JP4109672B2 - 光導波路デバイスおよび光導波路デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
まず、図14に示すように、PLCデバイスにおいて、例えばY分岐回路、AWG(Arrayed Waveguide Grating)のスラブ導波路からチャネル導波路への分岐部等の、1つの導波路901が2つ以上の導波路(例えば2本の導波路902,903)に分岐して光を分岐させるタイプの分岐回路900では、一般的に分岐部分の導波路間ギャップdの幅が小さいほど分岐部分の光損失を小さくすることが出来る。そのため、低損失な分岐回路を製作するために、分岐部分の導波路間ギャップdをなるべく小さくする必要がある。
また、光ファイバにおいては、コアの芯部から外周部にかけて屈折率分布を持たせることにより、導波光の分散をコントロールする構造を有するものがあるが、光導波路デバイスにおいては、上述の光ファイバのごとき導波光の分散をコントロールする構造を有するコアを持つものはないため、このような分散をコントロールできるようなコアを有する光導波路デバイスの開発が望まれている。
このスポットサイズ差を解消させるためには、光ファイバとの接続部分における光導波路のコア径を徐々に広げる構造が必要となるが、単に基板面に対して水平な方向の導波路コア幅を広げるのみならず、簡素な工程により、基板面に対して垂直な方向の導波路高さについても徐々に高くできるようにした光導波路デバイスの開発が望まれる。
さらには、上記の幹部分または第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な部分をなす複数層において、隣り合う層の屈折率が段階的に変化するように構成することができ、この場合においては、好ましくは、上記の幹部分または第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な部分をなす複数層について、コアの芯部における層の屈折率を比較的高くするとともに、コアの芯部から外側の層に向けて、屈折率を段階的に低くしてから再度高くするように構成する。
さらに、コアにおける光伝搬方向に垂直な断面についての屈折率分布に関し、第1クラッド層の面位に対する水平方向および垂直方向の屈折率の変化を、上記断面における中心点についてほぼ対称な分布を有するように構成することとしてもよい。
さらに、コアの一端部において、上記の幹部分または第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な部分をなす複数層におけるコアの外周をなす層がエッチングにより取り除かれ、且つ、上記エッチングによりコアの外周が取り除かれて露となった層の屈折率を、上記第1クラッドおよび第2クラッドとほぼ等くして構成することもでき、この場合においては、コアの一端部に結合する部分近傍のコア径を、上記光伝搬方向にわたって変化するように構成してもよい。
さらに、本発明の光導波路デバイスの製造方法は、基板上に形成されたアンダークラッド層上または、アンダークラッド層としての基板上に、光を導波させるためのコアの幹をなす幹部分をリッジ形状で形成する幹部分形成ステップと、上記の幹部分形成ステップにおいて幹部分を形成した後に、アンダークラッド層上において、リッジ形状をなす幹部分を覆うように均一な薄膜層を成膜するとともに、上記のアンダークラッド層をなす面に対して垂直な方向に選択性を持ったエッチングを行なって、幹部分における長手方向についての両側面上に、アンダークラッド層をなす面にほぼ垂直な層構造の部分を形成する薄膜層成膜・エッチングステップと、上記の薄膜層成膜・エッチングステップにおいてエッチングを行なった後に、オーバークラッド層を形成して、コアを埋め込むオーバークラッド層形成ステップと、をそなえて構成されたことを特徴としている。
また、薄膜層成膜・エッチングステップが、薄膜層を、アンダークラッド層をなす面にほぼ垂直な層の積層数に応じて繰り返して成膜する薄膜層積層ステップと、上記のアンダークラッド層面または基板面に対して垂直な方向に選択性を持ったエッチングを行なうエッチングステップと、をそなえるように構成してもよい。
また、薄膜層成膜・エッチングステップにおいては、好ましくは、化学気相堆積(Chemical Vapor Deposition:CVD)法を用いることにより、薄膜層を成膜することができる。この場合においては、薄膜層を成膜する際に、所定のドーピング材を、ドーピング量を時間的に変化させながら添加することもできる。
さらに、上述の光導波路デバイスの製造方法においては、好ましくは、薄膜層成膜・エッチングステップにおいて、アンダークラッド層をなす面に垂直な方向に選択性を持ったエッチングとして、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)を用いることができる。
さらに、本発明の光導波路デバイスは、第1クラッド層と、第1クラッド層上に形成され光を導波するコアと、コアを覆うように前記第1クラッド層上に形成された第2クラッドと、を備えた光導波路デバイスにおいて、前記コアは、第1コアと、前記第1コアにおける長手方向についての側面に複数層状に形成される第2コアと、を備える。
このように、本発明の光導波路デバイスおよび光導波路デバイスの製造方法によれば、以下の効果ないし利点がある。
(3)幹部分形成ステップ,薄膜層成膜・エッチングステップ,外周層除去ステップおよびオーバークラッド層形成ステップという簡素な工程により、コアサイズについて導波路幅のみならず導波路高さについてまでも導波路の途中で変えることのできる光導波路デバイスを製造することができ、このように製造された光導波路デバイスにより、光導波路を伝搬する光のスポットサイズを容易に変換することができようにして、平面光導波路デバイスとしての高機能化を図ることができる利点がある。特に、このようなスポットサイズ変換機能を、高Δの(コア層とクラッド層との屈折率差の大きい)平面光導波路デバイスと光ファイバの接続部分に用いると、光ファイバの接続損失を大幅に低減させることができる利点もある。
(A)本発明の第1実施形態の説明
図1(a)〜図1(c),図2(a)〜図2(c)はそれぞれ、本発明の第1実施形態にかかる光導波路デバイス100の製造方法を説明するための模式図であり、光伝搬方向に垂直な面でのデバイス断面図である。また、図2(c)は特に本発明の製造方法で製造された光導波路デバイス100を示すものである。
ここで、この図2(c)に示す光導波路デバイス100は、シリコン基板(以下、単に基板という)103上に第1クラッド層としての石英系層としてのアンダークラッド層101をそなえるとともに、アンダークラッド層101上に形成され光を導波させるための2条のコア111,112と、コア111,112を包囲するようにアンダークラッド層101およびコア111,112上に形成された第2クラッドとしての石英系層のオーバークラッド層102とをそなえて構成されている。尚、図1(a)〜図1(c),図2(a),図2(b)においては、基板103についての図示を省略している。
また、層構造部分111−2,111−3はそれぞれ、幹部分111−1における長手方向についての両側面111a,111b上に形成され、アンダークラッド層101をなす面Uにほぼ垂直な層構造をそなえている。同様に、層構造部分112−2,112−3についても、それぞれ、幹部分112−1における長手方向についての両側面112a,112b上に形成され、アンダークラッド層101をなす面Uにほぼ垂直な層構造をそなえて構成されている。
まず、幹部分形成ステップとして、基板103〔図2(c)参照〕上に形成されたアンダークラッド層101上に、光を導波させるためのコア111,112の幹をなす幹部分111−1,112−1をリッジ形状で形成する〔図1(a)〜図1(c)参照〕。
すなわち、エッチングマスク121,122として2層マスクを構成する場合においては、コア層110上に下地としてのメタルやポリイミド等を成膜してから、その上にフォトレジストを塗布してパターニングを行ない、その後、このフォトレジストをエッチングマスクとして下地のメタルやポリイミド等をエッチングして形成する。又、単層マスクを構成する場合には、コア層110上に耐熱性の高いフォトレジストを塗布・パターニングすることにより、このフォトレジストを単層マスクとしてのエッチングマスク121,122とする。
この際、好ましくは、マスクされていないコア層110部分を完全に削らないようにし、一部分(例えば0.数μm程度の厚さ分)残してエッチングを行なう。これにより、後段の工程における層構造部分111−2,111−3,112−2,112−3が形成された後のRIEにより、最終的なコア111,112の形状を完全な矩形にすることができる。
さらに、上述のRIE法によるエッチングに続いて、幹部分111−1,112−1の上に残ったエッチングマスク121,122を除去する〔図1(c)参照〕。
ここで、上述の薄膜層110Aについては、アンダークラッド層101上において、コア層110とほぼ同じ屈折率を持ち、且つコア側面、即ち幹部分111−1,の両側面111a,111bおよび幹部分112−1の両側面112a,112b上にも厚さが均等となるように成膜する。即ち、薄膜層110Aは、幹部分111−1,112−1とほぼ同じ屈折率を有している。
これにより、上述の幹部分形成ステップにおいて形成された幹部分111−1,112−1におけるそれぞれの側壁111a,111b,112a,112bだけに、後から成膜したコア層とほぼ同じ屈折率を持つ層構造部分111−2,111−3,112−2,112−3を残すことができる。即ち、このように構成された幹部分111−1および層構造部分111−2,111−3により、コア111を構成し、幹部分112−1および層構造部分112−2,112−3により、コア112を構成する。
図3(a)〜図3(d),図4(a)〜図4(d)はそれぞれ、本発明の第2実施形態にかかる光導波路デバイス200の製造方法を説明するための模式図であり、光伝搬方向に垂直な面でのデバイス断面図である。また、図4(d)は特に本発明の製造方法で製造された光導波路デバイス200のデバイス断面図を示すものである。
また、層構造部分221は、幹部分208における長手方向についての側面208a〔図3(c)参照〕上に形成され、アンダークラッド層201をなす面Uにほぼ垂直な複数の層〔この場合においては2つの層241,242、図4(c)参照〕を有して構成されている。
また、上述の幹部分208をなす層231〜235,層構造部分221をなす層241,242および層構造部分222をなす層243,244は、隣り合う層の屈折率が異なるように、具体的には、隣り合う層の屈折率が段階的に変化するように構成されている。
換言すれば、コア220における光伝搬方向に垂直な断面についての屈折率分布に関し、アンダークラッド層201の面位に対する水平方向および垂直方向の屈折率の変化が、この断面における中心点についてほぼ対称な分布を有するように構成されているのである。即ち、このようにコア220の屈折率分布を調整することにより、光ファイバで実現されているような、導波光の分散をコントロールする構造とすることができる。
まず、幹部分形成ステップとして、基板250上に形成されたアンダークラッド層201上に、光を導波させるためのコア220の幹をなす幹部分208をリッジ形状で形成する〔図3(a)〜図3(c)参照〕。
ここで、コア層204は、幹部分208をなす層233の原型となるものであって、他のコア層202,203,205,206に比して最も高い屈折率n1を有している。又、コア層204に隣接するコア層203,205はそれぞれ幹部分208をなす層232,234の原型となるもので、これらコア層203,205の屈折率n2は、ほぼ同一の屈折率で他のコア層202,204,206に比して低くなっている。更には、コア層202,206はそれぞれ幹部分208をなす層231,235の原型となるもので、これらコア層202,206の屈折率n3は、コア層203,205の屈折率n2よりも高くコア層204の屈折率n1よりも低くなるように形成されている。
次に、このエッチングマスク207をマスクとし、エッチングガスにフッ素系のガス(例えば、CF4やC3F8やC4F8等)を用い、RIE法でコア層202〜206をエッチングすることにより、幹部分208を形成する〔図3(b)参照〕。更に、上述のRIE法によるエッチングに続いて、幹部分208の上に残ったエッチングマスク207を除去する〔図3(c)参照〕。
ついで、幹部分形成ステップにおいて幹部分208を形成した後に、薄膜層成膜・エッチングステップにおける薄膜層成膜ステップとして、アンダークラッド層201上において、リッジ形状をなす幹部分208を覆うように均一な薄膜層209を成膜する〔図3(d)参照〕。この薄膜層209については、幹部分208をなす層232,234とほぼ同じ屈折率n2を持ち、且つコア側面、即ち幹部分208の両側面208a,208b上にも厚さが均等となるように成膜する。
これにより、上述の幹部分形成ステップにおいて形成された幹部分208におけるそれぞれの側壁208a,208b上だけに、層構造部分としての層242,243を残すことができる。即ち、層233に隣接する外周層としての層232,234,242,243を、層233の屈折率n1よりも小さい屈折率n2で形成することができるのである。
したがって、上述の層241,242により幹部分208の側壁208a上に形成された層構造部分221を構成し、層243,244により幹部分208の側壁208b上に形成された層構造部分222を構成する。又、このように構成された幹部分208および層構造部分221,222により、コア220を構成する。
図5(a)〜図5(c),図6(a)〜図6(c)はそれぞれ、本発明の第2実施形態の第1変形例にかかる光導波路デバイス300の製造方法を説明するための模式図であり、光伝搬方向に垂直な面でのデバイス断面図である。また、図6(c)は特に本発明の製造方法で製造された光導波路デバイス300のデバイス断面図を示すものである。
また、層構造部分321は、幹部分308における長手方向についての側面308a〔図5(c)参照〕上に形成され、アンダークラッド層301をなす面Uにほぼ垂直な複数の層〔この場合においては2つの層341,342、図4(c)参照〕を有して構成されている。尚、前述の図4(d)に示す層241,242と異なり、層342はアンダークラッド層301上に延在し、層341は層342上に形成されている。
まず、幹部分形成ステップとして、基板350上に形成されたアンダークラッド層301上に、光を導波させるためのコア320の幹をなす幹部分308を、図4(d)に示す幹部分208と同様に、リッジ形状で形成する〔図5(a)〜図5(c)参照〕。
上述のごとくコア層302〜306を成膜すると、次いで、コア層302〜306からコア320をなす幹部分308を形成するためのマスクパターンを有するエッチングマスク307を形成し〔図5(a)参照〕、このエッチングマスク307をマスクとし、フッ素系のガス(好ましくは、C3F8やC4F8等の炭素の割合が比較的高いもの)を用いRIE法でエッチングすることにより、コア層302〜306をエッチングして幹部分308を形成する〔図5(b)参照〕。更に、上述のRIE法によるエッチングに続いて、幹部分208の上に残ったエッチングマスク307を除去する〔図5(c)参照〕。
なお、薄膜層309は図3(d)に示す薄膜層209と同様に屈折率n2を持ち、薄膜層310は図4(b)に示す薄膜層210と同様に屈折率n3を持ち、それぞれ、コア側面、即ち幹部分308の両側面308a,308b上にも厚さが均等となるように成膜する。
なお、上述の第2実施形態にかかる光導波路デバイス300においても、3種類の屈折率分布を持つ層により、コア320の芯部の屈折率をn1とし、芯部から外側の層に向けてn2,n3の屈折率(n2<n3<n1)となるように分布させているが、本発明によればこれに限定されず、幹部分308および層構造部分321,322を構成する層の数を更に増やすことにより、更に精度高く分散をコントロールできるようなきめ細かい屈折率分布を設けることも可能である。
図7(a)〜図7(c),図8(a)〜図8(c)はそれぞれ、本発明の第2実施形態の第2変形例にかかる光導波路デバイス400の製造方法を説明するための模式図であり、光伝搬方向に垂直な面でのデバイス断面図である。また、図8(c)は特に本発明の製造方法で製造された光導波路デバイス400のデバイス断面図を示すものである。
ここで、第2実施形態の第2変形例にかかる光導波路デバイス400は、図4(d)または図6(c)に示す光導波路デバイス200,300に比して、コア420を構成する幹部分408および層構造部分421,422の構造およびその製造方法が異なり、このコア420以外のアンダークラッド層401およびオーバークラッド層411の構造およびその製造方法については、基本的に光導波路デバイス200,300の場合と同様である。
まず、幹部分形成ステップとして、基板450上に形成されたアンダークラッド層401上に、光を導波させるためのコア420の幹をなす幹部分408を、図4(d),図6(c)に示す幹部分208,308と同様に、リッジ形状で形成する〔図7(a)〜図7(c)参照〕。
これにより、コア層402としては、コア底部から屈折率分布が二乗分布となるように、屈折率がn2からn1まで連続的に変化させるように形成し、次いで厚さW1分が形成されていく間は屈折率をn1に保たれるように形成し、その後コア上部までの分布が二乗分布となるようにn1からn2に連続的に変化するよう形成する。
ついで、幹部分形成ステップにおいて幹部分408を形成した後に、薄膜層成膜・エッチングステップとして、アンダークラッド層401上において、リッジ形状をなす幹部分408を覆うように均一な厚さの薄膜層409を成膜する〔図8(a)参照〕。この薄膜層409としては、前述のCVD装置を用いることにより、屈折率分布をn1からn2に連続的に変化する二乗分布とするように形成する。
また、上述の第2実施形態および各変形例における光導波路デバイス200〜400においては、1条のコア220〜420が形成されたものについて詳述しているが、本発明によれば、前述の第1実施形態の場合と同様に、例えば方向性結合器やY分岐導波路のギャップ部分のように、複数本のコアが近接する部分において上述のコア220〜420の構造を採用することとしてもよい。
図12(d)は本発明の第3実施形態にかかる光導波路デバイス500の特にコア520の形状に着目して示す模式図であり、図13(a)〜図13(c)はそれぞれ、光導波路デバイス500における図12(d)のPP′断面,QQ′断面およびRR′断面のコア520の形状について、クラッド層501,511および基板550とともに示す模式図である。
ここで、光導波路デバイス500のコア520は、図12(d)に示すように、光ファイバとの接続部分に近い側から3つのコア部520−1〜520−3をそなえている。これらのコア部520−1〜520−3により、光導波路デバイス500と光ファイバとの接続部分における光導波路のコア径を徐々に広げることができるようになっており、これにより、上述のスポットサイズ差を解消させることができる。
ここで、コア520の部分をなすコア部520−1,520−2はそれぞれ、図13(a)〜図13(c)に示すように、異なる形状の幹部分508−1,508−2および層構造部分521−1,521−2および層構造部分522−1,522−2をそなえて構成されている。
なお、532−3は幹部分508−3を形成する際に層531−1上に積層された層であるが、この層532−3の屈折率はn2(<n1)であり、アンダークラッド層501およびオーバークラッド層511の屈折率にほぼ等しくなるように構成されている。換言すれば、層532−3は、オーバークラッド層511の一部として機能するようになっている。
換言すれば、コア520の一端部としてのコア部520−3において、上記の幹部分508または層構造部分521,522をなす複数層531〜533,541〜544におけるコアの外周をなす層533,541,544がウェットエッチングにより取り除かれ、且つ、このウェットエッチングによりコア部520の外周が取り除かれて露となった層532−3,541−3,544−3の屈折率が、アンダークラッド501およびオーバークラッド511とほぼ等しい値n2となる。従って、層543−3についても、オーバークラッド層511の一部として機能する。
具体的には、化学気相堆積法、火炎堆積法又はスパッタリング等の手法を用いることにより、上述の基板550上に、アンダークラッド層501を形成してから、幹部分508(508−1,508−2)の原型となるコア層502〜504を順番に成膜する。
なお、上述のエッチングにより形成された幹部分508の幅については、幹部分508−1においては一定の比較的幅広に形成し、幹部分508−2においては、コア部520−2とコア部520−3との境界とする場所において最も幅を狭くし、コア部520−1とコア部520−2との境界とする場所において、幹部分508−1の幅となるように、幅を連続的かつテーパ状に広くする。
ついで、幹部分形成ステップにおいて幹部分508を形成した後に、薄膜層成膜・エッチングステップとして、アンダークラッド層501上において、リッジ形状をなす幹部分508を覆うように均一なコア層としての薄膜層509を成膜する〔図10(a)参照〕。この薄膜層209については、幹部分508をなす層532とほぼ同じ屈折率n2を持ち、且つコア側面、即ち幹部分508の両側面508a,508b〔図9(c)参照〕上にも厚さが均等となるように成膜する。
これにより、上述の幹部分形成ステップにおいて形成された幹部分508におけるそれぞれの側壁508a,508b上だけに、層構造部分としての層542,543を残すことができる〔図12(b)参照〕。尚、上述の屈折率n2の層532,542,543は、ともに後段の工程として行なわれるウェットエッチングにおいてエッチング溶液に解けにくい組成が選択される。
すなわち、薄膜層成膜ステップとして、アンダークラッド層501上において、幹部分508および層542,543を覆うように均一なコア層としての薄膜層510(屈折率n1)を成膜する〔図10(c)参照〕。更に、エッチングステップとして、アンダークラッド層501をなす面Uに対して垂直な方向に選択性を持ったエッチングを行なって、層542,543上に、アンダークラッド層501をなす面Uにほぼ垂直な層構造の部分となる層541,544を形成する〔図11(a)参照〕。
したがって、上述の図12(c)に示す層541−1,542−1により幹部分508−1の側壁508a上に形成された層構造部分521−1を構成し、層543−1,544−1により幹部分508−1の側壁508b上に形成された層構造部分522−1を構成する。又、このように構成された幹部分508−1および層構造部分521−1,522−1により、コア部520−1を構成する〔図13(a)参照〕。
具体的には、コア520の一部となるコア部520−1,520−2をフォトレジストなどでマスクをして、露出している部分(コア部520−3となる部分)の層533,541,544を、例えばバッファードフッ酸(フッ化アンモニウム+フッ酸)等のエッチング溶液を用いてウェットエッチングする。尚、この場合において、層532,542,543はエッチング溶液に解けにくい組成を有しているので、ウェットエッチングのストップ層として機能する。
なお、上述のエッチング溶液としてバッファードフッ酸を用いた場合には、エッチングされる層533,541,544の組成としては、バッファードフッ酸に解けやすいGPSG膜またはPSG膜が適しており、ストップ層としての層532,542,543の組成としては、バッファードフッ酸に溶けにくいBPSG膜が適している。
このように、本発明の第3実施形態によれば、幹部分形成ステップ,薄膜層成膜・エッチングステップ,外周層除去ステップおよびオーバークラッド層形成ステップという簡素な工程により、コアサイズについて導波路幅のみならず導波路高さについてまでも導波路の途中で変えることのできる平面光導波路構造を有する光導波路デバイス500を製造させることができ、このように製造された光導波路デバイス500により、光導波路を伝搬する光のスポットサイズを容易に変換させることができ、平面光導波路デバイスとしての高機能化を図ることができる利点がある。特に、このようなスポットサイズ変換機能を、高Δの(コア層とクラッド層との屈折率差の大きい)平面光導波路デバイスと光ファイバの接続部分に用いると、光ファイバの接続損失を大幅に低減させることができる利点もある。
なお、上述の各実施形態にかかる光導波路デバイス100〜500において、基板としてはシリコン基板103,250〜550を用いているが、本発明によればこれに限定されず、オーバークラッド層102,211〜511と等価な材質とすることもできる。具体的には、光導波路としてのコア111,112,220〜520と熱膨張係数を合わせるために石英基板上に形成することとしてもよい。更に、この石英基板を用いた場合には、当該石英基板をアンダークラッド層101〜501とすることもできる。即ち、この場合には、アンダークラッド層101〜501としての石英基板上にコア111,112,220〜520を形成することができる。
また、上述した実施形態に関わらず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
(E)付記
(付記1)
第1クラッド層をそなえるとともに、該第1クラッド層上に形成され光を導波させるためのコアと、該コアを包囲するように上記の第1クラッド層およびコア上に形成された第2クラッドとをそなえてなる光導波路デバイスであって、
該コアが、
当該コアの幹をなす幹部分と、
該幹部分における長手方向についての両側面上に形成され、該第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な層構造の部分をそなえて構成されたことを特徴とする、光導波路デバイス。
(付記2)
上記複数本の各コアをなす層構造部分の屈折率が、該コア幹部分の屈折率にほぼ等しいことを特徴とする、付記1記載の光導波路デバイス。
(付記3)
該幹部分が、該第1クラッド層をなす面にほぼ水平な複数の層を有して構成されたことを特徴とする、付記1記載の光導波路デバイス。
(付記4)
該層構造部分が、該第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な複数の層を有して構成されたことを特徴とする、付記1記載の光導波路デバイス。
(付記5)
上記の幹部分または層構造部分をなす複数層のうちで、隣り合う層の屈折率が異なるように構成されたことを特徴とする、付記3または付記4に記載の光導波路デバイス。
(付記6)
上記の幹部分または層構造部分をなす複数層において、隣り合う層の屈折率が段階的に変化するように構成されたことを特徴とする、付記5記載の光導波路デバイス。
(付記7)
上記の幹部分または層構造部分をなす複数層について、該コアの芯部における層の屈折率を比較的高くするとともに、該コアの芯部から外側の層に向けて、屈折率を段階的に低くしてから再度高くするように構成されたことを特徴とする、付記6記載の光導波路デバイス。
(付記8)
上記の幹部分または層構造部分の屈折率が、該コアの芯部から外側に向けて、連続的に変化するように構成されたことを特徴とする、付記1記載の光導波路デバイス。
(付記9)
上記の幹部分または層構造部分における屈折率の分布を、二乗分布としたことを特徴とする、付記8記載の光導波路デバイス。
(付記10)
該コアにおける光伝搬方向に垂直な断面についての屈折率分布に関し、該第1クラッド層の面位に対する水平方向および垂直方向の屈折率の変化が、上記断面における中心点についてほぼ対称な分布を有するように構成されたことを特徴とする、付記3〜9のいずれか1に記載の光導波路デバイス。
(付記11)
該コアが複数本近接して形成されたことを特徴とする、付記1〜10のいずれか1に記載の光導波路デバイス。
(付記12)
該コアの一端部において、上記の幹部分または層構造部分をなす複数層における該コアの外周をなす層がエッチングにより取り除かれ、且つ、上記エッチングにより該コアの外周が取り除かれて露となった層の屈折率が、上記第1クラッドおよび第2クラッドとほぼ等しいことを特徴とする、付記5記載の光導波路デバイス。
(付記13)
該コアの一端部に結合する部分近傍のコア径が、上記光伝搬方向にわたって変化するように構成されたことを特徴とする、付記12記載の光導波路デバイス。
(付記14)
該第1クラッド層が、該第2クラッド層と等価な材質からなる基板により構成されたことを特徴とする、付記1〜13のいずれか1に記載の光導波路デバイス。
(付記15)
基板上に形成されたアンダークラッド層上または、該アンダークラッド層としての基板上に、光を導波させるためのコアの幹をなす幹部分をリッジ形状で形成する幹部分形成ステップと、
上記の幹部分形成ステップにおいて幹部分を形成した後に、該アンダークラッド層上において、該リッジ形状をなす幹部分を覆うように均一な薄膜層を成膜するとともに、上記のアンダークラッド層をなす面に対して垂直な方向に選択性を持ったエッチングを行なって、該幹部分における長手方向についての両側面上に、該アンダークラッド層をなす面にほぼ垂直な層構造の部分を形成する薄膜層成膜・エッチングステップと、
上記の薄膜層成膜・エッチングステップにおいてエッチングを行なった後に、オーバークラッド層を形成して、該コアを埋め込むオーバークラッド層形成ステップと、
をそなえて構成されたことを特徴とする、光導波路デバイスの製造方法。
(付記16)
該薄膜層成膜・エッチングステップが、該薄膜層を成膜する薄膜層成膜ステップと、上記のアンダークラッド層をなす面に対して垂直な方向に選択性を持ったエッチングを行なうエッチングステップとを、該アンダークラッド層をなす面にほぼ垂直な層の積層数に応じて繰り返すように構成されたことを特徴とする、付記15記載の光導波路デバイスの製造方法。
(付記17)
該薄膜層成膜・エッチングステップが、該薄膜層を、該アンダークラッド層をなす面にほぼ垂直な層の積層数に応じて繰り返して成膜する薄膜層積層ステップと、上記のアンダークラッド層面または基板面に対して垂直な方向に選択性を持ったエッチングを行なうエッチングステップと、をそなえて構成されたことを特徴とする、付記15記載の光導波路デバイスの製造方法。
(付記18)
該薄膜層成膜・エッチングステップにおいて、該アンダークラッド層上に形成された薄膜層を完全に削らないようにすることを特徴とする、付記15〜17のいずれか1に記載の光導波路デバイスの製造方法。
(付記19)
該薄膜層成膜・エッチングステップにおいて、化学気相堆積(Chemical Vapor Deposition:CVD)法を用いることにより、該薄膜層を成膜することを特徴とする、付記15〜18のいずれか1に記載の光導波路デバイスの製造方法。
(付記20)
該薄膜層を成膜する際に、所定のドーピング材を、ドーピング量を時間的に変化させながら添加することを特徴とする、付記19記載の光導波路デバイスの製造方法。
(付記21)
石英系の光導波路デバイスとして構成すべく、該ドーピング材として、ゲルマニウム(Ge),リン(P),ホウ素(B)およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1種類以上を用いることを特徴とする、付記20記載の光導波路デバイスの製造方法。
(付記22)
該薄膜層成膜・エッチングステップにおいて、該アンダークラッド層をなす面に垂直な方向に選択性を持ったエッチングとして、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)を用いることを特徴とする、付記15〜21のいずれか1に記載の光導波路デバイスの製造方法。
(付記23)
上記の薄膜層成膜・エッチングステップに続くオーバークラッド層形成ステップの前段のステップとして、該コアの一端部において、上記の幹部分または層構造部分をなす複数層における該コアの外周をなす層をエッチングにより取り除く外周層除去ステップをそなえて構成されたことを特徴とする、付記15記載の光導波路デバイスの製造方法。
Claims (22)
- 第1クラッド層と、該第1クラッド層上に形成され光を導波させるためのコアと、該コアを包囲するように上記の第1クラッド層上に形成された第2クラッドと、を備えた光導波路デバイスであって、
該コアが、
当該コアの幹をなす幹部分と、
該幹部分における長手方向についての両側面上に形成され、該第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な部分と、
を備え、
該幹部分が、該幹部分の上部又は下部に該第1クラッド層をなす面に対してほぼ水平に形成された複数の層を有する、
又は、
該第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な部分が、該第1クラッド層をなす面に対してほぼ垂直な複数の層を有する、
ことを特徴とする、光導波路デバイス。 - 上記の幹部分または該第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な部分をなす複数層のうちで、隣り合う層の屈折率が異なるように構成されたことを特徴とする、請求項1記載の光導波路デバイス。
- 上記の幹部分または該第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な部分をなす複数層において、隣り合う層の屈折率が段階的に変化するように構成されたことを特徴とする、請求項2項記載の光導波路デバイス。
- 上記の幹部分または該第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な部分をなす複数層について、該コアの芯部における層の屈折率を比較的高くするとともに、該コアの芯部から外側の層に向けて、屈折率を段階的に低くしてから再度高くするように構成されたことを特徴とする、請求項3項記載の光導波路デバイス。
- 上記の幹部分または該第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な部分の屈折率が、該コアの芯部から外側に向けて、連続的に変化するように構成されたことを特徴とする、請求項1記載の光導波路デバイス。
- 上記の幹部分または該第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な部分における屈折率の分布を、二乗分布としたことを特徴とする、請求項5記載の光導波路デバイス。
- 該コアにおける光伝搬方向に垂直な断面についての屈折率分布に関し、該第1クラッド層の面位に対する水平方向および垂直方向の屈折率の変化が、上記断面における中心点についてほぼ対称な分布を有するように構成されたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の光導波路デバイス。
- 該コアが複数本近接して形成されたことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の光導波路デバイス。
- 該コアの一端部において、上記の幹部分または該第1クラッド層をなす面にほぼ垂直な部分をなす複数層における該コアの外周をなす層がエッチングにより取り除かれ、且つ、上記エッチングにより該コアの外周が取り除かれて露となった層の屈折率が、上記第1クラッドおよび第2クラッドとほぼ等しいことを特徴とする、請求項2記載の光導波路デバイス。
- 該コアの一端部に結合する部分近傍のコア径が、上記光伝搬方向にわたって変化するように構成されたことを特徴とする、請求項9記載の光導波路デバイス。
- 該第1クラッド層が、該第2クラッド層と等価な材質からなる基板により構成されたことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項記載の光導波路デバイス。
- 基板上に形成されたアンダークラッド層上または、該アンダークラッド層としての基板上に、光を導波させるためのコアの幹をなす幹部分をリッジ形状で形成する幹部分形成ステップと、
上記の幹部分形成ステップにおいて幹部分を形成した後に、該アンダークラッド層上において、該リッジ形状をなす幹部分を覆うように均一な薄膜層を成膜するとともに、上記のアンダークラッド層をなす面に対して垂直な方向に選択性を持ったエッチングを行なって、該幹部分における長手方向についての両側面上に、該アンダークラッド層をなす面にほぼ垂直な層構造の部分を形成する薄膜層成膜・エッチングステップと、
上記の薄膜層成膜・エッチングステップにおいてエッチングを行なった後に、オーバークラッド層を形成して、該コアを埋め込むオーバークラッド層形成ステップと、
をそなえて構成されたことを特徴とする、光導波路デバイスの製造方法。 - 該薄膜層成膜・エッチングステップが、該薄膜層を成膜する薄膜層成膜ステップと、上記のアンダークラッド層をなす面に対して垂直な方向に選択性を持ったエッチングを行なうエッチングステップとを、該アンダークラッド層をなす面にほぼ垂直な層の積層数に応じて繰り返すように構成されたことを特徴とする、請求項12項記載の光導波路デバイスの製造方法。
- 該薄膜層成膜・エッチングステップが、該薄膜層を、該アンダークラッド層をなす面にほぼ垂直な層の積層数に応じて繰り返して成膜する薄膜層積層ステップと、上記のアンダークラッド層面または基板面に対して垂直な方向に選択性を持ったエッチングを行なうエッチングステップと、をそなえて構成されたことを特徴とする、請求項12項記載の光導波路デバイスの製造方法。
- 該薄膜層成膜・エッチングステップにおいて、該アンダークラッド層上に形成された薄膜層を完全に削らないようにすることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1項記載の光導波路デバイスの製造方法。
- 該薄膜層成膜・エッチングステップにおいて、化学気相堆積(Chemical Vapor Deposition:CVD)法を用いることにより、該薄膜層を成膜することを特徴とする、請求項12〜15のいずれか1項記載の光導波路デバイスの製造方法。
- 該薄膜層を成膜する際に、所定のドーピング材を、ドーピング量を時間的に変化させながら添加することを特徴とする、請求項16記載の光導波路デバイスの製造方法。
- 石英系の光導波路デバイスとして構成すべく、該ドーピング材として、ゲルマニウム(Ge),リン(P),ホウ素(B)およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1種類以上を用いることを特徴とする、請求項17記載の光導波路デバイスの製造方法。
- 該薄膜層成膜・エッチングステップにおいて、該アンダークラッド層をなす面に垂直な方向に選択性を持ったエッチングとして、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)を用いることを特徴とする、請求項12〜18のいずれか1項記載の光導波路デバイスの製造方法。
- 上記の薄膜層成膜・エッチングステップに続くオーバークラッド層形成ステップの前段のステップとして、該コアの一端部において、上記の幹部分または層構造部分をなす複数層における該コアの外周をなす層をエッチングにより取り除く外周層除去ステップをそなえて構成されたことを特徴とする、請求項12記載の光導波路デバイスの製造方法。
- 第1クラッド層と、該第1クラッド層上に形成され光を導波するコアと、該コアを覆うように該第1クラッド層上に形成された第2クラッドと、を備えた光導波路デバイスにおいて、
前記コアは、第1コアと、該第1コアにおける長手方向についての側面に複数層状に形成される第2コアと、
を備えたことを特徴とする、光導波路デバイス。 - 前記第1コアは、前記第1クラッド層に対して上下側面及び左右側面を有するとともに、
前記第2コアは、上側面、下側面、左側面、右側面のいずれかに形成された複数層状のコアであることを特徴とする、請求項21記載の光導波路デバイス。
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