JP4094144B2 - ヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

ヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの製造方法に関し、特に、化学増幅型レジスト用の溶解抑制剤として好適に用いることができる2,2−ビス(4−t−ブトキシカルボニルオキシシクロヘキシル)プロパン等のように、分子中に複数のヒドロ芳香族環を有し、それらヒドロ芳香族環のそれぞれにオキシアルカンカルボン酸エステル構造が結合されているヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを容易に製造することができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルゴンフルオライド(ArF)エキシマレジストやクリプトンフルオライド(KrF)エキシマレジスト等で代表される種々の放射線を使用する化学増幅型レジスト用の溶解抑制剤として、短波長紫外線領域にあるArFやKrFレーザーに対する透過性(即ち、透明性)にすぐれ、しかも、現像時に画像部の耐エッチング性を向上させるような化合物が、現在、強く要望されている。
【0003】
この点に関して、従来、耐エッチング性の高い溶解抑制剤として、ベンゼン環を含む有機化合物が知られているが、短波長紫外線領域にあるArFやKrFレーザーに対する透過性が低く、特に、ArFレーザーに対する透過性が低いので、ArFエキシマレジスト用の溶解抑制剤としては用いるには適しない。
【0004】
そこで、耐エッチング性と透明性とを兼ね備えた溶解抑制剤の材料として、脂環式有機化合物が提案されており、特に、ヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸t−ブチルエステルが望ましいとされているが、特に、分子中に複数のヒドロ芳香族環を有し、そのヒドロ芳香族環のそれぞれにオキシアルカンカルボン酸エステル構造、例えば、オキシアルカンカルボン酸t−ブチルエステル構造が結合されているような化合物は、その合成が極めて困難であるので、従来、検討されていない。
【0005】
例えば、l−メントールからl−メントキシ酢酸の製造において、シクロヘキシルアルコール構造をナトリウム塩とした後、これにクロロ酢酸を反応させて、シクロヘキシロキシ酢酸構造とすることができることが知られているが(Org. Syn., Vol. 3, p. 544)、クロロ酢酸に代えて、クロロ酢酸エステルを用いる方法は、従来、文献に記載がない。
【0006】
また、本発明者らによれば、強アルカリの存在下にヒドロ芳香族アルコールにハロゲン化アルカンカルボン酸エステルを反応させても、その理由は必ずしも明らかではないが、目的とするヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを得ることはできない。
【0007】
他方、ロジウム錯体を触媒として用いて、シクロヘキサノールにジアゾ酢酸エチルを反応させて、O−H結合へのカルベン挿入反応によって、対応するシクロヘキサンオキシ酢酸エチルを得ることができることが知られている(J. Organometallic Chem., 473 (1994), 323-327)。しかし、この方法は、化学的に不安定なジアゾ化合物を用いると共に、触媒の回収が困難であるので、工業的な方法としては採用し難い。
【0008】
このほかにも、シクロヘキサノールにグリオキサールを反応させて、シクロヘキサンオキシ酢酸シクロヘキシルを得ることができることも知られているが(J. Org. Chem., 39 (1974), 1772)、この方法によれば、得られるヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルが構造的に限定される問題がある。
【0009】
そこで、本発明者らは、ヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを得るべく、鋭意研究した結果、対応する芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルは、フェノール類にハロゲン化アルカンカルボン酸エステルを反応させることによって容易に得ることができ、この芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを水素化金属触媒の存在下に水素添加して、芳香環をヒドロ芳香環とすることによって、目的とするヒドロ芳香族オキシカルボン酸エステルを容易に得ることができることを見出して、本発明に至ったものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、ヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの新規な製造方法を提供することを目的とし、特に、分子中に複数のヒドロ芳香族環を有し、そのヒドロ芳香族環のそれぞれにオキシアルカンカルボン酸エステル構造が結合されているヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、一般式(I)
Figure 0004094144
(式中、Zは、式
【0012】
【化2】
Figure 0004094144
【0013】
(式中、Yは、単結合、酸素原子、カルボニル基又は−C(R34)−(式中、R3 及びR4 は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基を示す。)で表わされる2価の基を示す。)で表わされる芳香環からなる(m+n)価の芳香族基を示し、Xは、上記芳香族基Z上の置換基であって、水酸基、カルボキシル基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基又は−OR基(Rは、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基又は炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基を示す。)で表わされる1価の基を示し、−OR1COOR2基は、前記芳香族基Z上の置換基であって、R1 は、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキレン基を示し、R2 は、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数5〜10のシクロアルキル基を示し、m及びnは、0≦m≦4、1≦n≦4を満たすと共に、Zが(a) のとき、m+n≦5、Zが(b) 又は(c) のとき、m+n≦8を満たす整数である。)
で表わされる芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを水素化金属触媒の存在下に水素添加することを特徴とする一般式(II)
Figure 0004094144
(式中、Z' は、前記芳香族基Zに対応するヒドロ芳香族基を示し、X、R1 、R2 、m及びnは、前記と同じである。)
で表わされるヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの製造方法が提供される。但し、上記芳香族基Zの結合手は、すべて芳香環からのものである。
【0014】
例えば、本発明によれば、上記方法において、一般式(III)
【0015】
【化3】
Figure 0004094144
【0016】
(式中、R1 は、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキレン基を示し、R2 は、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数5〜10のシクロアルキル基を示し、R3 及びR4 は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基を示す。)
で表わされる芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを水素化金属触媒の存在下に水素添加することによって、一般式(IV)
【0017】
【化4】
Figure 0004094144
【0018】
(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 は、前記と同じである。)
で表わされるヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明によるヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの製造方法において、出発原料である芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルは、前記一般式(I)で表わされる。
【0020】
ここに、芳香族基Zの具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環又はビフェニル環からなる(m+n)価の基のほか、前記一般式(b)で表わされ、Yがメチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、1−メチルエチリデン基、1−メチルプロピリデン基、2−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基、1,1−シクロペンチリデン基、1,1−シクロヘキシリデン基、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチリデン基、カルボニル基又は酸素原子である(m+n)価の基を挙げることができる。
【0021】
置換基Xの具体例として、例えば、水酸基、カルボキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、1−メチルエトキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、シクロヘキシロキシ基等を挙げることができる。
【0022】
−OR1COOR2基におけるR1 の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、エチルメチレン基、エチルメチルメチレン基、メチルエチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等を挙げることができ、R2 の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、sec−ペンチル基、t−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、t−ヘプチル基、sec−ヘプチル基、t−オクチル基、sec−オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0023】
従って、出発原料である芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの好ましい具体例として、例えば、2,2−ビス(4−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシフェニル)プロパン、1−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ−2−シクロヘキシルベンゼン、2−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシナフタレン、4,4'−ビス(t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ)ビフェニル、1−エトキシカルボニルメチレンオキシ−2−シクロヘキシル−5−メチルベンゼン、2,2−ビス(4−エトキシカルボニルエチレンオキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。
【0024】
このような芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルは、例えば、一般式(V)
Figure 0004094144
(式中、Z、m及びnは前記と同じである。)
で表わされるn価のフェノール類に一般式(VI)
Figure 0004094144
(式中、Lは、R1 上の置換ハロゲン原子を示し、R1 及びR2 は、前記と同じである。)
で表わされるハロゲン化アルカンカルボン酸エステルを反応させることによって得ることができる。R1 上の置換基である上記置換ハロゲン原子L、即ち、上記ハロゲン化アルカンカルボン酸エステルにおけるハロゲン原子は、例えば、塩素、臭素又はヨウ素であるが、価格の点から、塩素が好ましい。このようなハロゲン化アルカンカルボン酸エステルの好ましい具体例として、例えば、クロロ酢酸エチルやクロロ酢酸t−ブチルを挙げることができる。
【0025】
このように、一般に、フェノール類とハロゲン化アルカンカルボン酸エステルとの縮合反応によって、対応する芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを得ることができることは、既に知られている。本発明の方法は、目的とするヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの製造において、対応するヒドロ芳香族アルコールとハロゲン化アルカンカルボン酸エステルとの直接の反応によらずに、フェノール類とハロゲン化アルカンカルボン酸エステルとの反応によって、対応する芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを容易に得ることができることに着目し、この芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを先ず製造し、次いで、この芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを水素化金属触媒の存在下に水素添加して、芳香族環を対応するヒドロ芳香族環とすることによって、目的とするヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを得ることに成功したものである。
【0026】
従って、本発明の方法によれば、用いる出発原料に対応して、前記一般式(II)で表わされるヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを得ることができる。ここに、X、R1 及びR2 の具体例としては、前記と同じものを挙げることができ、Z' は、前記芳香族基Zに対応するヒドロ芳香族基であるから、具体例として、例えば、シクロヘキサン環、ビシクロ〔4.4.0〕デカン環又はジシクロヘキシル環からなる(m+n)価の基のほか、前記一般式(b)に対応して、一般式(b')
【0027】
【化5】
Figure 0004094144
【0028】
(式中、Yは前記と同じであり、好ましくは、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、1−メチルエチリデン基、1−メチルプロピリデン基、2−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基、1,1−シクロペンチリデン基、1,1−シクロヘキシリデン基、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチリデン基、カルボニル基又は酸素原子である。)からなる(m+n)価の基を挙げることができる。但し、上記ヒドロ芳香族基の結合手は、すべてヒドロ芳香族基からのものである。
【0029】
従って、本発明の方法によって得ることができるヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの好ましい具体例として、例えば、前記芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの好ましい具体例に対応して、2,2−ビス(4−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシシクロヘキシル)プロパン、1−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ−2−シクロヘキシルシクロヘキサン、2−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシビシクロ〔4.4.0〕デカン、4,4'−ビス(t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ)ジシクロヘキシル、1−エトキシカルボニルメチレンオキシ−2−シクロヘキシル−5−メチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−エトキシカルボニルエチレンオキシシクロヘキシル)プロパン等を挙げることができる。
【0030】
本発明の方法においては、水素化金属触媒としては、貴金属触媒、貴金属担持触媒又は貴金属錯体触媒が好ましく用いられる。これらの触媒において、貴金属触媒成分としては、例えば、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)又は銀(Ag)を挙げることができる。担体としては、例えば、カーボン、アルミナ、シリカ等を挙げることができる。本発明においては、このような触媒のなかでも、特に、ロジウム/カーボン、ロジウム/アルミナ、ロジウム/シリカ等のロジウム担持触媒が好ましく用いられる。
【0031】
本発明においては、このような水素化金属触媒は、芳香族オキシカルボン酸エステル100重量部について、0.1〜100重量部、好ましくは、1〜50重量部の範囲で用いられる。
【0032】
本発明によれば、出発原料である芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルが反応温度で融解するときには、特に反応溶剤を用いる必要はないが、しかし、出発原料が反応温度では融解しないときは、そのような出発原料を溶解する反応溶剤が好ましく用いられる。
【0033】
そのような反応溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン等のエーテル類、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール等の多価アルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類等を挙げることができる。このような反応溶剤は、出発原料の溶解性や反応性を考慮して、適宜に単独で、又は2種以上の混合物として用いられるが、出発原料が反応性の低いものであるときは、特に、t−ブタノールが好ましく用いられる。このような反応溶剤は、通常、芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルに対して、重量比で0〜50倍、好ましくは、0〜10倍の範囲で用いられる。
【0034】
本発明の方法において、芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの水素添加は、通常、0〜200℃、好ましくは、20〜50℃の範囲の反応温度で、通常、常圧から100kg/cm2 、好ましくは、常圧から50kg/cm2 、特に好ましくは、常圧から20kg/cm2 の範囲の反応圧力下に行なわれる。反応時間は、反応温度と反応圧力にもよるが、通常、数十分から数十時間の範囲であり、好ましくは、数十分から数時間の範囲である
【0035】
このようにして、前記一般式(I)で表わされる芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを水素化金属触媒の存在下に水素添加した後、触媒の除去、反応溶剤の除去乃至反応生成物の濃縮の工程を経て、目的とするヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを得ることができる。反応収率は、用いる出発原料にもよるが、通常、10〜80%の範囲である。
【0036】
このようにして得られるヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルは、そのまま、製品として、種々の用途に供してもよいが、必要に応じて、精製してもよい。精製品は、例えば、再結晶や蒸留によって得ることができる。このようにして得られるヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルは、出発原料にもよるが、結晶、塊状又は飴状の固体であるか、又は液状である。
【0037】
【発明の効果】
従来、ヒドロ芳香族アルコールとハロゲン化アルカンカルボン酸エステルとの直接の反応によっては、ヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを得ることはできなかったが、本発明によれば、フェノール類とハロゲン化アルカンカルボン酸エステルとの縮合反応によって、対応する芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを得、これを比較的穏和な条件下に水素添加することによって、目的とするヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを容易に得ることができる。
【0038】
しかも、本発明の方法によれば、種々の原料物質を容易に入手することができるので、種々の構造を有するヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを容易に得ることができる。また、反応後、簡単な処理によって、目的物を得ることができる。従って、本発明の方法は、ヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの工業的規模での製造に好適である。
【0039】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0040】
参考例1
(2,2−ビス(4−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシフェニル)プロパンの合成)
ビスフェノールA45.6g(0.2モル)をジメチルホルムアミド140gに溶解させ、この溶液に炭酸カリウム110.4g(0.8モル)を加え、50℃で攪拌しながら、得られた混合物にクロロ酢酸t−ブチル90.6g(0.6モル)を1時間かけて滴下した。この後、50℃で20時間攪拌して、反応を行なった。
【0041】
反応終了後、得られた反応混合物を濾過して無機塩を除去し、得られた濾液にn−ヘプタン150gを加えた後、水洗して、更に、無機塩を除去した。この後、減圧下に溶剤を除去して、純度99.0%の淡黄色シロップ状の2,2−ビス(4−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシフェニル)プロパン88.6g(収率97.6%)を得た。
【0042】
【表1】
Figure 0004094144
【0043】
【化6】
Figure 0004094144
【0044】
実施例1
(2,2−ビス(4−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシシクロヘキシル)プロパンの合成)
2,2−ビス(4−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシフェニル)プロパン10g、t−ブチルアルコール(反応溶剤)100g及び5%ロジウム/カーボン粉末3.0gを攪拌機付き200mL容量のステンレス製オートクレーブに仕込み、温度45℃、水素圧力20kg/cm2 Gの条件下に約1時間攪拌した。
【0045】
反応終了後、得られた反応混合物を室温まで冷却し、触媒を濾別し、得られた濾液から反応溶剤をエバポレーターにて留去することによって、目的物86.1%(高速液体クロマトグラフィー、RI検出器)を含む無色透明のシロップ状の反応生成物9.4gを得た。
【0046】
この反応生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、目的とする2,2−ビス(4−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシシクロヘキシル)プロパンを純度95.5%にて得た。
【0047】
赤外線吸収スペクトル(KBr法、cm-1
2910(νCH2 )、1744(νC=O)、1439(δCH2 )、1129(νC=O−C)
DI−MS(m/e)
親ピーク:検出できず
フラグメント:356、311、297、255、199、158
プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3 、TMS標準)
【0048】
【表2】
Figure 0004094144
【0049】
実施例2
実施例1において、反応溶剤としてテトラヒドロフラン100gを用い、触媒として5%ロジウム/カーボン粉末(50%含水品)1.0gを用いて、温度60℃、水素圧力10kg/cm2 Gとした以外は、同様に反応を行なって、目的物69.5%(高速液体クロマトグラフィー、RI検出器)を含む無色透明のシロップ状の反応生成物9.7gを得た。
【0050】
実施例3
(4,4'−ビス(t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ)ジシクロヘキシルの合成)
4,4'−ビス(t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ)ビフェニル10g、t−ブチルアルコール100g及び5%ロジウム/カーボン粉末3.0gを攪拌機付き200mL容量のステンレス製オートクレーブに仕込み、温度35〜45℃、水素圧力20kg/cm2 Gの条件下に約1.5時間攪拌した。
【0051】
反応終了後、得られた反応混合物を室温まで冷却し、触媒を濾別し、得られた濾液から反応溶剤をエバポレーターにて留去することによって、目的物85.3%(高速液体クロマトグラフィー、RI検出器)を含む白色固体状の反応生成物9.3gを得た。
【0052】
この反応生成物をメタノールから再結晶し、目的とする4,4'−ビス(t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ)ジシクロヘキシルを純度97.2%にて得た。
【0053】
DI−MS(m/e)
親ピーク:(M+H+)=427
プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3 、TMS標準)
【0054】
【図1】
実施例4
(2−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシビシクロ〔4.4.0〕デカンの合成)
2−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシナフタレン10g、t−ブチルアルコール100g及び5%ロジウム/カーボン粉末3.0gを攪拌機付き200mL容量のステンレス製オートクレーブに仕込み、温度40〜60℃、水素圧力20kg/cm2 Gの条件下に約2時間攪拌した。
【0055】
反応終了後、得られた反応混合物を室温まで冷却し、触媒を濾別し、得られた濾液から反応溶剤をエバポレーターにて留去することによって、目的物92.1%(高速液体クロマトグラフィー、RI検出器)を含む白色透明シロップ状の反応生成物8.7gを得た。
【0056】
この反応生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、目的とする2−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシビシクロ〔4.4.0〕デカンを純度95.6%にて得た。
【0057】
DI−MS(m/e)
親ピーク:(M+H+)=269
プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3 、TMS標準)
【0058】
【図2】
実施例5
(1−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ−2−シクロヘキシルシクロヘキサンの合成)
1−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ−2−シクロヘキシルベンゼン10g、t−ブチルアルコール100g及び5%ロジウム/カーボン粉末3.0gを攪拌機付き200mL容量のステンレス製オートクレーブに仕込み、温度40〜45℃、水素圧力20kg/cm2 Gの条件下に約1時間40分攪拌した。
【0059】
反応終了後、得られた反応混合物を室温まで冷却し、触媒を濾別し、得られた濾液から反応溶剤をエバポレーターにて留去することによって、目的とする1−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ−2−シクロヘキシルシクロヘキサン96.2%(高速液体クロマトグラフィー、RI検出器)を含む白色透明シロップ状の反応生成物10.0gを得た。
【0060】
DI−MS(m/e)
親ピーク:(M+)=296
プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3 、TMS標準)
【0061】
【図3】
【図面の簡単な説明】
【図1】は、4,4'−ビス(t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ)ジシクロヘキシルのプロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3 、TMS標準)である。
【図2】は、2−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシビシクロ〔4.4.0〕デカンのプロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3 、TMS標準)である。
【図3】は、1−t−ブトキシカルボニルメチレンオキシ−2−シクロヘキシルシクロヘキサンのプロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3 、TMS標準)である。

Claims (6)

  1. 一般式(I)
    m−Z−[OR1COOR2]n
    (I)
    (式中、Zは、式
    Figure 0004094144
    (式中、Yは、単結合、酸素原子、カルボニル基又は−C(R34)−(式中、R3 及びR4 は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基を示す。)
    で表わされる2価の基を示す。)
    で表わされる芳香環からなる(m+n)価の芳香族基を示し、Xは、上記芳香族基Z上の置換基であって、水酸基、カルボキシル基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数5若しくは6のシクロアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基又は−OR基(Rは、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基又は炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基を示す。)
    で表わされる1価の基を示し、−OR1COOR2 基は、前記芳香族基Z上の置換基であって、R1 は、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は炭素原子数5若しくは6のシクロアルキレン基を示し、R2 は、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数5〜10のシクロアルキル基を示し、m及びnは、0≦m≦4、1≦n≦4を満たすと共に、Zが(a) のとき、m+n≦5、Zが(b) 又は(c) のとき、m+n≦8を満たす整数である。)
    で表わされる芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを水素化金属触媒の存在下に水素添加することを特徴とする一般式(II)
    m−Z'−[OR1COOR2]n
    (II)
    (式中、Z' は、前記芳香族基Zに対応するヒドロ芳香族基を示し、X、R1、R2、m及びnは、前記と同じである。)
    で表わされるヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、一般式(V)
    m−Z−[OH]n
    (V)
    (式中、Z、m及びnは前記と同じである。)
    で表わされるn価のフェノール類に一般式( VI
    L−R1COOR2
    (VI)
    (式中、Lは、R 1 上の置換ハロゲン原子を示し、R 1 及びR 2 は、前記と同じである。)
    で表わされるハロゲン化アルカンカルボン酸エステルを反応させて、一般式(I)で表わされる芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルを製造し、次いで、これを水素化金属触媒の存在下に水素添加するヒドロ芳香族オキシアルカンカルボン酸エステルの製造方法。
  3. 一般式(I)及び一般式( II )において、R 1 がメチレン基である請求項1又は2に記 載の方法。
  4. 一般式(I)及び一般式( II )において、R 2 がt−ブチル基である請求項1又は2に記載の方法。
  5. 一般式(I)及び一般式( II )において、R 1 がメチレン基であり、R 2 がt−ブチル基である請求項1又は2に記載の方法。
  6. 水素化金属触媒がロジウム担持触媒である請求項1から5のいずれかに記載の方法。
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