JP4106535B2 - 内面加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばデファレンシャルギアケース(以下、「デフケース」という)等のワークの内面を加工する内面加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の内面加工装置は、例えば次のように構成されている。すなわち、同一軸線上で対向して配置され往復動可能に構成された一対のスピンドルと、これらスピンドルの軸線回りに回転自在に支持されたカッタとを備えている。そして、例えばデフケースの内面加工を行う際には、ケース内にカッタを配置した後、各スピンドルをケース内面に開口する孔から挿入し、これらスピンドルによってケース内でカッタを挟圧保持する。続いて、一方のスピンドルを回転駆動させ、これに伴ってカッタを回転させる。この状態で、両スピンドルとともにカッタを挟圧保持した状態で軸線方向に移動させ、デフケース内面の球面座或いは平面座を切削加工する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなデフケースには、トランスミッションの出力軸に噛合するリングギアを取り付けるためのフランジが形成されている。そして、デフケースを加工する際には、例えば特開2001−47333号公報に記載されているように、フランジに形成されたボルト取付用の穴を用いて位置決めが行われていた。すなわち、フランジに形成されたボルト穴にピンを嵌合し、これにより球面座或いは平面座加工のための位置決めが行われていた。しかしながら、フランジは、実際に加工が行われるデフケースの内面から離れた位置に設けられているため、このようにフランジの穴を基準に位置決めをすると、加工誤差が大きくなるという問題があった。
【0004】
また、次のような問題も指摘されている。上記した2つのスピンドルは独立した駆動装置により往復動され、カッタを挟圧保持したまま一体となって移動する。このとき、例えば特開平10−277825号公報又は特開平11−165211号公報に記載されているように、一方のスピンドルが切削のために前進すると、他方のスピンドルはカッタを一定の圧力で押圧した状態で後退するように制御される。このように、両スピンドルはカッタを挟圧保持しつつ同期して往復動しなければならないため、その制御は容易ではなかった。特に、加工に適した挟持圧力をバランスよく保たなければならないため、例えば、加工時の負荷の変動によりこのバランスが狂うと、芯がずれた状態で加工されることがあり、必ずしも精度の高い加工が行えるとは言えなかった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、内面加工の際に精度の高いワークの位置決めを容易に行うことができ、高精度の加工を行うことができる内面加工装置を提供することを第1の目的とする。また、加工の際のスピンドルの制御を容易に行うことができ、精度の高い加工を可能とする内面加工装置を提供することを第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記第1の目的を達成するため、スピンドル軸線回りに回転駆動可能な駆動スピンドルと、該駆動スピンドルを支持し前記スピンドル軸線方向に往復動自在な第1スライドユニットと、前記スピンドル軸線上で前記駆動スピンドルと対向配置された従動スピンドルと、該従動スピンドルを前記スピンドル軸線回りに回転自在に支持し該スピンドル軸線方向に往復動自在な第2スライドユニットと、前記両スライドユニットの間に配置されワークを保持可能な保持部と、ワークの開口部から該ワーク内に挿入され、該ワーク内で前記駆動スピンドル及び従動スピンドルにより挟圧保持される工具とを備え、該工具は、前記駆動スピンドルの回転駆動に伴って回転し、挟圧保持された状態で前記両スピンドルとともに前記スピンドル軸線方向に移動することでワークの内面を加工するように構成された内面加工装置において、前記保持部を挟む位置の少なくとも一方に配置され、前記スピンドル軸線に平行な軸線に沿って往復動可能な少なくとも一つの位置決め部材を備え、前記保持部は、前記両スライドユニットの間で前記スピンドル軸線を横切る方向に移動可能となっており、前記保持部上のワークを前記位置決め部材の軸線上に配置した後、前記位置決め部材をワークに形成された基準孔に挿入することにより、ワークの位置決めを行い、位置決めされたワークを前記保持部により移動させ、前記スピンドル軸線上に位置させるように構成されていることを特徴とする内面加工装置を提供するものである。
【0007】
前記位置決め部材は、前記工具によるワークの加工の際に、前記工具の回転中心軸線上でワークの内面に開口する基準孔に挿入されるものとすることができる。
【0008】
また、前記位置決め部材は、前記第1及び第2スライドユニットの少なくとも一方に配設されているものとすることができる。
【0009】
また、本発明は、上記第2の目的を達成するため、スピンドル軸線回りに回転駆動可能な駆動スピンドルと、該駆動スピンドルを支持し前記スピンドル軸線方向に往復動自在な第1スライドユニットと、前記スピンドル軸線上で前記駆動スピンドルと対向配置された従動スピンドルと、該従動スピンドルを前記スピンドル軸線回りに回転自在に支持し該スピンドル軸線方向に往復動自在な第2スライドユニットと、前記両スライドユニットの間に配置されワークを保持可能な保持部と、ワークの開口部から該ワーク内に挿入され、該ワーク内で前記駆動スピンドル及び従動スピンドルにより挟圧保持される工具とを備え、該工具は、前記駆動スピンドルの回転駆動に伴って回転し、挟圧保持された状態で前記両スピンドルとともに前記スピンドル軸線方向に移動することでワークの内面を加工するように構成された内面加工装置において、前記両スライドユニットを連結し、これらを相互間の接近位置及び離反位置に保持し得る第1駆動手段と、前記両スライドユニットのいずれか一方に接続され、該スライドユニットを前記スピンドル軸線方向に往復動させる第2駆動手段とを備えたことを特徴とする内面加工装置を提供するものである。
【0010】
前記保持部は、前記両スライドユニットの間で前記スピンドル軸線を横切る方向に移動可能となっており、前記第1スライドユニットは、前記保持部の移動方向に並ぶ複数の前記駆動スピンドルを備えるとともに、前記第2スライドユニットは、前記複数の駆動スピンドルそれぞれと対応する複数の前記従動スピンドルを備えており、前記保持部は、前記スピンドル軸線方向及び前記保持部の移動方向に対して直交する軸回りに回転割り出し可能に構成されているものとすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内面加工装置の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る内面加工装置の平面図、図2は図1の正面図、図3は図2のA−A線断面図である。本実施形態では、この内面加工装置を用いてデフケースを内面加工する場合について説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、この内面加工装置は、同図中のX方向に対向して配置される第1及び第2スライドユニット1,3と、これらスライドユニット1,3の間に配置され、処理対象となるワークを保持するワーク保持ユニット(保持部)5と、ワークを加工する2つのカッタユニット7,9(図2では手前のもののみ表示)とを備えている。
【0013】
図4は加工対象となるデフケースの断面図である。同図に示すように、このデフケースWは、本体部W1と、この本体部W1の両端に設けられた筒状のジャーナル部W2,W3とからなり、本体部W1には、ジャーナル部W2,W3と連通するとともにデファレンシャルギアが配置される開口部W4が形成されている。開口部W4の内壁面において、ジャーナル部W2,W3の軸線が通過する一対の面C1には、以下に説明する加工により平面座が形成される。一方、平面座と直交する開口部の内壁面C2には、球面座が形成される。なお、球面座が形成される内壁面C2には、その曲率中心上に軸線を位置させるようにしてシャフトが挿入されるシャフト挿入孔W5が形成されている。
【0014】
図1に戻って内面加工装置の説明を続ける。図1の左側に位置する第1スライドユニット1は、X方向に延びる一対の第1レール11上にレールブラケット13を介して往復動自在に支持されている。このスライドユニット1上には、X方向に延びる一対の第1及び第2駆動スピンドル15,17がY方向に並んで設けられており、これら駆動スピンドル15,17はスライドユニット1に取り付けられたスピンドルハウジング16,18に収納され、X軸(スピンドル軸線)回りに回転自在に支持されている。各駆動スピンドルの先端部15a,17aは、後述するカッタ部材と係合可能なスプライン又は角部が形成されている。また、これら先端部15a,17aは、デフケースWのジャーナル部W2,W3の内径、或いは球面座に形成されたシャフト挿入孔W5に挿入可能な径に形成されている。
【0015】
図2に示すように、第1スライドユニット1における駆動スピンドル15,17の上方には、第1モータ19が取り付けられ、このモータ19により両駆動スピンドル15,17が回転駆動される。より詳細には、図3に示すように、各駆動スピンドル15,17の後端部に取り付けられたプーリ21,23、及び第1モータ19の回転軸に取り付けられたプーリ25にベルト27が巻回され、このベルト27に一対のテンションローラ29a,29bが回転自在に当接している。したがって、第1モータ19の駆動により両駆動スピンドル15,17が同時に回転する。
【0016】
図1に示すように、第1スライドユニット1の下方には、X方向に延びるボールネジ31が配設されている。このボールネジ31は、第1スライドユニット1の下面に回転自在に取り付けられたナット33に螺合するとともに、一端部が第2モータ35に接続されている。これらは、NC制御されており、第2モータ35の駆動によって第1スライドユニット1がX方向に往復動するようになっている。ここで、上記ボールネジ31、ナット33及び第2モータ35が本発明の第2駆動手段に相当する。
【0017】
また、このスライドユニット1の一側部(図1の上側)には、ブラケット37を介して第1位置決め部材39が取り付けられている。第1位置決め部材39は、X方向に延びる棒状部材39aと、その後端部を収納するケース39bとを備えている。棒状部材39aは、先端部がデフケースW内のシャフト挿入孔W5に挿入可能な径、より詳細には、後述する位置決めの際の許容誤差内の径の相違になるように僅かに小さい径に形成されている。また、ケース39b内には、棒状部材39aを第2スライドユニット3側へ付勢するバネ(図示省略)が設けられており、例えば棒状部材39aの先端が異物に接触してデフケースに挿入できなかった場合には、バネが撓んで棒状部材39aがケース39b内に後退するように構成されている。
【0018】
一方、第1スライドユニット1と対向する位置に配設された第2スライドユニット3は、第1スライドユニット1と同様に、一対の第2レール41上にレールブラケット43を介して支持されており、その上部には、スピンドルハウジング44,46に収納された第1及び第2従動スピンドル45,47が設けられている。これら従動スピンドル45,47は、上記した第1及び第2駆動スピンドル15,17それぞれと対向する位置で同一軸線上に延びるように配置されており、スピンドルハウジング44,46内でX軸回りに回転自在に支持されている。各従動スピンドルの先端部45a,47aには、後述するカッタ部材と係合可能なテーパが形成されている。また、このスライドユニット3には、第1位置決め部材39と同一構成の第2位置決め部材49がブラケット51を介して設けられている。この第2位置決め部材49の棒状部材49aは、第1位置決め部材39の棒状部材39aと対向する位置に、同一軸線上に延びるように配置されている。
【0019】
また、第2スライドユニット3の下面には、X方向に延び、スライドを規制するためのロッド50が取り付けられており、このロッド50の端部がストッパ52に当接することにより、第1及び第2スライドユニット1,3の離間距離が規制されるようになっている。
【0020】
図1に示すように、第1及び第2スライドユニット1,3は、油圧シリンダ装置53によって連結されている。この油圧シリンダ装置53は、X方向に延び各スライドユニット1,3の位置決め部材39,49とは反対側の側部(同図の下側)に取り付けられている。より詳細には、油圧シリンダ装置53のシリンダ部53aがブラケット55を介して第1スライドユニット1に取り付けられるとともに、プランジャ部53bの先端がブラケット57を介して第2スライドユニット3に取り付けられている。そして、この油圧シリンダ装置53を伸縮させることで、両スライドユニット1,3を近接離間することができる。この油圧シリンダ装置53が本発明の第1駆動手段に相当する。
【0021】
図5及び図6は、ワーク保持ユニットを示す図であり、図5(a)はワーク保持ユニットの平面図、図5(b)はデフケースを載置した状態での図5(a)のC−C線断面図、図6は図5(a)のD−D線断面図である。ワーク保持ユニット5は、両スライドユニット1,3の間をY方向に往復動するように構成されており、Y方向に延びる第3レール59に支持されたベース部61と、このベース部61上で回転可能に支持されデフケースWを保持するワーク取付治具63とを備えている(図2参照)。図5(a)に示すように、ワーク取付治具63は、円形の回転割り出しテーブル62を有しており、ベース部61に設けられたギアボックス(図示省略)及び第3モータ64(図7参照)によりZ軸を回転軸として回転し、デフケースWの向きを90°変えることができる。
【0022】
図5(b)に示すように、ワーク取付治具63は、初期状態においてデフケースWの両ジャーナル部W2,W3がX方向に延びるようにデフケースWを保持する。そして、3つの押圧用の部材によりデフケースWを押圧して固定するように構成されている。すなわち、デフケースWは、ジャーナル部W2,W3を上方から押圧するクランプ部材67、本体部W1の外壁をX方向に押圧する側面押圧部材69、及びデフケースWのX軸回りの回転を防止するために本体部W1の下部を下方から押圧するロック部材71によりワーク取付治具63に固定される。
【0023】
図5及び図6に示すように、側面押圧部材69は、一対の支持部材73の上端部の間にX方向に揺動自在に支持されている。この支持部材73は、下端部が基台65に対して揺動自在に支持されるとともに、プッシュピン75により下端部を図中のS方向へ押圧され、これにより支持部材73の上端部は図中のR方向へ付勢されている。また、支持部材73のR方向を向く面には傾斜面73aが形成され、この傾斜面73aにくさび形の摺接部材77が摺接している。摺接部材77は、油圧シリンダ79に接続されたロッド81によりバネ82を介して上下方向に往復動するようになっている。そして、デフケースWを固定するには、図6(b)に示すように、ロッド81により摺接部材77を上方に押し上げる。これにより摺接部材77と摺接する支持部材73が押圧され矢印の方向に揺動する。支持部材73が揺動すると、これに支持された側面押圧部材69がデフケースWの本体部W1側面を押圧する。このように、デフケースWは、油圧シリンダ79の作動力が直接及ぶことなく面でその位置が保持されるため、加工面の壁が薄い場合にも、その加工面が歪むことなく、精度よく仕上げることができる。
【0024】
図7は図2のB−B線断面図である。図7に示すように、本実施形態の内面加工装置は、2つのカッタユニット、つまりデフケースWの平面座を加工する第1カッタユニット7(同図の左側)と、球面座を加工する第2カッタ保持ユニット9とを有している。これらカッタユニット7,9は、ワーク取付治具63の上方からデフケースWの開口部W4にカッタを挿入し、X方向に往復動することでデフケースWを加工するように構成されている。そして、第1カッタユニット7は第1駆動スピンドル15及び従動スピンドル17に対応し、第2カッタユニット9は第2駆動スピンドル45及び従動スピンドル47に対応して設けられている。但し、これらカッタユニット7,9は、取り付けられているカッタが相違し、その他の点はほぼ同一構成であるため、以下では、第1カッタユニット7について説明する。
【0025】
図2に示すように、第1カッタユニット7は、同図中のZ方向に往復動可能なベース部83と、このベース部83の下部でX方向に往復動自在に吊持されたカッタ保持部85とを備えている。カッタ保持部85は、その下端に円形状のカッタ部材87をX軸回りに回転自在に保持している。カッタ部材87は、第1スライドユニット1側を向く端面の中心に第1駆動スピンドルの先端部15aが係合可能な第1凹部87aを備え、反対側の端面に第1従動スピンドルの先端部45aが係合可能な第2凹部87bを備えている。また、各端面には、平面座を切削するための複数の切削刃(図示省略)が各凹部87a,87bを中心として放射状に取り付けられている。なお、第2カッタユニット9のカッタ部材87には、球面座を加工するための切削刃が取り付けられている。
【0026】
次に、上記のように構成された内面加工装置によるデフケースの加工について図8及び図9を参照しつつ説明する。図8(a)に示すように、初期状態では、ワーク保持ユニット5は、第1駆動及び従動スピンドル15,45に対応する位置に配置されおり、この位置でデフケースWをワーク取付治具に取り付ける。デフケースWはジャーナル部W2,W3がX方向を向くように配置され、クランプ部材67によって挟み付けられるが、この時点では、デフケースWは完全に固定されておらず、単に設置されているだけである。つまりクランプ部材67はデフケースWのジャーナル部W2,W3に嵌っているが完全に押圧はしていない。
【0027】
デフケースWを取り付けた後、オペレータにより加工指令が与えられると、図8(b)に示すように、ワーク保持ユニット5は、90°回転割り出しして向きを変えつつY方向へ移動し、位置決め部材39,49に対応する位置に配置される。このときデフケースWは、ジャーナル部W2,W3がY方向に延びるように、つまり球面座のシャフト挿入孔W5が位置決め部材39,49と対向するように配置される。この状態から図8(c)に示すように、両位置決め部材39,49は、スライドユニット1,3とともにX方向へ移動してデフケースWに近接し、シャフト挿入孔W5に挿入される。このとき、位置決め部材39,49が円滑に挿入孔W5に挿入されれば、位置決めが完了したこととなり、これに続いてクランプ部材67、側面押圧部材69、ロック部材71がこの順に作動してデフケースWを押圧し、取付治具63にデフケースWを完全に固定する。
【0028】
上記のような位置決め部材39,49の近接動作は、両スライドユニット1,3を連結する油圧シリンダ装置53及びボールネジ31の作動によって行われる。すなわち、油圧シリンダ装置53が収縮して両スライドユニット1,3を近接させる動作と、ボールネジ31により第1スライドユニット1がワーク保持ユニット5側へ移動する動作とが同時に行われる。初期状態で、両スライドユニット1,3はデフケースWからほぼ等しい距離だけ離れているが、油圧シリンダ装置53の収縮距離をボールネジ31による移動距離の約2倍にすることで、両位置決め部材39,49が略均一なタイミングでデフケースWに到達するようになる。なお、以下の加工時においても上記と同様にスライドユニット1,3を動作させる。
【0029】
図9(a)に示すように、位置決めが完了すると、各位置決め部材39,49が初期位置に戻った後、ワーク保持ユニット5は、向きを変えずにY方向へ移動し、第2駆動スピンドル17及び従動スピンドル47に対応する位置に配置される。この位置で、図9(b)に示すように球面座の加工が行われる。すなわち、まず第2カッタユニット9が作動して、カッタ部材87が上方から降ろされてデフケースWの開口部W4内に配置される(図2参照)。続いて、第2駆動スピンドル17及び従動スピンドル47が近接してシャフト挿入孔W5に挿入され、カッタ部材87の第1及び第2凹部87a,87bにそれぞれ係合される。このときカッタ部材87は、油圧シリンダ装置53によって両スピンドル17,47に所定の圧力で挟圧保持された状態となる。
【0030】
そして、第1モータ19により駆動スピンドル17を回転駆動すると、これに伴ってカッタ部材87も回転する。続いて、第2モータ35を駆動してボールネジ31を作動させると、第1スライドユニット1が第2スライドユニット3とともにX方向に移動する。つまり、第1及び第2スライドユニット1,3は、油圧シリンダ装置53によりカッタ部材87を挟圧保持している間隔を保持したまま一体となって移動する。したがって、カッタ部材87は、両スピンドル17、47に挟圧保持された状態で、これらとともにX方向に移動し、球面座の加工が行われる。一方の面の球面座の加工が終了すると、ボールネジ31を逆回転させて反対側の球面座の加工を行う。加工終了後は、カッタ部材87をX方向の初期位置に戻した後、両スピンドル17,47を離間し、カッタ部材87を上方へ移動させデフケースWから退出させる。
【0031】
次に、図9(c)に示すように、デフケースWを90°回転させるながら、ワーク保持ユニット5を第1駆動及び従動スピンドル15,45と対応する位置に移動させる。この状態で、デフケースWは、ジャーナル部W2,W3が各スピンドル15,45と対向するように配置されている。そして、図9(d)に示すように、上記球面座の加工と同様に、第1カッタユニット7のカッタ部材87をデフケースW内に挿入した後、両スピンドル15,45をジャーナル部W2,W3を介して近接させてカッタ部材87に係合させる。この状態で、ボールネジ31を作動させて平面座の加工を行う。
【0032】
平面座の加工が終了すると、カッタ部材87をデフケースWから退出させた後、ワーク保持ユニット5の各押圧用部材67,69,71の作動を停止し、デフケースWを治具63から取り外す。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、位置決め部材39,49を、X方向に沿ってデフケースWのシャフト挿入孔W5に挿入することにより、デフケースWの位置決めを行っているため、精度の高い位置決めが可能となる。すなわち、従来は、実際の加工位置とは離れたデフケース端部のフランジの穴を基準として位置決めをしていたため、精度の高い加工が困難であった。これに対し、本実施形態では、実際に加工を行う球面座のシャフト挿入孔W5を基準として位置決めをしているため、高精度の位置決めが可能となる。その結果、加工精度を大きく向上することができる。また、本実施形態で示したようなフランジが形成されていないデフケースWであっても、ケースWの開口部W4内に開口する挿入孔W5等を利用して位置決めを行うことができるため、汎用性の高いものとすることができる。
【0034】
また、本実施形態では、油圧シリンダ装置53によってカッタ部材87を挟圧保持した後、第2モータ35によりカッタ部材87をX方向に移動して内面加工を行っている。そのため、次の利点がある。従来は、2つのスピンドルでカッタ部材を挟圧した状態を保ちつつ同期して移動させなければならなかったため、両スピンドルの制御が難しく、これに起因して高精度の加工が困難であった。これに対して、本実施形態では、一旦油圧シリンダ装置53により両スピンドルでカッタ部材を挟圧保持し、両スピンドルの間隔を保持すると、その後は第2モータ35の駆動のみでカッタ部材85を移動することができる。したがって、従来のような複雑な制御を行う必要がなく、簡単な制御で内面加工を行うことができる。その結果、動作ミスを低減することができ、高精度な加工が可能となる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、位置決め部材39,49をスライドユニット1,3上に設けてX方向に移動させているが、別の駆動装置により独立して移動させるようにすることもできる。また、位置決め部材39,49は、上記のように両側各一本ずつではなく、複数個ずつ設けることもできる。また、加工部分が片側のみの場合には、位置決め部材を片側のみに設けることもできる。
【0036】
また、位置決めは、上記のような球面座のシャフト挿入孔W5を利用する以外にも、ワークWに形成された穴であって、例えば加工対象となるワーク内面に開口した穴、特に工具の回転中心軸線上に形成された穴であれば、いずれも利用することができる。
【0037】
上記実施形態では、第1スライドユニット1にボールネジ35等の第2駆動手段を設けているが、第2スライドユニット側に設けることもできる。
【0038】
また、上記実施形態では、第1駆動手段を油圧シリンダ装置で構成するとともに、第2駆動手段をNC制御のモータ等を用いて構成しているが、これらを反対にしたり、NC制御のみ或いは油圧回路のみで構成することもできる。或いは他の駆動手段、例えばエアシリンダ等を用いることもできる。
【0039】
また、上記実施形態では、球面座及び平面座の2つの加工を行えるようにしているが、3つ以上の加工を行えるように構成することもできる。すなわち、複数の駆動及び従動スピンドルと、各加工に対応したカッタユニットとを設けて複数の加工を行うこともできる。
【0040】
上記実施形態では、デフケースを加工する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、内部に空間を有し、この空間の内壁面を加工するようなワークであれば本発明の内面加工装置によって加工することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、位置決め部材を、各スピンドルの移動方向に沿ってワークの基準孔に挿入することにより、ワークの位置決めを行っているため、精度の高い位置決めが可能となる。例えば、従来のデフケースの加工では、実際の加工位置とは離れたフランジのボルト穴を基準として位置決めをしており、これに起因して精度の高い加工が困難であった。これに対して、本発明は、ワークに形成された穴であれば、どこでも位置決め用として使用できるため、実際の加工部分近傍に形成された穴であって、例えば、加工対象となるワーク内面へ開口した穴、特に工具の回転中心軸線上に形成された穴を使用して位置決めを行うことができる。その結果、高精度の位置決めが可能となり、加工精度を大きく向上することができる。また、フランジが形成されていないワークであっても、ワークの内部へ開口する挿入孔等を利用して位置決めを行うことができるため、汎用性の高いものとすることができる。
【0042】
このとき、位置決め部材をスライドユニットに配設すると、位置決め部材用の独立した駆動装置が不要となり、コストを低減することができる。
【0043】
また、本発明では、第1駆動手段の作動によって両スライドユニット間の距離を保持して両スピンドルで工具を挟圧保持した後、第2駆動手段によりスピンドルとともに工具を移動して内面加工を行っている。そのため、次の利点がある。従来は、2つのスピンドルで工具を挟圧した状態を保ちつつ同期して移動させなければならなかったため、両スピンドルの制御が難しく、これに起因して高精度の加工が困難であった。これに対して、本発明では、一旦第1駆動手段により両スピンドルで工具を挟圧保持し両スピンドル間の距離を保持すると、その後は第2駆動手段の駆動のみで工具を移動することができる。したがって、従来のような複雑な制御を行う必要がなく、簡単な制御で内面加工を行うことができる。その結果、動作ミスを低減することができ高精度な加工が可能となる。
【0044】
また、複数の駆動スピンドルを第1スライドユニット上の保持部の移動方向に設けるとともに、これらに対応する複数の従動スピンドルを設け、さらに保持部を移動平面に垂直な軸線回りに回転可能に構成すると、複数の加工が可能となる。すなわち、ワークが保持された保持部を、各スピンドル及び工具に対応した位置に移動させるとともに、必要に応じて回転させると、各位置で異なる加工、例えば、デフケースにおいては球面座及び平面座の加工等を連続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内面加工装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1の内面加工装置の加工対象となるデフケースの断面図である。
【図5】図5(a)は図1のワーク保持ユニットの平面図、図5(b)は図5(a)のC−C線断面図である。
【図6】図5(a)のD−D線断面図である。
【図7】図1のB−B線断面図である。
【図8】図1に係る内面加工装置の加工動作を説明する図である。
【図9】図1に係る内面加工装置の加工動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 第1スライドユニット
3 第2スライドユニット
5 ワーク保持ユニット(保持部)
15,17 駆動スピンドル
31 ボールネジ(第2駆動手段)
33 ナット(第2駆動手段)
35 第2モータ(第2駆動手段)
39,49 位置決め部材
45,47 従動スピンドル
53 油圧シリンダ装置(第1駆動手段)
87 カッタ部材(工具)
W デフケース(ワーク)

Claims (5)

  1. スピンドル軸線回りに回転駆動可能な駆動スピンドルと、該駆動スピンドルを支持し前記スピンドル軸線方向に往復動自在な第1スライドユニットと、前記スピンドル軸線上で前記駆動スピンドルと対向配置された従動スピンドルと、該従動スピンドルを前記スピンドル軸線回りに回転自在に支持し該スピンドル軸線方向に往復動自在な第2スライドユニットと、前記両スライドユニットの間に配置されワークを保持可能な保持部と、ワークの開口部から該ワーク内に挿入され、該ワーク内で前記駆動スピンドル及び従動スピンドルにより挟圧保持される工具とを備え、該工具は、前記駆動スピンドルの回転駆動に伴って回転し、挟圧保持された状態で前記両スピンドルとともに前記スピンドル軸線方向に移動することでワークの内面を加工するように構成された内面加工装置において、
    前記保持部を挟む位置の少なくとも一方に配置され、前記スピンドル軸線に平行な軸線に沿って往復動可能な少なくとも一つの位置決め部材を備え、
    前記保持部は、前記両スライドユニットの間で前記スピンドル軸線を横切る方向に移動可能となっており、
    前記保持部上のワークを前記位置決め部材の軸線上に配置した後、前記位置決め部材をワークに形成された基準孔に挿入することにより、ワークの位置決めを行い、位置決めされたワークを前記保持部により移動させ、前記スピンドル軸線上に位置させるように構成されていることを特徴とする内面加工装置。
  2. 前記位置決め部材は、前記工具によるワークの加工の際に、前記工具の回転中心軸線上でワークの内面に開口する基準孔に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の内面加工装置。
  3. 前記位置決め部材は、前記第1及び第2スライドユニットの少なくとも一方に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の内面加工装置。
  4. 前記両スライドユニットを連結し、これらを相互間の接近位置及び離反位置に保持し得る第1駆動手段と、
    前記両スライドユニットのいずれか一方に接続され、該スライドユニットを前記スピンドル軸線方向に往復動させる第2駆動手段と
    さらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の内面加工装置。
  5. 前記保持部は、前記両スライドユニットの間で前記スピンドル軸線を横切る方向に移動可能となっており、
    前記第1スライドユニットは、前記保持部の移動方向に並ぶ複数の前記駆動スピンドルを備えるとともに、前記第2スライドユニットは、前記複数の駆動スピンドルそれぞれと対応する複数の前記従動スピンドルを備えており、
    前記保持部は、前記スピンドル軸線方向及び前記保持部の移動方向に対して直交する軸回りに回転割り出し可能に構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の内面加工装置。
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