JP4095616B2 - パワースプリット型無段変速装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば自動車用の変速機として用いるパワースプリット型無段変速装置に関する。
自動車用、特に横置きエンジンの前輪駆動車(いわゆるFF車)の自動車用変速機として用いるパワースプリット型無段変速装置として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。このパワースプリット型無段変速装置は、エンジンに接続する入力軸と、入力軸と同軸に設けられ、入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラが傾転自在に転接されたダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ(以下、バリエータという)と、バリエータと並設され、バリエータの出力を2自由度を有する1組の遊星歯車により構成された遊星歯車機構と、遊星歯車機構にバリエータの動力を伝達する動力伝達機構と、入力軸よりバリエータをバイパスして直接、遊星歯車機構に動力を伝達する第2軸と、出力軸と、を備えている。
この無段変速装置では、遊星歯車機構をインターロックすることにより出力軸に直接動力を伝達するダイレクトモード(前進低速モード)と、このダイレクトモードにおいて、2自由度を有する遊星歯車機構のインターロックを解除し、かつ、2自由度を有する遊星歯車機構と入力軸との間の動力を第2軸を介して伝達することにより、遊星歯車機構からバリエータに動力循環した動力が入力動力と合算されて第2軸を経て遊星歯車機構に流入し、出力軸には流入した動力と動力循環した動力の差が出力動力として出力されるトルクスプリットモード(前進高速モード)とを備えている。このような動力が循環するトルクスプリットモードを備えた無段変速装置をパワースプリット(またはトルクスプリット)型無段変速装置という。
従来技術では、エンジンの出力トルクに対応するためダブルキャビティ式トロイダル型バリエータを用いている。このため、装置全体の軸方向寸法が大きくなり、無段変速装置に一般的に使用されるトルクコンバータ等の発進装置を用いることが困難になり、モード切替クラッチを発進クラッチとして用いている。発進装置としてクラッチを用いる場合は、滑らかに発進させるための制御が複雑となる。さらに、エンジンの捻り振動を吸収する装置の付加が必要となる。
無段変速装置全体の軸方向寸法の短縮をはかる手段としては、例えば、特許文献2の図8に示すようなものが知られている。このパワースプリット型無段変速装置は、駆動源に接続する入力軸と、一組の入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラが傾転自在に転接されたシングルキャビティ式トロイダル型バリエータと、バリエータの出力を出力軸に伝達する、2組の遊星歯車機構を備えた動力伝達機構と、入力軸よりバイパスして直接、遊星歯車機構に伝達する副回転軸と、を備えている。
この無段変速装置においても、ダイレクトモードとトルクスプリットモードとを備えている。
特開2002−39319号公報 特許第2929592号
しかしながら、前記特許文献1や特許文献2の例で示したパワースプリット型無段変速装置では、前進高速モードにおいてはバリエータを通過する動力は入力した動力に比し小さくなるが、前進低速モードにおいてはバリエータを通過する動力は入力した動力と等しく、その結果、バリエータの小型化や前進低速モードにおける伝達効率の向上には貢献しないと言う欠点がある。
更に、特許文献2の例では、シングルキャビティ式トロイダル型バリエータを用いているため、入力ディスクと出力ディスク間に作用する大きな軸力を、特許文献2の図8に示すごとく、軸受で支持するため、この軸受に生じる摩擦損失が大きく、伝達効率が悪化すると言う欠点もある。
更に、特許文献2の例では、シングルキャビティ式トロイダル型バリエータを用いているため、バリエータのトルク伝達能力がダブルキャビティ式トロイダル型バリエータに比し半減し、低トルクのエンジンにしか適用できない。
本発明の目的は、小型・軽量で低コスト化が図れると同時に高い伝達効率を有するパワースプリット型無段変速装置を提供することにある。
本発明のパワースプリット型無段変速装置は、駆動源に接続される入力軸と、入力軸に連結する第1回転要素、第2回転要素及び第3回転要素とから構成され、前記入力軸から前記第1回転要素に入力された動力を前記第2回転要素及び第3回転要素へ分配する差動歯車機構と、1個の第1ディスクと、この第1ディスクに相対する1個の第2ディスクと、前記第1ディスクと前記第2ディスクとの間に傾転自在に転接されたパワーローラと、前記第1ディスクを前記パワーローラを介して前記第2ディスクに押圧するローディング機構とを有し、前記入力軸に対して平行に配置される無段変速機構と、前記入力軸及び前記無段変速機構に平行に配置され、前記入力軸に基づく動力をディファレンシャルギアへ出力する出力軸と、前記入力軸に同軸に設けられ、かつ前記第2回転要素に連結するバイパス軸と、該バイパス軸と前記無段変速機構のローディング機構との間で動力伝達する第1動力伝達機構と、前記第2ディスクと、前記入力軸及び前記無段変速機構に対して平行に配置されたカウンタ軸と、第2差動歯車機構の第3回転要素との間で動力伝達する第2動力伝達機構と、前記第2動力伝達機構のうち、前記カウンタ軸からの動力及び前記第3回転要素からの動力を前記出力軸に伝達可能な第3動力伝達機構と、前記第1動力伝達機構のうち、前記バイパス軸側からの動力を前記出力軸に伝達可能な第4動力伝達機構と、前記第3回転要素と前記第3動力伝達機構との間に形成された第1摩擦要素と、前記第2動力伝達機構と前記カウンタ軸との間に形成された第2摩擦要素と、前記バイパス軸と前記第4動力伝達機構との間に形成された第3摩擦要素と、を有する動力切替機構と、前記第1摩擦要素を締結するとともに前記第2摩擦要素及び前記第3摩擦要素を解放することにより、前記第2回転要素へ分流し前記第1動力伝達機構から前記無段変速機構を経由した動力と、前記第3回転要素へ分流し前記第2動力伝達機構に伝達された動力前記第2動力伝達機構で合流させて、前記第3動力伝達機構を介して前記出力軸に伝達する前進低速モードと、前記第3摩擦要素を締結するとともに前記第1摩擦要素及び前記第2摩擦要素を解放することにより、前記第3回転要素へ分流し前記第2動力伝達機構から前記無段変速機構を経由した動力と、前記第2回転要素へ分流し前記バイパス軸を介して前記第1動力伝達機構に伝達された動力とを前記第1動力伝達機構で合流させて前記第4動力伝達機構を介して前記出力軸に伝達する前進高速モードと、前記第2摩擦要素を締結するとともに前記第1摩擦要素及び前記第3摩擦要素を解放することにより、前記第2回転要素へ分流し前記第1動力伝達機構から前記無段変速機構を経由した動力と、前記第3回転要素へ分流し前記第2動力伝達機構に伝達された動力とを前記第1動力伝達機構で合流させ、前記バイパス軸及び前記第3動力伝達機構を介して出力軸に伝達することで、前記入力軸の回転方向と反対方向に回転させる後進モードとを切り替える動力伝達切換機構とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、無段変速機構に入力されるトルクは、常に無段変速装置の入力トルクの1/3〜1/2に制限することができるため、無段変速装置の入力トルクに対してトルク容量の小さい無段変速機構、具体的にはシングルキャビティ式の無段変速機構を用いることができる。つまり、無段変速装置の入力トルクに対して、通常ダブルキャビティ式を用いる必要がある場合でも、本発明の構成ではシングルキャビティ式を用いることができ、このため、シングルキャビティ化による無段変速装置の軸方向寸法の短縮が図れる。軸方向寸法を短縮することにより、トルクコンバータ等の発進装置との組み合わせが可能となり、横置きエンジンの前輪駆動車に搭載することが可能となる。
さらに、無段変速装置としてのトルク容量が同じとした場合には、無段変速機構のトルク容量の低減や部品点数の削減により、全体の低コスト化および小型化が図れるという効果がある。
さらに、全てのモードにおいて無段変速機構が伝達する動力を低減できるため、全てのモードで伝達効率の向上が可能となる。
図1は、本発明のパワースプリット型無段変速装置の構成図を示す。パワースプリット型無段変速装置は、駆動源としてのエンジンEに連結された駆動伝達軸1と、トルクコンバータ等の発進装置2と、発進装置2に連結された入力軸(タービン軸)3と、伝達された動力を分割する遊星歯車機構(差動歯車機構)4と、遊星歯車機構4と並設されたシングルキャビティ式トロイダル型無段変速機構(以下、バリエータという)20と、遊星歯車機構4とバリエータ20との間の動力を伝達する第1、第2動力伝達機構10、11と、第1、第2動力伝達機構10、11に接続する第3、第4動力伝達機構18、22と、第3、第4動力伝達機構18、22から動力が伝達される駆動輪Wと、から構成される。
駆動伝達軸1から入力されたエンジンEの動力は、発進装置2を経て入力軸3、遊星歯車機構4のリングギヤ(第1回転要素)4eに伝達される。このリングギヤ4eに伝達された動力は、遊星歯車機構4のサンギヤ4a(第2回転要素)に一部が伝達され、残りの動力がキャリヤ4d(第3回転要素)に伝達される。すなわち、遊星歯車機構4は動力分配機構として作用する。
サンギヤ4aに伝達された動力は、入力軸3と同軸上に配設したバイパス軸13と第1動力伝達機構10とを経て、バイパス軸13と平行に配設したバリエータ20に動力が伝達される。ここで、第1動力伝達機構10は、第1ギヤ10aと、この第1ギヤ10aに噛合する第2ギヤ10bからなり、第1ギヤ10aはバイパス軸13に固定され、一方、第2ギヤ10bは、バリエータ入力軸5に固定される。
バリエータ20には、バリエータ入力軸5と、このバリエータ入力軸5に接続し、第1ディスク7をパワーローラ8を介して第2ディスク9に押しつけ、動力を伝達するための機械式ローディング機構6と、バリエータ入力軸5に対し所定の範囲で相対回転可能な第1ディスク7、バリエータ入力軸5に対して回転自在の第2ディスク9が同軸的に配置される。第1、第2ディスク7、9は対向して設置され、第1ディスク7と第2ディスク9との間には傾転自在に接する複数のパワーローラ8が配置される。このようにして、第1ディスク7の動力がパワーローラ8を介して第2ディスク9に伝達される。
第2ディスク9は、第2動力伝達機構11の第3ギヤ11aに結合しており、第2ディスク9の動力は、第3ギヤ11aと、第3ギヤ11aに噛合する第5ギヤ11cと、第5ギヤ11cに噛合する第4ギヤ11bからなる第2動力伝達機構11を介して伝達される。
ここで、バリエータ入力軸5のエンジンE側端部は、ケース28に軸受26を介して回転自在に支持される。さらに第2ディスク9の端部もケース28に回転自在に軸受27を介して支持される。また、ローディング機構6は、バリエータ20を挟んで軸受26、27の反対側に配置される。軸受26、27は発進装置2または入力軸3あるいは遊星歯車機構4と入力軸3の軸直方向で見たときにオーバラップするように配置される。無段変速機構20の軸受26、27が軸方向、エンジン側に入力軸3と面するように配置されるので、軸方向寸法の短縮が図れる。
一方、遊星歯車機構4のキャリヤ4dは、第2動力伝達機構11の第4ギヤ11bに結合する。その結果、遊星歯車機構4のサンギヤ4aと後進カウンタ軸14と第1動力伝達機構10及びバリエータ20を経由した動力と、遊星歯車機構4のキャリヤ4dを経由した動力とが前記第2動力伝達機構11にて合流する。そして、この第2動力伝達機構11で合流した動力は、第3動力伝達機構18に伝達される。
第3動力伝達機構18は、第6ギヤ18aと、第6ギヤ18aと噛み合う第7ギヤ18bと、第7ギヤ18bと噛み合う第8ギヤ18cから構成される。第7ギヤ18bは、バイパス軸13に並設された出力軸19に結合する。また、第6ギヤ18aは、バイパス軸13と同軸に回転自在に配置され、前進低速クラッチ15を介して第2動力伝達機構11の第4ギヤ11bに選択的に連結している。また、第8ギヤ18cは、後進カウンタ軸14に固定され、さらに、後進カウンタ軸14は、後進クラッチ17を介して第2動力伝達機構11の第5ギヤ11cに選択的に連結している。したがって、前進低速クラッチ15の係合時には、キャリア4dから第4ギヤ11b、第3動力伝達機構18を介して出力軸19に動力が伝達される。また、後進クラッチ17係合時には、第5ギヤ11cから、後進カウンタ軸14、第8ギヤ18c、第6ギヤ18a、第7ギヤ18bを介して動力が出力軸19に伝達される。
第4動力伝達機構22は、第9ギヤ22aと、第9ギヤ22aと噛み合う第10ギヤ22bとから構成される。第9ギヤ22aは、前進高速クラッチ16を介してバイパス軸13(あるいは第1ギヤ10a)と選択的に連結している。第10ギヤ22bは、出力軸19と連結している。
さらに、出力軸19には減速機23の第11ギヤ23aが連結されている。減速機23は、第11ギヤ23aと、第11ギヤ23aと噛み合う第12ギヤ23bとから構成され、第12ギヤ23bに伝達された動力は、ディファレンシャルギヤ24とファイナルドライブ軸25を介して車輪Wに伝達される。
なお、このパワースプリット型無段変速機には、前進低速クラッチ15、前進高速クラッチ16および後進クラッチ17の係合を制御する制御装置21が設けられる。この制御装置21は、例えば、入力トルクやエンジン負荷と、車速と、タービン軸回転数などから、表1の締結表に示すように、前進低速モード、前進高速モード及び後進モードを決定して、前進低速クラッチ15、前進高速クラッチ16、後進クラッチ17の締結解放を制御し、また、バリエータ20の変速比も制御する。なお表中の○は締結(係合)、×は解放(非係合)を表している。なお、各モードについては後述する。
Figure 0004095616
なお、バリエータ入力軸5、機械式ローディング機構6及びバリエータ20を無段変速機構と称し、この無段変速機構に動力を伝達する動力伝達機構の減速比について説明する。
第1動力伝達機構10の減速比R1は、
R1=1.0 (1)
に設定する。
なお、第1動力伝達機構10の減速比R1は、以下の式で与えられる。
R1=Z10a/Z10b
ただし、Z10a:第1動力伝達機構10の第1ギヤ10aの歯数
Z10b:第1動力伝達機構10の第2ギヤ10bの歯数
さらに、遊星歯車機構4の歯数比αと、第2の動力伝達機構11の減速比R2との関係を、
α/(1−α)≒1/R2 (2)
に設定する。
ここで、遊星歯車機構4の歯数比αは以下の式で与えられる。
α=Z4a/Z4e
ただし、Z4a:遊星歯車機構4のサンギヤ4aの歯数
Z4e:遊星歯車機構4のリングギヤ4eの歯数
第2動力伝達機構11の減速比R2は、以下の式で与えられる。
R2=Z11a/Z11b
ただし、Z11a:第2動力伝達機構11の第3ギヤ11aの歯数
Z11b:第2動力伝達機構11の第4ギヤ11bの歯数
さらに、バリエータ20の変速比V(V=第1ディスク7の回転数/第2ディスク9の回転数)を最大増速位置すなわち最Highにした場合の変速比Vhighと、第3動力伝達機構18の第7ギヤ18bと第6ギヤ18aとの間の減速比R3fとの関係を、
Vhigh≒R3f (3)
に設定している。
第3動力伝達機構18の第6ギヤ18aと第7ギヤ18bとの間の減速比R3fは、以下の式で与えられる。
R3f=Z18a/Z18b
ただし、Z18a:第3動力伝達機構18の第6ギヤ18aの歯数
Z18b:第3動力伝達機構18の第7ギヤ18bの歯数
以上のように減速比を設定する無段変速機構について、以下作用を説明する。
今、バリエータ入力軸5が停止しており、かつバリエータ20が最大減速位置(最Low、ここで、第1ディスク7を入力側、第2ディスク9を出力側とする)にあると共に、前進高速クラッチ16と後進クラッチ17が解放状態に、前進低速クラッチ15が締結状態にある。この状態からトルクコンバータなどの発進装置2が作動し、入力軸3を所定方向に回転開始させると、この入力軸3の回転に伴って、遊星歯車機構4のリングギヤ4eが入力軸3と同方向に同一回転速度で回転する。そのとき、リングギヤ4eの動力は遊星歯車機構4のサンギヤ4aおよびキャリヤ4dの各々に分配されて伝達される。サンギヤ4aに分配された動力は、バイパス軸13、第1動力伝達機構10、バリエータ20、すなわち、バリエータ入力軸5、機械式ローディング機構6、第1ディスク7、パワーローラ8、第2ディスク9を経て、第2動力伝達機構11に伝達される。
一方、キャリヤ4dに分配された動力は、直接第2動力伝達機構11に伝達される。第2動力伝達機構11にて合流された動力は、第3動力伝達機構18を経て、出力軸19に所定方向の回転で、かつ駆動伝達軸1よりも低速回転となるように伝達される。これが、前進低速モードである。そして、前進低速モードを維持しながらバリエータ20を増速側に変速させると、出力軸19の回転速度が増加し、パワースプリット型無段変速装置の速度比が増加する。
次に、前進高速クラッチ16を締結して前進低速クラッチ15と後進クラッチ17を解放したとすると、バリエータ20を通過する動力の伝達方向が前進低速モードと逆になる(第2ディスク9が入力側、第1ディスク7が出力側となる)。すなわち、前進低速モードと同じく、リングギヤ4eの動力は、第1遊星歯車機構4のサンギヤ4aおよびキャリヤ4dの各々に分配し伝達されるが、キャリヤ4dに分配された動力は、第2動力伝達機構11、バリエータ20、すなわち、第2ディスク9、パワーローラ8、第1ディスク7、機械式ローディング機構6、バリエータ入力軸5を経て、第1動力伝達機構10に伝達される。一方、サンギヤ4aに分配された動力は、バイパス軸13を経て第1動力伝達機構10に伝達される。第1動力伝達機構10にて合流された動力は、前進高速クラッチ16及び第4動力伝達機構22を経て出力軸19に伝達される。これが、前進高速モードである。
次に、自動車を後退させるべく、出力軸19を逆回転させる際には、前進低速クラッチ15と前進高速クラッチ16を解放し、後進クラッチ17を締結する。その結果、遊星歯車機構4で分配した動力は、第2動力伝達機構11の第5ギヤ11cで合流する。第5ギヤ11cで合流された動力は後進クラッチ17、後進カウンタ軸14及び第3動力伝達機構18を経て、出力軸19に伝達される。これが、後進モードである。
次に前進モードでの入力側ディスクの入力トルクについて説明する。
まず、前進低速モードにおいて、バリエータ20の入力側の第1ディスク7に作用するトルクT7Lowは、
T7Low=αTin (4)
で表される。
なお、Tinは入力軸3に作用するトルク、すなわち、無段変速装置への入力トルクである。
また、前進高速モードにおいて、バリエータ20の入力側の第2ディスク9に作用するトルクT9Highは、
T9High=(1−α)/R2×Tin (5)
で表される。
上式に式(2)を代入すると
T9High≒αTin (6)
したがって、例えば、α=0.5と仮定すると
T7Low=T9High=0.5Tin
となる。したがって、遊星歯車機構4、第1動力伝達機構10および第2動力伝達機構11の各々の歯数比を式(1)、(2)のように設定することにより、前進低速モードおよび前進高速モードにおけるバリエータ20への入力トルクを、無段変速装置への入力トルクに比し半減させることが可能となる。
なお、後進モードにおいても前進低速モードの式(2)と同様な式が成立することから、バリエータ20への入力トルクを、無段変速装置への入力トルクに比し半減させることが可能となる。
遊星歯車機構4の歯数比αは、通常1/3〜2/3の範囲に設定されるから、仮に、α=1/3とすれば、
T7Low=T9High=Tin/3
となる。言い換えれば、αの値を1/3〜1/2とすることにより、バリエータ20の入力可能な最大トルクの2〜3倍のトルク容量に対応できる無段変速装置を構成することが可能となる。
次に、無段変速装置の伝達効率について述べる。前記記述のごとく、バリエータ20の入力トルクはモードにかかわらず無段変速装置への入力トルクの1/3〜1/2であり、残りのトルクは前進低速モードにおいてはキャリヤ4dを、前進高速モードにおいてはサンギヤ4aとバイパス軸13を、経由することになる。一般に、トロイダル型のバリエータの伝達効率は歯車などで構成された動力伝達機構に比して低いので、本実施例の構成では伝達効率の向上が図れることが可能となる。
したがって、本発明では、無段変速機構の入力トルクを無段変速装置に入力されたトルクより低減できるため、シングルキャビティ式トロイダル型バリエータをより大きい無段変速装置の入力トルクで使用することができる。このため、ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータを用いた無段変速装置に比較し、無段変速装置の軸方向寸法の短縮が図れ、トルクコンバータ等の発進装置を用いても横置きエンジンの前輪駆動車に搭載することが可能となる。
さらに、バリエータ20を入力軸3と並行に配設したため、直接出力軸19へ分配された動力は、出力軸19に噛み合う歯車以外の付加の歯車を必要としないため、効率よく出力軸19に伝達されることが可能となる。
さらに、ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータを用いた無段変速装置に比較し、コストの掛かる第1、第2ディスク7、9、およびパワーローラ8等の部品点数が半減することから大幅なコスト低減が可能となる。
なお、本実施の形態では、ローディング機構として機械式ローディング機構6を使った例を示したが、各ディスク間に押力を発生できる機構であればよく、機械式ローディング機構6のほかに、例えば、油圧などを使った機構でもよいことは言うまでもない。
さらに、本実施の形態では、遊星歯車機構4のサンギヤ4aをバイパス軸13に、キャリヤ4dを第2動力伝達機構11に連結したが、逆に、遊星歯車機構4のサンギヤ4aを第2動力伝達機構11に、キャリヤ4dをバイパス軸13に連結しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
さらに、本実施の形態では、遊星歯車機構4としてダブルピニオン式遊星歯車機構を示したが、シングルピニオン式遊星歯車を用いて構成しても同様の効果が得られることは言うまでもない。ダブルピニオン式遊星歯車機構を用いた場合と、シングルピニオン式遊星歯車を用いた場合とでは、無段変速装置としての変速比が異なるため、所望の変速比に応じて選択すればよい。
さらに、本実施の形態では、前進低速モードにおけるバリエータ20への入力トルクと、前進高速モードにおけるバリエータ20への入力トルクとがほぼ同じ値になる様に設定しているが、前進高速モードにおけるバリエータ20への入力トルクを、前進低速モードにおけるバリエータ20への入力トルクに比し大きくなるように設定することも可能である。一般に自動車などの車両においては、発進状態を含む低速モードではトルクコンバータ等の発進装置2によりエンジンが発生するトルクより大きなトルクが入力軸3に作用する。一方、高速モードにおいては通常トルクコンバータ等の発進装置2はロックアップ機構が作動し、大きなトルクが作用する頻度が少ない。このため、前進高速モードにおけるバリエータ20への入力トルクを、前進低速モードにおけるバリエータ20への入力トルクに比し大きくなるように設定することが可能となり、この場合には、無段変速装置の変速比が異なるため、所望の変速比をより広く設定することができる。
さらに、本実施の形態では、第1動力伝達機構10の減速比R1を式(1)に示す値、例えば1.0に設定したが、この値は任意の値で良く、特に、1.0より大なる値に設定した時は、バリエータ20へのバリエータ入力軸5の回転数を上昇することが可能となる。その結果、バリエータ入力軸5への入力トルクを低減させることが可能となる。この場合には、更にバリエータ20を小型化でき、さらに、無段変速装置の変速比が異なるため、所望の変速比をより広く設定することができる。
本発明のパワースプリット型無段変速装置の構成図。
符号の説明
1…駆動伝達軸
2…発進装置
3…入力軸
4…遊星歯車機構
4a…サンギヤ
4b…第1ピニオンギヤ
4c…第2ピニオンギヤ
4d…キャリヤ
4e…リングギヤ
5…バリエータ入力軸
6…機械式ローディング機構
7…第1ディスク
8…パワーローラ
9…第2ディスク
10…第1動力伝達機構
10a…第1ギヤ
10b…第2ギヤ
11…第2動力伝達機構
11a…第3ギヤ
11b…第4ギヤ
11c…第5ギヤ
13…バイパス軸
14…後進カウンタ軸
15…前進低速クラッチ
16…前進高速クラッチ
17…後進クラッチ
18…第3動力伝達機構
18a…第6ギヤ
18b…第7ギヤ
18c…第8ギヤ
19…出力軸
20…バリエータ
21…制御装置
22…第4動力伝達機構
22a…第9ギヤ
22b…第10ギヤ
23…減速機
23a…第11ギヤ
23b…第12ギヤ
24…ディファレンシャルギヤ
25…ファイナルドライブ軸
26…軸受
27…軸受
28…ケース
E…エンジン
W…車輪

Claims (2)

  1. 駆動源に接続される入力軸と、
    入力軸に連結する第1回転要素、第2回転要素及び第3回転要素とから構成され、前記入力軸から前記第1回転要素に入力された動力を前記第2回転要素及び第3回転要素へ分配する差動歯車機構と、
    1個の第1ディスクと、この第1ディスクに相対する1個の第2ディスクと、前記第1ディスクと前記第2ディスクとの間に傾転自在に転接されたパワーローラと、前記第1ディスクを前記パワーローラを介して前記第2ディスクに押圧するローディング機構とを有し、前記入力軸に対して平行に配置される無段変速機構と、
    前記入力軸及び前記無段変速機構に平行に配置され、前記入力軸に基づく動力をディファレンシャルギアへ出力する出力軸と、
    前記入力軸に同軸に設けられ、かつ前記第2回転要素に連結するバイパス軸と、該バイパス軸と前記無段変速機構のローディング機構との間で動力伝達する第1動力伝達機構と、
    前記第2ディスクと、前記入力軸及び前記無段変速機構に対して平行に配置されたカウンタ軸と、第2差動歯車機構の第3回転要素との間で動力伝達する第2動力伝達機構と、
    前記第2動力伝達機構のうち、前記カウンタ軸からの動力及び前記第3回転要素からの動力を前記出力軸に伝達可能な第3動力伝達機構と、
    前記第1動力伝達機構のうち、前記バイパス軸側からの動力を前記出力軸に伝達可能な第4動力伝達機構と、
    前記第3回転要素と前記第3動力伝達機構との間に形成された第1摩擦要素と、前記第2動力伝達機構と前記カウンタ軸との間に形成された第2摩擦要素と、前記バイパス軸と前記第4動力伝達機構との間に形成された第3摩擦要素と、を有する動力切替機構と、
    前記第1摩擦要素を締結するとともに前記第2摩擦要素及び前記第3摩擦要素を解放することにより、前記第2回転要素へ分流し前記第1動力伝達機構から前記無段変速機構を経由した動力と、前記第3回転要素へ分流し前記第2動力伝達機構に伝達された動力前記第2動力伝達機構で合流させて、前記第3動力伝達機構を介して前記出力軸に伝達する前進低速モードと、前記第3摩擦要素を締結するとともに前記第1摩擦要素及び前記第2摩擦要素を解放することにより、前記第3回転要素へ分流し前記第2動力伝達機構から前記無段変速機構を経由した動力と、前記第2回転要素へ分流し前記バイパス軸を介して前記第1動力伝達機構に伝達された動力とを前記第1動力伝達機構で合流させて前記第4動力伝達機構を介して前記出力軸に伝達する前進高速モードと、前記第2摩擦要素を締結するとともに前記第1摩擦要素及び前記第3摩擦要素を解放することにより、前記第2回転要素へ分流し前記第1動力伝達機構から前記無段変速機構を経由した動力と、前記第3回転要素へ分流し前記第2動力伝達機構に伝達された動力とを前記第1動力伝達機構で合流させ、前記バイパス軸及び前記第3動力伝達機構を介して出力軸に伝達することで、前記入力軸の回転方向と反対方向に回転させる後進モードとを切り替える動力伝達切換機構とを備えたことを特徴とするパワースプリット型無段変速装置。
  2. 前記第1動力伝達機構は、前記バイパス軸に固定された第1ギヤと、この第1ギヤに噛合するとともに、前記無段変速機構のローディング機構に接続された第2ギヤとからなり、
    前記第2動力伝達機構は、前記第2ディスクとともに回転する第3ギヤと、前記第3回転要素に固定された第4ギヤと、前記第3、第4ギヤと噛合して、前記カウンタ軸に対して同軸上に設けられた第5ギヤからなり、
    前記第3動力伝達機構は、前記バイパス軸に対して同軸上で回転自在に設けられた第6ギヤと、前記出力軸に固定された第7ギヤと、前記第7ギヤと噛合し、前記カウンタ軸に対して同軸上に設けられた第8ギヤからなり、
    前記第4動力伝達機構は、前記バイパス軸に対して同軸上で回転自在に設けられた第9ギヤと、前記出力軸に固定された第10ギヤとからなることを特徴とする請求項1に記載のパワースプリット型無段変速装置。
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