JP4090838B2 - 非静止衛星搭載用アンテナ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非静止衛星軌道を周回する衛星に搭載可能なアンテナ装置に関するものであり、特に、特定地域のカバレッジエリアに設置された地球局アンテナとの間で通信を行う非静止衛星搭載用アンテナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来のアンテナ装置について説明する(非特許文献1参照)。従来のアンテナ装置は、衛星上に固定されカバレッジエリアを指向する反射鏡アンテナと、同じく衛星上に固定され反射鏡アンテナに電波を給電する複数個の一次放射器と、衛星の南北面に設置された太陽電池パドルで構成される。なお、この衛星は静止軌道上に打ち上げられ、衛星の基準方向が地球中心(地心)を、太陽電池パドルが南北方向を向くように制御されている。
【0003】
図13は、上記のように構成されたアンテナ装置からカバレッジエリア201に向けて放射されたマルチビーム202の配置例を示す図であり、カバレッジエリア201は日本列島を模式的に表した場合を示している。ここでは、一例として、アンテナ装置における送信処理を想定する。複数個の一次放射器から空間に放射された複数の電波信号は、反射鏡アンテナで反射され、カバレッジエリアをカバーするマルチビームを形成する。なお、一次放射器1個が1本のビームに対応する場合が一般的であるが、複数個の一次放射器で1本のビームを形成する場合もある。
【0004】
また、上記従来のアンテナ装置においては、衛星が静止軌道に打ち上げられ、地球と衛星の相対的な位置が固定されるため、衛星から見たカバレッジエリアの方向も固定されている。
【0005】
【非特許文献1】
オーム社刊、飯田尚志編著「衛星通信」、127〜128ページ
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、楕円軌道でかつ軌道傾斜角が0度でないような非静止軌道を周回する衛星に、上記従来のアンテナ装置を適用した場合には、地球と衛星の相対的な位置が変化するため、衛星から見たカバレッジエリアの方向および形状が変化し、ビームがカバレッジエリアからはずれてしまう、という問題があった。
【0007】
図14は、従来のアンテナ装置の問題点を示す図であり、たとえば、軌道傾斜角45°,離心率約0.1,遠地点高度約40,000km,周期24時間で遠地点が概ね北海道上空にくるような非静止衛星軌道上に衛星を打ち上げ、この衛星の基準方向を地球中心(地心)に指向させ、かつ太陽電池パドルを南北方向に向くように制御した場合の、衛星から見たカバレッジエリアの移動の様子を示している。図14において、201aは遠地点−4時間の時点で衛星から見たカバレッジエリアを表し、201bは遠地点時点で衛星から見たカバレッジエリアを表し、201cは遠地点+4時間の時点で衛星から見たカバレッジエリアを表す。衛星の周回により、カバレッジエリアが衛星に対して大きく移動していることがわかる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、人工衛星の周回によりカバレッジエリアが移動した場合であっても、マルチビーム,形成ビーム,またはマルチビームおよび成形ビームの組み合わせがカバレッジエリアからはずれないように動作可能な非静止衛星搭載用アンテナ装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる非静止衛星搭載用アンテナ装置にあっては、非静止軌道上を周回する人工衛星に搭載され、複数個のビームで構成されるマルチビームを所要のカバレッジエリアに向けて形成するための構成として、基準ビームを地上基準位置に指向させ、さらに、人工衛星の周回に応じて地上基準位置を中心に回転移動するカバレッジエリアの回転範囲を、前記基準ビームを含むマルチビームによりカバーするように、マルチビームアンテナの指向方向を制御するビーム制御手段、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、基準ビームを絶えず地上基準位置に指向させ、複数のビーム(マルチビーム)によりカバレッジエリアの回転範囲をカバーし、たとえば、回転するカバレッジエリアの現在位置に対応したビームを選択することによって、衛星の周回によるカバレッジエリアの移動の影響を受けずに、所要最低数のスポットビームを配置する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる非静止衛星搭載用アンテナ装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる非静止衛星搭載用アンテナ装置の実施の形態1の構成を示す図である。この非静止衛星搭載用アンテナ装置は、衛星上に搭載され地球に向けて複数個のビームを放射するマルチビームアンテナ11と、マルチビームアンテナ11から地球に向けて放射する各ビームの電波信号を入出力するためのマルチビーム端子61〜72(67は基準マルチビーム端子)と、複数個のマルチビーム端子61から所要の個数のビームを選択するビーム選択器12aと、同様にマルチビーム端子62〜65,69〜72からそれぞれ所要の個数のビームを選択するビーム選択器12b〜12iと、ビーム選択器12aにて選択されたビームの電波信号を入出力するためのビーム入出力端子101と、同様にビーム選択器12b〜12iにて選択されたビームの電波信号を入出力するためのビーム入出力端子102〜105,109〜112と、マルチビーム端子66,68および基準マルチビーム端子67に各々接続されたビーム入出力端子106〜108と、衛星の周回に応じてマルチビームの指向方向および選択方法を制御し、マルチビームアンテナ11に指向制御信号を、ビーム選択器12a〜12iにビーム制御信号を、それぞれ出力するビーム制御器21から構成される。
【0013】
なお、マルチビーム端子61〜66,68〜72は、それぞれ複数個の端子で構成された端子群であり、22は指向制御信号を伝送するための指向制御線を表し、23はビーム制御信号を伝送するためのビーム制御線を表す。
【0014】
また、図2は、カバレッジエリアの回転の一例を示す図であり、図3は、図2を模式的に表したカバレッジエリアの回転を示す図である。図示の115aは最も左周りに回転した場合の衛星から見たカバレッジエリアを表し、115bは最も右回りに回転した場合の衛星から見たカバレッジエリアを表し、117は基準ビームを絶えず指向させる地上基準位置を表す。なお、図2および図3においては、軌道傾斜角45°、離心率約0.1、遠地点高度約40,000km、周期24時間で遠地点が概ね北海道上空にくるような非静止衛星軌道上に衛星を打ち上げ、概ね遠地点±4時間の範囲の時間帯にこの衛星を使用する場合を想定する。
【0015】
また、図4は、マルチビームの配置を示す図であり、61a〜72aは上記図1のマルチビーム端子61〜72に対応するマルチビームアンテナ11から放射されたマルチビームの各ビーム(67aは基準マルチビーム端子67に対応する基準ビーム)を表す。なお、各ビーム61a〜72aは、マルチビームアンテナ11を基準とする座標形に対して固定して配置されている。また、各ビーム61a〜72aは、カバレッジエリア115a〜115bの回転範囲をすべてカバーできるように配置されている。また、同一符号のビーム(たとえばビーム61a)は、それぞれ基準ビーム67aを中心として同じ距離に配置されており、各ビーム61a〜66a,68a〜72aは、同心円状に配置されている。これにより、固定マルチビームからスポットビームを選択するときに、同心円の同一半径上のビームのみから所要のスポットビームを選択できるので、ビームを再形成する制御が容易となる。
【0016】
ここで、本実施の形態の非静止衛星搭載用アンテナ装置の動作について説明する。なお、本実施の形態の非静止衛星搭載用アンテナ装置は、送信および受信のどちらの場合においても適用可能であるが、ここでは、説明の便宜上、受信の場合を用いる。
【0017】
マルチビームアンテナ11は、指向制御線22を用いて伝送されたビーム制御器21出力の指向制御信号に基づいて、基準ビーム67aを地上基準位置117に指向する。これにより、衛星からは、図2および図3に示すように、カバレッジエリア115a〜115bが地上基準位置117を中心として回転するように見える。
【0018】
さらに、マルチビームアンテナ11は、指向制御信号に基づいて、全てのビーム(マルチビーム端子61〜72に対応)がカバレッジエリア115a〜115bの回転範囲内をカバーするように、各ビーム(61a〜66a,68a〜72a)の指向方向を制御する。制御方法としては、たとえば、マルチビームアンテナ11に機械駆動系を設置し、機械駆動系を動かすことでマルチビームアンテナ11の方向を変化させる。
【0019】
つぎに、衛星の周回に対応してカバレッジエリアが、115aから115bへ、また115bから115aへ回転する場合の動作について説明する。回転するカバレッジエリアに対応して、ビーム制御器21では、ビーム制御線23を用いて、ビーム制御信号をビーム選択器12a〜12iに対して送出する。ビーム選択器12aでは、カバレッジエリア(115aから115bの範囲)の位置に対応した複数のスポットビーム61aの信号をマルチビーム端子61から選択してビーム入出力端子101に出力する。他のビーム選択器12b〜12iも同様に、複数のスポットビーム(61a〜65a,69a〜72a)の信号をマルチビーム端子62〜65,69〜72から選択し、それぞれビーム入出力端子102〜105,109〜112に出力する。
【0020】
なお、図4において、ビーム66a,68aおよび基準ビーム67aの信号については、カバレッジエリアが回転した場合であっても選択されるビームが同一であるため、ビーム選択器の制御によらず、直接スポットビーム106a〜108aの信号としてビーム入出力端子106〜108に出力される。
【0021】
図5は、カバレッジエリア115bの状態の時に選択されたスポットビームの配置例を示す図であり、101a〜112aは、上記図1のビーム入出力端子101〜112にそれぞれ対応するスポットビームである。
【0022】
このように、本実施の形態においては、基準ビーム67aを絶えず地上基準位置に指向させ、複数のビーム61a〜72aによりカバレッジエリアの回転範囲をカバーし、さらに、ビーム選択器12a〜12iにより回転するカバレッジエリアの位置に対応したビームを選択する構成とした。これにより、衛星の周回によるカバレッジエリアの移動の影響を受けずに、絶えず所要最低数のスポットビームを配置することができ、マルチビームがカバレッジエリアからはずれないように動作可能な非静止衛星搭載用アンテナ装置を得ることができる。
【0023】
また、本実施の形態においては、マルチビームアンテナ11が、基準ビームの指向方向制御と、固定して配置されたビーム61a〜72aの指向エリアの制御と、を行う構成とした。これにより、マルチビームの形状や個数および配置位置を個別に制御する方法に比べて、マルチビームアンテナの構造を簡略化することができる。
【0024】
また、本実施の形態においては、マルチビームアンテナ11が、基準ビーム67aの指向方向制御とビーム61a〜66a,68a〜72aの指向エリアの制御とを行い、ビーム選択器12a〜12iが、ビーム選択を行い、それぞれ機能を分散させている。これにより、ビーム制御器21の制御も容易となる。
【0025】
なお、本実施の形態においては、マルチビームアンテナ11による基準ビーム67aおよび各ビーム(61a〜66a,68a〜72a)の指向方向の制御方法として、たとえば、マルチビームアンテナ11本体を機械駆動させる方法を示したが、これに限らず、たとえば、衛星本体の姿勢を制御することとしてもよいし、フェーズドアレーアンテナ方式を採用して電子的にビーム61a〜72aの指向方向を一括して制御してもよいし、または、RF信号を離散値でサンプリングし、振幅位相をデジタル信号として制御するデジタルビームフォーミングアンテナとしてもよい。
【0026】
また、本実施の形態におけるビーム制御器12a〜12iは、RFアナログ回路,IFアナログ回路,デジタル回路等、その形態については特に問わない。
【0027】
また、本実施の形態においては、基準ビーム67aを含む全てのビーム61a〜72aを使用してスポットビーム101a〜112aを形成しているが、たとえば、一部のビームおよびスポットビームを仮想的なビームとし、対応するビーム入出力端子,ビーム選択器,ビーム入出力端子を削除する構成としてもよい。たとえば、ビーム64aおよびこれに対応するスポットビーム104aは仮想的なビームとし、対応するマルチビーム端子64,ビーム選択器12d、ビーム入出力端子104を削除する構成とする。なお、この仮想的なビーム,スポットビーム,マルチビーム端子,ビーム入出力端子が、基準ビーム67a,スポットビーム107a,マルチビーム端子67,ビーム入出力端子107であってもよい。
【0028】
また、本実施の形態では、ビーム61a〜65a、69a〜72aにはビーム選択器12a〜12iを接続し、一部のビーム66a,68aにはビーム選択器を使用しない構成としたが、全てのビームにビーム選択器を用いることとしてもよい。
【0029】
実施の形態2.
図6は、本発明にかかる非静止衛星搭載用アンテナ装置の実施の形態2の構成を示す図である。なお、前述の実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。ここでは、ビーム選択器12a〜12iの代わりに、マルチビーム端子61からの信号の振幅,位相または振幅と位相の双方を合成して所望信号であるスポットビーム101bを生成し、対応するビーム入出力端子101に出力するビーム合成器13aと、同様の処理で各マルチビーム端子62〜65,69〜72の信号の合成して所望信号であるスポットビーム102b〜105b,109b〜112bをビーム入出力端子102〜105,109〜112に出力するビーム合成器13b〜13iと、を備える。
【0030】
図7は、カバレッジエリア115bの状態の時に合成されたスポットビームの配置を示す図であり、101b〜112bは上記図6のビーム入出力端子101〜112に対応するスポットビームを表す。
【0031】
ここで、本実施の形態の非静止衛星搭載用アンテナ装置の動作について説明する。なお、本実施の形態では、前述の実施の形態1と異なる動作および効果についてのみ説明する。
【0032】
マルチビームアンテナ11では、ビーム制御器21からの指向制御信号に基づいて、基準ビーム67aを地上基準位置117に指向する。また、マルチビームアンテナ11では、全てのビーム61a〜72aがカバレッジエリア115a,115bの回転範囲内をカバーするように、ビーム61a〜72aの指向方向を制御する。
【0033】
つぎに、回転するカバレッジエリアの位置に対応してビーム制御器21では、ビーム制御信号を各ビーム合成器13a〜13iに対して送出する。ビーム合成器13aでは、マルチビームのビーム61aの信号を合成し、カバレッジエリア115a〜115bの位置に対応した複数のスポットビーム101bを生成してビーム入出力端子101に出力する。他のビーム合成器13b〜13iも同様の処理を行い、それぞれスポットビーム102b〜105b,109b〜112bをビーム入出力端子102〜105,109〜112に出力する。すなわち、ここでは、カバレッジエリアに対して常に同じビーム配置となるように、ビームを再形成する。
【0034】
なお、図7において、ビーム66a,68aおよび基準ビーム67aについては、カバレッジエリアが回転した場合であっても選択されるビームが同一であるため、ビーム合成器の制御によらず、直接スポットビーム106b〜108bとしてビーム入出力端子106〜108に出力される。
【0035】
このように、本実施の形態においては、基準ビーム67aを絶えず地上基準位置に指向させ、複数のビーム61a〜72aによりカバレッジエリアの回転範囲をカバーし、さらに、ビーム合成器13a〜13iにより回転するカバレッジエリアの位置に対応したビームを合成/選択する構成とした。これにより、衛星の周回によるカバレッジエリアの移動の影響を受けずに、絶えず所要最低数のスポットビームを配置することができる。
【0036】
また、本実施の形態においては、マルチビームアンテナ11が、基準ビーム67aの指向方向制御とビーム61a〜66a,68a〜72aの指向エリアの制御とを行い、ビーム合成器13a〜13iが、ビーム合成および選択を行い、それぞれ機能を分散させている。これにより、ビーム制御器21の制御も容易となる。
【0037】
実施の形態3.
図8は、本発明にかかる非静止衛星搭載用アンテナ装置の実施の形態3の構成を示す図である。なお、前述の実施の形態1または2と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。本実施の形態においては、すべてのマルチビーム端子61〜72の信号の振幅,位相または振幅と位相の双方を合成し、合成後の所望信号を成形ビーム120aとして出力する成形ビーム形成器14を備える。また、120は成形ビーム120aの信号を入出力する成形ビーム入出力端子を表す。
【0038】
図9は、カバレッジエリア115aおよび115bに対応して配置される成形ビームを示す図である。
【0039】
ここで、本実施の形態の非静止衛星搭載用アンテナ装置の動作について説明する。なお、本実施の形態では、前述の実施の形態1または2と異なる動作および効果についてのみ説明する。
【0040】
マルチビームアンテナ11では、ビーム制御器21からの指向制御信号に基づいて、基準ビーム67aを地上基準位置117に指向する。また、マルチビームアンテナ11では、全てのビーム61a〜72aがカバレッジエリア115a〜115bの回転範囲内をカバーするように、ビーム61a〜72aの指向方向を制御する。
【0041】
つぎに、回転するカバレッジエリアの位置に対応してビーム制御器21では、ビーム制御信号を成形ビーム形成器14に対して送出する。成形ビーム形成器14では、ビーム制御信号に基づいて、マルチビーム端子61〜72の各信号の振幅,位相または振幅と位相の双方を合成し、カバレッジエリア115a〜115bの位置に対応した成形ビーム120aを形成する。そして、成形ビーム120aに対応する信号を成形ビーム入出力端子120に出力する。
【0042】
このように、本実施の形態においては、基準ビーム67aを絶えず地上基準位置に指向させ、複数のビーム61a〜72aによりカバレッジエリアの回転範囲をカバーし、さらに、成形ビーム形成器14により回転するカバレッジエリアの位置に対応した成形ビームを形成する構成とした。これにより、衛星の周回によるカバレッジエリアの移動の影響を受けずに、絶えずカバレッジエリアの位置と形状に則した成形ビームを形成することができる。
【0043】
また、本実施の形態においては、マルチビームアンテナ11が、基準ビーム67aの指向方向制御と、固定して配置されたビーム61a〜72aの指向エリアの制御と、を行う構成とした。これにより、マルチビームの形状や個数および配置位置を個別に制御して成形ビームを直接形成する方法に比べて、マルチビームアンテナの構造を簡略化することができる。
【0044】
また、本実施の形態においては、マルチビームアンテナ11が、基準ビーム67aの指向方向制御とビーム61a〜66a,68a〜72aの指向エリアの制御とを行い、成形ビーム形成器14が、固定マルチビームから成形ビームを形成し、それぞれ機能を分散させている。これにより、ビーム制御器21の制御も容易となる。
【0045】
実施の形態4.
図10は、本発明にかかる非静止衛星搭載用アンテナ装置の実施の形態4の構成を示す図であり、ここでは、前述した実施の形態2と実施の形態3を組み合わせた構成を示している。なお、前述の実施の形態1、2または3と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。本実施の形態においては、マルチビーム端子61〜64の信号の振幅,位相または振幅と位相の双方を合成し、合成後の所望信号を成形ビーム121aとして出力する成形ビーム形成器14bと、マルチビーム端子70〜72の信号の振幅,位相または振幅と位相の双方を合成し、合成後の所望信号を成形ビーム122aとして出力する成形ビーム形成器14cと、を備える。また、121,122はそれぞれ成形ビーム121a,122aの信号を入出力する成形ビーム入出力端子を表す。
【0046】
図11は、カバレッジエリア115bに対応して配置されるスポットビームおよび成形ビームを示す図である。
【0047】
ここで、本実施の形態の非静止衛星搭載用アンテナ装置の動作について説明する。なお、本実施の形態では、前述の実施の形態1、2または3と異なる動作および効果についてのみ説明する。
【0048】
回転するカバレッジエリアの位置に対応してビーム制御器21では、ビーム制御信号を各ビーム合成器13e,13fおよび成形ビーム形成器14b,14cに対して送出する。ビーム合成器13eでは、マルチビームのビーム65aの信号を合成し、カバレッジエリア115a〜115bの位置に対応した複数のスポットビーム105bを選択してビーム入出力端子105に出力する。ビーム合成器13fも同様の処理を行い、スポットビーム109bをビーム入出力端子109に出力する。また、成形ビーム形成器14bでは、ビーム制御信号に基づいて、マルチビーム端子61〜72の各信号の振幅,位相または振幅と位相の双方を制御し、カバレッジエリア115a〜115bの位置に対応した成形ビーム121aを形成する。そして、成形ビーム121aに対応する信号を成形ビーム入出力端子121に出力する。成形ビーム形成器14cも同様の処理を行い、成形ビーム122aに対応する信号を成形ビーム入出力端子122に出力する。
【0049】
これにより、本実施の形態においては、前述の実施の形態2および実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
【0050】
実施の形態5.
図12は、実施の形態5のマルチビームの配置を示す図であり、61c〜73aは実施の形態1〜4に示すマルチビームアンテナ11から放射されたマルチビームの各ビーム(67cは基準マルチビーム端子67に対応する基準ビーム)を表す。ここでは、各ビーム61c〜73cは、マルチビームアンテナ11を基準とする座標形に対して固定して配置されている。また、各ビーム61c〜73cは、カバレッジエリア115a〜115bの回転範囲をすべてカバーできるように配置されている。
【0051】
また、実施の形態1〜4においては、同一符号のビーム(たとえばビーム61a)が、それぞれ基準ビーム67aを中心として同じ距離の地点に配置され、各ビーム61a〜66a,68a〜72aが、同心円状に配置されていたが、本実施の形態においては、61c〜66c,68c〜73cが、3角格子状に配置されている。
【0052】
図12に示すマルチビーム配置は、前述した実施の形態1〜4の全てに適用可能であり、各実施の形態においてこのマルチビーム配置を適応した場合には、それぞれ同様の効果を得ることができる。
【0053】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、本発明によれば、基準ビームを絶えず地上基準位置に指向させ、複数のビームによりカバレッジエリアの回転範囲をカバーし、さらに、回転するカバレッジエリアの位置に対応したビームを選択可能な構成とした。これにより、衛星の周回によるカバレッジエリアの移動の影響を受けずに、絶えず所要最低数のスポットビームを配置することができ、マルチビームがカバレッジエリアからはずれないように動作可能な非静止衛星搭載用アンテナ装置を得ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる非静止衛星搭載用アンテナ装置の実施の形態1の構成を示す図である。
【図2】 カバレッジエリアの回転の一例を示す図である。
【図3】 図2を模式的に表したカバレッジエリアの回転を示す図である。
【図4】 マルチビームの配置を示す図である。
【図5】 カバレッジエリアの状態の時に選択されたスポットビームの配置例を示す図である。
【図6】 本発明にかかる非静止衛星搭載用アンテナ装置の実施の形態2の構成を示す図である。
【図7】 カバレッジエリアの状態の時に合成されたスポットビームの配置例を示す図である。
【図8】 本発明にかかる非静止衛星搭載用アンテナ装置の実施の形態3の構成を示す図である。
【図9】 各カバレッジエリアに対応して配置される成形ビームを示す図である。
【図10】 本発明にかかる非静止衛星搭載用アンテナ装置の実施の形態4の構成を示す図である。
【図11】 カバレッジエリアに対応して配置されるスポットビームおよび成形ビームを示す図である。
【図12】 実施の形態5のマルチビームの配置を示す図である。
【図13】 従来のアンテナ装置からカバレッジエリアに向けて放射されたマルチビームの配置例を示す図である。
【図14】 従来のアンテナ装置の問題点を示す図である。
【符号の説明】
11 マルチビームアンテナ、12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12i ビーム選択器、13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g,13h,13i ビーム合成器、14,14b,14c 成形ビーム形成器、21 ビーム制御器、61,62,63,64,65,66,68,69,70,71,72 マルチビーム端子、101,102,103,104,105,106,107,108,109,110,111,112 ビーム入出力端子、120,121,122 成形ビーム入出力端子。
Claims (6)
- 非静止軌道上を周回する人工衛星に搭載され、複数個のビームで構成されるマルチビームを所要のカバレッジエリアに向けて形成する非静止衛星搭載用アンテナ装置において、
基準ビームを地上基準位置に指向させ、さらに、人工衛星の周回に応じて地上基準位置を中心に回転移動するカバレッジエリアの、回転し得る全範囲を示す回転範囲を、前記基準ビームを含む、前記カバレッジエリアの回転範囲の一部を含むように配置されたマルチビームによりカバーするように、マルチビームアンテナの指向方向を制御するビーム制御手段と、
前記カバレッジエリアの回転範囲をカバーするマルチビームから、現在のカバレッジエリアの形状に対応するビームを選択するビーム選択手段と、
を備えることを特徴とする非静止衛星搭載用アンテナ装置。 - 非静止軌道上を周回する人工衛星に搭載され、複数個のビームで構成されるマルチビームを所要のカバレッジエリアに向けて形成する非静止衛星搭載用アンテナ装置において、
基準ビームを地上基準位置に指向させ、さらに、人工衛星の周回に応じて地上基準位置を中心に回転移動するカバレッジエリアの、回転し得る全範囲を示す回転範囲を、前記基準ビームを含む、カバレッジエリアの回転範囲の一部を含むように配置されたマルチビームによりカバーするように、マルチビームアンテナの指向方向を制御するビーム制御手段と、
前記カバレッジエリアの回転範囲をカバーするマルチビームの信号の振幅、位相または振幅と位相の双方を合成し、現在のカバレッジエリアの形状に対応するビームを再形成するビーム合成手段と、
を備えることを特徴とする非静止衛星搭載用アンテナ装置。 - 非静止軌道上を周回する人工衛星に搭載され、複数個のビームで構成されるマルチビームを所要のカバレッジエリアに向けて形成する非静止衛星搭載用アンテナ装置において、
基準ビームを地上基準位置に指向させ、さらに、人工衛星の周回に応じて地上基準位置を中心に回転移動するカバレッジエリアの、回転し得る全範囲を示す回転範囲を、前記基準ビームを含む、カバレッジエリアの回転範囲の一部を含むように配置されたマルチビームによりカバーするように、マルチビームアンテナの指向方向を制御するビーム制御手段と、
前記カバレッジエリアの回転範囲をカバーするマルチビームの信号の振幅、位相または振幅と位相の双方を合成し、現在のカバレッジエリアの形状に対応する成形ビームを形成する成形ビーム形成手段と、
を備えることを特徴とする非静止衛星搭載用アンテナ装置。 - 非静止軌道上を周回する人工衛星に搭載され、複数個のビームで構成されるマルチビームを所要のカバレッジエリアに向けて形成する非静止衛星搭載用アンテナ装置において、
基準ビームを地上基準位置に指向させ、さらに、人工衛星の周回に応じて地上基準位置を中心に回転移動するカバレッジエリアの、回転し得る全範囲を示す回転範囲を、前記基準ビームを含む、カバレッジエリアの回転範囲の一部を含むように配置されたマルチビームによりカバーするように、マルチビームアンテナの指向方向を制御するビーム制御手段と、
カバレッジエリアの回転範囲の特定部をカバーする所定数のビームの信号の振幅、位相または振幅と位相の双方を合成し、現在のカバレッジエリアの形状の前記特定部に対応するビームを再形成するビーム合成手段と、
カバレッジエリアの回転範囲の特定部以外の残りの部分をカバーする所定数のビームの信号の振幅、位相または振幅と位相の双方を合成し、現在のカバレッジエリアの形状の前記残りの部分に対応する成形ビームを形成する成形ビーム形成手段と、
を備えることを特徴とする非静止衛星搭載用アンテナ装置。 - 前記カバレッジエリアの回転範囲をカバーするマルチビームは、基準ビームを中心とする同心円状に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の非静止衛星搭載用アンテナ装置。
- 前記カバレッジエリアの回転範囲をカバーするマルチビームは、基準ビームを中心として三角格子を構成するように配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の非静止衛星搭載用アンテナ装置。
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