JP4087093B2 - 蛍光体素子、それを用いた放射線検出器及び医用画像診断装置 - Google Patents

蛍光体素子、それを用いた放射線検出器及び医用画像診断装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、X線、γ線などを検出する放射線検出器、特にX線CT装置などの医用画像診断装置に好適な放射線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、X線CT装置などの医用画像診断装置に用いる放射線検出器としては、Xeガス電離箱方式のものや、CdWO4、CsI:Tlなどの単結晶シンチレータや、希土類酸化物系蛍光体(特公昭63-59436号、特開平3-50991号、WO99/33934)や希土類硫化物系蛍光体(特公昭60-4856号)を用いたセラミックシンチレータなどの蛍光体素子と、Siフォトダイオードや光電子倍増管などの光電変換素子を組み合わせた固体検出器が用いられてきた。近年のX線CT装置の放射線検出器においては、固体検出器が主流となっている。
【0003】
このような医用画像診断装置に用いられる放射線検出器に要求される特性としては、放射線に対する高い発光効率を有することと共に、広範囲のエネルギーの放射線に対して感度が高いこと、すなわちエネルギー依存性が小さいことが挙げられる。エネルギー依存性が大きいと、感度の低いエネルギーの放射線に対しては、放射線検出器の濃度分解能が低くなり、画質の低下を招くことになる。
この放射線検出器の特性は、放射線検出器を構成する素子のうち、特に蛍光体素子の特性に大きく依存し、発光効率が高くエネルギー依存性の小さい蛍光体素子を使用することが望まれる。
【0004】
これまで発光効率が高くエネルギー依存性の小さく、放射線検出器に好適な蛍光体素子に関し、いくつかの提案がなされ、本出願人においてもCeを発光元素とし、Gd、Al、Gaを含む希土類酸化物蛍光体を提案しており、CdWO4に比べ極めて高い放射線感度を実現している。しかしながら、近年のX線CT装置においては、被検体の周りを回転走査するX線の走査時間を短縮して計測時間を短縮すると共に、検出器素子を一次元化して小型化する傾向にあり、放射線検出器としては、さらに高感度で低エネルギー依存性のものが求められるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、発光効率が高く且つ低エネルギー依存性を有する蛍光体素子を提供することを目的とする。また本発明は、広範囲のエネルギーの放射線に対し高感度な放射線検出器を提供することを目的とする。さらに本発明は、走査時間を短縮した場合にも高画質の画像を得ることができる医用画像診断装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明者らは、発光効率の高いGd3(Al,Ga)5O12:Ce系の蛍光体素子について、低エネルギー依存性を得るための条件を鋭意研究した結果、図1に示すように、蛍光体のエネルギー依存性は、その光透過率と関連し、光透過率が高い場合には、広いエネルギー範囲に亘って、光透過率100%の場合に比べ感度の低下が少ないが、光透過率が低い場合には、放射線のエネルギーが小さくなるにつれ、感度の低下も大きくなることを見出した。特に、この蛍光体の主発光波長である550nmの光に対する吸収係数μを0.6mm-1以下とすることにより、放射線検出器として必要な放射線吸収率を維持できる最小限の厚さにおいて、低エネルギー放射線に対する感度低下を軽減できることを見出し本発明に至ったものである。
【0007】
即ち、本発明の蛍光体素子は、Ceを発光元素とし、少なくともGd、Al、Ga及びOを含んだガーネット構造の母体結晶からなる蛍光体を用いた蛍光体素子であって、波長550nmの光に対する吸収係数μが0.6mm-1以下のものである。ここでμは、光吸収をI(d)=I0e- μ d(dは吸収体の厚さ)と表したときの吸収係数である。
【0008】
また本発明の蛍光体素子は、上記蛍光体素子であって、相対密度が99.8%以上であり、且つ平均結晶粒径が4μm以上のものである。ここで相対密度とは、単結晶の密度(理論密度)を100%としたときの相対的な値である。
結晶粒径が大きく相対密度が高い緻密な構造とすることにより、光の光路長を短くすることができ、これにより光透過率を高めることができる。
【0009】
以下、本発明の蛍光体素子について詳述する。
本発明の蛍光体素子は、少なくともGd、Ce、Ga、Al、Oからなりガーネット構造の母体結晶からなる。ガーネット構造であるために、Gd/(Al+Ga+Gd)の原子比が0.33以上、0.42以下であることが好ましい。
このようなガーネット構造の母体結晶からなる蛍光体は、本出願人による特許出願明細書(特開2001-4753号公報)に記載された蛍光体と同様であり、この明細書に記載された、蛍光体の組成及び構造に関する説明は、本明細書の一部とする。
【0010】
本発明の蛍光体は、更に、波長550nmの光に対する吸収係数μが0.6mm-1以下であり、このような吸収係数を有するために、結晶粒径が4μm以上の高密度の多結晶体であることが好ましい。このような多結晶体からなる蛍光体は、1)構成元素の酸化物、炭酸化物等の原料粉末を混合し、合成するプロセスと、2)合成後の粉末を粉末焼成(焼結も含む)するプロセスを経て製造することができ、この際、一次粒径の大きい合成粉末を用いて焼結するか、焼結時に結晶粒が成長するような焼結条件で焼結する。これにより、焼結体として結晶粒径が大きく、相対密度の高い焼結体を得ることができる。なお、本明細書において、粉末の一次粒径は、粉体粒子を構成している最小単位の粒子の粒径を意味し、焼結体の結晶粒径は、多結晶体である焼結体を構成している最小単位の結晶粒の粒径を意味する。
【0011】
以下、本発明の蛍光体素子の具体的に製造方法を説明する。
合成プロセスとしては、1)通常の酸化物混合法を主体とした方法、2)共沈法、ゾルゲル法といった液相を介する方法、3)酸化物混合法を主体として合成した粉末を再度機械的に微細化する方法が挙げられる。
【0012】
酸化物混合法の場合、Gd2O3、Al2O3、Ga2O3、Ce2O3等の原料粉末を、湿式混合した後、この混合粉末を1400℃〜1700℃の大気中で数時間焼成する。この際、原料粉末の粒径及びその後の焼結プロセスに応じて焼成温度を適宜調整する。例えば、原料粉末の粒径が比較的小さく、例えばサブミクロンサイズ(1μm以下)の場合には、1500℃以下で焼成することが好ましい。このような粒径範囲の原料粉末を1500℃以下で焼成した場合、焼成後にできる粉末の一次粒径は原料粉末と同程度であるが、サブミクロンサイズの粉末はその後の焼結によって結晶が成長し、結果として結晶粒径の大きな焼結体を得ることができる。
【0013】
また原料粉末の粒径が比較的大きい、例えば0.1〜数μm程度の場合には、1500℃以上、好適には1550℃〜1650℃の高温で焼成する。これにより一次粒径の比較的大きい蛍光体粉末が得られる。具体的には平均粒径が数μm以上の蛍光体粉末が得られる。このような一次粒径の蛍光体粉末を焼結することにより、同程度の結晶粒径を有する焼結体が得られる。焼結体としてできるだけ大きな結晶粒径を得るためには、焼成後さらに蛍光体粉末を分級し、所定の大きさ以上の粉末を焼結に用いることが好ましい。
【0014】
共沈法の場合、原料元素の硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、蓚酸塩等を水に溶かして複合水溶液とし、この複合複合水溶液に尿素、炭酸水素アンモニウム等を添加し、Gd-Ce-Al-Ga-O前駆体を沈殿させる。この沈殿物を洗浄し、乾燥後、1200℃程度で仮焼成し合成粉末を得る。共沈法では、サブミクロン以下の合成粉末が得られる。
機械的に微細化する方法は、酸化物混合法で得られた合成粉末をボールミル等の粉砕手段で微細化するものであり、サブミクロン以下の合成粉末を得る場合に採用される。
【0015】
上記手法により得られた合成粉末を、所望の形状、例えば板状に加圧成型した後、焼結する。焼結は、ホットプレス法、HIP法、常圧焼結法、さらには常圧焼結法とHIP法との併用法等で行うことができる。このうち、特にホットプレス法、常圧焼結法が好適である。ホットプレス法では、真空中の雰囲気下で、1400〜1700℃の焼結温度、500kgf/cm2程度の加圧力で数時間焼結する。常圧焼結法では、3000kgf/cm2程度の圧力で静水圧プレスを行った後、蛍光体の融点直下の焼結温度(具体的には1600〜1700℃)で、大気中或いは純酸素中で数時間〜数十時間焼結する。HIP法は、サブミクロン以下の合成粉末を用いる場合に採用することができ、金属製カプセル中に合成粉末を入れ、真空封止して、1400℃前後の温度で2000atm程度の圧力で焼結を行う。
【0016】
また焼結時には、焼結助剤を用いることが好ましい。焼結助剤としては、LiF、LiCl等のリチウム化合物、K2SO4、KNO3、K2CO3、K3PO4等のカリウム化合物、BaF2等を用いることができる。特に、LiF、LiClが好ましい。このような焼結助剤は、蛍光体粉末に対し0.001〜10重量%程度用いることができ、その添加により、焼結時の結晶の成長を促し、結晶粒径の大きな焼結体を得ることができる。
【0017】
既に述べたように、比較的粒径が小さな原料粉末を焼成して得られた粒径の小さい合成粉末の場合には、このような焼結助剤を用いなくても上述した焼結条件において結晶が成長し、大きな結晶粒径の焼結体が得られる。また焼成後の合成粉末を分級することによって、大きな一次粒径のものを選択して焼結に供した場合にも、焼結助剤を用いなくても大きな結晶粒径の焼結体が得られる。従ってこれらの場合には、焼結助剤は用いても用いなくてもよいが、焼成後の合成粉末の粒径が比較的大きく且つブロードな分布を有するときには、焼結助剤を添加することが必要である。
【0018】
このような条件で焼結することにより、相対密度99.8%以上で、結晶粒径が4μm以上の緻密な焼結体を得ることができる。この焼結体を、所定の厚さ、好適には1.8mm以上に切り取り、蛍光体素子を得る。このような相対密度の高い結晶においては、粒界の三重点などにおける空孔の数や大きさが著しく減少するため、光の散乱が減少する。これにより焼結体を透過する光の光路長が短くなり、結果として蛍光体素子の光透過率を向上することができる。
【0019】
また本発明の蛍光体素子は、厚さを1.8mm以上とすることにより、高い放射線吸収性を確保できるので、放射線検出器として用いた場合に高い検出能を発揮することができる。具体的にはシンチレータの厚さを1.8mm以上とすることにより、管電圧120kVのX線を照射した場合に、X線を95%以上吸収させることができる。
【0020】
このようにして製造された本発明の焼結体は、放射線を吸収したときの主発光波長が550nmであり、この波長の光に対する吸収係数μが0.6mm-1以下である。この吸収係数を、厚さ1.8mmの蛍光体素子の光透過率に換算すると35%以上となる。光透過率が35%以上であることにより、低エネルギー側の放射線に対する感度低下を低減し、エネルギー依存性の小さい蛍光体素子が得られる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の蛍光体素子の実施例を説明する。
【0022】
実施例1
出発原料粉末として、粒径が0.1〜5μm程度のGd2O3、Al2O3、Ga2O3、Ce2(C2O4)3・9H2O粉末を用い、これらを混合した後、1550℃〜1650℃で焼成することにより、一次粒径が2〜6μm程度のGd3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体粉末を得た。この粉末から、一次粒径が4μm以上の粉末のみを分け取り、加圧成型し、真空中で1500℃、500kgf/cm2にてホットプレス焼結し、蛍光体粉末とほぼ同じ結晶粒径を持つ焼結体を得た。得られた焼結体を機械加工して厚さ1.8mmのセラミックシンチレータを作成した。
【0023】
この焼結体の相対密度は99.9%であった。またこのシンチレータの波長550nmの光に対する吸収係数μは0.57mm-1であり、波長550nmの光に対する光透過率は36%であった。この場合、60keVのX線に対する感度は、光透過率100%の感度を100としたとき76以上であり、低エネルギー領域についても十分な検出感度を有することが示された。
【0024】
比較例1
実施例1と同様の原料粉末を用いて、温度1500℃で焼成することにより、一次粒径が1〜3μm程度のGd3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体粉末を得た。この蛍光体粉末を加圧成型した後、実施例1と同じ焼結条件(真空中、1500℃、500kgf/cm2のホットプレス)で焼結し一次粒径と同様の結晶粒径(1〜3μm程度)を有する焼結体を得た。これを機械加工して、厚さ1.8mmのセラミックシンチレータを得た。
【0025】
この焼結体の相対密度は99.9%であった。また、このシンチレータの波長550nmの光に対する吸収係数μは0.63mm-1であり、波長550nmの光に対する光透過率は32%であった。この場合、60keVのX線に対する感度は、光透過率100%の場合の感度を100とするとき68に低下し、低エネルギー領域については十分な検出感度が得られないことが示された。
【0026】
実施例2
出発原料粉末として、粒径が0.01〜0.1μm程度のGd2O3、Al2O3、Ga2O3、Ce2(C2O4)3・9H2O粉末を用い、これらを混合した後、1400℃〜1500℃で焼成することにより、一次粒径が0.05〜0.1μm程度のGd3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体粉末を得た。この粉末を加圧成型し、真空中で1500℃、500kgf/cm2にてホットプレス焼結した。この焼結条件では、結晶が蛍光体粉末の一次粒径より大きく成長し、約10μmの結晶粒径を有する焼結体が得られた。この焼結体を機械加工して厚さ1.8mmのセラミックシンチレータを作成した。
【0027】
この焼結体の相対密度は99.9%以上であった。またこのシンチレータの波長550nmの光に対する吸収係数μは0.30mm-1であり、波長550nmの光に対する光透過率は58%であった。この場合、60keVのX線に対する感度は、光透過率100%の感度を100とするとき87であり、実施例1のシンチレータよりも更に低エネルギー領域の検出感度が向上した。
【0028】
実施例3
実施例1と同様の原料粉末を用いて、温度1500℃で焼成することにより、一次粒径が1〜3μm程度のGd3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体粉末を得た。この蛍光体粉末に焼結助剤としてLiFを0.1重量%添加して加圧成型した後、実施例1と同じ焼結条件(真空中、1500℃、500kgf/cm2のホットプレス)で焼結した。この焼結条件では、結晶が蛍光体粉末の一次粒径より大きく成長し、約5μmの結晶粒径を有する焼結体が得られた。これを機械加工して、厚さ1.8mmのセラミックシンチレータを得た。
【0029】
この焼結体の相対密度は99.9%であった。またこのシンチレータの波長550nmの光に対する吸収係数μは0.53mm-1であり、波長550nmの光に対する光透過率は39%であった。60keVのX線に対する感度は、光透過率100%の感度を100とするとき78で、低エネルギー領域についても十分な検出感度が得られることが示された。
【0030】
実施例4
実施例1と同様の原料粉末を用いて、温度1500℃で焼成することにより、一次粒径が1〜3μm程度のGd3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体粉末を得た。この蛍光体粉末に焼結助剤としてLiFを0.1重量%添加して加圧成型した後、この蛍光体の融点直下の温度である1600〜1700℃で、大気中で常圧焼結した。この焼結条件においても、結晶が蛍光体粉末の一次粒径より大きく成長し、約5μmの結晶粒径を有する焼結体が得られた。これを機械加工して、厚さ1.8mmのセラミックシンチレータを得た。
【0031】
この焼結体の相対密度は99.9%であった。またこのシンチレータの波長550nmの光に対する吸収係数μは0.51mm-1であり、波長550nmの光に対する光透過率は39%であった。この場合、60keVのX線に対する感度は、光透過率100%の感度を100とするとき78で、低エネルギー領域についても十分な検出感度が得られることが示された。
【0032】
以上の実施例からわかるように、本発明の蛍光体素子は、波長550nmの光に対する吸収係数が0.6mm-1以下であることにより、発光効率が高く、低エネルギーの放射線に対しても感度低下が少なかった。このような蛍光体素子は、以下に述べるように放射線検出器用の蛍光体素子として好適であり、高い検出能の放射線検出器が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の放射線検出器およびそれを用いた医用画像診断装置について説明する。
【0034】
図2は、本発明の放射線検出器の断面を示したものである。この放射線検出器は、複数の蛍光体素子1と、これら蛍光体素子1に、蛍光体素子1の発光を吸収しない光学接着剤によってそれぞれ接着された複数の光電変換素子2と、これら光電変換素子2を配列した素子アレイ基盤3と、蛍光体素子1を覆い、蛍光体素子1から光を反射し、チャンネル管のクロストークを防止する光反射材4とを備えている。図では、蛍光体素子1は4個のみ示されているが、蛍光体素子の数は用途によって任意に変更できる。また蛍光体素子及び光電変換素子の配列は、線状或いは平面状であってもよい。例えば後述するX線CT装置の放射線検出器の場合、蛍光体素子及び光電変換素子を数100個、円弧状に配列したものからなる。
【0035】
蛍光体素子1は、上述の、Ceを発光元素としGd、Al、Ga、Oを主元素とするガーネット構造のセラミックシンチレータであり、主発光波長が550nmで、この波長の光に対する吸収係数μが0.6mm-1以下のものである。厚さは放射線を95%以上吸収できるようにするために、1.8mm以上が好ましい。
【0036】
光電変換素子2は、蛍光体素子1が発光した光を電気信号に変換するもので、応答速度が速く、また波長550nmにおける変換効率の優れた材料が好ましい。このような材料として、例えばSi-PINフォトダイオードを用いることができる。光反射材4は、放射線は透過するが蛍光体素子が発する光を反射する材料で、通常TiO2樹脂が用いられるが、これに限定されない。
【0037】
このような構成における放射線検出器は、蛍光体素子1として、Gd、Al、Ga、Oを主元素とするガーネット構造のセラミックシンチレータを用いているので、発光効率が従来のCdWO4に比べ著しく高く、しかも波長550nmにおける吸収係数μが0.6mm-1以下、光透過率35%以上であるので、低エネルギー側の放射線に対しても高い感度を保つことができる。
本発明の放射線検出器は、次に説明する医用画像診断装置の放射線検出器としてのみならず、産業用の放射線検出器に適用することができ、高い放射線検出能を実現できる。
【0038】
次に上記放射線検出器を用いた医用画像診断装置について説明する。
図3は、本発明の医用画像診断装置の一実施形態であるX線CT装置の概略を示す図である。このX線CT装置は、被検体の撮影を行なうためのスキャンガントリ部10と、スキャンガントリ部10で得られた計測データを元にCT画像を再構成する画像再構成部20とを備え、スキャンガントリ部10には、被検体が搬入される開口部14を備えた回転円板11と、この回転円板11に搭載されたX線管12と、X線管12に取り付けられ、X線束の放射方向を制御するコリメータ13と、X線管12と対向して回転円板11に搭載されたX線検出器15と、X線検出器15で検出されたX線を所定の信号に変換する検出器回路16と、回転円板11の回転及びX線束の幅を制御するスキャン制御回路17とが備えられている。
【0039】
画像再構成部20は、被検者氏名、検査日時、検査条件などを入力する入力装置21、検出器回路16から送出される計測データS1を演算処理してCT画像の再構成を行なう画像演算回路22、画像演算回路22で作成されたCT画像に、入力装置21から入力された被検者氏名、検査日時、検査条件などの情報を付加する画像情報付加部23と、画像情報を付加されたCT画像信号S2の表示ゲインを調整してディスプレイモニタ30へ出力するディスプレイ回路24とを備えている。
【0040】
上記スキャンガントリ部10と画像再構成部20の構成は従来のX線CT装置と同様であるが、ここではX線検出器15として上述した本発明の放射線検出器を用いる。即ち、X線検出器15は、シンチレータとフォトダイオートとを組み合わせた検出素子を多数(例えば960個)円弧状に配列したものであり、シンチレータを構成する蛍光体素子として本発明の蛍光体素子を用いている。
【0041】
このX線CT装置では、スキャンガントリ部10の開口部14に設置された寝台(図示せず)に被検者を寝かせた状態で、X線管12からX線が照射される。このX線はコリメータ13により指向性を得、ファンビーム状のX線として被検者に照射される。そして被検者を透過したX線がX線検出器15により検出される。この際、X線を連続して照射するとともに回転円板11を被検者の周りに回転させることにより、X線を照射する方向を変えながら、透過X線を検出する。フルスキャンの場合には回転円板の1回転で、ハーフスキャンの場合には半回転で、被検体のCT像を得るための計測データS1が得られる。
【0042】
この回転円板の回転時間は、近年短時間化する傾向にあり、具体的には0.5〜1秒/回転である。X線検出器16は、この1回転の間に数百回のオンオフを行い、被検者を透過してきたX線を検出する。X線検出器16が検出するX線量は、回転時間の短縮化に伴い、減少することになるが、本発明のX線CT装置では、放射線感度が高く、低エネルギー依存性のX線検出器16を用いているので、回転時間が短縮化しても高出力が得られ、結果として高画質のCT画像を得ることができる。得られた画像は、ディスプレイモニタ30に表示される。
【0043】
なお、以上の実施形態では、医用画像診断装置としてX線CT装置を例に説明したが、本発明の医用画像診断装置は、放射線源としてγ線を用いた装置にも適用できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、高発光効率で且つ広範囲のエネルギーの放射線に対して感度が高い蛍光体素子を提供することができる。またこのような蛍光体素子を用いることにより、放射線検出能が高く低エネルギー依存性の放射線検出器を提供することができる。さらにこの放射線検出器を備えたことにより、被検体を透過する放射線の検出能に優れ、高画質なCT画像を得ることが可能な医用画像診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 蛍光体素子の光透過率と放射線感度のエネルギー依存性を説明する図
【図2】 本発明の放射線検出器の一実施形態を示す図。
【図3】 本発明の医用画像診断装置の一実施形態を示す図。
【符号の説明】
1…蛍光体素子、2…光電変換素子、11…回転円板、12…X線管、15…X線検出器、20…画像再構成部

Claims (10)

  1. Ceを発光元素とし、少なくともGd、Al、Ga、Ce及びOからなるガーネット構造の母体結晶からなり、所定の厚さを有する蛍光体素子であって、
    波長550nmの光に対する吸収係数μが0.6mm-1以下であり、前記蛍光体素子を構成する結晶の平均結晶粒径が4μm以上であることを特徴とする蛍光体素子。
  2. Ceを発光元素とし、少なくともGd、Al、Ga、Ce及びOからなるガーネット構造の母体結晶からなり、所定の厚さを有する蛍光体素子であって、
    厚さ1.8mmにおける光透過率が35%以上であり、前記蛍光体素子を構成する結晶の平均結晶粒径が4μm以上であることを特徴とする蛍光体素子。
  3. Ceを発光元素とし、少なくともGd、Al、Ga、Ce及びOからなるガーネット構造の母体結晶からなり、所定の厚さを有する蛍光体素子であって、
    60keVのX線に対する感度が、光透過率100%の感度を100とするとき、76以上であり、前記蛍光体素子を構成する結晶の平均結晶粒径が4μm以上であることを特徴とする蛍光体素子。
  4. 請求項1ないしいずれか1項記載の蛍光体素子であって、相対密度が99.8%以上であることを特徴とする蛍光体素子。
  5. 請求項1ないしいずれか1項記載の蛍光体素子であって、厚さが1.8mm以上であることを特徴とする蛍光体素子。
  6. 前記蛍光体は、原料粉末を合成し、平均粒径が4μm以上の蛍光体粉末を得る工程と、前記蛍光体粉末を焼結する工程とを含む製造方法により製造されたことを特徴とする請求項1ないしいずれか1項記載の蛍光体素子。
  7. 前記蛍光体は、原料粉末を合成し、平均粒径が1μm以下の蛍光体粉末を得る工程と、前記蛍光体粉末を焼結する工程とを含む製造方法により製造されたことを特徴とする請求項1ないしいずれか1項記載の蛍光体素子。
  8. 前記蛍光体は、原料粉末を合成し、蛍光体粉末を得る工程と、前記蛍光体粉末を融点直下の温度で常圧焼結する工程とを含む製造方法により製造されたことを特徴とする請求項1ないしいずれか1項記載の蛍光体素子。
  9. 放射線により発光する蛍光体素子と、前記蛍光体による発光を検出する光電変換素子とを備えた放射線検出器において、前記蛍光体素子として請求項1ないしいずれか1項記載の蛍光体素子を用いたことを特徴とする放射線検出器。
  10. 放射線源と、この放射線源に対向して配置された放射線検出器と、これら放射線源及び放射線検出器を保持し、被検体の周りで回転駆動される回転円板と、前記放射線で検出された放射線の強度に基づき前記被検体の断層像を画像再構成する画像再構成手段とを備えた医用画像診断装置において、前記放射線検出器として請求項に記載の放射線検出器を用いたことを特徴とする医用画像診断装置。
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