JP4089112B2 - 低脂肪油中水型組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期保存性に優れ、風味良好な、製菓、製パン用のフィリングまたはトッピング材として用いられる低脂肪油中水型組成物、詳しくは含糖スプレッド又はバタークリームに関する。
【0002】
【従来の技術】
製菓、製パン用のフィリング、トッピング材の代表的なものとして、一般にスプレッドとよばれる起泡させないタイプの含糖油中水型組成物や、バタークリームとよばれる起泡性の含糖油中水型組成物があり、これらの油中水型組成物は、合わせられるパン、菓子との相性や、目的に応じて使いわけられている。
【0003】
従来、これら油中水型組成物は、脂肪分が多く、油感が強いという欠点を有しているため、食感を改善するために、脂肪分を減らす方向にある。しかし、一般的な低脂肪分の油中水型組成物では、乳化が不安定となり、保存中に水相が分離したり、組織破壊が起こりやすく、高含水の組成物では衛生的な保存性が悪いために保存料を使用すれば風味を損なう、などの問題があった。
【0004】
上記のような問題を解決するため、種々の検討がなされており、例えば、バタークリームにおいては、油脂組成物と多量の水性液とを2段階にわけて起泡、混合させる方法(特開昭52−126406)が提案されている。しかし、この方法では、油脂組成物に別に調整された多量の水性液を混合するので水性液中の風味付けの原料が薄められやすく風味付けの原料が余計に必要となり、また、粘度の調整や2段階の起泡工程が必要であるなど、非効率である。
【0005】
一方、起泡を必要としないスプレッドにおける低脂肪化の試みとして、主にポリグリセリン縮合リシノレートなどの強力な乳化力を持つ、乳化剤を使用する方法(特開昭61−85141など)や、ゲル化剤などで水性液の粘度をあげるもの(特開昭62−232335など)がある。しかし、前者の方法では、乳化が強すぎ、油感が強く添加した風味素材の風味が弱い、乳化剤が風味に悪影響を及ぼすなどの問題がある。後者の方法では、ゲル化剤のため、口あたりが悪くなり、食感を損なうなどの問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のバタークリーム・含糖スプレッド類の上記のような欠点を改善し、油感が低く、保存性、風味、食感が良好で、かつ、風味付け素材が少量で効果を発揮する低脂肪油中水型組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者は、それ自体が低脂肪で、食感、風味の良好な油中水型乳化物をまず作製し、それに別途、風味付素材を加えて調整された含糖水性液を加え、起泡させない様に或いは起泡させながら混合して得られる油中水型組成物が、油感が低く、保存性に優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち本発明は、乳化物中の油脂含有量が35〜60重量%、水相中の糖濃度が60〜75重量%であり、かつ、乳化剤として、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれた1種類以上を含有する油中水型乳化物40〜80部と、糖濃度が55〜75重量%である水性風味液60〜20部を混合して得られる、含糖スプレッド状またはバタークリーム状の低脂肪油中水型組成物である。好ましい実施態様としては、前記油中水型乳化物の乳化剤として、乳化物中、0.05〜1.0重量%のレシチンと、0.05〜1.0重量%のソルビタン脂肪酸エステル及び/又は0.05〜1.0重量%のグリセリン脂肪酸エステルを含有する低脂肪油中水型組成物である。また、好ましい実施態様としては、組成物中の油脂含有量が20〜45重量%である低脂肪油中水型組成物である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の低脂肪油中水型組成物について説明する。
【0011】
本発明において用いられる油脂の種類は、特に限定されず、コーン油、菜種油、大豆油、ヤシ油、パーム油等の植物油、及び、ラード、牛脂、魚油、乳脂等の動物油、及びそれらの硬化油・エステル交換油等を、単独でもしくは2種以上を組み合わせて任意に用いることが出来る。これら原料となる油脂の上昇融点は25〜40℃の範囲が、得られる乳化物に適度な可塑性を付与できるため、好ましい。
【0012】
本発明の乳化物は、乳化剤として、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのうち1種以上を使用する必要がある。特に、乳化物中、0.05〜1.0重量%のレシチンと、0.05〜1.0重量%のソルビタン脂肪酸エステル及び/又は0.05〜1.0重量%のグリセリン脂肪酸エステルを含有しているのが好ましい。上記以外の乳化剤も併用しうるが、ポリグリン縮合リシノレイン酸エステル等の強力な乳化作用を持つ乳化剤は、風味、食感、起泡性などを損なうため、好ましくない。
【0013】
上記油脂に乳化剤を加え、加温融解して油相とする。このとき、必要に応じて、β―カロチン、アナトー色素などの油溶性の着色料を添加する。また、必要に応じて、カカオマス、ココアパウダー、ピーナッツバターなどの油性の味付け素材を加えても良い。
【0014】
一方、本発明の油中水型乳化物において、水相の糖濃度は60〜75重量%の範囲に調整する必要がある。水相の糖濃度が上記範囲より低いと保存性が損なわれ、高すぎると他の原料の溶解性を妨げることがある。ここで糖濃度は、次の式で表される。
【0015】
糖濃度=水相中の糖分/(水相中の糖分+水相中の水分)
また、必要に応じて、加糖練乳などの水性の味付け素材や香料を水相に加えても良い。さらに、各種増粘剤、澱粉等を加えることもできるが、粘度が高すぎると乳化破壊したり、口どけを損なうので、添加量は多すぎない方が好ましい。上記水相は、好ましくは加熱殺菌処理したのち、用いられる。
【0016】
本発明において、これら油相と水相を、乳化物中の油脂含有量が35〜60重量%の範囲になるように混合し、必要に応じて、さらに通常の急冷ねつ和機にて処理して、可塑性の油中水型乳化物とする。乳化物中の油脂含有量が35%未満の場合、最終の低脂肪油中水型乳化物の乳化安定性が悪くなり、油脂含有量が60%を超えると、油感が生じ、食感を損なう。急冷ねつ和機としては例えば、ボテーターやコンビネーターが用いられる。得られた乳化物を、望ましくは、一旦2〜10℃に冷却したのち、混合に適した硬さになるよう温調する。
【0017】
本発明で用いられる水性風味液は、糖、水、風味付け素材等を、糖濃度が55〜75重量%、好ましくは60〜75重量%になるように混合し、加熱殺菌処理したものである。
【0018】
本発明で使用される、風味付け素材としては、特に限定されないが、牛乳、加糖練乳、チーズなどの乳製品、果汁、ピューレ、ジャムなどの果実加工品、サツマイモ、カボチャのピューレなどの野菜加工品、栗のシロップ漬けなどのナッツ加工品、卵黄、コーヒー、紅茶、餡、ゼリーなどの一般食品の他、リンゴ酸、クエン酸などの酸味料、香料などの添加物等が挙げられる。また着色が必要なときは、必要に応じて天然あるいは合成の色素を添加することもできる。
【0019】
本発明において、風味付け素材は上記水性液に添加されることによって、効果的に風味付け出来うるが、上述したように、乳化物中にも風味付け素材を添加しても構わない。特に油性の風味付素材は乳化物中の油相に加えたほうが均一に混合されるという利点がある。また、例えば、乳化物にミルク風味を、上記水性液にコーヒー風味を付けて、全体としてミルクコーヒー風味にするなど、新たに特別な効果も期待できる。
【0020】
また、ジャム中の果肉やチョコレートなどのように、他の風味付け素材と加熱殺菌した場合に、もとの形状が崩れ易いものや、チョコレートソースのように油性のもの、洋酒、一部の香料など、加熱すると風味が失われやすいものなどは、上記水性風味液の殺菌後に添加するか、別途調整して必要に応じて殺菌し、以下の混合工程で水性風味液と一緒に用いても良い。この様に、水性風味液の一部又は全部を、果実、ナッツ、カカオ、野菜等の加工食品、または餡、ゼリーのいずれかに置き換える場合も、これらジャムなどの加工食品の糖濃度は、水性風味液と同様、55〜75重量%の範囲であるのが好ましい。
【0021】
上記水性風味液を、好ましくは、15〜40℃に冷却し、上述の油中水型乳化物と混合して、本発明の低脂肪油中水型組成物を得る。混合にあたっては、適切な混合機を用い、水性風味液を一度に、または数回にわけて加えて混合する。この際、混合して得られる油中水型組成物の油脂含有量が20〜45重量%になるように調整するのが好ましい。油脂含有量が、20重量%未満だと組織不良となったり、保存中の水性液の分離などが起きやすく、45重量%を超えると油感が生じるなど、食感が悪くなる傾向がある。
【0022】
含糖スプレット状の低脂肪油中水型組成物を得る場合には、縦形ミキサーのビーターなどを用いて、低速でゆるやかに起泡させないように攪拌し混合する。バタークリーム状の低脂肪油中水型組成物を得る場合には、縦形ミキサーのホイッパーなどを用いて混合しながら、組成物が適切な比重になるように起泡(ホイップ)させる。
【0023】
本発明の低脂肪油中水型乳化物において、風味付け素材の風味が効果的に出現する理由は、風味付け素材を別に調整された含糖水性液に加えて、油中水型乳化物と混合することで、乳化剤を介して油中に乳化した油中水乳化組成物中の水性液よりも、同じ量の素材原料を用いても、濃度の濃い状態で舌にふれ、先に口中で解離するからであると考えられる。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
パーム油15部、魚油硬化油(融点30℃)55部、魚油硬化油(融点40℃)10重量部、菜種油20部からなる油脂(融点30℃)60重量%に、レシチン0.05重量%、ソルビタン脂肪酸エステル0.05重量%を加え65℃に加温融解して油相とした。また、水飴(糖濃度75%)36.5重量%に水2.4重量%を加え糖濃度%としたものを70℃で20分間加熱殺菌して水相とした。
【0025】
上記油相に水相を加えて、ボテーターを用い、常法により油中水型乳化物を得、これを、1日間5℃で冷蔵したあと、20℃に温調した。
【0026】
一方、加糖練乳15重量部、水飴24重量部、水0.9重量部を混合し、糖濃度70%としたものを、65℃で30分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、ミルク香料0.1重量部を加え、水性風味液を調整した。
【0027】
先に得た油中水型乳化組成物60重量部と、この水性風味液40重量部を、縦形ミキサー(関東ミキサー株式会社製)に投入し、ホイッパーにて、比重が0.75になるまで混合し起泡させ、バタークリーム状の油中水型組成物を得た。
【0028】
(実施例2)
油中水型乳化物を実施例1と同じ条件で作製して温調し、縦形ミキサー(関東ミキサー株式会社製)のビーターを用いて、起泡しないように、緩やかに攪拌しながら、実施例1と同じ条件で作製した水性風味液を同じ配合比で混合し、含糖スプレッド状の油中水型組成物を得た。
【0029】
(実施例3)
大豆硬化油(融点34℃)50部、魚油硬化油(融点30℃)30部、コーン油15部からなる油脂(融点32℃)60重量%に、レシチン0.3重量%、ソルビタン脂肪酸エステル0.3重量%、グリセリン脂肪酸エステル0.1重量%を加え、65℃に加温融解して油相とした。また、水飴(糖濃度75%)31重量%に水8.3重量%を加え、糖濃度59%としたものを70℃で20分間加熱殺菌して水相とした。
【0030】
上記油相に水相を加えて、ボテーターを用い、常法により油中水型乳化物を得、これを、1日間5℃で冷蔵したあと、25℃に温調した。
【0031】
一方、水飴12重量部、水2.7重量部、リンゴ酸0.2重量部を混合し、糖濃度65%としたものを、70℃で20分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、イチゴ香料0.1重量部を加え、水性風味液を調整した。
【0032】
先に得た油中水型乳化物75重量部と、加熱殺菌した糖濃度70%のイチゴジャム10重量部と、この水性風味液15重量部を、実施例1と同様に、比重が0.75になるまで混合し起泡させ、バタークリーム状の油中水型組成物を得た。
【0033】
(実施例4)
油中水型乳化物を実施例3と同じ条件で作製して温調し、縦形ミキサー(関東ミキサー株式会社製)のビーターを用いて、起泡しないように、緩やかに攪拌しながら、実施例3と同じ条件で作製したイチゴジャムと水性風味液を同じ配合比で混合し、含糖スプレッド状の油中水型組成物を得た。
【0034】
(実施例5)
コーン硬化油(融点36℃)6部、魚油硬化油(融点30℃)54部、パーム油15部、大豆油25部からなる油脂(融点28℃)35重量%に、レシチン0.4重量%、ソルビタン脂肪酸エステル0.6重量%を加え、65℃に加温融解して油相とした。また、水飴(糖濃度75%)64重量%を70℃で20分間加熱殺菌して水相とした。
【0035】
上記油相に水相を加えて、ボテーターを用い、常法により油中水型乳化物を得、これを、1日間5℃で冷蔵したあと、20℃に温調した。
【0036】
一方、加糖練乳10重量部、砂糖7重量部、水2.9重量部を混合し、糖濃度70%としたものを、65℃で30分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、ミルク香料0.1重量部を加え、水性風味液を調整した。
【0037】
先に得た油中水型乳化物80重量部と、この水性風味液20重量部を、実施例1と同様に、比重が0.8になるまで混合し起泡させ、バタークリーム状の油中水型組成物を得た。
【0038】
(実施例6)
実施例5の乳化剤のソルビタン脂肪酸エステルのうち、0.2重量%をグリセリン脂肪酸エステルに置き換えた他は同様の条件・方法で、バタークリーム状の油中水型組成物を得た。
【0039】
(実施例7)
実施例5と同じ組成の油脂40重量%に、レシチン0.3重量%、ソルビタン脂肪酸エステル0.5重量%を加え65℃に加温融解して油相とした。また、水飴51重量%に水8.2重量%を加え糖濃度65%としたものを70℃で20分間加熱殺菌して水相とした。
【0040】
上記油相に水相を加えて、ボテーターを用い、常法により油中水型乳化物を得、これを、1日間5℃で冷蔵したあと、25℃に温調した。
【0041】
一方、水飴34.4重量部、水5.2重量部、インスタントコーヒー0.5重量部を混合し、糖濃度65%としたものを、70℃で20分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、コーヒー香料0.1重量部を加え、水性風味液を調整した。
【0042】
先に得た油中水型乳化組成物60重量部と、この水性風味液40部を、実施例1と同様に、比重が0.75になるまで混合し起泡させ、バタークリーム状の油中水型組成物を得た。
【0043】
(実施例8)
実施例5の乳化剤のソルビタン脂肪酸エステルを同量のグリセリン脂肪酸エステルに置き換えた他は同様の条件・方法で、バタークリーム状の油中水型組成物を得た。
【0044】
(実施例9)
水飴43重量部、水6.4重量部、インスタントコーヒー0.5重量部を混合し、糖濃度65%としたものを、70℃で20分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、コーヒー香料0.1重量部を加え、水性風味液を調整した。
【0045】
実施例7と同じ条件で作製温調した油中水型乳化物50重量部を、縦形ミキサー(関西ミキサー株式会社製)に投入し、上記の水性風味液50重量部を徐々に加えながら、ホイッパーにて、比重が0.85になるまで混合し起泡させ、バタークリーム状の油中水型組成物を得た。
【0046】
(実施例の評価)
実施例1〜9で得られた油中水型組成物を、5℃で1ヶ月間保管したのち、20℃に温調し、風味、食感、水性液の分離について調べた。風味、食感は数名のパネラーによる官能試験で評価した。水性液の分離は、油中水型組成物をろ紙上に薄く延ばして、分離の有無で評価した。その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
実施例1〜9の油中水型組成物はいずれも、風味、食感良好で、分離も全くみられず、保存安定性にも優れていることが確認された。
【0048】
(比較例1)
大豆硬化油(融点34℃)50部、魚油硬化油(融点30℃)30部、コーン油15部からなる油脂(融点32℃)99.3重量%に、レシチン0.3重量%、ソルビタン脂肪酸エステル0.3重量%、グリセリン脂肪酸エステル0.1重量%を加え、65℃に加温融解し、ボテーターにて混合し、水相の無いショートニングを調整し、実施例3の油中水型乳化物と同様に温調した。
【0049】
一方、水飴(糖濃度75%)35.8重量部、水8.9重量部、リンゴ酸0.2部を混合し、糖濃度65%としたものを、70℃で20分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、イチゴ香料0.1重量部を加え、水性風味液を調整した。
【0050】
先に得たショートニング45重量部と、実施例3に使用したイチゴジャム10重量部、上記の水性風味液45重量部を、縦形ミキサー(関西ミキサー株式会社製)に投入し、ホイッパーにて、比重が0.75になるまで混合し起泡させ、バタークリーム状の油中水型組成物を得た。
【0051】
(比較例2)
比較例1と同じショートニングを、比較例1と同様に温調したものを、縦形ミキサーに投入し、ビーターを用いて、起泡しないように、緩やかに攪拌しながら、比較例1と同じイチゴジャムと水性風味液を同じ配合比で投入、混合して含糖スプレッド状の油中水型組成物を得た。
【0052】
(比較例3)
実施例5と同じ油脂35重量%に、乳化物として、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.1重量%加え、65℃に加温融解して油相とした。また、水飴(糖濃度75%)64.9重量%を70℃で20分間加熱殺菌して水相とした。 上記油相に水相を加え、ボテーターを用い、常法により油中水型乳化物を得、これを、1日間5℃で冷蔵したあと、20℃に温調した。
【0053】
一方、加糖練乳10重量部、砂糖7重量部、水2.9重量部を混合し、糖濃度70%としたものを、65℃で30分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、ミルク香料0.1重量部を加え、水性風味液を調整した。
【0054】
先に得た油中水型乳化物80重量部と、この水性風味液20重量部を、実施例1と同様に、比重が0.8になるまで混合し起泡させ、バタークリーム状の油中水型組成物を得た。
【0055】
(比較例4)
コーン硬化油(融点36℃)6部、魚油硬化油(融点30℃)54部、パーム油15部、大豆油25部からなる油脂(融点28℃)99.2重量%に、レシチン0.3重量%、ソルビタン脂肪酸エステル0.5重量%を加え、65℃に加温融解して、ボテーターを用いて、水相の無いショートニングを調整し、実施例7の油中水型乳化組成物と同様に温調した。
【0056】
一方、水飴(糖濃度75%)65重量部、水10.9重量部、インスタントコーヒー0.5重量部を混合し、糖濃度65%としたものを、70℃で20分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、コーヒー香料0.1重量部を加え、水性風味液を調整した。
【0057】
先に得たショートニング24重量部と、この水性風味液76重量部を、実施例1と同様に、比重が0.75になるまで混合し起泡させ、バタークリーム状の油中水型組成物を得た。
【0058】
(比較例5)
実施例7と同じ油脂24重量%に、レシチン0.3重量%、ソルビタン脂肪酸エステル0.5重量%を加え65℃に加温融解して油相とした。
【0059】
一方、水飴65重量%に水9.6重量%、インスタントコーヒー0.5重量%を混合し、糖濃度65%としたものを70℃で20分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、コーヒー香料0.1重量部を加え、水相とした。
【0060】
上記油相に水相を加え、実施例1と同様の方法で急冷ねつ和し、実施例と同じ脂肪含量の加糖スプレッド状油中水型組成物を調整した。
【0061】
(比較例6)
実施例7と同じ油脂24重量%に、レシチン0.3重量%、ソルビタン脂肪酸エステル0.5重量%にさらにポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル0.2重量%を加え65℃に加温融解して油相とした。
【0062】
水飴64.8重量%に水9.6重量%、インスタントコーヒー0.5%を混合し、糖濃度65%としたものを70℃で20分間加熱殺菌した後、25℃に冷却し、コーヒー香料0.1重量部を加え、水相とした。
【0063】
上記油相に水相を加え、実施例1と同様の方法で急冷ねつ和して、スプレッド状の油中水型組成物を得た。
【0064】
(比較例の評価)
比較例1〜5で得られた油中水型組成物を、5℃で1ヶ月間保管したのち、20℃に温調し、風味、食感、水性液の分離について実施例と同様に評価した。
【0065】
油中水型乳化物の代わりに、ショートニングを使用し、それを水性風味液と混合して得られた比較例1、2、4の油中水組成物はいずれも油感が強く、風味、食感共に不良であった。特に比較例4の油中水型組成物では、コーヒーの風味が薄く、さらには水性液の分離も見られた。
【0066】
また、本発明において必要な種類の乳化剤を使用せず、代わりに強力な乳化剤であるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを使用して得られた乳化物を用いて作製した比較例3の油中水型組成物は、油感が強く、風味が非常に弱く、乳化剤の影響で食感も不良であった。
【0067】
更にボテーターのみで作製した比較例5、6の油中水型組成物は、油感が強く、風味が大変弱い、風味、食感ともに不良のものであった。特に比較例5の油中水型組成物の作製においては、ボテーター内で油相と水相が分離して組織破壊し、均一な組成物が得られなかった。
【0068】
【発明の効果】
以上の結果が示すとおり、本発明で得られる低脂肪油中水型組成物は、風味、食感が良好で、保存性の良い、製菓、製パンのフィリング、トッピング材として好適のものである。
Claims (6)
- 乳化物中の油脂含有量が35〜60重量%、水相中の糖濃度が60〜75重量%であり、かつ、乳化剤として、レシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれた1種類以上を含有する油中水型乳化物40〜80部と、
糖濃度が55〜75重量%である水性風味液60〜20部とを混合して得られる、
含糖スプレッド状またはバタークリーム状の低脂肪油中水型組成物。 - 前記油中水型乳化物の乳化剤として、乳化物中、0.05〜1.0重量%のレシチンと、0.05〜1.0重量%のソルビタン脂肪酸エステル及び/又は0.05〜1.0重量%のグリセリン脂肪酸エステルを含有する、請求項1記載の低脂肪油中水型組成物。
- 前記油中水型乳化物と、前記水性風味液とを、起泡させない様に混合して得られる、請求項1または2に記載の含糖スプレッド状の低脂肪油中水型組成物。
- 前記油中水型乳化物と、前記水性風味液とを、混合して起泡させて得られる、請求項1または2に記載のバタークリーム状の低脂肪油中水型組成物。
- 水性風味液の一部を、糖濃度が55〜75重量%である、果実、ナッツ、カカオ、野菜等の加工食品、または餡、ゼリーのいずれかに置き換えた、請求項1〜4のいずれかに記載の低脂肪油中水型組成物。
- 組成物中の油脂含有量が20〜45重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の低脂肪油中水型組成物。
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