JP4108260B2 - 置換芳香環化合物、その製造法および用途 - Google Patents
置換芳香環化合物、その製造法および用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導型一酸化窒素合成酵素由来一酸化窒素(NO)産生抑制作用および/またはTNF−α、IL−1、IL−6などの炎症性サイトカインの産生抑制作用を有し、心疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、中枢神経系疾患、感染性疾患、セプシス、セプティックショックなどの疾患の予防治療薬として有用な新規シクロアルケン誘導体、その製造法および用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一酸化窒素(NO)は、哺乳動物の生体内で生理的な活性、例えば、脈管系では血管拡張因子として[ファーマコロジカル レビュー(Pharmacol. Rev.)第43巻、109-142頁(1991)]、白血球系では殺腫瘍細胞殺菌作用を示す因子として[カレント オピニオン イン イムノロジー(Curr.Opin. Immunol.)第3巻、65-70頁(1991)]、神経系では神経伝達因子として[ニューロン(Neuron)第8巻、3-11頁(1992)]、種々の役割を担っていることが報告されている。基本的には、NOはNO合成酵素(NOS)によりL-アルギニンから生成され、現在のところ、遺伝子的に神経型NOS、血管内皮型NOS、誘導型(inducible)NOS(iNOS)の3種のアイソフォームの存在が明らかにされており[セル(Cell)第70巻、705-707頁(1992)]、その存在様式から後者のiNOSに対比して前2者は構成型(constitutive)NOS(cNOS)とも呼称される。
【0003】
cNOSは血管内皮細胞内、神経細胞内に存在し、カルシウム・カルモジュリン依存性で、各種レセプター刺激により活性化されて、少量のNOを産生し、上述の生理的調節作用を担っているといわれている。一方、iNOSは各種サイトカインや細菌性リポ多糖類(LPS)などにより、マクロファージ、好中球などで誘導され、大量のNOを持続的に産生するため、上述の生理的な活性のみならず、産生局所で細胞および組織に傷害的に作用することが指摘されている[イムノロジカル トディ(Immunol. Today)第13巻、157-160頁(1992)]。iNOSを発現する細胞・組織としては、前記細胞のほか、肝細胞、クッパー細胞、グリア細胞、血管平滑筋細胞、血管内皮細胞、心筋内膜、心筋細胞、メサンギウム細胞、軟骨細胞、滑膜細胞、膵臓β細胞、破骨細胞などが知られている[フェデレーション オブ アメリカン ソサイアティー フォー エクスペリメンタル バイオロジー ジャーナル(FASEB J.)第6巻、 3051-3064頁(1992)、アーカイブス オブサージェリー(Arch Surg.)第128巻、 396-401頁(1993)、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー (J. Biol. Chem.)第44巻、27580-27588頁(1994)、ジャーナル オブ セルラー バイオケミストリー(J. Cell. Biochem.)第57巻、399-408頁(1995)]。
これまでにiNOSを阻害する化合物としてL-アルギニンアナログ[ファーマコロジカル レビュー (Pharmacol. Rev.) 第43巻、 109-142頁(1991)]、アミノグアニジン[ブリティシュ ジャーナル オブ ファーマコロジー(Br. J. Pharmacol.)第110巻、 963-968頁(1993)]、S-エチルイソチオウレア[ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J. Biol. Chem.)第43巻、26669-26676頁(1994)]などが報告されている。
【0004】
一方、TNF−α、IL−1、IL−6などのサイトカインは、単球・マクロファージ、リンパ球、好中球、線維芽細胞、血管内皮細胞などの種々の細胞から分泌され、炎症を基本にした生体防御・免疫機構に広くかかわることが知られている[ザ サイトカイン ハンドブック 第2版 アカデミック プレス リミティド(The Cytokine Handbook, 2nd ed Academic Press Limited)(1994)、アドバンセス イムノロジー(Advances Immunol.)第62巻、257-304頁(1996)]。
TNF−αおよびIL−1は、▲1▼発熱、▲2▼マクロファージや好中球など炎症性細胞の活性化および走化性高進、▲3▼IL−1、IL−6、IL−8、TNF、CSFなどの炎症性サイトカインや急性期タンパクの誘導、▲4▼NO、O2 -,PAF、プロスタグランディン、ロイコトリエン、プロテアーゼなどの種々のケミカルメディエーターの産生増強などの活性を示し、IL−6は、▲1▼急性期タンパクの誘導、▲2▼血小板増多、▲3▼リンパ球・NK細胞の分化・活性化、▲4▼破骨細胞の増殖などの活性を示すことが明らかにされている。しかしながら、これらサイトカインも過剰産生や不適切な場・時での産生は、生体にとって不都合をもたらし、例えば、原虫・細菌・真菌・ウイルス・癌などによる悪液質、アレルギー疾患、慢性関節リウマチ、膿瘍、移植片拒絶反応、貧血、動脈硬化、自己免疫疾患、糖尿病、中枢神経系疾患、炎症性腸疾患、心疾患、肝炎、肝硬変、腎炎、骨粗鬆症、乾癬、セプティックショックなどの種々の疾患に、これらのサイトカインの関与していることが明らかにされている。TNF−α、IL−1、IL−6などの産生を抑制する物質や拮抗する物質などがこれら疾患の治療薬となり得ることが記載されている[ヨーロピアン ジャーナル オブ イムノロジー(Eur. J. Immunol.)第18巻、951-956(1991)、イムノロジー(Immunol.)第83巻、262-267頁(1994)、プロシデュアー オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Proc.Natl. Acad. Sci.)第93巻、 3967-3971頁(1997)、ジャーナル オブ イムノロジー(J. Immunol.)第147巻、 1530-1536頁 (1991)、イムノロジカル トディ(Immunol. Today)第12巻、404-410頁(1991)]。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これまで心疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、セプティックショックなどを治療するためにiNOS誘導細胞からのNO産生を抑制する物質は、例えば、動脈硬化症、心筋炎、心筋症、脳虚血性障害、アルツハイマー病、多発性硬化症、セプティックショック、慢性関節リウマチ、変形性関節症、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、糖尿病、糸球体腎炎、骨粗鬆症、肺炎、肝炎、乾癬、移植片拒絶反応または疼痛など、種々の疾患の予防薬・治療薬として有効であることが考えられ、またサイトカインの標的とする細胞は、炎症系、脈管系、中枢神経系、造血系、内分泌系など多様であることから、その生物活性も多様であると考えられているが、これらの化合物は、活性の面で十分満足されているとは言い難く、さらにはiNOSのみならず生理活性を担うcNOSをも阻害するなどの問題もあった。したがって、これらの点につき、さらに改良された心疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、セプティックショックなどの疾患の予防・治療薬を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この様な現状に鑑み、iNOS誘導細胞からのNO産生および/または、炎症性サイトカインの産生を抑制する作用を有する前記疾患の予防、治療剤の探索研究を進め、鋭意検討した結果、カルボン酸エステル基またはカルボニル基、およびスルホンアミド基またはスルホニル基の少なくとも一方が
【化37】
構成炭素に置換し、かつ両者が2個の隣り合わせのシクロアルケン構成炭素に置換していることに化学構造上の特徴を有する、式:
【化38】
[式中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式:OR1a(式中、R1aは水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、または式:
【化39】
(式中、R1bおよびR1cはそれぞれ同一または異なって水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、Xはメチレン基、窒素原子、硫黄原子または酸素原子を、Yは置換基を有していてもよいメチレン基もしくは置換基を有していてもよい窒素原子を、環Aは(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式:OR2(式中、R2は水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1乃至4個でさらに置換されていてもよい5ないし8員環を、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式:
【化40】
で表される基は式:
【化41】
または式:
【化42】
で表される基を、mは0乃至2の整数を、nは1乃至3の整数を示し、mとnの和は4以下である。ただし、Xがメチレン基の場合Yは置換基を有していてもよいメチレン基を示す。]で表される化合物、またはその塩を初めて合成し、得られた化合物がその化学構造に基づいて、予想外にも、優れたNOおよび/またはサイトカイン産生抑制作用などを有し、TNF−α、IL−1、IL−6などの炎症性サイトカインやNOがそれぞれ単独に関与するのではなく、複雑に絡み合ってより増悪すると考えられる心疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、セプティックショックなどの疾患に対して、iNOS誘導細胞からのNO産生のみならず、炎症性サイトカインの産生をも抑制するなどの優れた作用を有し、従来の薬剤に比べより効果的な予防治療剤になり、臨床上有用な医薬として優れた性質を持っていることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、
〔1〕式:
【化43】
[式中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式:OR1a(式中、R1aは水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、または式:
【化44】
(式中、R1bおよびR1cはそれぞれ同一または異なって水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、Xはメチレン基、窒素原子、硫黄原子または酸素原子を、Yは置換基を有していてもよいメチレン基もしくは置換基を有していてもよい窒素原子を、環Aは(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式:OR2(式中、R2は水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1乃至4個でさらに置換されていてもよい5ないし8員環を、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式:
【化45】
で表される基は式:
【化46】
または式:
【化47】
で表される基を、mは0乃至2の整数を、nは1乃至3の整数を示し、mとnの和は4以下である。ただし、Xがメチレン基の場合、Yは置換基を有していてもよいメチレン基を示す。]で表される化合物またはその塩、
〔2〕R1が(i)C1-20アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C4-12シクロアルキルアルキル基、C3-6アルケニル基およびC3-6アルキニル基から選ばれる脂肪族炭化水素基
(これら脂肪族炭化水素基は複素環基、オキソ基、水酸基、C1-6アルコキシ基、C3-10シクロアルキルオキシ基、C6-10アリールオキシ基、C7-19アラルキルオキシ基、複素環オキシ基、C1-6アルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C3-10シクロアルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C6-10アリールチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C7-19アラルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、複素環チオ基、複素環スルフィニル基、複素環スルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、C1-10アルコキシ−カルボニル基、C3-6シクロアルキルオキシ-カルボニル基、C6-10アリールオキシ−カルボニル基、C7-19アラルキルオキシ−カルボニル基、複素環オキシカルボニル基、C6-10アリール−カルボニル基、C1-6アルカノイル基、C3-5アルケノイル基、C6-10アリール−カルボニルオキシ基、C2-6アルカノイルオキシ基、C3-5アルケノイルオキシ基、カルバモイル基(C1-4アルキル、フェニル、C1-7アシルおよびC1-4アルコキシ−フェニルから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよい)、チオカルバモイル基(C1-4アルキルおよびフェニルから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよい)、カルバモイルオキシ基(C1-4アルキルおよびフェニルから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよい)、C1-6アルカノイルアミノ基、C6-10アリール−カルボニルアミノ基、C1-10アルコキシ−カルボキサミド基、C6-10アリールオキシ−カルボキサミド基、C7-19アラルキルオキシ−カルボキサミド基、C1-10アルコキシ−カルボニルオキシ基、C6-10アリールオキシ−カルボニルオキシ基、C7-19アラルキルオキシ−カルボニルオキシ基、C3-10シクロアルキルオキシ−カルボニルオキシ基およびウレイド基(C1-4アルキル基およびフェニル基から選ばれた1乃至3個の置換基で置換されていてもよい)から成る群(以下、置換基A群)と置換基A群から選ばれる1乃至4個の置換基を有していてもよいC6-10アリール基から成る群(以下、置換基B群)から選ばれる置換基を1乃至4個有していてもよい。
前記複素環は炭素原子以外に窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含む5乃至8員複素環基またはその縮合環基を示し、C1-4アルキル、ヒドロキシ、オキソおよびC1-4アルコキシから選ばれた1乃至3個の置換基を有していてもよい。
上記置換基は脂肪族炭化水素基と一緒になって、置換基B群から選ばれる1乃至4個の置換基を有していてもよい縮合環基を形成していてもよい)、
(ii)C6-14アリール基
(このC6-14アリール基はハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルコキシ−カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、C1-4アルカノイルアミノ基、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、ハロゲノC1-4アルキル基、ハロゲノC1-4アルコキシ基、C1-4アルキルチオ基、C1-4アルキルスルホニル基、C1-4アルカノイル基、5員の芳香族複素環基、カルバモイル基、C1-4アルキル−カルバモイル基、C1-4アルコキシ−カルボニル−C1-4アルキル−カルバモイル基および1,3−ジアシルグアニジノ−C1-4アルキル基から成る群(以下、置換基C群)から選ばれる1乃至5個の置換基を有していてもよい)、
(iii)炭素原子以外に窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1乃至4個含む5乃至8員複素環基またはその縮合環基
(この複素環基はC1-4アルキル、ヒドロキシ、オキソおよびC1-4アルコキシから選ばれた1乃至3個の置換基を有していてもよい)、
(iv)式:OR1a(式中、R1aは水素原子、または置換基B群から選ばれる置換基を有していてもよいC1-20アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C4-12シクロアルキルアルキル基、C3-6アルケニル基およびC3-6アルキニル基から選ばれる脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、
または
(v)式:
【化48】
(式中、R1bおよびR1cがそれぞれ同一または異なって水素原子、または置換基B群から選ばれる置換基を有していてもよいC1-20アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C4-12シクロアルキルアルキル基、C3-6アルケニル基およびC3-6アルキニル基から選ばれる脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、
Xがメチレン基、窒素原子、硫黄原子または酸素原子を、
Yが(i)C1-6アルキル基、ヒドロキシ置換−C1-6アルキル基およびC1-4アルコキシ−カルボニル−C1-4アルキル基から選ばれる置換基を有していてもよいメチレン基または(ii)C1-6アルキル基、ヒドロキシ置換−C1-6アルキル基およびC1-4アルコキシ−カルボニル−C1-4アルキル基から選ばれる置換基を有していてもよい窒素原子を、
環Aが(1)置換基B群から選ばれる置換基を有していてもよいC1-20アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C4-12シクロアルキルアルキル基、C3-6アルケニル基およびC3-6アルキニル基から選ばれる脂肪族炭化水素基、(2)置換基C群から選ばれる置換基を有していてもよいC6-14アリール基、(3)式:OR2(式中、R2は水素原子、または置換基B群から選ばれる置換基を有していてもよいC1-20アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C4-12シクロアルキルアルキル基、C3-6アルケニル基およびC3-6アルキニル基から選ばれる脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1乃至4個でさらに置換されていてもよい5ないし8員環を、
Arが置換基C群から選ばれる置換基を有していてもよいC6-14アリール基を、
式:
【化49】
で表される基は式:
【化50】
または式:
【化51】
で表される基を、
mが0乃至2の整数を、nが1乃至3の整数を示し、mとnの和が4以下である第〔1〕項記載の化合物、
〔3〕環Aが低級アルキル、フェニルまたはハロゲンで置換されていてもよい5ないし8員環、R1がOR1aかつR1aが置換基を有していてもよい低級アルキル基、Arが置換基を有していてもよいフェニル基ある第〔1〕項記載の化合物、〔4〕R1aがエチル基である第〔3〕項記載の化合物、
〔5〕Arがハロゲノフェニル基、低級アルキルフェニル基、またはハロゲンと低級アルキルで置換されたフェニル基である第〔3〕項記載の化合物、
〔6〕Arが、式:
【化52】
(式中、R3はハロゲン原子または低級アルキル基を示し、環Bはさらにハロゲン原子で置換されていてもよい。)で表される基である第〔3〕項記載の化合物、
〔7〕式:
【化53】
で表される基が式:
【化54】
で表される基である第〔1〕項記載の化合物、
〔8〕Arが式:
【化55】
(式中、R3aおよびR3bは同一または異なって、ハロゲン原子を示す)で表される基である第〔6〕項記載の化合物、
〔9〕R1がOR1a(R1aは水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、mが1、nが1である第〔1〕項記載の化合物、
〔10〕R1が式OR1a'(R1a'はC1-6アルキル基を示す)で表される基を、式:
【化56】
で表される基が式:
【化57】
で表される基を、Xがメチレンまたは酸素原子を、Yがメチレンまたは−NH−を、Arがハロゲン原子およびC1-6アルコキシから成る群から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいフェニル基を示す第〔1〕項記載の化合物、〔11〕R1が式OR1a'(R1a'はC1-6アルキル基を示す)で表される基を、式:
【化58】
で表される基が式:
【化59】
で表される基を、XがメチレンでYがメチレンを示すか、またはXが酸素原子でYが−NH−を、Arが2個のハロゲン原子を有していてもよいフェニル基(例、2−クロロ−4−フルオロフェニル基など)を示す第〔1〕項記載の化合物、〔12〕エチル 6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート、エチル (+)-6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラートまたはエチル 3-[(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート、
〔13〕第〔1〕項記載の化合物のプロドラッグ、
〔14〕式:
【化60】
[式中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式:OR1a(式中、R1aは水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、または式:
【化61】
(式中、R1bおよびR1cはそれぞれ同一または異なって水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、X1は窒素原子、硫黄原子または酸素原子を、環Aは(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式:OR2(式中、R2は水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1乃至4個でさらに置換されていてもよい5ないし8員環を、Z1は脱離基を、mは0乃至2の整数を、nは1乃至3の整数を示し、mとnの和は4以下である。]で表される化合物またはその塩と、式:
【化62】
(式中、R4は水素原子または置換基を有していてもよい低級アルキル基を、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。)で表される化合物またはその塩とを反応させることを特徴とする式:
【化63】
(式中、式:
【化64】
で表される基は式:
【化65】
または式:
【化66】
で表される基を示し、その他の記号は前記と同意義である。)で表される化合物またはその塩の製造法、
〔15〕式:
【化67】
[式中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式:OR1a(式中、R1aは水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、または式:
【化68】
(式中、R1bおよびR1cはそれぞれ同一または異なって水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、Xはメチレン基、窒素原子、硫黄原子または酸素原子を、Z2は脱離基を、環Aは(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式:OR2(式中、R2は水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1乃至4個でさらに置換されていてもよい5ないし8員環を、式:
【化69】
で表される基は式:
【化70】
または式:
【化71】
で表される基を、mは0乃至2の整数を、nは1乃至3の整数を示し、mとnの和は4以下である。]で表される化合物またはその塩と式:
【化72】
(式中、Y1は置換基を有していてもよいメチレン基を、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。)で表される化合物またはその塩とを反応させ、ついで得られるスルフィドを酸化することを特徴とする式:
【化73】
(式中、各記号は前記と同意義である。)で表される化合物またはその塩の製造法、
〔16〕式:
【化74】
[式中、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式:OR1a(式中、R1aは水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基、または式:
【化75】
(式中、R1bおよびR1cはそれぞれ同一または異なって水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基を、Xはメチレン基、窒素原子、硫黄原子または酸素原子を、Yは置換基を有していてもよいメチレン基もしくは置換基を有していてもよい窒素原子を、環Aは(1)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(3)式:OR2(式中、R2は水素原子、または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される基および(4)ハロゲン原子から選ばれる1乃至4個でさらに置換されていてもよい5ないし8員環を、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を、式:
【化76】
で表される基は、式:
【化77】
または、式:
【化78】
で表される基を、mは0乃至2の整数を、nは1乃至3の整数を示し、mとnの和は4以下である。ただし、Xがメチレン基の場合Yは置換基を有していてもよいメチレン基を示す。]で表される化合物またはその塩あるいはそのプロドラッグを含有する医薬組成物、
〔17〕一酸化窒素(NO)及び/またはサイトカイン産生抑制剤である第〔16〕項記載の医薬組成物、および
〔18〕心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防・治療剤である第〔16〕項記載の医薬組成物に関するものである。
【0008】
さらに、本発明は、
〔19〕哺乳動物に対して、第〔1〕項記載の化合物またはそのプロドラッグを有効量投与することを特徴とする一酸化窒素(NO)及び/またはサイトカイン産生抑制方法、
〔20〕哺乳動物に対して、第〔1〕項記載の化合物またはそのプロドラッグを有効量投与することを特徴とする心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの治療方法、
〔21〕一酸化窒素(NO)及び/またはサイトカイン産生抑制剤を製造するための第〔1〕項記載の化合物またはそのプロドラッグの使用、および
〔22〕心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防・治療剤を製造するための第〔1〕項記載の化合物またはそのプロドラッグの使用に関するものである。
【0009】
本明細書において、R1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい複素環基、式OR1aで表される基、または式(a)で表される基を示すが、とりわけ、式OR1aで表される基を示すものが好ましい。
R1で表される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「脂肪族炭化水素基」としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが好ましい。
該アルキル基としては、例えば、直鎖もしくは分枝状の炭素数1乃至20のアルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数1乃至6の低級アルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基など)などが好ましい。
該シクロアルキル基としては、例えば、炭素数3乃至10のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数3乃至6のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)などが好ましい。
該シクロアルキルアルキル基としては、例えば、炭素数4乃至12のシクロアルキルアルキル基(例、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメチル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数4乃至8(なかでも4乃至7)のシクロアルキルアルキル基(例、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基など)などが好ましい。
該アルケニル基としては、例えば、炭素数3乃至6の低級アルケニル基(例、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数3または4の低級アルケニル基(例、プロペニル基、ブテニル基など)などが好ましい。
【0010】
該アルキニル基としては例えば、炭素数3乃至6の低級アルキニル基(例、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数3または4の低級アルキニル基(例、プロピニル基、ブチニル基など)などが好ましい。
前記「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」としては、例えば、複素環基、オキソ基、水酸基、C1-6アルコキシ基、C3-10(なかでもC3-6)シクロアルキルオキシ基、C6-10アリールオキシ基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ基、複素環オキシ基、C1-6アルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C3-10(なかでもC3-6)シクロアルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C6-10アリールチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)、複素環チオ基、複素環スルフィニル基、複素環スルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、C1-10(なかでもC1-6)アルコキシ−カルボニル基、C3-6シクロアルキルオキシ-カルボニル基、C6-10アリールオキシ−カルボニル基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ−カルボニル基、複素環オキシカルボニル基、C6-10アリール−カルボニル基、C1-6アルカノイル基、C3-5アルケノイル基、C6-10アリール−カルボニルオキシ基、C2-6アルカノイルオキシ基、C3-5アルケノイルオキシ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいチオカルバモイル基、置換基を有していてもよいカルバモイルオキシ基、C1-6アルカノイルアミノ基、C6-10アリール−カルボニルアミノ基、C1-10(なかでもC1-6)アルコキシ−カルボキサミド基、C6-10アリールオキシ−カルボキサミド基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ−カルボキサミド基、C1-10(なかでもC1-6)アルコキシ−カルボニルオキシ基、C6-10アリールオキシ−カルボニルオキシ基、C7-19(なかでもC7-12)アラルキルオキシ−カルボニルオキシ基、C3-10(なかでもC3-6)シクロアルキルオキシ−カルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいウレイド基、置換基を有していてもよいC6-10アリール基などが用いられる。
【0011】
これらの置換基は前記「脂肪族炭化水素基」の置換可能な部位に置換されており、該置換基は1個に限定されず、同一または異なって複数個(2乃至4個)あってもよい。
「C1-6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが、「C3-10シクロアルキルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが、「C6-10アリールオキシ基」としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが、「C7-19アラルキルオキシ基」としては、例えば、ベンジルオキシ基、1−フェニルエチルオキシ基、2−フェニルエチルオキシ基、ベンズヒドリルオキシ基、1−ナフチルメチルオキシ基などが、「C1-6アルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基などが、「C3-10シクロアルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、シクロプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロペンチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルホニル基などが、「C6-10アリールチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、フェニルスルフィニル基、フェニルスルホニル基などが、「C7-19アラルキルチオ基(該硫黄原子がオキシド化されていてもよい)」としては、例えば、ベンジルチオ基、フェニルエチルチオ基、ベンズヒドリルチオ基、ベンジルスルフィニル基、ベンジルスルホニル基などが、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが、「C1-10アルコキシ−カルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などが、「C3-6シクロアルキルオキシカルボニル基」としては、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ノルボルニルオキシカルボニル基などが、「C6-10アリールオキシ−カルボニル基」としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基などが、「C7-19アラルキルオキシ−カルボニル基」としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、ベンズヒドリルオキシカルボニル基、2−フェネチルオキシカルボニル基などが、「C6-10アリール−カルボニル基」としては、例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基、フェニルアセチル基などが、「C1-6アルカノイル基」としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基などが、「C3-5アルケノイル基」としては、例えば、アクリロイル基、クロトノイル基などが、「C6-10アリール−カルボニルオキシ基」としては、例えば、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、フェニルアセトキシ基などが、「C2-6アルカノイルオキシ基」としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基などが、「C3-5アルケノイルオキシ基」としては、例えば、アクリロイルオキシ基、クロトノイルオキシ基などが用いられる。
【0012】
「置換基を有していてもよいカルバモイル基」としては、例えば、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、フェニル、C1-7アシル(例、アセチル、プロピオニル、ベンゾイルなど)、C1-4アルコキシ−フェニル(例、メトキシフェニルなど)などから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよい、カルバモイル基あるいは環状アミノカルボニル基などが用いられ、具体的には、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−アセチルカルバモイル基、N−ベンゾイルカルバモイル基、N−(p−メトキシフェニル)カルバモイル基、1−ピロリジニルカルボニル基、ピペリジノカルボニル基、1−ピペラジニルカルボニル基、モルホリノカルボニル基などが用いられる。「置換基を有していてもよいチオカルバモイル基」としては、例えば、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、フェニルなどから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいチオカルバモイル基が用いられ、具体的には、例えば、チオカルバモイル基、N−メチルチオカルバモイル基、N−フェニルチオカルバモイル基などが用いられる。「置換基を有していてもよいカルバモイルオキシ基」としては、例えば、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、フェニルなどから選ばれた1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイルオキシ基が用いられ、具体的には、例えば、カルバモイルオキシ基、N−メチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−エチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基などが用いられる。
「C1-6アルカノイルアミノ基」としては、例えば、アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブチロアミド基、バレロアミド基、ピバロアミド基などが、「C6-10アリール−カルボニルアミノ基」としては、例えば、ベンズアミド基、ナフトアミド基、フタルイミド基などが、「C1-10アルコキシ−カルボキサミド基」としては、例えば、メトキシカルボキサミド(CH3OCONH−)基、エトキシカルボキサミド基、tert−ブトキシカルボキサミド基などが、「C6-10アリールオキシ−カルボキサミド基」としては、例えば、フェノキシカルボキサミド(C6H5OCONH−)基などが、「C7-10アラルキルオキシ−カルボキサミド基」としては、例えば、ベンジルオキシカルボキサミド(C6H5CH2OCONH−)基、ベンズヒドリルオキシカルボキサミド基などが、「C1-10アルコキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−ペンチルオキシカルボニルオキシ基、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ基などが、「C6-10アリールオキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、ナフチルオキシカルボニルオキシ基などが、「C7-19アラルキルオキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、ベンジルオキシカルボニルオキシ基、1−フェニルエチルオキシカルボニルオキシ基、2−フェニルエチルオキシカルボニルオキシ基、ベンズヒドリルオキシカルボニルオキシ基などが、「C3-10シクロアルキルオキシ−カルボニルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基などが用いられる。
【0013】
「置換基を有していてもよいウレイド基」としては、例えば、C1-4アルキル基(例、メチル基、エチル基など)、フェニル基などから選ばれた1乃至3個(なかでも1または2個)の置換基で置換されていてもよいウレイド基が用いられ、例えばウレイド基、1−メチルウレイド基、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、1,3−ジメチルウレイド基、3−フェニルウレイド基などが用いられる。
「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」として、複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、複素環スルフィニル基、複素環スルホニル基または複素環オキシカルボニル基が用いられる場合、該複素環基は複素環に結合している水素原子を1個とりのぞいてできる基を表し、例えば窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1乃至数個、好ましくは1乃至4個含む5乃至8員環(なかでも5乃至6員環)基、またはその縮合環基を示す。このような複素環基としては、例えばピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,2,5−オキサジアゾリル基、1,3,4−オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,2,5−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジオキシニル基、ジオキソリル基、キノリル基、ピリド〔2,3−d〕ピリミジル基、1,5−,1,6−,1,7−,1,8−,2,6−または2,7−ナフチリジル基、チエノ〔2,3−d〕ピリジル基、ベンゾピラニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基などが用いられる。
これら複素環基は、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、ヒドロキシ、オキソ、C1-4アルコキシ(例、メトキシ、エトキシなど)などから選ばれた1乃至3個の置換基によって置換可能な部位に置換されていてもよい。
【0014】
「置換基を有していてもよいC6-10アリール基」の「C6-10アリール基」としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが用いられる。該C6-10アリール基は、前記「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」(置換基を有していてもよいC6-10アリール基を除く)から選ばれた置換基で置換可能な部位が置換されていてもよい。それらの置換基は、該C6-10アリール基の置換可能な部位に置換されており、該置換基は1個に限定されず、同一または異なって複数個(2乃至4個)あってもよい。
また、「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」は、置換基が脂肪族炭化水素基と一緒になって置換されていてもよい縮合環基を形成していてもよく、このような縮合環基としてはインダニル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基などが用いられる。この縮合環基は、前記「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」の「置換基」から選ばれた置換基で置換可能な部位が置換されていてもよい。それらの置換基は、該縮合環基の置換可能な部位に置換されており、該置換基は1個に限定されず、同一または異なって複数個(2乃至4個)あってもよい。
R1で示される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」における「芳香族炭化水素基」としては、炭素数6乃至14の芳香族炭化水素基(例、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アンスリル基、インデニル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数6乃至10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基など)などが好ましく、なかでもフェニル基などが特に好ましい。
【0015】
R1で示される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」における「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、低級(C1-4)アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)、低級(C1-4)アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基など)、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アシルアミノ基(例、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基などの炭素数1乃至4のアルカノイルアミノ基など)、炭素数3乃至6のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロペンチル基など)、炭素数6乃至10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基、インデニル基など)、ハロゲノ低級(C1-4)アルキル基(例、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基など)、ハロゲノ低級(C1-4)アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基など)、低級(C1-4)アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピオニルチオ基など)、低級(C1-4)アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基など)、低級(C1-4)アルカノイル基(例、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基など)、5員の芳香族複素環基(例、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、チエニル基、フリル基など)、カルバモイル基、低級(C1-4)アルキル−カルバモイル基(例、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、プロピオニルカルバモイル基など)、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイル基(例、ブトキシカルボニルメチルカルバモイル基、エトキシカルボニルメチルカルバモイル基など)、1,3−ジアシルグアニジノ−低級(C1-4)アルキル基(例、1,3−ジアセチルグアニジノメチル、1,3−ビス−tert−ブトキシカルボニルグアニジノメチルなど)などが、好ましくはハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、低級(C1-4)アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)などが、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、メチル基が用いられる。
【0016】
これらの置換基は該芳香族炭化水素基の置換可能な部位に置換されており、置換基の数は1乃至5個が好ましく、1乃至3個がより好ましく、1乃至2個がとりわけ好ましい。該置換基が2個以上存在するときはそれら置換基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
R1で示される「置換基を有していてもよい複素環基」における「複素環基」は、例えば窒素原子(オキシド化されていてもよい)、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1乃至数個、好ましくは1乃至4個含む5乃至8員環(なかでも5乃至6員環)基、またはその縮合環基を示す。このような複素環基としては、例えばピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、1,2,3−オキサジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,2,5−オキサジアゾリル基、1,3,4−オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,2,5−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、インドリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジオキシニル基、ジオキソリル基、キノリル基、ピリド〔2,3−d〕ピリミジル基、1,5−,1,6−,1,7−,1,8−,2,6−または2,7−ナフチリジル基、チエノ〔2,3−d〕ピリジル基、ベンゾピラニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基などが用いられる。これら複素環基は、C1-4アルキル(例、メチル、エチルなど)、ヒドロキシ、オキソ、C1-4アルコキシ(例、メトキシ、エトキシなど)などから選ばれた1乃至3個の置換基によって置換可能な部位に置換されていてもよい。
R1aで示される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」としては、例えば、前述のR1で表される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」と同様のものを用いることができる。R1aとしては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1乃至6の低級アルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、ヒドロキシエチル基など)などが好ましく用いられ、なかでも、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などが好ましく用いられる。とりわけ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基などが好ましいく、なかでもエチル基などが好ましい。
【0017】
R1b、R1cで示される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」としては、例えば、前述のR1で表される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」と同様のものを用いることができる。R1b、R1cとしては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1乃至6の低級アルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、ヒドロキシエチル基など)などが好ましく用いられ、なかでも、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などが好ましく用いられる。とりわけ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基などが好ましいく、なかでもエチル基などが好ましい。
R1としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1乃至6の低級アルキル基(例、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、ヒドロキシエチル基など)などが好ましく用いられ、なかでも、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などが好ましく用いられる。とりわけ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基などが好ましいく、なかでもエチル基などが好ましい。
Yで示される置換されていてもよいメチレン基における置換基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などC1-6アルキル基、たとえばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基などのヒドロキシ置換−C1-6アルキル基、たとえばメトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、tert−ブトキシカルボニルエチル基などC1-4アルコキシ−カルボニル−C1-4アルキル基がなどが挙げられ、なかでも水素原子、メチル基が好ましく、とりわけ水素原子が好ましい。
Yで示される置換されていてもよい窒素原子における置換基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などC1-6アルキル基、たとえばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基などのヒドロキシ置換−C1-6アルキル基、たとえばメトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、tert−ブトキシカルボニルエチル基などC1-4アルコキシ−カルボニル−C1-4アルキル基がなどが挙げられ、なかでも水素原子、メチル基が好ましく、とりわけ水素原子が好ましい。
【0018】
Ar で表される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」における「芳香族炭化水素基」としては、炭素数6乃至14の芳香族炭化水素基(例、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アンスリル基、インデニル基など)などが好ましく、とりわけ、例えば、炭素数6乃至10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基など)などが好ましく、なかでもフェニル基などが特に好ましい。
Arで表される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」における「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、低級(C1-4)アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)、低級(C1-4)アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基など)、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アシルアミノ基(例、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基などの炭素数1乃至4のアルカノイルアミノ基など)、炭素数3乃至6のシクロアルキル基(例、シクロプロピル基、シクロペンチル基など)、炭素数6乃至10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基、インデニル基など)、ハロゲノ低級(C1-4)アルキル基(例、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基など)、ハロゲノ低級(C1-4)アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基など)、低級(C1-4)アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピオニルチオ基など)、低級(C1-4)アルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基など)、低級(C1-4)アルカノイル基(例、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基など)、5員の芳香族複素環基(例、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、チエニル基、フリル基など)、カルバモイル基、低級(C1-4)アルキル−カルバモイル基(例、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、プロピオニルカルバモイル基など)、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイル基(例、ブトキシカルボニルメチルカルバモイル基、エトキシカルボニルメチルカルバモイル基など)、1,3−ジアシルグアニジノ−低級(C1-4)アルキル基(例、1,3−ジアセチルグアニジノメチル、1,3−ビス−tert−ブトキシカルボニルグアニジノメチルなど)などが、好ましくはハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、低級(C1-4)アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)などが、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、メチル基が用いられる。
【0019】
これらの置換基は該芳香族炭化水素基の置換可能な部位に置換されており、置換基の数は1乃至5個が好ましく、1乃至3個がより好ましく、1乃至2個がとりわけ好ましい。該置換基が2個以上存在するときはそれら置換基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Arとして、具体的には、例えば、フェニル基、ハロゲノフェニル基、低級(C1-4)アルキル−フェニル基、低級(C1-4)アルコキシ−フェニル基、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニルフェニル基、カルボキシルフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ハロゲノ低級(C1-4)アルキル−フェニル基、ハロゲノ低級(C1-4)アルコキシ−フェニル基、低級(C1-4)アルカノイル−フェニル基、5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基、低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイルフェニル基、1,3−ジアシルグアニジノ−低級(C1-4)アルキル−フェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシ−カルボニルで置換されたフェニル基、ハロゲンおよびシアノで置換されたフェニル基、ハロゲンおよび5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイルで置換されたフェニル基などが用いられる。
該ハロゲノフェニル基としては、例えば、2,3−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−フルオロ−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、4−ブロモ−2−フルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニルなどが用いられる。
【0020】
該低級(C1-4)アルキル−フェニル基としては、例えば、2−エチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基などが好ましく用いられ、該低級(C1-4)アルコキシ−フェニル基としては、例えば4−メトキシフェニルなどが好ましく用いられる。
該低級(C1-4)アルコキシ−カルボニルフェニル基としては、例えば、2−エトキシカルボニルフェニル基、2−メトキシカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲノ低級(C1-4)アルキルフェニル基としては、例えば、2−トリフルオロメチルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲノ低級(C1-4)アルコキシ−フェニル基としては、例えば、2−トリフルオロメトキシフェニル基、4−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)フェニル基などが好ましく用いられる。
該低級(C1-4)アルカノイル−フェニル基としては、例えば、2−アセチルフェニル基などが好ましく用いられ、該5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基としては、例えば、4−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル基、4−(2H−テトラゾール−2−イル)フェニル基、4−(1H−テトラゾール−1−イル)フェニル基、4−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)フェニル基などが好ましく用いられ、該低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)アルキル−カルバモイルフェニル基としては、例えば、4−(N−エトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル基などが好ましく用いられ、該1,3−ジアシルグアニジノ−低級(C1-4)アルキル−フェニル基としては、例えば、4−(1,3−ビス−tert−ブトキシカルボニルグアニジノメチル)フェニル基などが好ましく用いられる。
該ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基としては、例えば、2−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、4−フルオロ−2−メチルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシ−カルボニルで置換されたフェニル基としては、例えば、2−クロロ4−メトキシカルボニルフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲンとシアノで置換されたフェニル基としては、2−クロロ−4−シアノフェニル基などが好ましく用いられ、該ハロゲンと5員の芳香族複素環で置換されたフェニル基としては、例えば、2−フルオロ−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニルなどが好ましく用いられ、該ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシ−カルボニル−低級(C1-4)−アルキル−カルバモイルで置換されたフェニル基としては、例えば、2−クロロ−4−(N−tert−ブトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル基、2−クロロ−4−(N−エトキシカルボニルメチルカルバモイル)フェニル基などが好ましく用いられる。
【0021】
Arとしては、ハロゲノフェニル基、低級(C1-4)アルキル−フェニル基、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルコキシ−カルボニルで置換されたフェニル基などが好ましく用いられる。
さらに具体的に、Arとしては、とりわけフェニル基、1乃至3個(なかでも1乃至2個)のハロゲンで置換されたフェニル基(例、2,3−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、4−ブロモ−2−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−フルオロ−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基など)、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基(例、2−クロロ−4−メチルフェニル基、4−フルオロ−2−メチルフェニル基など)などが好ましい。なかでも、1乃至3個(なかでも1乃至2個)のハロゲンで置換されたフェニル基(例、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基など)、ハロゲンおよび低級(C1-4)アルキルで置換されたフェニル基(例、2−クロロ−4−メチルフェニル基、4−フルオロ−2−メチルフェニル基など)などが好ましい。特に、Arとしては、式(c)で表される基が好ましく、式(c1)で表される基がさらに好ましい。
式(c)中R3で示されるおよび環Bの置換基であるハロゲン原子および式(c1)中R3aおよびR3bで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましい。式(c)中R3で示される低級アルキル基としては、たとえばメチル、エチル、プロピルなどのC1-4アルキル基が挙げられる。式(c)で表される基のなかでも2,4−ジフルオロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基などが好ましく、式(c1)で表される基のなかでも2,4−ジフルオロフェニル基、2−クロロ−4−フルオロフェニル基などが好ましい。
【0022】
Xはメチレン基、窒素原子、硫黄原子または酸素原子を示すが、なかでも窒素原子、硫黄原子または酸素原子が好ましい。
環Aは式:−CO−R1(式中、R1は前記と同意義である。)で表される基および式:−SO2−Y−Ar(式中、YおよびArは前記と同意義である。)で表される基で置換されており、さらに(i)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(ii)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、(iii)式OR2(式中、R2は前記と同意義を示す。)で表される基および(iv)ハロゲン原子から選ばれる1乃至4個で置換されていてもよい5〜8員環を示すが、(i)置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、(ii)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基および(iv)ハロゲン原子から選ばれる1乃至4個で置換されていてもよい5〜8員環が好ましい。
これらの置換基は、環A上の置換可能な位置に置換しうる。環を構成するXが窒素原子またはメチレン基である場合には該窒素原子または該メチレン基にも置換可能である。環Aが複数個の置換基で置換されている場合、それらの置換基の種類は同一であっても異なっていてもよい。また、同一の炭素原子上に2個の置換基が置換していてもよい。
環Aの置換基である「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」および「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」としては、例えば、前述のR1で表される「置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基」および「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基」とそれぞれ同様のものが挙げられる。
環Aの置換基としては、1または2個のC1-6アルキル基(例、メチル基、tert-ブチル基などのC1-4アルキル基)、フェニル基、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)などが好ましく用いられる。
mは0ないし2の整数を、nは1ないし3の整数を示し、mとnの和は4以下であるが、mが1、nが1であるのが好ましい。
R4で示される「置換基を有していてもよい低級アルキル基」における「低級アルキル基」としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などC1-6アルキル基が挙げられ、「置換基」としては、たとえばヒドロキシル基、C1-4アルコキシ−カルボニル(たとえばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルなど)などが挙げられる。
R4としては、上記のなかでも水素原子、メチル基が好ましく、とりわけ水素原子が好ましい。
【0023】
Z1で表される脱離基としては、例えば、ハロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素など)などが好ましく、とりわけ塩素原子が好ましい。
Z2で表される脱離基としては、(1)式:−SO2N(R2)−Ar(式中、R2およびArは前記と同意義である。)、(2)たとえば塩素、臭素、よう素、フッ素等のハロゲン原子、(3)たとえばメタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、ブタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等の1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基、(4)たとえばベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、p−ブルモベンゼンスルホニルオキシ、メシチレンスルホニルオキシ等の1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよいC6-10アリールスルホニルオキシ基、(5)たとえばアセチルオキシ、プロピオニルオキシ、トリフルオロアセチルオキシ等の1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アシルスルホニルオキシ基、(6)たとえばベンゾイルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルカルボニルオキシ等のC6-10アリール−カルボニルカルボニルオキシ基などが挙げられる。
【0024】
式(I)で表される化合物としては、例えば、次の化合物などが好ましい。
(1)R1が式OR1a'(R1a'はC1-6アルキル基を示す)で表される基を、式:
【化79】
で表される基が式:
【化80】
で表される基を、Xがメチレンまたは酸素原子を、Yがメチレンまたは−NH−を、Arがハロゲン原子およびC1-6アルコキシから成る群から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいフェニル基である化合物(I)。
【0025】
(2)R1が式OR1a'(R1a'はC1-6アルキル基を示す)で表される基を、式:
【化81】
で表される基が式:
【化82】
で表される基を、XがメチレンでYがメチレンを示すか、またはXが酸素原子でYが−NH−を、Arが2個のハロゲン原子を有していてもよいフェニル基(例、2−クロロ−4−フルオロフェニル基など)を示す化合物(I)。
【0026】
(3)エチル 6-(ベンジルスルホニル)-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物1)、エチル 6-[(4-メトキシベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物2)、エチル 6-[(2,4-ジフルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物3)、エチル 6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物4)、エチル (-)-6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物5)、エチル (+)-6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物6)、エチル 3-[(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート(化合物7)またはエチル 3-[(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート(化合物8)。
(4)エチル 6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物4)、エチル (+)-6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物6)またはエチル 3-[(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート(化合物8)。
式(I)で表される化合物の塩としては無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩が挙げられる。無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等が、有機塩基との塩としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン等との塩が、無機酸との塩としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が、有機酸との塩としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩が、塩基性アミノ酸との塩としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチン等との塩が、酸性アミノ酸との塩としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
式(I)で表される化合物またはその塩において立体異性体が存在する場合は、それぞれの立体異性体並びにそれら立体異性体の混合物の何れもが本発明に包含されるものである。
さらに、式(I)で表される化合物またはその塩において光学異性体が存在するが、それぞれの光学異性体ならびにそれら光学異性体の混合物のいずれもが本発明に包含されるものである。
【0027】
次に、式(I)で表される化合物(I)またはその塩[以下化合物(I)ということもある]の製造法について述べる。
式(I)においてXが窒素原子、硫黄原子、または酸素原子であり、Yが置換基を有していてもよい窒素原子である化合物またはその塩、すなわち式(Ia)で表される化合物またはその塩[以下化合物(Ia)ということもある]は、例えば式(II)で表される化合物またはその塩[以下化合物(II)ということもある]と、式(III)で表される化合物またはその塩[以下化合物(III)ということもある]を反応させ、必要により生成物を自体公知の手段で加水分解することにより製造することができる。式(II)で表される化合物の塩および式(III)で表される化合物の塩としては、前記式(I)で表される化合物の塩として述べたものと同様な塩が挙げられる。
化合物(II)と化合物(III)との反応は、無溶媒下でもよいが、通常反応を阻害しない溶媒中で行なわれる。該溶媒としては、例えば、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシド等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、エステル類(例、酢酸エチル等)、アミド類(例、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−2−ピロリドン等)等が挙げられる。これらの溶媒は一種のみを用いてもよく、二種以上を適当な割合で混合して用いてもよい。溶媒の使用量は特に限定されないが、化合物(II)に対し、通常2〜300重量倍が好ましい。本反応は塩基の存在下に行うのがよく、該塩基としては、無機塩基(例、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(例、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU等)を用いることができ、とりわけトリエチルアミン等の有機塩基が好ましく用いられる。塩基を存在させる場合の使用量は、化合物(II)に対して、約0.5乃至約5倍量(モル比)が好ましく、約0.9乃至約2倍量(モル比)がより好ましい。化合物(II)と化合物(III)の使用割合は、化合物(II)に対して化合物(III)を約1乃至約5倍量(モル比)が好ましく、約1乃至約2倍量(モル比)がより好ましい。反応温度は約−10乃至約100℃が好ましく、約0乃至約60℃がより好ましい。反応時間は約0.5乃至約50時間が好ましく、約0.5乃至約30時間がより好ましい。
【0028】
化合物(II)と化合物(III)の反応が進行する過程で化合物(II)の式(b2)で表される基が、式(b1)で表される基に異性化することにより、化合物(Ia)で表わされる化合物が合成されることがある。
本反応において、式(Ia)中R1がOR1aであってR1aが置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素である化合物が得られる場合には、該化合物を加水分解することにより式(Ia)中R1がOHである化合物に導くことができる。この加水分解反応は自体公知の手段により行うことができる。
このようにして得られる化合物(Ia)が遊離の酸性基または塩基性基を有する場合には必要により、常法によって塩に導くこともできる。
式(I)において、Yが置換基を有していてもよいメチレン基である化合物またはその塩は、例えば、式(IV)で表される化合物またはその塩[以下化合物(IV)ということもある]と、式(V1)で表される化合物またはその塩[以下化合物(V1)ということもある]とを反応させ、生成したスルフィドを酸化剤で酸化し、ついで必要により生成物を加水分解することによって製造することができる。式(IV)で表される化合物の塩および式(V1)で表される化合物の塩としては、前記式(I)で表される化合物の塩として述べたものと同様な塩が挙げられる。
化合物(IV)と化合物(V1)との反応は無溶媒下または反応を阻害しない溶媒中で行なうことができる。該溶媒としては、例えば、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシド等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、エステル類(例、酢酸エチル等)、アミド類(例、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−2−ピロリドン等)等が挙げられる。これらの溶媒は一種のみを用いてもよく、二種以上を適当な割合で混合して用いてもよい。溶媒の使用量は特に限定されないが、化合物(IV)に対し、通常2〜300重量倍が好ましい。
【0029】
本反応は塩基の存在下に行うのがよく、該塩基としては、無機塩基(例、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム等)、有機塩基(例、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、t−ブトキシカリウム等)が好ましく用いられる。塩基を存在させる場合の使用量は、化合物(V1)に対して、約0.5乃至約5倍量(モル比)が好ましく、約0.9乃至約2倍量(モル比)がより好ましい。化合物(IV)と化合物(V1)の使用割合は、化合物(IV)に対して化合物(V1)を約1乃至約5倍量(モル比)が好ましく、約1乃至約2倍量(モル比)がより好ましい。反応温度は約−10乃至約100℃が好ましく、約0乃至約60℃がより好ましい。反応時間は約0.1乃至約50時間が好ましく、約0.5乃至約10時間がより好ましい。
上記の反応によりスルフィドが生成するが、このスルフィドを酸化する反応は通常反応を阻害しない溶媒中で行われる。該溶媒としては、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、エステル類(例、酢酸エチル等)等が用いられる。これらの溶媒は一種のみを用いてもよく、二種以上を適当な割合で混合して用いてもよい。酸化剤としては、例えば酸素−光、過酸化水素、例えば過安息香酸、m-クロロ過安息香酸等の過安息香酸類、例えば過塩素酸リチウム、過塩素酸銀、過塩素酸第二水銀、過塩素酸テトラブチルアンモニウム等の過塩素酸塩、ニトロシル硫酸、例えばイソアミル亜硝酸等のアルキル亜硝酸、例えばヨウ素、臭素、塩素等のハロゲン、N-ブロモコハク酸イミド、塩化スルフリル、クロラミンT等が挙げられる。
反応温度は約−30乃至約30℃が好ましく、約−10乃至約10℃がより好ましい。反応時間は約0.1乃至約50時間が好ましく、約0.5乃至約10時間がより好ましい。
本反応において、式(Ia)中R1がOR1aであってR1aが置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素である化合物が得られる場合には、該化合物を加水分解することにより式(Ia)中R1がOHである化合物に導くことができる。この加水分解反応は自体公知の手段により行うことができる。
このようにして得られる化合物(Ia)が遊離の酸性基または塩基性基を有する場合には必要により、常法によって塩に導くこともできる。
【0030】
このようにして得られる本発明化合物(I)は反応混合物から自体公知の手段、例えば抽出、濃縮、中和、濾過、再結晶、クロマトグラフィー等の手段を用いることによって単離、精製することができる。
本発明化合物(I)のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解などを起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など);化合物(I)の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例、化合物(I)の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など);化合物(I)のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例、化合物(I)のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など);等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。また、化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
さらに、本発明化合物(I)のプロドラッグも同様の塩にすることができる。
本発明化合物(I)は水和物であっても無水和物であってもよく、本発明化合物(I)のプロドラッグも水和物であっても無水和物であってもよい。
また、本発明化合物(I)は同位元素(例、3H、14C、35S、125I)などで標識されていてもよく、本発明化合物(I)のプロドラッグも同様に標識されていてもよい。
【0031】
本発明化合物(I)において、環A内に不斉炭素が存在する場合、少なくとも2個の立体異性体および光学異性体が存在し得るが、所望によりこれらの異性体を個別に製造することもできる。
また、化合物(I)が2種以上の異性体の混合物の場合には、これを通常の分離方法、例えば、光学活性酸(例、カンファースルホン酸等)または光学活性塩基(例、1−メチルベンジルアミン等)とのまたはその塩を生成させる方法や、各種クロマトグラフィー(例、光学活性カラムを用いる液体クロマトグラフィー等)、分別再結晶等の分離手段によって、それぞれの異性体に分離することもできる。
本発明における原料化合物(II)は、例えば次の反応式で示される方法によって製造することができる。
【化83】
(式中各記号は前記と同意義である。)
化合物(VI)を酢酸中、ペルオキソほう酸ナトリウムで酸化すると化合物(VII)を製造することができる。さらに化合物(VII)をハロゲン化チオニル(たとえば塩化チオニルなど)または置換スルホニルクロリド(たとえばメタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリドなど)と反応させることによって化合物(II)を製造することができる。
【0032】
前記した方法で得られる原料化合物または合成中間体は、反応混合物から自体公知の手段、例えば抽出、濃縮、中和、濾過、再結晶、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等の手段を用いることによって、単離、精製することができる。また、単離することなく反応混合物をそのまま次の工程の原料として用いてもよい。
また、上記各反応において、反応に供される化合物またはその塩において、反応に関与しないアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基に対して、保護基を用いてもよく、保護基の付加、除去は公知の手段により行うことができる。
アミノ基の保護基としては、例えば、ホルミル、それぞれ置換基を有していてもよい、C1-6アルキルカルボニル(例えば、アセチル、プロピオニルなど)、フェニルカルボニル、C1-6アルキル−オキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、フェニルオキシカルボニル、C7-10アラルキルオキシ−カルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニルなどのフェニル−C1-4アルキルオキシ−カルボニルなど)、トリチル、フタロイルまたはN,N−ジメチルアミノメチレンなどが用いられる。これらの置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、ホルミル、C1-6アルキル−カルボニル(例えば、アセチル、プロピオニル、バレリルなど)、ニトロ基などが用いられ、置換基の数は1ないし3個程度である。
カルボキシル基の保護基としては、例えば置換基を有していてもよい、C1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル、トリチルまたはシリルなどが用いられる。これらの置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素など)、ホルミル、C1-6アルキル−カルボニル(例えば、アセチル、プロピオニル、バレリルなど)、ニトロ基などが用いられ、置換基の数は1ないし3個程度である。
ヒドロキシ基の保護基としては、例えば置換基を有していてもよい、C1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル、C7-10アラルキル(例えば、ベンジルなどのフェニル−C1-4アルキルなど)、ホルミル、C1-6アルキル−カルボニル(例えば、アセチル、プロピオニルなど)、フェニルオキシカルボニル、ベンゾイル、(C7-10アラルキルオキシ)カルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニルなどのフェニル−C1-4アルキルオキシ−カルボニルなど)、ピラニル、フラニルまたはシリルなどが用いられる。これらの置換基としては、ハロゲン原子((例えば、フッ素、塩素など)、C1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピルなど)、フェニル、C7-10アラルキル(例えば、ベンジルなどのフェニル−C1-4アルキルなど)、ニトロ基などが用いられ、置換基の数は1ないし4個程度である。
また、保護基の除去方法としては、それ自体公知またはそれに準じた方法が用いられるが、例えば酸、塩基、還元、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウムなどで処理する方法が用いられる。
【0033】
本発明の化合物(I)またはその塩あるいはそのプロドラッグ(以下、本発明化合物(I))は、低毒性で一酸化窒素(NO)産生抑制作用およびTNF−α、IL−1、IL−6等の炎症性サイトカイン産生抑制作用を有しており、哺乳動物(例えば、ネコ、ウシ、イヌ、ウマ、ヤギ、サル、ヒト等)の心疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、中枢神経系疾患、感染性疾患、セプシス、セプティックショック等の疾患、例えば敗血症、エンドトキシンショック、エキソトキシショック、心不全、ショック、低血圧、リウマチ関節炎、骨関節炎、胃炎、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、ストレス性胃潰瘍、クローン病、自己免疫疾患、臓器移植後の組織障害及び拒絶反応、虚血再潅流障害、急性冠微小血管塞栓、ショック性血管塞栓(汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)等)、虚血性脳障害、動脈硬化、悪性貧血、ファンコニー貧血症、鎌形赤血球性貧血病、膵炎、ネフローゼ症候群、腎炎、腎不全、インシュリン依存性糖尿病、インシュリン非依存性糖尿病、肝性ポルフィリン症、アルコール中毒、パーキンソン病、慢性白血病、急性白血病、腫瘍、骨髄腫、抗癌剤副作用軽減、幼児および成人性呼吸窮迫症候群、肺気腫、痴呆、アルツハイマー病、多発性硬化症、ビタミンE欠乏性、老化、サンバーン、筋ジストロフィー、心筋炎、心筋症、心筋梗塞、心筋梗塞後遺症、骨粗鬆症、肺炎、肝炎、乾癬、疼痛、白内障、インフルエンザ感染症、マラリア、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、放射線障害、火傷、体外受精効率化、高カルシウム血症、硬直性脊椎炎、骨減少症、骨ペーチェット病、骨軟化症、骨折、急性バクテリア髄膜炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症、侵襲性ブドウ状球菌感染症、結核、全身性真菌感染症、単純ヘルペスウイルス感染症、水痘−帯状疱疹ウイルス感染症、ヒトパピローマウイルス感染症、急性ウイルス脳炎、脳炎、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、逆流性食道炎、発熱、高コレステロール血症、高グリセリド血症、高脂血症、糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、痛風、胃アトニー、痔疾、全身性エリテマトーサス、脊髄損傷、不眠症、精神***症、癲癇、肝硬変、肝不全、不安定狭心症、心弁膜症、透析による血小板減少症、急性虚血性脳卒中、急性期脳血栓症、癌転移、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、悪性黒色腫、ホジキン病、非ホジキン性リンパ腫等の治療薬および/または予防薬として有用である。
本発明化合物(I)をヒトに投与する場合、それ自体あるいは適宜の薬理学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤等と混合し、経口投与剤(例、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等)、非経口投与剤(例、注射剤、外用剤(例、経鼻投与製剤、経皮投与製剤等)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤等)等の医薬組成物として経口的または非経口的に安全に投与することができる。
【0034】
これらの製剤は、例えば、製剤の製造において通常一般に用いられる自体公知の方法を適用することにより製造することができる。
製剤中の本発明化合物(I)の配合割合は、その形態によっても異なるが、例えば前記した経口投与剤においては、約1乃至約99重量%、好ましくは約10乃至99重量%、より好ましくは約10乃至約95重量%であり、例えば前記した非経口投与剤では、約0.001乃至約99重量%、好ましくは約0.001乃至約95重量%である。
製剤中の化合物(I)以外の成分の配合割合は、通常、約1乃至99.999重量%、好ましくは約10乃至約90重量%である。
例えば注射剤は、本発明化合物(I)を可溶化剤(例、β−シクロデキストリン類等)、分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO60(日光ケミカルズ製)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等)、保存剤(例,メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、クロロブタノール等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ブドウ糖等)等とともに常法に従って水性注射剤にすることもでき、あるいは植物油(例、オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、綿実油、コーン油等)、プロピレングリコール等に、適宜溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤に成形することもできる。
経口投与製剤は、本発明化合物(I)に、例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプン等)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウム等)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等)または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000等)等を適宜添加して圧縮成形し、次いで必要に応じて、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のための自体公知の方法でのコーティング等を施すことにより製造することもできる。コーティング剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニック F68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギッド(ローム社製、ドイツ、メタアクリル酸、アクリル酸共重合)、色素(例、酸化チタン、ベンガラ等)等が適宜用いられる。
【0035】
本発明化合物(I)は、固状、半固状あるいは液状の外用剤としても用いることができる。
例えば、固状の外用剤は、本発明化合物(I)をそのまま、あるいは賦形剤(例、グリコール、マンニトール、デンプン、微結晶セルロース等)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体等)等を添加、混合し、粉状の組成物とすることにより製造されることもできる。半固状の外用剤は、常法に従って製造し、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏剤として用いることが好ましい。液状の外用剤は、注射剤の製造に用いる手段あるいはそれに準じた手段により、油性あるいは水性の懸濁剤とすることにより製造されることもできる。
また、固状、半固状または液状の外用剤に、pH調節剤(例、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム等)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム等)等を適宜加えてもよい。具体的には、例えばワセリン、ラノリン等を基剤として、1gあたり本発明化合物(I)を通常約0.1乃至約100mg含有する軟膏剤として、用いることもできる。
本発明化合物(I)は、油性または水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とすることもできる。坐剤を製造する際の油性基剤としては、例えば高級脂肪酸のグリセライド(例、カカオ脂、ウィテップゾール類(ダイナマイトノーベル社製)等)、中級脂肪酸(例、ミグリオール酸(ダイナマイトノーベル社製)等)、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油等)等が適宜用いられる。また水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール等が用いられ、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体等が適宜用いられる。
本発明化合物(I)の投与量は、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間等により異なるが、例えば、セプシスの患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、本発明化合物(I)として1日約0.01乃至約1000mg/kg、好ましくは約0.01乃至約100mg/kg、より好ましくは約0.1乃至約100mg/kg、とりわけ約0.1乃至約50mg/kgを、なかでも約1.5乃至約30mg/kgを1日1回から数回に分けて経口または非経口投与される。もちろん、前記したように投与量は種々の条件で変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
化合物(I)のプロドラッグは化合物(I)と同様に医薬組成物として用いることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、参考例、実施例、製剤例および試験例を記載し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
1H−NMRスペクトルは、内部基準としてテトラメチルシランを用いてバリアンジェミニ200(200MHz)型スペクトルメーターで測定し、全δ値をppm で示した。混合溶媒において( )内に示した数値は、各溶媒の容量混合比である。室温は15〜25℃を、%は、特記しない限り重量パーセントを意味する。またシリカゲルクロマトグラフィーにおける溶媒の比は、混合する溶媒の容量比を示す。
実施例中の各記号は次のような意味を有する。
s:シングレット、d:ダブレット、t:トリプレット、q:クワルテット、dd:ダブルダブレット、td:トリプルダブレット、m:マルチプレット、br:幅広い、J:カップリング定数
【0037】
【実施例】
参考例1
エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(1 g, 特願平10-056492号に記載の方法で合成)とフェニルメタンチオール(719 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(20 ml)溶液に氷冷下1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン(441 mg)を滴下し、室温で18時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(100 ml)で希釈後、水(70 ml x 2)、飽和食塩水(70 ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液: トルエン)に付して精製すると、エチル 6-(ベンジルスルファニル)-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(673 mg)が無色油状物として得られた。
1H-NMR(CDCl3)δ: 1.27 (3H, t, J = 7.0Hz), 1.55-2.36 (6H, m), 3.76 (1H, m), 3.86 (2H, s), 4.19 (2H, q, J = 7.0Hz), 6.95 (1H, t, J = 4.0Hz), 7.22-7.39 (5H, m).
参考例2
参考例1と同様な操作法によって、エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(1 g)と(4-メトキシフェニル)メタンチオール(893 mg)を反応させると、エチル 6-[(4-メトキシベンジル)スルファニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(848 mg)が無色油状物として得られた。
1H-NMR(CDCl3)δ: 1.28 (3H, t, J = 7.0Hz), 1.57-2.32 (6H, m), 3.74 (1H, m), 3.80 (3H, s), 3.82 (2H, s), 4.20 (2H, q, J = 7.0Hz), 6.84 (2H, d, J = 8.4Hz), 6.94 (1H, t, J = 4.0Hz), 7.29 (2H, d, J = 8.4Hz).
参考例3
参考例1と同様な操作法によって、エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(455 mg)と(2,4-ジフルオロフェニル)メタンチオール(421 mg)を反応させると、エチル 6-[(2,4-ジフルオロベンジル)スルファニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(185 mg)が無色油状物として得られた。
1H-NMR (CDCl3)δ:1.26 (3H, t, J = 7.0Hz), 1.60-2.40 (6H, m), 3.78 (1H, m), 3.84 (2H, s), 4.18 (2H, q, J = 7.0Hz), 6.76-6.88 (2H, m), 6.97 (1H, t, J = 4.4Hz), 7.34-7.46 (1H, m).
【0038】
参考例4
参考例1と同様な操作法によって、エチル 6-[N-(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(835 mg)と(2-クロロ-4-フルオロフェニル)メタンチオール(853 mg)を反応させると、エチル 6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルファニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(625 mg)が無色油状物として得られた。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.26 (3H, t, J = 7.0Hz), 1.56-2.36 (6H, m), 3.82 (1H, m), 3.94 (2H, s), 4.19 (2H, q, J = 7.0Hz), 6.96 (1H, td, J = 8.6Hz, 2.6Hz), 6.98 (1H, m), 7.12 (1H, dd, J= 8.6Hz, 2.6Hz), 7.46 (1H, dd, J= 8.6Hz, 6.0Hz).
参考例5
3-ピラノン(20.0 g)をTetrahedron., 1963年, 19巻, 1625ページ.に記載の方法と同様の操作法で反応を行うと、エチル 5-ヒドロキシ-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート(7.52 g)が無色油状物として得られた。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.32 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.31-2.38 (2H, m), 3.79 (2H, t, J = 5.6 Hz), 4.14 (2H, t, J = 1.8 Hz), 4.24 (2H, q, J = 7.2 Hz), 11.85 (1H, s).
SIMS:172(M+).
参考例6
エチル 5-ヒドロキシ-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート(12.9 g)をTetrahedron, 1974年, 30巻, 3753ページ.に記載の方法と同様の操作法で反応を行うと、エチル 5-スルファニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート (12.0 g)が淡青色油状物として得られた。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.32 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.42-2.50 (2H, m), 3.70 (1H, s), 3.84 (2H, t, J = 5.6 Hz), 4.22 (2H, t, J = 2.2 Hz), 4.25 (2H, q, J = 7.2 Hz).
元素分析値:C8H12O3Sとして
計算値(%):C,51.04; H,6.43; S, 17.03.
実測値(%):C,50.99; H,6.54; S, 16.91.
【0039】
参考例7
ペルオキソほう酸ナトリウム・四水和物(24.5 g)を酢酸(130 ml)に加えて50-55℃に加熱し、これにエチル 5-スルファニル-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート(10.0 g)の酢酸(30 ml)溶液を2時間かけて滴下した。50-55℃で3時間撹拌し、反応液を減圧濃縮した。残留物にアセトニトリル(230 ml)を加えて室温で2日間撹拌し、生じた不溶物を濾別した。不溶物をアセトニトリル(70 ml)で洗浄し、濾液と洗液を合わせて減圧濃縮した後、残留物をアセトニトリル(160 ml)に溶解し、室温で6時間撹拌した。生じた不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。残留物にジイソプロピルエーテル(100 ml)を加え、析出した不溶物を濾過すると、4-(エトキシカルボニル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-3-スルホン酸が無機物を含有する淡黄色油状物(27.6 g)として得られた。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 1.19 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.17-2.21 (2H, m), 3.65 (2H, t, J = 5.5 Hz), 4.04 (2H, q, J = 7.2 Hz), 4.16 (2H, t, J = 2.4 Hz).
参考例8
4-(エトキシカルボニル)-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-3-スルホン酸(27.5 g)を塩化チオニル(82.6 ml)に溶解し、室温→85℃で3時間撹拌した。反応液を減圧乾固し、残留物を酢酸エチル(100 ml)に溶解した。得られた溶液を希食塩水(120 ml)を加えて分液し、酢酸エチル層を飽和食塩水(50 ml )で2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/7→1/5)に付して精製して目的物を減圧濃縮後、冷凍下生じた結晶をヘキサンで洗浄すると、エチル 5-(クロロスルホニル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート(7.81 g)が淡黄色結晶として得られた。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.37 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.62-2.70 (2H, m), 3.87 (2H, t, J = 5.5 Hz), 4.34 (2H, q, J = 7.2 Hz), 4.53 (2H, t, J = 2.6 Hz).
元素分析値:C8H11ClO5Sとして
計算値(%):C,37.73; H,4.35.
実測値(%):C,37.64; H,4.27.
【0040】
実施例1
参考例1で得られたエチル 6-(ベンジルスルファニル)-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(100 mg)の塩化メチレン(3 ml)溶液に氷冷下、m-クロロ安息香酸(196 mg)を加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20 ml)を加え、酢酸エチル(20 ml x 2)で抽出した。酢酸エチル層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20 ml)、水(20 ml)、飽和食塩水(20 ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液: ヘキサン→酢酸エチル/ヘキサン = 1/30)に付して精製し、ヘキサンから結晶化するとエチル 6-(ベンジルスルホニル)-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物1, 106 mg)が白色結晶として得られた。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.34 (3H, t, J = 7.2Hz), 1.41-2.50 (6H, m), 4.28 (2H, q, J = 7.2Hz), 4.29 (1H, d, J= 13.8Hz), 4.35 (1H, m), 4.55 (1H, d, J= 13.8Hz), 7.37-7.45 (4H, m), 7.50-7.55 (2H, m).
元素分析値 : C16H20O4S・0.5H2Oとして
計算値(%) : C, 60.55; H, 6.67
実測値(%) : C, 60.98; H, 6.32.
実施例2
実施例1と同様な操作法によって、参考例2で得たエチル 6-[(4-メトキシベンジル)スルファニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(98 mg)を反応させると、エチル 6-[(4-メトキシベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物2, 88 mg)が白色結晶として得られた。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.34 (3H, t, J = 7.0Hz), 1.42-2.50 (6H, m), 3.82 (3H, s), 4.21 (1H, d, J = 13.6Hz), 4.28 (2H, q, J = 7.0Hz), 4.31 (1H, m), 4.50 (1H, d, J = 13.6Hz), 6.92 (2H, d, J = 8.8Hz), 7.41 (1H, t, J = 3.6Hz),
7.47 (2H, d, J = 8.8Hz).
元素分析値 : C17H22O5Sとして
計算値(%) : C, 60.33; H, 6.55
実測値(%) : C, 60.42; H, 6.58.
【0041】
実施例3
実施例1と同様な操作法によって、参考例3で得たエチル 6-[(2,4-ジフルオロベンジル)スルファニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(161 mg)を反応させると、エチル 6-[(2,4-ジフルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物3, 134 mg)が白色結晶として得られた。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.32 (3H, t, J = 7.0Hz), 1.59-2.50 (6H, m), 4.27 (2H, q, J = 7.0Hz), 4.35 (1H, d, J = 14.0Hz), 4.39 (1H, m), 4.51 (1H, d, J = 14.0Hz), 6.83-6.96 (2H, m), 7.42 (1H, t, J = 4.0Hz), 7.49-7.61 (1H, m).元素分析値 : C16H18F2O4Sとして
計算値(%) : C, 55.80; H, 5.27
実測値(%) : C, 55.95; H, 5.40.
実施例4
実施例1と同様な操作法によって、参考例4で得たエチル 6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルファニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(509 mg)を反応させると、エチル 6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物4, 422 mg)が白色結晶として得られた。
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.32 (3H, t, J = 7.0Hz), 1.55-2.52 (6H, m), 4.25 (2H, q, J = 7.0Hz), 4.41 (1H, d, J = 5.6Hz), 4.59 (2H, s), 7.03 (1H, td, J = 8.4Hz, 2.6Hz), 7.21 (1H, dd, J= 8.4Hz, 2.6Hz), 7.42 (1H, t, J = 4.0Hz), 7.62 (1H, dd, J = 8.4Hz, 6.2Hz).
元素分析値 : C16H18ClFO4Sとして
計算値(%) : C, 53.26; H, 5.03
実測値(%) : C, 53.08; H, 4.95.
【0042】
実施例5
実施例4で得たエチル 6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物4, 100 mg)を高速液体クロマトグラフィー(CHIRALPAK AD; 溶出液: ヘキサン/エタノール8/2)によって2種の光学異性体に分割し、0.45μmのフィルターで濾過後、濃縮し、ヘキサンから結晶化するとエチル (-)-6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物5, 50 mg)とエチル (+)-6-[(2-クロロ-4-フルオロベンジル)スルホニル]-1-シクロヘキセン-1-カルボキシラート(化合物6, 49 mg)がそれぞれ白色結晶として得られた。
化合物5
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.32 (3H, t, J = 7.0Hz), 1.56-2.55 (6H, m), 4.26 (2H, q, J = 7.0Hz), 4.42 (1H, d, J = 5.6Hz), 4.59 (2H, s), 7.03 (1H, td, J = 8.6Hz, 2.4Hz), 7.21 (1H, dd, J= 8.6Hz, 2.4Hz), 7.42 (1H, t, J = 4.2Hz), 7.61 (1H, dd, J = 8.6Hz, 6.0Hz).
元素分析値 : C16H18ClFO4Sとして
計算値(%) : C, 53.26; H, 5.03
実測値(%) : C, 53.24; H, 4.85.
[α]D 20 -97.0°(c = 0.5, メタノール中).
化合物6
1H-NMR (CDCl3)δ: 1.32 (3H, t, J = 7.0Hz), 1.56-2.55 (6H, m), 4.26 (2H, q, J = 7.0Hz), 4.42 (1H, d, J = 6.2Hz), 4.59 (2H, s), 7.03 (1H, td, J = 8.6Hz, 2.4Hz), 7.21 (1H, dd, J= 8.6Hz, 2.4Hz), 7.42 (1H, t, J = 4.4Hz), 7.60 (1H, dd, J = 8.6Hz, 6.0Hz).
元素分析値 : C16H18ClFO4Sとして
計算値(%) : C, 53.26; H, 5.03
実測値(%) : C, 53.29; H, 4.82.
[α]D 20 +95.0°(c = 0.5, メタノール中).
【0043】
実施例6
2,4-ジフルオロアニリン(0.45g)を酢酸エチル(10 ml)に溶解し、得られた溶液に氷冷下トリエチルアミン(0.55 mg)を加え、さらに参考例8で得たエチル 5-(クロロスルホニル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート(0.69 g)の酢酸エチル(4 ml)溶液を滴下した。反応液を窒素気流下、0 ℃で30分、さらに室温で5.8時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水(50 ml)、0.5N塩酸(50 ml)、水(50 ml x 2)、飽和食塩水(50 ml)で順次洗浄した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)に付して精製した。目的分画を減圧濃縮した後、残留物を酢酸エチルとジイソプロピルエーテルの混液から結晶化するとエチル 3-[(2,4-ジフルオロフェニル)スルファモイル]-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート(化合物7;0.57 g)が白色結晶として得られた。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 1.14 (3H, t, J = 7.0 Hz), 3.69 (1H, dd, J = 12.8 Hz, 3.0 Hz), 4.08 (2H, q, J = 7.0 Hz), 4.25 (2H, s), 4.33 (1H, d, J = 1.8 Hz), 4.41-4.48 (1H ,m), 7.00-7.05 (1H, m), 7.12 (1H, br), 7.22-7.33 (1H, m), 7.43-7.55 (1H, m), 9.82(1H, s).
元素分析値:C14H15F2NO5Sとして
計算値(%):C,48.41; H,4.35; N,4.03.
実測値(%):C,48.47; H,4.35; N,3.96.
実施例7
実施例6と同様な操作法によって、参考例8で得たエチル 5-(クロロスルホニル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート(0.70 g)と2-クロロ-4-フルオロアニリン(0.52 g)と反応させるとエチル 3-[(2-クロロ-4-フルオロフェニル)スルファモイル]-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシラート(化合物8; 0.54
g)が白色結晶として得られた。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 1.11 (3H, t, J = 7.0 Hz), 3.72 (1H, dd, J = 12.8 Hz, 3.0 Hz), 4.07 (2H, q, J = 7.0 Hz), 4.15-4.25 (2H, m), 4.37 (1H, d, J = 2.2 Hz), 4.46-4.55 (1H, m), 7.15 (1H, br), 7.22-7.26 (1H, m), 7.46-7.59 (2H, m), 9.68(1H, s).
元素分析値:C14H15ClFNO5Sとして
計算値(%):C,46.22; H,4.16; N,3.85.
実測値(%):C,46.35; H,4.11; N,3.73.
前記実施例と同様にして合成できる本発明化合物の具体例を表1、表2、表3に示すが、本発明は表1、表2に例示された化合物に限定されるものではない。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
製剤例1
(1)化合物6 10mg
(2)乳糖 60mg
(3)コーンスターチ 35mg
(4)ゼラチン 3mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2mg
化合物6 10mgと乳糖60mgおよびコーンスターチ35mgの混合物を10%ゼラチン水溶液0.03ml(ゼラチンとして3mg)を用い、1mmメッシュの篩を通して顆粒化した後、40℃で乾燥し再び篩過する。かくして得られる顆粒をステアリン酸マグネシウム2mgと混合し、圧縮する。得られる中心錠を、蔗糖,二酸化チタン,タルクおよびアラビアゴムの水懸液による糖衣でコーティングする。コーティングが施された錠剤をミツロウで艶出してコート錠を得る。
製剤例2
(1)化合物6 10mg
(2)乳糖 70mg
(3)コーンスターチ 50mg
(4)可溶性デンプン 7mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 3mg
化合物6 10mgとステアリン酸マグネシウム3mgを可溶性デンプンの水溶液0.07ml(可溶性デンプンとして7mg)で顆粒化した後、乾燥し、乳糖70mgおよびコーンスターチ50mgと混合する。混合物を圧縮して錠剤を得る。
【0047】
製剤例3
(1)化合物8 10mg
(2)乳糖 60mg
(3)コーンスターチ 35mg
(4)ゼラチン 3mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2mg
化合物8 10mgと乳糖60mgおよびコーンスターチ35mgの混合物を10%ゼラチン水溶液0.03ml(ゼラチンとして3mg)を用い、1mmメッシュの篩を通して顆粒化した後、40℃で乾燥し再び篩過する。かくして得られる顆粒をステアリン酸マグネシウム2mgと混合し、圧縮する。得られる中心錠を、蔗糖,二酸化チタン,タルクおよびアラビアゴムの水懸液による糖衣でコーティングする。コーティングが施された錠剤をミツロウで艶出してコート錠を得る。
製剤例4
(1)化合物8 10mg
(2)乳糖 70mg
(3)コーンスターチ 50mg
(4)可溶性デンプン 7mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 3mg
化合物8 10mgとステアリン酸マグネシウム3mgを可溶性デンプンの水溶液0.07ml(可溶性デンプンとして7mg)で顆粒化した後、乾燥し、乳糖70mgおよびコーンスターチ50mgと混合する。混合物を圧縮して錠剤を得る。
【0048】
試験例1 NO産生に対する抑制効果
iNOS誘導細胞としてマウスマクロファージ系細胞株RAW264.7を用い、NO産生に対する被検化合物の抑制率を測定した。被検化合物は10mMとなるようにN,N−ジメチルホルムアミドに溶かし、0.1mMとなるようにRPMI−1640培地により希釈した。さらに最終濃度が10μMから10倍希釈で10nMになるよう培地で調製し培養液中に添加した。実験前日、細胞が5x105個/mlになるよう非働化牛胎児血清10%添加RPMI−1640倍地で調製し、96穴プレートへ1穴あたりに細胞が1x105個/0.2mlになるよう蒔いた。37℃、5%CO2/95%air下で一晩培養した後、培地を非働化牛胎児血清1%添加RPMI−1640培地に交換し、調製した被検化合物を加え、LPSとインターフェロンガンマをそれぞれ終濃度で5ng/ml、1U/mlとなるように添加した。さらに一晩培養後、培養上清中の亜硝酸イオン(NOの安定代謝物)濃度を測定し、NO産生の指標とした。亜硝酸イオン濃度は、培養上清50μlに20μg/ml2、3−ジアミノナフタレン(DAN)を25μl添加し、室温で10分間インキュベーションした後、0.5N NaOHを25μl添加し、450nm(励起波長365nm)の蛍光を測定することにより定量した。その結果を表3に示す。IC50は50%のNO産生抑制を示す被検化合物濃度を示す。
【0049】
【表3】
【0050】
被検化合物はRAW264.7細胞からのNO産生を強く阻害し、本発明のシクロアルケン誘導体が、優れたNO産生阻害作用を有することが分かった。
試験例2 サイトカイン産生に対する抑制効果
ヒト単球系細胞株P31/FUJ(JCRB0091、樹立者:Fujioka、ヒューマンサイエンス研究資源バンクより入手した)を用い、サイトカイン産生に対する被検化合物の抑制率を測定した。被検化合物は10mMとなるようにN,N−ジメチルホルムアミドに溶かし、0.1mMとなるように RPMI−1640培地により希釈した。さらに最終濃度が10μMから10倍希釈で10nMになるよう培地で調製し培養液中に添加した。実験前日、細胞が2x106個/mlになるよう非働化牛胎児血清10%添加RPMI−1640培地で調製し、96穴プレートへ1穴あたりに細胞が2x105個/0.1mlになるよう蒔いた。40nM ホルボール 12-ミリスタート 13-アセタート(PMA)を含む上記培地を0.1ml添加し、37℃、5%CO2/95%air下で一晩培養した。細胞を上記倍地で洗浄し、PMAを除いた後、調製した被検化合物を加え、LPSとインターフェロンガンマを,それぞれ終濃度で 100ng/ml、10U/mlとなるように添加した。さらに一晩培養後、培養上清中のTNF−α、IL−1β濃度を測定した。なお、各サイトカインの定量はアマシャム社製の定量キットを用いた。結果を表4に示す。IC50は50%のサイトカイン産生抑制を示す被検化合物濃度を示す。
【0051】
【表4】
【0052】
試験例3 血中窒素酸化物濃度上昇に対する効果
感染等に対する生体防御反応や免疫異常等に伴い生体内でNOが産生されると、すみやかに亜硝酸、硝酸へと代謝され、血中の窒素酸化物濃度(NOx)が上昇する。そこで実験動物を用いて血中NOx濃度上昇に対する被検化合物の作用を検討した。
雌性BALB/cマウス(7週齢)を1群6−8匹に群分けした。被検群には被検化合物を0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁し、10mg/kgを経口投与した。対照群には溶媒を同様に投与した。その1時間後、LPS(10mg/kg)を被検群及び対照群に腹腔内投与し、LPS投与後6時間後に採血し、血清中の硝酸イオン+亜硝酸イオン濃度を測定した。硝酸イオンは硝酸塩還元酵素(nitrate reductase)で亜硝酸イオンに変換し、総亜硝酸イオン濃度として前記のDANを用いた蛍光法により定量した。対照群に対する被検群の抑制率を表5に示した。
【0053】
【表5】
【0054】
【発明の効果】
本発明化合物(I)は一酸化窒素(NO)産生抑制作用およびサイトカイン産生抑制作用を有しており、心疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、中枢神経系疾患、感染性疾患、セプシス、セプティックショック等の疾患の予防薬および/または治療剤として有用である。
Claims (14)
- 式:
- 環AがC 1-6 アルキル基、フェニルまたはハロゲンで置換されていてもよい6員環、R1がOR1aかつR1aがC 1-6 アルキル基、Arがハロゲン原子、C 1−4 アルキル基、C 1−4 アルコキシ基、C 1−4 アルコキシ−カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、C 1−4 アルカノイルアミノ基、C 3−6 シクロアルキル基、C 6−10 アリール基、ハロゲノC 1−4 アルキル基、ハロゲノC 1−4 アルコキシ基、C 1−4 アルキルチオ基、C 1−4 アルキルスルホニル基、C 1−4 アルカノイル基、5員芳香族ヘテロ環状基、カルバモイル基、C 1−4 アルキル−カルバモイル基、C 1−4 アルコキシ−カルボニル−C 1−4 アルキル−カルバモイル基および1,3−ジアシルグアニジノ−C 1−4 アルキル基から成る群より選ばれる置換基を有していてもよいフェニル基である請求項1記載の化合物。
- R1aがエチル基である請求項2記載の化合物。
- Arがハロゲノフェニル基、C 1−4 アルキルフェニル基、またはハロゲンとC 1−4 アルキルで置換されたフェニル基である請求項2記載の化合物。
- エチル 6−[(2−クロロ−4−フルオロベンジル)スルホニル]−1−シクロヘキセン−1−カルボキシラート、エチル (+)−6−[(2−クロロ−4−フルオロベンジル)スルホニル]−1−シクロヘキセン−1−カルボキシラートまたはエチル 3−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)スルファモイル]−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシラート。
- 式:
- 式:
- 式:
- 一酸化窒素(NO)及び/またはサイトカイン産生抑制剤である請求項12記載の医薬組成物。
- 心疾患、自己免疫疾患またはセプティックショックの予防・治療剤である請求項12記載の医薬組成物。
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