JP4107358B2 - ホース取付け用の溝付パイプおよびそれを製造する転造加工機のローラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として自動車のパワーステアリング用ホース等のごとく高圧圧力流体搬送用のホースを鋼製パイプ金具の端部に取付けて一体化する際に使用する薄肉の溝付パイプとそれを製造する転造加工機のローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のごとき高圧圧力流体搬送用のホース部品は、ホースと金具とを一体化せしめることによって構成されており、この場合に使われる金具としては、従来、図4に示すごとく、厚さTが1.75から2.0mmの厚肉のパイプ1を使用し、このパイプ1の端部に図5に示すごとく切削加工により複数の台形溝2を形成したものに、筒状のソケット3を矢印Mのごとく固定させた上で、図6に示すごとくパイプ1とソケット3との間にホース4を挿入し、しかる後、図7に示すごとくソケット3の外周から6又は8個の爪により加締めることにより、ホース4とパイプ1とを一体化してホースを組付ける。
【0003】
また、近年上記のパイプ1のコストダウンをはかるため、肉厚Tが1.0から1.5mmの薄肉のパイプ1を使用することが要請されてきているが、このような薄肉のパイプ1を使用する際には、溝部の強度面から、図5のごとき従来の切削加工方式を用いることができず、転造加工機による加工方式が必要となる。
この転造加工機は、図8の要部側断面図、図9の要部正断面図及び図10の概略配置側面図に示すように、パイプ1が縦方向に設けられたストッパー5により位置決めされた後に、パイプ1の端部に、その外周面から3個のローラ6を回転しながら押し付け、ローラ6の表面に加工された複数の溝形状7により、パイプ1の端部の外周面にその溝形状7を塑性変形により形成させるようになっている。
【0004】
なお、図10の転造加工機には圧縮バネ8が内蔵され、床面G上に立設されたワークストックベース9上の機械本体部と連結しており、パイプ1の端部の適切位置にローラ6により溝形状7が形成されるようになっており、図10の10はロックナットであり、また11はローラ6のダブルサポートダイホルダーである。
【0005】
上記の転造加工においては、ロール6がパイプ1を押しつける力によりパイプ1は内側に変形すると共に、その軸方向に大きな材料伸びが発生する。そのため、一般的には、その溝形状7のデザインとして図11のパイプ端部の上半分を示す側面図のごとく、例えば、深さHが0.2mm、ピッチPが2.0の加工量約55mm3 の小さな溝形状7が採用されており、一方、図12のごとく、深さHが0.3mm、ピッチPが3.0の加工量約220mm3 の大きな溝形状7においては、転造加工時の材料伸びにより、図13の要部側断面図に示すパイプ1の特に矢印Aで示す最終溝部の端部は、パイプ1の材料がその端部方向に自由に伸びることから、図14に矢印Wで示す不安定形状の欠肉部ができ、所定の形状が得られない。
【0006】
上記矢印Aの最終溝部の端部は、特にホース部品として実機に使用時には、内部流体の内圧によるホース引張力が作用するため、欠肉部Wに接するホースの内面ゴムが傷つけられやすく、ホースに貫通切れを生ぜしめ、高圧油搬送の場合には油洩れが発生するという問題がある。
なお、上記の加工量が大きな溝形状7の転造加工で材料伸びを押える対策としては、転造加工機のストッパー5を完全剛体に改善する必要があるが、ストッパー5を完全剛体にすると、転造加工時にパイプ1の端部が図15の矢印Rのごとく座屈して、内側にパイプ1の材料が垂れ込んだり、図16の矢印Sのごとくローラ6とストッパー5との間にパイプ1の材料がはみ出してしまい、これら垂れ込んだり、はみ出した部分を除去するための後加工が必要となるという問題がある。
【0007】
さらに、転造加工機のストッパー5を完全剛体にした場合、機械自体にも無理な荷重がかかるため、機械設備の剛体自体を見直さなければならなくなるという問題もある。
【0008】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、既存の転造加工機を大幅に改造せずに、ローラ外周面の最終溝形状を変更するだけで、転造加工量が大きく、加工時の材料伸びが大きくなる溝形状でも、所定の安定した形状が得られる溝付パイプおよびそれを製造する転造加工機のローラを提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、肉厚が1.0〜1.5mmの薄肉のパイプ端部の外周に断面が台形状の多数の横溝を形成すると共に、これら横溝のうち最もパイプ端面側に位置する最端部の横溝とパイプ端面との間の部分に、パイプ端面側に向かってパイプ外径が縮小する傾斜面を形成し、該傾斜面のパイプ軸方向に対する傾斜角度を前記多数の横溝の側壁のパイプ径方向に対する傾斜角度よりも小さく、かつ30°以下にしたホース取付け用の溝付パイプと、前記傾斜面を前記最端部の横溝のパイプ端面側の側壁底部から、該側壁底部とパイプ端面との間の長さの2/3以下の範囲内に形成すると共に、該傾斜面の傾斜角度を5°〜20°にしたホース取付け用の溝付パイプと、パイプ端部に断面が台形状の多数の横溝を形成するための溝形状を有する転造加工機のローラであって、前記横溝を形成する凸部のうち最もパイプ端面側に位置する最端部の凸部よりもパイプ端面側のローラ外周面に、該最端部の凸部の基部からパイプ端面側に向かってローラ外径が拡大する傾斜面を形成し、該傾斜面のローラ軸方向に対する傾斜角度を5°〜20°にしたホース取付け用の溝付パイプを製造する転造加工機のローラと、からなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の転造加工機のローラの実施の形態につき説明するが、図1はその一実施形態のローラ6とそれにより加工されるパイプ1の端部を示す要部断面の側面図で、図2は図1のパイプ1の端部の要部断面の側面図であり、そして図3は図2の要部断面の拡大側面図である。
【0011】
まず、上記各図に示すパイプ1及びローラ6は、前記図10にて説明した従来の転造加工機にそのまま適用して、ストッパー5で位置決めした状態のパイプ1の端部に、表面に複数の溝形状7を有するローラ6を三方から回転しながら押し付けることによって、パイプ1の端部の外周面に上記の溝形状7を塑性変形により形成するものであるが、本発明においては、パイプ1に形成する矢印Aで示す最終溝部の端部とパイプ1の端面との間に、テーパ形状の傾斜面12を形成したローラ6の表面形状としたことを特徴としている。
【0012】
このようにパイプ1の最終溝部Aからパイプ1の端部に傾斜面12を持たせることにより、転造加工時におけるパイプ1の材料の軸方向の伸びを、発生する力Dにより、この傾斜面12の部分で押え込ませることにより、この最終溝部の端部Aで所定の形状を安定した状態で確保するものであるが、このテーパ形状12のBで示すテーパ角度としては30°以下とする。
【0013】
このテーパ角度Bで、転造加工時のパイプ1の材料伸びを抑制させるために、この傾斜面12の部分でパイプ1の伸びを押さえるような方向に適宜な面圧Dを発揮するものであり、その結果、図3のZで示す一定の幅を確保するが、仮にテーパ角度Bを45°にした場合は、Xで示すパイプ1の端部外径が小さくなると共に、この外径部での加工量が大きくなり過ぎるため、パイプ1の内径Yが著しく小さくなり、また余分な材料伸びが図16の矢印Sのごとく外側へはみ出してしまって、後加工が必要となってしまう。
【0014】
そこで、本発明においては、上記テーパ角度Bを30°以下と規定しており、この場合のパイプ1の最大外径より0.2から0.4mm径で押え込む寸法で、そのテーパ角度を5°以上20°以下とし、さらにこの傾斜面12の位置を最端部の横溝のパイプ端面側の側壁底部Aから、側壁底部Aとパイプの端面との間の長さLの2/3以下の範囲内とすることが最も効果的である。
【0015】
以上のごとく本発明のローラ6による転造加工により得られるパイプ1の端部の最終溝部の端部Aの形状は、図14の破線Eで示す安定した状態となり、従来のごとき欠肉部Wの発生がなくなる。なお、本発明の重要な構成である「多数の横溝の傾斜角より小さい傾斜角の傾斜面をもたせた」とは、図2について説明すると、「多数横溝Fのパイプ径方向に対する傾斜角Eより小さいパイプ軸方向に対する傾斜角Bの傾斜面12をもたせた」ことを示している。
【0016】
【発明の効果】
以上に説明した本発明の転造加工機のローラによれば、既存の転造加工機のローラの外周面の最終溝形状を変更するだけで、転造加工量が大きく、加工時のパイプ材料の軸方向の伸びが大きくなる溝形状でも、パイプの伸びを押さえた形状が得られる。
【0017】
その結果、このパイプの端部に接続するホースの内面ゴムが傷つけられることがなく、高圧油搬送の場合等の油洩れ発生を防止でき、ゴムホースとパイプとを一体化した信頼度の高いホース組付部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における転造加工機のローラ及びそれにより加工されるパイプの端部を示す要部断面の側面図である。
【図2】図1のパイプの端部の要部断面の側面図である。
【図3】図2の要部断面の拡大側面図である。
【図4】従来の厚肉のパイプの端部を示す要部断面の側面図である。
【図5】図4のパイプに台形溝を切削加工した状態及びそれに固定されるソケットを示す要部断面の側面図である。
【図6】図5のソケットとパイプとの間にホースを挿入した状態の要部側断面図である。
【図7】図6の状態で外周から加締めたホース組付部品の要部側断面図である。
【図8】従来の転造加工機のローラとそれにより加工されるパイプを示す要部断面の側面図である。
【図9】図8の正断面図である。
【図10】図8の転造加工機の概略配置図である。
【図11】図10の転造加工機で加工される加工量の小さい溝形状のパイプの端部の上半分を示す側面図である。
【図12】図10の転造加工機で加工される加工量の大きい溝形状のパイプの端部の上半分の側面図である。
【図13】図12で加工されるパイプ及びローラの要部側断面図である。
【図14】図13のパイプの最終溝部の端部の加工状態を示す要部拡大の側断面図である。
【図15】図10の転造加工機のストッパーを完全剛体にした場合のパイプの端面が座屈した状態を示す要部側断面図である。
【図16】図15と同様にストッパーを完全剛体とした場合のパイプ材料がはみ出した状態を示す要部側断面図である。
【符号の説明】
1 パイプ 6 ローラ
7 溝形状 B,E 傾斜角
F 横溝 12 傾斜面
Claims (3)
- 肉厚が1.0〜1.5mmの薄肉のパイプ端部の外周に断面が台形状の多数の横溝を形成すると共に、これら横溝のうち最もパイプ端面側に位置する最端部の横溝とパイプ端面との間の部分に、パイプ端面側に向かってパイプ外径が縮小する傾斜面を形成し、該傾斜面のパイプ軸方向に対する傾斜角度を前記多数の横溝の側壁のパイプ径方向に対する傾斜角度よりも小さく、かつ30°以下にしたホース取付け用の溝付パイプ。
- 前記傾斜面を前記最端部の横溝のパイプ端面側の側壁底部から、該側壁底部とパイプ端面との間の長さの2/3以下の範囲内に形成すると共に、該傾斜面の傾斜角度を5°〜20°にした請求項1に記載の溝付パイプ。
- パイプ端部に断面が台形状の多数の横溝を形成するための溝形状を有する転造加工機のローラであって、前記横溝を形成する凸部のうち最もパイプ端面側に位置する最端部の凸部よりもパイプ端面側のローラ外周面に、該最端部の凸部の基部からパイプ端面側に向かってローラ外径が拡大する傾斜面を形成し、該傾斜面のローラ軸方向に対する傾斜角度を5°〜20°にした請求項1又は2に記載のホース取付け用の溝付パイプを製造する転造加工機のローラ。
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- 1997-12-08 JP JP33691097A patent/JP4107358B2/ja not_active Expired - Fee Related
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