JP4083915B2 - 蒸気乾き度測定装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気中の水分の含有量、即ち蒸気流の単位体積当りの全質量に対する乾き飽和蒸気の占める質量の割合を示す乾き度を測定する装置に関する。各種ボイラや蒸気動力を利用する機器、乾燥設備などでは、熱管理のために蒸気の乾き度を測定する必要がある。これは水分の含有量によって蒸気のエンタルピが異なるためである。
【０００２】
【従来の技術】
従来の蒸気乾き度測定装置としては、蒸気の等エンタルピ変化を利用して蒸気の乾き度を測定する絞り乾き度計がある。これは、一次側蒸気をオリフィスを介して二次側のフラッシュ室に導入し、フラッシュ室で断熱膨脹（等エンタルピ変化）させて過熱蒸気として排出する蒸気流路を構成し、フラッシュ室の外側に放熱を防止するための保温材を設け、一次側蒸気の圧力並びに二次側蒸気の圧力及び温度を検出することにより、モリエール線図あるいは飽和蒸気表及び過熱蒸気表を用いて乾き度を測定するものである。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の絞り乾き度計では、保温材による保温効率が悪いために、放熱による誤差が大きいと言う問題点があった。また、特公平６−５８３１０号公報に示されるようにフラッシュ室の外側に設けた保温室を抽気手段で真空にするものでは、乾き度測定装置が大型化し高価となる問題点があった。従って、本発明の技術的課題は、簡単な構造でフラッシュ室を効率よく保温できる蒸気乾き度測定装置を提供することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、一次側蒸気をオリフィスを介して二次側のフラッシュ室に導入し、フラッシュ室で断熱膨張させて制御弁を介して排出する蒸気流路を構成し、上記一次側蒸気の圧力並びに上記二次側蒸気の圧力及び温度を夫々検出する検出手段を設けたものにおいて、フラッシュ室の外側に該フラッシュ室から連通する保温室を設け、二次側蒸気をフラッシュ室から保温室を介して排出し、上記制御弁の開度を上記検出手段によって検出される上記二次側蒸気の圧力及び温度に基づいて二次側蒸気が過熱蒸気となるように制御すると共にその二次側蒸気が過熱蒸気になった状態において上記各検出手段によって検出される検出値に基づいて一次側蒸気の乾き度を算出する制御演算部を設けたことを特徴とする蒸気乾き度測定装置にある。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明の乾き度測定装置は、フラッシュ室の外側に該フラッシュ室から連通する保温室を設け、二次側蒸気をフラッシュ室から保温室を介して排出するものであるので、保温室に流入した二次側蒸気によってフラッシュ室が保温される。そのため、フラッシュ室を簡単な構造で効率よく保温することができる。
【０００６】
【実施例】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する（図１参照）。測定すべき蒸気が流動する蒸気配管１から分岐した蒸気流路２にオリフィス３、測定容器４、制御弁５を配置する。測定容器４は、オリフィス３から連通する内側容器６と、内側容器６に開けた複数個の開口７を介して連通する外側容器８を有し、内側容器６の内部がフラッシュ室９を形成し、内側容器６と外側容器の間が保温室１０を形成する。蒸気流路２にはオリフィス３の一次側に圧力センサ１１、温度センサ１２を設けて、一次側蒸気の圧力及び温度を検出し、オリフィス３の二次側のフラッシュ室９には圧力センサ１３、温度センサ１４を設けて、二次側蒸気の圧力及び温度を検出する。制御弁５の開度の制御と、乾き度の算出のために制御演算部１５としてマイコンを設ける。
【０００７】
圧力センサ１１で検出された一次側蒸気の圧力P1と、温度センサ１２で検出された一次側蒸気の温度T1と、圧力センサ１３で検出された二次側蒸気の圧力P2と、圧力センサ１４で検出された二次側蒸気の温度T2が制御演算部１５に供給される。また、制御演算部１５は、飽和蒸気表の圧力と温度並びに圧力と飽和水のエンタルピ及び圧力と飽和蒸気のエンタルピの関係と、過熱蒸気表の圧力及び温度と過熱蒸気のエンタルピの関係をテーブルの状態であるいは回帰式で記憶している。
【０００８】
次に、この装置による蒸気乾き度の測定について説明する。制御演算部１５は、制御弁５に駆動信号を供給し、制御弁５を開いて二次側蒸気の圧力が所定の圧力となるように開度を制御する。
【０００９】
制御演算部１５は、二次側蒸気の圧力P2から飽和蒸気表の圧力と温度の関係に基づいて二次側蒸気の圧力に相当する飽和温度T(P2)を算出し、この飽和温度T(P2)と二次側蒸気の温度T2を比較して、二次側蒸気の温度T2が飽和温度T(P2)よりも高ければ、乾き度の算出に移行する。二次側蒸気の温度T2が飽和温度T(P2)よりも高くなければ、制御弁５の開度を大きくして二次側蒸気の圧力がより低圧となるように制御し、二次側蒸気の温度T2が飽和温度T(P2)よりも高くなれば、乾き度の算出に移行する。
【００１０】
二次側蒸気の温度T2が飽和温度T(P2)よりも高くなると、制御演算部１５は、一次側蒸気の圧力P1から飽和蒸気表の圧力と温度の関係に基づいて一次側蒸気の圧力に相当する飽和温度T(P1)を算出し、この飽和温度T(P1)と一次側蒸気の温度T1を比較して、一次側蒸気の温度T1が飽和温度T(P1)よりも高ければ、過熱度をT1-T(P1)として算出して出力する。
【００１１】
一次側蒸気の温度T1が飽和温度T(P1)よりも高くなければ、一次側蒸気の圧力P1から飽和蒸気表の圧力と飽和水のエンタルピ及び圧力と飽和蒸気のエンタルピの関係に基づいて一次側蒸気の飽和水のエンタルピI1'及び飽和蒸気のエンタルピI1''を算出すると共に、二次側蒸気の圧力P2及び温度T2から過熱蒸気表の圧力及び温度と過熱蒸気のエンタルピの関係に基づいて二次側過熱蒸気のエンタルピT2とを算出し、乾き度Ｘを(I2-I1')/(I1''-I1')として算出して出力する。
【００１２】
【発明の効果】
上記のように本発明は、フラッシュ室を保温室の二次側蒸気によって保温することにより、フラッシュ室を簡単な構造で効率よく保温することができると言う優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による蒸気乾き度測定装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
１ 蒸気配管
２ 蒸気流路
３ オリフィス
４ 測定容器
５ 制御弁
７ 開口
９ フラッシュ室
１０ 保温室
１１、１３ 圧力センサ
１２、１４ 温度センサ
１５ 制御演算部

Claims (1)

1. 一次側蒸気をオリフィスを介して二次側のフラッシュ室に導入し、フラッシュ室で断熱膨張させて制御弁を介して排出する蒸気流路を構成し、上記一次側蒸気の圧力並びに上記二次側蒸気の圧力及び温度を夫々検出する検出手段を設けたものにおいて、フラッシュ室の外側に該フラッシュ室から連通する保温室を設け、二次側蒸気をフラッシュ室から保温室を介して排出し、上記制御弁の開度を上記検出手段によって検出される上記二次側蒸気の圧力及び温度に基づいて二次側蒸気が過熱蒸気となるように制御すると共にその二次側蒸気が過熱蒸気になった状態において上記各検出手段によって検出される検出値に基づいて一次側蒸気の乾き度を算出する制御演算部を設けたことを特徴とする蒸気乾き度測定装置。

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