JP4094419B2 - 水変色性積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水変色性積層体に関する。更に詳細には、常態では潜像状態にある像を、水を媒体として顕出させて視覚判別させる水変色性積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、支持体上に低屈折率顔料を含有する多孔質層を設け、更に、前記多孔質層の一部に内在し、共存状態に撥水性樹脂層を設けた水変色性積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記した積層体は、常態では不可視状態にある潜像を水を媒体として顕色像として現出させることができると共に、前記水の蒸発により元の様相に互変的に復する意外性と装飾性に富む積層体である。
しかしながら、前記積層体は水の適用により様相変化を示すため、積層体上面から水が過度に浸透して布帛中に含浸されると、前記撥水性樹脂層の撥水効果が損なわれ易くなり、よって、常態で不可視状態にある潜像が水の付着により現出する効果を示し難くなる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−59500号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来の水変色性積層体における不具合を解消しようとするものであって、即ち、永続して常態では不可視状態にある潜像を水を媒体として顕色像として現出させる機能を有し、玩具分野、衣料分野、装飾分野等への応用性に適した水変色性積層体を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた非吸水状態で不透明であり、吸水状態で透明化する多孔質層が積層されていると共に、前記多孔質層の一部に内在し、共存状態に撥水性樹脂層が配設されてなり、前記撥水性樹脂層の非配設部分の多孔質層が吸水状態で透明化して、前記両層が視覚判別できるよう構成した積層体において、前記支持体が布帛の上面、或いは、布帛の上面及び下面に水不浸透性樹脂層を設けたものである水変色性積層体を要件とする。
更には、前記布帛に撥水加工が施されてなることを要件とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
前記低屈折率顔料としては、微粒子状珪酸、バライト粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、塩基性炭酸マグネシウム等の一種又は2種以上を併用して用いることができ、これらの顔料は屈折率が1.4〜1.7の範囲にあり、水等を吸液すると良好な透明性を示すものである。
前記低屈折率顔料の粒径は特に限定されるものではないが、0.03〜10.0μmのものが好適に用いられる。
前記低屈折率顔料のうち、好適には微粒子状珪酸が用いられる。
前記微粒子状珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるもの(以下、乾式法微粒子状珪酸と称する)と、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるもの(以下、湿式法微粒子状珪酸と称する)とに大別され、いずれを用いることも可能であるが、湿式法微粒子状珪酸を用いた場合、乾式法微粒子状珪酸の系に較べて常態での隠蔽性が大きいため、微粒子状珪酸に対するバインダー樹脂の配合比率を大きくすることが可能となり、多孔質層自体の皮膜強度を向上させることができ、より好適に用いられる。
前記したように多孔質層の常態での隠蔽性を満足させるために用いられる微粒子状珪酸としては、湿式法微粒子状珪酸が好ましい。これは、乾式法微粒子状珪酸と、湿式法微粒子状珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法微粒子状珪酸は珪酸が密に結合した三次元構造を形成するのに対して、湿式法微粒子状珪酸は、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した、所謂、二次元構造部分を有している。
従って、前記乾式法微粒子状珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法微粒子状珪酸を多孔質層に適用した場合、乾式法微粒子状珪酸を用いる系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、よって、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
又、前記多孔質層に含まれる低屈折率顔料は、吸液する媒体が主に水であることから、湿式法微粒子状珪酸は乾式法微粒子状珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、従って、適度の親水性を有するため好適に用いられる。
【0007】
前記湿式法微粒子状珪酸を低屈折率顔料として用いる場合、湿式法微粒子状珪酸の種類、粒子径、比表面積、吸油量等の性状に左右されるが、常態での隠蔽性と吸液状態での透明性を共に満足するためには、塗布量が1g/m2〜30g/m2であることが好ましく、より好ましくは、5g/m2〜20g/m2である。1g/m2未満では、常態で十分な隠蔽性を得ることが困難であり、又、30g/m2を越えると吸液時に十分な透明性を得ることが困難である。
前記低屈折率顔料は、バインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散させて分散インキとなし、対象の支持体の表面に印刷、塗布、吹き付け、等の手段により多孔質層を形成する。
【0008】
前記微粒子状珪酸はバインダー樹脂を結合剤として含むビヒクル中に分散され、支持体に塗布した後、揮発分を乾燥させて多孔質層を形成する。
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
前記微粒子状珪酸とこれらのバインダー樹脂の混合比率は、微粒子状珪酸の種類及び性状に左右されるが、好ましくは、微粒子状珪酸1重量部に対してバインダー樹脂固形分0.5〜2重量部であり、より好ましくは、0.8〜1.5重量部である。微粒子状珪酸1重量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5重量部未満の場合には、前記多孔質層の実用的な皮膜強度を得ることが困難であり、2重量部を越える場合には、前記多孔質層内部への水の浸透性が悪くなる。
前記多孔質層は、従来より公知の一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、耐擦過強度を高めるために、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いると効果的である。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
尚、前記ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、本発明においては水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
前記ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、支持体の種類や皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、前記多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分重量比率で30%以上含有させることが好ましい。
前記バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
前記バインダー樹脂には、水との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤を添加して前記調整をコントロールすることができる。
【0009】
撥水性樹脂層は、シリコン系、パラフィン系、ポリエチレン系、アルキルエチレン尿素系、フッ素系等の撥水性樹脂から選ばれる撥水性樹脂を含む撥水処理液を多孔質層上に適宜形状の像を形成するよう付着させ、浸透乾燥して得られる、多孔質層に内在し、共存する層である。
前記撥水性樹脂のうち、フッ素系撥水剤が、撥水効果及び加工適性の面で効果的であり、固形分として、1g/m2〜50g/m2、好適には、2g/m2〜30g/m2の範囲の付着量が有効である。
【0010】
前記支持体に用いられる布帛は、織布、編物、組物、不織布等が挙げられる。
前記布帛のうち、多孔質層の均質な形成性の面から、平滑性に優れる織布が好適に用いられる。
また、前記布帛を予め撥水加工して表面張力を10〜50mN/mに調整したものを用いると、より撥水効果に優れるため本発明には好適である。
【0011】
前記布帛の上面、或いは、布帛の上面及び下面に設けられる水不浸透性樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂、可塑剤をブレンドして得た塩化ビニル樹脂等の軟質化樹脂、スチレン系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性樹脂からなるフィルム形態のものを適宜手段により布帛と貼着させたり、前記樹脂を溶剤中に溶解、又は、分散させた樹脂溶液をナイフコーター、グラビアコート等の塗工方法により布帛に塗工した後、乾燥、硬化させて形成することができる。
なお、前記布帛の下面に水不浸透性樹脂層を設けた場合は滑り止め機能を付与することもできる。
【0012】
また、必要により多孔質層上に着色層(像)を設けて複雑な様相変化を示すものにしたり、支持体と多孔質層の間に着色層(像)を設けることもできる。
前記支持体と多孔質層の間に設けた着色層は多孔質層が吸水状態のとき、透視されて視覚効果を高めることができる。
前記着色層中に含まれる色材は、汎用の染料や顔料等の着色剤を含む色材により形成されたものに限らず、可逆熱変色性材料を含む色材により形成された可逆熱変色性のものであってもよい。
なお、支持体自体が前記汎用の着色剤や可逆熱変色性材料がブレンドされた着色状態のものであってもよい。
【0013】
前記多孔質層は、非吸水状態では不透明であり、吸水状態では透明化して下層の様相を透視できる。従って、下層に着色層が配設された系では、その色彩や像を視覚でき、着色層の非配設の系では、支持体自体の色彩を視覚させる。
ここで、撥水性樹脂層が、前記多孔質層の一部に内在し、共存状態に配設されているので、前記撥水性樹脂層の共存箇所の多孔質層は、撥水効果により吸水状態が形成されず、不透明状態が保持されている。(前記撥水性樹脂層は透明性であるため、多孔質層の不透明状態が透視できるのである。)
従って、常態(非吸水状態)では、判別し難い、撥水性樹脂層と多孔質層が、撥水性樹脂層の非配設部分の多孔質層への吸水により、判別可能となる。
前記様相変化は、互変的である。
前記様相変化を示す際、媒体としては水が用いられるが、前記水の布帛への含浸を抑制するために布帛上面、或いは、布帛の上面及び下面に水不浸透性の樹脂層を設けてなる。
前記構成によって布帛に水が含浸し難くなり、従来の積層体のように布帛に含浸した水が撥水性樹脂層に接触し続けることによって該層の撥水効果を低下させることを防止でき、永続して常態で不可視状態にある潜像を水を媒体として顕色像として現出させる機能を発現できる。
【0014】
前記多孔質層への吸水は、水に浸漬、水の吹き付け、筆、刷毛、ペン、スタンプ等による手段で所望の箇所を濡らすことにより、達成できる。
【0015】
前記した水変色性積層体の製造方法に関しては、予め布帛の上面、或いは、布帛の上面及び下面に塗工又は貼着により水不浸透性樹脂層を設けた支持体上に、低屈折率顔料とバインダー樹脂と含むインキにより多孔質層を設け、更に前記多孔質層上に、撥水性樹脂を含有する撥水加工液を付着させて多孔質層内に浸透させた後、乾燥させることにより、多孔質層に内在し、共存状態にある撥水性樹脂層を形成して得られる。
前記において撥水性樹脂層の印刷手段としては、スクリーン印刷、グラビヤ印刷、オフセット印刷等が例示できる。なかでも、スクリーン印刷手段によるものは、スクリーンの開孔率、孔径、線径等の調整により、目的に応じた文字、記号、英数字、点、線、図柄等や網点模様等の任意の像を比較的簡易に形成でき、撥水性樹脂層の厚み(撥水加工液の塗布量)の調整の面でも効果的である。
【0016】
前記のようにして得られる水変色性積層体は平面状に限らず、線状、凹凸状、立体状等、様々な形態が有効である。
水変色性積層体の具体的な実施形態としては、例えば、ぬいぐるみ、人形、レインコート等の人形用衣装、傘や鞄等の人形用付属品、水鉄砲の標的、車や船を模した模型、人間と人形の手形や足形等の形跡を現すボード等の玩具類、水筆紙、水筆シート等の教習具類、文房具類、ドレス、水着、レインコート等の衣類、雨靴等の靴類、防水加工を施した本、カレンダー等の印刷物類、スタンプカード、パズル、各種ゲーム等の娯楽用具類、ウェットスーツ、浮袋、水泳用浮板等の遊泳又は潜水用具類、コースター、コップ等の台所用具類、その他、傘、造花、当りくじ等が挙げられる。
又、各種インジケーターとして適用することもでき、例えば、配管、パイプ、水槽、タンク等の液洩れ検知、禁水性薬品の輸送や保管場所での水濡れ検知、結露、降雨等の検知、使い捨ておむつの尿の検知、各種容器やプールの液量、水深検知、土壌中の水分検知等が挙げられる。
【0017】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明は実施例に限定されない。尚、実施例中の部は重量部を示す。
【0018】
【0019】
実施例1(図1参照)
表面張力を20mN/mに調整した白色ポリエステルタフタ生地(布帛21)の上層に、アクリル樹脂溶液をナイフコーターで塗工し、乾燥、硬化させることにより、水不浸透性樹脂層22を設けて支持体2とし、前記支持体2の上層に、蛍光ピンク色顔料15部、アクリル酸エステルエマルジョン50部、水系インキ増粘剤3部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.3部、エポキシ系架橋剤5部を均一に混合攪拌してなる蛍光ピンク色スクリーン印刷用インキを用いて、120メッシュのスクリーン版を用いて全面ベタ印刷し、100℃で5分間乾燥硬化させて、蛍光ピンク色の着色層5を設けた。
次いで、前記着色層5上に、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−1009、日本シリカ工業(株)製〕15部、青色顔料〔商品名:サンダイスーパーブルーGLL、山陽色素(株)製〕5部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−20、大日本インキ化学工業(株)製、固形分35重量%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる青色スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて前記着色層にベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて常態で淡青色の多孔質層3を設けた。
次いで、前記多孔質層3上から、フッ素系樹脂撥水剤〔商品名:アサヒガードLS−6015、明成化学工業(株)製、固形分15重量%〕50部、水系インキ用増粘剤3部、水47部、シリコーン系消泡剤0.5部、ブロックイソシアネート系架橋剤5部を均一に混合攪拌してなる無色透明スクリーン印刷用インキを用いて、120メッシュのスクリーン版にて、前記多孔質層3の上に網点ドットによる花柄を印刷し、170℃で2分間乾燥硬化させて、前記多孔質層3中に撥水性樹脂層4を内在形成して水変色性積層体1を得た。
前記積層体は、常態(非吸水状態)では多孔質層は淡青色であり、撥水性樹脂層は無色透明であるため、全面が淡青色の様相を呈しているが、水中に浸漬すると、撥水性樹脂層の共存箇所を除く多孔質層が水を吸収し透明化して下層の着色層の蛍光ピンク色と、多孔質層の青色との混色である紫色が視覚され、紫色の背景に淡青色の網点ドットで表された花柄が視覚された。
前記多孔質層が吸水状態では、前記様相を呈していたが、水が乾燥すると、全面が元の淡青色に復し、前記様相変化は繰り返し再現できた。
また、前記積層体を水中に3分間浸漬しても、撥水性樹脂層への水の含浸は見られず、鮮明な紫色の背景に淡青色の網点ドットで表された花柄を視覚することができた。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
実施例2
表面張力を20mN/mに調整した白色ポリエステルタフタ生地の上層に、アクリル樹脂溶液をナイフコーターで塗工し、乾燥、硬化させることにより、水不浸透性樹脂層を設けて支持体とし、前記支持体の上層に、30℃以上で無色、28℃以下でピンク色を呈する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、アクリル樹脂エマルジョン50部、消泡剤1部、水系インキ用増粘剤5部、水10部、エチレンイミン系架橋剤5部を均一に混合攪拌してなる可逆熱変色性スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にてベタ印刷し、100℃で5分間乾燥硬化させて可逆熱変色性着色層を設けた。
次いで、前記着色層上に、湿式法微粉末シリカ〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔ハイドランAP−20、大日本インキ化学工業(株)製、固形分33重量%〕45部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、ブロックイソシアネート系架橋剤3部を均一に混合攪拌してなる白色スクリーン印刷用インキを用いて、80メッシュのスクリーン版にてハート柄を印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層を設けた。
次いで、前記多孔質層上から、フッ素系樹脂撥水剤〔商品名:ライフガードFR−448、共栄社化学(株)製、固形分30重量%〕60部、水45部、ポリビニールアルコール5部、シリコーン系消泡剤0.5部を均一に混合攪拌してなる無色透明スクリーン印刷用インキを用いて、100メッシュのスクリーン版にて文字「A」を印刷し、170℃で2分間乾燥硬化させて、多孔質層中に撥水性樹脂層を内在形成して、水変色性積層体を得た。
前記積層体を裁断、縫製して水変色性玩具人形用水着を得た。前記水着は、常態では可逆熱変色性着色層のピンク色と多孔質層の白色のハート柄が視覚されているが、24℃の水を付着させると、多孔質層のハート柄が透明化して可逆熱変色性着色層のピンク色へと変化し、ピンク色の背景に撥水性樹脂層の文字「A」のみが白色にて視覚される。前記多孔質層に吸水した水が蒸発すると、再びピンクのバックに白色のハート柄の様相に復した。
又、前記水着を40℃の温水に浸漬させると、多孔質層は吸液により透明化し、可逆熱変色性着色層も同時にピンク色から無色に変化し、全面が白色状態となり、温水から取り出して、約20℃の室温で放置すると全面白色状態からピンク色のバックに「A」の文字のみが白色にて視覚される状態へと変化し、布帛から水が蒸発すると、再びピンク色のバックに白色のハート柄となった。前記様相変化は互変的に繰り返し再現された。
また、前記水着を24℃の水中に3分間浸漬しても、撥水性樹脂層への水の含浸は見られず、鮮明なピンク色を背景とした白色の文字「A」を視覚することができた。
【0025】
【発明の効果】
本発明の水変色性積層体は、支持体として用いられる布帛の上面、或いは、布帛の上面及び下面に水不浸透性樹脂層を設けた支持体を用いるため、従来の布帛のみを用いた積層体に較べて、常態では不可視状態にある潜像を水を媒体として顕色像として現出させる機能の永続性に優れ、商品価値の高い水変色性積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水変色性積層体の一実施例の縦断面説明図である。
【符号の説明】
1 水変色性積層体
2 支持体
21 布帛
22 水不浸透性樹脂層
3 多孔質層
4 撥水性樹脂層
5 着色層
Claims (2)
- 支持体上に、低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた非吸水状態で不透明であり、吸水状態で透明化する多孔質層が積層されていると共に、前記多孔質層の一部に内在し、共存状態に撥水性樹脂層が配設されてなり、前記撥水性樹脂層の非配設部分の多孔質層が吸水状態で透明化して、前記両層が視覚判別できるよう構成した積層体において、前記支持体が布帛の上面、或いは、布帛の上面及び下面に水不浸透性樹脂層を設けたものであることを特徴とする水変色性積層体。
- 前記布帛に撥水加工が施されてなる請求項1記載の水変色性積層体。
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