JP4090114B2 - ゴム組成物、その製造方法及びタイヤ - Google Patents

ゴム組成物、その製造方法及びタイヤ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫黄架橋されたゴム組成物、その製造方法及び該ゴム組成物を用いたタイヤに関する。さらに詳しくは、本発明は、加工性,耐摩耗性及び経時変化によるゴムの硬化抑制などに優れた硫黄架橋されたゴム組成物、これを効率よく製造する方法、並びに上記硫黄架橋されたゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤ及びソリッドタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリシロキサンを含有するゴム組成物としては、これまで種々のものが知られている。例えば特開平9−111044号公報,特開平9−194641号公報及び「Novel Processing Agents for Silica-filled Rubber」(American Chemical Society, 151th Rubber Division Meeting) には、アルコキシシリル基又はアシロキシシリル基を含むポリシロキサンを使用したゴム組成物が、開示又は報告されている。しかしながら、これらのポリシロキサンは、工業的には、通常Si−H基含有ポリシロキサン(ポリアルキルハイドロジエンシロキサン)を原料として用いて製造されるが、上記「Novel Processing Agents for Silica-filled Rubber」中に記載されているように、Si−H基をアルコキシル基に完全に転化することは、極めて困難であるために、混練り中に残留Si−H基が加水分解反応を起こして水素ガスを発生するおそれがあり、安全上好ましくない。
一方、特公平3−17764号公報には、オルガノポリシロキサンとシリカ及びγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランとを組み合わせたものを使用することにより、補強性及び分散性を改良したゴム組成物が開示されている。しかしながら、この組成物においては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランがスコーチ(いわゆる焦け)を起こしやすく、未加硫ゴム粘度が上昇し、加工性が低下するので、工業的には、補強性を得るのに充分な量を配合することができないという問題がある上に、使用するシリカについては、その種類や製法などについて何ら説明がなされていない。
【0003】
また、含水ケイ酸を充填剤に用いた場合、カーボンブラックを用いた場合と同レベルの弾性率(応力)を得るには、多量の加硫剤,加硫促進剤を配合しなければならないことが知られている。これは、含水ケイ酸の表面シラノール基に加硫促進剤が吸着されたり、含水ケイ酸が固体酸性を示すために、加硫反応速度が遅くなるためであるが、このように、多量に加硫剤や加硫促進剤を配合すると、それらが残存し、経時的にゴムを硬化させる原因となる。タイヤにおけるゴムの硬化は、摩耗末期における乗り心地悪化,ウェット路面でのグリップ悪化,チャンク(トレッド欠け)の原因となるため、避けることが望ましい。
さらに、含水ケイ酸を配合したゴム組成物においては、ポリエチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエタノールアミンなどの活性剤を添加することにより、加硫遅れを防ぎうることが知られているが、同時にスコーチしやすく、焦けやすくなるために、加工性が悪化するなど、好ましくない事態を招来するという問題が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、未加硫ゴムの加工性や、耐摩耗性及び経時変化によるゴムの硬化抑制などに優れた硫黄架橋されたゴム組成物、及びこのゴム組成物を用いたタイヤを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、天然ゴムやジエン系合成ゴムに、特定の比表面積を有する含水ケイ酸及び特定の構造のオルガノポリシロキサンとシランカップリング剤をそれぞれ所定の割合で配合し、場合により、特定の比表面積を有するカーボンブラックを所定の割合で配合し、特定の温度で混練りしたのち、硫黄架橋処理することにより、未加硫ゴムの加工性や、耐摩耗性及び経時変化によるゴムの硬化抑制などに優れた硫黄架橋されたゴム組成物が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)(A)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム、(B)水銀圧入法で測定した比表面積が120〜300m2 /gの範囲にある含水ケイ酸、(C)一般式(I)
(SiO2)a 1 2(a+1) ・・・(I)
(式中、X1 は少なくとも一つがO1/2 〔Y2 SiO〕b Rで、残りがO1/2 Rであり、Yはメチル基,エチル基又はフェニル基、Rは水素原子,メチル基又はエチル基、aは1〜20の数、bは0.5〜20の数を示し、分子中のX1 は同一でも異なっていてもよく、また分子中のYは同一でも異なっていてもよい。)で表されるオルガノポリシロキサン及び(D)一般式(II)
【0006】
【化3】
Figure 0004090114
【0007】
(式中、X2 は炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜3の整数、mは1〜3の整数、cは1〜9の整数を示し、dは1以上の整数で分布を有することもある。)で表されるシランカップリング剤を含有するものであって、(B)成分含有量が、(A)成分100重量部当たり、10〜100重量部であり、かつ(C)成分含有量,(D)成分含有量及び(C)成分と(D)成分との合計含有量が、(B)成分含有量に対し、それぞれ1〜10重量%、2〜15重量%及び5〜20重量%であることを特徴とする硫黄架橋されたゴム組成物、
(2)さらに、(E)窒素吸着法により測定した比表面積が100〜200m2 /gのカーボンブラックを、(A)成分100重量部当たり、5〜80重量部の割合で含有し、かつ(B)成分と(E)成分との合計含有量が、(A)成分100重量部当たり、120重量部以下である上記(1)の硫黄架橋されたゴム組成物、
(3)上記(1),(2)のゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤ、及び
(4)上記(1),(2)のゴム組成物を用いてなるソリッドタイヤ、
を提供するものである。
【0008】
また、前記(1),(2)の硫黄架橋されたゴム組成物は、(A)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム100重量部に対し、(B)成分の含水ケイ酸10〜100重量部を配合するとともに、前記(C)成分のオルガノポリシロキサン及び前記(D)成分のシランカップリング剤を、該(B)成分に対し、それぞれ1〜10重量%及び2〜15重量%の割合で、かつ(C)成分と(D)成分との合計が5〜20重量%になるように配合し、さらに、場合により、前記(E)成分のカーボンブラックを、(A)成分100重量部当たり、2〜80重量部の割合で、かつ(B)成分と(E)成分との合計量が、120重量部以下になるように配合し、140℃以上の温度に到達するまで混練りしたのち、硫黄架橋処理することにより、製造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物においては、(A)成分として、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムが用いられる。ここで、ジエン系合成ゴムとしては、例えばポリイソプレン合成ゴム(IR),ポリブタジエンゴム(BR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR),クロロプレンゴム(CR),ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。
この(A)成分の天然ゴムやジエン系合成ゴムは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物においては、(B)成分として、水銀圧入法で測定した比表面積が120〜300m2 /gの範囲にある含水ケイ酸が用いられる。この比表面積が120m2 /g未満では補強性に劣り、300m2 /gを超えると分散性が悪くなり、加工性,耐摩耗性が低下する。補強性,加工性及び耐摩耗性のバランスなどの面から、好ましい比表面積は130〜260m2 /gの範囲である。なお、この比表面積(S)の算出法は、細孔を円筒形と仮定し、S(m2 /g)=2V/r〔(V=全細孔容積(ml/g)、r=平均細孔半径(μm)〕で算出する。
【0010】
この含水ケイ酸は、従来の湿式法による含水ケイ酸の製造方法と同様にして製造することができる。すなわち、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液と鉱酸とを反応させることにより、含水ケイ酸が沈殿物として得られる。この際、所定濃度に調整されたアルカリ金属ケイ酸塩水溶液に鉱酸を添加する方法、あるいはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液と鉱酸とを、同時に反応器に添加する方法のいずれも用いることができる。
本発明においては、この(B)成分の含水ケイ酸は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、前記(A)成分100重量部に対し、10〜100重量部の範囲である。この配合量が10重量部未満では充分な補強効果が得られず、本発明の目的が達せられない。また、100重量部を超えるとゴム組成物に要求される他の物性が低下するおそれがある。補強性及びその他の物性などを考慮すると、この(B)成分の好ましい配合量は15〜80重量部の範囲である。
【0011】
本発明のゴム組成物においては、前記(B)成分の効果を、さらに向上させるために、(C)成分であるオルガノポリシロキサン及び(D)成分であるシランカップリング剤が用いられる。
上記(C)成分のオルガノポリシロキサンは、一般式(I)
(SiO2)a 1 2(a+1) ・・・(I)
で表される構造を有するものである。
上記一般式(I)において、X1 は少なくとも一つがO1/2 〔Y2 SiO〕b Rで、残りがO1/2 Rである。Yはメチル基,エチル基又はフェニル基を示すが、コスト面でメチル基が最も好ましい。Rは水素原子,メチル基又はエチル基を示すが、オルガノポリシロキサンの安定性や発生する気体の安全性の面から、エチル基が最も好ましい。
【0012】
また、aは1〜20の数であるが、このaが大きすぎると分子量が大きくなりすぎ、オルガノポリシロキサンの粘度が高くなって、作業性上好ましくない。したがって、このaの範囲は、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8である。一方、bは0.5〜20の数であるが、このbが大きすぎると未加硫ゴム表面にブリードするようになり、好ましくない。したがって、このbの範囲は0.5〜10が好ましい。分子中のX1 は同一でも異なっていてもよく、また、分子中のYは同一でも異なっていてもよい。
この(C)成分のオルガノポリシロキサンは、引火点が100℃以上のものが好ましく、特に140℃以上のものが好ましい。また、このオルガノポリシロキサンは、含水ケイ酸,クレー,カーボンブラックなどの無機粉体や、ワックス,ステアリン酸等に担持させて使用することができる。
【0013】
この(C)成分のオルガノポリシロキサンは、以下に示す作用を有するものと考えられる。すなわち、該オルガノポリシロキサンが、(B)成分の含水ケイ酸の表面シラノール基と反応することにより、水素結合による含水ケイ酸の凝集力が低減し、含水ケイ酸の分散性が改良され、未加硫ゴムの粘度が低下して、加工性が改善されるとともに、耐摩耗性も改善されると考えられる。また、同時に、加硫促進剤を吸着したり、固体酸性を示すシラノール基が反応によって少なくなるため、加硫遅れを防ぐことができ、より少ない量の加硫剤及び加硫促進剤で高い弾性率を得ることが可能となる。その結果、加硫後に残存する硫黄や加硫促進剤が減少して、加硫ゴムの経時変化による硬化が抑制されるものと考えられる。上記オルガノポリシロキサンの製造方法としては特に制限はなく、従来公知の方法、例えば特開昭58−67728号公報に記載されている方法に従って製造することができる。具体的には、アルキルポリシリケート又はテトラアルキルシリケートと環状ジアルキルポリシロキサン又は環状ジアリールポリシロキサンを、アルカリ触媒を添加した極性有機化合物中において、窒素雰囲気下で加熱攪拌することにより製造することができる。
本発明においては、この(C)成分のオルガノポリシロキサンは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、(D)成分のシランカップリング剤は、一般式(II)
【0014】
【化4】
Figure 0004090114
【0015】
で表される構造を有するものである。
上記一般式(II)において、X2 は炭素数1〜3のアルキル基、すなわちメチル基,エチル基,n−プロピル基及びイソプロピル基を示し、nは1〜3の整数、mは1〜3の整数、cは1〜9の整数を示し、dは1以上の整数で分布を有することもある。mが1のときは、二つのX2 は同一でも異なっていてもよく、mが2又は3のときは、二つ又は三つのCn 2n+1O−基は同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(II)で表されるシランカップリング剤の例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド,ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド,ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド,ビス(3−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド,ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド,ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド,ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィドなどが挙げられる。
【0016】
このシランカップリング剤においては、一分子中の硫黄の含有量が10〜25重量%の範囲にあるものが好ましい。硫黄の含有量が10重量%未満では、ゴム組成物の弾性率や補強性が充分に発揮されないおそれがあり、25重量%を超えると分子中のS−S結合が混練り中に解裂して、いわゆる焦けが起こりやすくなり、加工性が極端に悪化するおそれがある。弾性率,補強性及び加工性などを考慮すると、分子中の硫黄の含有量が12〜20重量%の範囲にあるシランカップリング剤が特に好適である。
本発明においては、このシランカップリング剤は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
本発明においては、上記(C)成分のオルガノポリシロキサンは、(B)成分の含水ケイ酸の量に対し、1〜10重量%の割合で配合される。この配合量が1重量%未満では加工性,耐摩耗性,経時変化によるゴムの硬化抑制の向上効果が充分に発揮されず、10重量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられず、むしろ経済的に不利となる。効果及び経済性などの面から、この(C)成分の好ましい配合量は2〜8重量%の範囲である。
一方、(D)成分のシランカップリング剤は、(B)成分の含水ケイ酸の量に対し、2〜15重量%の割合で配合される。この配合量が2重量%未満では、(C)成分の場合と同様に加工性,耐摩耗性,経時変化によるゴムの硬化抑制の向上効果が充分に発揮されず、15重量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられず、むしろ経済的に不利となる。効果及び経済性などの面から、この(D)成分の好ましい配合量は3〜10重量%の範囲である。
【0018】
また、本発明においては、この(C)成分と(D)成分との合計配合量は、上記の効果及び経済性などの面から、(B)成分の含水ケイ酸の量に対し、5〜20重量%、好ましくは8〜15重量%の範囲である。
本発明のゴム組成物においては、弾性率や補強性などを向上させる目的で、所望により、(E)成分として窒素吸着法により測定した比表面積が100〜200m2 /gの範囲にあるカーボンブラックを配合することができる。
このカーボンブラックは、製造方法によりチャンネルブラック,ファーネスブラック,アセチレンブラック及びサーマルブラックなどに分類されるが、いずれのものも用いることができる。比表面積が上記範囲を逸脱したものでは、耐摩耗性や補強性などの向上効果が充分に発揮されない。
【0019】
本発明においては、この所望により用いられる(E)成分のカーボンブラックの配合量は、前記(A)成分100重量部に対し、2〜80重量部の範囲になるように、かつ前記(B)成分の含水ケイ酸との合計量が120重量部以下になるように選ばれる。この(E)成分の配合量が2重量部未満ではカーボンブラックを配合した効果が充分に発揮されず、また80重量部を超えたり、(B)成分との合計量が120重量部を超えると所望の物性を有するゴム組成物が得られにくく、本発明の目的が達せられないおそれがある。配合効果及び物性などの面から、この(E)成分の好ましい配合量は、2〜70重量部の範囲であり、かつ(B)成分との合計配合量は100重量部以下が好ましい。
本発明のゴム組成物は、硫黄架橋されたものであって、前記成分以外に、硫黄系加硫剤が配合されると共に、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫促進剤,老化防止剤,スコーチ防止剤,軟化剤,他の充填剤,亜鉛華,ステアリン酸などを配合することができる。
このような組成の本発明の硫黄架橋されたゴム組成物は、本発明の方法によれば、以下に示す方法に従って効率よく製造することができる。
【0020】
本発明の方法においては、前記(A)成分,(B)成分,(C)成分及び(D)成分を、それぞれ所定の割合で配合したのち、140℃以上の温度に到達するまで混練りを行う。この混練り温度の最高温度が140℃未満では、(B)成分の含水ケイ酸と(C)成分のオルガノポリシロキサンあるいは(D)成分のシランカップリング剤との反応が、混練中に充分に起こらないため、後続の加硫工程で反応が起こり、気体が発生し、加硫ゴム中に気泡が生じる原因となる。この混練り温度の最高温度は145〜175℃の範囲が好ましい。
必要ならば、さらに硫黄系加硫剤、(E)成分のカーボンブラック,加硫促進剤,老化防止剤,スコーチ防止剤,軟化剤,他の充填剤,亜鉛華,ステアリン酸などを、それぞれ所定の段階において、所定の割合で配合し、公知の方法により硫黄架橋することにより、本発明のゴム組成物が得られる。なお、(A)〜(D)成分及び必要に応じて用いられる各成分の配合順序については、特に制限はない。
本発明の空気入りタイヤ及びソリッドタイヤは、前記本発明の硫黄架橋されたゴム組成物を用いたものであって、従来公知の方法により製造することができる。この空気入りタイヤ及びソリッドタイヤは、補強性,耐摩耗性及び経時変化によるゴムの硬化抑制などに優れている。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における諸特性は、以下に示す方法に従って測定した。
(1)未加硫ゴムの加工性
JIS K6300に準拠し、130℃で測定したムーニー粘度〔ML1+4 〕の値を、標準のものを100として指数表示した。小さいほど加工性が良好である。
【0022】
(2)加硫ゴムの物性
(イ)耐摩耗性
ランボーン摩耗試験機により、スリップ率25%、荷重2kgにて測定し、標準のものを100として指数表示した。値が大きいほど、耐摩耗性が良好である。
(ロ)硬化率
JIS K6301に準拠し、100℃の恒温槽中に24時間放置したのち、JIS #3サンプルを作製して23℃で引張り試験を行い、200%モジュラスの値を測定し、標準のものを100として指数表示した。小さいほど、硬化率が小さくて良好である。
(ハ)M300
JIS K6251(ダンベル状3号形)に準拠し、300%伸長時の引張応力を測定し、標準のものを100として指数表示した。
なお、上記特性評価において、実施例1〜8及び比較例1〜4では、標準品として比較例1のものを用い、実施例9及び比較例5においては、標準品として比較例5のものを用いた。
【0023】
実施例1〜8及び比較例1〜5
バンバリミキサーに、SBR0120〔JSR(株)製,スチレンブタジエンゴム〕137.5重量部(ゴム成分:100重量部、伸展油:37.5重量部)、第1表に示す種類の含水ケイ酸60重量部及び第1表に示す種類と量のオルガノポリシロキサンとシランカップリング剤、カーボンブラックN234〔東海カーボン(株)製,シースト7HM,窒素吸着法表面積(以下、BETと略記)125m2 /g〕20重量部、アロマオイル15.0重量部、ステアリン酸2.0重量部、老化防止剤6C〔N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン〕1.0重量部を仕込み、混練りしたのち、コンパウンドを取り出した。この際のコンパウンドの実測温度は第1表に示すとおりである。
次いで、このコンパウンドに、亜鉛華3.0重量部,第1表に示す種類と量の加硫促進剤及び第1表に示す量の硫黄を添加し、約1分間混練りしたのち、取り出し、6インチロールでシートを作製し、150℃、30分間の条件で加硫を行った。
未加硫ゴムの加工製及び加硫ゴムの耐摩耗性,硬化率,M300を第1表に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0004090114
【0025】
【表2】
Figure 0004090114
【0026】
【表3】
Figure 0004090114
【0027】
(注)
(1)オルガノポリシロキサン
一般式(I)におけるX1 がO1/2 〔Y2 SiO〕b 2 5 であり、a及びbの数が以下に示すものである。
A: a=5,b=1
B: a=5,b=0.5
C: a=5,b=7
D: a=1,b=3
(2)含水ケイ酸
トクシールPR:(株)トクヤマ製,水銀圧入法比表面積(以下、Sと略記)250m2 /g
ニップシールE200A:日本シリカ工業(株)製,S110m2 /g
(3)シランカップリング剤
MDMSPT:ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド,分子量422,硫黄原子含有量30.3重量%,特公昭51−2862号公報記載の方法で合成(γ−クロロプロピルメチルジメトキシシランとNa2 4 を使用)
TESPT:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド,分子量538,硫黄原子含有量23.8重量%,デグサ社製,Si69
TESPTri:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド,分子量506,硫黄原子含有量19.0重量%、特公昭51−2862号公報記載の方法で合成(γ−クロロプロピルトリエトキシシランとNa2 3 を使用)
TESPD:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド,分子量474,硫黄原子含有量13.5重量%,特公昭51−2862号公報記載の方法で合成(γ−クロロプロピルトリエトキシランとNa2 2 と使用)
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン:信越化学工業(株)製,KBM803
(4)加硫促進剤
DPG:1,3−ジフェニルグアニジン,ノクセラーD,大内新興化学工業(株)製
DM:ジベンゾチアジルジスルフィド,ノクセラーDM,大内新興化学工業(株)製
CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド,ノクセラーCZ,大内新興化学工業(株)製
【0028】
実施例9及び比較例6
バンバリミキサーに、天然ゴム50重量部、BR01〔JSR(株)製,ポリブタジエン〕50重量部、含水ケイ酸「ニップシール AQ」(日本シリカ工業社製,S140m2 /g〕30重量部、第2表に示す種類と量のオルガノポリシロキサン及びシランカップリング剤TESPD(前出)3.0重量部、カーボンブラックN110〔東海カーボン(株)製,シースト9,BET142m2 /g〕30重量部、アロマオイル5.0重量部、ステアリン酸2.0重量部、老化防止剤6C(前出)1.0重量部を仕込み、混練りしたのち、コンパウンドを取り出した。この際のコンパウンドの実測温度は、第2表に示すとおりである。
次いで、このコンパウンドに、亜鉛華3.0重量部、第2表に示す種類と量の加硫促進剤及び第2表に示す量の硫黄を添加し、約1分間混練りしたのち、取り出し、6インチロールでシートを作製し、150℃、30分間の条件で加硫を行った。
未加硫ゴムの加工性及び加硫ゴムの耐摩耗性,硬化率,M300を第2表に示す。
【0029】
【表4】
Figure 0004090114
【0030】
〔注〕オルガノポリシロキサンA,加硫促進剤DM及びCZは、第1表の脚注と同じである。
【0031】
【発明の効果】
本発明の硫黄架橋されたゴム組成物は、未加硫ゴムの加工性や、耐摩耗性及び経時変化によるゴムの硬化抑制などに優れており、空気入りタイヤ及びソリッドタイヤなどに好適に用いられる。

Claims (8)

  1. (A)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム、(B)水銀圧入法で測定した比表面積が120〜300m2 /gの範囲にある含水ケイ酸、(C)一般式(I)
    (SiO2)a 1 2(a+1) ・・・(I)
    (式中、X1 は少なくとも一つがO1/2 〔Y2 SiO〕b Rで、残りがO1/2 Rであり、Yはメチル基,エチル基又はフェニル基、Rは水素原子,メチル基又はエチル基、aは1〜20の数、bは0.5〜20の数を示し、分子中のX1 は同一でも異なっていてもよく、また分子中のYは同一でも異なっていてもよい。)で表されるオルガノポリシロキサン及び(D)一般式(II)
    Figure 0004090114
    (式中、X2 は炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜3の整数、mは1〜3の整数、cは1〜9の整数を示し、dは1以上の整数で分布を有することもある。)で表されるシランカップリング剤を含有するものであって、(B)成分含有量が、(A)成分100重量部当たり、10〜100重量部であり、かつ(C)成分含有量,(D)成分含有量及び(C)成分と(D)成分との合計含有量が、(B)成分含有量に対し、それぞれ1〜10重量%、2〜15重量%及び5〜20重量%であることを特徴とする硫黄架橋されたゴム組成物。
  2. (C)成分のオルガノポリシロキサンが、一般式(I)におけるRがエチル基のものである請求項1記載の硫黄架橋されたゴム組成物。
  3. (D)成分のシランカップリング剤が、一分子中に硫黄原子10〜25重量%を含有するものである請求項1記載の硫黄架橋されたゴム組成物。
  4. さらに、(E)窒素吸着法により測定した比表面積が100〜200m2 /gのカーボンブラックを、(A)成分100重量部当たり、5〜80重量部の割合で含有し、かつ(B)成分と(E)成分との合計含有量が、(A)成分100重量部当たり、120重量部以下である請求項1記載の硫黄架橋されたゴム組成物。
  5. (A)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム100重量部に対し、(B)水銀圧入法で測定した比表面積が120〜300m2 /gの範囲にある含水ケイ酸10〜100重量部を配合すると共に、(C)一般式(I)
    (SiO2)a 1 2(a+1) ・・・(I)
    (式中、X1 は少なくとも一つがO1/2 〔Y2 SiO〕b Rで、残りがO1/2 Rであり、Yはメチル基,エチル基又はフェニル基、Rは水素原子,メチル基又はエチル基、aは1〜20の数、bは0.5〜20の数を示し、分子中のX1 は同一でも異なっていてもよく、また分子中のYは同一でも異なっていてもよい。)で表されるオルガノポリシロキサン及び(D)一般式(II)
    Figure 0004090114
    (式中、X2 は炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜3の整数、mは1〜3の整数、cは1〜9の整数を示し、dは1以上の整数で分布を有することもある。)で表されるシランカップリング剤を、上記(B)成分に対し、それぞれ1〜10重量%及び2〜15重量%の割合で、かつ(C)成分と(D)成分との合計が5〜20重量%になるように配合したのち、140℃以上の温度に到達するまで混練りを行い、次いで硫黄架橋処理することを特徴とする硫黄架橋されたゴム組成物の製造方法。
  6. さらに、(E)窒素吸着法により測定した比表面積が100〜200m2 /gのカーボンブラックを、(A)成分100重量部当たり、2〜80重量部の割合で、かつ(B)成分と(E)成分との合計量が、120重量部以下になるように配合する請求項5記載の硫黄架橋されたゴム組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤ。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物を用いてなるソリッドタイヤ。
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