JP4102991B2 - 通信制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信制御装置に関し、例えば制御対象機器を監視又は制御する監視制御システムに好適な通信制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信制御装置は、制御対象機器の機器データを取り込む入力装置と、その機器データに基づいて機器を監視又は制御を行う複数の情報処理装置とを備えたものであり、例えば、発電所の監視制御システムに利用されている。発電所の監視制御システムは、制御対象機器に発生したイベント、例えばバルブの開閉状態の変化を検出するとともに、そのイベントの発生時間を計時カウンタにより計時し、イベント内容にイベント発生時間を付して状態データ(以下、SOEデータ:Sequence Of Event Data)として入力装置に一旦蓄積する。そして、入力装置からのSOEデータに基づいて発電所の運用監視、障害発生時の原因解析、又は機器操作などを情報処理装置を有してなる監視制御装置に実行させるようになっている。
【0003】
このような監視制御システムでは、イベント発生時間を精度よく計時するために、基準パルス生成部、例えばGPS受信装置を各入力装置ごとに設置し、そのGPS受信装置からの基準パルスを利用して各入力装置の計時カウンタを基準時間、例えば世界標準時間に同期させることが行われている。
【0004】
この場合、入力装置の設置数に応じてGPS受信装置の設置数が増加するので、GPS受信装置の設置数の増加を抑制するため、単一のGPS受信装置を通信回線を介して複数の監視制御装置に接続させ、そのGPS受信装置の基準パルスを利用してSOEデータのイベント発生時間を基準時間に同期させることが行われている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−58240号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、GPS受信装置の設置数の増加を抑制し、さらに、監視制御装置と入力装置との間の通信回線の数を減らすため、複数の監視制御装置のうち一の監視制御装置に単一のGPS受信装置を接続するとともに、各監視制御装置と各入力装置を単一の通信回線に芋づる式に接続すること(以下、マルチドロップ接続)が考えられる。
【0007】
このマルチドロップ接続の場合、一般に、各監視制御装置からのフレームデータが通信回線内で衝突して破棄されることを回避するため、監視制御装置と入力装置との間の通信を許可する送信権を設定し、この送信権を獲得した監視制御装置に限って入力装置に対しフレームデータを送信できるようにすることで通信の信頼性を確保することが行われる。
【0008】
このようなマルチドロップ接続を採用した監視制御システムにおいて、単一のGPS受信装置を用いて各入力装置の計時カウンタを基準時間に同期させる場合、GPS受信装置により基準パルスが生成されたときに送信権がなければ、その監視制御装置は入力装置の計時カウンタを基準時間に合わせることができない。その結果、計時カウンタに基準時間からのズレが生じて正確なイベント発生時間を計時できないおそれがある。
【0009】
本発明の課題は、機器データを取り込む入力装置と複数の情報処理装置とが単一の回線に接続された環境において、単一の基準パルス生成部を用いて入力装置の計時カウンタを基準時間に同期させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の通信制御装置は、時間を計時する複数の計時カウンタ及び中継カウンタを有し、制御対象機器の状態情報を取り込み計時カウンタの計時時間を付して状態データとして一旦蓄積する入力装置と、入力装置の状態データを取り込んで機器の監視又は制御を行う複数の情報処理装置とを備え、入力装置と複数の情報処理装置とが単一の通信回線に接続され、複数の情報処理装置は、予め設定された送信権を獲得して入力装置と通信するものとし、複数の情報処理装置のうち一の情報処理装置は、基準パルス生成部からの基準パルスによりリセットされて計時する同期カウンタを有し、基準パルス生成部から基準パルスが出力された際に送信権を獲得できないときは、送信権を獲得したときに同期カウンタの内容を入力装置の中継カウンタに書き込み、入力装置は、中継カウンタの内容を順次複数の計時カウンタに書き込むことを特徴とする。また、入力装置に中継カウンタの内容がゼロになったことを判定するゼロ判定部を設けて、中継カウンタの内容を順次複数の計時カウンタに書き込む代わりに、中継カウンタの内容がゼロ判定部によりゼロになったと判定されたら、リセットパルスを出力して複数の計時カウンタをリセットするように構成することを特徴とする。
【0011】
すなわち、情報処理装置の同期カウンタは基準パルスに従って常に基準時間に同期されているものであるから、送信権を獲得できない間の計時時間も基準時間に同期している。したがって、同期カウンタの内容を入力装置の中継カウンタにそのまま書き込み、カウントアップされていく中継カウンタの内容を順次複数の計時カウンタに書き込むようにすれば、複数の計時カウンタの内容を同期カウンタの内容と同一のものにすることができ、その結果、複数の計時カウンタを基準時間に同期させることができる。また、中継カウンタの内容がゼロになったと判定されたら、リセットパルスを出力して複数の計時カウンタをリセットする場合も同様に、複数の計時カウンタの内容を同期カウンタの内容と同一のものにすることができるので、複数の計時カウンタを基準時間に同期させることができる。
【0012】
この場合において、制御対象機器に発生したイベントの内容(例えばバルブの開閉状態の変化)と、イベントの発生時間とを対応づけたものを状態データ、すなわちSOEデータとして入力装置に蓄積するのが望ましい。これにより、状態データを解析するようにすれば、イベント発生を時系列に把握することができるため、例えば、機器に障害が発生したときでも、障害の原因を的確に把握することができる。
【0013】
本発明の通信制御装置は、発電所などの機器(例えばバルブ、温度センサ、圧力センサ)の機器データを入力装置により取得し、その機器データに基づいて機器を監視制御する複数の監視制御装置とを備え、複数の監視制御装置と入力装置とが単一の通信回線に接続された監視制御システムに適用することができる。この場合、上記の情報処理装置を監視制御措置として監視制御システムを構成する。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、本発明の通信制御装置を利用した監視制御システムの第1の実施形態について図を参照して説明する。図1は、監視制御システムの構成図、図2は、監視制御システムの動作を示すタイムチャートを示している。
【0015】
まず、図1を参照して監視制御システムの全体構成を説明する。監視制御システム1は、発電所2などの機器を監視又は制御するものである。監視制御システムは、情報処理装置を有する監視制御装置10、12、入力装置14、16などから構築されており、建屋内に設置されている。監視制御装置10、12及び入力装置14、16は、単一の通信回線18にマルチドロップ接続されている。
【0016】
監視制御装置10は、中央処理装置(以下、CPU)18、同期カウンタ21を備えたプロセス通信装置(以下、PIOP)20を含んで構成されており、発電所2の機器の障害原因などを解析するものである。監視制御装置12は、CPU19、PIOP23を含んで構成されており、発電所2の機器を操作するための指令を生成するものである。監視制御装置10、12のうち予め設定された送信権を獲得した方がマスタとして入力装置14、16と通信するとともに、他方がスレーブとして待機するようになっている。
【0017】
このような監視制御装置10、12のうち監視制御装置10のみに単一のGPS受信装置22が接続されている。GPS受信装置22は、監視制御装置10のPIOP20に備えた同期カウンタ21にGPSケーブル24を介して接続されている。なお、GPS受信装置22は、基準パルス生成部として機能し、衛星からの信号を受信して世界標準時間(以下、基準時間)に同期した基準パルスを例えば1分(60000ms)毎に生成するものである。
【0018】
入力装置14は、中継カウンタ26を有するステーション(以下、ST)27、入力モジュール(以下、DI)28、30を備えて構成されている。DI28は、計時カウンタ38を有して構成されており、発電所2のプロセス入力群の1つであるバルブ32に接続されている。また、DI30は、計時カウンタ39を有して構成されており、温度センサ34に接続されている。入力装置16は、ST31、ST31、圧力センサ36に接続されたDI33、流速センサ37に接続されたDI35などから構成されている。このような入力装置14、16は、常にスレーブとして待機するように設定されており、監視制御装置10、12からフレームデータを受信したときに限りレスポンスデータを送信する。
【0019】
また、各カウンタ、例えば、同期カウンタ21、中継カウンタ26、計時カウンタ38、39は、60000進カウンタなどから構成されている。60000進カウンタは、0から59999までを周期的にカウントアップするものである。
【0020】
このように構成される監視制御システム1の動作について、バルブ35のSOEデータを取得する場合を一例として説明する。バルブ32にイベントが発生したこと、例えばバルブ32が閉止したことがDI28により判定されたとき、その発生した状態情報すなわちイベント内容にイベント発生時間を付して状態データすなわちSOEデータがDI28に蓄積される。
【0021】
一方、監視制御装置10が送信権を獲得して入力装置14と通信したとき、DI28のSOEデータが監視制御装置10によりST27を介して取り込まれる。取り込まれたSOEデータは監視制御装置10により解析される。したがって、バルブ32に発生したイベント内容が時系列に把握される。同様に、監視制御装置12が送信権を獲得したときも、DI28のSOEデータが監視制御装置12により取り込まれる。
【0022】
このような監視制御システムの通信制御を図2に示すタイムチャートを用いて説明する。図2に示すように、横軸は時間の経過を示している。また、縦軸の上段部には最上位段から順に、PIOP20の回線出力a、PIOP23の回線出力b、ST27の回線出力c、ST31の回線出力dのタイムチャートを示している。また、それらの下段部には順に、GPS受信装置の出力e、同期カウンタ21のカウンタ値f、中継カウンタ26のカウンタ値g、計時カウンタ38のカウンタ値h、計時カウンタ39のカウント値iのタイムチャートを示している。
【0023】
まず、図2のタイムチャートa〜dを参照して、監視制御装置10が入力装置14からSOEデータを取得する通信制御について説明する。監視制御装置10が送信権を獲得すると、PIOP20は、SOEデータの取得を要求するコマンドフレーム40をST27に送信し、SOEデータが付与されたレスポンスフレーム41をST27から受信する。次いで、PIOP20は、コマンドフレーム42をST31に送信し、ST31からレスポンスフレームを受信する。これにより、監視制御装置10は、入力装置14からSOEデータを取得する。SOEデータの取得が完了すると、PIOP20は、送信権開放フレーム44をPIOP23すなわち監視制御装置12に送信する。
【0024】
送信権開放フレーム44を受信した監視制御装置12は送信権を獲得するので、PIOP23は、コマンドフレーム45をST27に送信し、ST27からレスポンスフレーム46を受信する。次いで、PIOP23は、コマンドフレーム47をST31に送信し、ST31からレスポンスフレーム48を受信する。これにより、監視制御装置12は、入力装置14からSOEデータを取得する。SOEデータの取得が完了すると、PIOP23が送信権開放フレーム47をPIOP20に送信することにより、SOEデータの取得が繰り返される。なお、監視制御装置10、12が入力装置16からSOEデータを取得する場合も、同様の制御手順により取得される。
【0025】
ところで、GPS受信装置22により基準パルス5が生成されたときに監視制御装置10が送信権を獲得していると、基準パルス5が生成されるごとに計時カウンタ38、39がリセットされて基準時間に同期する。しかし、GPS受信装置22により基準パルスが生成されたときに監視制御装置10が送信権を獲得していなければ、計時カウンタ38、39を同期させることができないことになる。例えば、図2のタイムチャートe〜iに示すように、基準パルス5が生成されたときPIOP20は送信権開放フレームを獲得していない。したがって、同期カウンタ21は基準パルス5によりリセットされて基準時間に同期するが、中継カウンタ26及び同期カウンタ38、39はリセットされないため基準時間に対しズレが生じることになる。
【0026】
そこで、中継カウンタ26、同期カウンタ38、39を基準時間に同期させる制御手順について図2を参照して説明する。図2に示すように、GPS受信装置22により基準パルス5が生成されたときに監視制御装置10が送信権を獲得していない場合、基準パルス5に従って同期カウンタ21のみをリセットし、同期カウンタ21にカウントアップさせる。そして、監視制御装置10が送信権を獲得すると同時に、PIOP20は、同期カウンタ21のカウンタ値55が付与されたカウンタ同期フレーム50をST27、ST31に送信する。これにより、同期カウンタ21のカウンタ値55は、中継カウンタ26の内容に書き込まれる。次いで、中継カウンタ26のカウンタ値57が計時カウンタ38の内容に上書きされるとともに、カウンタ値61が計時カウンタ39の内容に上書きされる。これにより、同期カウンタ21、中継カウンタ26、計時カウンタ38、39の各カウンタ値は、全て同じものとなる。
【0027】
すなわち、本実施形態によれば、監視制御装置10の同期カウンタ21は基準パルス5に従って常に基準時間に同期されるものであるから、送信権を獲得できない間のカウンタ値も基準時間に同期している。したがって、同期カウンタ21のカウンタ値を中継カウンタ26にそのまま書き込み、書き込まれた中継カウンタ26の内容を計時カウンタ38、39に書き込むようにすれば、計時カウンタ38、39は同期カウンタ21の内容と同一のものとなる。その結果、計時カウンタ38、39を基準時間に同期させることができる。
【0028】
以上、第1の実施形態に基づいて本発明を適用してなる監視制御システムを説明したが、ここで、本実施形態で用いたフレームデータのフレーム構成、およびPIOP20、ST27、DI28の詳細構成を図3乃至図6を用いて説明する。なお、PIOP23は、PIOP20から同期カウンタ21を除いたものと同じ構成、ST31は、ST27と同じ構成であり、また、DI30、33、35は、DI28と同じ構成であるから、説明を省略する。
【0029】
図3を参照してフレームデータのフレーム構成を説明する。フレームデータ4は、通信回線18内を伝送されるものであり、例えば、コマンドフレーム、レスポンスフレーム、マスタ権開放フレーム、カウンタ同期フレームなどに用いられている。図3に示すように、フレームデータ4は、先頭から順に、フラグ領域200、送信元ノード領域202、送信先ノード領域203、アドレス領域204、制御データ領域205、データ長領域206、データ領域208などから構成されている。フラグ領域200には、フレームの開始を示すフラグが格納される。送信元ノード領域202には、送信元のノード番号が格納される。ノード番号とは、通信回線18に接続された装置を特定するための番号であり、例えば、本実施形態では、PIOP20は0、PIOP23は1、ST27は2、ST31は3としてノード番号が設定されている。送信先ノード領域203には、送信先のノード番号が格納されている。アドレス領域204には、コマンドフレームの場合には送信先ノードのアドレスが格納される一方、レスポンスフレームの場合には送信元ノードのアドレスが格納される。制御データ領域205には、フレーム種別を示す識別データが格納される。データ長領域206にはデータ長が格納され、データ領域208にはデータ、例えばカウンタ値が格納されるようになっている。
【0030】
図4を参照してPIOP20の詳細構成について説明する。図4に示すように、PIOP20は、同期カウンタ21、送信コントローラ56、デュアルポートRAMの送信バッファ58、受信コントローラ60、デュアルポートRAMの受信バッファ62、CPU18から独立して動作するMPU64、ROM68、デュアルポートのRAM80、送受信ドライバ74などから構成されている。
【0031】
最初に、PIOP20によるコマンドフレームの送信手順を説明する。まず、MPU62によりコマンドフレームが送信バッファ58に書き込まれるとともに、送信コントローラ56に備えた送信起動レジスタ56aに送信要求が書き込まれる。次いで、送信コントローラ56によりセレクタ72が送信バッファ58側に選択されるとともに、送受信ドライバ74に対し送信許可指令が出力される。そして、送信バッファ58のコマンドフレームは、セレクタ72を介して変換部73に入力されてパラレルデータからシリアルデータに変換される。変換されたコマンドフレームは、送受信ドライバ74により通信回線18を介して入力装置14、16に対し送信される。
【0032】
次に、PIOP20によるコマンドフレームの受信手順を説明する。まず、入力装置14、16から送信されたレスポンスフレームは、送受信ドライバ74により通信回線を介して受信される。次いで、受信されたレスポンスフレームに同期した受信クロックが、クロック生成部78により生成された受信クロックに基づいて、レスポンスフレームが変換部76によりシリアルデータからパラレルデータに変換される。変換されたレスポンスフレームは、受信コントローラ60によりフラグが識別されて受信バッファ62に書き込まれる。レスポンスフレームの受信が完了したとき、受信コントローラ60からMPU64に対し割り込み要求が発行される。そして、レスポンスフレームのノード番号とROM68のノード番号68aとがMPU64により対比され、対比されたノード番号が一致したとき、レスポンスフレームがRAM80に書き込まれる。書き込まれたレスポンスフレームは、CPU18からの要求に応じて、後入れ先出し方式で最新のものが読み出される。
【0033】
さらに、PIOP20によるカウンタ同期フレームの送信手順を説明する。カウンタ同期フレームは、GPS受信装置22が接続された監視制御装置10のみから出力されるものである。まず、GPS受信装置22により1分間隔で基準パルスが生成されて同期カウンタ21と送信コントローラ56に入力される。同期カウンタ21は、入力された基準パルスによりリセットされ、クロック生成部59から1ms間隔で生成されるクロックに従ってカウントアップする。また、送信コントローラ56は、基準パルスが入力されたとき、監視制御装置10が送信可能な状態にあるか否かを判定する。送信可能な状態とは、送信権を獲得しており、かつ、コマンドフレーム送信開始からレスポンスフレーム受信完了までを除いた状態をいう。送信可能状態にあると判定された場合、送信コントローラ56によりセレクタ72が同期カウンタ21側に選択されるとともに、同期カウンタ21の内容(カウンタ値)がカウンタ同期フレームのデータ領域208に格納される。そして、カウンタ同期フレームは、セレクタ72、変換部73、送受信ドライバ74を介してST27、ST31に対し送信される。一方、送信可能状態ではないと判定された場合、送信コントローラ56は、カウンタ同期フレームの送信を待機させるとともに、同期カウンタ21は、継続してカウントアップする。その後、送信可能状態になったとき、同期カウンタ21のカウンタ値がカウンタ同期フレームに付与され、付与されたカウンタ同期フレームがST27、ST31に対し出力されるようになっている。
【0034】
図5を参照してST27の詳細構成について説明する。図5に示すように、ST27は、中継カウンタ26、送信コントローラ84、デュアルポートRAMの送信バッファ86、受信コントローラ88、デュアルポートRAMの受信バッファ90、MPU90、ROM92、デュアルポートのRAM94、送受信ドライバ95、バスコントロールマスタ96などから構成されている。
【0035】
最初に、ST27によるコマンドフレームの受信手順を説明する。まず、PIOP20などから送信されたコマンドフレームは、送受信ドライバ95により通信回線18を介して受信される。受信されたコマンドフレームは、クロック生成部98により生成された受信クロックに基づいて、変換部100によりシリアルデータからパラレルデータに変換される。変換されたレスポンスフレームは、受信コントローラ88によりフラグが識別されて受信バッファ90に書き込まれる。レスポンスフレームの受信が完了したとき、受信コントローラ88からMPUに対し割り込み要求が発行される。そして、レスポンスフレームのノード番号がROM92のノード番号92aに一致しているとき、MPU90は、コマンドフレームのアドレスに該当するDI28又はDI30からSOEデータをバスを介して読み出し、読み出したSOEデータを付与してレスポンスフレームを生成する。
【0036】
次に、ST27によるレスポンスフレームの送信手順を説明する。まず、MPU90によりレスポンスフレームが生成され、生成されたレスポンスフレームは、送信バッファ86に書き込まれるとともに、送信コントローラ84の送信起動レジスタ84aに送信要求が書き込まれる。そして、送信許可指令が送信コントローラ84から送受信ドライバ95に対し出力されたとき、送信バッファ86のレスポンスフレームは、変換部97によりパラレルデータからシリアルデータに変換された後、送受信ドライバ95により通信回線18を介してPIOP20などに送信される。
【0037】
さらに、ST27によるカウンタ同期フレームの受信手順を説明する。まず、PIOP20から送信されたカウンタ同期フレームは、送受信ドライバ95により通信回線18を介して受信された後、受信コントローラ88により識別して受信される。受信されたカウンタ同期フレームのカウンタ値が、受信コントローラ88に備えたカウンタ値判別部88aにより判別された後、中継カウンタ26に書き込まれる。書き込まれた中継カウンタ26は、クロック生成部102から1ms間隔で生成されるクロックに基づいて、その書き込まれた値からカウントアップする。そして、中継カウンタ26のカウント値は、MPU90からの指令に応じて、バスコントローラマスタ96によりバス104を介してDI28、DI30に対し送信されるようになっている。
【0038】
図6を参照してDI28の詳細構成を説明する。図6に示すように、DI28は、計時カウンタ38、DI入力部106、記憶装置とし機能するラッチ(FF)108、110、変化判定部112、バスコントローラスレーブ116などから構成されている。
【0039】
最初に、DI28によりSOEデータの取得手順を説明する。まず、バルブ32の状態情報が、DI入力部106に所定間隔で入力される。入力された状態情報の変化、すなわちイベントの発生が変化判定部112により検出される。例えば、バルブ32が開いた状態から閉じた状態に変わったことが、変化判定部112により検出される。イベント発生が検出されると、変化判定部112によりラッチパルスがラッチ108、110に対し出力される。そのラッチパルスにより計時カウンタ38のカウンタ値がラッチ108によりラッチされるとともに、DI入力部106からの状態情報、すなわちイベント内容がラッチ110によりラッチされる。そして、ST27からのリード要求があると、ラッチ108のカウンタ値とラッチ110のイベント内容が、バスコントロール部116によりそれぞれ読み出されて状態データ、すなわちSOEデータとしてST27に対し送信される。
【0040】
次に、DI28の計時カウンタ38が基準時間に同期する動作手順を説明する。ST27から出力された中継カウンタ26のカウンタ値は、バス104を介してバスコントローラスレーブ116に入力された後、バスコントローラスレーブ116により計時カウンタ38に書き込まれる。そして、計時カウンタ38は、その書き込まれた値からクロック生成部114のクロックに従って1ms間隔でカウントアップする。したがって、計時カウンタ38の内容が中継カウンタ26と同じものとなることから、計時カウンタ38を基準時間に同期させたことになる。
(実施形態2)
本発明の通信制御装置を利用した監視制御システムの第2の実施形態について図7乃至図9を参照して説明する。図7は、ステーション(ST)の他の構成図、図8は、入力モジュール(DI)の他の構成図、図9は、監視制御システムの他の動作を示すタイムチャートを示している。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、カウンタ同期フレームがST27により受信されたとき、ST27の中継カウンタ26のカウンタ値をリセットして計時し、計時されたカウンタ値がゼロに戻ったときに計時カウンタ38をリセットするようにしたことにある。
【0041】
図7に示すように、図5のST27と異なる点は、ST27とDI28、30とを接続するバス104に加えてリセットパルス線124を配線し、さらに、リセットパルス線124に中継カウンタ26をゼロ判定部122を介して接続させたことにある。また、図8に示すように、図6のDI28と異なる点は、バスコントローラスレーブ116と計時カウンタ38を接続する配線を取り除いて、さらに、計時カウンタ38がリセットパルス線24に接続するようにしたことにある。
【0042】
このように構成されるST27a、DI28aの動作を図9を参照しながら説明する。中継カウンタ26のカウンタ値がゼロ判定部122によりゼロになったと判定されたとき、リセットパルスは、ゼロ判定部122からリセットパルス線124を介して計時カウンタ38に入力し、計時カウンタ38のカウンタ値130をリセットする。
【0043】
すなわち、ST27の中継カウンタ26は、カウント同期フレーム50により基準時間に同期されていることから、中継カウンタ26がゼロになったと同時に計時カウンタ38をリセットすれば、計時カウンタ38のカウント開始時は、GPS受信装置22により基準パルス51が生成された時に合わせることができる。
【0044】
以上、第1及び第2の実施形態に基づいて本発明に係る通信制御装置を監視制御システムに利用した例を説明したが、本発明の通信制御装置は、様々な産業、情報分野にも適用することができる。
【0045】
また、基準パルス生成部としてGPS受信装置22を用いた例を説明したが、GPS受信装置22に代えて、監視制御装置10の計算機に内蔵する内部クロックを用いてもよい。これによれば、DI28、30により判定されたイベントの発生時間を世界標準時間に合わせて計時することができないが、各DI間のイベント発生時間の時間差に関しては依然として把握することができ、イベント発生を時系列に解析するための監視制御システムの構成を簡素化できる。
【0046】
また、説明の便宜上、2つの監視制御装置と2つの入力装置を通信回線に接続した例を説明したが、監視制御装置と入力装置の数は適宜増やすことができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、機器データを取り込む入力装置と複数の情報処理装置とが単一の回線に接続された環境において、単一の基準パルス生成部を用いて入力装置の計時カウンタを基準時間に同期させることができる。
【0048】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通信制御装置を利用した監視制御システムの構成図を示している。
【図2】監視制御システムの動作を示すタイムチャートの一例を示している。
【図3】フレームのデータ構成の一例を示している。
【図4】監視制御装置のプロセス通信装置(PIOP)の構成図を示している。
【図5】入力装置のステーション(ST)の構成図を示している。
【図6】入力装置の入力モジュール(DI)の構成図を示している。
【図7】入力装置のステーション(ST)の他の構成図を示している。
【図8】入力装置の入力モジュール(DI)の他の構成図を示している。
【図9】監視制御システムの動作を示すタイムチャートの他の例を示している。
【符号の説明】
1 監視制御システム
2 発電所
10、12 監視制御装置
14、16 入力装置
18 通信回線
20 プロセス通信装置(PIOP)
21 同期カウンタ
22 GPS受信装置
26 中継カウンタ
38、39 計時カウンタ
32 バルブ
34 温度センサ
Claims (3)
- 時間を計時する複数の計時カウンタ及び中継カウンタを有し、制御対象機器の状態情報を取り込み前記計時カウンタの計時時間を付して状態データとして一旦蓄積する入力装置と、該入力装置の状態データを取り込んで前記機器の監視又は制御を行う複数の情報処理装置とを備え、前記入力装置と前記複数の情報処理装置とが単一の通信回線に接続されてなる通信制御装置において、
前記複数の情報処理装置は、予め設定された送信権を獲得して前記入力装置と通信するものとし、前記複数の情報処理装置のうち一の情報処理装置は、基準パルス生成部からの基準パルスによりリセットされて計時する同期カウンタを有し、前記基準パルス生成部から基準パルスが出力された際に前記送信権を獲得できないときは、前記送信権を獲得したときに前記同期カウンタの内容を前記入力装置の中継カウンタに書き込み、
前記入力装置は、前記中継カウンタの内容を順次前記複数の計時カウンタに書き込むことを特徴とする通信制御装置。 - 時間を計時する複数の計時カウンタ及び中継カウンタと、該中継カウンタの内容がゼロになったことを判定するゼロ判定部とを有し、制御対象機器の状態情報を取り込み前記計時カウンタの計時時間を付して状態データとして一旦蓄積する入力装置と、該入力装置の状態データを取り込んで前記機器の監視又は制御を行う複数の情報処理装置とを備え、前記入力装置と前記複数の情報処理装置とが単一の通信回線に接続されてなる通信制御装置において、
前記複数の情報処理装置は、予め設定された送信権を獲得して前記入力装置と通信するものとし、前記複数の情報処理装置のうち一の情報処理装置は、基準パルス生成部からの基準パルスによりリセットされて計時する同期カウンタを有し、前記基準パルス生成部から基準パルスが出力された際に前記送信権を獲得できないときは、前記送信権を獲得したときに前記同期カウンタの内容を前記入力装置の中継カウンタに書き込み、
前記入力装置は、前記中継カウンタの内容が前記ゼロ判定部によりゼロになったと判定されたら、リセットパルスを出力して前記複数の計時カウンタをリセットすることを特徴とする通信制御装置。 - 前記状態データは、制御対象機器に発生したイベントの内容と、該イベントの発生時間とを対応付けたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信制御装置。
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