPa・s
なお、上記粘度は、回転式粘度計(B型粘度計)を用いて25℃で測定したものである。
【0113】
参考例5 リン酸エステル
PX:“PX−200”(大八化学工業社製粉末状芳香族縮合リン酸エステル、CAS No. 139189-30-3)(篩にて42メッシュパスしたものを使用)。
【0117】
積固有抵抗値の低減率下式で算出した。
【0118】
抵抗値低下率(%)=(切削前体積固有抵抗値−表面切削後体積固有抵抗値)/切削前体積固有抵抗値×100
【0120】
実施例1〜4、比較例1〜4
参考例1の熱可塑性樹脂および参考例2に示した導電剤、および参考例3に示した25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化する物質(X)を表2に示す所定量、ヘンシェルミキサーでブレンドし、自動原料供給フィーダーを備えた月島機械製ロータリー打錠機を用いて常温タブレット化により、7mm直径×5mm長の円柱状のタブレット(最大値7mm、最小値5mm)を得た。次いで、得られた各タブレットを、UH1000(80t)高速高圧射出成形機(日精樹脂工業社製)を用い、表2の樹脂温度、金型温度の温度条件で、50mm×50mm×厚さ3mmの角形成形品(フィルムゲート)を成形し、実施例1と同様の方法で、表2記載の切削部深さまで切削した成形品についてJIS K6911法に準じて体積固有抵抗値を、下記(1)の方法により、計量時間を測定した。
【0121】
これらの結果を表に示す。
【0122】
【表1】
Figure 0004110832
【0123】
実施例5〜8、比較例5〜8
参考例1の熱可塑性樹脂および参考例2に示した導電剤、および参考例4に示した液状有機化合物を所定量、ヘンシェルミキサーでブレンドし、自動原料供給フィーダーを備えた月島機械製ロータリー打錠機を用いて常温タブレット化により、7mm直径×5mm長の円柱状のタブレット(最大値7mm、最小値5mm)を得た。次いで、得られた各タブレットを、UH1000(80t)高速高圧射出成形機(日精樹脂工業社製)を用い、表3の樹脂温度、金型温度の温度条件で、50mm×50mm×厚さ3mmの角形成形品(フィルムゲート)を成形し、実施例1と同様の方法で表3記載の切削物深さまで切削した成形品についてJIS K6911法に準じて体積固有抵抗値を、下記(2)の方法により、計量時間バラツキを測定した。
【0124】
これらの結果を表に示す。
【0125】
【表2】
Figure 0004110832
【0126】
実施例9〜12、比較例9〜12
参考例1の熱可塑性樹脂および参考例2に示した導電剤、および参考例5に示したリン酸エステルを所定量、ヘンシェルミキサーでブレンドし、自動原料供給フィーダーを備えた月島機械製ロータリー打錠機を用いて常温タブレット化により、7mm直径×5mm長の円柱状のタブレット(最大値7mm、最小値5mm)を得た。次いで、得られた各タブレットを、UH1000(80t)高速高圧射出成形機(日精樹脂工業社製)を用い、表4の樹脂温度、金型温度の温度条件で、50mm×50mm×厚さ3mmの角形成形品(フィルムゲート)を成形し、実施例1と同様の方法で表4記載の切削部深さにまで切削した成形品についてJIS K6911法に準じて体積固有抵抗値を、下記(3)の方法により、スクリュー噛み込み負荷トルクを測定した。これらの結果を表に示す。
【0127】
【表3】
Figure 0004110832
【0130】
(1)計量性−1(計量時間)
住友SG75M−III射出成形機(住友重機械工業)を用いて表1に示す樹脂温度でスクリュー回転数は、負荷圧力律速でシリンダー内に60mm計量した場合の計量時間を測定した(計量時間が短い方が、計量性が優れる)。
【0131】
(2)計量性−2(時間バラツキ)
住友SG75M−III射出成形機(住友重機械工業)を用いて表1に示す樹脂温度でスクリュー回転数30rpmで10ショット計量した時の計量時間を測定した。そのときの計量時間バラツキを次式により求めた。(計量時間バラツキ)=(10ショット中の計量時間の最大値)−(10ショット中の計量時間の最小値)(バラツキ時間が小さい方が計量安定性に優れる。)
【0132】
(3)計量性−3(負荷トルク)
住友SG75M−III射出成形機(住友重機械工業)を用いて表1に示す樹脂温度でスクリュー回転数30rpmで計量した時の負荷圧力を測定した(負荷圧力が低い方が、計量安定性が優れる)。
【0133】
表1〜の結果から明らかなように本発明の高導電性樹脂成形品の製造方法によれば、高充填化可能でかつ、通常の切削手段を付加するのみで、上記の優れた特性を有する高導電性樹脂成形品を効率的に製造することができ、また、さらに特定の添加剤を添加することで、さらに特徴を付与することが可能である。すなわち、25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化する物質を添加することで計量時間の短縮、つまり成形サイクルの短縮が可能となり、液状有機化合物を添加することで計量時間のバラツキ低減、つまり、シリンダー充填量の安定性向上、リン酸エステルを添加することで計量時のスクリュートルクの低減効果を得ることが可能となる。また、溶融加工が可能であることから、高導電性を得るために用いられる金属代替をはじめとする、熱可塑性樹脂では従来代替不可能であった新規高導電性用途への展開を図ることが可能となる。
【0134】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高導電性樹脂成形品は、従来得られなかった導電剤を高充填した高導電性樹脂成形品の取得が可能となり、また、溶融加工が可能なことから、高導電性であり、特性バラツキが小さく、かつ低コストな成形品が得られるため、静電塗装、電磁波シールド性、静電性・帯電性が必要な成形品およびケース、集電板等に用いる電気・電子関連機器、精密機械関連機器、事務用機器、自動車・車両関連部品、建材、包装材、家具、日用雑貨などの各種用途に適している。

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂と導電剤の組成比が両者の合計100容量%に対して熱可塑性樹脂1〜40容量%、導電剤99〜60容量%である樹脂組成物100重量部に対して、さらに25〜250℃の温度範囲で固体から液体または気体に変化する物質(X)を0.1〜30重量部配合してなる錠剤型樹脂組成物を溶融成形してなる樹脂成形品であって、その少なくとも導通させる必要のある接触表面部分に切削部を形成することにより、高導電性部分を有する部分を露出せしめてなることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  2. 熱可塑性樹脂と導電剤の組成比が両者の合計100容量%に対して熱可塑性樹脂1〜40容量%、導電剤99〜60容量%である樹脂組成物100重量部に対して、がさらに25℃における粘度が1〜5000m Pa s の液状有機化合物を0.1〜30重量部配合してなる錠剤型樹脂組成物を溶融成形してなる樹脂成形品であって、その少なくとも導通させる必要のある接触表面部分に切削部を形成することにより、高導電性部分を有する部分を露出せしめてなることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  3. 熱可塑性樹脂と導電剤の組成比が両者の合計100容量%に対して熱可塑性樹脂1〜40容量%、導電剤99〜60容量%である樹脂組成物100重量部に対して、さらにリン酸エステルを0.1〜30重量部配合してなる錠剤型樹脂組成物を溶融成形してなる樹脂成形品であって、その少なくとも導通させる必要のある接触表面部分に切削部を形成することにより、高導電性部分を有する部分を露出せしめてなることを特徴とする高導電性樹脂成形品。
  4. 前記錠剤型樹脂組成物、の縦、横、高さ、直径のいずれかの最大値が15mm未満、最小値が1mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高導電性樹脂成形品。
  5. 前記錠剤型樹脂組成物の形状が円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型、円盤状、キュービック状または角柱状である請求項1〜4のいずれかに記載の高導電性樹脂成形品。
  6. 前記切削部が、切削前の樹脂成形品の最表面層から深さ方向に5〜500μmの深さに形成されたものである請求項1〜のいずれかに記載の高導電性樹脂成形品。
  7. 前記樹脂成形品の接触表面部分のJIS K6911に準じて測定した体積固有抵抗値が1×1010Ωcm以下であることを特徴とする請求項1〜いずれか記載の高導電性樹脂成形品。
  8. 前記切削部形成後の樹脂成形品の接触表面部分の体積固有抵抗値が、前記切削部形成前の体積固有抵抗値より50%以上低下していることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の高導電性樹脂成形品。
  9. 前記錠剤型樹脂組成物を溶融成形した後、得られた樹脂成形品の少なくとも導通させる必要のある接触表面部分を切削することを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の高導電性樹脂成形品の製造方法。
  10. 前記切削を物理的な研磨方法で行うことを特徴とする請求項に記載の高導電性樹脂成形品の製造方法。
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