JP4098639B2 - 塗布方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バーコータおよび塗布方法に関し、特に、バーの偏磨耗が効果的に防止できるバーコータおよび前記バーコータを用いた塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷版は、通常、純アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるアルミニウムウェブにおける少なくとも一方の面を砂目立てし、砂目立て面に必要に応じて陽極酸化皮膜を形成して支持体ウェブを形成し、次いで、前記支持体ウェブにおける砂目立てされた側の面に感光層形成液や感熱層形成液などの製版層形成液を塗布して乾燥し、感光性または感熱性の製版面を形成することにより、製造される。
【0003】
前記製版層形成液のような塗布液を前記支持体ウェブなどの帯状体に塗布するのにバーコータが一般的に使用される。
【0004】
前記バーコータとしては、従来は、連続走行しているウェブの下面に接触しつつ、前記ウェブの走行方向に対して同方向または反対方向に回転するバーと、前記ウェブの走行時において、前記バーよりも、前記ウェブの走行方向に対して上流側(以下、単に「上流側」という。)に塗布液を吐出して塗布液溜りを形成し、前記ウェブの下面に前記塗布液を塗布する塗布部とを備えるものが一般的に使用されてきた。
【0005】
前記バーコータとしては、前記バーよりも上流側において、前記バーに近接して設けられているとともに、上端部において、前記ウェブの走行方向に対して下流側(以下、単に「下流側」という。)に向かって厚みが薄くなるように形成された第1の堰板を有し、第1の堰板の上端部が前記バーに向かって屈曲し、頂部に長さ0.1〜1mmのフラット面を有するバーコータ(特許文献1)、および、上端部において下流側に向かって厚みが薄くなるように形成された第1堰板とバーとを有し、前記バーの下流側に第2の堰板を設けたバーコータ(特許文献2)などが一般的に使用されてきた。
【0006】
しかしながら、支持体ウェブの走行速度を高くすると、前記支持体ウェブに追従して走行する空気すなわち同伴エアの膜である同伴エア膜が、前記支持体ウェブの表面に形成されるようになる。
【0007】
前記バーコータの何れにおいても、前記支持体ウェブの表面に同伴エア膜が形成されると、前記同伴エア膜は前記塗布液溜りに持ち込まれるので、前記支持体ウェブの表面に前記塗布液が均一に付着しなくなり、膜切れなどの欠陥を生じて前記塗布液の塗布が安定に行なわれなくなるという問題があった。
【0008】
前記問題を解決できるバーコータとして、前記支持体ウェブの搬送方向に沿って上流側に配設された1次側バーと、前記1次側バーの下流側に配設された2次側バーと、前記1次側バーと2次側バーとの間に配設されたバー間液溜り部とを備えたバーコータが提案された(特許文献3)。
【0009】
特許文献3に記載のバーコータにより、搬送速度が高いときに、前記同伴エアに起因して各種欠陥が発生するという問題が解決された。
【0010】
しかしながら、前記特許文献1および2に記載のバー塗布装置のみならず、特許文献3に記載のバー塗布装置においても、使用していくうちに、バーは、前記支持体ウェブとの接触によって表面が磨耗する。
【0011】
前記磨耗が、前記バーの全長に亘って均一に進行すれば、前記バーの磨耗が進行した状態においても前記支持体ウェブへの塗布液の塗布は均一に行われる。
【0012】
しかしながら、前記バーそのもの、または前記バーを支持するバックアップ部材にうねりがあると、前記バーからバックアップ部材に及ぼされる圧力、および前記支持体ウェブから前記バーに及ぼされる圧力に、前記バーの長手方向に沿って分布が生じる。したがって、前記バーにおける前記支持体ウェブおよび前記バックアップ部材との間の圧力が高い部分が優先的に磨耗して前記バーに偏磨耗が生じる。
【0013】
前記偏磨耗を放置すると、前記支持体ウェブへの塗布は均一には行われなり、塗布ムラが生じる。
【0014】
したがって、偏磨耗が生じたバーは直ちに交換する必要があるから、バーの寿命が短くなったり、バーを交換する際にバーコータを停止することにより、製品である平版印刷版の得率が低下したりするという問題があった。
【0015】
前記問題を解決するバー塗布装置として、バー長さ1m当りの真直度が0.025mm以下のバーと、ホルダー長さ1m当り0.3mm以下のホルダー(バックアップ部材)とを用いて帯状支持体に塗布を行うバー塗布装置が、後述する特許文献4で提案された。
【0016】
【特許文献1】
実願昭63−126213号明細書
【特許文献2】
特公昭58−004589号公報
【特許文献3】
特願2002−147940号明細書
【特許文献4】
特開2001−87697号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献4に記載のバーとホルダーとの真直度は、何れも帯状支持体からバーに及ぼされる押圧力とは無関係に規定されているに過ぎないので、特許文献4に記載のバーとホルダーとの真直度が、帯状支持体からバーに押圧力が及ぼされている塗布時においても前記範囲にあるか否かについては、特許文献4の記載からは定かではない。
【0018】
また、特許文献4の[0054]欄に例示された帯状支持体は、各種構成樹脂やセルロースエステルなどの半合成樹脂のフィルムであるから、前記支持体ウェブのような金属ウェブに塗布液を塗布する場合に比較して帯状支持体に加える張力は低いと考えられる。
【0019】
これに対して、前記帯状支持体が支持体ウェブのような金属ウェブの場合には、帯状支持体に大きな張力を加えて帯状支持体がバーから浮き上がらないようにするから、前記帯状支持体からバーおよびホルダーに強い押圧力が作用する。したがって、静止状態における真直度が特許文献4に記載の範囲内であるバーおよびホルダーであっても、塗布時においては前記特許文献4に記載の範囲よりも下方に大きく撓む可能性があると考えられる。
【0020】
本発明は、特許文献4に記載の発明とは異なり、塗布時において支持体ウェブなどの帯状体からバーに押圧力が加わった状態におけるバーおよびバックアップ部材の撓みが小さいことが、バーおよびバックアップ部材の偏磨耗を防止する上で重要であることに着目して成された発明であって、前記支持体ウェブのように、金属からなり、硬度が高い帯状体に塗布液を塗布する場合においても、バーおよびバックアップ部材の偏磨耗が効果的に防止できるバーコータおよび塗布方法の提供を目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、一定方向に搬送される帯状体に塗布液を塗布するバーと、前記バーを下方から支持するバックアップ部材とを備えてなり、前記バックアップ部材において前記バーを支持するバックアップ面が円弧溝状に形成されてなるとともに、前記バックアップ部材におけるバックアップ面と前記バーとが、前記バックアップ面および前記バーの真直度および真円度を合計したΔLと、前記帯状体から前記バーに作用する押付け力Tとの間に、関係式
ΔL≦−0.08T+0.1542
が成立するような真直度および真円度を有してなることを特徴とするバーコータに関する。
【0022】
前記バーコータにおいては、帯状体からバーに大きな押圧力が加わった状態においてもバーおよびバックアップ部材のうねりが極めて小さく、真直度が大きいから、帯状体を高速で搬送する場合においても、バーは全長に亘って前記帯状体およびバックアップ部材に均一に当る。
【0023】
更に、前記バックアップ部材におけるバックアップ面は円筒面状に形成されているから、前記バーは、前記バックアップ面の全面で支持される。したがって、前記バーから前記バックアップ面に加わる面圧は小さいので、前記押圧力が大きな場合においても、前記バックアップ部材は、バーが当接する部分のみが磨耗することがなく、前記バックアップ面全体が一様に磨耗する。故に、前記バックアップ部材に、後述する弗素系樹脂や超高分子量ポリエチレンのような、表面の摩擦係数は小さいが、比較的硬度の小さな材料を使用できる。
【0024】
したがって、前記バーの表面および前記バックアップ部材のバックアップ面に偏磨耗が生じることが防止されるので、バーの寿命が長くなると同時に、バーを交換する頻度を大幅に減らすことができる。故に、前記帯状体に前記塗布液を塗布した塗布品の得率が大きく向上する。
【0025】
ここで、前記バーおよびバックアップ面の真直度は、前記バーおよびバックアップ部材における長さ1mの任意の部分について規定された値であり、図2および図3に示すように、前記バーまたはバックアップ面の軸線を中心とし、前記バー表面またはバックアップ面の任意の凸部に外接するとともに、互いに同心な仮想円筒面c1〜cnのうち、最も直径の大きな仮想円筒面c1と、もっとも直径の小さな仮想円筒面cmとの半径の差dとして定義することができる。
【0026】
前記バーおよびバックアップ面の真円度は、図4および図5に示すように、前記バーおよびバックアップ部材を前記バーの軸線に対して直角な面に沿って切断した断面の外周を二つの同心円C1とC2とで挟んだときに、同心円C1とC2との間の領域が最小になるときの半径の差Dで定義することができる。
【0027】
なお、前記真直度および真円度は、何れもmmを単位とする値である。
【0028】
前記バーとしては、表面に金属線を所定のピッチで巻回するか、または密に巻回したワイヤバーや、円周方向の溝が形成された溝付バーが一般的に使用されるが、表面が平滑な平滑バーも使用できる。前記ワイヤバーにおいて使用されるワイヤーの直径は、0.025〜1.5mm程度が好ましい。
【0029】
前記バーは、前記帯状体の搬送方向と同一の方向に回転させてもよく、また、前記搬送方向とは反対の方向に回転させてもよい。また、前記搬送方向と同一の方向に回転させる場合には、前記帯状体の搬送速度と等しい周速で回転させてもよく、前記搬送速度とは異なる周速で回転させてもよい。
【0030】
なお、前記帯状体からの押圧力が大きな場合には、前記バックアップ部材のバックアップ面を設けた側とは反対側に適宜の補強材を設けることができる。
【0031】
前記帯状体としては、連続した帯状であり、可撓性を有する基材が挙げられ、具体的には、前記支持体ウェブのほか、感光材料や磁気記録材料に使用される基材が挙げられる。前記基材としては、たとえば前記支持体ウェブ、写真フィルム用基材、印画紙用バライタ紙、録音テープ用基材、ビデオテープ用基材、フロッピー(R)ディスク用基材などが挙げられる。他には、カラー鉄板などの塗装金属板に使用される金属薄板などが挙げられる。
【0032】
前記塗布液としては、[従来の技術]の欄で述べた製版層形成液のほか、銀塩写真用の感光層を形成するのに使用される感光剤コロイド液、前記磁気記録材料における磁性層の形成に使用される磁性層形成液、および前記塗装金属薄板の下塗り層、中塗り層、上塗り層に使用される各種塗料などが挙げられる。
【0033】
請求項2に記載の発明は、バックアップ面の曲率半径がバーの半径よりも0.05〜0.25mm大きく形成されてなるバーコータに関する。
【0034】
バーおよびバックアップ部材の何れも完全には真直ではないから、バックアップ面の曲率半径がバーの半径と完全に同一な場合には、両者の接触圧力が過大になり、偏磨耗が生じることがある。また、バックアップ面の曲率半径がバーの半径に対して過大な場合には、バーに大きな回転振動が生じ、塗布面に筋状の欠陥であるスジや段状のムラである段ムラが生じる。
【0035】
しかし、前記バーコータにおいては、バックアップ面の曲率半径がバーの半径よりも0.05〜0.25mm大きく形成されているから、両者の接触圧力が過大になることもなく、また、バーは、回転振動を生じることなく円滑に回転する。したがって、バー表面およびバックアップ面の何れにも偏磨耗が生じることなく、また、塗布面にスジや段ムラなどの不良が生じることもない。
【0036】
なお、前記バーコータにおいては、前記バックアップ面の曲率半径は、バーの半径よりも0.10〜0.20mm大きいことが好ましい。
【0037】
請求項3に記載の発明は、前記帯状体に加わる張力が50kg/m以上であるバーコータに関する。
【0038】
前記請求項に係るバーコータも本発明のバーコータの一例であるから、帯状体に大きな張力を印加しつつ塗布を行った場合にも、バーに偏磨耗が生じることがない。
【0039】
請求項4に記載の発明は、前記帯状体が金属ウェブであるバーコータに関する。
【0040】
金属ウェブのような剛性の高い帯状体に塗布液を塗布する場合には、前記帯状体がポリエステル樹脂やセルロースアセテートのフィルムのように比較的剛性の低いフィルムの場合に比較して、ずっと大きな張力を印加することが一般的である。
【0041】
したがって、前記バーには、大きな押付け力が作用する。
【0042】
しかし、前記請求項に係るバーコータもまた、本発明のバーコータであるから、バーに大きな押付け力が加わる場合にもバーやバックアップ部材が偏磨耗することがない。
【0043】
したがって、前記バーコータによれば、金属ウェブに塗布液を塗布する場合にも長期間に亘ってバーを使用できるから、歩留まりが高く、また、塗布面にスジや段ムラのような不良が生じることもない。
【0044】
請求項5に記載の発明は、前記バックアップ面の表面粗さRaが20μm以下であるバーコータに関する。
【0045】
前記バーコータにおいては、前記バックアップ面が特に平滑に形成されているから、バーの表面の磨耗そのものが特に効果的に防止できる。
【0046】
請求項6に記載の発明は、前記バックアップ面が、低摩擦高分子材料で形成されてなるバーコータに関する。
【0047】
前記バーコータにおいては、前記バックアップ部材のバックアップ面が低摩擦高分子材料で形成されているので、長時間に亘る塗布を行った場合においてもバーの表面が大きく磨耗することがない。
【0048】
低摩擦高分子材料は、一般に摩擦係数の小さな高分子材料として知られているものであれば特に制限はないが、たとえば動摩擦係数が0.2以下の材料が挙げられる。このような材料としては、具体的には、弗素系樹脂及び超高分子量ポリエチレンからなる群から選択される高分子材料が挙げられる。
【0049】
超高分子量ポリエチレンおよび弗素系樹脂は、静止摩擦係数および動摩擦係数が小さいのみならず、耐磨耗性にも優れている点で好ましい。
【0050】
弗素系樹脂としては、ポリ(四弗化エチレン)樹脂、ポリ(弗化ビニリデン)樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)樹脂、四弗化エチレン−六弗化プロピレン共重合体樹脂などが挙げられる。
【0051】
高分子量ポリエチレンとしては、作新工業(株)製ニューライト(R)などが挙げられる。
【0052】
なお、前記帯状体からの押圧力が大きな場合には、前記バックアップ部材のバックアップ面を設けた側とは反対側に適宜の補強材を設けることができる。
【0053】
請求項7に記載の発明は、前記低摩擦高分子材料が、弗素系樹脂および超高分子量ポリエチレンからなる群から選択されてなる少なくとも1種の材料であるバーコータに関する。
【0054】
前記バーコータは、請求項6に記載のバーコータのバックアップ面に使用される超高分子量ポリエチレンおよび弗素系樹脂は、静止摩擦係数および動摩擦係数が0.1〜0.2またはそれよりも小さいのみならず、耐磨耗性にも優れているから、バー表面の磨耗を防止できるだけでなく、バックアップ部材の磨耗も防止できる。
【0055】
弗素系樹脂および高分子量ポリエチレンについては、請求項6のところで述べたとおりである。
【0056】
請求項8に記載の発明は、前記帯状体が、平版印刷版の基材を形成する支持体ウェブであり、前記塗布液が、前記平版印刷版の製版層を形成する製版層形成液であるバーコータに関する。
【0057】
前記バーコータは、本発明のバーコータを平版印刷版の製造に適用した例である。
【0058】
前記バーコータにおいては、支持体ウェブに長時間に亘って製版層形成液を塗布した後においても、バーに偏磨耗が生じることがないから、高い得率で平版印刷版を製造できる。また、製版面にスジや段ムラなどの品質故障が生じることもない。
【0059】
請求項9に記載の発明は、バーと、前記バーを下方から支持するバックアップ部材とを備えるバーコータを用い、一定方向に搬送される帯状体に塗布液を塗布する塗布方法であって、前記バーコータとして、前記バックアップ部材において前記バーを支持するバックアップ面は円弧溝状に形成されてなり、前記バックアップ部材におけるバックアップ面と前記バーとが、前記バックアップ面および前記バーの真直度および真円度を合計したΔLと、前記帯状体から前記バーに作用する押付け力Tとの間に、
ΔL≦−0.08T+0.1542
が成立するような真直度および真円度を有してなるバーコータを用いることを特徴とする塗布方法に関する。
【0060】
請求項1のところで説明したのと同様の理由により、前記塗布方法によれば、前記バーの表面および前記バックアップ部材のバックアップ面に偏磨耗が生じることが防止されるので、バーの寿命が長くなると同時に、バーを交換する頻度を大幅に減らすことができる。したがって、前記帯状体に前記塗布液を塗布した塗布品の得率が大きく向上する。
【0061】
なお、前記ΔL、T、前記バーおよびバックアップ面の真直度および真円度もまた、請求項1のところで述べた通りである。
【0062】
【発明の実施の形態】
1.実施形態1
本発明に係るバーコータの一例を図1に示す。
【0063】
図1に示すように、実施形態1に係るバーコータ100は、矢印aの方向に搬送される支持体ウェブWに、本発明における塗布液の一例である製版層形成液を塗布するバー2と、バー2を下方から支持するバックアップ部材4と、支持体ウェブWの搬送方向aに対してバックアップ部材4の上流側(以下、単に「上流側」という。)に位置する一次側堰6と、前記搬送方向aに対してバックアップ部材4の下流側(以下、単に「下流側」という。)に位置する二次側堰8とを備える。
【0064】
バックアップ部材4の頂面には、バー2が当接するバックアップ面4Aが形成されている。バックアップ面4Aは円弧溝状に形成され、したがってバー2に対して直角な平面で切断した断面は、内角が90°以下の円弧状である。
【0065】
バックアップ部材4と一次側堰6との間には、バー2の上流側に向かって製版層形成液を供給するスリット状の一次側給液流路10が形成され、バックアップ部材4と二次側堰8との間には、バー2の下流側に向かって製版層形成液を供給するスリット状の二次側給液流路12が形成されている。
【0066】
前記製版層形成液には、可視光感光型の製版層を形成する感光層形成液、およびレーザ製版層を形成する感熱層形成液および光重合層形成液などが包含される。
【0067】
バックアップ部材4のバックアップ面4Aよりも下方には、一次側給液流路8と二次側給液流路10とを連通する連通流路14が設けられている。連通流路14は、バー2に対して直角な方向、即ちバックアップ部材4の厚み方向に貫通していることが好ましい。連通流路14は1箇所のみに設けられていてもよいが、製版層形成液が、一次側給液流路8および二次側給液流路10からバー2に向かってバー2の延在する方向、即ちバックアップ部材4の巾方向に沿って均一に供給されるようにする点からは2箇所以上設けられていることが好ましい。
【0068】
バー2は、図1に示すように、搬送方向aと同方向に回転させてもよいが、搬送方向aとは反対の方向に回転させてもよい。バー2を搬送方向aと同一の方向に回転させる場合には、バー2の周速は、支持体ウェブWの搬送速度と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0069】
バー2は、平滑バーであってもよいが、製版層形成液を薄く、しかも均一に塗布できる点でワイヤーバーおよび溝つきバーが好ましい。
【0070】
バー2およびバックアップ面4Aの真直度および真円度は、バー2の真直度および真円度とバックアップ面4Aの真直度および真円度との合計をΔLとすると、前記ΔLと、支持体ウェブWからバーに作用する押付け力Tとの間に、関係式:
ΔL≦−0.08T+0.1542
が成り立つように形成されている。ここで、ΔLはmmを単位とする値であり、Tはkgf/m(バー)を単位とする値である。
【0071】
支持体ウェブWに作用する搬送方向aに対して平行な張力をt、支持体ウェブWのバー2へのラップ角をθとすると、押付け力Tは、下記の式:
T=t(2−2cosθ)1/2
で与えられる。張力tおよびラップ角θは、押付け力Tの値が1〜10になるように選択することができる。ここで、支持体ウェブWに製版層形成液を塗布するときのラップ角θは、通常、最大で11〜15°であるから、支持体ウェブWの巾1m当りの張力tは、50kgf以上が好ましい。
【0072】
バックアップ面4Aは、バー2が円滑に回転できるように、バー2の半径よりも0.05〜0.25mm好ましくは0.1〜0.2mm大きな曲率半径で形成されている。
【0073】
バックアップ面4Aの表面粗さRaは、バーの表面の磨耗そのものを防止する観点からは20μm以下が好ましく、特に10μm以下が好ましい。バックアップ面の表面粗さは、通常の表面粗さ計で測定できる。具体的には、バックアップ面4Aをアトランダムに数箇所、たとえば10箇所表面粗さ測定し、得られた測定値を平均することにより、求めることができる。
【0074】
バー2の真直度は、図2に示し、[課題を解決するための手段]の請求項1のところにも記載したように、バー2の軸線x−xを中心とし、バー2の表面における任意の凸部に外接する互いに同心な仮想円筒面c1〜cnのうち、最も直径の大きな仮想円筒面c1と、もっとも直径の小さな仮想円筒面cmとの半径の差dとして定義される。
【0075】
同様に、バックアップ面4Aの真直度は、図3に示すように、バックアップ面4Aの軸線y−yを中心とし、バックアップ面4Aの表面における任意の凸部に外接する互いに同心な仮想円筒面c1〜cnのうち、最も直径の大きな仮想円筒面c1と、もっとも直径の小さな仮想円筒面cmとの半径の差dとして定義される。
【0076】
バー2の長手方向に沿ったバー2およびバックアップ面4Aの凹凸の大きさは、通常の方法で測定できる。具体的には、通常の表面粗さ計で測定できる。
【0077】
バー2の真円度は、図4に示し、[課題を解決するための手段]の請求項1のところにも記載したように、バー2を軸線に対して直角な面に沿って切断した断面の外周を二つの同心円C1とC2とで挟んだときに、同心円C1とC2との間の領域が最小になるときの半径の差Dで定義される。
【0078】
同様に、バックアップ面4Aの真円度は、バックアップ部材4をバー2の軸線に対して直角な面に沿って切断した断面の外周を二つの同心円C1とC2とで挟んだときに、同心円C1とC2との間の領域が最小になるときの半径の差Dで定義される。
【0079】
バックアップ部材4は、テフロン(R)のような弗素系樹脂またはニューライト(R)のような超高分子量ポリエチレンから形成されている。
【0080】
バーコータ100の作用について以下に説明する。
【0081】
一次側給液流路10からバー2に向かって上方に供給された製版層形成液は、バー2の上流側に付着するともに、バー2によって上方に掻き揚げられて支持体ウェブWに塗布される。一次側給液流路10から供給された製版層形成液のうち、支持体ウェブWに塗布されなかった分は、一次側堰6の頂部を超えて上流側に流下する。一方、二次側給液流路12からもバー2に向かって上方に製版層形成液が供給され、バー2の下流側に付着する。これによってバー2の表面に付着した製版層形成液が乾燥することが防止される。
【0082】
支持体ウェブWを高速で搬送して製版層形成液を塗工する場合には、支持体ウェブWに大きな張力tを加えて支持体ウェブWがばたつかないようにする。したがって、ラップ角θが小さい場合においても支持体ウェブWからバー2に大きな押圧力Tが加わる。しかし、バーコータ100においては、このような場合においても、バー2およびバックアップ部材4は高い真直度を維持するから、バー2は全長に亘って支持体ウェブWおよびバックアップ面4Aに均一に当接する。
【0083】
さらに、バックアップ面4Aは円筒面状に形成されているから、バー2は、バックアップ面4Aの全面で支持される。したがって、バー2からバックアップ面4Aに加わる面厚は小さいので、支持体ウェブWを高速で搬送する場合においても、押圧力Tによってバー2が偏磨耗することがない。そして、弗素系樹脂や超高分子量ポリエチレンのような、表面の摩擦係数は小さいが、比較的硬度の小さな材料をバックアップ部材4に使用することにより、バー2の磨耗を更に効果的に防止できる。
【0084】
バックアップ面4Aは、バー2よりも曲率半径が0.05〜0.25mm大きくなるように形成されているから、大きな押圧力Tがバー2に作用したときも、両者の接触圧力が過大になることがなく、バー2はバックアップ面4Aに支持されて円滑に回転する。
【0085】
更にバックアップ面4Aは平滑に仕上げられている。
【0086】
以上の理由から、バーコータ100においては、バー2およびバックアップ部材4の偏磨耗を防止できるから、バー2の寿命が長くなり、長期間に渡ってバー2を交換する必要がなくなる。また、製版層形成液を塗布した塗布面にスジや段ムラが生じることもない。したがって、平版印刷版の歩留まりが向上する。
【0087】
【実施例】
(実施例1〜5、比較例1〜4)
巾1000mm、厚さ0.3mmのアルミニウムウェブの表面を砂目立てし、陽極酸化処理して支持体ウェブWを形成した。
【0088】
図1に示すバーコータを用い、支持体ウェブWの砂目立て面に感光層形成液を塗布した。塗布条件は以下の通りであった。
【0089】
支持体ウェブWの張力 50kgf/m
感光層形成液の粘度 10cp
支持体ウェブWの搬送速度 100m/分
バー2の回転数 30rpm(順転)
バー2の直径 10mm
バックアップ面4Aの内径 10.1mm
バックアップ部材4の材質 ニューライト
バーコータ巾 1600mm
バー2およびバックアップ面4Aの真直度および真円度を表1のように変化させたときの、バー2とバックアップ部材4の偏磨耗の大きさを評価した。表1において「○」は、バー2およびバックアップ部材4の何れにも偏磨耗が外観上認められなかったことを示し、「×」は、バー2およびバックアップ部材4の少なくとも一方に偏磨耗が明瞭に認められたことを示す。結果を表1および図6に示す。
【0090】
【表1】
表1および図6に示すように、バー2およびバックアップ面4Aのそれぞれの真直度および真円度の合計ΔLが−0.008T+0.1542以下である実施例1〜5においては、バー2およびバックアップ部材4の何れについても偏磨耗は認められなかったが、ΔLが−0.008T+0.1542よりも大きな比較例1〜4においては、バー2およびバックアップ部材4の何れにも著しい偏磨耗が認められた。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、金属からなり、硬度が高い帯状体に塗布液を塗布する場合においても、バーおよびバックアップ部材の偏磨耗が効果的に防止できるバーコータおよび塗布方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るバーコータの一例につき、構成の概略を示す断面図である。
【図2】図2は、バー2の真直度の定義を示す概略図である。
【図3】図3は、バックアップ面4Aの真直度の定義を示す概略図である。
【図4】図4は、バー2の真円度の定義を示す概略図である。
【図5】図5は、バックアップ面4Aの真円度の定義を示す概略図である。
【図6】図6は、実施例1〜5および比較例1〜4の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
2 バー
4 バックアップ部材
4A バックアップ面
6 一次側堰
8 二次側堰
Claims (1)
- バーと、前記バーを下方から支持するバックアップ部材とを備え、前記バックアップ部材において前記バーを支持するバックアップ面は円弧溝状に形成されたバーコータを用い、一定方向に搬送される帯状体に塗布液を塗布する塗布方法であって、
前記帯状体に加える搬送方向に対して平行な方向の張力をtとし、前記帯状体をバーに巻き掛けるラップ角をθとしたときに、前記バックアップ面および前記バーの真直度および真円度を合計したΔLと、前記張力tおよびラップ角θとの間に、関係式
ΔL≦−0.08t(2−2cosθ) 1/2 +0.1542
が成立するように張力tおよびラップ角θを設定して前記帯状体に塗布液を塗布することを特徴とする塗布方法。
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