JP4096786B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機関バルブを開閉させるカムと機関出力軸との相対回転位相を変更して機関バルブのバルブタイミングを可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、車載等の内燃機関に搭載される装置として、機関バルブである吸気・排気バルブの開閉時期、すなわちバルブタイミングを可変とする可変バルブタイミング機構が実用されている。そして可変バルブタイミング機構としては、機関出力軸であるクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を、そしてひいてはそのカムシャフトに配設されたカムのクランクシャフトに対する相対回転位相を可変とする機構が広く採用されている。
【0003】
従来、そうした可変バルブタイミング機構付き内燃機関のバルブタイミング制御装置として、内燃機関を始動させるとき、或いは停止させるときの吸気バルブの閉時期を圧縮行程中まで遅角させるものが提案されている(特許文献1)。この制御装置では、そうした吸気バルブ閉時期の遅角を通じて実圧縮比を低下させ、圧縮行程中の筒内ガスの圧縮に応じて発生する圧縮反力を低減することで、内燃機関の始動時、停止時の機関振動の抑制を図っている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−34913号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関のクランクシャフトには、その回転に対する反力として、上記圧縮反力に加え、機関バルブを開く際のカムの駆動反力が作用する。それら圧縮反力及びカムの駆動反力の発生時期が互いに重複すると、たとえ圧縮反力、カムの駆動反力の各々はさほど大きくなくても、クランクシャフトに大きい回転反力が作用するようになり、内燃機関の始動や停止に際して、次のような不都合が生じることとなる。
【0006】
例えば機関始動に際しては、上記回転反力が増大すれば、クランクシャフトを回転させるために、スタータモータに要求されるトルクが大きくなる。そのため、スタータモータの大型化や電力消費量の増大といった不具合が生じる。
【0007】
また機関始動時、停止時のいずれにおいても、圧縮反力の発生時期とカム駆動反力の発生時期との重複により、回転反力の変動量が増大して、機関回転速度の変動が大きくなり、機関振動の増大を招いてしまう。
【0008】
なお停車、発車などの車両の走行状況に応じて、内燃機関を自動的に停止、再始動させる自動停止・始動制御が行われる場合には、機関始動や機関停止の頻度が高くなることから、上記のような不都合の影響がより顕著になる。またそうした場合には、運転者の意志に依らず、内燃機関が停止、始動されるため、上記のような機関振動の増大が、運転者等により大きい違和感を与えることとなる。
【0009】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の始動時や停止時の内燃機関の回転反力をより効果的に低減することのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、上述した目的を達成するための手段及びその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、機関バルブを開閉させるカムと機関出力軸との相対回転位相を変更して前記機関バルブのバルブタイミングを可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記内燃機関を始動させるときにその機関出力軸を回転させる電動機の出力が低下した状態にあるか否かを判断する判断手段と、その判断手段によって前記電動機の出力が低下した状態にあると判断されたときには、そうでないときに比して、前記カムの駆動反力がピークとなる位相と当該内燃機関の圧縮反力がピークとなる位相とのずれ量が大きくなるように、前記内燃機関を始動させるときの前記バルブタイミングを制御する制御手段を備えることをその要旨とする。
【0011】
上記構成では、電動機の出力が低下した状態にあるときには、カムの駆動反力がピークとなる位相と圧縮反力がピークとなる位相のずれ量が大きくされ、それら両反力の重複による始動中の機関出力軸の回転反力のピークの増大が低減される。そのため、出力の低下した電動機でも、機関出力軸を容易に回転させることができるようになる。また回転反力のピーク低減により、始動中の機関回転速度の変動が抑えられ、機関振動が抑制されるようにもなる。
【0012】
ちなみに、上記のような両反力のピークとなる位相のずれ量を増大させるバルブタイミングの変更を行うことで、初爆の成立には不利な条件となるような場合がある。そうした場合にも上記構成では、電動機の出力が低下しておらず、上記両反力の重複による回転反力のピークの増大に拘わらず、機関出力軸を良好に回転可能なときには、初爆の成立に有利なバルブタイミングを設定することが可能である。
【0013】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記判断手段は、前記電動機に電力を供給するバッテリの充電状態に基づき前記判断を行うことをその要旨とする。
【0014】
上記構成では、電動機の出力低下を、容易且つ的確に判断することができる。また請求項3に記載の発明は、機関バルブを開閉させるカムと機関出力軸との相対回転位相を変更して前記機関バルブのバルブタイミングを可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記内燃機関を始動させるときの機関出力軸の回転反力が大きい状態にあるか否かを判断する判断手段と、その判断手段によって前記回転反力が大きい状態にあると判断されたときには、そうでないときに比して、前記カムの駆動反力がピークとなる位相と当該内燃機関の圧縮反力がピークとなる位相とのずれ量が大きくなるように、前記内燃機関を始動させるときの前記バルブタイミングを制御する制御手段を備えることをその要旨とする。
【0015】
上記構成では、カムの駆動反力や内燃機関の圧縮反力などによる機関出力軸の回転反力が大きい状態にあるときには、カムの駆動反力がピークとなる位相と圧縮反力がピークとなる位相のずれ量が大きくされ、それら両反力の重複による始動中の機関出力軸の回転反力の増大が低減される。そのため、機関始動時の機関出力軸の回転に要するトルクの増大が抑えられ、良好に始動を行うことができるようになる。また回転反力のピーク低減により、始動中の機関回転速度の変動が抑えられ、機関振動が抑制されるようにもなる。
【0016】
ちなみに、上記のような両反力のピークとなる位相のずれ量を増大させるバルブタイミングの変更を行うことで、初爆の成立には不利な条件となるような場合がある。そうした場合にも上記構成では、機関出力軸の回転反力のピークがそもそも低く、両反力がピークとなる位相をずらさずとも、機関出力軸を良好に回転可能なときには、初爆の成立に有利なバルブタイミングを設定することが可能である。
【0017】
また請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記内燃機関を始動させるときにその機関出力軸を回転させる電動機の出力が低下した状態にあるか否かを判断する更なる判断手段と、その更なる判断手段によって、前記電動機の出力が低下した状態に無いと判断されたときには、前記制御手段による前記バルブタイミングの制御を禁止する禁止手段と、を更に備えることをその要旨とする。
【0018】
上記構成では、電動機の出力が低下した状態になく、たとえ機関出力軸の回転反力が大きい状態にあっても十分に機関出力軸を回転させることができるときには、バルブタイミングの変更はなされないようになる。そのため、より効率的に始動性を確保することができる。
【0019】
また請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記更なる判断手段は、前記電動機に電力を供給するバッテリの充電状態に基づき前記出力が低下した状態にあるか否かの判断を行うことをその要旨とする。
【0020】
上記構成では、電動機の出力低下を、容易且つ的確に判断することができる。また請求項6に記載の発明は、機関バルブを開閉させるカムと機関出力軸との相対回転位相を変更して前記機関バルブのバルブタイミングを可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記内燃機関を停止させるときの機関出力軸の回転反力が大きい状態にあるか否かを判断する判断手段と、その判断手段によって前記回転反力が大きい状態にあると判断されたときには、そうでないときに比して、前記カムの駆動反力がピークとなる位相と当該内燃機関の圧縮反力がピークとなる位相とのずれ量が大きくなるように、前記内燃機関を停止させるときの前記バルブタイミングを制御する制御手段を備えることをその要旨とする。
【0021】
上記構成では、カムの駆動反力や内燃機関の圧縮反力などによる機関出力軸の回転反力が大きい状態にあるときには、カムの駆動反力がピークとなる位相と圧縮反力がピークとなる位相のずれ量が大きくされ、それら両反力の重複による停止動作中の機関出力軸の回転反力の増大が低減される。そのため、機関出力軸の回転反力による機関回転速度の変動が抑えられ、内燃機関の停止動作中の機関振動が抑制されるようにもなる。
【0022】
また請求項7に記載の発明は、請求項3〜6のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記判断手段は、機関温度状態に基づいて前記回転反力が大きい状態にあるか否かの判断を行うことをその要旨とする。
【0023】
機関出力軸の回転反力となるカムの駆動反力や内燃機関の圧縮反力の大きさは、機関温度状態に相関性を有している。そのため、機関温度状態に基づくことで回転反力が大きい状態にあるか否かの判断を容易且つ的確に行うことができる。
【0024】
また請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記内燃機関は、該内燃機関の搭載された車両の走行状況に応じて自動的に停止、再始動されることをその要旨とする。
【0025】
例えば車両停止に応じて内燃機関を一時的に自動停止させるアイドルストップ制御を行う車両や、内燃機関と電動機との2つの駆動源を有して、状況に応じて駆動源を切り替えるハイブリッド車などに適用される内燃機関では、高い頻度で内燃機関の停止や始動が行われる。またそうした内燃機関では、運転者の操作に依らず内燃機関が自動的に停止、始動されるため、停止中や始動中の機関振動が運転者に違和感をより与えやすくなっている。そのため、上記各構成の効果を、より顕著に奏することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を、図を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施の形態の適用される車載用の内燃機関10は、可変バルブタイミング機構(VVT)11を備えて構成されている。内燃機関10の機関出力軸であるクランクシャフト12は、自動変速機13を通じて車両の駆動輪に接続されている。またクランクシャフト12は、機関始動用の電動機であるスタータ14に、必要に応じて駆動連結されるようになっている。
【0027】
更にクランクシャフト12は、電磁クラッチ15を介して、ベルト伝動機構16に駆動連結されている。ベルト伝動機構16には、空調装置用のコンプレッサやウォータポンプ等の補機類、及び状況に応じて発電機又は電動機のいずれかとして機能する発電電動機17が配設されている。電磁クラッチ15は、ベルト伝動機構16とクランクシャフト12との駆動連結を、必要に応じて断接可能に構成されている。ちなみに本実施形態では、この発電電動機17が、内燃機関を始動させるときにその機関出力軸を回転させる上記電動機に相当する構成となっている。
【0028】
上記スタータ14及び発電電動機17は、バッテリ18に電気接続されている。バッテリ18は、スタータ14及び発電電動機17に電力を供給して、それらを電動機として機能させる。またバッテリ18には、発電電動機17が発電機として機能しているときに発電された電力が充電される。
【0029】
こうした車両の走行に係る各種制御は、電子制御装置20によって行われる。電子制御装置20は、上記各種制御を実行するCPU、同制御に必要な情報の記憶されるメモリ、外部から信号を入力するための入力ポート、外部に指令信号を出力するための出力ポート等を備えて構成されている。
【0030】
電子制御装置20の入力ポートには、車両の制御に必要な情報を検出するための各種センサが接続されている。そして例えば、機関回転速度を検出するNEセンサ21、車速を検出する車速センサ22、内燃機関10の冷却水温度を検出する水温センサ23、バッテリ18の充電量を検出するバッテリセンサ24等の検出信号が、入力ポートを通じて電子制御装置20に入力されている。またこの入力ポートには、イグニッションスイッチ25も接続されており、運転者による同イグニッションスイッチ25の操作状況を通知する信号(IG信号)が、電子制御装置20に入力されている。
【0031】
一方、電子制御装置20の出力ポートには、内燃機関10の可変バルブタイミング機構11や、点火プラグ、インジェクタ、スロットルバルブ等の駆動回路、及び自動変速機13の油圧制御回路が接続されている。電子制御装置20は、それらの駆動制御を通じて、内燃機関10の運転状態の制御や自動変速機13の変速制御を行っている。またその出力ポートには、スタータ14や発電電動機17の制御回路、電磁クラッチ15の駆動回路等も接続されており、スタータ14、発電電動機17及び電磁クラッチ15の作動も、電子制御装置20によって制御されている。
【0032】
次に、上記内燃機関10に採用された可変バルブタイミング機構11について、図2を併せ参照して説明する。図2には、可変バルブタイミング機構11の斜視断面構造が示されている。
【0033】
同図に示すように、可変バルブタイミング機構11は、吸気バルブを開閉させるカム30aの配設された吸気側カムシャフト30の一端に配設されており、大きくは、ベーンロータ31とハウジング32とを備えて構成されている。
【0034】
可変バルブタイミング機構11の配設された吸気側カムシャフト30の端部には、同吸気側カムシャフト30に対して相対回動可能にカムスプロケット33が配設されている。カムスプロケット33は、上記クランクシャフト12にタイミングベルト33aを介して駆動連結されている。またカムスプロケット33には、上記ハウジング32が一体回転可能に固定されている。
【0035】
ハウジング32の内部には、同ハウジング32に対してベーンロータ31が相対回動可能に配設されている。ベーンロータ31は、吸気側カムシャフト30に一体回転可能に固定されている。ベーンロータ31の外周には、複数のベーン34が形成されており、各ベーン34は、ハウジング32の内周に形成された凹部35内に、周方向に移動可能に収容されている。各ベーン34の周方向両側には、ベーンロータ31の外周面やハウジング32の内周面等によって区画された圧力室36、37がそれぞれ形成されている。
【0036】
各圧力室36、37には、オイルが送り込まれ、そのオイル圧がベーン34の周方向側面にそれぞれ作用するようになっている。そして両圧力室36、37のオイル圧差に応じて、ベーンロータ31をハウジング32に対して相対回動させる動力が発生されるようになっている。
【0037】
ベーンロータ31とハウジング32とが相対回動すれば、カムスプロケット33に対する吸気側カムシャフト30の相対回転位相が変更され、そしてひいては吸気バルブを開閉させるカム30aの、クランクシャフト12に対する相対回転位相が変更される。これにより、上記両圧力室36、37のオイル圧の制御に基づいて、吸気バルブのバルブタイミングが変更されるようになっている。
【0038】
以上のように構成された可変バルブタイミング機構11の制御は、次のように行われる。
電子制御装置20は、機関回転速度や機関負荷等の機関運転状態に基づいて、吸気バルブのバルブタイミングの目標値である目標バルブタイミングvttを設定する。ここでの目標バルブタイミングvttは、可変バルブタイミング機構11による吸気バルブのバルブタイミングの変更範囲の最遅角位置を基準「0」とし、その最遅角位置からの進角量[°CA]として表される。
【0039】
一方、電子制御装置20は、例えば吸気側カムシャフト30の回転位相の検出値などに基づき、吸気バルブの実際のバルブタイミングを検出している。そして電子制御装置20は、その検出された実際のバルブタイミングが目標バルブタイミングvttと一致するように、両圧力室36、37内のオイル圧をフィードバック制御する。これにより、吸気バルブのバルブタイミングが、機関運転状態に応じた最適なタイミングに調整されるようになっている。
【0040】
一方、この車両では、その走行状況に応じて内燃機関10の運転を自動的に停止・再始動させるアイドルストップ制御が電子制御装置20により実行されている。次にこの車両でのアイドルストップ制御の概要を、図3を併せ参照して説明する。
【0041】
運転者によってイグニッションスイッチ25が「OFF」位置から「ON」位置へと操作され、電子制御装置20が起動されると、電子制御装置20はその制御モードを、通常の機関停止状態を示す「モード0」に設定する。この「モード0」の設定時に、運転者によってイグニッションスイッチ25を「STA」位置に操作されると、上記スタータ14がクランクシャフト12に駆動連結され、そのスタータ14の出力によって内燃機関10の始動が行われる。無事、始動が完了すると、電子制御装置20の制御モードは、通常の機関運転状態を示す「モード1」に移行される。
【0042】
「モード1」の設定時には、電磁クラッチ15によってベルト伝動機構16がクランクシャフト12に駆動連結され、補機類が内燃機関10の出力で駆動される。また発電電動機17も、ベルト伝動機構16を通じて内燃機関10の出力が伝達される。このときの発電電動機17は、発電機として機能され、その発電された電力はバッテリ18に充電される。
【0043】
こうした「モード1」の設定中に、運転者によってイグニッションスイッチ25が「OFF」位置に操作されると、電子制御装置20は、通常の機関停止処理を実行して内燃機関10を停止させ、その制御モードを上記「モード0」に移行する。
【0044】
一方、「モード1」の設定中にアイドルストップ実行条件が成立すると、電子制御装置20の制御モードは、内燃機関10を自動停止させるための機関停止処理を実行する「モード2」に移行される。本実施形態では、上記アイドルストップ実行条件として、例えば下記の(a1)〜(a5)等の条件すべての成立をもって、アイドルストップ実行条件の成立を判断している。
(a1)アクセル操作量が「0」である。
(a2)車速が「0」である。すなわち車両が停止している。
(a3)ブレーキペダルが踏込まれている。
(a4)冷却水温度が所定温度Ta以上である。
(a5)自動変速機13の作動油温度が所定温度以上である。
(a6)バッテリ18の充電量が所定値以上である、等。
【0045】
こうして制御モードが「モード2」に移行されると、電子制御装置20は、燃料供給を停止して内燃機関10を停止させる。そして内燃機関10が完全に停止したことが確認されると、電子制御装置20の制御モードは、アイドルストップによる機関停止状態を示す「モード3」に移行される。
【0046】
「モード3」の設定がなされると、電磁クラッチ15によるクランクシャフト12とベルト伝動機構16との駆動連結が解除される。これとともに、発電電動機17が電動機として稼働され、その出力により補機が駆動される。これにより、アイドルストップによる内燃機関10の停止中も、補機の駆動が維持される。
【0047】
こうした「モード3」の設定中に機関再始動実行条件が成立すると、電子制御装置20の制御モードが、内燃機関10を再始動させるための再始動処理を実行する「モード4」に移行される。本実施形態では、上記再始動実行条件として、例えば下記の(b1)〜(b4)等の条件のいずれかの成立をもって、機関再始動実行条件の成立を判断している。
(b1)ブレーキペダルの踏込みが解除された。
(b2)アクセル操作量が「0」でない。
(b3)P(パーキング)レンジ、又はN(ニュートラル)レンジから、それら以外のシフトレンジへのシフト操作がなされた。
(b4)バッテリ18の充電量が所定値未満に低下した、等。
【0048】
こうして制御モードが「モード4」に移行されると、電磁クラッチ15によってクランクシャフト12がベルト伝動機構16に再接続される。これとともに、発電電動機17が電動機として稼働され、その出力によって内燃機関10の再始動が行われる。内燃機関10の再始動が無事完了すると、電子制御装置20の制御モードが上記「モード1」に移行される。
【0049】
なお、上記「モード3」の設定中に、システム異常等により、上記「モード4」での内燃機関10の再始動に不具合が生じたときには、電子制御装置20の制御モードが上記「モード0」に移行される。この場合には、運転者の直接的な操作によってのみ、内燃機関10の再始動がなされることと、すなわち自動的には再始動がなされないこととなる。
【0050】
さて、以上のようなアイドルストップ制御の実施される本実施形態の内燃機関10では、上記「モード2」での内燃機関10の自動停止に際して、吸気バルブのバルブタイミングを、上記「モード4」での内燃機関10の再始動のための始動時バルブタイミングに予め設定しておくようにしている。この始動時バルブタイミングは通常は、図4に実線で示すように設定されている。この通常の始動時バルブタイミングの設定は、燃料着火時期の気筒内に適正な圧縮圧力が得られ、より短時間に内燃機関10の再始動を完了することのできるように設定されている。
【0051】
一方、同図には、そうした通常の始動時バルブタイミングが設定されたときのカムの駆動反力の推移が実線で示されている。このカムの駆動反力は、カムによる吸気、排気バルブの開動作に応じて発生するクランクシャフト12の回転に対する反力である。更に同図には、各気筒の圧縮行程における気筒内での空気圧縮に伴うクランクシャフト12の回転反力である圧縮反力の推移も併せ示されている。同図に示すように、この内燃機関10では、上記通常の始動時バルブタイミングを設定したときの、吸気バルブの開度動作に伴うカムの駆動反力がピーク(最大値)を迎える位相と、圧縮反力がピークを迎える位相とがほぼ一致した状態となっている。そのため、このときのクランクシャフト12には、それらカムの駆動反力と圧縮反力とが重複して、より大きい回転反力が作用することとなる。すなわち、再始動時のクランクシャフト12の回転反力のピークが高くなることとなる。
【0052】
その結果、バッテリ充電量の低下等によって上記発電電動機17の出力が低下した状態にあるときや、上記圧縮反力やカムの駆動反力が高い状態にあるときには、発電電動機17によるクランクシャフト12の回転が困難となり、内燃機関10の再始動が不能となったり、その再始動に、より長い時間や、より多くの電力が必要となったりすることがある。
【0053】
そこで本実施形態では、上記のような状態にあるときには、同図に一点鎖線で示すように、カムの駆動反力がピークを迎える位相と圧縮反力がピークを迎える位相とをずらすように、始動時バルブタイミングを変更するようにしている。同図の例では、吸気バルブのバルブタイミングを、通常の始動時バルブタイミングよりも進角側に変更するようにしている。これにより、上記両反力の重複が解消され、回転中のクランクシャフト12の回転反力のピークが低減されるようになる。
【0054】
なお、カムの駆動反力や圧縮反力の大きさは、下記のように内燃機関10の温度状態に相関性を有しているため、ここでは、冷却水温度に基づきそれら反力の大きさを推定するようにしている。以下、そうしたカムの駆動反力や圧縮反力の推定態様について説明する。
【0055】
図5に、冷却水温度とカムの駆動反力のピーク値との関係を示す。
カムの駆動反力は、カムシャフトの軸受け等に供される潤滑油の粘度に依存してその大きさが変化する。潤滑油の粘度は、その温度が低いほど高くなり、低温域ではカムの駆動反力が大きくなる。一方、そうした潤滑油の粘度があまり低くなり過ぎても、上記軸受け等の潤滑状態が悪化して、カムの駆動反力が増大するようになる。そのため、同図に示すように、カムの駆動反力は、極低温域では非常に高くなり、冷却水温度が高くなるにつれ、低下していく。そして、ある程度よりも冷却水温度の上昇した時点で増大に転じるように、カムの駆動反力は変化されている。
【0056】
なお本実施形態では、上述のように冷却水温度が所定温度Ta未満のときには、アイドルストップが実施されず(条件(a4))、再始動も行われないようになっている。また冷却水温度がその所定温度Taまで上昇すれば、潤滑油の粘度は十分低下しており、カムの駆動反力も十分許容できるレベルにある。そのため、アイドルストップからの再始動時には、潤滑油の粘度低下によるカムの駆動トルクの増大が生じる高温域のみが問題となる。
【0057】
一方、図6には、冷却水温度と圧縮反力のピーク値との関係が示されている。機関温度が高くなると、気筒内に吸入された空気がその内部で熱膨張して筒内圧力を増大させるため、同図に示すように、圧縮反力は冷却水温度が高くなるほど大きくなる。
【0058】
そこで本実施形態では、冷却水温度が所定値Tb以上であることをもって、カムの駆動反力及び圧縮反力が大きい状態にあると判断するようにしている。そしてそのように判断されたときに、更に発電電動機17の出力が低下した状態にあると判断されたときには、上記のような始動時バルブタイミングの変更を行うようにしている。
【0059】
一方、本実施形態では発電電動機17の出力低下を、バッテリ18の充電量に基づき判断するようにしている。すなわち、バッテリ18の充電量が低下しており、十分な電力を発電電動機17に供給することができない状態にあることをもって、発電電動機17の出力が低下した状態にあると判断するようにしている。
【0060】
図7は、そうした本実施形態の「回転反力低減処理」のフローチャートを示している。本処理は、定時割込み処理として、電子制御装置20によって周期的に実行されている。
【0061】
本処理が開始されると、まずステップS100において、上記「モード2」での機関停止処理中であるか否かが判断される。ここで、機関停止処理中でなければ(NO)、そのまま本処理は一旦終了される。
【0062】
一方、機関停止処理中であれば(YES)、ステップS110において、冷却水温度が上記所定値Tbよりも高いか否かが、すなわちカムの駆動反力や圧縮反力等のクランクシャフト12の回転反力が大きい状態にあるか否かが判断される。また続くステップS120では、バッテリ充電量が低下した状態にあるか否かが、すなわち発電電動機17の出力が低下した状態にあるか否かが判断される。
【0063】
ここで上記状態のいずれかが該当しないのであれば(S110:NO、又はS120:NO)、ステップS130において、吸気バルブの目標バルブタイミングvttが、上記のような最適な始動時間の得られる通常の始動時バルブタイミングVTBSTに設定される。これにより、このときの吸気バルブのバルブタイミングは、図4に実線で示されるタイミングに設定される。
【0064】
一方、上記状態のいずれにも該当するときには(S110:YES、且つS120:YES)、ステップS140において、通常の始動時バルブタイミングVTBSTに始動時バルブタイミング補正量dvtを加算した値が、目標バルブタイミングvttに設定される。始動時バルブタイミング補正量dvtは、クランクシャフト12の回転反力のピークが十分に低下されるまで、カムの駆動トルクがピークとなる位相と圧縮反力がピークとなる位相とをずらせるだけの、通常の始動時バルブタイミングVTBSTに対する目標バルブタイミングvttの進角補正量として設定されている。これにより、このときの吸気バルブのバルブタイミングは、図4に一点鎖線で示されるタイミングに設定される。
【0065】
なお、こうした本実施形態では、ステップS110の処理が、機関出力軸であるクランクシャフト12の回転反力が大きい状態にあるか否かを判断する上記「判断手段」の処理に相当する。またステップS120の処理が、電動機の出力が低下した状態にあるか否かを判断する上記「判断手段」の処理、または上記「更なる判断手段」の処理に相当する。更に同ステップS120の処理は、上記「制御手段」によるバルブタイミングの制御を禁止する上記「禁止手段」の処理にも相当している。更にステップS140の処理が、上記「制御手段」の処理に相当している。
【0066】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、バッテリ18の充電量が低く、発電電動機17の出力が低下した状態にあるときには、カムの駆動反力がピークとなる位相と圧縮反力がピークとなる位相のずれ量を大きくするように、吸気バルブのバルブタイミングが変更される。そのため、それら両反力の重複によるクランクシャフト12の回転反力のピークの増大が抑制される。そのため、発電電動機17の出力が低下したときには、クランクシャフト12の回転がより容易となり、再始動の確実性を向上することができる。
【0067】
(2)本実施形態では、機関温度状態に基づきカムの駆動反力や内燃機関の圧縮反力が大きい状態にあると判断されるときには、カムの駆動反力がピークとなる位相と圧縮反力がピークとなる位相のずれ量を大きくするように、吸気バルブのバルブタイミングが変更される。そのため、それら両反力の重複によるクランクシャフト12の回転反力のピークの増大が抑制されて、再始動の確実性を向上することができる。
【0068】
(3)本実施形態では、発電電動機17の出力が低下した状態にあり、且つカムの駆動反力や内燃機関の圧縮反力が大きい状態にあると判断されたときに限り、上記のような吸気バルブのバルブタイミングの変更を行うようにしている。そのため、不必要な上記バルブタイミングの変更が抑制されるようになり、回転反力の低減を、より効率的に行うことができる。
【0069】
(4)再始動中のクランクシャフト12の回転反力のピークが低減されるため、発電電動機17に要求される出力性能を低減することができる。また、それにより発電電動機17の小型化・軽量化を図ることができるようにもなる。
【0070】
(5)再始動中の発電電動機17の出力をより低くすることができるため、電力消費を抑えることができるようにもなる。
(6)本実施形態によれば、上記のようなバルブタイミングの変更を通じて機関回転速度の変動が抑えられ、再始動中の機関振動が低減されるようにもなる。
【0071】
(7)本実施形態では、再始動中のバルブタイミングの設定を、それに先立つ機関停止中に行っているため、再始動の開始時に適正なバルブタイミングを、より確実に設定することができる。
【0072】
(別の実施形態)
以上説明した本実施形態は、次のように変更して実施するようにしても良い。・上記実施形態では、再始動時のバルブタイミングの設定を、機関停止中に予め行っておくようにしていたが、再始動処理の実行直前、或いは再始動処理の開始直後に、そうしたバルブタイミングの設定を行うようにしても良い。
【0073】
・上記実施形態では、バルブタイミングを進角側に変更することで、カムの駆動トルクがピークとなる位相と圧縮反力がピークとなる位相とのずれ量を拡大するようにしていたが、バルブタイミングを遅角側に変更することで、同様のずれ量の拡大を図るようにすることもできる。
【0074】
・上記実施形態では、吸気バルブのバルブタイミングの変更により、カムの駆動トルクがピークとなる位相と、圧縮反力がピークとなる位相とのずれ量を拡大するようにしていたが、排気バルブのバルブタイミングの変更によって、同様のずれ量の拡大を図ることも可能である。
【0075】
・上記回転反力低減処理の結果を評価し、その評価に基づいて始動時バルブタイミング補正量dvtの値を随時更新する学習制御を適用することもできる。すなわち、上記回転反力低減処理によるバルブタイミングの変更を行った状態で内燃機関10の再始動を行ったときに、クランクシャフト12の回転に要した発電電動機17の出力トルクや電力消費量、機関回転速度の上昇速度やその変動、等を検出する。そして、その検出結果から、設定された始動時バルブタイミング補正量dvtが適正な値であるかを評価して、その値を適宜修正する。こうした学習制御を適用すれば、バルブタイミングの過補正や補正不足が抑制され、内燃機関10の再始動の確実性の向上や、再始動時間の短縮といった上記回転反力抑制処理の効果をより確実に奏することができるようになる。
【0076】
・上記実施形態では、冷却水温度に基づいて、カムの駆動反力や圧縮反力を推定していたが、同様の推定は、内燃機関10などに供給される潤滑油やや自動変速機13の作動油の温度や直前の機関停止からの経過時間などに基づいても行うことができる。要は、内燃機関10の温度状態を反映するパラメータを用いれば、同様の推定を行うことができる。特にクランクシャフト12が自動変速機13に駆動連結された状態で再始動を行う場合には、自動変速機13の作動油の温度がクランクシャフト12の回転反力に大きい影響を与えるため、その作動油の温度を考慮することで、より適切な推定を行うことができる。
【0077】
・上記実施形態では、バッテリ18の充電量に基づいて、発電電動機17の出力低下の有無を判断するようにしていたが、そうした判断を、それ以外のパラメータに基づいて行うようにしても良い。なお、発電電動機17の出力低下は、バッテリ18の充電量の低下以外にも、経時劣化や高温化による発電電動機17のコアの減磁等によっても発生する。よって例えば発電電動機17の温度状態等に基づいて、発電電動機17の出力低下の有無を判断することもできる。
【0078】
・上記実施形態では、始動時バルブタイミング補正量dvtを固定値としていたが、機関温度状態に応じてその値を可変設定するようにしても良い。
図8に、冷却水温度に応じた可変設定の一例を示す。同図の設定例では、図4、図5に示した冷却水温度とカムの駆動反力、内燃機関10の圧縮反力との関係に応じて、冷却水温度が上記所定値Tbを超えて高くなるにつれ、始動時バルブタイミング補正量dvtの値が大きくされている。すなわち、カムの駆動反力や圧縮反力が大きくなるほど、それらがピークとなる位相を、より大きくずらすようにしている。これにより、回転反力の増大を必要なだけ抑えつつ、バルブタイミングの変更量を必要最小限として、バルブタイミングの変更に伴う再始動時間の長期化を抑えることができる。
【0079】
・また始動時バルブタイミング補正量dvtの値を、発電電動機17の出力低下の度合いに応じて可変設定するようにしても良い。
図9に、バッテリ18の充電量に応じた可変設定の一例を示す。同図の例では、バッテリ18の充電量が所定値αから低下するほど、始動時バルブタイミング補正量dvtの値を大きくするようにしている。このように出力低下の度合いに応じても、回転反力の増大を必要なだけ抑えつつ、バルブタイミングの変更量を必要最小限として、バルブタイミングの変更に伴う再始動時間の長期化を抑えることができる。
【0080】
・また始動時バルブタイミング補正量dvtの値を、再始動の開始からの経過時間に応じて可変設定するようにしても良い。
図10に、そうした設定の一例を示す。同図の例では、再始動が開始された時刻t0から所定時間の経過した時刻t1より、始動時バルブタイミング補正量dvtの値を徐々に減少させるようにしている。
【0081】
始動開始時には、発電電動機17は自らの出力トルクのみでクランクシャフト12を回転させなければならないが、一旦、クランクシャフト12が回転され始めると、その回転に伴う慣性力を利用できるため、クランクシャフト12の回転に必要な出力トルクは小さくなる。そこで、上記例のように、再始動の開始後、始動時バルブタイミング補正量dvtの値を減少させても、クランクシャフト12の回転を維持することはできる。ちなみに、このように設定した場合、内燃機関10の初爆が開始されるまでに、バルブタイミングの変更量を小さくすることができるため、バルブタイミングの変更に伴う始動時間の長期化を抑えることができるようにもなる。
【0082】
・更に始動時バルブタイミング補正量dvtの値を、再始動の開始後の機関回転速度に応じて可変設定するようにしても良い。
図11にそうした設定の一例を示す。同図の例では、機関回転速度の上昇と共に、始動時バルブタイミング補正量dvtの値が減少されるようになっている。そのため、上記始動開始後の経過時間に応じて可変設定を行った場合と同様の効果を得ることができる。
【0083】
また同図の例では、初爆の開始される回転速度まで機関回転速度が上昇するよりも前に、始動時バルブタイミング補正量dvtの値は「0」とされている。そのため、この設定例では、回転反力低減のためのバルブタイミングの変更が、初爆の成立性に与える悪影響を好適に回避することができる。
【0084】
・上記実施形態では、カムの駆動反力や圧縮反力の増大、及び発電電動機17の出力低下の双方を判断して、回転反力低減のためのバルブタイミングの変更を行うようにしていたが、それらの判断の一方を省略しても良い。すなわち、図6のステップS110の処理、及びステップS120の処理のいずれか一方を省略するようにしても良い。カムの駆動反力や圧縮反力の増大にのみに基づいても、或いは発電電動機17の出力低下のみに基づいても、再始動時のクランクシャフト12の回転が困難な状態となったことを判断することは、十分可能である。
【0085】
・上記実施形態では、アイドルストップ実施後の内燃機関10の再始動に際して、回転反力低減処理を適用した場合を説明したが、スタータ14による通常の機関始動時にも、同様の回転反力低減処理を適用するようにしても良い。その場合にも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0086】
・内燃機関10が停止されているときに、カムの駆動反力と圧縮反力との重複によって、クランクシャフト12の回転反力が増大すれば、機関回転速度の変動が増大して、機関振動が増大する。そうした機関振動の増大は、運転者等に違和感を与える虞がある。
【0087】
そこで内燃機関10が停止されているときに、上記のようなバルブタイミングの変更を行い、クランクシャフト12の回転反力を低減すれば、そうした機関振動の増大を抑制することができる。ただしこの場合には、発電電動機17の出力低下は、機関振動に影響しないため、カムの駆動反力や圧縮反力が大きい状態にあるか否かのみを判断して、上記のようなバルブタイミングの変更を行えば良い。こうした機関停止に係る回転反力低減処理は、上記「モード2」でのアイドルストップに係る自動停止についても、運転者の操作に基づく通常の機関停止についても同様に適用することができる。
【0088】
図12に、そうした内燃機関10の停止に際しての回転反力の低減に係る回転反力低減処理の一例を示す。
同図の処理が開始されると、まずステップS200において、機関停止処理の開始時であるかか否かが、すなわち制御モードが「モード1」から「モード2」に移行されたか否かが判断される。ここで、機関停止処理の開始時でなければ(NO)、そのまま本処理は一旦終了される。
【0089】
一方、機関停止処理の開始時であれば(YES)、ステップS210において、冷却水温度が上記所定値Tbよりも高いか否かが、すなわちカムの駆動反力や圧縮反力が大きい状態にあるか否かが判断される。
【0090】
ここで冷却水温度が所定値Tb以下であれば(S210:NO)、ステップS220において、吸気バルブの目標バルブタイミングvttが、上記のような最適な始動時間の得られる通常の始動時バルブタイミングVTBSTに設定される。これにより、次回の内燃機関10の再始動の開始時のバルブタイミングが、予め最適な始動時間の得られるタイミングとされる。
【0091】
一方、冷却水温度が所定値Tbを超えており、カムの駆動反力や圧縮反力が大きい状態にあると判断されたときには(S210:YES)、ステップS230において、カムの駆動反力がピークとなる位相が、圧縮反力がピークとなる位相を避けるように、目標バルブタイミングvttが設定される。これにより、内燃機関10が停止されているときのクランクシャフト12の回転反力のピークが低減され、機関振動の増大が抑制される。
【0092】
・図2に示した可変バルブタイミング機構11とは異なるタイプの可変バルブタイミング機構を採用する内燃機関にも、本発明は同様に適用可能である。要は、機関出力軸に対するカムの相対回転位相を変更することで、そのカムによって開閉される機関バルブのバルブタイミングを可変とする機構を備える内燃機関であれば、上記のような回転反力抑制処理を適用することができる。
【0093】
・内燃機関と電動機との2つの駆動源を有して、状況に応じて駆動源を切り替えるハイブリッド車などでも、そうした駆動源の切り替えに応じて、内燃機関の自動停止・自動始動が行われる。そうしたハイブリッド車に採用される内燃機関の停止、始動についても、上記と同様、或いはそれに準じた態様での回転反力低減処理を適用することができる。その場合にも、上記実施形態と同様、或いはそれに準じた効果を奏することができる。
【0094】
・更に、内燃機関の自動停止・自動始動が行われない内燃機関の、運転者等の操作に基づく機関停止や機関始動についても、上記と同様、或いはそれに準じた態様での回転反力低減処理を適用することができる。その場合にも、上記実施形態と同様、或いはそれに準じた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体構成を示す模式図。
【図2】同実施形態に適用される内燃機関の可変バルブタイミング機構の斜視断面図。
【図3】同実施形態でのアイドルストップ制御の制御態様図。
【図4】同実施形態の適用される内燃機関におけるバルブリフト量、カムの駆動反力、及び圧縮反力の推移の例を示すタイムチャート。
【図5】同実施形態の適用される内燃機関における機関温度状態とカムの駆動反力との関係を示すグラフ。
【図6】同実施形態の適用される内燃機関における機関温度状態と圧縮反力との関係を示すグラフ。
【図7】同実施形態に適用される回転反力低減処理の処理手順を示すフローチャート。
【図8】機関温度状態に応じた始動時バルブタイミング補正量の設定態様の変更例を示すグラフ。
【図9】電動機出力の低下度合いに応じた始動時バルブタイミング補正量の設定態様の変更例を示すグラフ。
【図10】始動開始からの経過時間に応じた始動時バルブタイミング補正量の設定態様の変更例を示すグラフ。
【図11】機関回転速度に応じた始動時バルブタイミング補正量の設定態様の変更例を示すグラフ。
【図12】本発明を機関停止動作中の回転反力低減に適用した変更例についてその回転反力低減処理のフローチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、11…可変バルブタイミング機構(VVT)、12…クランクシャフト、13…自動変速機、14…スタータ、15…電磁クラッチ、16…ベルト伝動機構、17…発電電動機、18…バッテリ、20…電子制御装置、21…回転速度センサ、22…車速センサ、23…水温センサ、24…バッテリセンサ、25…イグニッションスイッチ、30…吸気側カムシャフト、30a…カム、31…ベーンロータ、32…ハウジング、33…カムスプロケット、33a…タイミングベルト、34…ベーン、35…凹部、36,37…圧力室。

Claims (8)

  1. 機関バルブを開閉させるカムと機関出力軸との相対回転位相を変更して前記機関バルブのバルブタイミングを可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記内燃機関を始動させるときにその機関出力軸を回転させる電動機の出力が低下した状態にあるか否かを判断する判断手段と、
    その判断手段によって前記電動機の出力が低下した状態にあると判断されたときには、そうでないときに比して、前記カムの駆動反力がピークとなる位相と当該内燃機関の圧縮反力がピークとなる位相とのずれ量が大きくなるように、前記内燃機関を始動させるときの前記バルブタイミングを制御する制御手段を備えることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 前記判断手段は、前記電動機に電力を供給するバッテリの充電状態に基づき前記判断を行う請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 機関バルブを開閉させるカムと機関出力軸との相対回転位相を変更して前記機関バルブのバルブタイミングを可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記内燃機関を始動させるときの機関出力軸の回転反力が大きい状態にあるか否かを判断する判断手段と、
    その判断手段によって前記回転反力が大きい状態にあると判断されたときには、そうでないときに比して、前記カムの駆動反力がピークとなる位相と当該内燃機関の圧縮反力がピークとなる位相とのずれ量が大きくなるように、前記内燃機関を始動させるときの前記バルブタイミングを制御する制御手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記内燃機関を始動させるときにその機関出力軸を回転させる電動機の出力が低下した状態にあるか否かを判断する更なる判断手段と、
    その更なる判断手段によって、前記電動機の出力が低下した状態に無いと判断されたときには、前記制御手段による前記バルブタイミングの制御を禁止する禁止手段と、
    を更に備えることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 前記更なる判断手段は、前記電動機に電力を供給するバッテリの充電状態に基づき前記出力が低下した状態にあるか否かの判断を行う請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 機関バルブを開閉させるカムと機関出力軸との相対回転位相を変更して前記機関バルブのバルブタイミングを可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記内燃機関を停止させるときの機関出力軸の回転反力が大きい状態にあるか否かを判断する判断手段と、
    その判断手段によって前記回転反力が大きい状態にあると判断されたときには、そうでないときに比して、前記カムの駆動反力がピークとなる位相と当該内燃機関の圧縮反力がピークとなる位相とのずれ量が大きくなるように、前記内燃機関を停止させるときの前記バルブタイミングを制御する制御手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 前記判断手段は、機関温度状態に基づいて前記回転反力が大きい状態にあるか否かの判断を行う請求項3〜6のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 前記内燃機関は、該内燃機関の搭載された車両の走行状況に応じて自動的に停止、再始動される請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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