JP4107032B2 - 無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物、発泡体、及びそれを用いたシート構造体 - Google Patents

無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物、発泡体、及びそれを用いたシート構造体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規にして有用なる無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物、発泡体、それを用いたシート構造体、及び該シート構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリウレタン樹脂は人工皮革及び合成皮革の用途に幅広く用いられてきた。人工皮革或いは合成皮革とは、広義にはポリウレタン樹脂組成物と、不織布や織布、編布等とを組み合わせたシート状物を指称するものであるが、一般的には、次のように分類されている。
【0003】
即ち、「人工皮革」とは、ポリウレタン樹脂組成物を、不織布に充填又は積層せしめた形のシート状物を云い、その製法としては、一般には、ポリウレタン樹脂組成物のジメチルホルムアミド(以下、DMFとも云う)溶液を不織布に含浸せしめ、或いはコーティングせしめ、これを水凝固浴或いはDMF−水の混合溶液からなる凝固浴中で、ポリウレタン樹脂を凝固せしめて多孔質を形成させた後、洗浄工程ならびに乾燥工程を経るという方法、所謂、湿式加工法により得られる。
【0004】
他方の「合成皮革」は、一般に、乾式合成皮革と湿式合成皮革とに大別され、織布や編布等に、ポリウレタン樹脂組成物を積層せしめた形のシート状物を指称する。乾式合成皮革の製法としては、一般には、ポリウレタン樹脂組成物のDMF溶液を、織布ないしは編布等に含浸せしめ、或いはコーティングせしめ、これを水凝固浴或いはDMF−水の混合溶液からなる凝固浴中で、ポリウレタン樹脂を凝固せしめて多孔質を形成させた後、洗浄工程ならびに乾燥工程を経るという方法、所謂、湿式加工法によって得られる。乾式合成皮革の製法としては、ポリウレタン樹脂と顔料、溶剤、添加剤とを混合撹拌して表皮用コーティング樹脂溶液を調整し、賦型された離型紙の上に塗布して溶剤を乾燥させた後、二液型ポリウレタン樹脂の接着剤を上記離型紙に塗布して、起毛布等の基布とラミネートした後、溶剤を乾燥してから、熟成して、多孔層を形成することなく、各種表皮化粧フィルムを基布にラミネートして皮革用多層加工体を製造する方法をいう。
【0005】
これらの加工方法には溶剤型ウレタン樹脂を使用しているため、加工工程途中において、溶剤の乾燥や溶剤の抽出が不可欠であるため、人体への悪影響や環境汚染の問題、溶剤を蒸発させるためのエネルギーコストの問題等があり、溶剤型から無溶剤型樹脂への移行、あるいは、無溶剤型の加工方法への移行の要求が最近高まりつつある。
【0006】
無溶剤化の方法として、水系化が検討されているが、耐水性や耐久性が劣るためにその実用化は制限されている。また、無溶剤の液状架橋樹脂は、凝集力の発現が架橋に依存するため、塗布や貼り合せ等の加工時の凝集力の調整が難しく、合成皮革の加工への応用を困難にしている。
【0007】
また、常温で固形の反応性樹脂を加熱溶融させて、接着剤やコーティング材に用いる「無溶剤型湿気硬化性(反応性)ホットメルトウレタン樹脂組成物」がよく知られている。従来、反応性ホットメルトウレタン樹脂組成物を発泡させる例としては、溶融状態の反応性ホットメルトウレタン樹脂組成物に加圧下で不活性ガスを導入する方法(特開平3−6281号公報、欧州公開特許第405,721号明細書)が開示されているが、該組成物を加圧して周囲圧力にまで開放しないと、泡の状態が不均質であり、セル形状や機械強度の点で不充分という欠点を有している。
【0008】
更に、反応性ホットメルトウレタン樹脂組成物において、発泡性と接着性、耐久性(特に、耐加水分解性及び耐熱性)などの優れた性能を併せ持つ組成物の開発が要望されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、湿気硬化反応に基づく、優れた接着性、発泡性、耐久性(特に、耐加水分解性及び耐熱性)を併せ持つ高性能の多孔層が得られる無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物、発泡体、それを用いたシート構造体、及び該シート構造体の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、イソシアネート基含有ホットメルトウレタンプレポリマー(A)、ポリイソシアネート成分(B)、活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)水(D)、及びN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンを必須成分とし、プレポリマー(A)とポリイソシアネート成分(B)の総重量に対する総イソシアネート(NCO)基含有率が2.0〜10.0重量%の範囲であり、かつ活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)及び水(D)と反応した後の、仕込総重量「(A)+(B)+(C)+(D)」に対する、前記プレポリマー(A)と前記ポリイソシアネート成分(B)の残存NCO基含有率が1.5〜9.0重量%の範囲であることを特徴とする無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、前記無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で混合撹拌し、水で発泡した後、湿気硬化せしめて得られることを特徴とする発泡体を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、シート基材上に前記発泡体を積層してなることを特徴とするシート構造体を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、シート基材上に前記発泡体を積層し、更に皮革様のフィルム層を積層してなることを特徴とするシート構造体を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、シート基材上に前記無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で混合攪拌して、水で発泡した積層し、次いで湿気硬化するシート構造体の製造方法を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明を実施するにあたり、必要な事項を以下に述べる。
【0016】
本発明では、プレポリマー(A)、好ましくは軟化点が30〜160℃の範囲であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー、必要によりアルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマーを含むプレポリマー(A)、ポリイソシアネート成分(B)、活性水素を少なくとも2個以上有する化合物(C)及び水(D)を含有し、且つプレポリマー(A)とポリイソシアネート成分(B)の総重量に対する総イソシアネート基含有率が2.0〜10.0重量%の範囲であることを特徴とする無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で、混合攪拌して水で発泡させた後、湿気硬化反応に基づいて発泡体を形成することにより、優れた接着性、耐久性(特に、耐加水分解性と耐熱性)に加え、均一なセル形状が得られる発泡性を併せ持つ高性能の多孔層が得られる無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物と、それを用いた発泡体、及びシート構造体が得られる。
【0017】
先ず、無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物の主成分であるプレポリマー(A)について説明する。
【0018】
本発明で使用するプレポリマー(A)とは、ポリオール成分とイソシアネート成分との反応により得られるイソシアネート基を残存させたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a−1)、又は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とイソシアネート基と反応する活性水素原子を1分子当たり1個以上有しており、且つ、加水分解性シリル基を有する化合物を反応させた加水分解性のアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a−2)からなるものであり、好ましくはイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a−1)又はそれと加水分解性のアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a−2)とを併用してなるものである。
【0019】
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a−1)は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分をイソシアネートのNCO基とポリオールの水酸基の当量比(NCO基/水酸基の当量比)が1を越えて、即ち、NCO基が過剰で反応させることにより得られる。NCO基/水酸基の当量比は、通常、好ましくは1.1〜5.0の範囲であり、より好ましくは1.5〜3.0の範囲である。
また、ウレタンプレポリマー(A)中のイソシアネート基含有率は、通常、好ましくは1.5〜8.0重量%の範囲である。
NCO基/水酸基の当量比、及びウレタンプレポリマー(A)中のイソシアネート基含有率がかかる範囲であるならば、優れた加工適正と泡もち性、適度な架橋密度を得ることができる。
【0020】
また、加水分解性のアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a−2)は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とイソシアネート基と反応する活性水素原子を1分子あたり1個以上有しており、且つ、加水分解性シリル基を有する化合物を反応させて得られる。通常は前述のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーに、イソシアネート基と反応し得る官能基の1個と加水分解性シリル基とを併有する化合物を反応せしめることによって、分子末端に加水分解性シリル基を導入せしめるという方法が用いられる。これ以外に、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーとイソシアネート基と反応し得る少なくとも2個以上の官能基と加水分解性シリル基とを併有する化合物を反応せしめることによって分子中にイソシアネート基と加水分解性のアルコキシシリル基末端ウレタンプレポリマーが得られる。
【0021】
本発明で使用するプレポリマー(A)を構成するポリオール成分としては、例えば、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、又はこれらの混合物若しくは共重合物等が挙げられる。更に、アクリル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ラクトン系ポリオール、ひまし油系ポリオール、多価アルコール等、又はこれらの混合物若しくは共重合物が挙げられる。
【0022】
上記ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのEOまたはPO付加物などの1種または2種以上のジオールと、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などのジカルボン酸の1種または2種以上との縮合物などが挙げられる。その他、前記したグリコール成分を開始剤とするγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどの開環重合物などが挙げられる。尚、本発明において、EOとはエチレンオキサイド、POとはプロピレンオキサイドを意味する。
【0023】
また、ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等のグリコール成分、或いはグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、或いは前記ポリエステル系ポリオールを開始剤とするエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドの単独あるいは2種以上の開環重合物等が挙げられる。又、これらポリエーテル系ジオールへのγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどの開環付加重合物などが挙げられる。
【0024】
更に、公知の低分子量ポリオールも使用可能であり、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのEOまたはPO付加物などの1種または2種以上のジオール等が挙げられる。
【0025】
本発明でプレポリマー(A)に使用し得るポリイソシアネート成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネート成分を単独使用あるいは2種類以上を併用してもよい。これらの中で、溶融して使用するホットメルトウレタン樹脂に用いられることを考慮した場合、加熱時の蒸気圧が低いジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることが好ましい。
【0026】
本発明で使用する加水分解性のアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a−2)は、イソシアネート基と反応する活性水素原子を1分子あたり1個以上有しており、且つ、加水分解性シリル基を有する化合物とは、イソシアネート基と反応する活性水素原子を有する官能基を1分子あたり1個以上有し、且つ、加水分解性シリル基を有する化合物であれば、特に制限されるものではない。活性水素原子を有する官能基としては、例えば、アミノ基及び水酸基、SH基等が挙げられる。それらの中でも、イソシアネート基との反応性に優れる点からアミノ基が好ましい。一方、加水分解性シリル基とは、例えば、ハロシリル基、アルコキシシリル基、アシロキシシリル基、フェノキシシリル基、イミノオキシシリル基またはアルケニルオキシシリル基などの如き、加水分解され易いシリル基が挙げられるが、より具体的には下記一般式[1]で示されるものが挙げられる。
【0027】
【化1】
Figure 0004107032
【0028】
(但し、一般式[1]中のR は、水素原子又はアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基より選ばれる一価の有機基を、R は、ハロゲン原子又はアルコキシル基、アシロキシ基、フェノキシ基、イミノオキシ基若しくはアルケニルオキシ基を表し、また、nは0又は1若しくは2なる整数を表す。)
【0029】
上記加水分解性シリル基の中でも、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、(メチル)ジメトキシシリル基、(メチル)ジエトキシシリル基などが架橋が進行し易い点から好ましい。
【0030】
本発明で使用するイソシアネート基と反応し得る官能基と、加水分解性シリル基とを併有する化合物としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシランまたはγ−(N,N−ジ−2−ヒドロキシルエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランまたはγ−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0031】
更に、本発明では、プレポリマー(A)は、ポリオール成分を2種類以上併用してもよく、又、併用するポリオール成分、ポリイソシアネート成分の種類は特に限定するものではない。
【0032】
また、プレポリマー(A)の軟化点は、好ましくは30〜160℃の範囲であり、より好ましくは40〜100℃の範囲である。プレポリマー(A)の軟化点がかかる範囲であれば、ムラのない安定した均一な発泡体が得られ、また、水で発泡させた発泡セルの冷却固化時間の適切化が図れるため、好ましい。
【0033】
本発明で使用するプレポリマー(A)の軟化点の調整方法としては、特に制限はなく、例えば、▲1▼分子量による調整方法(ポリオール成分とポリイソシアネート成分とのモル比、高分子量ポリオールの使用、高分子ポリマーの使用等)、▲2▼ポリエステル系ポリオールのエチレン鎖の結晶性による調整方法、▲3▼ポリオール成分やポリイソシアネート成分の芳香族環の構造による調整方法、▲4▼ウレタン結合の量による調整方法等がある。
【0034】
本発明で使用するプレポリマー(A)を調製するには、公知慣用の種々の方法を用いればよく、特に限定はしない。
【0035】
一般的には、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a−1)の場合は、原料イソシアネート成分に水分を除去したポリオール成分を滴下して加熱してポリオール成分の水酸基が無くなるまで反応して得られる。また、加水分解性アルコキシシリル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a−2)の場合は、上記のようにして得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(a−1)に、NCO基と反応する基を有するアルコキシシラン化合物を滴下し、必要に応じて加熱して反応して得られる。この反応は無溶剤で行われるが場合によっては有機溶剤中で行い、その後脱溶剤することでも得られる。有機溶剤中で反応させる場合には、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メチルエチルケトン、トルエン等の公知慣用の種々の有機溶剤の使用が可能であり、反応を阻害しない有機溶剤であれば特に限定しない。この場合、反応終了後、減圧加熱に代表される脱溶剤方法により溶剤を除去することが必要である。
【0036】
次に、本発明で使用するポリイソシアネート成分(B)としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート等のポリイソシアネート成分のうち、1種或いは2種類以上の混合物が使用できる。これらの中で、溶融して使用するホットメルトウレタン樹脂組成物に用いられることを考慮した場合、加熱時の蒸気圧が低いポリイソシアネートを用いることが好ましく、かかるポリイソシアネートの中でもジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることが特に好ましい。
【0037】
これらポリイソシアネート成分(B)の使用量は、プレポリマー(A)とポリイソシアネート成分(B)の総重量に対する総NCO基含有率が、好ましくは2.0〜10.0重量%の範囲であり、より好ましくは2.5〜8.0重量%の範囲である。ポリイソシアネート成分(B)の使用量がかかる範囲であれば、良好な発泡性及び架橋密度向上による耐久性(特に、耐熱性、耐加水分解性)が良好となる。
【0038】
かかるポリイソシアネート成分(B)の添加方法としては、プレポリマー(A)の合成のポリイソシアネート添加前にかかる範囲のポリイソシアネート成分(B)を先に添加すると、プレポリマー(A)の分子量が大きくならないため、初期凝集力が発現せずに、発泡しても泡もち性が良好ではなく、好ましくない。そのため、プレポリマー(A)と活性水素含有化合物(B)、水(C)及び/又はアミン系触媒(D)、整泡剤(E)と共に、加熱したシリンダー内に個々に供給して高速攪拌するか、プレポリマー(A)の合成後に後添加して、プレポリマー(A)と混合して供給することなどが好ましい。
【0039】
本発明において、上記プレポリマー(A)を使用するが、必要に応じて本来の湿気硬化性を損なわない範囲で使用時に活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)を鎖伸長剤として使用することも出来る。
【0040】
本発明で使用する活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのEOまたはPO付加物などの1種または2種以上のジオール等のグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、或いは前記ポリエステル系ポリオールを開始剤とするエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどの単独或いは2種以上の開環重合物、前記ポリエーテル系ジオールのγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどの開環付加重合物等が使用出来る。又、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノルボルネンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、N,N’−ジアミノピペラジン、2−メチルピペラジン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、ジアミノベンゼン、ジフェニルメタンジアミン、メチレンビスジシクロアニリン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、ジ(2,6−ジメチルモルフォリノエチル)エーテルなどのポリアミン、及び1種及び2種以上の混合物を使用できる。しかし、加工時のイソシアネート基との反応が緩やかであり架橋速度の制御が行い易い点から加工適性を考慮した場合に、グリコールが好ましい。加工性を損なわない範囲であれば、ウレタン樹脂の原料として使用される上記ポリアミンの単独使用や上記ポリオールとの併用は、特に制限されるものでない。
【0041】
次に、本発明で使用する水(D)は、発泡剤として作用する必須成分である。プレポリマー(A)と水(D)との反応により、炭酸ガスが発生して本発明の目的である発泡体が生成するが、水(D)の使用量は、炭酸ガスの発生過多による発泡体の厚みむらや面状態の不良発生、あるいはゲル化による加工性の低下等が起こらない範囲で選択されることが好ましい。
【0042】
本発明で使用する水(D)は、プレポリマー(A)とポリイソシアネート成分(B)と活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)を加熱溶融した状態で、混合攪拌して水で発泡させるための必須成分であり、場合によっては、アミン触媒(E)、整泡剤(F)を加えてもよい。プレポリマー(A)とポリイソシアネート成分(B)と活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)のみの場合では、溶融粘度は上昇するが、水で発泡するのに必要な水が不足しており発泡しにくく、また、プレポリマー(A)とポリイソシアネート成分(B)と水(D)のみの場合では、発泡は若干するが、発泡した後の溶融粘度が急激に上昇しないため泡が潰れてしまい、泡の固定化が困難である。そのため、本発明では、プレポリマー(A)とポリイソシアネート成分(B)と活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)と水(D)の組合せが、溶融粘度の上昇による泡の固定化と水による発泡性のバランスに優れており、場合によりアミン系触媒(E)、整泡剤(F)を加えることにより更に良好となる。
【0043】
上記の活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)及び水(D)の添加量は、プレポリマー(A)及びポリイソシアネート成分(B)の総NCO基が、活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)及び水(D)と反応した後の、仕込総重量「(A)+(B)+(C)+(D)」に対する残存NCO基含有率が、好ましくは1.5〜9.0重量%の範囲であればよく、より好ましくは2.0〜8.0重量%の範囲である。活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)及び水(D)の添加量がかかる範囲であれば、良好な増粘効果が得られ、泡もち性が良好であり、また混合攪拌時にゲル化することもなく、好ましい。
【0044】
また、本発明で使用する活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)と水(D)の反応基当量の比[反応基当量(c)/反応基当量(d)]が0.5〜10.0の範囲であり、より好ましくは1.0〜5.0の範囲である。
【0045】
尚、水(D)の添加量は、上記プレポリマー(A)及びポリイソシアネート成分(B)の総NCO基が、活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)及び水(D)と反応した後の残存NCO基含有率が、1.5〜9.0重量%の範囲において、上記プレポリマー(A)とポリイソシアネート成分(B)の総重量が100重量部に対して、好ましくは0.05〜5.0重量部、より好ましくは0.1〜2.0重量部とすることができる。水(D)の添加量がかかる範囲であれば、発泡度が適度となり発泡体の表面状態が良好となり、好ましい。
【0046】
本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物には、上記プレポリマー(A)、ポリイソシアネート成分(B)、活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)、及び水(D)を必須成分とする他に、加熱溶融した状態で、ウレタン化触媒、整泡剤等を混合攪拌することが好ましく、それぞれの単独若しくは2種以上を添加することが出来る。
【0047】
本発明で使用するウレタン化触媒としては、例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒、アミジン系触媒などをあげることができ、好ましくはアミン系触媒(E)である。
【0048】
本発明で使用するアミン系触媒(E)としては、触媒定数の比であるKW/KWが、0.5以上のアミン系触媒であることが好ましい。尚、本発明において、KWは水とトリレンジイソシアネート(TDI)との反応の重量当たりの触媒定数であり、KWはジエチレングリコール(DEG)とトリレンジイソシアネート(TDI)との反応の重量当たりの触媒定数を表すものとする。
【0049】
かかるアミン系触媒(E)の触媒定数であるKW及びKWは、下記のポリウレタンの生成反応式(1)及び(2)の反応速度の測定により得られる定数である。
反応式(1) RNCO +R’OH→RNHC(=O)OOR’
反応式(2)2RNCO +HO→RNHC(=O)NHR+CO
尚、反応速度の測定方法は、A.Farkasの方法〔参考文献:J.Am.Chem.Soc.82,642(1960)〕に従い、30℃でのベンゼン溶液中で、水とTDIの反応速度定数(K)と、DEGとTDIの反応速度定数(K)を測定して、便宜上、重量当たりの触媒定数をそれぞれKW及びKWとして表した。
【0050】
本発明で使用するアミン系触媒(E)としては、例えば、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、N−メチルジシクロヘキシルアミン(MDCHA)、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N,N',N'−テトラメチルプロピレンジアミン(TMPDA)、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMDA)、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルエチレンプロピレントリアミン(PMEPTA)、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジプロピレンテトラアミン(PMDPTA)、N,N,N',N'',N''',N'''−ヘキサメチルジプロピレンエチレンテトラアミン(HMAPEDA)、N、N‘−ジメチルピペラジン(DMP)、N,N,N'−トリメチル−N−アミノエチルピレラジン(TMNAEP)、N−メチルモルフォリン(NMMO)、N−ヒドロキシエチルモルフォリン(HEMO)、N,N,N',N'−テトラメチルジプロピレンエチレングリコールジアミン(TMEGDA)、N、N、N’、N''、N'''、N'''−ヘキサメチルテトラアミン(HMTETA)、ジメチルアミノエチルエタノールエーテル(DMAEE)、トリメチルアミノエチルエタノールアミン(TMAEEA)、ビスジメチルアミノエチルエーテル(BDMEE)、トリエチルアミン(TEA)、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)等のアミン系触媒のうち、1種或いは2種類以上の混合物が使用できる。また、上記のアミン系触媒を必須成分とするなら、更に上記以外のウレタン化触媒或いは、有機金属系触媒、アミジン系触媒などを単独あるいは2種以上を併用してもよい。
【0051】
かかるアミン系触媒(E)の使用量は、プレポリマー(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部である。アミン系触媒(E)の使用量がかかる範囲であれば、良好な増粘効果が得られ、泡もち性が良好で、また、混合攪拌時にゲル化することもなく、好ましい。尚、必須成分であるアミン系触媒(E)と共に(E)以外の触媒を併用する場合は、アミン系触媒(E)と(E)以外の触媒との使用量合計は、プレポリマー(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部であり、より好ましくは0.5〜5重量部である。
【0052】
更に、本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物には、必要に応じて本来の湿気硬化性を損なわない範囲で使用時に整泡剤(F)を使用することも出来る。かかる整泡剤(F)としては、例えば、有機珪素系界面活性剤などに使用される従来公知のポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体を含むものが好ましく、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体を10重量%以上含むものがより好ましく、具体的には、東レダウコーニング・シリコーン株式会社製の商品名SF2969、PRX607、SF2964、SRX274C、SF2961、SF2962、SF2965、SF2908、BY10−123、SF2904、SRX294A、BY10−124、SF2935F、SF2945F、SF2944F、SF2936F、SH193、SH192H、SH192、SF2909、SH194、SH190、SRX290A、SRX298、及び日本ユニカー株式会社製の商品名L−580、SZ1127、SZ1111、SZ1136、SZ1919、SZ1105、SZ1142、SZ1162、L3601、L5309、L5366、SZ1306、SZ1311、SZ1313、SZ1342、L5340、L5420、SZ1605、SZ1627、SZ1642、SZ1649、SZ1671、SZ1675、SZ1923などが挙げられる。
【0053】
これら整泡剤(F)の使用量は、プレポリマー(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部の範囲であり、より好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。整泡剤の使用量がかかる範囲であれば、整泡力に優れ、熟成後の発泡体の物理的機械強度にも優れる。
【0054】
また、整泡剤(F)に、必要に応じてフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOP)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOA)等の可塑剤、EO/PO共重合体等のポリエーテル系界面活性剤などを添加してもよい。
【0055】
本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物の架橋反応は、それぞれのプレポリマー中のイソシアネート基や加水分解性アルコキシシリル基が湿気と反応することにより起こる。
【0056】
本発明の耐久性に優れた無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物は、架橋反応性(即ち、湿気硬化性)とホットメルト性(即ち、常温では固形でありながら加熱により溶融して塗布可能な状態となり、冷却により再度凝集力が出る状態となる性質を云う)を併せ持つ樹脂組成物を云う。
【0057】
本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物の加工方法としては、例えば、プレポリマー(A)を加熱して液状又は溶融状態とし、ポリイソシアネート成分(B)、活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)、水(D)、及び/又はアミン系触媒(E)、整泡剤(F)と混合攪拌して、水で発泡させた後、ホットメルト性と湿気硬化性を利用して発泡状態を固定する方法が適している。また、発泡層のセルの形状を独泡状態から連通化状態まで制御する場合には、不活性気体を混合攪拌させることも可能である。
【0058】
本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物は、プレポリマー(A)、ポリイソシアネート成分(B)、活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)、水(D)の混合時に必要に応じて、活性水素を含有する鎖伸長剤、アミン系触媒(E)、整泡剤(F)、シランカップリング剤、粘着付与剤、架橋触媒、チキソ付与剤、ワックス、可塑剤、安定剤、充填剤、顔料、蛍光増白剤等の添加剤、熱可塑性樹脂等が単独若しくは2種以上添加されてもよい。
【0059】
本発明でいう発泡層とは、人工皮革や合成皮革を構成する複層構造のうちの皮革としての風合いを付加する重要な層をいう。発泡層を得る方法としては、▲1▼DMF溶剤を用いた湿式法、▲2▼発泡剤を用いた方法、▲3▼イソシアネートと水との反応により発生する炭酸ガスを利用する方法、▲4▼強制的なガス混入による機械発泡による方法等が知られている。
【0060】
本発明の発泡体は、プレポリマー(A)、ポリイソシアネート成分(B)、活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)、及び水(D)からなる無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で混合撹拌し、水で発泡した後、湿気硬化せしめて得られることを特徴とする。また、本発明の発泡体は、プレポリマー(A)、ポリイソシアネート成分(B)、活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)、及び水(D)の他に、アミン系触媒(E)、整泡剤(F)などを含有する無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で混合撹拌し、水で発泡した後、湿気硬化せしめて得られるものであってもよい。
【0061】
また、本発明の発泡体は、前記無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱して液状又は溶融状態とし、必要に応じて予め不活性気体を混合して水で発泡させた後、ホットメルト性と湿気硬化性を利用して硬化させ、発泡状態を固定する方法が好ましい。不活性気体を混合した場合、水と不活性気体との熱膨張率の差が生じるため、混合比率により発泡セルの大きさが制御できるため有効である。
【0062】
また、発泡層のセルの形状を独泡状態から連通化状態まで制御する場合には、不活性気体を混合撹拌させることも可能である。かかる不活性気体としては、例えば、窒素、希ガス、二酸化炭素、及びハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
【0063】
本発明の発泡体は、前述の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で混合撹拌して、必要に応じて予め不活性気体を混合撹拌して、水で発泡した後、湿気硬化させて得られる。
【0064】
かかる発泡体における泡(本発明では、セルとも云う)は、通常ほとんどのものが独泡(独立した泡)の状態であるが、一部に連通した泡(セル)が混在してもよい。その大きさは、適宜制御可能であるが、直径5.0〜200μm程度が好ましい。又、発泡体の厚さは、特に制限されないものの、特に合成皮革や人工皮革に使用される場合には、厚さ0.05〜1.0mm程度が好適である。かかる泡の大きさ及び発泡体の厚さは、後述するシート構造体に於ける本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物から得られる発泡層にも適用される。
【0065】
このようにして調製されるプレポリマー(A)の数平均分子量は、特に限定はしないが、流動性や加工性などの面から、好ましくは500〜500,000の範囲であり、より好ましくは1,000〜100,000の範囲である。
【0066】
プレポリマー(A)を調製するに際して、必要ならば、ウレタン化触媒或いは安定剤等を使用することも出来る。これらの触媒や安定剤等は、斯かる反応の任意の段階で加えることが出来、特に制限はしない。
【0067】
上記ウレタン化触媒としては、公知慣用の触媒が使用可能であり、例えば、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、又はオクチル酸錫などにより代表されるような種々の金属塩;あるいはジブチル錫ジラウレートなどにより代表されるような種々の有機金属化合物などが挙げられる。これらは単独使用でもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
また、上記安定剤としては、例えば、置換ベンゾトリアゾール類などのような紫外線に対する安定剤などであるし、更には置換フェノール誘導体などのような熱酸化に対する安定剤などが挙げられ、これらの各安定剤は、目的に応じて、適宜、選択して加えることが出来、単独使用でもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
また、加水分解性のアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a−2)の場合も、必要に応じて架橋触媒として、例えば、リンゴ酸、クエン酸等の各種の酸性化合物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチレンジアミン等の各種の塩基性化合物類、テトライソプロピルチタネート、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイドまたはジ−n−ブチル錫マレエート等の如き、各種の含金属化合物類等の一般的にアルコキシシリル基架橋触媒として用いられるものを添加して使用することが出来る。
【0070】
上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、又はγ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0071】
上記充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、カーボンブラック、アルミナ、酸化マグネシウム、無機・有機バルーン等が挙げられる。
【0072】
また、上記チキソ付与剤としては、例えば、表面処理炭酸カルシウム、微粉末シリカ、ベントナイト、セピオライト等が挙げられる。特に発泡後の泡の安定化の点よりチキソ付与剤の添加は好ましい。
【0073】
本発明のシート構造体は、上記の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で混合撹拌し、水で発泡した後、湿気硬化せしめた発泡体を積層してなることを特徴とする。
【0074】
本発明のシート構造体は、上記の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で、予め不活性気体を混合撹拌し、水で発泡した後、湿気硬化せしめた発泡層を積層してなるものであってもよい。
【0075】
本発明のシート構造体は、上記の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で混合撹拌し、水で発泡した後、湿気硬化せしめた発泡体を積層し、更に皮革様のフィルム層を積層してなることを特徴とする。
【0076】
本発明のシート構造体は、上記の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で、予め不活性気体を混合撹拌し、水で発泡した後、湿気硬化せしめた発泡層を積層し、更に皮革様のフィルム層を積層してなるものであってもよい。
【0077】
本発明のシート構造体は、皮革様のフィルムと該フィルム上に前記の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を、水で発泡した後、硬化せしめた発泡層を有するものであってもよい。
【0078】
本発明のシート構造体は、皮革様のフィルムと該フィルム上に前記の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物に、予め不活性気体を混合して、水で発泡した後、硬化せしめた発泡層を有するものであってもよい。
【0079】
本発明の発泡体の発泡度は、その用途に応じて適宜調整することが出来、風合い或いは強度を損なわない範囲であれば、特に制限はない。例えば、人工皮革用途又は合成皮革用途であれば、通常、発泡度は1.5〜3.0倍の範囲が好ましい。尚、ここで云う「発泡度」とは、発泡前の樹脂の体積(V)と発泡後の樹脂の体積(V)の比[V/V]で表される。
【0080】
本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物とシート基材からシート構造体をもたらすことができる。即ち、シート基材上に前記樹脂組成物を加熱溶融状態で塗布し、水で発泡した後、湿気硬化させて発泡層を形成することによりシート構造体を得ることができる。勿論、該発泡層の上に更にシート基材を積層したシート構造体や、3枚以上のシート基材間に上記樹脂組成物による発泡層を一体化したシート構造体もできる。
【0081】
本発明のシート構造体を構成するシート基材としては、例えば、不織布や織布、編布等の一般的に人工皮革や合成皮革に用いられている基布や天然皮革、各種プラスチックシート、フィルム、離型紙付きフィルム、離型紙、紙等であれば何ら限定されるものではない。また、前記基布に対して、溶剤系及び水系のポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ゴム系(SBR、NBRなど)ラテックス等を少なくとも1種以上を含浸させた不織布や織布、編布等の一般的に人工皮革や合成皮革に用いられている基布や天然皮革等であれば何ら限定されるものではない。
【0082】
本発明で使用するシート基材としてのフィルム及び離型紙付きフィルムは、従来、人工皮革用又は合成皮革用に用いられるポリウレタン樹脂が好ましく、通常溶剤系樹脂、水系樹脂、ホットメルト樹脂などを離型紙上に塗布乾燥して得ることが出来る。
【0083】
本発明での発泡体及びシート構造体は、本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で、必要に応じて不活性気体を混合させて水で発泡させた発泡樹脂を、例えば離型紙間、又はシート基材と離型紙の間、又は基布と皮革様のフィルムの間、離型紙と撥水処理布及びフィルムとの間に、均一に積層し冷却固化させた後、架橋させて加工出来る方法であれば特に制限はない。また、かかる発泡体を調整後、シート基材又は/及び皮革様のフィルムと、溶剤系接着剤、水系接着剤、ホットメルト接着剤などを用いて接着加工してもよい。尚、該発泡体の発泡及び硬化を促進させるために、発泡体を貼り合わせた基材の基材表面又は発泡体表面、発泡体を一体化した構造体の基材表面又は発泡体表面に加湿処理を行ってもよい。
【0084】
本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を発泡する設備は、必要に応じて不活性気体を所定量混合しながら均一混合可能な設備が望ましく、更に、不活性気体の混合時の攪拌で冷却増粘して均一な発泡が行われない場合や基材やフィルムに発泡層として加工した場合に流動せずに塗布不良や接着不良が起こることを避けるために混合物を加熱保温出来る構造が望ましい。
【0085】
本発明での発泡体及びシート構造体を製造する際に、本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融し、水で発泡させるが、その際の加熱温度は、プレポリマー(A)が溶融する温度以上であり、好ましくは60〜200℃の範囲である。加熱温度がかかる範囲であれば、該樹脂組成物の発泡の制御が容易であり、均質な発泡体が得られやすく、好ましい。
【0086】
本発明での発泡体又はシート構造体を製造する装置としては、例えば、工業的にはプレポリマー(A)を加熱溶融するタンクと水や他の添加剤などの貯蔵供給用タンク、各タンクからのそれぞれ材料を混合する槽、離型紙やシート基材を連続的に搬送するベルト、該ベルト上に溶融した樹脂組成物を供給するノズル、発泡体を硬化するための加湿室、必要により加熱室、他のシート基材供給部などからなるものである。上述の装置は、代表的なものであり、種々変更した他のものでも差し支えない。
【0087】
尚、不活性気体を併用して本発明の樹脂組成物を発泡する場合の設備については、不活性気体を所定量混合しながら均一混合可能な設備であれば特に制限はないが、不活性気体の混合時の撹拌で冷却増粘して均一な発泡が行われない場合や基材及びフィルム、シートに発泡体として加工した場合に流動せずに塗布不良や接着不良が起こることを避けるために混合物を加熱保温出来る構造が望ましい。
【0088】
本発明で得られる発泡体又はシート構造体への公知慣用のラミネート又はコーティング等による表面加工、或いはバフィング加工等の諸々の加工方法については何ら限定されるものではない。
【0089】
以上のように、本発明により、特に接着性と発泡性、耐久性(特に、耐加水分解性、耐熱性)に優れる無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物と、該ウレタン樹脂組成物を用いて得られる発泡体、それを用いたシート構造体、及び該シート構造体の製造方法を提供出来る。
【0090】
本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物、及びそれを用いた発泡体、シート構成体は、例えば、靴、家具、衣料、自動車などの車両、鞄、ケース等に用いる合成皮革や人工皮革以外にも、接着剤、粘着剤、シーリング剤、塗料、コーティング剤、フィルム、シート、断熱材、保温材、吸音材、クッション材、滑り止め、研磨パッド、電子電器材料、建材、土木、医療部材等々の幅広い用途において、極めて実用性が高い。
【0091】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。尚、以下において、部及び%は、特にことわりのない限り、全て重量基準であるものとする。又、各種特性は以下の方法に従い測定した。
【0092】
[表皮フィルム1の作製方法]
合成皮革表皮用の溶剤型ウレタン樹脂であるクリスボンNY324(大日本インキ化学工業株式会社製)に、顔料のDILAC−6001(大日本インキ化学工業株式会社製)とメチルエチルケトン(MEK)とジメチルホルムアミド(DMF)とを混合撹拌してナイフコーターを用いて、離型紙上に塗布量が100g/m(wet)になるように均一に塗布した後、70℃で1分間乾燥後、次いで120℃で2分間乾燥させて、厚さ30μmの表皮フィルム1を作製した。
【0093】
[軟化点の測定方法]
実施例及び比較例で得た各プレポリマーの軟化点を示差熱測定装置(DSC、マックサイエンス社製)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度5℃/分にて測定した。
【0094】
[接着性の測定方法]
温度23℃、相対湿度65%の環境下で5日間放置した表皮フィルム付きシート構造体の表皮フィルム1に布ホットメルトテープを130℃で5秒間熱圧着した後、200mm/分のヘッドスピードにてJIS K6311に準じて、テンシロンを用いて剥離強度を測定し、接着性の評価を行った。
【0095】
[耐加水分解性の測定方法]
表皮フィルム付きシート構造体を耐加水分解試験(ジャングル試験条件:70℃、相対湿度95%、12週間保持)に供した後、上記の接着性の評価方法と同様に剥離強度を測定して、保持率と、評価後の外観変化を観察し、下記の判定基準に従い評価した。
○:ジャングル試験後の外観変化無し。
×:ジャングル試験後の外観変化有り。
【0096】
[耐熱性の測定方法]
表皮フィルム付きシート構造体を耐熱試験(試験条件:120℃、500時間保持)に供した後、上記の接着性の評価方法と同様に剥離強度を測定して、保持率と、評価後の外観変化を観察し、下記の判定基準に従い評価した。
○:試験後の外観変化無し。
×:試験後の外観変化有り。
【0097】
《実施例1》表皮フィルム付きシート構造体1の製造方法
1リットル4ツ口フラスコに数平均分子量が1400なるポリテトラメチレングリコール(以下、PTMG1400と略称)の70部と、アジピン酸(表中ではAAと略称)とヘキサンジオール(表中ではHGと略称)との数平均分子量が2000のポリエステルポリオール(表中ではポリエステルポリオール2000と記載)の30部を120℃に減圧加熱して、水分0.05%となるまで脱水した。40℃に冷却後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、表1中に示したNCO含有率(重量%)(以下、NCO%と略記)になるように加えた後、90℃まで昇温して、NCO%が一定となるまで3時間反応してプレポリマー1を得た。コーンプレート粘度計での125℃の粘度は7000mPa・sであった。得られたプレポリマー1を120℃に加熱して溶融して120℃で加温しながら、プレポリマー1の100部に対して、MDIを表1に示した総NCO基含有率(重量%)になるように、エチレングリコール(EG)を1.0部、POLYCAT−8[エアープロダクツジャパン社製;N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、触媒定数の比;KW/KW=3.73]を0.10部、及び水を0.12部と共に加えてミキシングして、約2.8倍に発泡したことを体積から確認した。直ちに、表皮フィルム1の上に厚み50μmで塗布して、ポリウレタン含浸不織布と貼り合せて冷却して、温度23℃、相対湿度65%の環境下で5日間放置して、シート状の表面フィルム付き構造体1を得た。本発明のシート状の表皮フィルム付き構造体1の特性評価結果を表1に示したが、発泡性、接着性、耐熱性、及び耐加水分解性に優れていた。
【0098】
《実施例2》表面フィルム付きシート構造体2の製造方法
1リットル4ツ口フラスコに実施例1で得られたプレポリマー1を120℃に加熱して溶融して120℃で加温しながら、プレポリマー1の100部に対して、MDIを表1に示した総NCO基含有率になるように、EGを1.0部、POLYCAT−8を0.10部、及び水を0.12部と共に加えてミキシングして、約3.0倍に発泡したことを体積から確認した。直ちに、表皮フィルム1の上に厚み50μmで塗布してポリウレタン含浸不織布と貼り合せて冷却して、温度23℃、相対湿度65%の環境下で5日間放置し、シート状の表皮フィルム付きシート構造体2を得た。本発明のシート状の表皮フィルム付きシート構造体2の特性評価結果を表1に示したが、発泡性、接着性、耐熱性、及び耐加水分解性に優れていた。
【0099】
《実施例3》表面フィルム付きシート構造体3の製造方法
1リットル4ツ口フラスコにPTMG1400の70部と、ポリエステルポリオール2000の30部を120℃に減圧加熱して、水分0.05%となるまで脱水した。40℃に冷却後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、表1中に示したNCO含有率(重量%)になるように加えた後、90℃まで昇温して、NCO%が一定となるまで3時間反応してプレポリマー2を得た。コーンプレート粘度計での125℃の粘度は9000mPa・sであった。得られたプレポリマー2を120℃に加熱して溶融して120℃で加温しながら、プレポリマー2の100部に対して、MDIを表1に示した総NCO基含有率になるように、EGを0.16部、POLYCAT−8を0.10部、及び水を0.10部と共に加えてミキシングして、約2.5倍に発泡したことを体積から確認した。直ちに、表皮フィルム1の上に厚み50μmで塗布して、ポリウレタン含浸不織布と貼り合せて冷却して、温度23℃、相対湿度65%の環境下で5日間放置して、シート状の表面フィルム付き構造体3を得た。本発明のシート状の表皮フィルム付き構造体3の特性評価結果を表1に示したが、発泡性、接着性、耐熱性、及び耐加水分解性に優れていた。
【0100】
《実施例4》表面フィルム付きシート構造体4の製造方法
実施例1で得られたプレポリマー1を、120℃に加熱溶融した後、120℃に加熱した数平均分子量が1000のプロピレングリコール(以下、PPG1000と記載)と、MDIを表1に示した総NCO基含有率になるように、ジブチルジ錫ジラウレート(DBSNDL)を、(プレポリマー1+MDI)/PPG1000/DBSNDL=100/3.0/0.1重量比で混合しながら、EGを1.0部、POLYCAT−8を0.10部、及び水0.12部を共に加えてミキシングして、約2.8倍に発泡したことを体積から確認した。発泡プレポリマー3を得た。直ちに、表皮フィルム1の上に厚み50μmで塗布して、ポリウレタン含浸不織布と貼り合せて冷却して、温度23℃、相対湿度65%の環境下で5日間放置して、シート状の表皮フィルム付きシート構造体4を得た。本発明のシート状の表面フィルム付きシート構造体4の特性評価結果を表1に示したが、発泡青、接着性、耐熱性、及び耐加水分解性に優れていた。
【0101】
《比較例1》
1リットル4ツ口フラスコに実施例1で得られたプレポリマー1を120℃に加熱して溶融して120℃で加温しながら、プレポリマー1の100部に対して、EGを1.30部、POLYCAT−8を0.10部、及び水0.15部を加えてミキシングして、約1.0倍に発泡したことを体積から確認した。直ちに、表皮フィルム1の上に厚み50μmで塗布してポリウレタン含浸不織布と貼り合せて冷却して、温度23℃、相対湿度65%の環境下で5日間放置して、シート状の表面フィルム付きシート構造体5を得た。その特性評価結果を表2に示す。本品は、発泡性及び耐熱性に劣るものであった。
【0102】
《比較例2》
1リットル4ツ口フラスコに実施例3で得られたプレポリマー2を120℃に加熱して溶融して120℃で加温しながら、プレポリマー2の100部のみをミキシングしたが、約1.0倍と殆ど発泡しなかったことを体積から確認した。直ちに、表皮フィルム1の上に厚み50μmで塗布してポリウレタン含浸不織布と貼り合せて冷却して、温度23℃、相対湿度65%の環境下で5日間放置して、シート状の表面フィルム付きシート構造体6を得た。その特性評価結果を表2に示した。本品は、発泡性及び耐熱性に劣るものであった。
【0103】
【表1】
Figure 0004107032
【0104】
【表2】
Figure 0004107032
【0105】
【発明の効果】
本発明の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物は、イソシアネート基含有ホットメルトウレタンプレポリマー(A)、ポリイソシアネート成分(B)、活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)、及び水(D)からなる樹脂組成物であり、発泡性、接着性及び耐久性(特に、耐熱性、耐加水分解性)に優れる。本発明の樹脂組成物を加熱溶融した状態で混合撹拌し、水で発泡した後、湿気硬化させることにより発泡体を得ることができ、及びそれを用いたシート構造体は、例えば、靴、家具、衣料、自動車などの車両、鞄、ケース等に用いる合成皮革や人工皮革以外にも、接着剤、粘着剤、シーリング剤、塗料、コーティング剤、フィルム、シート、断熱材、保温材、吸音材、クッション材、滑り止め、研磨パッド、電子電器材料、建材、土木、医療部材等々の幅広い用途において、極めて実用性が高い。

Claims (12)

  1. イソシアネート基含有ホットメルトウレタンプレポリマー(A)、ポリイソシアネート成分(B)、活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)水(D)、及びN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンを必須成分とし、プレポリマー(A)とポリイソシアネート成分(B)の総重量に対する総イソシアネート(NCO)基含有率が2.0〜10.0重量%の範囲であり、かつ活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)及び水(D)と反応した後の、仕込総重量「(A)+(B)+(C)+(D)」に対する、前記プレポリマー(A)と前記ポリイソシアネート成分(B)の残存NCO基含有率が1.5〜9.0重量%の範囲であることを特徴とする無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物。
  2. プレポリマー(A)の軟化点が、30〜160℃の範囲である請求項1記載の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物。
  3. プレポリマー(A)が、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーである請求項1又は2記載の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物。
  4. プレポリマー(A)とポリイソシアネート成分(B)の総重量に対する総NCO基含有率が、2.5〜8.0重量%の範囲である請求項1又は2記載の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物。
  5. プレポリマー(A)が、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー、又は加水分解性のアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを有する請求項1又は2記載の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物。
  6. 活性水素を少なくとも2個有する化合物(C)と水(D)との反応基当量の比[反応基当量(c)/反応基当量(d)]が、0.5〜10.0の範囲である請求項1又は2記載の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物。
  7. 更に、整泡剤(F)を必須成分として含有する請求項1又は2記載の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物。
  8. 整泡剤(F)が、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体を含んでなる請求項記載の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物。
  9. 請求項1〜の何れかに記載の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融した状態で混合撹拌し、水で発泡した後、湿気硬化せしめて得られることを特徴とする発泡体。
  10. シート基材上に請求項記載の発泡体を積層してなることを特徴とするシート構造体。
  11. シート基材上に請求項記載の発泡体を積層し、更に皮革様のフィルム層を積層してなることを特徴とするシート構造体。
  12. シート基材上に、請求項1〜の何れかに記載の無溶剤型湿気硬化性ホットメルトウレタン樹脂組成物を加熱溶融し、水で発泡して積層し、次いで湿気硬化することを特徴とするシート構造体の製造方法。
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