JP4101528B2 - ギヤ段判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の変速機のギヤ段ないしギヤ位置をギヤポジションセンサによらずに間接的に検出するギヤ段判定装置に係り、特に変速機の種類やドリブンギヤに応じたマップを予め記憶させ、そのマップからメータギヤ比を学習してギヤ段を検出できるギヤ段判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは、エンジンと変速機との間にロックアップ可能な流体継手(トルクコンバータを含む)と摩擦型変速クラッチとを直列に設け、変速時に変速クラッチを自動的に断接する車両の動力伝達装置を新たに開発した。この場合、変速時にあって、ギヤ抜き開始と同時にクラッチが自動断され、ギヤインと同時にクラッチが自動接される。
【0003】
このように、変速機の変速操作あるいはギヤ段位置に応じてクラッチの制御が行われるため、またクラッチ断接制御方法(具体的には断接速度、断接量等)がギヤ段毎に変えられることがあるため、変速機にはそのギヤ段を検出するギヤポジションセンサが設けられる。しかし、ギヤポジションセンサのみでギヤ段を検出すると、このセンサの故障時にクラッチ制御が不可能となるなどの不具合があり、フェールセーフ上問題となる。そこでこのバックアップとして、特開平4−171353号公報に示されるように、車速センサとインプットシャフト回転センサとの出力を利用して現在のギヤ段を割り出す方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、当該公報の技術だと、各々のセンサの出力を単位時間当たりの回転数即ち回転速度に換算して所定の演算を行うため、図13に示すように、比較的高い車速のときの領域(B)でのギヤ位置判定には問題ないものの、比較的低い車速のときの領域(A)でのギヤ位置判定には、変速機回転数が近い値となり、ギヤ段の誤判定を起こす虞がある。
【0005】
そこで、詳細は後述するが、本発明者等は、車速センサの所要回転当たりのTM回転センサのパルス数をカウントすることにより、精度よくギヤ段を推定する方法を新たに創案した。
【0006】
しかしながら、このギヤ段推定には、変速機の各段のT/Mギヤ比の他に、車速センサで回転を検出するためのスピードメータドライブギヤとスピードメータドリブンギヤのギヤ比も予め分かっていなければならないため、車両や変速機が複数あり、これに応じてスピードメータドライブギヤとスピードメータドリブンギヤのギヤ比が複数ある場合は、実際のメータギヤ比に対応した全てのデータを、予め工場出荷時等にコントローラに入力する必要があり、その種類毎の入力に多大な労力を必要とする問題がある。
【0007】
そこで、以上の問題に鑑みて本発明は創案され、その目的は、ギヤ段を判定する前に、メータギヤ比に基づく変速機のデータを自動的に学習することができるギヤ段判定装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、変速機の出力軸にメータギヤを介して回転駆動され、その出力軸の回転位相に応じた数のパルスを発生させる車速センサと、上記変速機の入力軸の回転位相に応じた数のパルスを発生させる変速機回転センサと、これらセンサからそれぞれ発生されたパルスが入力されると共に、一方のパルスを単位数カウントしたときの他方のパルス数をカウントし、そのカウントされた他方のパルス数から現在のギヤ段を決定するギヤ段決定手段とを備え、そのギヤ段決定手段に、上記変速機の各ギヤ段のギヤ比と複数のメータギヤのギヤ比とに基づく上記他方のパルス数のカウント値のデータを予めマップとして記憶させ、そのマップから変速機に組み込まれたメータギヤのギヤ比を特定した後、その特定したメータギヤ比に対応した上記カウント値のデータのマップから現ギヤ段を判定するようにしたギヤ段判定装置である。
【0009】
請求項2の発明は、マップには、車速センサが単位数パルスを発生したときの変速機回転センサの変速機パルス数が、変速機のギヤ段毎に記憶されると共に、その各変速機パルス数が、メータギヤのギヤ比に応じて、変速機パルス数を変速機のギヤ比を割った値(Nd)ごとに記憶される請求項1記載のギヤ段判定装置である。
【0010】
請求項3の発明は、変速機回転センサから入力される変速機パルス数を、現在のギヤ段のギヤ比で割ってNd値を求め、そのNd値からメータギヤ比を判定し、その判定したメータギヤ比に対応したマップから現ギヤ段を判定する請求項2記載のギヤ段判定装置である。
【0011】
請求項4の発明は、車速センサと上記ギヤ段決定手段間には、タイヤ動半径、ファイナルギヤ比等の相違に基づいて車速センサの信号を補正するパルス整合器が接続され、ギヤ決定手段にはそのパルス整合器で補正された車速センサと補正係数(α)が入力され、メータギヤ比と現ギヤ段の判定は、変速機パルス数に補正係数(α)を乗算してマップからメータギヤ比と現ギヤ段を判定する請求項3記載のギヤ段判定装置である。
【0012】
請求項5の発明は、マップには、変速機のギヤ比が所定の段で相違し、他の段が一致する、種類が複数の変速機の変速機パルス数データが記憶され、先ず他の段にギヤがあるときのメータギヤ比を判定し、その後、所定の段での変速機パルス数から変速機のタイプを判定し、その判定したタイプのマップを用いて現ギヤ段を判定する請求項3記載のギヤ段判定装置である。
【0013】
請求項6の発明は、マップからメータギヤ比を判定した後、ギヤ段決定手段は、そのメータギヤ比に基づくマップを学習したことをあらわすフラッグを立て、フラッグが立っているときにのみギヤポジションセンサの故障判定を行う請求項1〜5いずれかに記載のギヤ段判定装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適実施形態を添付図面に基いて説明する。
【0015】
図1は本発明が適用される車両の動力伝達装置を示す。図示するように、エンジンEと変速機T/Mとの間にクラッチ機構1が設けられ、クラッチ機構1は動力伝達方向上流側に設けられた流体継手(フルードカップリング)2と、その下流側に直列に設けられた摩擦型クラッチ、本実施形態では湿式多板クラッチからなる変速クラッチ3とからなっている。なおここでいう流体継手とはトルクコンバータを含む広い概念であり、現に本実施形態においてもトルクコンバータを用いている。本装置が適用される車両はトラック等の比較的大型の車両である。エンジンEはディーゼルエンジンである。
【0016】
流体継手2は、エンジンの出力軸(クランク軸)に接続されたポンプ4と、ポンプ4に対向されクラッチ3の入力側に接続されたタービン5と、タービン5とポンプ4との間に介設されたステータ6とを有する。そして流体継手2と並列してロックアップクラッチ7が設けられ、これはポンプ4とタービン5との断接を行って流体継手2をロックアップ可能とする。変速クラッチ3は、その入力側が入力軸3aを介してタービン5に接続され、出力側が変速機T/Mのインプットシャフト8に接続され、流体継手2と変速機T/Mとの間を断接する。
【0017】
変速機T/Mは、インプットシャフト(入力軸)8と、これと同軸に配置されたアウトプットシャフト(出力軸)9と、これらに平行に配置されたカウンタシャフト(副軸)10とを有する。インプットシャフト8には、入力主ギヤ11が設けられている。アウトプットシャフト9には、1速主ギヤM1と、2速主ギヤM2と、3速主ギヤM3と、4速主ギヤM4と、リバース主ギヤMRとが夫々軸支されていると共に、6速主ギヤM6が固設されている。カウンタシャフト10には、入力主ギヤ11に噛合する入力副ギヤ12と、1速主ギヤM1に噛合する1速副ギヤC1と、2速主ギヤM2に噛合する2速副ギヤC2と、3速主ギヤM3に噛合する3速副ギヤC3と、4速主ギヤM4に噛合する4速副ギヤC4と、リバース主ギヤMRにアイドルギヤIRを介して噛合するリバース副ギヤCRとが固設されていると共に、6速主ギヤM6に噛合する6速副ギヤC6が軸支されている。
【0018】
この変速機T/Mによれば、アウトプットシャフト9に固定されたハブH/R1にスプライン噛合されたスリーブS/R1を、リバース主ギヤMRのドグDRにスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9がリバース回転し、上記スリーブS/R1を1速主ギヤM1のドグD1にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が1速相当で回転する。そして、アウトプットシャフト9に固定されたハブH/23にスプライン噛合されたスリーブS/23を、2速主ギヤM2のドグD2にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が2速相当で回転し、上記スリーブS/23を3速主ギヤM3のドグD3にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が3速相当で回転する。
【0019】
そして、アウトプットシャフト9に固定されたハブH/45にスプライン噛合されたスリーブS/45を、4速主ギヤM4のドグD4にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が4速相当で回転し、上記スリーブS/45を入力主ギヤ11のドグD5にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が5速相当(直結)で回転する。そして、カウンタシャフト10に固定されたハブH6にスプライン噛合されたスリーブS6を、6速副ギヤC6のドグD6にスプライン噛合すると、アウトプットシャフト9が6速相当で回転する。上記各スリーブは、図示しないシフトフォークおよびシフトロッドを介して、運転室内のシフトレバーによってドライバによりマニュアル操作される。つまり変速機T/Mはマニュアル式である。
【0020】
変速クラッチ3は通常の湿式多板クラッチの構成である。即ち、図示省略するが、オイルが満たされたクラッチケーシング内で、入力側と出力側とにそれぞれ複数枚ずつ互い違いにクラッチプレートがスプライン噛合され、これらクラッチプレート同士をクラッチピストンにより押し付け合い、或いは解放して、クラッチの接続・分断を行うものである。図2を参照して、クラッチピストン27はクラッチスプリング28により常に断側に付勢されると共に、これを上回る油圧がクラッチピストン27に付加されたときクラッチ3が締結される。クラッチ締結力ないしクラッチのトルク容量は与えられる油圧に応じて増大される。
【0021】
次に、変速クラッチ3に作動油圧を供給するための油圧供給装置について説明する。図2に示すように、オイルタンク13のオイルがろ過器14を介して油圧ポンプOPにより吸引吐出されると共に、その吐出圧がリリーフバルブ15により調整され、一定のライン圧PLが作られる。このライン圧PLのオイルを圧力制御ないし減圧制御してクラッチ3に送り込むわけだが、このためクラッチコントロールバルブCCVとクラッチソレノイドバルブCSVという二つのバルブを用いている。即ち、メインの油圧ラインに接続されたクラッチコントロールバルブCCVを、クラッチソレノイドバルブCSVから送られてくるパイロット油圧Ppに応じて開閉させるという、パイロット操作型油圧制御方式を採用している。そしてパイロット油圧Ppの大きさが、電子コントロールユニット(以下ECUという)16から出力されるディーティパルスに応じて変化される。
【0022】
即ち、クラッチソレノイドバルブCSVは電磁ソレノイドを有した電磁弁であり、ECU16から出力されるディーティパルス信号のON/OFFに応じて開閉すると共に、常にライン圧PLが供給されている。そしてディーティパルスのデューティ(デューティ比)Dに応じたパイロット油圧Ppを出力する。
【0023】
クラッチコントロールバルブCCVは、パイロット油圧Ppに基づき無段階で制御されるスプール弁であり、これ自体は電子制御されない。即ちパイロット油圧Ppの大きさに応じて内蔵スプールを開放側にストロークさせ、これによりライン圧PLを適宜調整しクラッチ圧Pcとしてクラッチ3に送り込む。こうして、結果的に、クラッチ3に供給される油圧がECU16によりデューティ制御されることとなる。
【0024】
なお、クラッチソレノイドバルブCSVとクラッチコントロールバルブCCVとを結ぶ経路の途中にアキュムレータ17が設けられる。
【0025】
また、本実施形態にはロックアップクラッチ7の制御系も存在するが、ここでは本発明に直接関係ないため説明を省略する。その油圧制御系の構成は変速クラッチ3の油圧制御系と大略同様である。
【0026】
次に、動力伝達装置を電子制御するための電子制御装置を図3を用いて説明する。
【0027】
前述のECU16にはクラッチソレノイドバルブCSVの他、本装置を電子制御するために様々なスイッチやセンサが接続されている。
【0028】
これにはエンジン回転速度(具体的には回転数、以下同様)を検出するためのエンジン回転センサ18、クラッチ3の入力側の回転速度即ちタービン5の回転速度を検出するためのタービン回転センサ19、変速機T/Mの回転速度、代表的には入力副ギヤ12の回転速度を検出するための変速機回転センサ20、及び車速を検出するための車速センサ21が含まれる。これらのセンサは図1にも示される。特にECU16は変速機回転センサ20の出力と、入力主ギヤ11及び入力副ギヤ12のギヤ比とから、インプットシャフト8の回転速度を計算し、これをクラッチ3の出力側回転速度及び変速機T/Mの入力軸側回転速度とする。また、ECU16には、パーキングブレーキが作動中か否かを検出するためのパーキングブレーキスイッチ22、フットブレーキが作動中か否かを検出するためのフットブレーキスイッチ23、及び変速機のギヤポジションを検出するためのギヤポジションセンサ24も接続される。
【0029】
そしてECU16にはノブスイッチ25も接続されている。即ち、本実施形態ではドライバーによる変速操作の開始時期を検出するため、或いはクラッチ断を開始するタイミングを決定するため、運転室のシフトレバーにおいて、レバーに対しシフトノブが僅かにシフト方向に揺動可能に取り付けられており、これらレバーとシフトノブとの間にノブスイッチ25が設けられている。そしてドライバーによる変速操作時、レバーの動作に先立ってシフトノブが揺動すると、ノブスイッチ25がONとなり、これを合図にクラッチ断を開始するようになっている。具体的構成は特開平11−236931号公報に示されたものと同様である。
【0030】
また、本実施形態の動力伝達装置には、同公報に示されたような坂道発進補助装置(HSA;Hill Start Aid)が設けられており、その装置の手動ON/OFFを行うため運転室にHSAスイッチ26が設けられ、HSAスイッチ26がECU16に接続されている。
【0031】
次に、本実施形態に係る動力伝達装置の作動及び制御方法を説明する。
【0032】
この動力伝達装置では、エンジンEの動力を流体継手2、変速クラッチ3、変速機T/Mという順で伝達する。ロックアップクラッチ7は原則として発進後は常にON(接)され、停車時及び発進時にOFF(断)される。従って発進時はAT車のように流体継手2のクリープを利用でき、摩擦クラッチを電子的に発進制御するものに比べ制御が簡単になると共に、走行中は流体継手2がロックアップされるのでスリップによるロスを防止できる。変速クラッチ3は変速の度毎に自動で断接される。これは通常のMT車と同様である。
【0033】
ここでロックアップクラッチ7の断接制御について詳しく述べると、ロックアップクラッチ7は比較的低車速である所定速度(本実施形態では約10km/h)以上で接とされる。正確には、ロックアップクラッチ接は、各ギヤ段においてインプットシャフト回転数が所定回転数(本実施形態では一律900rpm)以上に達すると接とされる。発進段(例えば多用される発進段である2速)で発進し、インプットシャフト回転数がその所定回転数(900rpm)に達すると、ロックアップクラッチが接とされ、このときの車速が低車速(約10km/h)である。
【0034】
まず、車両発進時の作動、即ちガレージシフトの場合を説明する。車両がギヤニュートラル且つブレーキ(フットブレーキ及びパーキングブレーキのいずれをも含む)作動状態で停止中、ドライバーが発進しようとしてシフトレバーを発進段に操作しようとしたとする。するとシフトレバーにおいて、レバーの動作に先立ってシフトノブが揺動することによりノブスイッチ25がONされ、これを合図にクラッチ3が自動で分断される。そして引き続きシフトレバーが操作されることによって変速機T/Mが発進段にギヤインされ、これがギヤポジションセンサ24によって検出されるとクラッチ3が自動で接続される。この接続によってタービン5が駆動輪側から止められるので、タービン5に対しポンプ4が滑動し、クリープ力が発生するようになる。従って後はブレーキを離したりアクセルを踏み込んだりすれば車両が動き出すのである。
【0035】
次に、車両走行中の変速時の作動、即ちシフトアップ又はダウンの場合を説明する。車両が所定ギヤ段で走行中、ドライバーが変速しようとしてシフトレバーを次の変速段に操作しようとしたとする。するとレバーの動作に先立ってシフトノブが揺動し、ノブスイッチ25がONされ、これを合図にクラッチ3が自動で分断される。そして引き続きシフトレバーが操作されることによって変速機T/Mが次の変速段にギヤインされ、これがギヤポジションセンサ24によって検出されるとクラッチ3が自動で接続される。これによって変速が完了する。この変速中ロックアップクラッチ7はONのままで、エンジン動力がそのままクラッチ3に伝達される。
【0036】
次に、このような車両の動力伝達装置に適用された、本発明に関わるギヤ段検出装置を説明する。
【0037】
上記動力伝達装置では、ギヤインと同時にクラッチ接を開始したり、シフトアップ・シフトダウンの判別を行ったりするので、変速機のギヤ段ないしギヤ位置を常時検出するようになっている。そしてこの検出は原則として上記ギヤポジションセンサ24(図3参照)によって行われる。
【0038】
図12にギヤポジションセンサ24の詳細を示す。R,1,2・・・はリバース、1速、2速・・・を意味し、シフトレバーが図示の如きHパターンに沿って移動される。ギヤポジションセンサ24は、シフトレバーに連動する部材のシフト方向のストロークを検出するシフトストロークセンサ31と、当該部材のセレクト方向の位置を検出する二つのセレクトスイッチSW1,SW2とから構成される。一方のセレクトスイッチSW1はリバース及び1速相当のセレクト位置に設けられ、その位置でONとなる。他方のセレクトスイッチSW2は4速及び5速相当のセレクト位置に設けられ、その位置でONとなるが、この他6速相当のセレクト位置でもONとなる。例えば、シフトストロークセンサ31がシフト方向最前列の位置(リバース、2速、4速又は6速相当の位置)を示す場合において、セレクトスイッチSW1がOFF、セレクトスイッチSW2がOFFなら現在のギヤ段は2速であると判定できる。なお4速か6速かどうかはセレクトスイッチSW2によって判別できないので、後述のギヤ段検出装置により判別することになる。なお、ギヤポジションセンサ24の形態は上記以外にも様々なものが可能である。
【0039】
ところで、ギヤポジションセンサ24に断線やショート等の故障が発生すると、ギヤが現在どの位置に入っているかが判別できなくなり、クラッチ制御等に支障をきたしてしまう。
【0040】
そこで、このバックアップとして、本実施形態ではギヤポジションセンサ24によらずとも変速機のギヤ段を間接的に検出ないし推定する装置が設けられている。以下これについて詳細に説明する。
【0041】
かかるギヤ段検出装置は、変速機の回転作動中に、車速センサ21と変速機回転センサ20とからそれぞれ発生する回転パルスを利用して現在のギヤ段を判別するものである。その構成を図4に示し、前記と同一の要素については同一の符号を付す。
【0042】
図示するように、本装置は、前記変速機T/M、車速センサ21、変速機回転センサ22及びギヤ段決定手段としてのECU16から主に構成される。車速センサ21は、その回転軸31が、メータギヤ32を介してアウトプットシャフト9により回転駆動される。メータギヤ32は、図1では簡略化されているが、詳細には図4に示される如くアウトプットシャフト9に固定されたメータドライブギヤ33と、これに噛合され回転軸31に固定されるメータドリブンギヤ34とからなる。車速センサ21は、回転軸31の等位相間隔毎にパルス信号を発生し、回転軸31の1回転当たりに所定数(本実施形態では25個)のパルス信号を発生する。このパルス信号はECU16に直接入力される。回転軸31がアウトプットシャフト9に連動するので、結局車速センサ21は、アウトプットシャフト(出力軸)9の回転位相に応じた数のパルス信号を発生させる出力軸側パルス発生手段を構成する。
【0043】
一方、変速機回転センサ20は、これに対向する入力副ギヤ12の歯が通過する毎にパルス信号を発生し、このパルス信号をECU16に直接入力する。入力副ギヤ12がインプットシャフト8に連動するので、結局変速機回転センサ20は、インプットシャフト(入力軸)8の回転位相に応じた数のパルス信号を発生させる入力軸側パルス発生手段を構成する。
【0044】
この図4においては、車速が60Km/hのときに637rpmで回転に相当するような車速パルスが車速センサ21からECU16に入力されるように、メータギヤ32のギヤ比が予め定められている。具体的には、タイヤ動半径や種々のバリエーションに応じてメータドリブンギヤ34の組み替えが工場出荷時等に行われる。
【0045】
以上の場合が、車速センサ21のパルスがダイレクトにECU16に入力されるタイプAであるが、この他に、図5に示すタイプBの場合には、タイヤ動半径とファイナルギヤ比等に応じて車速信号を補正するために、車速センサ21の下流にパルス整合器35を接続し、60km/h=637rpm相当のパルスがECUに入力される共にその補正係数αがECU16に入力される。この場合、メータギヤのギヤ比は、一定に固定され、工場出荷時等にパルス整合器35が適宜調整され、αが決定される。
【0046】
次に、図4、図5における変速機回転センサ20の出力信号から現ギヤ段を推定する方法を説明する。
【0047】
先ず、車速センサ21と変速機回転センサ20の信号出力からギヤ段を推定する例を、図4のタイプAで、かつスピードメータギヤ比(Zd2/Zd1=10/4)
の場合で説明する。
【0048】
さて、図4は、実際にギヤが4速に入っている場合の例を示す。この変速機では、5速のときに、減速比が1で、入力主ギヤ11の歯数がZM5、入力副ギヤ12の歯数がZC5、4速主ギヤM4の歯数ZM4、4速副ギヤC4の歯数ZC4である。
【0049】
この図4で、車速センサ21の回転軸31が1回転するときのインプットシャフト回転数Niは次式(1)により求められる。
【0050】
【数1】
【0051】
なおメータギヤ32のギヤ比GR(m)を
【0052】
【数2】
【0053】
とし、4速のギヤ比即ち減速比GR(4)を下記(4)式、
【0054】
【数3】
【0055】
とする。
【0056】
今、(1)式の両辺に入力主ギヤ11の歯数ZM5を乗じると、車速センサ21の回転軸31が1回転する間即ち車速センサ21が25パルス発生する間に、変速機回転センサ20から発生する変速機パルス数PTMが算出できる(入力主ギヤ11の通過歯数=入力副ギヤ12の通過歯数なので)。即ち、
【0057】
【数4】
【0058】
基本的にはこの(2)式に従えばギヤ段を判定できる。即ち、(2)式における各ギヤ段のギヤ比GR(1),GR(2),GR(3),・・・と、メータギヤ32のギヤ比GR(m)と、入力主ギヤ11の歯数ZM5と、車速センサ21からの25個のパルスをカウントしたときの変速機回転センサ20から発生された変速機パルス数PTMをカウント値(変速機パルス数PTM)と、上記メータギヤのギヤ比GR(m)及び入力主ギヤ11の歯数ZM5とを(2)式に代入し、その上で(2)式に各ギヤ段のギヤ比GR(1),GR(2),GR(3),・・・を順次代入していく。そして(2)式がほぼ成立したギヤ段が現在のギヤ段となる。
【0059】
しかしながら、本実施形態ではECU16における内部処理を簡単化するため、以下のような処理を行っている。(2)式の両辺をギヤ比GR(4)で割ると、
【0060】
【数5】
【0061】
となる。
【0062】
つまり、変速機パルス数PTMをギヤ比で割った値はギヤ段に拘わらず一定値Ndとなるのである。そこで、ECU16にはこの一定値Ndと、各ギヤ段のギヤ比GR(1),GR(2),GR(3),・・・のみを予め記憶しておく。そしてギヤ段の検出に際しては、ECU16において、車速センサ21からの25個のパルスをカウントする間の変速機回転センサ20からの変速機パルス数PTMをカウントし、このカウントされた変速機パルス数PTMと上記一定値Ndとを(3)式に代入し、その上で(3)式に各ギヤ段のギヤ比GR(1),GR(2),GR(3),・・・を順次代入していき、(3)式がほぼ成立したギヤ段を現在のギヤ段として決定できる。
【0063】
なお、実測値としての変速機パルス数PTMを現在のギヤ段のギヤ比で割っても理論上の一定値Ndには正確に一致しないことがある。よってその除算によって得られた値が一定値Ndに略一致したとき、例えば一定値Ndに対しその数%以内に入っているとき(3)式成立とする。これが「ほぼ成立」の意味である。また、逆に(3)式を基にNdが既知であり、他の変速段を推定するには、カウントされた変速機パルス数PTMを一定値Ndで割ってギヤ比を算出し、このギヤ比から、他のギヤ段が推定できる。尚、この計算でも前記同様に除算によって得られた値が現在のギヤ段のギヤ比に正確に一致しないことがあるので、そのギヤ比に略一致、例えばそのギヤ比に対し数%以内に入っているとき、そのギヤ比に対応したギヤ段を現在のギヤ段としてもよい。
【0064】
ここで、図4を基に、具体値を挙げて説明する。
【0065】
図4で、例えばメータドライブギヤ33の歯数Zd1=4、メータドリブンギヤ34の歯数Zd2=10、入力主ギヤ11の歯数ZM5=28、4速主ギヤM4の歯数ZM4=30、4速副ギヤの歯数ZC4=38とする。
【0066】
この場合、4速の減速比は、(4)式より、
GR(4)=30/38 × 46/28 ≒1.297となる。
【0067】
このとき(3)式の左辺=10/4×28=70となる。そこでこの70という値を一定値NdとしてECU16に記憶しておく。
【0068】
そこで、実測された変速機回転センサ20のパルス数PTM(4速の場合70パルス)をNdで割り、その値にほぼ一致するギヤ比を検索する。この例ではGR(4)=1.297にほぼ一致するはずなので、現ギヤ段は4速と判定できる。
【0069】
次に、変速機T/Mが、タイプBの場合を図5により説明する。
【0070】
このタイプBはパルス整合器35が車速センサ21の下流側に接続され、車速センサ21のパルスが補正係数αで補正されてECU16に入力される他は、図4のEタイプと基本的には同じであるが、変速機回転センサ20と車速センサ21との関係で見れば、補正係数αがある分、ECU16に入力されるパルス数は違ってくる。
【0071】
このパルス整合器35は、タイヤ動半径やファイナルギヤ比等のバリエーションが比較的多い車型については、工場出荷時のメータドリブンギヤ34の組み替え数が膨大になり大変となるため、この組み替えを行わない或いは少なくするためにパルス整合器35を調整し、これにより車速パルスの時間間隔を調整し、ECU16には車速60km/hのとき637rpmに相当する車速パルスが入力されるようにしている。
【0072】
補正係数αは通常0.8〜1.2の範囲で可変であるが、パルス整合器35が調整された後は一定値に固定される。パルス整合器35への1の入力に対しその出力はαとなり、入力が25パルスだとするとその出力は25αパルスとなる。設定後のαの値はECU16に送られて記憶される。
【0073】
この場合(2)式は以下のように変形できる。
【0074】
【数6】
【0075】
従って、両辺をギヤ比GR(4)で割った値も一定値となり、この一定値をNdとすると(3)式は以下のように改められる。
【0076】
【数7】
【0077】
従って、前記同様、(2)’式を用いて第一の方法によりギヤ段を決定でき、(3)’式を用いることでギヤ段を決定できる。
【0078】
以上、現ギヤ段の推定方法を説明したが、タイプAではメータギヤ32のギヤ比は、種々のものがあり、具体的には工場出荷時等にメータドリブンギヤ34の組み替えが行われる。上記ギヤ段推定方法では、ドリブンギヤ34の歯数Zd2が判らないと、ギヤ段検出できないため、工場出荷時等に、ドリブンギヤ歯数の学習、ひいてはメータギヤ比の学習を行う必要がある。本発明においては、ギヤ段を推定するに当たって、ECU16に変速機のタイプ毎のギヤ比と、そのタイプにおけるスピードメータギヤ比における車速センサ21と変速機回転センサ20の信号出力を予めマップ化して記憶しておき、工場出荷時等に車速センサ21と変速機回転センサ20の信号出力からマップ中の変速機のタイプとスピードメータギヤ比に適合するものを学習しながら決定すると共にそのマップから決定したデータを基にギヤ段を推定するようにしたものである。
【0079】
以下これを説明する。
【0080】
図8は、ギヤ段Rev,1st〜6thにおけるギヤ段の減速比と、メータギヤ比(本例の場合には、メータドライブギヤ33の歯数Zd1は、4枚と固定しているので、ドリブンギヤの歯数(枚数)で、10〜17枚を示している)における、PTMパルス数(ECU16に入力された値)とNd値を示している。
【0081】
この図8のマップは、(3)式によるNd値が記憶されており、メータドリブンギヤ34の歯数10枚のときには、(3)式より、10/4×28=70、11枚のときには、Nd=11/4×28=77、12枚のときには、Nd=12/4×28=84となり、またECU16に記憶されているPTM数も、(2)式から計算できる。
【0082】
そこで、工場出荷時に仮走行を行い、先ず変速機回転センサ20のカウント値(PTM)を例えば、現ギヤ段が4速であれば、その4速の減速比(1.297)で割ることで、Nd値が求まる。
【0083】
このNd値が、70であった場合には、図8のマップより、ドリブンギヤ枚数10のNd値が70であるため、ドリブンギヤ枚数10であることが分かり、また、4速におけるECU16でのPTM値と実際の変速機回転センサ20のパルス数が一致していれば、変速機回転センサ20等の故障がなく、ドリブンギヤ10枚は正しいことが確認でき、以後はこの選択したマップでギヤ段の推定が行える。
【0084】
また、Nd値が77であれば、ドリブンギヤの枚数が11枚であることが分かり、その場合には、ドリブンギヤ11枚のマップを参照してギヤ段の判定を行う。
【0085】
以下同様にして、Nd値を求め、ドリブンギヤの枚数を判定し、その判定に基づいたドリブンギヤの枚数に相当するマップを参照することで、メータギヤ比(ドリブンギヤ枚数)が種々あっても簡単にギヤ段の判定が行える。
【0086】
この図8のマップは、5速の減速比が1.000の場合のマップであるが、変速機T/Mの変速比が4速で、1.000の場合には、図9のマップを用いて行えばよく、要は変速機T/Mの各ギヤ比に応じたマップをECU16に記憶させ、その中から変速機T/Mのタイプに合致するマップを選び、その後ドリブンギアレシオを求めて使用するマップを決定すればよい。
【0087】
また、図8(図9も同様)のマップ中、「FAIL]で示したのは、ギヤポジションセンサ24の故障判定を正確に行うために用いるデータである。
【0088】
図12に示したギヤポジションセンサ24のスイッチSW1が断線故障したときには、スイッチSW1で検出されるRevと1stの検出が不可となり、シフトストロークセンサ31のデータのみになり、変速機回転センサのパルス数の演算値と、実際に検出される変速機回転センサ20からのパルス数と相違する。
【0089】
この場合、ギヤポジションセンサ24のギヤ位置判定で得られるギヤ段における変速機回転センサにおけるパルスの値(入力値)は、Rev、4TH、6THは、2nd相当、1STと5THは3rd相当のPTM値となるため、実際に入力される変速機回転センサのパルスから求めたNd値が相違するため、この相違したNd値を予めマップに入力しておくことで、スイッチSW1,SW2の故障が正確に判断できると共に、いずれのスイッチSW1,W2が故障したのかが診断できる。
【0090】
次に、図5に示したタイプBの変速機の場合を説明する。
【0091】
この場合のマップは、ECU16に予め補正係数αの値が入力されるため、ドリブンギヤレシオの判定は(3)’式のNdにαを乗算した値からメータギヤ比を求め、その求めたメータギヤ比に基づくドリブンギヤ枚数に相当するマップを選択すればよい。
【0092】
また、ギヤ段の推定は、変速機パルス数PTMにαを乗算した値と選択したマップからギヤ位置を判定すればよい。
【0093】
さて、図6、図7は、上述したメータギヤ比の学習とその学習したメータギヤ比を基にギヤ位置を推定するフローチャートを示したものである。
【0094】
先ず、図6のメータギヤ比(本実施の形態の場合は、ドリブンギヤ枚数)の決定のフローを説明すると、制御が開始40され、step1で、メータギヤ比未学習の有無を判断し、未学習であれば(yes)、step2で、車速センサパルスから25パルス入力が完了したかどうかを判断し、25パルスカウントしたならば(yes)、step3で、変速機回転センサのパルスカウント数を収得したかどうかを判断し、収得したならば(yes)、図8、図9に示したマップ値と変速機回転センサのTMパルスカウント値より、メータギヤ比を求める、即ち、ドリブンギヤの枚数を決定42する。
【0095】
またstep1の判断で、メータギヤ比の未学習でない、即ち学習が終えたとき(no)は、制御を終了43する。この際、セレクトスイッチSW1,SW2の故障診断のときのために、学習済みとして、図8,図9のいずれかのドリブンギヤの枚数に基づくマップを収得したならば、ECU16に学習済みであるとのフラッグを立てておく。
【0096】
次に、ギヤ段の推定のフローを図7により説明する。
【0097】
制御が開始50され、step4で、メータギヤ比の学習済みかどうかを判断し、上述のようにフラッグが立っていれば学習済み(yes)とし、次にstep5で、車速センサパルスから25パルス入力が完了したかどうかを判断し、25パルスカウンとしたならば(yes)、step6で、変速機回転センサのパルスカウント数を収得したかどうかを判断し、収得したならば(yes)、マップ検索+既知のメータギヤ比より、図8,図9で選択したマップからギヤ位置を推定する。
【0098】
この図7のフローは、走行時、常時行い、ポジションセンサ24が、故障した場合のギヤ段判定を行うことが可能となる。
【0099】
また、step4で、未学習のとき(no)、即ちフラッグが立っていない場合には、セレクトスイッチのオープン診断とギヤ位置推定を中止53する。
【0100】
このように、ECU16に予めマップを記憶させ、車速センサ21から25パルス入力される間の変速機T/M回転センサ20のパルス数を収得することで、その変速機のタイプに応じたマップを選択することで、ギヤ段の判定が可能となる。
【0101】
上述のメータギヤ比の学習に基づくギヤ段の推定は、各変速段(Rev,1〜5th、或いは1〜6th)のギヤ比に対して複数の各メータギヤ比がある場合の例であるが、変速機自体のバリエーションが複数あり、所定変速段のギヤ比のみが互いに異なる場合がある。例えば、3rdと6thのギヤ比が相違し、その他のギヤ段のギヤ比が一致している場合の変速機では、上述の図8、図9に示したフローではマップを学習することはできない。
【0102】
図10は、Cタイプ及びDタイプの2種の変速機の1〜6thとRevの主ギヤと副ギヤの歯数を示したもので、Dri(5th、減速比1)、4th、2nd、1st、Revの主ギヤと副ギヤの歯数は一致するものの、3rdと6thでは相違するため、2ndのギヤ位置にあるときにメータドリブンギヤを算出しても、タイプCとタイプDのいずれかの判別はつかないことになる。
【0103】
そこで、この場合、ECU16に、CタイプとDタイプの個々に対応する図8に示したようなマップを2種記憶させ、ギヤ比の相違するギヤ位置3rdの変速機回転センサのパルス数を判断し、タイプCとタイプDのいずれかを判断して、対応するマップを選定するようにする。
【0104】
この判定のフローチャートを図11により説明する。
【0105】
制御が開始60され、step10で、タイプCとタイプDで共通のギヤ比のギヤ段かどうか、例えばギヤ位置2ndであれば(yes)、step11で、マップよりメータドリブンギヤ枚数を算出したかどうかを判断し、算出したならば(yes)、step12で、ギヤ位置がギヤ比の異なるギヤ段例えば、3rdかどうかを判断し、ギヤ位置が3rdであれば、step13で、メータドリブンギヤ枚数を算出し選択したマップ(この場合、例えばタイプCのマップを優先的に選択するものとする)で、3rdのデータがそのマップの値と一致するかどうかを判断し、一致していた場合、TMタイプをタイプCとして確定61し、step13で一致していない場合(no)には、step14で、タイプDのマップを参照し、そのタイプDのマップで合致するかどうかを判断し、一致していれば(yes)、TMタイプをDとして確定62し、そのタイプDのマップを選択する。
【0106】
このフローにおいては、6thのギヤ位置での判定は示していないが、6thで行ってもよい。
【0107】
以上、本発明によれば、センサの出力を時間要素で割って速度換算した値を用いるのではなく、センサから出力されるパルスの数自体(所謂パルスの生値)を用いてギヤ段を推定する際に、ECU16に予め変速機のギヤ段推定のためのマップを記憶させておき、工場出荷時等に、先ずメータギヤ比を学習し、本実施の形態では、ドリブンギヤの枚数を決定し、その後ドリブンギヤの枚数に基づくマップから変速機回転センサのパルス数を基にギヤ位置を判定するので、従来のように、メータギヤ比毎にECU16に変速機データを入力する煩雑な作業を無くすことが可能であり、またパルス整合器を介設する際の補正係数αによる調整も不要となる。
【0108】
また、本発明においては、メータギヤ比を学習し、使用するマップを選択した後は、ECU16内にフラッグを立て、このフラッグが立っていることを確認の上、故障診断を行うことで、ギヤポジションセンサ24の故障時にもギヤ段の検出が正確におこなえる。
【0109】
なお、本発明の実施形態は上述のものに限られない。上記実施形態では自動クラッチとマニュアル変速機の組合せであったが、クラッチはマニュアルでも構わないし、変速機も自動であっても構わない。要は、変速機のギヤ段検出を要するあらゆる装置に本発明は適用できる。また車両の動力伝達装置以外にも適用できるものである。
【0110】
上記実施形態では車速パルスの単位数を1回転(360°位相)相当の25パルスに設定したが、これは例えば2回転(720°位相)相当、半回転(180°位相)相当のように適宜変更できるものである。
【0111】
上記実施形態では変速機の出力軸側パルス(車速パルス)を基準とし、出力軸側パルスが単位数(25パルス)をカウントしたときの入力軸側パルス数によりギヤ段を特定したが、これは逆でも良く、入力軸側パルス(変速機パルス)を基準としてもよい。
【0112】
上記実施の形態では入力軸側パルス発生手段を副軸側に設けた変速機回転センサ20とし、入力副ギヤ12の通過歯数をカウントしているが、これは入力軸側に設けたセンサで構成してもよく、入力主ギヤ11の通過歯数をカウントするようにしてもよい。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ギヤ段判定装置に、予め各ギヤ段のギヤ比と、複数のメータギヤ比とに基づく変速機回転センサの変速機パルス数を記憶させたマップを備えさせておくことで、メータギヤの組み替えの都度、ギヤ段判定装置にデータを入力する必要がなく、その後の学習で実際のメータギヤ比を特定して必要なデータを選択できると共にこれを用いてギヤ段の判定ができるという優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両の動力伝達装置を示すスケルトン図である。
【図2】本発明に係る油圧供給装置を示す油圧回路図である。
【図3】本発明に係る電子制御装置を示す構成図である。
【図4】本発明に係るタイプAの変速機の変速ギヤ段判定の具体例を示す構成図である。
【図5】本発明に係るタイプBの変速機の変速ギヤ段判定の具体例を示す構成図である。
【図6】本発明において、メータギヤ比を学習するフローチャートを示す図である
【図7】本発明において、ギヤ段を判定するフローチャートを示す図である。
【図8】本発明において、ECUに記憶されるマップの一例を示す詳細図である。
【図9】本発明において、ECUに記憶されるマップの他の例を示す詳細図である。
【図10】本発明において、特定ギヤ段が相違する変速機の変速段と歯数の関係を例示した図である。
【図11】図10における変速機のタイプを判定するためのフローチャートを示す図である。
【図12】本発明において、ギヤポジションセンサの構成を示す図である。
【図13】1st〜3rdにおける一般的な車速と変速機回転速度との関係を示す図である。
【符号の説明】
8 インプットシャフト
9 アウトプットシャフト
11 入力主ギヤ
16 電子コントロールユニット(ECU)
20 変速機回転センサ
21 車速センサ
32 メータギヤ
35 パルス整合器
GR ギヤ段のギヤ比
GR(m) メータギヤのギヤ比
Nd 一定値
PTM 車速パルス数
T/M 変速機
ZM5 入力主ギヤの歯数
α 補正係数
Claims (6)
- 変速機の出力軸にメータギヤを介して回転駆動され、その出力軸の回転位相に応じた数のパルスを発生させる車速センサと、上記変速機の入力軸の回転位相に応じた数のパルスを発生させる変速機回転センサと、これらセンサからそれぞれ発生されたパルスが入力されると共に、一方のパルスを単位数カウントしたときの他方のパルス数をカウントし、そのカウントされた他方のパルス数から現在のギヤ段を決定するギヤ段決定手段とを備え、そのギヤ段決定手段に、上記変速機の各ギヤ段のギヤ比と複数のメータギヤのギヤ比とに基づく上記他方のパルス数のカウント値のデータを予めマップとして記憶させ、そのマップから変速機に組み込まれたメータギヤのギヤ比を特定した後、その特定したメータギヤ比に対応した上記カウント値のデータのマップから現ギヤ段を判定することを特徴とするギヤ段判定装置。
- マップには、車速センサが単位数パルスを発生したときの変速機回転センサの変速機パルス数が、変速機のギヤ段毎に記憶されると共に、その各変速機パルス数が、メータギヤのギヤ比に応じて、変速機パルス数を変速機のギヤ比を割った値(Nd)ごとに記憶される請求項1記載のギヤ段判定装置。
- 変速機回転センサから入力される変速機パルス数を、現在のギヤ段のギヤ比で割ってNd値を求め、そのNd値からメータギヤ比を判定し、その判定したメータギヤ比に対応したマップから現ギヤ段を判定する請求項2記載のギヤ段判定装置。
- 車速センサと上記ギヤ段決定手段間には、タイヤ動半径、ファイナルギヤ比等の相違に基づいて車速センサの信号を補正するパルス整合器が接続され、ギヤ決定手段にはそのパルス整合器で補正された車速センサと補正係数(α)が入力され、メータギヤ比と現ギヤ段の判定は、変速機パルス数に補正係数(α)を乗算してマップからメータギヤ比と現ギヤ段を判定する請求項3記載のギヤ段判定装置。
- マップには、変速機のギヤ比が所定の段で相違し、他の段が一致する、種類が複数の変速機の変速機パルス数データが記憶され、先ず他の段にギヤがあるときのメータギヤ比を判定し、その後、所定の段での変速機パルス数から変速機のタイプを判定し、その判定したタイプのマップを用いて現ギヤ段を判定する請求項3記載のギヤ段判定装置。
- マップからメータギヤ比を判定した後、ギヤ段決定手段は、そのメータギヤ比に基づくマップを学習したことをあらわすフラッグを立て、フラッグが立っているときにのみギヤポジションセンサの故障判定を行う請求項1〜5いずれかに記載のギヤ段判定装置。
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